2017/03/31

MASTODON『EMPEROR OF SAND』(2017)

2014年リリースの『ONCE MORE 'ROUND THE SUN』に続く、MASTODON通算7枚目のスタジオアルバム。本国アメリカでは前作が全米6位という過去最高位を記録したほか、2015年春にここ日本でも初の単独来日公演も実現するなど、かなり良好なタイミングに発表される今作は、「死刑宣告を受けた砂漠の放浪者が、無慈悲にも流れ落ちていく砂時計を前に“生と死”と向き合っていく」というコンセプチュアルなテーマが設けられたアルバムとなっています。がしかし、そこはMASTODONのこと。単なるコンセプトアルバムにはなっておらず、曲単体でも十分に楽しめる極上のHR/HM作品集に仕上げられています。

実は本作の日本盤にて筆者がライナーノーツを執筆しているため、本作をひと足早くフルで聴くことができました。詳細な内容やアルバムの解釈についてはライナーノーツに譲るとして(なのでぜひ日本盤で、対訳含めて堪能してみてください)、ここでは最初に聴いた際の各楽曲の感想メモを紹介していきたいと思います。

M-1「Sultan's Curse」
変幻自在なリズムと硬質なギターリフが固まりとなり、うねりを伴いながら突進してくる。アルバムのオープニングにふさわしい1曲。

M-2「Show Yourself」
キャッチーなメロディを持つ、親しみやすいヘヴィロック。のたうちまわるかのごとく暴れまくるギターソロが耳に残る。

M-3「Precious Stones」
不思議な音色&和音からなるギターリフと疾走感のあるバンドサウンド、どこかひんやりとしたハーモニー、随所に絡むツインリード。どれを取ってもカッコいいし、それらが交わったときに生まれる絶妙な緊張感が最高。

M-4「Steambreather」
聴き手をどこか不安な気持ちにさせる音使いと、その合間に登場するのたうちまわるギターソロが印象的。

M-5「Roots Remain」
グランジにも通ずる不穏なメロディと、手数の多いドラミングからなる前のめりなリズム。と同時に壮大さも兼ね備えており、ドラマチックな展開をしていく。

M-6「Word to the Wise」
4分の6拍子と4拍子を行き来する複雑さ、歌メロの裏で主張するギターソロ、さらに曲が進むにつれてのたうちまわり方が増す。壮大さは前曲からの流れあり。

M-7「Ancient Kingdom」
ギターリフとリズムで曲を引っ張る、独特のグルーヴ感。ボーカルは淡々としているのに、演奏で緩急をつけるアレンジは圧巻の一言。しかし、そのボーカルも曲後半に進むにつれ熱を帯びていく。

M-8「Clandestiny」
メロディを奏でるようなギターリフと、それと相反する歌メロが乗ることで生まれる化学反応。これぞMASTODONという1曲では。

M-9「Andromeda」
不穏さがさらに増すもスペーシーなメロディ/アレンジも含まれており、全体的な壮大さは保ったまま。天にも昇るようなギターフレーズと、叫び伝えるボーカルは絶品。

M-10「Scorpion Breath」
突進していくような前のめりさ、スリリングさを持つスピード感。前曲から続く断末魔のような叫び。いよいよ物語はクライマックスを迎えようとしていることが、この曲からも伝わってくる。

M-11「Jaguar God」
アコースティックギターの音色から始まる、もの悲しげなバラード。曲は徐々に激しさを増していき、5分近く進んだところで一気に豹変。その凶暴さをみせる。これぞプログレッシヴメタルと呼べる叙情的大作。ただひたすらドラマチック。

以上、いかがでしたでしょうか。これまでのMASTODONが好きな人なら絶対にお気に入りの1枚になることは間違いないでしょう。先に曲単位で取り上げても素晴らしいと書きましたが、ここまできたら本作はアルバム全編を通して聴いてほしいな。そしてライブも、できることならアルバムまるごと、11曲通しで演奏してほしい。そんな欲すら生まれてしまう傑作だと思います。



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投稿: 2017 03 31 12:00 午前 [2017年の作品, Mastodon] | 固定リンク

2006/10/04

MASTODON『BLOOD MOUNTAIN』(2006)

 間もなく「LOUD PARK 06」でも来日するアメリカのバンド、MASTODONのメジャー移籍1作目「BLOOD MOUNTAIN」は、メタル周辺のさまざまなジャンルを飲み込んだ、それでいて1本筋の通ったもの凄いエクストリームな作品に仕上がっております。

 いわゆるハードコア寄りのメタル/ハードロックにスラッジの要素を加えたり、さらにプログレッシヴな演奏パートを導入することで他の同系統バンドとは一線を画する独自性を生み出していたり。それがこのバンドの魅力みたいに言われていますが……うん、確かにそうなんだけどさ、俺は前作「LEVIATHAN」を聴いたときに、例えばCORROSION OF CONFORMITY辺りとの共通点がたくさん見受けられるバンドだなぁと認識してたのね。引きずるようなリズムセクションに、テクニカルな演奏。そしてところどころに見え隠れするハードコアからの影響(ま、C.O.C.の場合はもともとハードコアの流れにあるバンドだけどさ)、そしてBLACK SABBATH……そういうポイント同士で俺の中では繋がっていた2組なわけ。

 でも、このニューアルバムでさらに数歩先に行った感が強いなぁ、MASTODON。C.O.C.が良くも悪くも現状を維持してるイメージが強い分、まだアルバム3枚目というMASTODONはより前進してるし成長している。ハードコアな要素は若干後退したものの、プログレッシヴロック的な(特定のバンド名を敢えて出すなら、RUSH辺り?)側面をさらに強く打ち出してるように感じられる。強力な曲はより強力に、重い曲はより重く。そしてどの曲にもテクニカルなプレイが次々と登場する。なんじゃこりゃ?

 がなっているようで、でもしっかり歌ってる。曲調のせいか、時々オジー・オズボーンが思い浮かんじゃうんだけど、それはこのタイプのバンドの宿命なんでしょうね。それを差し引いても、もの凄いアルバムだと思いますよ。決してクールでスマートなタイプのサウンドではないし、目新しくもないんだけど、でも2006年的なサウンドだなぁと感じさせてしまう説得力がここにはある。アルバムでここまでやるんだから、ライブはもっとすごいんだろうなぁ……そう感じずにはいられないアルバムですね、これは。

 昨日のTRIVIUMのレビューで「これが2006年におけるヘヴィメタルの在り方」と書いたけど、このMASTODONの方向性・音楽性というのも、もうひとつの2006年におけるヘヴィメタルの在り方なのかな、という気がします。まぁともに決して目新しいサウンドではないんだけど、過去の歴史に対する敬意を表しつつ、今を生きてるみたいな。そういう意識が強く感じられます。



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投稿: 2006 10 04 09:30 午前 [2006年の作品, LOUD PARK, Mastodon] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック