2018年10月 2日 (火)

METAL CHURCH『BLESSING IN DISGUISE』(1989)

1989年2月発売の、METAL CHURCH通算3作目のオリジナルアルバム(メジャー2作目)。前作『THE DARK』(1986年)を携えたツアーを終えたあとにシンガーのデヴィッド・ウェインが脱退。新たにマイク・ハウを迎え、前作完成後にバンドを離れたカート・ヴァンダーフーフ(G)に代わりジョン・マーシャル(G)が加わった編成で始めて制作された1枚となります(とはいえ、カートは楽曲制作に全面参加したほか、レコーディングでも一部でプレイしているのですが)。

プロデューサーは前作のマーク・ドッドソンから、前作までエンジニアを務めていたテリー・デイト(PANTERASOUNDGARDENDEFTONES)に交代。ごく初期こそスラッシュメタル的印象のあった彼らですが、前作『THE DARK』で独自性を確立し、また新たなフロントマンの加入によってさらに新しい個性を生み出すことに成功します。

スラッシュの影響下にあるパワーメタルや、IRON MAIDEN以降のプログレッシヴなヘヴィメタルをベースにしつつ、アメリカのバンドらしい大味加減とアメリカのバンドらしからぬ繊細さが同居する珍しい、ある種のストイックさを感じさせるスタイル(と、昔から勝手に思っていました)は、当時メジャーで活躍していたほかのスラッシュメタルバンド/スラッシュ流れのメタルバンドと比較してもかなり異色。そこにデヴィッド・ウェインほどクセが強すぎず、耳に馴染む声を持つマイク・ハウの歌が加わることでバンドとしてもかなり親しみやすくなった印象があります。

また、ある程度スピード感を維持しているものの、実は軸になるのはミドルテンポの楽曲というのも、次作『THE HUMAN FACTOR』(1991年)への布石を感じさせます。歌メロも耳に残りやすいものが多いせいか、長尺の楽曲が多いながらもまったく飽きが来ない。だって、アルバムのど真ん中に大作3曲(4曲目「Anthem To The Estranged」は9分半、5曲目「Badlands」は7分半、6曲目「The Spell Can’t Be Broken」は約7分)を配置しているんですから。

しかも、その「Anthem To The Estranged」と「Badlands」は本作におけるキモであり、オープニングトラック「Fake Healer」とともに本作を代表する名曲という事実にも驚かされます。いや、本当にこのドラマチックさは何ものにも変えがたいものがありますよ。

リリース当時、「Badlands」のMVがMTVでヘヴィローテーションされたこともあり、アルバムはBillboard 200で最高75位を記録。前作『THE DARK』での成功を見事結果につなげました。チャート的には失敗したものの、内容的には素晴らしい次作『THE HUMAN FACTOR』までの3作はバンドの充実期に相応しい名盤ばかり。ただ、残念なことに本作、日本国内では配信リリースもストリーミングもなし。勿体ないったらありゃしない。多くの人に伝わってほしい80年代の名盤のひとつだと思うので、ぜひ気軽に聴けるようにしてもらいたいものです。



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投稿: 2018 10 02 12:00 午前 [1989年の作品, Metal Church] | 固定リンク

2017年10月14日 (土)

METAL CHURCH『THE HUMAN FACTOR』(1991)

1991年春にリリースされたMETAL CHURCH通算4作目のスタジオアルバム。前作『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)からボーカルがマイク・ハウに代わり新編成となって2作目、レーベルも新たに「Epic Records」に移籍して発表された気合いの1枚です(結局、Epicからは本作のみでしたが)。

聴いてもらえばわかるように、どこをどう切り取っても“ザ・ヘヴィメタル”なアルバム。いわゆるスラッシュメタル界隈から登場したバンドですし、初期のアルバムはその延長線上にあるサウンドでしたが、前作あたりで示した新境地(大作志向など)が本作で一気に開花。また、新たな挑戦も至るところに散りばめられており、とにかく聴きごたえのある作品に仕上げられています。

オープニングの「The Human Factor」や3曲目「The Final Word」にような疾走感のあるメタルチューンには、スラッシュというよりもパワーメタルと呼ぶにふさわしい貫禄が漂ってますし、「In Mourning」「In Harm's Way」のようなバラードタイプの楽曲も深みを増している。しかし、本作でもっとも注目すべきなのはリード曲としてMVも制作された「Date With Poverty」の存在でしょう。

