2004/07/26

MELTONE『POP』(2004)

  偶然の出会いだったんですよね、このバンドとは‥‥たまたま親しい友人から彼等のライヴMDを戴いて。「今年のフジロックに出るから!」ってことで‥‥まぁかなり信頼している人の薦めだったからホントにいいんだろうな、と思って気楽にMDをプレイヤーに入れて‥‥結局最後まで集中して聴いてしまったという。圧巻というか‥‥とにかくいち早くライヴが観たいバンドのひとつとして、俺内ランキングの上位に君臨していたバンド、MELTONE。結局その夢は音源を受け取ってからひと月と経たずに実現するわけですが‥‥

  日本に「ジャムバンド」という言葉が定着し始めたのは、間違いなく'99年の夏、あの年のフジロック以来でしょう。あそこに登場したPHISHが全てを変えてしまったといっていいかもしれません。勿論それ以前から、表舞台に出てこなかっただけで‥‥沢山の日本産ジャムバンドが活躍していたのかもしれません。が、そんなシーンに(シーンなんて言葉も本当は使いたくないけど)注目が集まるようになったのは、あれ以降なのは間違いない事実。実際、グリーンステージで目の当たりにしたPHISHのステージは圧巻以外の何者でもなかったですしね。残念ながら俺は伝説の「Field of Heaven」での4時間近くに及ぶライヴは目撃できませんでしたが、後から聴いた話だと本当に凄いの一言だった、と‥‥その翌年には単独来日で日比谷野音公演を実現させたりもしたっけ。残念ながらこの8月でその活動に幕を下ろすことになったPHISHですが、今や国内外のジャムバンドシーンは大変盛んで、例えば今年のフジロックを取ってみても、かなりの数のジャムバンドが出演することになっています。

  ここに紹介するMELTONEは、2000年に結成された比較的新しいバンド。'02年秋に現在のメンバー編成になり、以後ライヴ活動を精力的に続けてきたようで、最近では初のアメリカ公演も実現したばかり。そんな矢先にリリースされるのが、彼等にとって初の公式スタジオ音源となる「POP」。トラック数は9曲とカウントされてますが、実際には1曲の中に小楽章が幾つもあるような長尺の組曲構成になってたりします。当然ライヴではインプロビゼーションを重視した演奏になるので、曲によってはスタジオ盤と姿形が違ってくる曲もありますが、基本的な構成はまぁこんな感じかな、と‥‥いわば「これからライヴを観よう」って人に向けてのカタログ的役割なわけですからね、このファーストアルバムは。

  どうしても楽器隊の各プレイの凄さに圧倒されがちですが、実際には意外と歌モノが多いのも彼等の特徴かな。そのタイトル通り、正に「ポップ」なもので、変な小難しさがない。その演奏にしろ、思わず口ずさんでしまうようなフレーズやメロディが多々あって、そういう意味でも非常に「ポップ」な1枚に仕上がってると思います。

  が。やはり先にライヴを体験してしまった身としては‥‥正直ライヴの方が遥かに上だな、と言わざるを得ないかな、と。バンドには申し訳ないけど‥‥まぁそれだけ彼等のライヴや生演奏が圧倒的なものだということだしね。曲の良さは十分に伝わるし、バンドの輪郭というか骨格の部分はこのアルバムでも十分に計り知れるかもしれない。けど、もっと根元にある本質的な部分は、絶対にライヴで体験/体感して欲しい‥‥そう思わずにはいられない、そんなアルバムです。プロダクションの都合だったり初のスタジオ作だったりと、いろいろ思うようにいかなかった面も多いのかもしれませんが、ライヴの凄さを知っているファンとしてはちょっともどかしい1枚かな‥‥

  でも。あの「凄さ」には及ばないにしても、彼等の曲を手軽に自宅で楽しむことができるようになったという意味では、有り難い1枚でもあるんですよね。それにこういうサイトでライヴレポートとか熱心に書いても、結局はライヴ会場に足を運んでくれる人なんて、ほんの一握りでしょう。だったらまず、音源聴いてよ‥‥ってことで、その前にワンクッションできたという意味では、バンドにとっても、そしてMELTONEに興味を持った人にとっても願ったり敵ったりなのかもしれませんね。

  ジャムバンド好き、プログレ好き、フュージョン好き、楽器弾きの人、楽器弾かないけどカッコいいプレイが好きな人、等々‥‥とにかくいろんな人に聴いて欲しい1枚。これからドンドン成長していくバンドだと思うので、是非チェックしておいてくださいね。そしてフジロックに行く人は、3日目の「Field of Heaven」でお会いしましょう‥‥



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投稿: 2004 07 26 12:00 午前 [2004年の作品, MELTONE] | 固定リンク