カテゴリー「Massive Attack」の5件の記事

2023年1月 9日 (月)

2002年4月〜2003年3月発売の洋楽アルバム20選

2015年から毎年この時期に用意してきたこの成人企画。ちょうど昨年から成人年齢が18歳へと引き下げされ、現在は成人式の概念も崩れつつあります。が、この企画はこの企画として毎年やっていってはどうかと思い直し、タイトルから「祝ご成人」の文字を外し、20年前を振り返る企画として残すことにしました。

通常なら1月はじまりでカウントするところを、これまで同様4月はじまりの翌年3月終わりという年度縛りで進めるのは、ちょっと日本的なのかな。とはいえ、今さらこのフォーマットを崩すのも何かなと思い、このまま続けさせていただきます。

この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に2002年4月〜2003年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップする……というのが本来の趣旨。20年って結構節目にもなると思うので、改めて「ああ、自分が生まれた頃はこういうアルバムがヒットしていたのか」とか「これってもう20年前の作品なのか」とか、いろいろ浸っていただいたり驚いていただけるとうれしいです。

 

では、サブスクを通して20年前の名盤20枚をお楽しみください。

 

AVRIL LAVIGNE『LET GO』(2002年6月発売)(Spotify)(レビュー

 

BECK『SEA CHANGE』(2002年9月発売)(Spotify

 

COLDPLAY『A RUSH OF BLOOD TO THE HEAD』(2002年8月発売)(Spotify

 

EMINEM『8 MILES: MUSIC FROM AND INSPIRED BY THE MOTION PICTURE』(海外:2002年10月発売、日本:2003年4月発売)(Spotify

 

EVANESCENCE『FALLEN』(2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

FOO FIGHTERS『ONE BY ONE』(2002年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

JURASSIC 5『POWER IN NUMBERS』(2002年10月発売)(Spotify

 

KILLSWITCH ENGAGE『ALIVE OR JUST BREATHING』(2002年5月発売)(Spotify

 

THE LIBERTINES『UP THE BRACKET』(2002年10月発売)(Spotify)(レビュー

 

LINKIN PARK『METEORA』(2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

MAROON 5『SONGS ABOUT JANE』(2002年6月発売)(Spotify

 

MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』(2003年2月発売)(Spotify)(レビュー

 

MOBY『18』(2002年5月発売)(Spotify

 

THE MUSIC『THE MUSIC』(2002年9月発売)(Spotify

 

RED HOT CHILI PEPPERS『BY THE WAY』(2002年7月発売)(Spotify)(レビュー

 

SIGUR ROS『( )』(2002年10月発売)(Spotify

 

STONE SOUR『STONE SOUR』(2002年8月発売)(Spotify)(レビュー

 

SUM 41『DOES THIS LOOK INFECTED?』(2002年11月発売)(Spotify

 

t.A.T.u.『200 KM/H IN THE WRONG LANE』(海外:2002年12月発売、日本:2003年3月発売)(Spotify)(レビュー

 

UNDERWORLD『A HUNDRED DAYS OFF』(2002年9月発売)(Spotify)(レビュー

 

このほかにも、以下の作品を候補に挙げていました。

ASIAN DUB FOUNDATION『ENEMY OF THE ENEMY』
BEN HARPER『DIAMONDS ON THE INSIDE』
BON JOVI『BOUNCE』(レビュー
BRUCE SPRINGSTEEN『THE RISING』
DAVID BOWIE『HEATHEN』(レビュー
DISTURBED『BELIEVE』(レビュー
EMINEM『THE EMINEM SHOW』
FEEDER『COMFORT IN SOUND』(レビュー
HANOI ROCKS『TWELVE SHOTS ON THE ROCKS』(レビュー
THE HELLACOPTERS『BY THE GRACE OF GOD』(レビュー
IN FLAMES『REROUTE TO REMAIN』
KING CRIMSON『THE POWER TO BELIEVE』
KORN『UNTOUCHABLES』(レビュー
MESHUGGAH『NOTHING』
OASIS『HEATHEN CHEMISTRY』(レビュー
OK GO『OK GO』
OPETH『DELIVERANCE』
PET SHOP BOYS『RELEASE』
PETER GABRIEL『UP』
PRIMAL SCREAM『EVIL HEAT』(レビュー
QUEENS OF THE STONE AGE『SONGS FOR THE DEAF』
ROYKSOPP『MELODY A.M.』
RUSH『VAPOR TRAILS』(レビュー
SPARTA『WIRETAP SCARS』(レビュー
THE USED『THE USED』(レビュー
THE VINES『HIGHLY EVOLVED』

 

2019年1月13日 (日)

祝ご成人(1998年4月〜1999年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で5回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、今回は当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)が被っていることから、選出時もいろいろ感慨深いものがあります。いやあ、長く続けるもんだ。

さて、この企画の説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1998年4月〜1999年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。今年度は残念ながら、選出した20枚すべてがSpotifyおよびApple Musicに揃っているものではありませんでした(各サービスともに1枚足りないという)。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちらです)


ASIAN DUB FOUNDATION『RAFI'S REVENGE』(1998年11月発売)(Spotify

AT THE DRIVE-IN『IN/CASINO/OUT』(1998年8月発売)(Spotify)(レビュー

BEASTIE BOYS『HELLO NASTY』(1998年7月発売)(Spotify

BLUR『13』(1999年3月発売)(Spotify)(レビュー

BOARDS OF CANADA『MUSIC HAS THE RIGHT TO CHILDREN』(1998年4月発売)(Spotify

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2018年12月10日 (月)

MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS: 20 YEAR COLLECTIORS' EDITION』(2018)

MANIC STREET PREACHERSが1998年9月にリリースした、通算5作目のスタジオアルバム『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』。同作のリリース20周年を記念して、2018年12月にCD 3枚組ボックスエディションとアナログ2枚組エディションが発売されました。どちらも新たにリマスタリングが施されておりますが、もともとダイナミックなバンドサウンドを堪能できる良作だったので、音質的にはそこまで大きく変化していないような気がします。

さて、このアルバムに関しては非常に個人的思い入れが強く、当ブログの前身サイトが20年前にスタートしたとき、最初に書いたディスクレビューが本作に関してでした。あそこには書いていませんが……要は、長年付き合った彼女と別れ話をしてる間、ずっと車の中で流れていたのがこのアルバムなんですよ(苦笑)。

……重い。重いでしょ?(笑)

そんなわけで、好きなアルバムではあるものの、聴いていると必要以上に感傷的な気持ちになってしまう。なので、一時期まったく手をつけられない時期もありました。作品の良し悪しとは全然関係ない理由なんですけどね。

あれから20年。それ以上にいろんなヘヴィな出来事があったり、こうやって音楽について趣味で書き連ねていたことが、いつの間にか仕事になっていたり。本当にいろんなことがありました。そう思うと、このアルバムの背景にある個人的な出来事がいかにちっぽけなことか。おちこんだりもしたけれど、私はげんきです(笑)。

さてさて。このリマスター盤について書いていきましょうか。

前作『EVERYTHING MUST GO』(1996年)での成功を踏まえた上で制作された本作は、ミディアム〜スロウナンバーを軸とした極上のメロディックロックアルバムです。『EVERYTHING MUST GO』には若干の歪さが残っており、そこがまたマニックスらしくて良かったのですが、本作ではそういった要素が完全に払拭され、非常に完成度の高い内容に仕上げられています。スロウナンバーが多いせいか、全13曲で63分というトータルランニングには多少過剰さを感じたものの、ぶっちゃけ捨て曲がないので有無を言わせぬまま最後まで聴かされてしまう。そんな“静なる暴力性”すら感じさせる傑作だと、今でも信じています。

が……。

このリマスター盤、昨年発売された『SEND AWAY THE TIGERS』(2007年)の10周年盤同様に、収録曲が一部差し替えられるという改悪が加えられています。日本のファンにとっては思い入れの強いであろう12曲目「Nobody Loved You」が、シングル「If You Tolerate This Your Children Will Be Next」のカップリング曲およびカップリング曲集『LIPSTICK TRACES』(2003年)収録曲「Prologue To History」に変更されているのですよ! この曲自体は特に嫌いではないし、むしろ好きな部類に入る1曲ですが、どうしても「Nobody Loved You」のインパクトが強かっただけに、また終盤をドラマチックに盛り立てる上で重要な役割を果たすだけに、「Prologue To History」がラス前に置かれてそこから「S.Y.M.M.」へと続く構成がどうにも馴染めないのです。