ヘヴィだけど非常にグルーヴィーなリズムは、本作から半年後に発表されるMETALLICAブラックアルバムにも通ずるものがあり、その後の流行を先取りした1曲と言えるでしょう。しかし、スラッシュメタルの延長線上から登場した彼らがこういった楽曲をプレイすることに対し、当時は賛否あったのも事実。「メタルバンドのリズムがハネてどうするんだよ!」というごもっともな意見をよく耳にしましたし、実際この年を境にメタル勢の人気はグランジ勢やRED HOT CHILI PEPPERSなどに取って代わられるわけですから、見方によっては寝返ったと思われちゃうのかなと(でも、そういったバンドのブレイク作より早く、本作はリリースされたわけですが)。

とはいえ、メタルファン的には劇的な展開の「Agent Green」やスラッシーな「Flee From Reality」「The Fight Song」、ヘヴィなミドルチューン「Betrayed」など、とにかく聴きどころの多い1枚であり、本作をMETAL CHURCHの代表作に挙げる人も少なくないようです(もっとも、デヴィッド・ウェイン時代こそ真のMETAL CHURCHというリスナーにはマイク・ハウ時代は認められないのかもしれませんし、このバンドの本質を考えたら1986年の2nd『THE DARK』こそが名盤という声も理解できるのですが)。

本作リリース後、彼らはJUDAS PRIESTアリス・クーパーMOTORHEAD、DANGEROUS TOYSと『OPERATION ROCK 'N' ROLL TOUR』というパッケージツアーに参加するのですが、湾岸戦争のあおりを受けてツアーは失敗。ブラックアルバム発表後のMETALLICAのツアーにもサポート参加するのですが、うまく起動させることができずインディー落ちしてしまいます。ホント、時代に翻弄されまくり。勿体ないですね。



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投稿: 2017 10 14 12:00 午前 [1991年の作品, Metal Church] | 固定リンク

2017年3月21日 (火)

METAL CHURCH『XI』(2016)

METAL CHURCHにマイク・ハウ(Vo)が復帰したと知ったときは、正直驚きました。デヴィッド・ウェインに続く二代目ボーカルとして3rdアルバム『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)からメジャー落ちしての5thアルバム『HANGING IN THE BALANCE』(1993年)までの3作に参加し、1994年の脱退後は音楽業界から引退していたその人が、20年以上ぶりにシーンに復帰するのですから。しかも新作まで完成させてしまった……それが今回紹介する、2016年3月にリリースされた通算11作目のスタジオアルバム『XI』です。

僕自身METAL CHURCHをちゃんと聴き始めたのが『BLESSING IN DISGUISE』ですし、一番好きな作品が(賛否あるでしょうが)4枚目の『THE HUMAN FACTOR』(1991年)なので、この復帰にはもちろん喜んだのですが、同時に「20年もブランクがある人が再び表舞台に出ちゃっても大丈夫なのか?」という不安も多いにあったわけで。正直、デヴィッド・ウェインが再びMETAL CHURCHに復帰して以降の作品にそこまでの魅力を感じていなかった(主にボーカルパフォーマンス面で)ので、その不安はより強かったというのがありました。

しかし、いざ完成した本作『XI』を聴いて……「Reset」「Killing Your Time」の2曲に完全に打ちのめされました。いやいや、往年の輝きそのまんまやん、と。しかも、「Reset」でのハイトーンと凄みの効いたロウトーンのツインボーカルは鳥肌モノ。そうそう、この声この声!と膝を叩いたのは言うまでもありません。

僕が聴いていた80年代末〜90年代初頭に在籍したメンバーは、もはやマイク・ハウ以外誰もいません。バンドの創始者であるカート・ヴァンダーフーフ(G)はあの頃、ソングライティング面ではバンドに関わっていましたが表舞台には立っていませんでしたし。そういう意味では全盛期に関わったメンバーが2名はいるわけですが……それでも別モノ感が多少あるかな、同じバンド名だけど。

とはいえ、楽曲自体はファンがイメージするMETAL CHURCHにもっとも近い形ではないでしょうか。先に触れた冒頭2曲しかり、アコースティックギターを上手に取り入れたドラマチックな展開を持つ「No Tomorrow」「Signal Path」もいかにもだし、特に後者のイントロではかの「Badlands」(『BLESSING IN DISGUISE』収録)を思い浮かべてしまいましたしね。「Sky Falls In」や「Blow Your Mind」のダークさも、「Needle And Suture」の楽器隊が一丸となったザクザク感も、「Soul Eating Machine」のどこか日本のV系にも通ずる雰囲気も、すべてが懐かしく響く……そう、目新しさはどこにもありません。古くからのファンなら安心して楽しめる1枚でしょうし、当時を知らない世代には「古臭いけど、ボーカルの声が個性的だし、曲もパワーメタルっぽいし、いいんじゃない?」と少しは響く要素があるのかな……そう願っております。

唯一残念な点を挙げると、収録時間が長いこと。全12曲(ボーナストラック含む)と普通に考えれば多すぎるようには感じませんが、7分台の楽曲が2曲もあることからわかるように、1曲が比較的長いんです。その結果、約64分という結果に。後半に進むにつれて似たり寄ったりの楽曲がいくつか登場するので、そこはうまく絞ってほしかったな。そうすれば、アルバムとしてもっと締まった内容になったはずなので。そこだけが勿体ない。本作は“良い曲ばかりを詰め込めば良いアルバムになると、必ずしも言い切れない”というわかりやすい例かもしれませんね。



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投稿: 2017 03 21 12:00 午前 [2016年の作品, Metal Church] | 固定リンク

2005年5月13日 (金)

元METAL CHURCHのデヴィッド・ウェイン、死去。

メタル・チャーチのオリジナル・シンガー、死去(CDJournal.com)

 '80年代に誕生した、アメリカのスラッシュ〜パワーメタルバンド、METAL CHURCHの初代シンガー、デヴィッド・ウェインが5/10、交通事故によって負った頭部への負傷が原因でお亡くなりになったそうです。享年47才‥‥47才!? そんなに年いってたのか‥‥

 日本ではMETAL CHURCHというと2代目シンガー、マイク・ハウが加入してからの方が馴染みが深いのかもしれませんが(個人的名盤「THE HUMAN FACTOR」があるからね)、このウェインが参加してた頃の2枚もなかなか捨て難いんだよねぇ。特にインディーズからリリースとなった1st「METAL CHURCH」。全体的にいいんですが、やはりDEEP PURPLEの "Highway Star" カバーの焼けクソ具合が光ってます。ホント素敵でした。

 1994〜5年頃に一度解散するものの、1998年にオリジナルメンバー時代('84年)のライヴ音源を収めた「LIVE」をリリースする前後に再結成。アルバム「MASTERPEACE」を発表。この時のシンガーがデヴィッド・ウェインでした。が、その後音沙汰が一切なかったのですが、昨年ひっそりと新作「THE WEIGHT OF THE WORLD」をリリースしてたんですね‥‥けどこれ、大幅なメンバーチェンジ振りに軽く退きます。オリジナルメンバーが2人(ギターのカートとドラムのカーク)しか残ってないし。んで、ウェインはウェインでDAVID WAYNE'S METAL CHURCHなるバンドを勝手に始めてるし‥‥そんな矢先の出来事‥‥というか、こんな不幸な出来事がなければ、彼がこんな小賢しいことやってるなんて、気づきもしなかったのに‥‥

 例えば、あれですよ。今のアンディ・マッコイとマイケル・モンローがいるHANOI ROCKSからマイケルが抜けて、アンディのHANOIは他のシンガー入れて存続してるのに、マイケルが「MICHAEL MONROE'S HANOI ROCKS」なんていうバンドを勝手に始めてしまう‥‥みたいな違和感があるわけですよ。だってMETAL CHURCHってギターのカートのバンドだったんじゃねーの? 認識間違ってる??

 いろいろ調べると、2001年に「WAYNE」というバンドでデヴィッド・ウェインとオリジナル・メンバーのひとり、クレイグ・ウェルズ(ギター)が「METAL CHURCH」っていうタイトルのアルバム出してるんですね、内容はどうだったんだろう‥‥「我こそがオリジナルMETAL CHURCHなり」とでも主張したかったんだろうなぁ‥‥けど曲の大半はカートが書いてたのにね‥‥

 とにかくまぁ‥‥いろいろ確執はあったんでしょうけど、こんなカートのコメントを読んでしまうと、なんか泣けてきます‥‥

 そんなデヴィッド・ウェイン在籍時の、ごく初期のデモ音源がオフィシャルサイトのこのページで落とせるの、知ってました? 俺、知らなかったよ‥‥随分前に覗いたっきりだしな、METAL CHURCHのオフィなんて。ライヴ音源あり、オリジナルアルバムのEU盤や日本盤のみに収録されたボーナストラックまで落とせるのね。ビックリ。マイク・ハウ時代のとか、カートのMETAL CHURCH前夜の音源(インスト)なんかもあって、非常に興味深いです。

 今夜は久し振りに1stとか聴いてみようかな‥‥なんかデモバージョンを聴いたら、久々スタジオ盤をちゃんと聴いてみたくなったよ。

 May Rest In Peace, David.



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投稿: 2005 05 13 09:14 午後 [Metal Church, 「R.I.P.」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック