2016/12/21

MEGADETH『DYSTOPIA』(2016)

2015年秋の『LOUD PARK』に出演する際、過去のスタジオアルバムに関して全レビューを行ったMEGADETHですが、結局その後このニューアルバムについて触れてなかったので、年をまたぐ前に紹介しておこうと思います。

こちらのレビューでは、当時公開されたばかりの新曲「Fatal Illusion」について「これ1曲では判断が難しいが、やはりメロディの雰囲気が前作に多少近いかなと。しかし演奏やアレンジ的には合格ライン」「前作からの課題であるムステインが以前ほど歌えなくなってきてる問題 or メロディセンスが落ちてきてる問題をどうフォローするのか、そしてカッコよく聴かせるかがポイントになってくるのかな」と不安であることを記していましたが、そこから数ヶ月後に発売されたアルバムは「良くも悪くも、僕らが知ってるMEGADETHのまま」で一応は安心しました。

スラッシーなオープニングトラック「The Threat Is Real」から、マーティ・フリードマン加入後の作品に多く見られる泣きメロ疾走メタルチューン「Dystopia」への流れは完璧。キコ・ルーレイロのギターソロも抜群にカッコいいし、リズムを支えるクリス・アドラー(LAMB OF GOD)のドラミングもMEGADETHに合わせたプレイで好印象。この2曲からの流れで聴くと、「Fatal Illusion」の印象も不思議と悪くない。その後も“いかにも”なミドルヘヴィナンバーや、キコのエキゾチックなアコギプレイをフィーチャーした「Bullet To The Brain」「Poisonous Shadows」「Conquer Or Die!」なども飛び出し、終始飽きさせない構成で進行していきます。そしてラストはFEARのカバー「Foreign Policy」で激しく締めくくり。全11曲(日本盤はその後にボーナストラック1曲、iTunesでは日本盤ボートラとも異なる新曲2曲が本編中に追加収録)、思っていた以上にスルッと聴くことができました。そういう意味では、2000年代のMEGADETH(『UNITED ABOMINATIONS』以降の流れ)を踏襲した作風で、前作『SUPER COLLIDER』で感じた疑問を完全に払拭してくれたと思います。

で、「悪い意味」では……やっぱり歌メロですね。80年代から90年代半ば、いわゆるMEGADETHの全盛期と言われた時代の楽曲にあった「デイヴ・ムステインのヒステリックな高音ボイス」がなくなり、中低音域メインの歌メロとなっています。以前も書いたかもしれませんが、このへんは若い頃に散々楽しんだドラッグのツケが回ってきたのかな、と思っているのですが……とはいえ、ムステインもこの9月で55歳。年齢的なものもあるのかな。歌える声域が狭まったため、どうしても高音が出なかったりメロのバリエーションが少なかったりという点での不満は拭いきれません。そこだけは嘘でも「良かった」なんて言えない。だから、本当にもったいないアルバムだなと思うんです。

チャート的には1992年の最大のヒット作『COUNTDOWN TO EXTINCTION』(全米2位)に次ぐ、初登場3位という好記録を残しており、そこだけはホッとしております。ゲストドラマーだったクリス・アドラーも離れ、ダーク・ヴェルビューレン(SOILWORK)が正式加入したとのことで、過去最強の多国籍編成になった今のMEGADETHを(アルバムリリース後の来日がいまだ実現していないだけに)早く生で観たいものです。



▼MEGADETH『DYSTOPIA』
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【MEGADETH ディスクレビュー一覧】
『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』(1985)
『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?』(1986)
『SO FAR, SO GOOD... SO WHAT!』(1988)
『RUST IN PEACE』(1990)
『COUNTDOWN TO EXTINCTION』(1992)
『YOUTHANASIA』(1994)
『HIDDEN TREATURES』(1995)
『THE CRAVING』(1996 / MD.45名義)
『CRYPTIC WRITINGS』(1997)
『RISK』(1999)
『CAPITOL PUNISHMENT: THE MEGADETH YEARS』(2000)
『THE WORLD NEED A HERO』(2001)
『THE SYSTEM HAS FAILED』(2004)
・『UNITED ABOMINATIONS』(2007)【その1 / その2
『ENDGAME』(2009)
『THIRTEEN』(2011)
『SUPER COLLIDER』(2013)
『DYSTOPIA』(2016)

【MEGADETH ライブレポート一覧】
2006年10月14日@幕張メッセ(『LOUD PARK 06』)

投稿: 2016 12 21 12:00 午前 [2016年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2016/08/26

「一番好きなHR/HMギターソロ」について考える(80年代〜90年代前半編)

仕事の合間だけど、現実逃避ついでに「一番好きなギターソロ」について考えてみた。あくまで主観だが、HR/HMにおけるギターソロはライブで一緒に「口ギターソロ」ができる、つまり口ずさめるものがベストだと思ってる。

最初に思いつくのはやっぱりオジー・オズボーン「Mr.Crowley」だろうか。適度に速弾きしていて、かつ口ずさめるメロディ。これ以上速くても、音数が多くてもダメ。だって弾けないもん。俺が。

そういう意味じゃEUROPE「The Final Countdown」もベスト候補。いや、こっちはシンセのメインリフのほうが印象的か。シンセのフレーズは口ずさんでも、ギターソロを口ずさむことは少な……いや、そんなことはなかった。口ずさむ。好き。

主メロ自体がリフ?なゲイリー・ムーア「Wild Frontier」も、個人的には「Mr.Crowley」と同じくらい好きな楽曲&ソロ。結局、こういうマイナーコードで泣きのメロを持つ楽曲が好きんなんだろうな。ザ・日本人。

泣きメロかつ「誰もが知ってるフレーズの引用」というドーピング感満載のACCEPT「Metal Heart」は反則。これこそ全力で日本人泣かしにかかってるだろと。

「Mr.Crowley」と同じくらい重要かつベストだと思ってるのが、KISS「Detroit Rock City」。あのクソシンプルなのに最強なツインリードは、この先何百年も語り継がれるべきだと思う。結局「コピーできそうだけどちょっと難しい」くらいの、あの絶妙なレベル感が自分の求めるギターソロなのかもしれない。あと、長すぎてもダメ。2分とか続いちゃうようなのはね、覚えられない。

……ってよくよく考えたら70年代じゃん、「Detroit Rock City」。却下却下。代わりにKISSのコピーバンド始めた頃にやってた「Crazy Crazy Nights」を挙げとく。このコンパクトだけど印象に残り、口ずさめて適度なテクニックが凝縮されてるというのは非常に重要。そういう意味じゃBON JOVIのこの時代の楽曲はほとんどこれに当てはまる。選ばないけど。

もうちょっとヘヴィな方面についても。

METALLICA「One」は随所にソロが登場するけど、後半の畳み掛けるようなソロパートは難しいながらも覚えやすいメロディがちゃんと備わっているし、この手のバンドのものとしてはベストクラスなんじゃないかなと。

逆にMEGADETH「Tornado Of Souls」までいくと、ちょっとやりすぎ感が。もちろんこれは個人的なさじ加減の問題だけど。リスニング的にはMEGADETHのほうだけど、「コピーしたくなる」という点においてはMETALLICAかなと。なかなか共感しづらいだろうけど。

PANTERAのギターソロも実はすごくメロウなものが多くて、個人的にはリフ以上に推していきたいと思ってる要素。スローな曲はもちろんなんだけど、「Mouth For War」はあのリフとグルーヴにこのソロが乗るから最強なんだと。

最後に国内のバンドからも。

80年代半ばに青春時代を過ごした人なら、きっと誰もがコピーをしたんじゃないだろうかっていうLOUDNESSから選ぶならば、やっぱり「Crazy Doctor」だろうか。「In The Mirror」も捨て難いけど。って、どっちも弾けないんだけど。

で、結局最後はEARTHSHAKER「More」に行き着くと。この呪縛から逃れられないんだな、あの時代に10代を過ごしてしまった者は。でもイントロのアルペジオのほうが印象深い? かもしれない。

以上10曲。KISS以外は結局泣きメロなんだな。わかりやすいぞ自分。

……でもさ、ああだこうだ考えたけど、結局この曲のこのソロがいろんな意味で最強かもしれないと思うんだよ。

グランジ以降、ギターソロの重要度が低くなったと言われたけど、ここまでシンプルで印象的なソロは逆にメタル脳では作れなかっただろうな。だって歌メロをそのまま弾いてるだけだし。その後の歴史を変えてしまったという意味ではとても皮肉な1曲。

90年代後半以降についても、いつか考えてみたい。10曲も挙げられるかどうか微妙だけど。

投稿: 2016 08 26 11:56 午前 [Accept, Earthshaker, Europe, Gary Moore, KISS, Loudness, Megadeth, Metallica, Nirvana, Ozzy Osbourne, Pantera] | 固定リンク

2015/10/07

Megadeth全アルバム私的レビュー(5/5)

さあ、いよいよ最終回です。今回はゼロ年代に発表した2作品(13th、14th)に加え、ムステインの課外活動として結成されたバンド・MD.45唯一のアルバム『The Craving』についても触れてみたいと思います。2年半ぶりのニューアルバムとなる15thアルバム『Dystopia』(ジャケットがHelloweenの新作みたい)は2016年1月発売。今週末に迫った「LOUD PARK 15」ではこのアルバムからの新曲もいち早く聴けるかもしれませんね。というわけで、最後の最後に新作に対する予想&期待も記しておきたいと思います。


■13th『Th1rt3en』(2011年)

エルフソン復帰後初のアルバムは、13枚目のアルバムということで『Th1rt3en(=Thirteen)』という安直なタイトル。さらに曲数もこれにちなんで13曲入りという、ここ最近のアルバムではかなり多いトータルランニング(60分近く)。この中には既発曲のリメイク(「New World Order」「Black Sawn」「Millennium Of The Blind」)も含まれており、これによって内容が若干散漫になった気がしないでもない。何も今さらマーティ&ニック時代の曲を引っ張り出さなくても。とはいえ、冒頭3曲で連発されるスピードメタルチューンの並びは圧巻。全体的な雰囲気は前作『Endgame』の延長線上という印象。ここ数作はアルバムごとに若干違った作風にチャレンジするというよりは、前作をアップデートさせてMegadeth道を極める的なイメージがあるが、先のリメイク曲での水増しによりちょっと勿体無い印象の強いアルバムになってしまったかな。とはいえ、先のリメイク3曲も決して悪い曲ではないんだけど……。「Never Dead」みたいなガッツのある曲の後に聴き覚えのある「New World Order」が来ると、ちょっとだけ萎えるのも本音。全体的に「あと一歩」な1枚。


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■14th『Super Collider』(2013年)

ムステイン、エルフソン、クリス・ブロデック、ショーン・ドローヴァー編成では2作目にして最後のアルバム。再結成後はアルバムごとに編成が変わっていたけど、ここでようやく安定したかに見えたものの、後にクリスとショーンが脱退(後にAct Of Defianceを結成)。レーベルもUniversalに移籍して心機一転、かと思いきや……個人的には久しぶりの問題作という印象の1枚。彼らの新作を聴くときは毎回それなりに高いハードルを設けるという非常に意地悪な聴き方をしているのだが、その中でも本作を初めて聴いたときにやるせなさといったら。ムステインのボーカルキーが(徐々に落ちつつあったが)全体的に低くなり、これまでだったらもっとカッコよくなっていたはずの1曲目「Kingmaker」も尻切れトンボ感強し。続くタイトルトラックのポップソング感……ゴメンなさい、これにはさすがに拒否反応示した。その他の曲も演奏はそれなりに良いもののボーカルが低いキーでがなってるだけ。カントリー&スワンプの要素を取り入れた「The Blackest Crow」、ブルーステイストのイントロを持つ「Don't Turn Your Back...」みたいな遊び要素のみが悪目立ちしてしまい、本編最後をカバー曲(Thin Lizzyの「Cold Sweat」)で締めくくるという始末。さらにボーナストラックと称して2曲水増し。この2曲のおかげで、さらにアルバムの印象が薄まるという……本作後にクリス&ショーンが脱退してWデイヴが残り、新たにキコ・ルーレイロ(G / Angra)、クリス・アドラー(ゲストDr / Lamb Of God)とアルバムを制作。本作が単なる“二度目の過渡期”であり、続く15thアルバム『Dystopia』で再び完全復活することを願いたい。


▼Megadeth『Super Collider』
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■MD.45『The Craving』(1996年/2004年)

6thアルバム『Youthanasia』(1994年)と7thアルバム『Cryptic Writings』(1997年)の間に、ムステインのガス抜きとして結成されたサイドプロジェクト唯一のアルバム。ムステインはギタリスト&プロデューサーに徹し、ボーカルにハードコアバンドFearのリー・ヴィング、ベースには後にGoldfingerに参加するケリー・ルミュー、ドラムにはこの数年後にMegadethに加入することになるジミー・デグラッソ(Suicidal Tendencies、Y&Tなど)を迎え、メタルとパンクの中間と呼べるような肩の力を抜いた音楽を作り上げている。ファストチューン皆無だった『Youthanasia』を考えれば、ムステインが外でこういう方向性の音楽を鳴らしていたのも多少納得がいく。が、だったらMegadethでやれよと思うのだが……。ムステインがプロデュースしたリー・ヴィングのソロアルバムと考えれば楽しめる1枚。ところでこのアルバム、2004年にMegadethのCapitol Records時代の諸作品と共にリミックス&リマスタリングが施され再発されているのだが、こちらではボーカルをムステインの歌ったものに差し替えられている。これがもう……Megadethそのもの(当たり前か)。まあMegadethにしてはパンキッシュで軽い曲もあるので、まんまMegadethというわけにはいかないのだけど。ロックンロール版 or パンクメタル版Megadethというか、番外編として接すればそれなりに味わい深い1枚。ちなみにボーナストラックとしてMegadeth版「The Creed」(本編5曲目収録)のデモトラックも追加されており(もちろんムステイン、エルフソン、マーティ、ニックの黄金期布陣によるテイク)、こちらも「Sweating Bullets」に通ずるものがあり興味深い仕上がり。なぜこれを『Youthanasia』に入れなかった?


▼MD.45『The Craving』
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■15th『Dystopia』(2016年)

現時点ではアルバム3曲目に収録される「Fatal Illusion」の音源のみ公開中。これ1曲では判断が難しいが、やはりメロディの雰囲気が前作に多少近いかなと。しかし演奏やアレンジ的には合格ライン。そういえば今回も本編ラストをカバー(Fearの「Foreign Policy」)で締めくくるらしい。さらに2曲のボーナストラック付きバージョンもあり(今回は本編終盤に振り分けられるようだが)。前作からの課題であるムステインが以前ほど歌えなくなってきてる問題 or メロディセンスが落ちてきてる問題をどうフォローするのか、そしてカッコよく聴かせるかがポイントになってくるのかなと。ハードルは高くしつつ、心配しながらリリースを待つことにしよう……。


▼Megadeth『Dystopia』
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投稿: 2015 10 07 12:05 午前 [1996年の作品, 2004年の作品, 2011年の作品, 2013年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2015/10/06

Megadeth全アルバム私的レビュー(4/5)

順調に進んでいる全アルバムレビューもいよいよ佳境に突入。今回は再結成後の3枚(10th〜12th)を紹介したいと思います。個人的には80年代後半〜90年代前半のような熱を持って彼らを支持することはできないと思っていたこの時期ですが、今聴き返すと意外といいアルバムを作っていたんだなと気付かされます。もちろん往年の名作と比べてしまっては霞んでしまうのかもしれませんが、それでも僕のような人間が聴いて楽しむぶんには十分な良作、力作ばかりだと思いましたよ。前作を聴き終えてから、改めて何度も聴き返したくなったのは、実はこの時期の作品だったことも付け加えておきます。


■10th『The System Has Failed』(2004年)

2002年のムステイン脱退→バンド解散を経て、腕の故障から解放されたムステインはギターに元メンバーのクリス・ポーランド、ドラムにザッパやスティングとの仕事で知られるヴィニー・カリウタ、ベースにカントリー系のジミー・スロースという布陣でソロアルバムを制作開始。しかしレーベルからの意向でMegadeth名義でリリースされることになってしまう。ムステインがソロでどんな音楽を表現しようとしたのか……聴いてみておわかりのとおり、以前のMegadethと何ら変わらない、むしろ初期〜後期の総決算と呼べるような内容に驚かされたのではないだろうか。セールス面での心配があったとはいえ、やはりこのサウンドはMegadeth以外の何者でもなく、ムステインにはこれしか残されていないのではないかとさえ思えてくる。1曲目「Blackmail The Universe」の3rdあたりを彷彿とさせるスラッシーな楽曲に続いて、2曲目「Die Dead Enough」では5th以降のキャッチーな側面を見せ、3曲目「Kick The Chair」で再びアグレッシヴなテイストで攻めるなど緩急に富んだ作風は「実は解散前にやりたかったのはこれだったのでは?」と思わせるほど。片腕エルフソンがいないとはいえ、凄腕ミュージシャンたちと作り上げたこのアルバムが再びムステインのメタル魂に火をつけたことは間違いない。


▼Megadeth『The System Has Failed』
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■11th『United Abominations』(2007年)

ムステイン、グレン・ドローヴァー(G)、ショーン・ドローヴァー(Dr)、そして元White Lion、Black Label Societyのジェイムズ・ロメンゾ(B)という布陣で制作された、新生Megadethにとって真の復帰作。このメンツで2006年10月に初開催された『LOUD PARK 06』にも出演し、その際には本作に収録される「Washington Is Next!」も披露しており、4thの曲調を彷彿とさせるこの新曲を会場で聴いて「新作は期待できる!」と確信したものだ。作風的には前作のノリに近いが、過去の総括というよりはより限定された、2nd〜4thあたりの世界感を今の布陣、今の音で構築した印象が強い。6thアルバム収録の名バラード「A Tout le Monde」をリメイクし、Lacuna Coilの女性シンガー、クリスティーナ・スカビアとのデュエットで歌い上げた「A Tout le Monde (Set Me Free)」という異色作もあるが、全体的に硬派なイメージの強い本作を携えて、Megadethが再びシーンに舞い戻ったという強い印象を与えるに十分な1枚だと断言できる。


▼Megadeth『United Abominations』
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■12th『Endgame』(2009年)

前作が7thアルバム『Cryptic Writings』以来10年ぶりにBillboardアルバムチャートでトップ10入り(8位)を果たしたMegadethが、ほぼ2年というインターバルで発表した通算12枚目のアルバム(今作も9位にランクイン)。今作でギタリストがクリス・ブロデリックに交代したものの、作風は前作の延長線上にある内容で安定したメタルチューンの数々を楽しむことができる。オープニング「Dialectic Chaos」が久しぶりにインストから始まり、そのままさらにスラッシーな「This Day We Fight!」へとなだれ込む構成も気持ち良い。かと思うとドラマチックなイントロの「44 Minutes」もある。ポップとは意味合いが異なるメロウな王道メタル+Megadethらしさという、4th以降に彼らが成し遂げたかったこともここでようやく迷いなく示すことができるようななった印象。個人的にはリリース当時は前作よりも印象が弱いイメージがあったが、こうやって改めて聴いてみたら前作よりも好きかもしれないと思えるほど気に入った。ボーナストラックを除いて44分程度という昔ながらのランニングタイムも、1枚通して聴くときに好印象を与えてくれる。2000年代でもっとも“らしい”アルバムと言えるのではないだろうか。なお、本作を携えたツアー中にムステインの戦友・エルフソンがバンドに復帰する。


▼Megadeth『Endgame』
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投稿: 2015 10 06 12:05 午前 [2004年の作品, 2007年の作品, 2009年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2015/10/05

Megadeth全アルバム私的レビュー(3/5)

思いつきで急遽始めたこの「Megadeth全アルバム私的レビュー」。第1回は80年代の3作品(1st〜3rd)第2回はマーティ・フリードマン&ニック・メンザ加入後の黄金期3作品(4th〜6th)についてでしたが、続く第3回は黄金期崩壊〜マーティ脱退〜そして解散へという下り坂期の3枚(7th〜9th)です。ここに、8th後にリリースされたベストアルバム『Capitol Punishment: The Megadeth Years』を加えたレビューとなります。

正直、この時期のMegadethにはあまりいい思い出がないのですが、唯一のめり込んだ『Risk』という異色作があるので、まだモチベーション的には高かったほうかもしれません。でもこの機会にあの時期の作品を聴き返してみたら当時の記憶以上には悪く思えなかったし、逆に「あれ、そこそこいいじゃん」とも思えてきたので、この企画やってみてよかったと思いました(個人的に)。


■7th『Cryptic Writings』(1997年)

ムステイン、エルフソン、マーティ、ニックの黄金期布陣としては最後のアルバムとなった7枚目。前作での過渡期的不調が嘘のような、ある種開き直ったと思えるほど清々しい「ポップでキャッチーなHR/HM」を聞かせる1枚。5thから彼らが挑んできた「コンパクトでキャッチーなミドルテンポ」な作風の究極型と言えるような内容で、前作に足りなかった「She-Wolf」をはじめとするファストチューンが加わったことでそのバランス感はより際立ったものとなっている。Metallica「Enter Sandman」をポップにしたような1曲目「Trust」、サビの軽快なノリに思わずツッコミを入れたくなるほどドポップな「Almost Honest」など、それまでの活動を踏まえれば首を傾げたくなるような楽曲もあったりするので、個人的にはそこまでのめりこめなかった作品かも。とはいえラスト3曲の攻めまくる構成は(曲調、構成の違いはあれど)80年代の尖った頃を彷彿とさせ、やっぱりMegadethだな!と納得させられてしまう部分もある。ごく私的ツボ楽曲はアグレッシヴな展開の「Use The Man」と泣きの「A Secret Place」。


▼Megadeth『Cryptic Writings』
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■8th『Risk』(1999年)

ニック・メンザが脱退し、ジミー・デグラッソが加入して制作された本作は、インダストリアルノイズなどの打ち込み要素を積極的に取り入れ、ポップな曲はよりポップさを追求したという意味でMegadeth史上最大の問題作と呼ばれることの多い1枚。1曲目の「Insomnia」で一瞬たじろぐも、続く「Prince of Darkness」「Crush 'Em」は前作までの流れを汲むミドルヘヴィチューンなので一瞬安心。しかし5曲目「Breadline」で他のアーティストとCDを間違えたんじゃないかと確認したくなることだろう。とはいえ「I'll Be There」のような不思議な魅力を放つ楽曲もあり、決して駄作とは言い切れないところも。個人的には「MegadethであってMegadethではない」アルバムという位置付けで、非常に気に入っているアルバムでもある。実は本作、オリジナル盤と2002年のリミックス&リマスター盤とではかなり印象が異なる。もしかしたら再発盤のミックスのほうが従来のファンには入りやすい1枚かもしれない。そしてこのアルバムをもってマーティも脱退。彼がもたらそうとした変革は続くアルバムですべてひっくり返されるのだった。


▼Megadeth『Risk』
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■ベスト盤『Capitol Punishment: The Megadeth Years』(2000年)

マーティ・フリードマン脱退後、アル・ピトレリが加入。しかし2ndから在籍していたCapitol Recordsから離れることになり、それまでの総括として発表されることとなった初のベストアルバム。2nd『Peace Sells... But Who's Buying?』から最新作『Risk』までのシングル曲/リード曲/MVが制作された楽曲から選ばれており、各アルバムから1〜3曲というバランス感。なぜか7th『Cryptic Writings』のみ3曲というのが謎の選曲だが、まあこんなもんだろうと。本作の聴きどころはピトレリ加入後初の新曲「Kill The King」「Dread & The Fugitive Mind」が収められているところだろう。後者は続くオリジナルアルバム『The World Need A Hero』にも収録されることになるが、ここでしか聴けない(その後、2005年発売の新ベスト盤『Greatest Hits: Back to the Start』にも再収録)前者も5thに入ってそうな普通の曲なので無理に手を出さなくてもいいかと。ちなみに輸入盤にはシークレットトラックとして「Capitol Punishment」という曲が入ってますが、なんてことはない、単なるメドレー曲。


▼Megadeth『Capitol Punishment: The Megadeth Years』
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■9th『The World Need A Hero』(2001年)

ムステイン、エルフソン、アル・ピトレリ、ジミー・デグラッソという新体制で制作された9thアルバム。インディーズのSanctuary(流通はメジャーのBGM系列)からのリリースで、チャート的には前作と同じ16位だったもののセールス的には落ちる結果に。音楽的には5th以降で目指した作風に再チャレンジしつつも若干初期のひんやりした“らしさ”が復活し、ポップさが減退したことで硬派な印象を与える。タイトルとは関係ないように思えるえげつないアルバムジャケットからも、「尖ったMegadethよ、再び」といった姿勢が見え隠れする。アルバムタイトル曲をはじめ「1000 Times Goodbye」「Return To Hangar」、前年発売のベストアルバムにも収録された「Dread & The Fugitive Mind」など今聴くとなかなかな楽曲も含まれている。「MegadethであってMegadethではない」から「尖ったMegadethよ、再び」の姿勢は評価するがどこか守りすぎという印象もあり、アルバム全体のインパクトは過去8作品ほどではない。本作リリース後の2002年、ムステインが腕の故障を理由に音楽活動休止を発表し、バンドは解散。結果としてなんともいえない結末を迎えるのであった。


▼Megadeth『The World Need A Hero』
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投稿: 2015 10 05 12:05 午前 [1997年の作品, 1999年の作品, 2000年の作品, 2001年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2015/10/04

Megadeth全アルバム私的レビュー(2/5)

思いつきで急遽始めたこの「Megadeth全アルバム私的レビュー」。前回は80年代の3作品(1st〜3rd)でしたが、2回目となる今回はマーティ・フリードマン&ニック・メンザ加入後の黄金期3作品(4th〜6th)についてです。で、全アルバムを聴き返してるうちに「これは触れておいたほうがいいな?」と思う企画盤についても、その都度触れていこうかと思いまして。なので当初の予定では14枚だったものが、15、6枚になる予定です。今回のタイミングで言えば、6thの後にリリースされた『Hidden Treatures』がこれに当たるかと……といことで、今回もかなり偏ったレビューになると思いますので、まあこういう意見もあるよ程度に受け取っていただけるとありがたいです。


■4th『Rust in Peace』(1990年)

アルバムタイトルが3作続いた『◯◯... ◯◯◯』スタイルから、一気にシンプルに(その名残か、アルバムには「Rust in Peace... Polaris」という収録曲も)。マーティ・フリードマン&ニック・メンザという黄金期メンバーがここで揃い、アルバムもインテレクチュアルスラッシュから一歩抜け出した感が強いものに。オープニングから「Holy Wars... The Punishment Due」「Hangar 18」という後世に伝えたい名曲が続き、後半にはメロディアスな疾走メタル「Lucretia」「Tornado of Souls」が構えるなど、その後のMegadethのスタイルがここでひとつ確立した印象。マーティという異彩を放つギタリストの加入は、こんなにも大きくバンドのその後を左右したんだなと、その後の歴史を踏まえつつ改めて実感。最近キコ・ルーレイロを加入させたのも、結局そういうことなんだろうな、と。ここまで名曲揃いと書いてきたものの、実は個人的にはアルバムとして今ひとつの印象を持っている。アルバムを通して聴いたときに2ndや3rdほどの凄みを感じないというか。これも個人的主観なのだが……。


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■5th『Countdown To Extinction』(1992年)

前作で感じられた変革の予感が、ここで一気に開花した1枚。ビルボード2位、セールス的にも過去最高の200万枚という結果を残した作品だけど、いわゆるスラッシュメタルから脱却したことで一部ファンからは踏み絵のような1枚なのかもな、という気も。前年にリリースされ天文学的大ヒットとなったMetallicaのブラックアルバムに対するMegadethからの回答というか、とにかくミドルテンポ中心で、どの曲もMegadethにしてはコンパクトにまとまったものばかり。中には「Sweating Bullets」のようなシャッフルリズムの変化球もある。個人的には後半、ストレートなファストチューン「High Speed Dirt」からこれまでのように複雑な展開を持つラストナンバー「Ashes In Your Mouth」の流れ/構成がお気に入り。良い解釈をすれば、ムステインが先細りになりつつあったメタルシーンを背負う覚悟を決めた1枚と受け取れる。実は聴く頻度の高いアルバム1位がこれ。でも……このアルバムタイミングで武道館公演が決まっていたのに結局ムステインの悪い癖で中止になってしまったことで、個人的にはあまりいい印象のない時期でもあるわけだが。


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■6th『Youthanasia』(1994年)

ムステイン、エルフソン、マーティ、ニックという黄金期布陣で制作された3作目。コンパクトでメロウなミディアムテンポの楽曲が中心というアルバム構成は、セールス的に大成功した前作から引き継いだもの。実際、チャート的にも前作の2位に次ぐ4位という高順位にランクインしており、グランジ全盛だった時期にしては大健闘した記憶が。しかし、アルバムとしての印象が非常に希薄で、ファンの間でも「これがベスト!」という人は少ないのでは。とはいえ、1曲1曲の完成度は高いものが多く、ザクザクしたリフが気持ちいいオープニング「Reckoning Day」、前曲の流れを汲むグルーヴィな「Train of Consequences」、後にリメイクもされる泣きのバラード「A Tout le Monde」、初期のニヒルさが復活しつつある「Victory」などは今聴いてもいいと思う。ただ、やはり全体的に似たり寄ったりのテンポ感&雰囲気の曲が続くことで、1枚通して聴くにはちょっと厳しいかも。久しぶりに通して聴いたけど、やっぱりキツかったというのが本音。後に迎える大きな転換期を前にした過渡期的作品。


▼Megadeth『Youthanasia』
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■企画盤『Hidden Treatures』(1995年)

当初日本のみでリリースされていた、過去のカバー曲やアルバム未収録曲を集めたコンピレーションアルバム。アリス・クーパー「No More Mr. Nice Guy」やBlack Sabbath「Paranoid」、再びSex Pistolsから「Problems」をカバーするなど、Megadethにしてはストレートな楽曲ばかりなのが面白味に欠けるかも。その他には日本盤ボーナストラックとして既発の「Breakpoint」「New World Order」などもあり。個人的には、なかなかの出来なのにアルバム本編に収録されることのなかった映画サントラ提供曲(『ラスト・アクション・ヒーロー』の「Angry Again」、『ビルとテッドの地獄旅行』の「Go to Hell」など)をまとめて聴けるという意味で非常に重宝した1枚。どうせなら「Anarchy In The U.K.」や「I Ain't Superstitious」といったアルバムに収録されたカバー曲も集めた、完璧なカバー&サントラ提供曲集にすればもっと価値が高まったのかも。まあ今となってはコアなファン向けの1枚で、オリジナルアルバムを全部聴いた人が最後に揃えればいいかも(「Angry Again」あたりは後のベストアルバムにも収録されてるし)。


▼Megadeth『Hidden Treatures』
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投稿: 2015 10 04 12:05 午前 [1990年の作品, 1992年の作品, 1994年の作品, 1995年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2015/10/03

Megadeth全アルバム私的レビュー(1/5)

1985年に1stアルバム『Killing Is My Business... And Business Is Good!』をリリース、ということは今年でMegadethデビュー30周年なんですね。だからてっきり年内に出ると思っていたニューアルバムですが、どうやら2016年1月発売ということになったようです。

で、「とみぃの宮殿」時代から今日まで、僕はMegadethのアルバムについてほとんど言及してないんですよね。かろうじて(当時問題作と言われた)8thアルバム『Risk』のみで、代表作に関しては皆無。これまでに14枚のオリジナルアルバムが発売されているのであれば、いっそのこと全作レビューをするのも面白いかな、と。もちろん1枚1枚についてそれなりの文字量を要したいところですが、日々の仕事との兼ね合いもありますので、「1枚500文字程」という制限を付けてレビューしてみようかなと思います。かなり私情の入ったレビューになると思いますので、参考程度に楽しんでもらえると幸いです。


■1st『Killing Is My Business... And Business Is Good!』(1985年/2002年)

洗練されたサウンド/アレンジの次作以降と比べると(特にリイシュー前のオリジナル盤は)ジャケ含めチープさが目立つも、荒々しくのたうちまわりながらも複雑に絡み合うリフの嵐は今では聴けないものだけに、かなりカッコイイと思う。インテレクチュアルスラッシュとか何とか言われたけど、結局はひたすら速いヘヴィメタル。「The Skull Beneath The Skin」「Rattlehead」といったスラッシュナンバーの印象が強いもんだから影に隠れがちだけど、「Looking Down The Cross」あたりから漂う正統派メタル臭はのちの作品にも通ずるものがある。Metallica「The Four Horsemen」のオリジナルバージョンとムステインが主張する「Mechanix」もスピードメタルとしてはカッコイイものの、プログレッシブなMetallica版を先に聴いているだけに多少の物足りなさを感じるのも事実。それにリイシュー版で復活した「These Boots」のピー音は正直萎えるので、できれば外してほしかった。音は悪いけど、80年代にリリースされたオリジナル盤で楽しんでほしい1枚。


▼Megadeth『Killing Is My Business... And Business Is Good! (Reissue)』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤CD

■2nd『Peace Sells... But Who's Buying?』(1986年)

メジャーデビュー作にしてMegadethの出世作。「Peace Sells」や「Wake Up Dead」のMVを通してその存在を本格的に認知した身としては思い出深い1枚だし、今でも彼らのアルバムの中で聴く頻度の高い作品。前作でその片鱗を見せていたインテレクチュアルスラッシュ路線がようやくしっかり形として成り立ったという意味でも、彼らの歴史上、そして80'sメタルの歴史上で欠かせない1枚だと断言したい。先に挙げたMV曲以外にも「The Conjuring」「Devils Island」「Good Mourning/Black Friday」「My Last Words」など名曲多し。ま、全曲捨て曲なしと勝手に認識してるわけだが。そんな中で唯一収録されたカバー曲「I Ain't Superstitious」のアレンジセンスもなかなかのもの。当時CMにも使用されてたので、あのイントロを聴いて「おお?」と思う世代も多いかも。2011年に発売された25周年エディションには当時のライブ音源を追加したボーナスディスクが付くので、これから聴く人はこちらを手にとってみることをオススメ。


▼Megadeth『Peace Sells... But Who's Buying?』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤CD / 25周年版輸入盤CD


■3rd『So Far, So Good... So What!』(1988年)

ムステイン&エルフソン以外のメンバーを一新して制作。チャート的にもセールス的にも前作以上の成功を収めたにも関わらず、ドラッグの問題で思ったような活動ができなかった時期の作品ということで、実は個人的にしばらく影の薄い1枚だった。しかし、2000年代に入ってからリリースされたリミックス&リマスター盤を改めて聴いて、その考えを改め直した。オリジナル盤は分厚い霧のかかったようなエフェクト(ミックス)のせいでどこか馴染めずにいたけど、これは完全に好みの問題。オリジナル盤のほうが一枚岩的な音が好きという人もきっと多いはず。まあそんな好みの問題は置いておいて、楽曲は過去2作で試みたインテレクチュアルスラッシュの最終型と呼べる完成度の高いもの。インスト「Into The Lungs Of Hell」からスラッシーな「Set the World Afire」へと流れる冒頭の構成も素晴らしいし、初のバラード調ナンバー「Mary Jane」「In My Darkest Hour」も泣きすぎておらず適度な冷たさが心地よい。どうしても「Anarchy In The U.K.」の印象が強いアルバムだけど、実はこの曲だけが浮いてるような印象も。それ以外は完璧な1枚。


▼Megadeth『So Far, So Good... So What!』
(amazon:国内盤CD / 輸入盤CD

投稿: 2015 10 03 12:18 午前 [1985年の作品, 1986年の作品, 1988年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2007/10/28

MEGADETH『UNITED ABOMINATIONS』(2007)

アルバム自体はリリースされてすぐに買ったんだけど、今でもしょっちゅう聴いてます。ここ数作の中では一番聴き込んでるアルバムですね。で、このアルバムを聴いた感想を以前mixi日記に書いていたので(だったらなぜこっちにアップしない!?という話ですが……)、それを若干修正してこちらに掲載したいと思います。今読み返しても、まったく同じ感想ですしね。

+ + + + + + + + + +

いろんなところで言われてるように、かなり過去の名盤と呼ばれるアルバムに並ぶ作風に仕上げられてますね。例えばオープニングの「Sleepwalker」なんて3rd「SO FAR, SO GOOD...SO WHAT!」の延長線上の作風といえるし、「Washington Is Next!」は「RUST IN PEACE」の頃を彷彿させる。その他のミドルテンポの曲なんかも「CRIPTIC WRITINGS」の頃みたいだし、名曲「A Tout Le Monde」をLACUNA COILのクリスティーナとデュエットバージョンでリメイクしてみたり。目新しさは皆無だけど、'90年代以降のファンの誰もが思い浮かべる『MEGADETH像』を忠実に再現したアルバムといった印象ですね。

'80年代からのファンって、恐らくデイヴ・ムステインのヒステリックなボーカルだったり、複雑な展開を持つスラッシュメタル・サウンドや鬼気迫る作風(悪く言えば完全にラリッて狂ってたようなイメージ)を、無い物ねだりとわかっていても求めちゃうと思うんですよ。俺も一時期はそうだったし。前作「THE SYSTEM HAS FAILED」は駄作とは言わないけど、デイヴのソロアルバムなのかなぁという印象が強かったしね(実際バンド形態ではなく、デイヴ+スタジオミュージシャンの形態で制作されたものだし)。そういう観点からすると、これは「まだまだでしょ?」な1枚かもしれない。でも、「CRIPTIC WRITINGS」の頃と比べればよっぽど健全だし、いい意味で「ロックしてる」作品だと思うんだけどなぁ。僕はMEGADETHというバンドには散々裏切られてきたという思いがあるので、去年の「LOUD PARK 06」で15年ぶりくらいにライブを観るまでは本当にいい印象がなかったんですよ。でも、そんな僕でも「Washington Is Next!」にはやられたし、「Sleepwalker」やその他の曲を純粋にかっこいいと思ったわけです。

多分、聴き手によって、MEGADETHに何を求めるかで評価が大きく変わる1枚だと思います。それは間違いないですね。

このアルバムを聴いてから、自分の中でスッポリ抜けてた「THE WORLD NEEDS A HERO」や「THE SYSTEM HAS FAILED」を聴き返すと……意外と「聴ける」んだですよね。そういう意味では、この新作はうまい落としどころを見つけさせてくれるアルバムなのかもしれません。



▼MEGADETH「UNITED ABOMINATIONS」
(amazon:US盤日本盤

投稿: 2007 10 28 12:05 午前 [2007年の作品, Megadeth] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2006/10/19

LOUD PARK 06 : DAY 1 (2006.10.14)

 はい、すでに1週間経とうとしてますが、先週末10月14〜15日に幕張メッセで開催されたメタルフェス「LOUD PARK 06」の簡易レポートを書こうと思います。正直言って、すんげー長いです。だって1日の演奏時間が11時間ですからね! さすがに初日から寝坊してw開演時間の11時には間に合わず、海浜幕張駅に着いたときには14時を軽く回っていたわけですが……

 というわけで、ここで一回切ります。後は「続きを読む」でガッツリ読んでやってください。ま、言うほど長くはないと思うけど。あと、さすがに2日分をまとめてひとつのエントリーにすると、いつ書き終わるかわからないので1日目と2日目で2回に分けてレポート書きます。その辺もご了承くださいまし。

 さ、んじゃ気合い入れていきますよー。モニターの前のみんな、メロイックサインの準備しておけーw

■DRAGOMFORCE [BIG ROCK STAGE]
 会場に入ったら彼らのパフォーマンスだった。後ろまでビッシリ人が入っていてビックリしたんだけど、その間に演奏終了。うーんと、メロスピっつーの、こういうの? 無駄に速いだけっていう気がしないでもないけど……要するに、タイプじゃないってことですわ。


■BACKYARD BABIES [GIGANTOUR STAGE]
 久しぶりにライブ観たけど、ヤベーかっこよすぎ! ドレゲンは別格として、ニッケもフロントマンとしてもの凄いオーラを発してたし、曲も新作中心で良かった。ところどころに過去の代表曲を挟んでいって、それも効果的だったし。途中、ドレゲンがママをステージに連れ出して、オーディエンスにハッピーバースディを歌わすというハプニングも(当日誕生日だったそうな。カワイイママでしたよ)。うん、とにかく最後までめっちゃ良かった。曲のバリエーションも広がってるし、今度はフルで観たいなぁ……って次の来日はニューアルバム出すまでなしか……

[SET LIST]
01. Poeple Like People Like People Like Us
02. Mess Age (How Could I Be So Wrong)
03. Blitzkrieg Loveshock
04. Look At You
05. Star War
06. Cockblocker Blues
07. We Go A Long Way Back
08. Roads
09. Highlights
10. Brand New Hate
11. Dysfunctional Professional


▼BACKYARD BABIES「PEOPLE LIKE PEOPLE LIKE PEOPLE LIKE US」(amazon:US盤日本盤


■CATHEDRAL [BIG ROCK STAGE]
 うわー、彼らも初来日以来だから13年ぶりとか? すんげー久しぶりに観たんだけど、リー・ドリアンのオジー(・オズボーン)化が進んでた。勿論これは良い意味で、彼らのルーツであるBLACK SABBATHにより近づいていたってことね。単なるコピーではなく、彼ら流のオリジナリティもしっかりしてるし、何よりもステージパフォーマンスや演奏が良い。とか言いながら、実は彼らの最近のアルバムはほとんど聴いてなかったんだけど、それでも違和感なくライブを見せてくれるのはさすがというか。恐れ入りました! 最後の "Ride"、"Hopkins (The Witchfinder General)" という懐かしの名曲2連発でグッときました。いやー、ホント最高!

[SET LIST]
01. Utopian Blaster
02. Soul Sacrifice
03. North Berwick Witch
04. Trials
05. Autumn Twilight
06. Skullflower
07. Corpsecycle
08. Upon Azrael's Wings
09. Ride
10. Hopkins (The Witchfinder General)


▼CATHEDRAL「THE GARDEN OF UNEARTHLY DELIGHTS」(amazon:US盤日本盤


■Dir en grey [GIGANTOUR STAGE]
 噂どおり自傷するパフォーマンスをするのね(後でファンの子に聞いたら、あの血は血糊だということを知らされました。なるほど、毎回あれやってたら身体が保たないわな)。良くも悪くも日本のバンドだね。演奏は悪くないけど、やはり欧米の他のバンドと比べると線が細い。それを個性と呼ぶ向きもあるけど、やっぱりパワー不足かな。この日はCATHEDRALとARCH ENEMYというパワープレイヤーに挟まれてたから、興味本位で覗いてた洋楽メタルファンにどう響いたか……
 新曲も披露されてたけど、これをシングルで切っちゃうんだ……どうなるんだろう?という興味も湧いたり。でも、あれだ。やっぱりメロウな「いかにもビジュアル系」という曲になると、場が冷えるというか空気が一変する。良くも悪くもね……否定したくはないけど、キツいよなぁとも思った。それが率直な感想です。今度は別の機会に観てみたいなぁ。

[SET LIST]
01. 朔-saku-
02. Agitated Screams Of Maggots
03. Beautiful Dirt
04. THE FINAL
05. 孤独に死す、故に孤独。
06. Merciless Cult
07. dead tree
08. OBSCURE
09. 凌辱の雨
10. CLEVER SLEAZOID
11. THE III D EMPIRE


▼Dir en grey「Withering to death.」(amazon:US盤UK盤日本盤


■ARCH ENEMY [BIG ROCK STAGE]
 実は初めて観るARCH ENEMY。アルバム1枚聴くのも正直キツいなぁと感じるタイプのバンドなんだけど、ライブでもそれは一緒で……要するに、歌以外の曲部分(演奏だったりアレンジだったり)は素晴らしいのに、ボーカルのデス声が一辺倒でつまんない……というのが俺のこのバンドに対する評価。いくらベストヒット的な選曲であっても、あれじゃ最後まで観るのは俺はキツいかな。というわけで、インストナンバー辺りでステージを去り、休憩に入りました。ワンマンを観に行くほど好きでもないので、今後またこういうイベントに出ない限りは観ることもないのかな……

[SET LIST]
00. Intro
01. Nemesis
02. Enemy Within
03. Dead Eyes See No Future
04. Out For Blood
05. Bury Me An Angel
06. The Imortal
07. Dead Bury Their Dead
08. Snowbound
09. Ravenous
10. We Will Rise
11. B.O.D. Outro


▼ARCH ENEMY「DOOMSDAY MACHINE」(amazon:US盤日本盤


■UNITED [ULTIMATE STAGE]
 実はなにげにこの日初めての「ULTIMATE STAGE」。彼らも7〜8年ぶりに観るんだよね。前に観たときは2代目ボーカルが入ってメジャーから2枚目だか3枚目のアルバムを出した後。いわゆる「モダン・ヘヴィネス」路線へと移行していった頃ね。それはそれで好きだったけど、正直に言えば「う〜ん……」という気持ちもあり、ライブを観る度に複雑な新曲だったなぁ……
 その後ボーカルが数回入れ替わり、ドラムも2度にわたって交代。気づけばストリングス隊以外は初見という今回のステージ。いやー、ビックリするくらいカッコ良かった! とにかく新曲の激スラッシュ路線が気持ちいい! ボーカルのNOBはドスの利いたデス声なんだけど、まったく新曲でも往年の代表曲でも違和感なかった。むしろ "REVENGER" とか "VIOLENCE JACK" 辺りは彼によって新たに現代的に生まれ変わってるね。そして "SNIPER"!! まさか2006年にこの曲を聴けるとは思いもしなかった。いやー、日本にもこんなに最強のスラッシュバンドがいることを思い出させてもらえただけでも、このフェスに来た甲斐があったってもんですよ。久しぶりに単独公演に行こうと思わせてくれたし、何よりも会場で新作「NINE」を即買いしちゃったからね。ホント再会できて嬉しかったです。

[SET LIST]
01. KILL YOUR SENSE
02. DEATHTRAP
03. MOSH CREW
04. BAD HABIT
05. UNDERSEA SUFFERING
06. SNIPER
07. HELL BREAKS LOOSE
08. VIOLENCE JACK
09. REVENGER
10. CROSS OVER THE LINE
11. UNITED


▼UNITED「NINE」(amazon:日本盤


■ANTHRAX [BIG ROCK STAGE]
 実はNAPALM DEATHまでの繋ぎで頭数曲しか観てません……つうか俺、ジョン・ブッシュ断固支持派なので、この再結成には反対なんですよ。結局'80年代の曲がメインで、'90年代以降の曲を眠らせてしまうわけですからね。別にジョン・ブッシュが "Indians" とか歌えてなかったわけじゃないのにね。
 ベラドナはあんまり違和感なかったけど、やっぱりダン・スピッツがね……orz

[SET LIST]
01. Indians
02. Got The Time
03. Caught In A Mosh
04. Antisocial
05. A Skeleton In The Closet
06. Efilnikufesin (N.F.L.)
07. Medusa
08. Metal Thrashing Mad
09. I Am The Law
10. Bring The Noise


▼ANTHRAX「ANTHROGY : NO HIT WONDERS 1985-1991」(amazon:US盤


■NAPALM DEATH [ULTIMATE STAGE]
 うわ……やっぱり帝王は帝王のままだった!! もう冒頭からスゴいことになってて(俺はステージ前方の、モッシュピットギリギリの辺りで観戦)、終始ヘドバンしまくり。途中、ステージ上をボーッと観てたら、もういい歳したオッサン4人が本気だしてもの凄い音出してるのを観て、ゴクリと生唾飲み込んで……そうこうしてたら、終盤の秒殺ソングメドレーですよ! "Scum" とか "You Suffer" まで聴けるとは思ってもみなかった。「LOUD PARK」レポートサイトに載ってるセットリストをそのまま引用してますが、ラストは違ったような記憶が(もう最後は俺もモッシュに加わってたので訳わかんなくなってたw)。にしても、あまりに「速すぎ」て、持ち時間の60分にも至らない40分強で全部終わったのには笑ったなぁ。さすがです、帝王!

[SET LIST]
01. Unchallenged
02. Suffer The Children
03. Silence
04. Instrments
05. Fatalist
06. Narcoleptic
07. When All It Said And Done
08. Puritannical
09. The Code Is Red
10. Continuing
11. Scum
12. Life
13. The Kill
14. Deciever
15. You Suffer
16. Nazi Punks Fuck Off


▼NAPALM DEATH「SMEAR CAMPAIGN」(amazon:US盤日本盤


■MEGADETH [GIGANTOUR STAGE]
 というわけで、NAPALM DEATHがあまりにも早く終わりすぎたため、MEGADETHを最初から観ることができました。正直、全然観る気はしてなかったんだけど……いざ観たら、やっぱ良かった。1990年だか91年だかの来日公演を観て以来なんだけど、当日はメンバーも違うし、その後のヒット曲・代表曲も増えてるんだけど、俺はあの頃の奴らがいろんな意味で大嫌いで(ただし音楽は別)、ライブからずーっと遠ざかってたんだけど、俺もデイヴ・ムステインも大人になってwちゃんと受け入れられるようになったんだね、現実を。「デイヴも〜」というのは……全然変わってないように見えて、しっかり大人になってる、良い意味で「丸く」なってるように感じられたから。演奏中は相変わらずのムステイン節なんだけど、やっぱりね……うん。なんか良かったなぁって感じられた。受け入れられた、素直に今のMEGADETHを。
 再結成後のアルバムは正直あんまり好きじゃないけど、次のアルバムには期待したいなぁ。このメンバーなら大丈夫なんじゃないか、そういう気がしたからさ。

[SET LIST]
01. Blackmail The Universe
02. Set The World Afire
03. Wake Up Dead
04. Skin O'My Teeth
05. Tornado Of Soul
06. Take No Prisoners
07. Devil's Island
08. Symphony Of Destruction
09. She Wolf
10. Hanger 18
11. Washington Is Next!! (New Song)
12. Peace Sells
--encore--
13. Holy Wars...The Panishment Due


▼MEGADETH「GREATEST HITS : BACK TO THE START」(amazon:US盤日本通常盤日本初回盤


 ここまでが初日。ホント1日の拘束時間が長いフェスなんで、ここで一旦切りますね。続きはまた後で。まぁ大したこと書いてないんだけどね……

 (To Be Continued...)

投稿: 2006 10 19 11:38 午後 [2006年のライブ, Anthrax, Arch Enemy, Backyard Babies, Cathedral, DIR EN GREY, DragonForce, LOUD PARK, Megadeth, Napalm Death, 「フェス」] | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック

2005/05/10

マーティ・フリードマンはただの「変なガイジン」じゃない!(MEGADETH再考)

 このブログでも既に何度か紹介しているテレビ東京の深夜番組「ヘビメタさん」。番組第1回目のゲストとして出演したのが、元MEGADETH(それ以前はHAWAII〜CACOPHONY)のギタリスト、マーティ・フリードマン。気づいたら第二回目以降、準レギュラーとして毎回出演してひとり異彩を放ってるのね。観る人が観たら絶対に「単なる日本語が上手な、おもろいガイジン」で終ってしまいそうなその扱い‥‥先日の放送ではMEGADETH時代の "Hangar 18" のPVが紹介され、実際に自身のギターソロを再現したりして、何とか面目を保ってましたが‥‥

 こらまて、そんなぞんざいな扱いでいいのかい!?

 俺が初めてMEGADETHを観たのは1991年の2月、マーティ加入後最初のアルバム「RUST IN PEACE」リリース後、通算3度目の来日公演でさ。この時はとにかく強烈だったなぁ。アルバムは勿論凄く良い出来だったし、そこに輪をかけてマーティのプレイがね、ハンパないんだわ。

 既にご存知の通り、彼はハワイ出身。現地で日本の演歌や歌謡曲を耳にして、そのメロディに感銘を受けた、というのは有名な話。実際、彼のソロプレイからはそういった「日本の演歌/歌謡曲っぽいメロディ」や「コード進行」が多々含まれています。というよりも、元々メタル自体がそういった音楽と非常に共通するものがあるんでしょうね‥‥それは何となく頷いてもらえるんじゃないかな?

 でね。そんなマーティに少しでも興味を持ってくれた若い子達のために、今日はマーティがMEGADETH在籍時にリリースしたアルバムについて、簡単にコメントしながら紹介していこうじゃないか、という「マーティ・フリードマン応援企画」なわけですよ。新宿在住のマーティさん、今後もとみぃはあなたを応援してますよ!



▼MEGADETH「RUST IN PEACE」(amazon

 1990年リリースの通算4作目となるアルバムで、デイヴ・ムステイン&デイヴ・エルフソンといった主要メンバー以外が交代し、マーティ・フリードマン加入後最初の作品。前作までにあった複雑な曲構成が若干後退し、より直線的でより正統派メタル路線寄りになった1枚。多分サウンドプロダクションのせいなのかな、それまでの「機械的」なノリからより「生々しさ」を前面に打ち出してるのね。更にマーティの独特なメロウさが功を奏して、更に唯一無二な世界観を生み出してます。良い意味で「それまで」と「これから」を繋ぐ、良作。



▼MEGADETH「COUNTDOWN TO EXTINCTION」(amazon

 1992年リリースの通算5作目。前作のヒットを受け、また前年にMETALLICAが初登場1位を獲得した余波だったのか、いきなり全米チャート初登場2位にランキング。初のプラチナアルバム獲得。いわば彼等の代表作と呼べる1枚。
 音楽的には前作で垣間見せた「これから」の要素が更に色濃く表れ、曲はよりコンパクトに、尚かつストレートなメタル/ハードロック路線に。所謂「歌モノ」的ナンバーが増え始めたのもこの頃から。"Symphony Of Destruction" はビルボード・シングルチャートのトップ100入りもしてるんだよね。既に初期の特徴であった「インテレクチュアル・スラッシュメタル」の要素は皆無。正統派ヘヴィメタルバンドとして生まれ変わったと言っても過言ではないでしょう。名盤。