何度か聴き返しました。なんなら、M11「Black Dog On My Shoulder」からM13「S.Y.M.M.」の3曲だけを何度か続けて聴き返したりもしました。が、どうしても「Prologue To History」だけ軽く聴こえてしまう。ミディアム〜スロウのメロウな楽曲中心とはいえ重厚さが全体を支配する構成だけに、やっぱり「Prologue To History」は浮くんですよ。だからこの曲をカップリングに回したんじゃなかったの? そうしてそんな気の迷いを見せる? 本当にこの改悪、理解に苦しみます(しかも、ストリーミングバージョンだと「S.Y.M.M.」のあとに「Nobody Loved You」が置かれているという。なんなのまったく!)。

ジャケットのアートワーク変更は全然いいんですよ。同じフォトセッションの中から、別テイクを選んでいるわけですから。新しいアートワークも嫌いじゃありません。ただ、安っぽくなってしまったのも事実。ああ、勿体ない。こんな傑作が……。

せっかくなのでCDのディスク2、ディスク3にも触れておきましょう。ディスク2は改変されたディスク1『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』の収録曲のホームデモ音源/スタジオデモ音源/ライブリハーサルデモ音源/テイク違いが、本編と同じ曲順で並べられています。完成バージョンとは異なるアレンジやテンポ感、特に「The Everlasting」のライブリハデモは嫌いじゃないなあ。「Nobody Loved You」が原曲よりもテンポが遅く、ヘヴィさが際立っている印象なのも良いなあ。まあ、こちらは完全にマニア向けですね。

ディスク3は1998〜99年にリリースされた本作からのシングルに収められたカップリング曲を1枚にまとめたもの。MASSIVE ATTACKやデヴィッド・ホルムス、デーモン・バクスター、STEALTH SONIC ORCHESTRA(APOLLO 440)、MOGWAICornelius、STEREOLABによるシングル表題曲のリミックス、アルバム未収録の「Montana/Autumn/78」「Black Holes For The Young」「Valley Boy」「Socialist Serenade」「Buildings For Dead People」といったオリジナル曲が楽しめます。THE CLASHのカバー「Train In Vain」などライブテイク以外のオリジナル曲とリミックスは網羅されているはずなので、当時シングルやカセットを集めるのに苦労した人にはありがたい1枚じゃないでしょうか。

僕にとっても、そして本サイトにとっても思い出の1枚なだけに、いろいろ厳しいことを連ねましたが、それでも本作の魅力は変わらない(と思いたい)。この20周年盤を聴いて興味を持った人は、ぜひオリジナルバージョンも聴いてみてください。もしかしたら、僕とまったく逆のリアクション(逆に「Nobody Loved You」が入っているほうを受け付けない)をするかもしれませんしね。



▼MANIC STREET PREACHERS『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS: 20 YEAR COLLECTIORS' EDITION』
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2003年7月31日 (木)

「FUJI ROCK FESTIVAL '03」DAY 3@苗場スキー場(2003年7月27日)

  フジロック本編、最終日・日曜のライヴレポ。あー長かった。けど、今年の場合はすんなり書けたなぁ。どうしてだか判らないけど。俺、日記の方に「今年は多分去年よりも数観てない」って書いたと思うんだけど‥‥こうやってみると、実は過去最高に数観てるんじゃないかって気がしてきたよ。まぁフルで観たのは多分これまでで一番少ないと思うんだけどね。楽しみ方が判ってきたってことなのか、何なのか‥‥

  さてさて、最終日なんですが‥‥みんなトリクラスや深夜枠のレポートに期待してることでしょう。まさか苗場まで行って身体張ってネタかますとは思ってもみなかった‥‥って話は最後まで読んでもらえば判ると思うんですが‥‥では、昨日からの続き行ってみますか。

  夕べは4時過ぎにテントに戻って、4時半とか5時前に寝たわけだけど、もう6時半頃には目が覚めちゃってさ。というのも、苗場名物「朝陽が昇ると暑くて寝てらんない」現象を初体験。暑いの何のって。これはたまらんですよ。しかも後ろのテントの男が「梅雨が明けたー!」とか大騒ぎしてやがるし。いや、明けてないんだけどね。結局耳栓し直して、テントの窓開けて再び寝るんですが‥‥やっぱりダメ。8時には起きて、冷水シャワーに行く準備を‥‥昨日まではすんなり入れたシャワーも、さすがに暑くなると長蛇の列。結局1時間もかけて並んだわけ。シャワーから戻ると10時過ぎだったかな‥‥またテントでゴロゴロしてると、グリーンステージからJUDEの演奏が聞こえてきて。結局この日も11時半から活動開始。会場へと向かって行ったのでした。


◎JET(RED MARQUE・12:50~)

  このバンドだけはどうしてもフルで観てみたいと思ってたので、時間に余裕を持ってマーキーへ。開始直前には既に後方まで人が埋まり尽くしてました。

  オーストラリア出身のリフロックバンド。同郷のAC/DCのTシャツを着たメンバーがいる程、そのAC/DCからの影響を感じさせるリフロックを連発。このバンドが他のリフロックバンドと違う点、それはメンバー全員が歌えること。特にギター2人とドラムはそれぞれリードボーカルを取る曲があった程。基本的には真ん中に構えるギターが歌ってるんだけど、基本的に全員高めの濁声なんだわ。全員ボン・スコットかよ!とか突っ込みそうになったけど、とにかく良いね。曲はホントに良く出来てる。ブギーやシャッフル、バラードまで、とにかくバラエティ豊か。まだシングル1枚しか出してないバンドだけど、こりゃマジでアルバム期待できますよ。


◎ROVO(WHITE STAGE・14:00~)

  JETの約40分に渡るステージが終わると、その足でホワイトまで移動。途中で友人と合流し、一緒にROVOを観ることに。昨年9月の朝霧JAMに続き2度目のROVO。前回は濃い霧の中、殆どステージが見えないような幻想的な環境での初体験だったけど、今回は日中、炎天下というあまり良いとは言い難い環境。しかし、そんな条件などものともせず、いつも通りの素晴らしい「人力トランス」を披露してくれました。けどね‥‥今回改めて思ったのは、このバンドってそういった「人力トランス」とかクラブ系の音と比較される事が多いけど、実はかなりロックンロールしてるんじゃないかな、ってこと。音の構造とか構成は確実にプログレとかの方が近い存在なんだろうけど、メンバーの佇まいとかアクションを観てると、例えばベースの人がピョンピョン跳ねながら弾いたり、いちいち大袈裟なアクション決めたりしてるんだよね。そういうのを観ちゃうと、前日観たDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDENとは正反対なんじゃないかな、なんて思っちゃうんだよね。ま、考えすぎかもしれないけどさ。

  今回は曲もある程度把握してたこともあり、更に楽しめました。特に中盤のドラムバトル、これが圧巻でして。ライヴならではといった場面でしたね。いやー、また大自然の中で体験したいバンドだなぁ。


◎EVANESCENCE(GREEN STAGE・15:30~)

  やはりうちのサイトで取り上げた以上は、観ておかなきゃいけないでしょう。ラウドロック界の新星?と呼ばれることの多い、ここ日本でも既に大ヒットを記録し、待望の初来日となったEVANESCENCE。一体どんなライヴステージを見せてくれるのか。もしかしたらかませ犬じゃないのか‥‥いろいろ思うことはあったんですが、とにかく観てみなきゃ始まらないな、と。

  幻想的なSEに合わせて男性メンバー4人が登場。どうやらギター2人、ベース&ドラムという構成みたい。アルバムではキーボードが重要な役割を果たしてるんだけど、これは同期モノを使ってるようでした。メンバーが楽器を持ったところで、ボーカルのエイミーが登場するんですが‥‥全然違うよ、印象が! PVやジャケット以上にゴスメイクなんでビックリ。

  アルバム同様、"Going Under"からスタート。その後、「例の曲」を飛ばしてアルバム曲を数曲披露。つうかこのバンドの魅力のひとつに「コーラス」とか「歌に絡む合いの手コーラス」みたいなのがあると思うんだけど、それらは全て省かれててちょっと違和感が。ま、数カ所同期と共に残されてるパートもあるにはあったんですが‥‥バンドメンバーの前にひとつとしてマイクがないのは、そういうことか。

  ライヴには2度ピークがあって、1回目は違和感なくスタートしたSMASHING PUNPKINSのカバー"Zero"。以前からスマパンとの共通点を挙げる人が多かったと思うんですが、やはり実際に好きだったようですね。女性が歌うスマパンの曲というのも、ちょっと意外性があっていい感じ。後半、結構独自の歌メロに変えて歌ってたのが、更に好印象。昔、「苗場でスマパン観たい!」と何度か発言したことがあったのですが、ZWANがキャンセルされてしまった今、まさかこういう形で実現するとは‥‥

  そして2度目のピークは、ご存じ"Bring Me To Life"の時。この曲の時だけ、リズムギタリストの前にマイクが用意され、あのラップパートを再現してたのでした。あ、この曲のイントロにあるピアノパートは、ギターで代用されていて、ちょっと違和感が。ま、悪くはなかったです。エンディングもCDとは違ってて、結構カッコ良かったかも。

  結局、その後数曲アルバムから披露して、約1時間に及ぶステージは終了したのでした。最も、最後の数曲は俺、観てないんですけどね(余所に移動してたので、音だけしか聴いてません)。


◎STEVE WINWOOD(GREEN STAGE・17:10~)

  この後、くるりを観る都合上、前半しか観てません。が、これがかなり良くて、かなり後ろ髪引かれる形でステージを後にしたんですよね。実際、終盤には名曲"Gimme Some Lovin'"をやったそうで‥‥畜生!

  メンバー構成は左からスティーヴがオルガン、ギタリスト、黒人パーカッショニスト、ドラマー。その前中央に管楽器担当者(フルートやサックスをプレイ)が。ステージ前方の、かなり真ん中に集まっていて、非常にこじんまりした印象。しかし、演奏は滅茶苦茶スリリング。所謂ジャムバンド的なプレイスタイルで、かなりアドリブが多かったように感じました。実際、1曲が結構長めにプレイされてたように感じましたし(だからなのか、2~30分で3~4曲しか聴いてないんだよね)。

  スティーヴの歌声、久し振りに聴いたけど、全然色褪せてないのね。'80年代、中学生の頃「ベストヒットUSA」で聴いたあの声と全く同じ。それだけで感動。あーもっと観ておけばよかった。


◎くるり(WHITE STAGE・17:10~)

  スティーヴ・ウィンウッドを途中で切り上げ、ドロの中走ってホワイトへ移動。途中から"ばらの花"が聞こえてきて、ステージに着いた頃に終了。何だよ、'01年の時と一緒かよ!とか思ってたら、その後もいろいろやってくれて、まぁミディアム~スロウな曲が続いたんだけど、極めつけというか、1月以来の"東京"が聴けまして。ちょっと嬉しかったなぁ、この曲をフジロックで聴けるというのは。屋内で聴いた前回以上に素晴らしい演奏だったと思います。そして最後の最後に、あの"ワンダーフォーゲル"が!! もうこれは大合唱。思わず後方でひとり小躍り。何だかな、くるりあんまり興味ないとか言ってたくせして。

  結局今回も数曲しか聴けなかったのですが、それでも大満足でしたね。


◎そして‥‥

  ホワイトの後方にいたので、そのまま「ところ天国」で時間を潰し、更にキッズランドでボーッとしてると、友人と連絡が取れ、そこで待ち合わせ。結局22時頃までそこで喋り続けるというアホなことをしてたわけですよ。遠くから聞こえるエルヴィス・コステロやTHE ORBをBGMにしてね。途中、fujirockers.orgのスタッフから1000人斬りのアンケート(インタビュー?)を受けたりなんかして。で、寒くなってきたので、一旦テントに戻って上着を取ってこようってことになり、移動。グリーンの前を横切ると、丁度MASSIVE ATTACKが"Angel"を演奏中。何か妙に心地よくなってきた、これ1曲で。

  テントに戻る前に、キャンプサイト入り口前の売店でうどんをふたりして食らう。で、腹に入ったら急に眠くなりやがるのな。ま、当たり前か。ふたり共夕べはあんまり寝てないしな(共に4時頃までルーキーにいたわけだし)。とりあえず互いのテントに上着を取りに戻り、再びルーキーで合流することに。1時半頃から演奏するコンタクト、そして3時台に登場するASIAN KUNG-FU GENERATIONが観たかったわけだ。俺は眠かったこともあって「車で仮眠するよ。目覚ましかけて、時間になったら行く」と告げて別れたのでした。

  テントに戻って上着を取ってきて、その足でルーキー前の駐車場に停めてある自分の車に入って、軽く横になりました。当然、携帯の目覚ましを1時半にセットして‥‥


  次の瞬間。目が覚めると外が明るい。異常に暑い。手には何故か携帯を握ったまま寝てる。その携帯の時計に目をやると‥‥6時15分‥‥やけに静かなはずだわ。全部終わってるじゃんか‥‥ハハハ‥‥


冗談みたいな話ですが、本当にこういう風に今年の俺のフジロックは終わってしまったのですよ‥‥ええ、携帯には友人から着信が何度も入ってましたよ。携帯ちゃんと手に握ってましたよ。にもかかわらず、一度も目覚めなかった‥‥気を失っていたといった方が正しいのかもしれませんね。嗚呼‥‥

  その足でテントに戻る途中、何故か外人さん(相当泥酔状態)に「オー、イチロー、イチロー!」って言いながら抱きつかれたりして、何だか散々な終わり方になってしまったような。

  だからといって、ガッカリかというと‥‥まぁこういうのもアリだな、と思ってたりして。だってさ、4日間通してこんなに楽しかったフジロック、本当に久し振りだもん。イライラすることも少なかったし。いや、確かにイライラする瞬間は結構あったんだけど(これを最初から読み返せば多々見つかるはず)、終わってみるとそんな些細なことがどうでもよくなってるんだよね。

  キャンプも、今年は2日も雨に見舞われながらも、かなり楽しんでたし(ま、幸い浸水とかしなかったからだろうけどね)。ライヴアクトも外れが少なかったし。ただ、ちょっと偏りすぎかな、という気が。未知のアーティストを進んで観に行かなかったのは、ちょっとアレかな、と今になって思ったりして。でも、結局観たものに関してはどれも楽しめたんだから、それはそれで問題ないか。あとは、今回出会った人達。本当にみんなに感謝です。みんながいたから、今こうやって楽しい想い出を綴ることができるわけですから。

  さて‥‥もう前夜祭から1週間近く経ってしまうわけですねぇ‥‥次のフジロックまで、あと358日ってことか‥‥長いなぁ。当然、来年も前夜祭から、キャンプ参加の予定で行きますよ。メンツとか関係なしに。人が多い中での楽しみ方もだいぶ掴んできたしね。

  ま、その前に朝霧JAMがあるわけですが‥‥そっちも楽しみだ。

  というわけで、最後まで読んで下さった皆様、こういうくだらないオチで申し訳ありませんでした。そして長文駄文、失礼いたしました。楽しんでいただけたでしょうか? もし、少しでも感じや雰囲気を掴んでくれたなら、そして「来年、俺も私も行ってみようかなぁ‥‥」と思ってくれたなら、とても嬉しく思います。

2003年5月 4日 (日)

MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』(2003)

イギリスはブリストル出身のユニットMASSIVE ATTACKによる4作目のアルバム「100TH WINDOW」は、いろんな意味で興味深い作品となっています。まず前作「MEZZANINE」から約5年振り(考えてみれば、デビューした'91年からの12年間に、たった4枚しかアルバム発表してないのね、このグループ)。完璧主義だという噂通り、今回も一旦作ったものをお蔵入りさせて新たに作り直した、なんて話も伝わってきてます。納得いくまで作り込み、結局世に出回った時点で「既に過去のもの」「完全には納得いってない」なんていう具合に、早くも次の作品に目が向いているという程、作品作りに関しては拘りをもっているようですね(ま、それが当たり前なんですけどね)。

第二に。3人組だったはずのユニットからマッシュルームが脱退。で、ふたり(ダディ・Gと3D)で作ったのかというと、ダディ・Gは殆ど作品作りに携わっておらず(クレジットにも名前はありませんしね)、完全に3Dによる独裁体制で作られたのがこのアルバムのようです。更に9曲中4曲にてボーカルまで取っている、完全に「3Dのソロアルバム」と呼べるような内容になってます。

第三に。アメリカを除く日本やヨーロッパではこのアルバム、コピーコントロールCDとしてリリースされたという点。これによって「聴きたいけど聴けてない」という人も多いのではないでしょうか(ま、こうやってここでレビューしているということは、俺も無事アメリカ盤で入手することができたということですが)。今後、こういうアルバムがどんどん増えていくでしょうから、これはかなり大きな問題となるでしょうね。

さてさて、そういったポイントを踏まえつつ(ま、3番目は蛇足ですが)このアルバムを聴いていくと、やはり前作との違いに気づく人が多いんじゃないでしょうか。所謂「トリップホップ」とジャンル付けされることの多かった彼等のサウンドですが、その延長線上にありながらも、もっと昨今のエレクトロニカ的感触が感じられます。また、前作では要所要所で耳にできたギターサウンドも新作では減退し、ニューウェイブ的な暗く重苦しい空気感はそのままに、更に現代的なエレクトロニックサウンドになっているように感じます。比較という意味でいえば、前作よりも全体的に音が太いように感じられるのは、時代性なんでしょうかね?

また、そういったサウンドを更に盛り上げているのが、ゲストボーカルであるシンニード・オコナーでしょう。彼女は3曲("What Your Soul Sings"、"Special Cases"、"A Prayer For England")で共作及びボーカルを務め、彼女にしか出せない独特な雰囲気を楽曲の中に閉じこめています。残念ながら彼女はこの夏で音楽活動から引退するそうですが、そういう意味でもこれらの共演トラックは貴重なものになったのではないでしょうか。出来れば引退する前に、ステージ上で彼等の共演を観てみたいものですが‥‥

基本的には全体的にミディアム~スロウでダークな曲調なのですが、そこに急に登場する比較的アッパーな"Butterfly Caught"や、アジア的というかインド的なストリングスが印象的な"Antistar"がいいアクセントになっています。けど、やはりこのグループはダウナーな曲のイメージが強いですよね。ニューウェーブやダブ、ヒップホップ、エレクトロニカといったいろいろなダンスミュージックから影響を受けた結果生まれたものがトリップホップなのだとすると、もしかしたらここにあるサウンドはその先に進もうと試行錯誤して生まれたものなのかもしれませんね。ハッキリ言ってしまえば、その試みは大成功したとは言い難いですが(明らかに前作の延長線上であり、革新的な変化は見られないしね)、実はこのアルバムは5年間の空白の時間の中で、最後の1年で作られたものらしいんですね。つまり、それまでの4年間に作られたものは全てボツにして、最後の最後にもの凄い勢いで制作されたのがこの「100TH WINDOW」だというのです。実際、ボーカルトラックに関してはほぼ一発録りだそうですし。これだけのことが出来るんだから、それまでの4年間に作ったものって一体どんなことになっていたのか‥‥非常に気になるところです。

多分、本当の意味で「トリップホップ」というジャンルをぶち壊すような、新しいサウンドは次のアルバムまでのお楽しみということになりますが‥‥3Dは年内にもう1枚アルバムを出したい、とか言ってるそうですね。ま、ミュージシャンは基本的に嘘つきですし、基本的にMASSIVE ATTACKとDEF LEPPARDはオリンピックイヤーにアルバムが聴ければいい方くらいの気持ちでいるんで、当てにしないで待つことにしましょう。きっとその頃には「トリップホップ」や「ブリストル・サウンド」なる言葉すら風化してるんでしょうけど(ま、トリップホップ自体はもう使ってる人、殆どいませんよね??)‥‥



▼MASSIVE ATTACK『100TH WINDOW』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

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