MD.45『THE CRAVING』(1996/2004)
6thアルバム『YOUTHANASIA』(1994年)と7thアルバム『CRYPTIC WRITINGS』(1997年)の間に、ムステインのガス抜きとして結成されたサイドプロジェクト唯一のアルバム。ムステインはギタリスト&プロデューサーに徹し、ボーカルにハードコアバンドFEARのリー・ヴィング、ベースには後にGOLDFINGERに参加するケリー・ルミュー、ドラムにはこの数年後にMEGADETHに加入することになるジミー・デグラッソ(SUICIDAL TENDENCIES、Y&Tなど)を迎え、メタルとパンクの中間と呼べるような肩の力を抜いた音楽を作り上げている。
ファストチューン皆無だった『YOUTHANASIA』を考えれば、ムステインが外でこういう方向性の音楽を鳴らしていたのも多少納得がいく。が、だったらMEGADETHでやれよと思うのだが……。ムステインがプロデュースしたリー・ヴィングのソロアルバムと考えれば楽しめる1枚。
ところでこのアルバム、2004年にMEGADETHのCapitol Records時代の諸作品と共にリミックス&リマスタリングが施され再発されているのだが、こちらではボーカルをムステインの歌ったものに差し替えられている。これがもう……MEGADETHそのもの(当たり前か)。まあMEGADETHにしてはパンキッシュで軽い曲もあるので、まんまMEGADETHというわけにはいかないのだけど。ロックンロール版 or パンクメタル版MEGADETHというか、番外編として接すればそれなりに味わい深い1枚。
ちなみにボーナストラックとしてMEGADETH版「The Creed」(本編5曲目収録)のデモトラックも追加されており(もちろんムステイン、エルフソン、マーティ、ニックの黄金期布陣によるテイク)、こちらも「Sweating Bullets」に通ずるものがあり興味深い仕上がり。なぜこれを『YOUTHANASIA』に入れなかった?
▼MD.45『THE CRAVING』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤CD / 輸入盤CD(リマスター版))