▼MEGADETH「YOUTHANASIA」(amazon

 1994年リリースの通算6作目。前作リリース後にデイヴ・ムステインのドラッグ癖が悪化、入退院を繰り返し、活動も中途半端な状態になっていったんだよね‥‥お陰で決定していた初の武道館公演も中止に。俺、この武道館のアリーナチケット持ってたのに‥‥それ以後、MEGADETHは観に行ってません! そうそう、AEROSMITHと一緒にツアーしたのはこの頃ですよ。デイヴのドラッグ癖が影響しないように、と楽屋は完全に遮断されてたとの話。
 さて、アルバムの内容は前作の延長線上にあるのかな。ただ、個人的にはあまり「残らない」1枚なんだよね。所謂「歌モノ」がどんどん増えていき、ファスト・ナンバーが減り、大半をミドル/スローチューンが占めるという。時代がそうだったといえばそれまでだけど、それだけじゃない気も。ただ、マーティのソロプレイに関しては相変わらず印象深いものが多いです。特に "A Tour Le Monde" には胸を締め付けられます。



▼MEGADETH「CRYPTIC WRITINGS」(amazon

 1997年リリースの通算7作目。恐らく「COUNTDOWN TO EXTINCTION」以降彼等が挑んできた「挑戦」の集大成であり、もうひとつの「頂点」がこのアルバムなのではないでしょうか。もはやスラッシュメタルとは違うベクトルを放ってますが、どこからどう聴いてもヘヴィメタル以外の何ものでもない。個人的には後期の最高傑作だと思ってます。
 ミドルテンポの楽曲がメインなんだけど、そんな中に数曲挿入されたスラッシーなファスト・ナンバーが良いアクセントになっているんだよね。しかもそういったスラッシーな曲が初期のようなスラッシュナンバーに落ち着いておらず、例えばIRON MAIDEN的なファスト・ナンバーに通ずる魅力を持ってるんだよね。凄く良い。
 マーティのソロも聴かせる曲では徹底的にメロウに、そして攻撃的な曲では攻めまくってる。ま、そういう曲の大半はムステインが弾いてるんだろうけどさ。
 斬新さや驚きはないけど、安心して聴ける1枚だよね。名盤。



▼MEGADETH「RISK」(amazon

 1999年リリースの通算8作目にして、マーティ参加ラスト昨。このアルバム制作前にドラマーが交代、「RUST IN PEACE」から約10年近く続いた黄金の布陣は崩れ去ってしまうのですが、こういう作風のアルバムなら新ドラマー(ジミー・デグラッソ)のプレイはピッタリかもしれないね。そう思わせる意欲的且つ異色の内容。
 前作でひとつの頂点に達したためか、ここで新しい挑戦に挑むわけですが‥‥とにかく、ヘヴィメタルの枠を越えようとしてるのが伺えますよね。打ち込みを使った曲だったり、BON JOVIみたいなポップなハードロックだったり、ブギー調ロックンロールだったり。けどそれらが上手く機能してるかというと‥‥ちょっと厳しいかな。ただ曲は悪くないです。「YOUTHANASIA」で挑戦した「歌モノ」路線が完全にここで開花してます。
 とにかくマーティの貢献度が非常に大きい1枚ではないでしょうか。演歌や歌謡曲の泣きメロにも通ずるものがある "I'll Be There" や "Ecstasy"、"Time ; The Beginning" 等はメロディ含めマーティの独壇場。勿論、前作までのミドルヘヴィを基調とした "Prince Of Darkness" や "Crush 'Em" もある。MEGADETH史上最もバラエティ豊かな内容であるのと同時に、それが災いして最も評価が低い1枚でもあるわけです。が‥‥俺はこれ、凄く評価してるのよね。ある意味で、前作と対を成す作品だと信じて疑いません。これもある意味名盤。ただ、パブリックイメージとしての「MEGADETH」はここにはないかもしれないけど‥‥
 このアルバムをリリース後のツアー途中で、マーティ・フリードマンは脱退、翌2000年春に行われた来日公演から別のギタリストが参加するのでした‥‥


 以上、マーティが参加した5枚のアルバムを駆け足で紹介してみましたが、如何でしたか? ちなみに今回紹介したアルバム、全て昨年デイヴ・ムステインの手によってリミックス&リマスター化されてます。オリジナル盤と音の質感の違い(特にドラムやギターは大きく印象が異なる作品もあり!)やギターフレーズの差し替え、これまで音の壁に埋もれてしまっていたフレーズ等、とにかく「ある意味、別の作品」として生まれ変わっちゃってます。多分オリジナル盤の方は中古屋を回れば安く手に入ると思いますが、このリミックス&リマスター・シリーズは国内盤がCCCDなので注意を。US&UK盤がCD-DA、UK以外のEU盤もCCCDなので店頭で手にする時はどうぞ注意してください。ま、その点でamazonは問題ないですけどね。

投稿: 2005 05 10 12:31 午前 [Megadeth] | 固定リンク | コメント (3) | トラックバック

2004/10/11

とみぃ洋楽100番勝負(53)

●第53回:「Peace Sells」 MEGADETH ('86)

 METALLICAとかSLAYERは意外とリアルタイムで通過してたんですが、実はMEGADETHって後追いもいいところなんですよね‥‥最初に聴いたのが3作目の「SO FAR, SO GOOD...SO WHAT!」からで。先行シングルの "Anarchy In The U.K."(当然ながらSEX PISTOLSのカバー)のPVを観て一発で気に入って。一緒にバンドやってたKくんに「SO FAR〜」のアルバムを借りて。「ギターリフ、スゲーっしょ?」って聞かれてさ。そりゃもう「うんうん!」って頷くわけですよ。

 で。「けどさ。この1枚前のアルバムの方がもっとスゲエんだよ!」といって後で貸してくれたのが、セカンド「PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING?」。中3の頃にはリリースされてた1枚なんだけど、地元のレンタル店になくて、全然聴く機会もなくてね。PVとして "Wake Up Dead" とこの "Peace Sells" の2曲が制作されてたはずなんだけど‥‥これも何故か観る機会がなくて。メディア的にMEGADETHが盛り上がる'88年以降になってようやく何度か観る機会を得た、って感じで。

 MEGADETHの魅力って、ただ単に速いだけじゃなくて(勿論他のスラッシュバンドも速いだけじゃないけど)いろんな展開が入ってたり、リフワークが他のバンドとちょっと違ってたり‥‥あと、ジャズの要素なんかも入ってたりしてね。その辺りから「インテレクチャル・スラッシュ(知的なスラッシュ)」なんていう呼び名が生まれた程で。ほら、スラッシュっていうと野蛮ってイメージが強いでしょ、ひたすら性急にリフやビートを刻んで突っ走る、みたいな。けどMEGADETHには独特な冷たさや知的さがあって、そこが逆に暴力的に感じられたりして。そういう魅力がまたたまらなかったわけですよ、当時は。

 "Peace Sells" もイントロのベースがめちゃめちゃカッコいいし、ボーカルのちょっと語りっぽいというか唸ってるだけというか‥‥そんな歌唱法のデイヴ・ムステインがまた良かったし、後半の速くなるパート以降‥‥暴れまくるギターソロがね。前半部でのクールなソロと対照的で。やっぱりこの頃のMEGADETHは神がかってたな、と。4作目以降の「純然たるHMバンド」的スタイルもまた捨て難いんですが、やはり最初のインパクトは越えられませんでしたね、個人的には。



▼MEGADETH「PEACE SELLS...BUT WHO'S BUYING?」 (amazon

投稿: 2004 10 11 12:00 午前 [1986年の作品, Megadeth, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック