2017/01/09

祝ご成人(1996年4月〜1997年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて実施したこの企画、今回で3回目を迎えます。今年も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1996年4月〜1997年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちらです)


ATARI TEENAGE RIOT『THE FUTURE OF WAR』(Amazon

BECK『ODELAY』(Amazon

BLUR『BLUR』(Amazon

DEF LEPPARD『SLANG』(Amazon

THE HELLACOPTERS『SUPERSHITTY TO THE MAX!』(Amazon)(レビュー

HONEYCRACK『PROZAIC』(Amazon)(レビュー

KORN『LIFE IS PEACHY』(Amazon)(レビュー

KULA SHAKER『K』(Amazon

MANIC STREET PREACHERS『EVERYTHING MUST GO』(Amazon)(レビュー

MANSUN『ATTACK OF THE GREY LANTERN』(Amazon)(レビュー

MARILYN MANSON『ANTICHRIST SUPERSTAR』(Amazon)(レビュー

METALLICA『LOAD』(Amazon)(レビュー

OCEAN COLOUR SCENE『MOSELEY SHOALS』(Amazon

PANTERA『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(Amazon)(レビュー

RAGE AGAINST THE MACHINE『EVIL EMPIRE』(Amazon

REEF『GLOW』(Amazon

SUEDE『COMING UP』(Amazon

TOOL『AENIMA』(Amazon)(レビュー

U2『POP』(Amazon)(レビュー

WEEZER『PINKERTON』(Amazon)(レビュー


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下、主だった作品をざっと羅列します。

AEROSMITH『NINE LIVES』
ALICE IN CHAINS『UNPLUGGED』
ARCH ENEMY『BLACK EARTH』
ASH『1977』
BEN FOLDS FIVE『WHATEVER AND EVER AMEN』
THE BLACK CROWES『THREE SNAKES AND ONE CHARM』
THE BOO RADLEYS『C'MON KIDS』
BJORK『TELEGRAM』
BRYAN ADAMS『18 TIL I DIE』
BUSH『RAZORBLADE SUITCASE』
CARCASS『SWANSONG』
THE CARDIGANS『FIRST BAND ON THE MOON』
THE CURE『WILD MOOD SWINGS』
DAFT PUNK『HOMEWORK』
DAVID BOWIE『EARTHLING』
DINOSAUR JR.『HAND IT OVER』
ELVIS COSTELLO & THE ATTRACTIONS『ALL THIS USELESS BEAUTY』
FIONA APPLE『TIDAL』
FOUNTAINS OF WAYNE『FOUNTAINS OF WAYNE』
GEORGE MICHAEL『OLDER』
HELMET『AFTERTASTE』
IMPERIAL DRAG『IMPERIAL DRAG』
JAMIROQUAI『TRAVELLING WITHOUT MOVING』
JOURNEY『TRIAL BY FIRE』
LUSCIOUS JACKSON『FEVER IN FEVER OUT』
MACHINE HEAD『THE MORE THINGS CHANGE…』
MANOWAR『LOUDER THAN HELL』
MATTHEW SWEET『BLUE SKY ON MARS』
MICHAEL SCHENKER GROUP『WRITTEN IN THE SAND』
NIRVANA『FROM THE MUDDY BANKS OF THE WISHKAH』
PATTI SMITH『GONE AGAIN』
PEARL JAM『NO CODE』
PET SHOP BOYS『BILINGUAL』
PRINCE『EMANCIPATION』
R.E.M.『NEW ADVENTURES IN HI-FI』
ROLLINS BAND『COME IN AND BURN』
RUSH『TEST FOR ECHO』
SCORPIONS『PURE INSTINCT』
SLAYER『UNDISPUTED ATTITUDE』
SLOAN『ONE CHORD TO ANOTHER』
SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』
STEVE VAI『FIRE GARDEN』
STRAPPING YOUNG LAD『CITY』
SUPER FURRY ANIMALS『FUZZY LOGIC』
VERUCA SALT『EIGHT ARMS TO HOLD YOU』
ZAKK WYLDE『BOOK OF SHADOWS』
THE WiLDHEARTS『FISHING FOR LUCKIES (East West Version)』
ZZ TOP『RHYTHMEEN』


1995年から1996年初頭がブリットプップの最盛期と昨年のブログに書きましたが、続く1996年から1997年にかけてはその最盛期から末期に向かっていく過程。BLURが1997年初頭に発表したセルフタイトルアルバムが「ブリットポップの終焉」を決定づけたのは間違いないでしょう。KULA SHAKERやMANSUNのデビュー作、MANICS、OCS、REEFの諸作、そして選外でしたがASHのデビュー作などはその末期に輝いた傑作だと思っております。

そして、アメリカではRATM、KORN、TOOL、MARILYN MANSONのブレイクにより新たなヘヴィロックシーンが確立されるタイミング。と同時に、ベックやWEEZERといったアーティストたちも新たなオルタナシーンを築き上げておりました。その一方で、METALLICAやDEF LEPPARDといった大御所たちが迷走していたのも、このタイミングの面白いところ。それぞれピックアップした作品は、各バンドのキャリアの中でも迷作扱いされることの多いものですが、今聴くと意外と悪くないから不思議。今回選出した動画20曲の中に混じっても、実はあまり違和感がない音楽性だったりします。面白いもんですね。

あ、1997年に入ると同時にU2が『POP』を出したり、ATRの2ndアルバムが話題になったりと、新たな可能性が見え始めたのも興味深いですね。

ちなみに日本での1996年4月〜1997年3月といいますと、TK作品のチャート独占やプリンセス・プリンセスの解散、米米CLUBの解散発表(ラストライブは翌年)、TMRやPUFFY、ELT、SPEEDのデビューなど、音楽産業的にもピークを迎えつつあった時期でした。

最後に。ここではピックアップしませんでしたが、1996年で特に印象に残っているのは「恋のマカレナ」と「Wannabe」です。



▼SPICE GIRLS『SPICE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 09 12:00 午前 [1996年の作品, 1997年の作品, Atari Teenage Riot, Beck, Blur, Def Leppard, Hellacopters, The, Honeycrack, Korn, Kula Shaker, Manic Street Preachers, Mansun, Marilyn Manson, Metallica, Ocean Colour Scene, Pantera, Rage Against The Machine, Reef, Suede, Tool, U2, Weezer] | 固定リンク

2016/11/21

METALLICA『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』(2016)

前作『DEATH MAGNETIC』から実に8年ぶりのオリジナルアルバム。今作リリースまでの8年間については、こちらの記事でまとめているので参考まで。

今作はリリースの3ヶ月前に最初の曲(「Hardwired」)が公開され、その1ヶ月後に2曲目(「Moth Into Flame」)、さらにその1ヶ月後に3曲目(「Atlas, Rise!」)が順次公開されるという徹底したプロモーション展開を用意。しかも3曲ともしっかりMVまで制作しており、こんなご時世にお金かけてるな、なんて思っていたら……発売前日に、アルバム全収録曲のMVを2時間おきに公開していくという驚愕のプロモーションを展開。アホかと。これもう、CD買わなくても全部聴けちゃうじゃん。しかもサブスクリプションサービスでも聴けるし。どうなってるの!?

と思ったけど、ビルボードの集計方法が変わって、確かサブスクリプションでの再生のみならずYouTubeの再生回数もカウントされるようになったんですよね。すげえな、徹底してる。

さて……今回普通にレビューしようかと思いつつも、そういう事情もあって自分がやる必要もないのでは?なんて思ったのです。が、今作に関しては仕事柄、人より早く試聴することができたので、どうせならその際のファーストインプレッション(試聴時のメモ)を晒してしまおうかと思いまして(M-1のみ、WEBで初公開された際の感想を流用)。試聴した時点では「Hardwired」と「Moth Into Flame」の2曲のみが公開されていただけで、残りの10曲がこのとき初めて聴いたわけです。事前情報が何もない状態での試聴なので、自分が何を感じたのか、この作品をどう位置付けたのか、記録として残しておくのも面白いかなと思ったわけです。

しっかりしたレビューは、「ヘドバン Vol.12」を読んでいただければと。ここからは、番外編的にお楽しみください。


<DISC 1>

M-1. Hardwired

どことなく初期(特に1st『KILL 'EM ALL』)のヤケクソさを感じさせつつも、バスドラのアクセントの付けかたには『ST.ANGER』期の匂いも漂わせている。少なくとも『DEATH MAGNETIC』とは異なる作風で、その後に制作された「Lord of Summer」がもっとも近いような気がしないでもない。また歪みのかかったミックスが物議を呼んだ『DEATH MAGNETIC』とも異なり、非常に整理された音なのも興味深い。


M-2. Atlas, Rise!

大袈裟なイントロから入るも、リフは非常にシンプル。「Hardwired」にも通ずる1st『KILL 'EM ALL』路線や、3rd『MASTER OF PUPPETS』の流れ。サビメロに絡むギターフレーズが“歌い”まくってる。メタルというよりは、70年代のハードロック的イメージ。ラーズのオカズ、手グセ、カークのギターソロのメロディなどどこを取っても正統派という印象。転調やテンポチェンジなどの展開はないが、しっかり構成・構築された大作。


M-3. Now That We're Dead

ミドルテンポ。独特なタム回し。「Search & Destroy」的でもあるし、ブラックアルバムや『LOAD』に入っていても違和感なし。リフの刻み方に遊び心を感じる。ここまでの3曲を聴いて、全体的にシンプルな印象を受けたが、それでいて実は要所要所の作り込みがしっかりしていることにも気づく。


M-4. Moth Into Flame

今作中ではもっとも2000年代の流れを汲む楽曲。懐かしさと新しさが同居した、不思議な魅力がある。サビメロの節回しが独特で、一聴してMETALLICAと気づかされる。Bメロ後のギターソロの絡みが心地よい。この随所に挿入されるギターソロ(しかもツインリード)が本作の肝かも。


M-5. Dream No More

ダウンチューニングを用いたダークなミドルナンバー。高音&低音のダブルボーカルと、引きずるようなヘヴィなリズムは「The Thing That Should Not Be」っぽい。中盤のブレイク(無音)でのブレスが生々しく、ドキリとさせられる。全体の感触は『LOAD』『RELOAD』的か。が、キャッチーさはその2作以上。それらにあった間延び感も皆無。アレンジ練られてる。


M-6. Halo On Fire

イントロでのツインリードがカッコイイ。バラード調かと思わせておいて、不穏な空気を醸し出すミドルナンバーという。メロウでキャッチー、サビでヘヴィさ増す。全体の構成は「Fade To Black」を思い出すが、メロは『LOAD』『RELOAD』的。


<DISC 2>

M-1. Confusion

軍隊の行進を思わせるイントロのリズムは「The Struggle Within」っぽい。が、全体の雰囲気は『…AND JUSTICE FOR ALL』や前作の「Cyanide」風。リフの組み合わせ、グルーヴ感、メロディの泣きが絶妙に絡み合う。ダルさは感じない。


M-2. ManUNkind

イントロのベース&ギターソロが印象的。静と動の対比が気持ち良い。軸になるのはシャッフルビートだが、要所要所のキメが心地よい。『LOAD』『RELOAD』でチャレンジしたことをさらに煮詰めた印象。1曲1曲が長いのに、飽きさせない工夫がところどころから感じられる。


M-3. Here Comes Revenge

仰々しい長めのイントロから、重く引きずるミドルテンポ→テンポ倍に。ブラックアルバムに入っていても不思議じゃない。どこか悲しげなメロディも、ブラックアルバム的。なのに、アクセントの付け方は焼き直しではなく現代的。タムの音色が独特で、ギターソロの派手さも80年代後半〜ブラックアルバム時代に通ずるものある。ラストのツーバス連打、ラーズ頑張ってる。


M-4. Am I Savage?

ダークでスローなオープニング。泣きのギターソロ。バラードと見せかけて、派手なアレンジで幕開け。実は超ヘヴィなミドルチューン。リズムが若干ハネ気味。BLACK SABBATHっぽい? というか、ブラックアルバム〜『LOAD』『RELOAD』にありそうな曲調。意外とクセになるサイケなメロと、ハネたリフ&リズム。ブレイクも良いアクセントに。


M-5. Murder One

アルペジオと一体感あるバンドの演奏が交互に、静と動の繰り返し。風変わりなギターリフは、どこかモダンメタル風でもあり。ここまでミドルテンポの曲が続くとダレそうなものだが、1曲1曲の構成や緊張感は『LOAD』『RELOAD』の頃とは比にならない。また、『ST.ANGER』『DEATH MAGNETIC』みたいにエディットした曲構成という印象も薄く、恐らく大半はセッションを経て作られたものなのでは。その際、かなりアレンジにこだわったのではないかと推測。


M-6. Spit Out The Bone

最後の最後にようやく、オープニング以来の攻撃的なファストチューン。バンドが一体になって、音の塊として攻める印象。にしてもメロディやギターソロがキャッチーで、泣きまくってる。終盤にミドルテンポになるパートあり、ここが長めに続きエンディングへ向けて熱量を高めていくような。クライマックスのギターソロで一気に解放される。締めくくりとしては最高だが、このアルバムにおけるファストチューンの重要度はそこまで高くないように感じた。メインになるのはミドルテンポの楽曲。ここをしっかり聴かせたいアルバムなんだなと。


<総評>
・初期3作を念頭に置きながら、90年代(ブラックアルバム、『LOAD』『RELOAD』)を見つめ直す。
・ギターソロが泣きまくり。カークの頑張りが伝わるアルバム。
・シンプルに見えて、実はかっちり作り込まれている。
・なおかつ、長尺の曲では聴き手を飽きさせないフック、アクセントが多数用意されている。
・アレンジ力の勝利。
・DISC 1の構成、完璧。一方でDISC 2はラストまでファストチューンがないので賛否分かれそう。
・結局「Lord Of Summer」からすべてが始まってたんだなと実感。
・NO BALLAD, JUST METAL!!!
・今回も問題作(笑)。



▼METALLICA『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』
(amazon:国内盤2CD / 国内盤3CD / 海外盤2CD / 海外盤3CD


【METALLICA ディスクレビュー一覧】
『KILL'EM ALL』(1983)
『RIDE THE LIGHTNING』(1984)
『MASTER OF PUPPETS』(1986)
『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』(1987)
『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988)
『METALLICA』(1991)
『LOAD』(1996)
『RELOAD』(1997)
『GARAGE INC.』(1998)
『S&M』(1999)
『ST.ANGER』(2003)
『ST.ANGER (EP)』(2003)
『DEATH MAGNETIC』(2008)
『LULU』(2011 / LOU REED & METALLICA名義)
『BEYOND MAGNETIC』(2012)
『METALLICA: THROUGH THE NEVER』(2013)

【METALLICA ライブレポート一覧】
2003年11月7日@国立代々木競技場第一体育館

投稿: 2016 11 21 06:28 午前 [2016年の作品, Metallica] | 固定リンク

METALLICA『BEYOND MAGNETIC』(2012)

8年ぶりのニューアルバム『HARDWIRED…TO SELF-DESTRUCT』がリリースされたことを祝して、当ブログで取り上げていなかったスタジオ作2枚(アルバム『DEATH MAGNETIC』とEP『BEYOND MAGNETIC』)についても触れておかなければと思い、急に思い立ってあれこれ書いてみることにしました。ここではEP『BEYOND MAGNETIC』について触れていきます。

この『BEYOND MAGNETIC』は、アルバム『DEATH MAGNETIC』のリリースから3年以上経ってから発表された、4曲入りのEP(ミニアルバム)です。楽曲自体は『DEATH MAGNETIC』制作時のアウトテイク……つまり、アルバム収録を見送られたボツ曲なわけです。言い方悪いですが。なわけで、作風自体は『DEATH MAGNETIC』の延長線上、というかそのままの路線です。なので、『DEATH MAGNETIC』が気に入っている人にはスッと入っていける1枚ではないかと。

時期的には2011年というと、秋にルー・リードとのコラボアルバム『LULU』を発表し、各方面を絶句させたタイミング。確かその直後、年末ぐらいにまずは配信限定で『BEYOND MAGNETIC』はリリースされたと記憶しています。で、年明けにフィジカルでも発売。日本盤も2012年春に発売されたかと記憶しています。

たった4曲のみですが、収録時間は29分とかなり長め。要は長尺曲の多かった『DEATH MAGNETIC』セッションから生まれた曲ですからね。ただ面白いのは、いわゆる“最終ミックス”的な補正があまり施されておらず、ドラムやギター、ジェイムズの歌に生々しさが満ち溢れている点。ボーカルも補正されてないもんだから、ところどころで声がひっくり返ったりしたまま。良く言えばスタジオライブ的、悪く言えばデモテイク風。だけど、嫌いになれないんだよね。というか、個人的には『DEATH MAGNETIC』よりも好きだったりするし。

どの曲も基本7分前後、ラストの「Rebel Of Babylon」に関しては8分もあるんだけど、確かにもうちょっと練ったら『DEATH MAGNETIC』にも収めてもらえたのにね……と思ってしまうポイントもあるにはある。けど、ファンサービス、次のアルバムまでのつなぎという意味ではこれでよかったのかもしれない。ここから数年後の「Lord Of Summer (First Pass Version)」に見事につながったしね。そう考えれば、何事にも意味があるということです。

ちなみに、個人的には2曲目「Just A Bullet Away」が気に入ってます。このリフ最高じゃないですか。



▼METALLICA『BEYOND MAGNETIC』
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投稿: 2016 11 21 06:27 午前 [2012年の作品, Metallica] | 固定リンク

METALLICA『DEATH MAGNETIC』(2008)

8年ぶりのニューアルバム『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』がリリースされたことを祝して、当ブログで取り上げていなかったスタジオ作2枚(アルバム『DEATH MAGNETIC』とEP『BEYOND MAGNETIC』)についても触れておかなければと思い、急に思い立ってあれこれ書いてみることにしました。

時流に乗ったモダンヘヴィネス的楽曲、ギターソロ皆無、ヘンテコなミックスと突っ込みどころ満載だった問題作『ST.ANGER』(2003)から5年ぶりに発表されたのが、通算9枚目のオリジナルアルバム『DEATH MAGNETIC』。1991年の5thアルバム『METALLICA』(通称=ブラックアルバム)から4作(1998年のカバー集『GARAGE INC.』も含めれば5作)続けてプロデュースを手がけたボブ・ロックのもとを離れ、「クラシックロック再生工場」の異名がぴったりなリック・ルービンを初めてプロデューサーに迎えたのがこのアルバム。

思えば現ベーシストのロバート・トゥルージロが正式加入したのが『ST.ANGER』完成後だったので、今作はロバート初参加のオリジナルアルバムでもあるわけです。

リック・ルービンは制作当初から、メンバーに4thアルバム『…AND JUSTICE FOR ALL』を意識させて曲作りに向かわせたようですが、確かに実際に完成した楽曲の雛形は初期4作(特に2nd『RIDE THE LIGHTNING』〜4th)に通ずるものがあります。が、そこで素直に焼き直しをしない(できない)のがMETALLICAというバンド。数年前に苦労して完成させた“音楽的サイボーグ”アルバム『ST.ANGER』を経ているわけで、そこで得た過剰さを随所に織り交ぜつつ、ときには無駄を省いたり、ときには別の曲のあるパートをまた別の曲にくっつけたりとエディットを繰り返しながら、よりスマートな楽曲作りを進めていったわけです(あくまで想像ですが)。いや、絶対に『ST.ANGER』がなければ完成させることができなかった1枚だと思いますよ、これは。

前作ではミックスに対して難癖つけられまくった彼らですが、今作ではギターやスネアの音がクラシックロックのごとく“デッド”気味にまとめられています。これは前作からの反動と受け取れますが、ファンからは再び苦情が上がったのでした。普通にできないのか、この子らは。ま、それができない“TOO MUCH”なバンドがMETALLCIAなわけですよね。わかります。結果として、最新の要素と古き良きものをミックスした1枚ということになるのでしょうか。そういう意味では、今作も見事な“サイボーグ”アルバムですけどね。

実はリリースしてしばらくすると、このアルバムをあまり聴かなくなってしまったんですよね。悪くはないんだけど……これ聴いたおかげで、逆に『ST.ANGER』のさらなる魅力に気づかされて、そっちばかり聴いちゃったりして。

ところが、今度は『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』を経たことで改めて『DEATH MAGNETIC』の魅力にも気づかされまして。ここ数日、久しぶりに聴きまくってます(同時に新作も聴きまくってますが)。いや、ここ数年も定期的に聴いてはいたんですけどね。改めて、そこまで悪く言われるような作品ではないと思いました。ただ、個人的には今は『HARDWIRED...TO SELF-DESTRUCT』がツボかなと。それだけの話です。



▼METALLICA『DEATH MAGNETIC』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2016 11 21 06:26 午前 [2008年の作品, Metallica] | 固定リンク

2016/08/26

「一番好きなHR/HMギターソロ」について考える(80年代〜90年代前半編)

仕事の合間だけど、現実逃避ついでに「一番好きなギターソロ」について考えてみた。あくまで主観だが、HR/HMにおけるギターソロはライブで一緒に「口ギターソロ」ができる、つまり口ずさめるものがベストだと思ってる。

最初に思いつくのはやっぱりオジー・オズボーン「Mr.Crowley」だろうか。適度に速弾きしていて、かつ口ずさめるメロディ。これ以上速くても、音数が多くてもダメ。だって弾けないもん。俺が。

そういう意味じゃEUROPE「The Final Countdown」もベスト候補。いや、こっちはシンセのメインリフのほうが印象的か。シンセのフレーズは口ずさんでも、ギターソロを口ずさむことは少な……いや、そんなことはなかった。口ずさむ。好き。

主メロ自体がリフ?なゲイリー・ムーア「Wild Frontier」も、個人的には「Mr.Crowley」と同じくらい好きな楽曲&ソロ。結局、こういうマイナーコードで泣きのメロを持つ楽曲が好きんなんだろうな。ザ・日本人。

泣きメロかつ「誰もが知ってるフレーズの引用」というドーピング感満載のACCEPT「Metal Heart」は反則。これこそ全力で日本人泣かしにかかってるだろと。

「Mr.Crowley」と同じくらい重要かつベストだと思ってるのが、KISS「Detroit Rock City」。あのクソシンプルなのに最強なツインリードは、この先何百年も語り継がれるべきだと思う。結局「コピーできそうだけどちょっと難しい」くらいの、あの絶妙なレベル感が自分の求めるギターソロなのかもしれない。あと、長すぎてもダメ。2分とか続いちゃうようなのはね、覚えられない。

……ってよくよく考えたら70年代じゃん、「Detroit Rock City」。却下却下。代わりにKISSのコピーバンド始めた頃にやってた「Crazy Crazy Nights」を挙げとく。このコンパクトだけど印象に残り、口ずさめて適度なテクニックが凝縮されてるというのは非常に重要。そういう意味じゃBON JOVIのこの時代の楽曲はほとんどこれに当てはまる。選ばないけど。

もうちょっとヘヴィな方面についても。

METALLICA「One」は随所にソロが登場するけど、後半の畳み掛けるようなソロパートは難しいながらも覚えやすいメロディがちゃんと備わっているし、この手のバンドのものとしてはベストクラスなんじゃないかなと。

逆にMEGADETH「Tornado Of Souls」までいくと、ちょっとやりすぎ感が。もちろんこれは個人的なさじ加減の問題だけど。リスニング的にはMEGADETHのほうだけど、「コピーしたくなる」という点においてはMETALLICAかなと。なかなか共感しづらいだろうけど。

PANTERAのギターソロも実はすごくメロウなものが多くて、個人的にはリフ以上に推していきたいと思ってる要素。スローな曲はもちろんなんだけど、「Mouth For War」はあのリフとグルーヴにこのソロが乗るから最強なんだと。

最後に国内のバンドからも。

80年代半ばに青春時代を過ごした人なら、きっと誰もがコピーをしたんじゃないだろうかっていうLOUDNESSから選ぶならば、やっぱり「Crazy Doctor」だろうか。「In The Mirror」も捨て難いけど。って、どっちも弾けないんだけど。

で、結局最後はEARTHSHAKER「More」に行き着くと。この呪縛から逃れられないんだな、あの時代に10代を過ごしてしまった者は。でもイントロのアルペジオのほうが印象深い? かもしれない。

以上10曲。KISS以外は結局泣きメロなんだな。わかりやすいぞ自分。

……でもさ、ああだこうだ考えたけど、結局この曲のこのソロがいろんな意味で最強かもしれないと思うんだよ。

グランジ以降、ギターソロの重要度が低くなったと言われたけど、ここまでシンプルで印象的なソロは逆にメタル脳では作れなかっただろうな。だって歌メロをそのまま弾いてるだけだし。その後の歴史を変えてしまったという意味ではとても皮肉な1曲。

90年代後半以降についても、いつか考えてみたい。10曲も挙げられるかどうか微妙だけど。

投稿: 2016 08 26 11:56 午前 [Accept, Earthshaker, Europe, Gary Moore, KISS, Loudness, Megadeth, Metallica, Nirvana, Ozzy Osbourne, Pantera] | 固定リンク

2015/09/08

Metallica『St. Anger』(2003 / 再掲)

Facebook上でこのアルバムの話題が上がり、ふと12年前に書いたテキストのことを思い出しました。以下は当時書いたものに若干手を加えた文章になります。基本的には当時聴いた感想をそのままに、表現などをよりわかりやすく少し修正しています。

いや、いいアルバムなんですよ。今日久しぶりに通して聴いてみたけど、やっぱりよかった。結局この後もアルバムは1枚しか出てないけど、『ブラックアルバム』以降で一番好きなアルバムです。って24年も経ってるのかよ! いい加減、これらを更新するようなスゴイの、作ってくださいよ!


==========本文ここから==========


『ブラックアルバム』から12年。ずっとこういう作品を待ってました。

Metallica待望のニューアルバム『St. Anger』はオリジナルアルバムとしては1997年の『Reload』以来だから、約6年ぶりの新作。通算8枚目、デビュー20周年を迎える2003年に“原点回帰”とも“さらなる未来を見据えた”とも取れるような非常に素晴らしい、なおかつ非常にいびつな作品を我々に届けてくれました。

1999年に発売されたオーケストラとの共演ライブ盤『S&M』以降の流れは今さら書くまでもないでしょう。もし『St. Anger』の日本盤を買ったのなら、このアルバム発表までの経緯がライナーノーツに載ってますし、2004年(日本では2005年)には映画『メタリカ:真実の瞬間』でがっつり描かれてますからね。

アルバムリリース1週間前にリードトラックとして公開された「St. Anger」を聴いて以来、このアルバムに対する期待はドンドン高まっていました。実際、音源を聴く前からインタビュー等で「今度のアルバムは初期に戻ったかのような速い曲ばかり」という発言を目にしていたから妙な期待感があったんだけど、実際に聴いた「St. Anger」は自分の想像を遙かに超える強烈な1曲だったんですから。そこから1週間後、発売されたアルバムを手に取り、CDプレイヤーのトレイに乗せ、1曲目「Frantic」から順々に聴いていくわけです……するとド頭からものすごいテンションと異常な音圧にビックリし、続く「St. Anger」に「ああ、CDで聴くとラジオでは聴き取れなかった細かなところまで耳に入ってくるなぁ」と感嘆し、3曲目「Some Kind Of Monster」の“速くて、重くて、複雑で、長い”展開に驚愕し、4曲目「Dirty Window」のブルータルさに爆笑する。でも、これが5曲、6曲と進むうちにそういう楽しむ余裕さえなくなっていくんです。どれも本当に“速くて、重くて、複雑で、長い”んだ、これが。もう最後の「All Within My Hands」にたどり着いた頃には無言でスピーカーを見つめてたし、75分11曲すべてが終了したと同時に深い溜息をついたくらいでした。

アルバム『St. Anger』は決して初期スラッシュ路線への回帰ではなく、どちらかというと『Load』や『Reload』の延長線上にある作品だと思います。しかしラーズが言うように「昔住んでいた場所を懐かしみながら通り過ぎ、新しい目的地を目指す」ような作風でもあるんですよね。そういう意味では過去の集大成とも呼べるんだけど、単なる焼き直しで終わらずさらに過激に前進している。1983年のアルバム『Kill 'Em All』でデビューしてから20年後にたどり着いたのがここかと思うと、ただただ驚くというかなんと言うか……。

確かにここでやってることは決して革新的なことではないかもしれないし、2000年前後に登場したSlipknotやSystem Of A Downといった新世代バンドからの影響が強い音だといえるでしょう。ではMetallicaはそういった新世代バンドのフォロワーに成り下がってしまったのかというと、そうとも言い切れない。確かに前作、前々作あたりでは自身が『ブラックアルバム』(1991年発売の5thアルバム『Metallica』)を産み落としたことでガラリと変えてしまったシーン自体のフォロワーという、すごく複雑な状況に陥っていたと言えなくもないですが、むしろ今作は「SlipknotやSystem Of A Downといったバンドからヒントを得て、今のMetallicaなりに消化したサウンド」と呼んだほうがしっくりくるように感じます。ほとんど一発録りに近く、ほぼ手を加えていないような生々しいサウンド。ドラムの皮がギターサウンドでビリビリ共鳴してる音まで拾うほどに生々しいし、ボーカルもほぼノンエフェクトのように聞こえる。『St. Anger』においてはこの“生々しさ”がブルータルさをさらに増長させているし、ノイズやハウリングまでをも味方に付け、個々の楽器が共鳴し合って混沌とした「変な周波数の音」まで生みだしてる。そういう点は上記2バンドやその類のバンドとは一線を画するところだと思います。

最初にこのアルバムの楽曲に触れたとき、僕はそれについて「無感情な冷たさと複雑な曲展開が『...And Justice For All』を彷彿とさせる」と表現しました。しかしアルバム全体を通して聴いたときに感じたのは、確かにその感覚に近いんだけど、もっと無軌道さ、無修正っぽさを強くイメージさせるというか。比べるのも変な話ですが、これを聴くと『...And Justice For All』でさえちゃんと計算された様式美性が強く感じられる(ように思う)。だけど『St. Anger』の場合は次に何がくるかわからない、そんな展開の仕方をするんです。Metallicaは今作の楽曲をスタジオでジャムセッションしながら作っていったそうですが、一度ジャムった音源を後でプロ・トゥールズを使って編集して、その編集した構成でもう一度ジャムることを繰り返していたみたいで……通常ならそこで整理されてスッキリするはずなのに、ある意味真逆の“いびつ”なものに仕上がっているという。それをメンバー全員(レコーディングにはプロデューサーのボブ・ロックがベーシストとして参加)で顔を突き合わせて作業してる感じがまた……今作はメロディや歌詞までもが共同作業。だからクレジットに「Hetfield-Ulrich-Hammett-Rock」とメンバー全員の名前が入ってるわけです。

と、いろいろ書いてみたものの、これ以上変な先入観を植え付けたくないので、とにかく1回通して聴いてほしい。聴き終わったら、続いて歌詞や対訳を手にしながらもう1回聴いて、さらに付属DVDでのスタジオライブを通して観る(『St. Anger』全収録曲を新ベーシスト、ロバート・トゥルージロを含む体制で演奏したもの。アルバムと同じ曲順で収録している。日本では現行のユニバーサル盤には付属されておらず、ソニー盤のみに付いているので、中古で探すことをオススメします)。そうすると、このアルバムの凄味がストレートに伝わってくると思います。1回目よりも2回目、2回目よりも3回目。回数を重ねるごとにその凄味はどんどん増していき、DVDでのスタジオライブが究極の決定打となることでしょう。

そしてこのアルバムを聴いたら『Load』や『Reload』でやったこともなんだか許せてきた。あれがあったから、ここにたどり着いたんだ、と。確かにジェイソン脱退は残念だったけど、ロバートを含む今の編成だって悪くない。いかにもライブ栄えするパフォーマーだと思うしね、ロバートって(DVDを観る限りでは)。そして、その相乗効果でジェームズやカーク、そしてラーズまで生き生きとプレイしてる。ホント、早くライブが観たいよね。しかも古い曲じゃなくて、このアルバムからの曲を演奏するライブを。ああ、愉快愉快。最高の気分だ!



▼Metallica「St. Anger」
(amazon:国内盤(ユニバーサル) / 輸入盤(ユニバーサル) / 国内盤(ソニー)

投稿: 2015 09 08 01:10 午前 [2003年の作品, Metallica] | 固定リンク

2013/09/25

METALLICA『METALLICA: THROUGH THE NEVER』(2013)

この秋公開のMETALLICAによる一大エンタテインメントムービー『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァー』のサウンドトラック名義でリリースされる、ベストアルバム的内容のライブアルバム。映画はというと、下記のようなストーリー。

とある街でのMETALLICAのコンサートに使い走りとして雇われた青年トリップ(デイン・デハーン)が、とある“任務”を遂行する中でさまざまなトラブルに巻き込まれていく。その冒険とMETALLICAのライブが同時進行し、あるときには曲と出来事がリンクするという不思議なアクション&ロックムービー。IMAX 3Dによる迫力の映像は、ロックファンならずとも必見。日本では体験できない本場でのステージセット&演出を、この映画で疑似体験してほしい。

以下の収録曲解説は、ぜひ映画を観る際の参考にしてほしい。


M-1. The Ecstasy Of Gold
METALLICAのライブのオープニングでおなじみ、映画『続・夕陽のガンマン』のテーマソング。この曲が流れ始めたら、ライブ開始まであと少し!

M-2. Creeping Death
METALLICAのライブでは1曲目に演奏される機会の多い名曲中の名曲。曲中盤の「Die!」コールはぜひ映画館でもお忘れなく。

M-3. For Whom The Bell Tolls
『METALLICA(ブラック・アルバム)』以降に通ずるミドルヘヴィナンバー。イントロでのグルーヴィーなベースラインにも注目。

M-4. Fuel
1997年の迷作『RELOAD』から、今でも演奏される数少ない1曲。この曲の時点で映画館はライブ会場さながらの盛り上がりになるはず。

M-5. Ride The Lightning
1994年の2ndアルバム表題曲。映画ではアルバムジャケットを再現した、数万ボルトの電流を流す演出も。

M-6. One
METALLICAがオーバーグラウンドへと進出するきっかけとなった4th『...AND JUSTICE FOR ALL』収録の代表曲。曲後半の緊張感あふれるアレンジは圧巻。

M-7. The Memory Remains
原曲ではマリアンヌ・フェイスフルをフィーチャーしているものの、ライブでは観客が彼女のパートを大合唱。

M-8. Wherever I May Roam
名盤『METALLICA』からの1曲。映画では途中でカットされるが、サントラにはフルコーラス収録されてるのでご安心を。

M-9. Cyanide
現時点での最新作『DEATH MAGNETIC』から。映画ではジャケットをモチーフにした棺桶風スクリーンも見どころ。

M-10. ...And Justice For All
4thアルバムの表題曲。9分にわたる曲中、ジャケットに登場する女神像を組み立て最後に壊す流れにただただ感動。

M-11. Master Of Puppets
メタルファンの教科書的3rdアルバムの表題曲。映画では演奏シーンとクライマックスのバトルシーンが見事にリンク。

M-12. Battery
前述3rdアルバムのオープニング曲。ヤケクソ気味なノリと切れ味抜群のギターリフは、リリースから27年経った今も斬新。

M-13. Nothing Else Matter
メタリカが初めて挑戦した本格的なバラードナンバー。終盤の泣きメロギターソロはジェイムスによるもの。

M-14. Enter Sandman
『ブラック・アルバム』の冒頭を飾る超名曲。映画では曲終盤にとあるハプニングが発生。その一部始終を見逃すな!

M-15. Hit The Lights
30年前に発表されたデビューアルバム『KILL 'EM ALL』のオープニング曲。サマソニ幕張公演はこの曲からスタートしたのも記憶に新しい。

M-16. Orion
3rdアルバム終盤を彩る名インスト曲。ライブで披露される機会は少ないが、映画ではエンドロールとともにこの曲が完奏される。


※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部加筆・修正して掲載しております。



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投稿: 2013 09 25 12:00 午前 [2013年の作品, Metallica] | 固定リンク

2011/11/02

LOU REED & METALLICA『LULU』(2011)

来年70歳になる元祖オルタナ番長が珍盤『METAL MACHINE MUSIC』以来のメタルに挑戦(実際にはメタルじゃなかったけど)、しかもコラボ相手が元祖スラッシュメタル番長のMETALLICA。他ジャンル同士の異色共演に、恐らくメタルファンは「『LOAD』『RELOAD』の悪夢再び」と思ったことだろう。確かにここで聴けるサウンドはメタルファンを悪い意味で震撼させたあの路線だが、さらに言えばそれ以降のテイストもしっかり散りばめられている。

全体的には「このサウンドでジェイムズが歌えば何でも今のMETALLICA」なのだが、そこにルー・リードの抑揚ない念仏ボーカルが乗ることでメタルを超越した別の世界に到達。ぶっちゃけこのアルバム、『LOAD』以降のMETALLICA諸作品の中でもかなり優れていると思うし、すんなり聴けてしまう。

メタルファンからの批判覚悟で言うけど、最初からこうしてればMETALLICAはここまで遠回りしなくてよかったのかもね。改めて「餅は餅屋」だなと実感した、オルタナロックの良盤。

※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。



▼LOU REED & METALLICA『LULU』
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投稿: 2011 11 02 12:00 午前 [2011年の作品, Lou Reed, Metallica] | 固定リンク

2005/08/19

METALLICAの映画『SOME KIND OF MONSTER』を観た。

 METALLICAのドキュメント映画、「SOME KIND OF MONSTER」が先月末から日本でも公開されてるわけですが(アメリカから遅れること、約1年近くかぁ‥‥向こうでは既にこの1月にDVD出てるし)、東京での公開が8/19までということもあって、焦ってその前日、8/18のレイトショーに行って観てきました。今、その興奮も冷めやらぬ内にこれを書いてるところです。

 映画の内容は‥‥ジェイソン・ニューステッドが脱退したところからスタートするんですが、彼が抜ける直前にこのドキュメント映画の撮影が決まったみたいで、結果撮影はジェイソンを欠いた3人+プロデューサーのボブ・ロック、そこにセラピストを含むメンバーにより進められていくんですが‥‥

 えーっと、これからネタバレ的なことも多々含まれます。まだ大阪、名古屋、札幌等の地区では上映中だったり、これから上映開始したりするので、ちょっとワンクッションおきます。映画をこれから観るって人は、まぁ読まない方がいいかもしれませんね。

 というわけで‥‥

 ‥‥はい、続きです。

 ストーリーの続きですが‥‥まぁMETALLICAのここ数年の流れ(ジェイソン脱退~ジェームズのアルコール依存症治療~レコーディング開始~ロバート・トゥルージロ加入~「ST.ANGER」完成)を知ってる人にとっては、まぁ既に頭に入ってるエピソードが、ほぼ時系列に沿って「ドキュメント映画のように」進んでいくんですが‥‥いや、これドキュメント映画だったね。失敬。

 でもさ‥‥そう思えない程に、俺は映画館の中で大笑いしてたわけよ。ストーリーやメンバー間のやり取りがシリアスになればなる程、もう笑えて仕方ないわけ。なんつーか‥‥我々が生活する「日常」とは、やはり相当にかけ離れてるというか、どう考えても感情移入できないのね。ま、そんなの当たり前の話なわけですが、それでも‥‥曲がりなりにも20年近くファンをやってる立場としては、ジェームズのリハビリ施設退院以降、バンドが再生していく過程に涙しなきゃいけないんだろうけど、無理。無理なのよ。だってジェームズもラーズもバンド結成当時で「止まっちゃってる」んだわ。要するに、ガキ。そんなガキのやりとり、冷静に観ろっていう方が難しいわな。いや、濃いファンはこれを真剣に受け止めてるのかもしれないけど、やっぱり(与えられた情報の中からとはいえ)ジェームズの性格も、ラーズの性格も、ある程度知ってるわけでしょ。で、ある程度想像つくじゃない、衝突すればどうなるかって‥‥で、それが想像通りなもんだから、もう大爆笑なわけ。だってさ、いい大人(しかも幼い子供を抱えた、一家の主)がですよ、「今日は朝から機嫌が悪いんだ」なんて、普通言わねーよ。で、それは映画にも登場するデイヴ・ムステイン(元METALLICA、現MEGADETH)にも言えることで‥‥同類だよな。だからそれぞれが上手くいってる時はホントに奇跡的な仕事をするんだけど、大半はほぼ衝突しまくり。結果、デイヴはデビュー前のMETALLICAを追い出され、20年経った今でもそのことを根に持ち、自分の人生がどんなに辛くて酷いか、それは全部お前らのせいだ!とまで言わんばかりの勢い。んでカークはその次元までいかないけど、あれ(ジェームズとラーズ)を受け入れてる時点で、ある種同類なわけ。だけど「身を引く」ことを知ってる。だから上手くいく。その点からすると、ジェイソンって男は、至極「まとも」「真面目」だったんだな、と。まとも過ぎから脱退した。去った理由も理解できなくないわ、これ観たら。

 とまぁ、こんな風にいろいろな人間模様が見え隠れする、非常によく出来たドキュメント映画だと思いますよ。RAMONESに「THE END OF THE CENTURY」というドキュメント映画がありますが(あれも観た時はかなりショックでしたが‥‥)、完成度の点ではあれを遥かに上回っていると思います。

 ただ人間模様だけを記録したのではなく、それが「6年振りの新作レコーディング過程」の中で映し出されているから、更に面白いわけですよ。ひとつの作品が成長して完成していく様、しかもそれが過去のどの作品にも似ていない、非常にユニークな作品に仕上がっている点。製作方法も過去のそれとは全く違う、ホントの意味での「バンド」のレコーディングになっている点。そしてラストのベーシストのオーディション。意外な面々がオーディションに登場します。ここだけでも必見ですよ。

 日本でのDVD化はまだ先らしく、年末か年明けになるのでは‥‥なんて噂を耳にしています。とにかく、東京の人はこれを読んだら本日のラスト上映(17時半と20時半の2回)に駆け込んでください。そして他の地方の人は‥‥これ読んでも興味が失せなかったら是非観てみて。更にどうしても観れないって人は‥‥リージョン1で英語が堪能なら、下の輸入版を購入するって手もあります。ま、もう暫く辛抱するのが一番かもしれませんが。

 とにかく。この手のロック・ドキュメンタリーの中では過去最高の出来ではないかと思います。これを笑えるか、観て凹むかで、あなたの忠誠心が判ってしまうかも‥‥なんてね。



▼METALLICA「SOME KIND OF MONSTER」DVD [region 1] (amazon

投稿: 2005 08 19 01:30 午前 [2005年の作品, Metallica] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/22

今年の年末

 そうだ。

 今年は「COUNTDOWN JAPAN」に行こうかと考えてます。とりあえず12/30は確定。エレカシメインな、俺的に。で、他に予定が入らなければ12/31も行こうかな、と。元春、清志郎、マッド、曽我部。全部観たい。

 ただ問題は、ここ2年連続で元旦出勤しているという事実。ま、配属変わったし俺がそこまでやる必要、もうないんだよな。今年は普通に12/29〜1/3まで休みか。

 また洋楽系で年末カウントダウンとかやってくれないもんかね。昔みたいに東京ドームでは出来ないとしても('91年のMETALLICA以降はX JAPAN〜ジャニーズだしな)せめて他のドームとか会場を押さえられないのかね。まぁここ数年、カウントダウンライヴって完全に根付いちゃってるからね。国内アーティストだけで手一杯か。

 '90年のBON JOVI、'91年のMETALLICAに行った時(その頃東京に住んでた)、大晦日だというのに実家に帰らないもんだから、親にえらく怒られたよな。今だったら大晦日に家にいなくても全然何も言われないのに。むしろいると「‥‥どこも行くとこないの?」と可愛そうな子を見る目で蔑まれるし。翌日仕事だもん、どこにも行けねぇってぇの。初詣だって元旦の仕事終わって一段落ついてからじゃんかいつも。

 ‥‥って何の話してたっけ? あぁ、カウントダウンライヴね。とりあえず、METALLICA来いや。真冬の野外やれ。いつぞやのLUNA SEAばりに(あれは大晦日じゃないけど)。いいじゃん、横浜スタジアムで。中堅1バンドと若手1バンド、日本のバンド1組の計4組でいいじゃない? 夕方6時くらいからさ。やれやれ!(なんじゃそりゃ)



▼METALLICA「LIVE SHIT : BINGE & PURGE」(amazon

投稿: 2004 09 22 10:25 午後 [Metallica] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/09

とみぃ洋楽100番勝負(21)

 五分の一消化。こんな調子で年内までに100本、間に合うのでしょうか?(そして新サイト立ち上げはいつ!?)


●第21回:「Battery」 METALLICA('86)

 はい、お待たせ。みんなが待ってたメタル路線。この1曲でその後の俺の人生、台無しにされたようなもんですよ。

 基本的にパンクだから聴かない、メタルだから嫌い、というような聴き方はしてこなかった中学時代の俺。殆どがMTV(そしてTVKや千葉テレビでやってた「SONY MUSIC TV」)や「ベストヒットUSA」、そして土曜の深夜ラジオ(「全米トップ40」〜「ROCK TODAY」の、ラジオ日本の流れ)で耳にして気に入った曲をかたっぱしからNHK FMやAMラジオでエアチェックしたり、レンタル店で借りてきたりしてた俺。だからハードロックとかニューロマンティックとか、そんな括りはどうでもよかったんですよ。

 ところがね‥‥こいつらのお陰で、俺は暫く「田舎のメタル少年」になってしまうわけですよ。

 創刊当時から一応は買っていた「BURRN!」というHM/HR専門雑誌。そこのアルバムレビューで95点を獲得したのが、METALLICAの3rd「MASTER OF PUPPETS」というアルバム。当時スラッシュメタルの何たるかも理解してなかった、メタルといえばIRON MAIDENかJUDAS PRIESTかDIOが最高に決まってるじゃん!とほざいていた中坊の俺。そんな俺が何故か小遣い貯めてアナログLPを買ってしまったのが、このアルバム。

 ‥‥プレイヤーに針を落とした瞬間‥‥1曲目の "Battery" に全てを奪われちゃうわけですよ。ああ‥‥こういうのがスラッシュメタルなんだ‥‥すげぇ‥‥こんなカッコいい音楽が世の中にはまだあったんだ‥‥って。

 田舎のレンタル店なんで、METALLICAの旧譜なんて置いてなくて、結局高校に入学するまで、彼等のファーストやセカンドに触れる機会はありませんでした‥‥そのはずだったんだけど‥‥

 1986年秋。生まれた初めて体験した外タレのコンサート。それがMETALLICAの初来日公演でした。

 ここで俺の二度目のロック童貞が奪われました。



▼METALLICA「MASTER OF PUPPETS」(amazon

投稿: 2004 09 09 12:00 午前 [1986年の作品, Metallica, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/08/27

METALLICAに変化が

 「LiveMetallica.com」にて。8/24のライヴから、1曲目が "Battery" に変更。アメリカでは昨年夏の「Summer Sanitarium Tour」以来か。昨年11月の来日公演1発目もこの曲だったし、先日紹介した6月のダウンロード・フェスもこの曲からだったんだけど、ちょっと感慨深い。3月からのUSツアー、ずっと "Blackened" だったしね。

 しかもこの8/24のライヴ、やっと新作から "Some Kind Of Monster" やってるし、先日から復活した "The Memory Remains" とか "Fight Fire With Fire" とか "Trapped Under Ice" なんてやってるしね。しかも "Trapped〜" は演奏されるの、METALLICAの歴史上4回目だから。笑

 これも後で購入しよーっと。

 更に、

METALLICA、新曲ライヴ初披露&地上最高バンドに(BARKS)

 上の "Some Kind Of Monster" 初披露と、過去3回しか演奏されていない "Trapped Under Ice" が演奏された、って記事。「過去3回」って書くけど、あれだよ、この曲が発表されたのは'84年とかだからね。過去20年でたった4回しか演奏されてないんだから‥‥ま、そこまでの曲だったってことだけどさ。笑

 それにしても「地上最高バンド」って凄い賞だな。さすが「ケラング!」だわ。

投稿: 2004 08 27 03:28 午後 [Metallica] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/08/25

問題の「ラーズ不在のMETALLICA」を聴く

 久し振りに「LiveMetallica.com」からダウンロード購入。

 ドラマーのラーズが倒れて、METALLICAの歴史上初めて欠席という異例の形態での出演となった、6/6のダウンロード・フェスティヴァル@英・ドニントン・パーク

 ご存知の通り、この日ドラムを務めたのがデイヴ・ロンバード(SLAYER)とジョーイ・ジョーディソン(SLIPKNOT)、そして1曲のみラーズのローディーであるフレミング・ラーゼン。

 通常の約半分(70分ちょい)と、ややスケールダウンは否めませんが、それでも「SLYAERの超絶ドラマーが叩く "Battery"」や「SLIPKNOTのドラムが叩く "Creeping Death" や "Enter Sandman"」が聴けるってだけで$9.98払いましたよ。

 で、どうだったかというと、やはりリハ不足ですよね、ドラムに関しては。特にデイヴな。基本的にラーズ以上に安定感があって、そしてしっかり「オリジナルをコピー」してる。特にバスドラの位置とか完璧な。最近のラーズはこの辺かなり手を抜いてるから、ある意味では感動的。

 ジョーイの方はやはり若いだけあって、無駄に叩きまくったりツーバスがドカドカしまくってる辺りに好き嫌いが出そうだけど、個人的にはこんなに「活きのいい」METALLICAも久し振りなので、アリの方向で。特に "Creeping Death" でのドラミングな。まんまSLIPKNOTなフレーズとか出てきて笑った笑った。

 さ、今度は西新宿でこれの映像でも探してくるか。笑



▼METALLICA「SOME KIND OF MONSTER」[EP](amazon

投稿: 2004 08 25 09:46 午後 [Metallica] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/11/14

METALLICA『St.Anger (EP)』(2003)

来日記念ってことで、シングルも取り上げておきましょうか、ってことでMETALLICAです。最新アルバム『St.Anger』のリリースから遅れること1ヶ月、今年の7月上旬にリカットされたのがこのシングル「St.Anger」。丁度日本盤は来日が発表になった頃だったのかな? だからなのか、CD帯に「来日決定記念盤」って書いてあるんだよね。ま、そんなのこじつけなのはみんな知ってると思いますが、とりあえず短めにいろいろ書いてみたいと思います。

ご存じの通り、海外でシングルをリリースする場合、タイトルトラックだけ一緒でカップリング曲だけ何枚かに振り分ける「CD-1&2」形式みたいなのが主流になってますが、METALLICAの場合も『LOAD』の頃からこの形式に則ってシングルCDを2枚、場合によってはそこに7インチのアナログ盤も加えてリリースしちゃったりしてます。90年代はそこまでコアな追っかけ方をしてこなかったので内容がどう違うのかは判りませんが(詳しくはオフィシャルサイトのディスコグラフィーをご覧になるのが一番かと)、とにかく今回も海外ではシングルCDが2枚と7インチ1枚の計3フォーマットでのリリースとなっています。が、日本の場合はそんな阿漕な商売はせず、ちゃんと1枚にまとめてリリースしてくれるんですから本当に有り難いものですね。

というわけで、今回はその日本盤を中心に話を進めていきますのでご承知ください。

まず今回、カップリングには全てカバー曲が用意されています。しかも全部RAMONES。これは恐らく今年2月にリリースされたRAMONESのトリビュートアルバム用に、試しに数曲レコーディングされたんだと思います。丁度アルバム制作期間中だったこともあって、リラックスするには良い企画だったんじゃないでしょうか。いつも以上にまったり気味のMETALLICAが堪能できますし。

プロデュース……というかいつもの如く「NOT VERY PRODUCED」ということで、アルバム同様ボブ・ロックが担当しています。日本盤にはレコーディング・クレジットが載っているんですが、全部タイトル曲「St.Anger」と同じ(エンジニア等が)、レコーディング時期も2002年12月となっています。トリビュート盤に採用された「53rd & 3rd」は残念ながらシングルには入っておらず、代わりにそのトリビュート盤のタイトルにもなった「We're A Happy Family」や「Commando」、「Today Your Love, Tomorrow The World」、「Now I Wanna Sniff Some Glue」の4曲が収録されています。また日本盤には収録されませんでしたが、UK盤のディスク2には「Cretin Hot」が収録されています。ということで、今回のトリビュート盤に際し、METALLICAは6曲ものRAMONESナンバーを録音したことになります。まぁ6曲とはいっても全部カバーというよりはコピーに近い代物ですし、全曲実質2分前後の短い曲なので、本当に肩の力を抜いて、1日でドバーッと録音してしまったのかもしれませんね。

シングルのタイトルトラック「St.Anger」については、今更何も言うことはありません。完璧すぎる名曲。未だ初めて聴いた時の衝撃は忘れられません。間違いなく今年一番の衝撃でしたしね。そんな緊張感漲るナンバーの後に、ユルユルなパンクカバー(コピー)が約8分(「St.Anger」1曲分と同じ長さ!)が続く辺りが、またMETALLICAらしいというか‥‥これは「GARAGE DAYS RE-RE-REVISITED」ではなく、日本盤ブックレット内に書かれている通り「GARBAGE DAYS REVISITED」と呼んだ方が正しいですね。サウンド自体は間違いなく今のMETALLICAなんだけど……いや、これはこれで好きですよ。曲はもう名曲揃いなわけで……ただね……これまでMETALLICAのパンクカバーというと、MISFITSとかANTI NOWHERE LEAGUEとかDISCHARGEみたいなコアなバンドばかりだったからね、ここまでメジャーで直球なカバーは意外というか……笑っちゃうんですよね、聴いてて。面白いんだけどさ。ユルすぎよマジで。

そういえば現在行われている来日公演、13日の大阪ではこのEPから「Commando」が演奏されたそうですね。確かに、ここから何かやるとしたら「Commando」か「We're A Happy Family」くらいだよなぁ。メジャー度からいったら後者なんだろうけどさ。まぁとにかくアレです。このシングルは新作からファンになった人というよりも、METALLICAの音源なら何でも持ってないと気が済まないって人とか、彼等のカバーソングなら全部聴いてみたいっていう人にはうってつけなんじゃないでしょうか。あと『GARAGE INC.』での彼等が気に入ったって人もね。



▼METALLICA『St.Anger (EP)』
(amazon:国内盤

投稿: 2003 11 14 05:00 午前 [2003年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/11/09

ST.ANGER WORLD TOUR 2003@国立代々木競技場第一体育館(2003年11月7日)

METALLICAのライヴを観るのが一体いつ以来なのか、ふと考えてみたんだけど‥‥多分'91年12月31日、東京ドームで行われた「Final Countdown」イベント以来‥‥つまり、約12年振りに彼等のライヴを観るわけですよ。とはいってもその12年の間にも市販されているライヴビデオやブート、CSで放送されたライヴ等は何度も目にしていたので、そんなに時が流れたって気はしてないんだよね‥‥むしろあのカウントダウンの時からずっと時間が止まったままというか。

自分が初めて観に行った「外タレ」のロックコンサートが、正にMETALLICAの初来日公演で、多分あの瞬間に今の自分が進んでいる道が決まったんだろうな、そう思える程に衝撃的なライヴだったんですよ。その後、'89年にも今回と同じ代々木体育館で、あの「ジャスティス像」が倒れる瞬間を目撃し、約1時間近くあるアンコールに失禁寸前になり、文字通り「衝撃再び」なライヴを体験したんです。そして'91年大晦日‥‥全米ナンバーワンバンドになり、ヘヴィメタル界の大物に留まらず「ロック界の大物」にまで上り詰めようとしていたMETALLICA。しかしそんな右肩上がりの彼等と相反して、俺の彼等に対する想いは冷める一方で、結局その後行われた2度の来日('93年と'98年)には足を運ぶことはありませんでした。当時はギリギリまで悩んだりしたものの、今となっては「行かなくてよかった」と素直に思えます。何故なら、この空白の12年があったからこそ、今回の来日公演が何の偏見もなく、それこそ「15歳だった自分」や「17歳だった自分」と同じ視点で楽しむことができたのですから‥‥

来日直前に「精神的/肉体的疲労が原因による、ツアー中止」が発表されたり、またそれが覆されたりといろいろひと波乱もふた波乱もありました(実のところ、ラーズの首/肩の具合以上にメンバー全員の「燃え尽き症候群」が大きな原因だったようで、最初は日本公演を12月に延期して欲しいとプロモーターに訴えたんだけど、会場の確保が出来ない、じゃあ春先はどうだ?と再打診したらやはり無理っぽい‥‥ということ、じゃあ一回キャンセル~払い戻しをして再スケージューリングしましょう、というのが真相らしい)。実際、かなりこちらのテンションが落ちたりもしましたが、それでも新作や過去の作品を聴いて気持ちを切り替えて何とか当日を迎えました。会場は代々木体育館。14年半前、「JUSTICE TOUR」を観たのと同じ会場。しかも席のポジションまで殆ど一緒(北スタンド1階後方、前から数列目)‥‥いろいろと感慨深い思い出がフラッシュバックしてきましたよ、ええ。

入場したのは開演予定時間の10分前。あの頃との大きな違いは、酒呑んで入場しても誰も注意したりはしないってこと。ほろ酔い加減で席に着くと、客入れSEとしてDEF LEPPARDのファーストアルバムが延々と流されてる。何か嬉しくなったよ(ちなみに前日はBLACK SABBATHだったみたいね。5月のフィルモアでのVENOMやMOTORHEADといい、結局この人達何も変わってないのな!?ってのが何となく伺えるエピソードではないでしょうか?)。

開演時間を15分位過ぎた頃でしょうか。それまで鳴っていたDEF LEPPARDから急にAC/DCの "It's A Long Way To The Top (If You Wanna Rock'n'Roll)" に切り替わり(この曲がライヴ前に流れるのはもはや「お約束」な訳ですよ、オールドファンからすればね)、アリーナ前方の客は立ち上がって曲に合わせて手拍子するんですが‥‥フルコーラス流すもんだから、客の集中力も最後まで続かず、尻つぼみ気味に。しかし続く "The Ecstasy Of Gold" が大音量で流れ始めると、全員が立ち上がって大興奮。そして曲終わり間近にメンバーがひとり、またひとりとステージ上に登場。すると聴き覚えのあるあのギターハーモニーがフェイドインしてくる‥‥今日のライヴ1曲目は「...AND JUSTICE FOR ALL」トップの "Blackened"! 正に14年半前、同じ代々木で観た彼等と同じスタートなわけですよ! もうそれだけで俺、大興奮。ジェームズがお馴染みのあの変拍子リフを弾き始め、それに合わせてラーズもスネアを叩き始める‥‥音が気持ち小さいように感じられたんですが、これは途中で改善されたように感じました(が、前半はちょっと‥‥でしたね?)。特にバンドの調子が悪そうとかそんな印象は受けませんでした。懸念されたラーズの状態ですが、シビアに見ても特に問題なさそうですし、むしろ「年の割りには」凄いよな!と感心しっぱなし。まぁライヴでのラーズの緩さは今に始まったことじゃないですし(特に'90年代以降はずっとこんな感じだしね)。

"Blackened" に大興奮していると、今度は更に鼻血吹きそうな "The Four Horsemen" ですよ! ファースト「KILL'EM ALL」収録のこの曲は14年前に観た時も確かやってたとは思いますが、それでも今日この日、このポジションで演奏するってことに意味があるんです。「2曲目は何だ~?」とか考えてた俺の予想を完全に裏切ってくれましたね(俺は "Blackened" が1曲目だったら次は "Harvester Of Sorrow" かな?とか思ってたんですけどね)。古くて懐かしいんだけど今聴いても全然新鮮なこの曲のサビパートを客に歌わそうとするんですが、かなり歌えてなかったですね、お客さん。「St.Anger」以降の新規ファンが大半だと思うんですが、絶対に予習してないだろうな、こいつら‥‥とか思ってたら案の定そうだったし。さぞこの日のセットリストにはビックリしたことでしょうね! 続いて更に強烈な "Ride The Lightning"! セカンド「RIDE THE LIGHTNING」のタイトルトラック。多分日本で演奏されるのは初来日以来かな? 最初の曲入りのテンポがあまりにマッタリし過ぎで「う~ん‥‥」と唸りそうになってしまったけど、曲が進むにつれてドンドンテンポが走っていく辺りはさすがMETALLICAというか‥‥昔と全然変わってないのな。それにしても、この曲まで歌わそうとするのにはかなり無理があるように思うんだけど‥‥毎回やってるような代表曲ならまだしもねぇ。いや、俺はフルコーラス、完璧に歌ってましたが!

とにかくここまでの流れ、全く「読めない」展開なのよ。前日(11/6@代々木)のセットリストが「SUMMER SANITARIUM TOUR」まんまな内容だったこともあって、その延長線上かなと予想してたんだけど‥‥これ、完全に5月のフィルモアでのクラブギグを意識したような内容だよなぁ、と。そして続く4曲目 "Fade To Black" を聴いて、その思いは更に強まったよ。イントロでのジェームズのアルペジオ、そしてカークが奏でるメロディに大歓声。もう痺れまくり。聴かせる前半と、激しいさ愛しさと切なさと心強さと‥‥じゃなくて、力強さを誇示する後半とのコントラストも相変わらず素晴らしい。勿論久し振りに "Welcom Home (Sanitarium)" も聴きたいとは思ったけど‥‥仕方ない、来週のさいたまスーパーアリーナにも行くか!? 感動的な余韻を残した後、不穏なサウンドが会場内に響き渡り‥‥今度はサード「MASTER OF PUPPETS」から "The Thing That Should Not Be" ですよ! 何なんだ、今日のセットリストは!! マジで「次はこれだな!」って読みが全く利かない。 この曲、歌い出しのところで変なエフェクトをかけてるんだけど‥‥それが微妙に合ってないのね。本人達は狙ってるんだろうけど、タイミングはずれるは曲に微妙に合ってないわで‥‥ま、そんなドン臭さも如何にもというか。あ、ここまで全く触れてなかったけど、新加入のベーシスト、『鶴二郎』ことロバート・トゥルージロですが、ビジュアル的には完全にバンドに溶け込んでいて、全くノー問題。ジェイソン・ニューステッド時代の「クールな狂気感」も大好きだったけど、バンドが若返ったかのような(それでいて十分現代的な)動きには目を見張るものがありましたね。腰を低くしてがに股・カニ歩きをする様はかなり異様で笑いのネタにさえなりそうでしたが‥‥この人ってオジー・オズボーンのバンドにいた頃もこうだったっけ?(少なくとも昔SUICIDAL TENDENCIESのライヴで観た時はあんなじゃなかったよなぁ‥‥)

ここまでの5曲、バランスよく初期のアルバムから演奏し新作からファンになった初心者を完全に突き放したバンドも、6曲目にしてようやく新作から1曲披露。さすがに旧曲以上にリアクションが大きかったのには驚きましたが、それだけ「St.Anger」が人を惹き付けるだけのパワーを持っていたってことなんでしょうね。そんなわけでアルバムトップの "Frantic" を演奏。この曲の時、初めて「あー椅子が邪魔!」と窮屈さを感じました。それまでの5曲は暴れるというよりも、昔のままヘッドバンギングをしまくっていただけなので、特に暴れるといった感じでもなかったんですよね。でもね‥‥新作の曲ってやっぱり身体全身を使って動き回る、そういったタイプの曲だわ。それが嫌という程実感できましたね。アリーナにも椅子が設置されてるんでさすがにダイブする強者はいませんでしたが‥‥あーあ、さいたま公演楽しそうだなぁ‥‥

ここで続けて「St.Anger」からの曲に行くのかな‥‥と思わせて、実際に演奏されたのが名曲中の名曲、"Creeping Death" ですよ! "Frantic" にも劣らない程の大歓声。サビを歌わせるのは相変わらずですが、それでもこれまでの曲と比べたら相当歌えてたんじゃないですかね? 更にギターソロ後のミドルパートでの「Die!」コールはさすがに全員拳を振り上げての大合唱。いやー気持ちよかった。そしてその気持ちよさを引きずったまま、再び新作から "St.Anger" へ。この曲は複雑な展開をするのと、やはり「スタジオ特有の音響効果マジック」が特徴ということもあって、ライヴだとスタジオテイクよりもちょっと劣るかな‥‥という気も。特にサビパート(テンポが速くなるところね)でのラーズのバスドラがツーバスじゃなかった時点でねぇ‥‥あと、この曲の時ラーズのスネアの音が異様に小さく感じたんだけど、あれって単に弱いヒットだったからってこと? まぁそれでもライヴ特有の気持ちよさは体感できたし、やはり何よりも「暴れたい」って気持ちが強くてねぇ‥‥何度も言うけど、さいたま公演に行く人、絶対に暴れ楽しんで来てください!(怪我しない程度にね)

再び新作の曲で盛り上がった後は、再びファーストからの名曲 "Seek & Destroy"。曲前のMCでジェームズが「このアルバムは20年も前に出たんだけど、みんな持ってるかい?」って客に聞くんだけど、ここで大きな拍手が起こるのね。で、それに対してジェームズ「‥‥っておまえら何歳だよ!w」って突っ込んだりして。当然この場にいる人間、誰一人としてリアルタイムで買った奴なんていないだろうけどね。で、そんな "Seek & Destroy" ですが、やはりこの曲ってこれまではジェイソンあってこその曲って感じてたんだけど‥‥確かにジェイソンがリードボーカルを取ってた時期もある程、ジェイソンっていうイメージが強い曲だけど、今回はもっと初心に‥‥ぶっちゃけ初来日を果たすもっと前の、ほんのごく初期の頃に立ち返ったかのような演奏だったんじゃないでしょうか?(って俺もブートとかでしか観たことないんだけど) この曲が終わるとメンバーが袖にはけてステージが暗転するんだけど‥‥ここで本編終わりかな?って一瞬思ったら、聴き覚えのあるSE‥‥戦場の生々しい音が会場に響くわけですよ。当然、これだけで次が何の曲かみんな理解できたわけで、この日何度目かの大歓声が起こるんですね。SEはアルバムよりも相当長く流され、そして遂にあの印象深いアルペジオが響き出すわけです‥‥そう、"One" ですよ! 誰がこの流れでここにこの曲を持ってくると思う? 本当にオオーッと唸っちゃったね、俺。そして "One" での興奮冷めやらぬまま、間髪入れずに‥‥遂に、遂にキターッ!って感じの "Whiplash" ですよ!!! ここで俺、この日初めての鳥肌立ちまくり状態に。ヤバイ、マジでヤバかった。全身の毛穴という毛穴が開きまくり、失禁寸前。いや、ちょっと漏らしてたかも‥‥ってくらいに茫然自失。気づいたら一緒に大声で歌いながらヘドバンしまくり。ステージなんか全然観てないし。もう気づいたらアッという間に終わってた、そんな感じ。あーマジでヤバかった。まさか曲、METALLICAのライヴでこんな状態に陥るとは‥‥絶対に他人には見せられない姿だよこれは。

時計に目をやると、約90分。ここで本編が終了。正に理想的なステージ。これだけでも十分に満足なのに、まだアンコールがあるんだから。聞くところによると、今回のMETALLICAのライヴは数回に渡ってアンコールを行うらしく、前日も3回、計7曲もやったそうで‥‥一体何時間やるつもりなんだ? 本当に14年前の代々木のライヴを彷彿させますな。

アンコールに戻ってきたメンバーはそのままミドルヘヴィな "Harvester Of Sorrow" を演奏。それまでジェイソンが受け持っていたコーラスパートはそのままカークに引き継がれてました。最後の最後、曲終わりはジェームズの歌で終わるんですが、どうやらラーズが間違ってしまったらしく、そのままドラムを叩き続けてしまって、ちょっとだけグダグダな終わり方に。メンバー笑ってるのな。で、ラーズはそれを誤魔化そうとしてステージ前方にやってくるんだけど、ちょっと開き直り気味。カークに突っ込まれたりしつつ、いろいろふたりでかけ合い漫才を繰り広げ、ラーズのスティックを借りてそれを使ってカークが次の曲、"Nothing Else Matters" のイントロを弾いてみせて勝ち誇ったり、そんなの俺にも出来るぜ!みたいな感じでラーズがカークからギターを奪ってみたり、で代わりにカークがドラムセットに座って "Nothing Else Matters" をセッションしてみたり。いやーなかなか面白いものが観れました。聞くところによると前日の代々木公演が10週間振りのライヴでメンバー全員相当ナーバスになっていたらしいのですが(だからセットリストも10週間前と何ら変わりない構成だった)、この日は相当リラックスできたようですね。それはセットリストにも端的に表れてるし、何よりもこんな些細なやり取りからも十分に伺えますよね。

そんなかけ合い漫才終了後、ジェームズがひとりステージに登場し、今度は本当に "Nothing Else Matters" を弾こうとするのですが、ここでギターのスイッチングが上手く機能しておらず(クリーントーン~歪みの切り替えやボリュームコントロールですね)かなりノイズが入ったりして、一旦中断後、カークも加わって再開。今度は上手くいきました。で、ふと思ったのですが、新作の曲を除くとこの時点まで、一切'90年代以降の曲が演奏されてなかったんですよね。この辺りにも「フィルモアよ再び」みたいな流れを感じますよね? そして静かに曲が終わったかと思うと、「ガッ、ガッガッガーッ!」というあの聴き覚えのあるイントロが‥‥遂に来た、"Master Of Puppets" ですよ! しかも最近のライヴではスロウになるパート以降を全部端折ったショートバージョンではなく、アルバム同様完全版で披露されてるとのことで、この日もドキドキしてたらやってくれました、フルバージョン! 「Let's sing with me!」というジェームズの声に合わせて、スロウパートでのあの印象的なツインリードを一緒に大合唱したりして、それはもう大興奮。この瞬間がこの日二度目の鳥肌&失禁タイムでしたね!(だから本当に失禁したのかどうかはこの際聞かない方向で)

これだけでも十分に満足だっていうのに、袖に再び引っ込んだ彼等はまだまだアンコールに応える気満々ですよ。すぐに戻ってきた彼等はブラックアルバムから "Sad But True"、そして超名曲 "Enter Sandman" を2連発で披露。さすがに "Enter Sandman" に対するリアクションは新作に対するそれと同じくらい大きなもので、この曲はみんな歌えてたのがさすがというか。結局この日、ブラックアルバムから披露されたのは上記の3曲のみ、それ以降の「LOAD」「RELOAD」となると完全に無視。勿論他の公演では演奏されるでしょうけど、俺が観たこの日に関しては完全に80'sモードでしたね。俺からしたらもう大歓迎だし、完全に文句なしなんですが‥‥やっぱり新作からの曲がもっと聴きたかったなぁ‥‥と。日本公演をキャンセル(延期)するつもりだったから新曲のリハーサルが追いつかなかったというのもあるんでしょうけど‥‥それはまぁ来年以降に期待ってことで。個人的にはこれだけの内容を見せつけられたんですから、文句なしですよ。

曲を終えた彼等はピック等を客席に振り巻き、完全に袖に戻るモードだったんですが、客席から手製のバックドロップ(旗)を受け取ってご満悦(日の丸の真ん中にバンドのドクロのロゴが入ったもの)。それをバスドラに被せてそのまま3度目のアンコールへ突入。ジャムセッション風に弾き始めたのは、何とIRON MAIDENの "Run To The Hills"! といっても「GARAGE DAYS RE-REVISITED」でのシークレットトラック同様のグダグダバージョンなわけですが。でもこれ、ファンにすれば大収穫ですよ? まさかあのバージョン(イントロのみですが)を生で聴けるなんて思ってもみなかったわけですから。イントロのみ披露した後、ちゃんと演奏されたのがMISFITSのカバー、"Die, Die My Darling"。この曲、数あるMISFITSナンバーの中でも好きな曲トップ3に入るナンバーなので、これをMETALLICAがカバーしたのも嬉しかったんだけど、こうやって今日生で聴けたのも相当嬉しかったですね。

更にもう1曲くらいカバーをやってくれるのかな?とか思ってたら、何と最後の最後にやってくれました! ファーストアルバムの1曲目、"Hit The Lights" ですよ!!!!! うわーーっ、完全に我を忘れたわ。"Whiplash"、"Master Of Puppets" 完全版ときて、最後の最後に "Hit The Lights" ですよ!? 昔からのMETALLICAファンからすれば、こんなのフルコースのデザートにまたフルコース一式付いてくるようなものですよ!? あー楽しすぎる。あーバカバカしすぎる。何でこんなに凄いんだよ、アンタら! ホントのホントに最後まで全く先の読めないライヴをやりやがって‥‥畜生! また10代の頃と同じように恋しちゃったじゃないか、アンタらによぉ!!

約2時間20分、本当に素晴らしいライヴだったと思います。そりゃ'86年や'89年と比べれば思い入れとか初体験とかそういった感情が働くので同等と見ることはできないかもしれないけど、それでも12年前に観た時以上に興奮したし感動したし心ときめいたし。メタル離れした久しい俺だけど、ホントに心の底から「ヘヴィメタル、サイコーっ!!!」って叫びたい気分になったし。メタルのライヴに久々行ってみたけど、ああ、悪くないよな?って素直に思えた。今年はフジロックでANTHRAXを観ることが出来、更にMETALLICA‥‥残念ながらMEGADETHは解散してしまったけど、後はSLAYERもいるし。自分が10代の頃に衝撃を与え続けたメタルバンド達がそれぞれのやり方で未だ現役として活躍していることがどんなに嬉しいことか。そういう喜びを存分に噛みしめた、素晴らしい一夜でした。ライヴ後に呑んだビールがまた旨かったこと旨かったこと‥‥

多分、多分ですがMETALLICAはまた来年の夏に日本に戻ってくると思います。勝手に思ってるだけでしょうけど、とにかく来年の夏に来る時にはまた今回とは違ったセットリストになってるでしょうし、バンドの状態も更に良くなっていることでしょう。あー今から待ちきれないね! 今回見逃したって人、思いっきり後悔した方がいいよ。メタルだからとか何だとかって理由を後付けして敬遠してたそこのあなた、それでも「ロック好き」とか言い切れるの? バカだよバカ! こんなに振り切れた大バカなオッサン達を見過ごすなんて、それこそバカだよ! 今からでも遅くないです、さいたまか大阪か名古屋にまで足を運ぶべし!


[SETLIST]
00. The Ecstasy Of Gold (opening s.e.)
01. Blackened
02. The Four Horsemen
03. Ride The Lightning
04. Fade To Black
05. The Thing That Should Not Be
06. Frantic
07. Creeping Death
08. St.Anger
09. Seek & Destroy
10. One
11. Whiplash
-----encore-----
12. Harvester Of Sorrow
13. Nothing Else Matters
14. Master Of Puppets
-----encore-----
15. Sad But True
16. Enter Sandman
-----encore-----
17. Run To The Hill
 (cover of IRON MAIDEN / intro only)
 ~ Die, Die My Darling (cover of MISFITS)
18. Hit The LIghts



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投稿: 2003 11 09 01:48 午前 [2003年のライブ, Metallica] | 固定リンク

2003/06/06

METALLICA『S&M』(1999)

1999年11月(日本盤は12月)にリリースされた、METALLICA初の公式ライヴアルバム。なんだけど……ちょっと異色作でもあります。『S&M』なんていう思わせ振りなタイトルなんですが、まぁ単純に『Symphony & METALLICA』って意味ですね。決してサドマゾとは関係ないわけで(ま、ある意味サドマゾ的要素もあるんですが)。1999年4月21~22日に地元サンフランシスコにて行われた「ある企画ライヴ」を完全収録した2枚組作品となっています。

で、どういう「企画」だったかというと、METALLICAとオーケストラとの合体。104人にも及ぶ「サンフランシスコ交響楽団(SAN FRANCISCO SYMPHONY)」がMETALLICAに合わせて演奏するという企画なわけ。そのコンダクターに選ばれたのが、奇才マイケル・ケイメン。映画のサウンドトラックやロックバンドのオーケストラ・アレンジ等でよく名前を見かける、その筋ではかなり有名な人。彼との出会い(『METALLICA』での「Nothing Else Matter」オーケストラ・アレンジが初顔合わせ。当然今回も再演しています)から10年近く経ち、『LOAD』『RELOAD』『GARAGE INC.』とある程度「90年代のMETALLICA」に区切りがついたこともあり、また「よりアートな方向」へと移行しつつあった当時のMETALLICAのひとつの到達点として、過去DEEP PURPLEやイングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイ等が実験してきた「HM/HRとオーケストラとの融合/合体」をMETALLICAなりのやり方で試す。それが今回の試みだったようです。

アルバムには全21曲が収録されていますが、1曲目の「The Ecstasy Of Gold」はオーケストラのみなので、実質20曲ということになります。当日のライヴは第1部(ディスク1)、第2部(ディスク2)の2部構成で、途中に休憩が入る「クラシックのライヴらしい」構成。全体的に90年代の楽曲が多く(20曲中12曲)、それ以外は『RIDE THE LIGHTNING』から2曲(「For Whom The Bell Tolls」とインスト「The Call Of The Ktulu」)、『MASTER OF PUPPETS』から3曲(「Battery」「Master Of Puppets」「The Thing That Should Not Be」)、『…AND JUSTICE FOR ALL』からは「One」のみ。まぁこの時期の彼等らしい選曲ですよね。特に「For Whom The Bell Tolls」と「The Thing That Should Not Be」が。「90年代のMETALLICA」のプロトタイプとなった楽曲ですからね(ここに「Harvester Of Sorrow」が加わったら完璧ですね)。

これらの楽曲は、特にオーケストラとの共演だからといって新たにアレンジされているわけでもなく、METALLICA自体はこれまでのライヴ同様のプレイをしています。単純にオーケストラ側がそれに合わせて演奏し、音に厚みを加えるという、文字通りの共演のみ。特別なことは一切なし、というわけでもないか。このライヴ用に完全未発表の新曲が2曲演奏されてますしね。「No Leaf Clover」と「- Human」がそれ。共にミドルテンポでマイナーキーという「90年代のMETALLICA」にありがちなタイプ。が、個人的にはそんなに悪くないと思ってます。恐らくオーケストラとの共演を想定して書かれたものだと思うのですが、別にMETALLICA単体で演奏しても何ら問題のない楽曲ですよね。ということは、結局METALLICAはどこまでいってもMETALLICAのままなんだ、と。それが判っただけでも収穫だったんじゃないでしょうか?

純粋にライヴアルバムとして楽しむもよし、一風変わった企画盤(メタルとオーケストラとの合体)として楽しむもよし。これまでMETALLICAを避けて通ってきた人の入門編として手を出すもよし。意外と楽しめるアルバムだと思いますよ。実際俺も普通にライヴ盤として楽しんでますし。ディスク1の頭数曲の流れや、ディスク2のエンディング周辺(「Sad But True」「One」「Enter Sandman」「Battery」)の流れも圧巻ですしね。ホントにこんな曲順でライヴやられたら、卒倒しますね俺。

この時期……1996年の『LOAD』以降、彼等は毎年アルバムを出してるんですよね。1997年に『RELOAD』、1998年は『GARAGE INC.』、そして1999年はこの『S&M』。オリジナルアルバムとしては『RELOAD』以降、2003年6月になるまで新作が出なかったわけですが、音源としてはジェイソンが脱退するまで結構頻繁に出してるんですよね。2000年春には悪しき「I Disappear」(映画『MISSION:IMPOSSIBLE 2』サントラ収録)を発表してるし。結局90年代の彼等ってのは「如何に『よりメジャーな音』を自分達流に表現するか」という命題との戦いだったのかなぁ、という気がします。変にアーティスティックでありながらも、実は非常に判りやすい、悪く言えば単純な楽曲が多い90年代のMETALLICA。しかしそういった挑戦が結果として一般層への定着へと繋がったのですから、これはこれでよかったのかもしれません。じゃなかったら、単なるカバー集やこんなライヴ盤がアメリカで初登場2位(共に)、数百万セットも売れないでしょうし。完全にMETALLICAが受け入れられたってことでしょうから。

21世紀に入っていきなりジェイソン・ニューステッドが脱退、ジェームズ・ヘットフィールドがアル中でリハビリ施設に入る等、ネガが話題が続きました。しかし、2003年に入り6年振りのオリジナルアルバムも完成し、新メンバー(ロバート・トゥルージロ)も決まり、更に新しい「音」も手に入れた。さてさて、これからのMETALLICAはどういう道を歩んでいくんでしょうねぇ‥‥非常に楽しみです。



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投稿: 2003 06 06 04:51 午前 [1999年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/06/03

METALLICA『RELOAD』(1997)

1997年11月にリリースされた、METALLICA通算7枚目のオリジナルアルバム『RELOAD』。そのタイトルの通り、前作『LOAD』とほぼ同時期にレコーディングされたアルバム未収録曲と新たに書き下ろした数曲の新曲をまとめた、正しく「対」となる作品集。前作のレビューにも書いたように、本来は2枚組を想定してレコーディングされたもので、単純に「久しくレコーディングしていなかった為、肩慣らしとしてミドル~スローテンポの曲から録音し始めた」為、『LOAD』はああいう作風になった、とこの『RELOAD』リリース時のインタビューでは語られています。しかし、実際には「ライヴで映えるような速い曲が少ない」「思ったよりも個々の楽曲のパンチが弱い」等といった不評が耳に届いたのか、このアルバムは更に音楽的に拡散方向へ向かい、尚かつ個々の楽曲の完成度が高まっています。

そういえば、このアルバムが発表になる前、ネット上に「新作では久し振りにスラッシュチューンが復活している」なんて噂も上がったのですが、実際にはそういった曲は見当たらず、まぁここ数作ではかなり速い方に入るアルバムトップの「Fuel」がある程度。ファンの願望がこういった噂に繋がったんでしょうね。

当然ながら製作陣は『METALLICA』や『LOAD』とほぼ一緒。そりゃそうか。しかし、これら2作と決定的に違う点があります。それはゲストプレイヤーが参加してる点でしょう。まず、このアルバムからのファーストシングルとなった「The Memory Remains」にコーラスで参加したマリアンヌ・フェイスフル。当初はパティ・スミスに依頼しようと思ってたなんて声もあったようですが、そういう枯れた声を求めていたんでしょうね。で、結果としては見事にマッチしてるし、METALLICA特有の「もの悲しさ」を更に増長させ、成功だったといえるでしょう。楽曲もただのミドルヘヴィに終わらず、非常に練られたメロディが耳に残り、全体的にコンパクトにまとまっています。ただ長いだけでダラダラやってる感が強かった前作とは大違い。

更に異色作「Low Man's Lyric」にはバイオリンやハーディ・ガーディ奏者が参加しています。この曲自体、これまでのMETALLICAからは考えられないようなアイリッシュ・トラッド調の1曲で、インパクトの点では間違いなくこのアルバムの中で一番です(それが良いかどうかは別として)。ここまで来るともはや「世界で一番ヘヴィなバンド」の代名詞だったバンド名すら邪魔に思えてきますよね。

全体的にはミドルヘヴィ、スロー、ヘヴィブルーズ、ファストナンバーがバランス良く絶妙に配置されていて、少なくとも前作みたいに「途中でダレる」「同じような曲調が続く」といったマイナスポイントは目につきません。個々の楽曲もちゃんと練られているし。アルバムリリース前から既にライヴでは演奏され、駄曲のイメージが強かった「Devil's Dance」もスタジオテイクはそんなに悪いと感じないし。構成自体は全く同じはずなのにね。レコーディング時期の違いなのか、それともミックス等の技術的な違いなのかは判りませんが、本当にそんなに悪く感じない。

「過去の二番煎じ」が多かった前作ですが、今作でもおおっぴらにそれを実行しています。いや、むしろ開き直ってる節すらあるし。「The Unforgiven II」が正にそれで、タイトルからお判りの通り『METALLICA』収録のヒット曲「The Unforgiven」の続編なのです。たまたま作ったギターフレーズにメロディを載せて歌ってみて、後で聴き返したら「The Unforgiven」にそっくりだった、だったらいっそのことイントロとサビの歌詞はそのまま残して続編的な内容となる楽曲にしよう、ということになったらしいです。ま、悪い表現だと二番煎じになりますが、個人的にはそんなに酷い出来じゃないし、むしろ普通に聴ける楽曲なのでノー問題。こういうお遊びもアルバム2枚分もの楽曲を作ったからこそ許されるわけで。要するに「肝心の曲が良ければノー問題」なんですよ。

また、ジェイソンが作曲に絡んだ曲も今回は無事収録(『LOAD』には入ってなかった)。「Where The Wild Thing Are」がそれで、これも非常に風変わりな1曲。ニューウェーブっぽい浮遊感のあるメロディが印象的な前半部と、如何にも彼等らしいヘヴィな後半部との対比が非常にユニークで、ボーカルにかけたエフェクトも個性的。それにしても、ジェイソン在籍時に彼が関わった楽曲がたったの2曲だけっていうのも……そりゃ不満もたまるわな?

アッパーな曲も「Fuel」や「Prince Charming」等、非常に充実しています。もうちょっとテンポは落ちるものの、「Better Than You」と「Attitude」もこの部類に含めても問題ないでしょう。特に前者2曲は決してヘヴィメタリックではないものの、非常に優れもののハードロックチューン。最近(2003年5月)のウォームアップギグでも「Fuel」だけは何度か披露してるようです。初期のガムシャラな疾走チューンとは一線を画するものの、これはこれでいい曲ではないでしょうか?

当然のようにこのアルバムもリリースと同時にアメリカで1位を獲得し、短期間で数百万枚ものセールスを記録したようです。そしてMETALLICAはこのアルバムのリリース後である1998年5月に、ようやく来日を果たします(1993年春以来の来日。『LOAD』に伴うツアーでは来日は実現せず)。

改めて『LOAD』と『RELOAD』を振り返ってみると、2枚同時発売や2枚組としてリリースしないで正解だったな、と思うわけです。というのも、『LOAD』での失敗・不評を前にして、体制を立て直して『RELOAD』に向かったわけですから、後者が悪くなるはずがないのです。そりゃ確かに初期の作品群とは方向性も作品の質も全く違うし、それどころか『METALLICA』という壁を超えられずにいるのですが、今こうして聴いていると……これはこれで良かったかなぁ、と思うわけで。個人的にはモダンヘヴィネスやラップメタル方向に行かなかっただけでも感心というか(だからこそ、後の「I Disappear」には失望したわけですが)。

ただね、やっぱり意図的に「ヘヴィメタル」から遠ざかろうとし、「アート」に拘った作品作り(変に凝った曲作りや音楽性の拡散。CDブックレット内の写真をアントン・コービンが撮影していたり、PVが意味不明な不条理アート作品になっていたり、等々)には、正直疑問を感じていました。何気取ってんだよ!って。お前らがU2やR.E.M.、RADIOHEADになる必要はないんだよ。だって彼等は既に存在するんだから。そりゃね、メタルを新たな次元へと引っ張っていこうってのも判らないでもないけど(ってそういう意識は薄かったか、当時は)……もっと違った方法があったのではないか?と思うわけです。

ま、そういう試行錯誤があったからこそ、6年後に『ST.ANGER』という名盤を生み出すことになったんだから、良しとするか。その代償はかなり大きかったけどね。



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投稿: 2003 06 03 04:24 午前 [1997年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/06/02

METALLICA『LOAD』(1996)

1996年6月に前作『METALLICA』アルバムから約5年振りにリリースされた通算6枚目のオリジナルアルバム『LOAD』。天文学的ヒットを飛ばした後に発表する新作ということで、作る方も聴く方も相当緊張した1枚でしたね、当時は。

前作とほぼ同じような布陣(プロデューサーは同じくボブ・ロック)で、長期間に渡ってレコーディングされた楽曲は当時20数曲と言われていました。実際「2枚組アルバムとしてリリースすることも考えた」という発言があった程、多くの楽曲を制作したわけです。が、結局は1枚のアルバムとして発表。その中身も「CDというフォーマットの限界ギリギリまで収録した」14曲、79分にも及ぶ大作。アナログ時代だったら間違いなく2枚組でしたけどね。

このアルバムのテーマは“ルーズ”ということらしく、それまでの「ジャストのリズムでカッチリと作り込まれたMETALLICAサウンド」を解体することから始まります。それまでのアルバムは、まずラーズのドラムとジェームズのギターを先に録音し、その上にジェイソンのベースとカークのギターソロをダビングしていたそうで、カークに至っては「リズムギターは弾いていなかった」とのこと。これがあのカッチリしたMETALLICAサウンドの秘密だったのです(それはシングルに収録されてきたデモテイクからも伺えた事実でしょう。「One」のデモなんてラーズとジェームズの二人で作ったものですしね)。しかし、前作と同じことをやっても意味がないと感じたボブ・ロックは、メンバーに「バンドとして演奏」することを勧めます。また、同時にジェイソンからもバンドに対してサジェスチョンがあったそうで、それらを切っ掛けに心機一転、レコーディング方法を改めるのです。

このアルバムで聴かれる楽曲の殆どがミドルテンポからスローテンポ。リズムも以前のようにカクカクしたものではなく、どこかラフで肩の力が抜けたような印象を受けます。実際、アルバムトップの「Ain't My Bitch」からして以前の彼等とはかなり違った側面が伺えます。それまでのヘヴィメタル特有の楽曲構成に代わり、どことなくブルーズ/ロックンロール特有のコード進行を取り入れ始めたり、ギターソロではスライドバーを用いたり等、これ1曲だけでも「それまでとは違うんだぞ」という無言の主張が所々に散りばめられています。また、前作にあったようなミドルヘヴィの「2 x 4」もどこかリズムが引きずるような感じで、良く言えばブルージー、悪く言えば怠い印象を受けます。

そう、このアルバムのテーマである“ルーズ”なんですが……個人的にはこれが良い方向に機能しているとは思えないんですよね。確かに楽曲としては優れたものもあるんですが、アルバム全体を覆う空気感が‥‥バンド間の空気感に非常に似通ったものだったのではないでしょうか? そういえば、この当時のメンバー(特にラーズ)が聴いていた音楽が、これまたOASISやらBLACK GRAPEといったブリットポップだったというのも、何となくその空気感に影響してるのでは、と勘ぐりたくなったりします。

で、そういった怠いと感じさせてしまう要因のひとつに、楽曲の完成度の低さもあると思うんですね。いや、悪いとは言い切れないものの……やはり大成功を収めた『METALLICA』収録曲の二番煎じ的楽曲、悪く言えば「二次使用品」「アウトテイク」で大半を構成されたアルバムというイメージ。「The House Jack Built」にしろ「Cure」にしろ、唯一のファストナンバー「Wasting My Hate」にしろ、もっと上手くまとめることが出来たんじゃないか?という気がしますし、「King Nothing」に至っては前作からのシングルヒット「『Enter Sandman』パート2」といった作風ですからね。それが悪いとは言わないけど、やるならもっと徹底して作り込んで欲しかったな、と。更にそれらをラフでルーズに演奏するんだから、ねぇ? アルバムラストの「The Outlaw Torn」なんて10分近くもあるのに、本当にダラダラやってるって印象が強いんですよ。しかも全然耳に残らないし。しかもこの曲、本来はもっと長くて、79分というCDの収録時間に収める為に編集&フェードアウトして無理矢理10分以内に収めたという曰く付き。何だかなぁ。

……と、ここまで書いて悪いことしか書いてないことに気づいたので、良い点も幾つか挙げてみますね。

新境地と呼べるような楽曲も幾つかあるんですよね。まず、このアルバムからのファーストシングルとなった「Until It Sleeps」。これまでのMETALLICAからは考えられないタイプの楽曲ですよね。日本では某自動車のCMソングに起用されていたので、この曲なら知ってるっていう人も多いんじゃないでしょうか。良い意味でオルタナ系からの影響を上手く反映させたポップチューンになっていて、それが幸いしてかこの曲、初のシングルチャート・トップ10入りを果たしています。またこの曲ではジェイソン、フレットレスベースに初挑戦しています。ギターもレズリースピーカーを通したクリーントーン等、非常に工夫されています。

更にセカンドシングルとなった「Hero Of The Day」も新境地と言えるでしょう。メジャーキー進行の軽快なポップソングは、これがMETALLICAか!?と思わせるに十分な内容。初期の彼等を愛したファンはこれらを聴いてどう思ったんでしょうか。ちなみに俺は上記の2曲、非常に気に入っております。やるならここまで徹底してやって欲しかったのに、ねぇ?

そして唯一のバラードにしてサードシングルとなった「Mama Said」も異色作といえるでしょう。カントリーフレーバー&アコースティック色が強く表れていて、ギターもアコースティックギターやペダルスチールを用いたり、またチキンピッキングを多用したり等、とにかく徹底して作り込まれているんですね。何なんでしょう、この落差は!? 日本盤アルバムの帯に「『METALLICA』を超えるのは、メタリカだけだ。」というキャッチコピーがあるんですが、全曲こんな感じで作り込まれていたら、ホントの意味で『METALLICA』を超えたMETALLICAになっていたのにねぇ。

個人的にルーズ系の曲で一番好きなのが、7曲目の「Bleeding Me」。8分以上あるジャムセッション風のスローブルーズなんですが、これはこれで結構緊張感を持続させたプレイと歌を堪能できるんですよねぇ。そういう意味では、ホントに成功してる曲と失敗してる曲の落差が激しいアルバムです。

久し振りに何度か通して聴いてみたんですが、以前よりはポジティブに聴くことが出来たんだけど、やっぱり最高とは言い難いですね。これが当時1位と取ったのにも驚いたけど、それ以上にこのアルバムが日本で最も売れたMETALLICAのアルバムというのもねぇ。先のタイアップが影響してるのは見え見えなんですが……。

アーティストとしてのエゴが非常に強く表れたアルバムと呼べるのかもしれませんね。GUNS N'ROSESが『USE YOUR ILLUSION 1&2』を作ってしまったみたいに。あるいは続くアルバム『RELOAD』と合わせて考えると、METALLICA版『PHYSICAL GRAFFITI』(LED ZEPPELINの2枚組アルバム。新曲とそれまでのアウトテイクをひとまとめにした、ある種エゴの塊のような作品集。アルバムとしてのまとまりはなし)と呼べなくもない作品集というか。ま、これがあったから今があるというか……つうかこのアルバムが何よりも一番好き!って人に未だ会ったことないよなぁ……。



▼METALLICA『LOAD』
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投稿: 2003 06 02 04:15 午前 [1996年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/05/30

METALLICA『METALLICA』(1991)

METALLICAが1991年8月にリリースした約3年振り、通算5枚目のオリジナルアルバムとなる『METALLICA』。ジャケットが真っ黒なこともあり(実際には左上にロゴマーク、右下には蛇のイラストがありますが、実物じゃないと見にくいんですよね)通称『ブラックアルバム』『ブラックMETALLICA』と呼ばれるこのアルバム。恐らく多くの若いファンにとって「METALLICAといえば、このアルバム」というような代表作なのではないでしょうか。実際、そう言われる理由もよく判ります。このアルバムがリリースされた年(1991年)に、その後の歴史を大きく変えるアルバムが数枚リリースされています。NIRVANAの『NEVER MIND』、PEARL JAMの『TEN』、そしてMETALLICAのこのアルバム。どう重要なのかは『GARAGE INC.』のレビューにちょっと書いているので、ここでは省きます。

前作『…AND JUSTICE FOR ALL』及びシングル「One」で大成功を収めた彼等。レコーディングに長期間を費やし制作されたのがこのアルバム。まずプロデューサーが変わり、新たにボブ・ロックが起用されています。ラーズが「MOTLEY CRUE『DR.FEELGOOD』のドラムサウンドを聴いてジェラシーを感じた」ことからボブに白羽の矢が立ったようですが、実際にはドラムサウンドのみならず、ボブ自身がミュージシャンだったことも影響し(ギタリストとしての腕前もなかなかのもので、その後自身が率いるバンドROCKHEADとしてアルバムもリリースしています。また新作『St.Anger』では脱退したジェイソンに替わりベーシストとしてレコーディングに参加しています)ギターサウンドにも尋常じゃないものを感じたのではないでしょうか?

とにかく、前作に感じられた不満が嘘のような、非常に低音が効いた重いサウンドを堪能できる1枚となっています(勿論ベースの音もハッキリ聞こえます)。更に楽曲の方にも新たな変化が感じられ、常にアルバムトップは速い曲がお約束だったMETALLICAが変化球を用意します。

アルバムトップにして第1弾シングルとなった「Enter Sandman」は、イントロこそクリーントーンでのアルペジオからスタートしますが(ちょっといつものパターンに近いかも)、その後ドラムやベースが入ってきても……そのままのミドルテンポのまま。そう、METALLICAお約束の転調・変拍子が全くないのです。結局終始同じテンポのまま。しかも非常に馴染みやすいポップなメロディ。これには多くのファンが驚いたのではないでしょうか。実際こうした要因が幸いし、この曲はチャートのトップ20入りし、もうちょっとで10位に手が届くところまでいきます。速くないけど、明らかにMETALLICA。聴けばMETALLICAだって判るもの。ある意味、その後の彼等の運命を決めてしまった1曲といえるでしょう。

アルバム全体を多くミドルヘヴィの嵐。速い曲といっても、それまでの高速スラッシュチューンと比べれば非常に「理性的な速さ」。メタルというよりはハードロックの範疇。そんな速い曲も3曲程度で、大半はミドル~スローの、引きずるようなヘヴィチューン。しかし、そのどれもが判りやすいポップな歌メロを持っているのですから、如何に彼等がこのアルバムに対して本気で取り組んだかが伺えるでしょう。

もうひとつ特筆すべき点は、初のバラードらしいバラードの登場でしょうか。これまでも『RIDE THE LIGHTNING』収録の「Fade To Black」や、比較的バラードに近い作風だった「Welcome Home (Sanitarium)」(『MASTER OF PUPPETS』収録)や「One」がありましたが、ここに収められた2曲(「The Unforgiven」「Nothing Else Matters」)は特にメタルらしい展開もない、純粋なバラードと呼べるでしょう。若干「The Unforgiven」の方がヘヴィメタリックな作風ですが、後者「Nothing Else Matters」に関しては「何もMETALLICAがこんな曲をやらなくても」と思わせるような作風となっています。それに伴ってか、ジェームズのボーカルも非常に味わい深いものになっていて、「これがあのがなるだけだった男の歌声か!?」と思わせる程に感情豊かな歌を聴かせてくれます。

決してポップフィールドで本格的な勝負に出たいと思ったからこうなったのではなく、単純にデビューして8年経った男達の「成長」であり「進化」だったのではないでしょうか。事実、この頃のインタビューでメンバーはよく「最近はメタルよりもシアトル周辺のバンドばかり聴いてるよ。SOUNDGARDENやALICE IN CHAINS、NIRVANAとかね」と発言しています。ちなみにこの頃はまだNIRVANA、『BLEACH』しか出てない頃です。俺もこの発言を目にして『BLEACH』を探し回った程ですから。

シングルをバンバン切っていったのも、この頃の特徴。「Enter Sandman」から始まり「The Unforgiven」「Nothing Else Matters」「Wherever I May Roam」「Sad But True」の順番で5枚ものシングルをリカットしているのです(そのどれもがトップ100入りを果たしています)。当然のようにアルバムは大ヒット。何せ全米チャート初登場1位ですから。100週近くトップ100内に居座って、当時だけでも1,000万枚近いセールスを記録した程。その後も売れ続け、12年経った今現在約1500万枚近いセールスを記録しているとか(しかもアメリカだけで。他の国を入れたらもっとですよね)。このアルバムが代表作と呼ばれる理由がお判りいただけましたか?

今聴くと聴きやすい、非常にポップなアルバムなんですが……リリース当時、20歳になったばかりの俺は、真夏の暑い日、リリースされてすぐのこのアルバムを買って帰り、狭いアパートの一室で大音量で聴いたわけですが‥‥その日は通して1回しか聴けなかったんですよ。もうね、当時の俺には重すぎて。サウンド的にも楽曲的にも、想像以上に重かったんですよ。で、それが60分前後続くわけで……そりゃ1回聴いたら胸焼け起こす程、お腹いっぱいになるわな普通。今じゃ考えられないだろうけど、ホントにそうだったんですよ。それくらいエポックメイキングな作品だったわけ、当時の俺にとって(その後、同じようなインパクトを与えてくれたのはGUNS N'ROSES、PANTERA、そしてNIRVANA『IN UTERO』くらいでしょうか)。

このアルバムに関してはホント語りたいことが山ほどあるんだけど、まずは聴いて欲しい。メタル云々じゃなくて、その後のロックの歴史を作った1枚として接して欲しいなぁ。偏見なしに、もの凄いアルバムの「尋常じゃないもの凄さ」を大音量で体感して欲しいと思います。



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投稿: 2003 05 30 04:04 午前 [1991年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/05/10

METALLICA『...AND JUSTICE FOR ALL』(1988)

1988年夏にリリースされた、ジェイソン・ニューステッドを含む新体制での1作目(通算4作目)となるオリジナルアルバム『...AND JUSTICE FOR ALL』。メインソングライターのひとりであった前任ベーシスト、クリフ・バートン(1985年9月没)を欠き、いよいよジェイムズ・ヘットフィールド&ラーズ・ウルリッヒ体制へと移行していった過渡期的内容といえる1枚になっています。

まず、これまでとの大きな違い。全9曲(日本盤ボーナストラック除く)中、7曲が6分超、7分以上が4曲、10分近い曲が2曲という非常に大作指向の内容となっています。勿論これまでもそういった指向はあったのですが、特に今回はそれが顕著に表れている作りになっていて、尚かつ過去の彼等に必ず存在していた様式美性が減退、いや、殆ど見当たりません。非常に無機質・無感情といえるような渇いたサウンドと、乱暴な変拍子、ザクザクしながらも非常に渇いたギターサウンド、そこから生み出されるリフに次ぐリフ。ギターソロもどこか感情を押し殺したかのようなメロディになっています。勿論、そこに載るメロディは過去同様判りやすいものが多いのですが。

このアルバム、リリース当時は「問題作」として叩かれることが多かったように記憶しています。10分近くあるような楽曲でも「起承転結がない」とか、METALLICAらしい速い曲が殆どないとか(ラストの「Dyers Eve」程度でしょうか)、亡くなったクリフが残したメモを元に作られたインスト曲「To Live Is To Die」も垂れ流しに近い駄曲だとか(クリフのメモをジェームズが朗読するといった内容)……確かに前作『MASTER OF PUPPETS』と比べれば雲泥の差なのかもしれません。しかし、クリフを失いジェイソンという新しい才能を手に入れたバンドが、新しい地平へと向かう為に試行錯誤しているのは明らかに伺えるし、実際今聴くとそこまで悪くないと思います。恐らくそれは、今聴けば続く次作『METALLCIA』アルバムへの布石として捉えることが出来るからでしょう。

実際、このアルバムではミドルテンポのヘヴィでグルーヴィーな楽曲が中心になっているといえます。3曲目「Eye Of The Beholder」(ヨーロッパでのシングル第1弾)や6曲目「Harvester Of Sorrow」(同じくセカンドシングル)がその代表例でしょう。実際、その後のツアーでもこれらの楽曲はライヴで演奏される機会が多かったですし。アルバムトップの変拍子ナンバー「Blackened」にしろ、普通なら「速い曲」と認識されるんでしょうけど、中間部でのミドルテンポになるパートのインパクトが強いこともあって、一筋縄ではいかないようになってますし、それは「The Shortest Straw」や「The Frayed Ends Of Sanity」にしても同じかもしれません。

そういう面からこのアルバムを「駄作」と見下す人が多かった中、ある1曲が全てを変えてしまいます。そう、今や最重要曲のひとつといえる「One」。この曲がその後のMETALLICAの全てを変えてしまいます。

まず、1989年に入り彼等はこの楽曲でバンド史上初となるプロモーションビデオを制作するのです。これは当時かなり大きな話題になりました。今や当たり前となっているPVを、当初は敬遠していたMETALLICAがとうとう……といた感じで。そしてほぼ同時期、1989年2月に行われた米・グラミー賞会場で彼等はこの曲を生演奏するのです。それを観た「それまでMETALLICAに興味を示さなかった」人達から「あれは何だ?」「なんていう曲だ!?」という声が多く挙がり、アメリカでの最初のシングルとなったこの曲はチャートを上層、最終的にトップ50に入る大成功を手に入れるのです。シングルヒットのお陰で、チャートから落ちていたアルバムも再びヒットし、最終的には6位まで上昇し、200万枚近いセールスを記録するのでした。

一介のスラッシュメタルバンドだった彼等が、約6年の歳月をかけて「アンダーグラウンドの帝王」から一般的な成功を手に入れるようにまで成長したのです。結果、これ以降のスラッシュバンドはこのアルバムでのMETALLICAをお手本として「脱・スラッシュ」方向へと移行していくのです。

「ヤケクソ気味で大袈裟な80年代のMETALLICA」から「グルーヴ感を大切にした重いサウンドを信条とする90年代のMETALLICA」への橋渡し的作品として、非常に重要な作品であるのは確か。実際、クリフを失った彼等はよく頑張ったと思います。

しかし、この作品には最大の欠点があるのです。それは「ベースサウンドが全くといっていい程聞こえない」こと。この頃からハードロック/ヘヴィメタルの世界にも「5弦/6弦ベース」が広まりだします。それまでは比較的ジャズやフュージョンの世界で活用されることの多かった楽器ですが、どうしても「E」(ギターの6弦、ベースの4弦の開放音。ヘヴィメタルの世界ではEキーで作られる楽曲が多い)よりも低い低音を鳴らしたい、しかしチューニングを下げると上手いニュアンスが表現出来ない。そういった理由でジェイソンも当時から5弦ベースを使うことが多かったようです。しかし、これはミックスした人間が悪かったのか、まだHM/HRの世界で一般的でなかったからなのか、上手く活かし切れていない、ミックスし切れていないのです。ギターの低周波と被ってしまい、しかもベースが控え目にミックスされてることもあり、ちょっと聴いただけではベースの音を見つけることが出来ない……これって新人イジメかよ!?と当時話題になりましたよね(そういえば、同時期にリリースされたDOKKENの「BACK FOR THE ATTACK」での5弦ベースが使われ、やはり同じようにEより低い音が殆ど聞き取れなかったですよね)。

今みたいに5弦以上のベース、7弦ギターが当たり前のラウドロック界では考えられない事かもしれませんが、そういった先人達の苦労があって今があるということなんでしょう。願わくば、今後旧譜をリマスターする機会があったなら、是非このアルバムに関してはリミックスを施してベース音量をもっと上げてくださいね。そうすると、全く違った印象を得ることができるはずですから(ホント、このアルバムの曲を耳コピする時、すっげー苦労したんだから)。



▼METALLICA『...AND JUSTICE FOR ALL』
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投稿: 2003 05 10 03:55 午前 [1988年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/05/08

METALLICA『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』(1987)

1986年秋、事故によってベーシストのクリフ・バートンを失ったMETALLICA。すぐさま彼等は後任を探し、結果ジェイソン・ニューステッドが加入することに。そのまま初来日を済ませ、再びロードへと戻っていった彼等は大切なメンバーを失った悲しみを振り払うが如く、ツアーに専念。そして1987年夏には二度目の「MONSTERS OF ROCK」フェスティバルへの出演が決まるのです。それに際し、彼等は英国及びヨーロッパにてシングルをリリースしようとします。既に『MASTER OF PUPPETS』リリースから1年半、アルバムを再プロモートするには時間が経ちすぎ、改めてシングルカットするには時期が遅すぎる。そこで彼等は面白いことを思いつくのです。そう、カバーオンリーのシングルをリリースしてはどうだろう、と。

そういった気軽なアイディアの元、生まれたのがこのミニアルバム。夏フェスに合わせたヨーロッパツアー用に録音といった意味もあるし、それ以上に新加入したジェイソンをまずリラックスさせる為の肩慣らしという意味もあったようです(そりゃ、既にアンダーグラウンド・シーンからメジャーシーンへと上り詰め、セールスも知名度もうなぎ登りのバンドに加入すれば、否が応でもプレッシャーを感じるでしょう)。

彼等は過去、『GARAGE DAYS REVISITED』というシングルをリリースしています。ま、実際にはそういうタイトルではありませんでしたが……1984年、『RIDE THE LIGHTNING』からのシングル「Creeping Death」をリカットする際に、彼等のお気に入りアーティストであるDIAMOND HEADの「Am I Evil?」とBLITZKRIEGの「Blitzkrieg」をカバーし、そのシングルに収録しています。その際のコンセプトが「GARAGE DAYS REVISITED」……「ガレージ時代よ、再び」といったところでしょうか。つまり、アマチュア時代に立ち返って自分達に影響を与えたアーティストの楽曲をカバー/コピーして楽しもうという企画。今回の『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』はその『GARAGE DAYS REVISITED』の第二弾なのです(だから“RE-REVISITED”なのですよ)。

基本的には「NOT VERY PRODUCED BY METALLICA」ということで、殆ど生音に近い状態での録音、正に「ガレージでの練習風景そのまま」な状態になっているわけです。だからラーズのカウントも、ギターのスイッチングやピッキングノイズも、曲頭や最後のちょっとした会話もそのまま残されています。確かに過去のオリジナルアルバムと比べればチープ以外の何ものでもありませんが、逆にその生々しさが「その後のMETALLICA」に大きく影響するようになるのです。ま、その辺はもっと後の話になるんですが。

今回録音されたのは5アーティスト、5曲(実際には6曲。メドレーがあるので)。前回もカバーしたDIAMOND HEADの「Helpless」、同じくNWOBHM(New Wave Of British Heavy Metal)周辺からHOLOCAUSTの「The Small Hours」、パンク以降に登場したニューウェーブバンドKILLING JOKEの「The Wait」、70年代に活躍したハードロックバンドBUDGIEの「Crash Course In Brain Surgery」、そしてお馴染みMISFITSの「Last Caress」「Green Hell」のメドレー、という構成になってます(ちなみに一番最後にオマケ中のオマケ……気づいてる人も多いと思いますが、IRON MAIDENの「Run To The Hills」のイントロが、かなりふざけた感じで演奏されてます)。

意外なアーティスト名もありますが、この感じこそがMETALLICAのルーツであり、そしてその後の「クリフを欠いたMETALLICA」がどのような路線を進んで行くのかが垣間見れる1枚ではないでしょうか?

ちなみにこのEPは結局アルバム扱いでアメリカや日本でもリリースされ、本国ではビルボード28位まで上昇しています。カバーソング集でこの記録(前作とほぼ同じような順位・セールス)、大したもんですよ。

そしてMETALLICAは翌年、いよいよその後の大ブレイクに向けて新たな路線を見つけるる旅に出るのです。

あ、最後に補足。このアルバム、現在は廃盤ですのであしからず。1991年に「これまでカバーした楽曲を、後に1枚のアルバムにまとめてリリースする予定がある」との理由で世界的に廃盤にされてしまいました。で、結局それから7年後に『GARAGE INC.』という2枚組カバー集にて再び日の目を見ることになるのです(当然、全曲完全収録)。中古盤市場でも未だに高値で取引されているらしいこのアルバムですが、音さえ聴ければいいという人には『GARAGE INC.』をオススメします。1998年までに彼等が公式にリリースしたカバー音源は全て網羅されてますからね。



▼METALLICA『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』
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投稿: 2003 05 08 03:47 午前 [1987年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/05/07

METALLICA『MASTER OF PUPPETS』(1986)

既にHM/HRの枠を超え、「ロックの名盤」として挙げられることも多い、METALLICAが1986年に発表したサードアルバム。プロデュースにはバンド自身と共に、前作『RIDE THE LIGHTNING』でエンジニアを務めたフレミング・ラスムッセンが選ばれ、ミックスには後に「ヘヴィメタル界のプロデュース/ミックスにこの人あり」と呼ばれるようになるマイケル・ワグナー(DOKKENやSKID ROW等で有名)を迎えている、正しく「1986年という時代を象徴する」アルバムとなっています。

このアルバムの何が凄いって、まず最初に一介のスラッシュメタルバンドだったMETALLICAが、米・ビルボードのアルバムチャートのトップ30入り(29位)を果たしてしまったこと。これはいくら当時ハードロックやメタルがもてはやされていたからといっても、まさかスラッシュメタルがチャート上位に食い込むなんて誰も考えていなかったもんだから、さぁ大変。勿論、それまでの地道な活動が認められた結果というのもあるし、このアルバムがメジャー配給になってから初めて制作された作品ということで、プロモートする側も気合いを入れたというのもあるんでしょう。が、実際のところ彼等の凄みは口コミレベルで広まっていったというのが真相のようです。事実、ここ日本でも「何かMETALLICAが凄いらしい」ということで聴き始めたって人が多かったと記憶してます。

そのプロモーションに関しても、シングルカットやPV制作といった宣伝行為は一切なし。完全にツアーオンリー。1986年というMTV全盛期に逆行するかのようなバンドスタイル。これが逆にファンから支持された要因なのかもしれませんね。例えばLAメタル以降、ハードロック系のバンドがシングルをチャート上位に進出させ、またMTVを観ればメタル系のPVがバンバン流れるようになっていた頃、METALLICAはロックバンドの基本であるツアー生活を選択したわけです。

更にこのアルバムの凄みは、全8曲で54分というトータルランニングにも隠されています。1曲約7分前後。8曲中6分を超える曲が5曲(残り3曲は全て5分台)、更に8分台の曲が3曲も収録されています。それもただ長いだけではなく、緩急に富んだ、非常に計算された曲作り・アレンジが成されているのです。初期の彼等に対して「こんなのメタルじゃねぇよ!」と嫌悪感を露わにした純粋なメタルファンは、勢いだけでむしろパンクに近かった『KILL'EM ALL』を敬遠したわけですが、もはやこのアルバムを前にしたら何も言えなくなるんじゃないでしょうか? これを「様式美」と呼ばず何と呼べばいいの!?

如何にもMETALLICAらしい1曲目「Battery」にしろその曲構成は完全に様式美性を重視したものですし、続く9分近いタイトルトラック「Master Of Puppets」なんて起承転結のハッキリした、まんま様式美メタルですよね。そして前作収録の「For Whom The Bell Tolls」の延長線上にあり、昨今の彼等に比較的近いミドルヘヴィな「The Thing That Should Not To Be」でドンヨリさせ、再び起承転結が素晴らしい様式美ナンバー「Welcome Home (Sanitarium)」では涙さえ溢れそうなギターソロを味わうことができます。ここまでがアナログではA面。

続くB面は再び8分台の疾走スラッシュチューン「Disposable Heroes」からスタートし、鋼鉄リフの嵐が気持ちいい「Leper Messiah」、8分以上に及ぶ様式美性の高いインストチューン「Orion」と続き、最後は勢いで押しまくる高速スラッシュナンバー「Damage, Inc.」で終了。音楽性の高さを重視しながらも初期から続くスラッシュ路線はそのまま維持している辺りはさすがだし、何よりも各メンバーの演奏力・表現力が格段に向上してるのが手に取るように判ると思います。

間違いなくここで彼等はスラッシュメタルバンドとしての「ひとつの未来」を表現したのです。結果、後続達は更に模倣に走ったり、あるいは違った角度から攻めたりして「未来のその先」を見つけ出そうと試行錯誤を繰り返していくのです。しかしこのアルバムの登場が結局スラッシュメタルというジャンルの寿命を早めたのは間違いなく、その後は更に拡散方向へと進んでいくことは誰に目にも明らかでした。

そんな中、スラッシュ四天王と呼ばれた他の3バンド、SLAYERは更にエクストリームな方向へ突き進み、名盤中の名盤『REIGN IN BLACK』を生みだし、MEGADETHは古巣(デイヴ・ムステインはデビュー前のMETALLICAメンバーだった)を横目にジャズやフュージョン等の要素を取り入れた「インテレクチュアル・スラッシュ」なる更に複雑な方向へと足を踏み入れ、ANTHRAXは地元ニューヨークのストリートに根ざしたスケーターズ・ロック的な身軽さで、ヒップホップの要素をいち早く取り入れたり等して、それぞれ独自の道を進んでいくのです。しかし、そのどのバンドにもいえるのは、ヘヴィメタル以外の何ものでもないという事実。これを前提に彼等はそれぞれの道を進んでいくのでした。

そんな中、この名盤を引っ提げて、いよいよMETALLICAは1986年秋に初来日を果たすのですが……この直前に、その後の運命を大きく変える悲劇がバンドを襲います。デビュー前からのベーシストでありソングライティングの一端を担う、ベーシストのクリフ・バートンの事故死。来日する直前の出来事でした。しかし彼等はその悲劇をも乗り越え、即座に新しいベーシストを捜し、その後15年近くに渡りMETALLICAを支えることになるジェイソン・ニューステッドが加入することになるのです。そしてジェイソンを迎えた布陣での来日公演。中野サンプラザで観た彼等は衝撃以外の何ものでもありませんでした。1曲目の「Battery」、たった1曲でこの俺の人生を台無しに、いや、大きく変えてしまったのですから。



▼METALLICA『MASTER OF PUPPETS』
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投稿: 2003 05 07 03:38 午前 [1986年の作品, Metallica] | 固定リンク

2003/05/06

METALLICA『RIDE THE LIGHTNING』(1984)

METALLICAが1984年秋にリリースしたセカンドアルバム。ファースト『KILL'EM ALL』での拙い演奏/楽曲が嘘みたいな完成度なんですよね。とにかく曲が練られている、サウンドプロダクションがしっかりしている(これはエンジニアを担当したフレミング・ラスムッセンによるものが大きいのでしょうね。フレミングはその後も80年代のMETALLICAサウンド影の功労者として活躍してますしね)、演奏力も向上している、等々‥‥挙げればキリがないんですが、ひとつ大きいことといえば、アメリカ以外の国、イギリスやヨーロッパでの成功が彼等に自信を与えたんでしょうね。アメリカ以上にイギリスのアンダーグラウンドシーンで名前が知れ渡り、専門誌やファンジン等で常に「話題の新人」として取り上げられ続け、遂に単独公演まで行ってしまう程、彼等の人気は鰻登りだったようですね。事実、アメリカでは1989年までアルバムからシングルカットを一切してこなかったMETALLICA。イギリスやヨーロッパではファーストの時点でシングルをリリースしてるんですよ(ファーストから「Jump In The Fire」、そしてこのセカンドからは「Creeping Death」をシングルカットしています)。今の時代だったらインターネットによって「アメリカの爆走メタルバンドがイギリスで大人気」って日本に配信され、ほぼ同時進行で情報を得ることができるんですが、まだこの頃は日本でもほぼ無名の状態。知る人ぞ知るといったところでしょうか。

METALLICAというバンドがオリジナリティに拘った結果がこのアルバムだと思うんですね。同時期に登場した他のスラッシュメタルバンドと比べても、明らかに先を行っていたし。例えばファーストではただひたすらヤケクソ気味に突っ走るだけだった楽曲が、ここでは起承転結のハッキリとした様式美性を前面に打ち出してきてるし(先の「Creeping Death」がそのいい例でしょう)、前作にはなかったミディアムヘヴィな「For Whom The Bell Tolls」は90年代の彼等のプロトタイプと呼べるような1曲ですし、更にバラード呼べる「Fade To Black」のようなタイプの楽曲まで登場します。普通にヘヴィメタルとして堪能できるだけの楽曲の幅広さ(バラエティ豊かさ)、聴くに耐えうるだけのサウンドや演奏、とにかく全てにおいて急成長してるんですね、たったの1年で。

静かなアルペジオから、それを引き裂くようなまさしくスラッシーなリフと、要所要所に登場する変拍子が印象的な疾走チューン「Fight Fire With Fire」、そのまま絶え間く続く様式美ナンバー「Ride The Lightning」、ファーストではただ突っ走るだけで軽さが残ったのに、ここではもっとドッシリとした印象のあるファストチューン「Trapped Under Ice」、彼等にしてはポップなメロディーが異色に映る「Escape」、そして壮大なインスト「The Call Of Ktulu」。更に上に挙げたような名曲達。特に「Creeping Death」や「For Whom The Bell Tolls」、「Fade To Black」は未だに演奏されることの多い人気曲・代表曲です。今聴いても全然古さを感じませんしね。

また歌詞の面でも成長が伺えますね。ただのロックバカ的な歌詞が多かったファーストと比べて、非常に文学的で深い意味合いを持つ歌詞が増えているんですよね。メンバーの人間としての成長も大きく関わってくると思うんですが、この辺の成長具合も見事としか言いようがありません。

前作ではただ速いだけで短い曲もあったんですが、このアルバムではより大作指向に進みつつあることが伺えます。1曲の長さを取ってみても6分以上ある曲が8曲中4曲と、半数を占めるんですね。しかもその内1曲(「The Call Of Ktulu」)はインストなのに約9分もあるんですから。この辺の大作指向はその後アルバムを重ねる毎に高まっていくわけですが、ま、それはまた次の機会に。ただひとつ言えるのは、そういった方向性がより彼等の個性を独特なものにしていった、フォロワーを生む程にまで成長していった、ということです。

このアルバムを聴いたメジャーレーベルが「即契約したい」と申し出て、インディーからリリースされていたものをそのままメジャーから再リリースしたのも頷ける内容ですよ。同時期に登場~活躍したSLAYERやMEGADETH、ANTHRAXといったスラッシュバンド達と切磋琢磨しながら、彼等はどんどん成長/成功の結果を形として残していくわけです。

ちなみにこのアルバム、ビルボードの100位が最高位。これ、実はリリース当時の順位じゃなくて1988年にリリースされた4作目『…AND JUSTICE FOR ALL』に後押しされる形で再チャートインした時の順位なんですよね(ちなみにファーストは120位が最高位)。この時はそれ以外にも3作目『MASTER OF PUPPETS』とカバー・ミニアルバム『GARAGE DAYS RE-REVISITED』も100位内に再チャートインしてるんですね。改めて考えると凄い結果だよなぁ。



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投稿: 2003 05 06 03:31 午前 [1984年の作品, Metallica] | 固定リンク

METALLICA『KILL'EM ALL』(1983)

リリースからもう20年も経つんですね……ということは、今年でMETALLICAはデビュー20周年ということになるんですか。「世界一ヘヴィなバンド」なんて呼ばれたのも今は昔、既に彼等が影響を与えたであろう若手バンドがよりヘヴィでしなやかなリズムを持ったサウンドを量産していますが、やはりMETALLICAというバンド名で続ける限りは今後もよりヘヴィでうるさいサウンドで勝負して欲しいところですね。

というわけで、そのMETALLICAのデビューアルバム『KILL'EM ALL』。実は当初はインディーズからのリリースだったということも既に若いファンには知られていない事実かもしれませんね?(ここ日本では当初、現在リリースされているソニーからではなく、今は亡きSSMというレコード会社から発売されたんですね。しかも『血染めの鉄槌(ハンマー)』という邦題で……) METALLICAはセカンド『RIDE THE LIGHTNING』までインデイーズからのリリースで、そのセカンドをリリースして暫くしてから現在の「ELEKTRA」(日本はソニー)というメジャーレーベルに移籍、その際にファーストとセカンドがメジャーから再発され現在に至るのです。いや、まぁそんな事実今更知らなくても、このアルバムは十分に楽しめますけどね。

とにかくね、若い。若いのよ、サウンドが! すっげー微笑ましいというか、もう勢い一発!みたいな荒々しいサウンドと楽曲が10曲収められているこのアルバム、俺は大好きなんですよ。このアルバムとほぼ同時期にSLAYERが『SHOW NO MERCY』をリリースしたことによって、所謂スラッシュメタルというジャンルが確立されたんですが‥‥個人的にはスラッシュとかメタルとか、そんなことは今更どうでもいいんですよ。だって彼等がスラッシュバンドであった時期なんて、'80年代だけですよ。その後の10年以上、彼等はよりヘヴィでグルーヴィーなラウドロックを生み出すまでに成長していったわけですからね。

このアルバムの素晴らしい点は、後先考えずに「とにかく今、自分達がカッコイイと思うサウンドをそのまま表現した」点でしょうね。誰かの物まねであろうが、演奏が下手くそであろうが、そんなことお構いなし。自分達がカッコイイ/気持ちいいと思える音、イコール、自分達と同じようなロックファンに受け入れられるはずという方程式が彼等の中には成り立っていたはずなんですね。その無謀なまでの自信が全て。で、実際にカッコイイんですわ、これが。サウンド的には一番安っぽいんだけど、逆にそこが生々しさを表現してる。曲も長かろうが短かろうが関係ない。スピードはとにかく突っ走る、無謀なまでに速く演奏する。歌というよりはもやはガナり叫ぶ。こういうリフでスタートして、ドラムがカッコよく入ってきて、サビで曲名をシャウトして、そのままカッコいいギターソロに延々突入……絵に描いたような曲構成。今時高校生だってここまで真っ直ぐな曲は書かないだろうと思わせる、影響丸出しの楽曲。けどそこがいいんだよね。

その後15年経ってからリリースされたカバー集『GARAGE INC.』を聴くと、意外とこのファーストとの共通点が多いことに驚くんだよね。そういうアルバムなんだよ、このファーストアルバムは。

MOTORHEADの疾走感、イギリスのヘヴィメタルバンドみたいな様式美。当時の彼等にはそれが全てだったんだよね。だからMOTORHEADをメタリックにしたヤケクソ暴走チューン「Hit The Light」から始まって、同じようなヤケクソ暴走チューン「Metal Mikitia」で終わるという構成も納得がいく。かと思うと、曲構成が複雑な「The Four Horsemen」や「Phantom Lord」「No Remorse」「Seek & Destroy」みたいな曲もあるし。これぞスラッシュメタル!的な名曲「Whiplash」もあるし、ベースソロ的なインストナンバー「(Anesthesia) - Pulling Teeth」まである。アルバムの半分以上が疾走チューン。突っ走りまくり。若いっていいなぁと思わせる内容。ホントいいんだこれが。何も考えずに楽しめる。

メタルだとかパンクだとかハードコアだとかラウドロックだとか……そんな括り、どうでもいいじゃない? 要は如何にカッコイイ音を説得力持って鳴らすか。そして何も考えずに楽しめるかでしょ? 最近、爆走系のロックンロールバンドが持てはやされてるけど……毛色は違うけど、間違いなくこのアルバムだってそういう爆走ロックンロールなんだよね。そう、ある意味でね。その後のMETALLICAの音楽性を考えると、とても異色作なんだろうけど(曲の完成度やサウンドプロダクション的にね)、何も考えないで作ったからこそ、聴き手も何も考えずに聴いて楽しめる。これはそういうアルバムです。反論はあるだろうけど、敢えて言います。名盤!

もうじきリリースされる6年振りのニューアルバム『ST.ANGER』においてMETALLICAは“BACK TO BASIC”というテーマで作品作りに挑んだそうです。「速い曲がまたやりたくなった」とか「原点回帰」とか「ガレージバンド時代みたい」という発言から……実は今度のアルバム、このファーストに一番近い作風なんじゃないかな、なんて思ってるんですが。勿論そのものをやるとは思いませんが、このファーストでやっていたようなことを、現代的なアレンジで聴かせてくれるんじゃないか。そんな淡い期待を寄せています。ま、期待が大きすぎて後でガッカリするのも何ですが、ここ最近の彼等の発言を耳にする度に「今度こそ俺の好きだったMETALLICAが戻ってくる……」そういう思いが強まっています。

新作がリリースされる前に今一度、彼等の原点を見つめ直してみませんか? そうか、この6年の間にロックを聴き始めた若いファン、特にラップメタル以降の若い子達が「何でMETALLICAがそんなに大騒ぎされるのか判らない」って思ってるかもしれませんね。そうだなぁ……去年のサマーソニックでのGUNS N'ROSESを思い出してみてください。ハッキリ言って、あれ以上だと思ってますから。

ライヴに関しても既に12年近く観てないんだよな俺。最後は東京ドームだったか……その後2回来日してるんだけど、全然行く気にならなかったし。次回は……新作次第だね。とにかく、今は俺と一緒にファーストから聴き直して復習&予習していきましょう!



▼METALLICA『KILL'EM ALL』
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投稿: 2003 05 06 03:21 午前 [1983年の作品, Metallica] | 固定リンク

1998/12/21

METALLICA『GARAGE INC.』(1998)

さて、今回はこの問題作(?)を取り上げたいと思います。まず作品に触れる前に、この『GARAGE INC.』に至る経緯を俺の言葉で説明させて下さい。何故俺が彼らを「好きでなくなった」のか、そしてこの新作で何を「再発見」したのか、全てを知るにはここから始めなければならないのです。

90年代に入ってからのMETALLICAの変化についていけないオールド・ファンはこのサイトをご覧の人にも多いと思うけど、俺に関して言うと、1991年の『METALLICA』(通称「ブラック・アルバム」)はついていけた。というよりも、このアルバムは名作だと今でも思ってます。確かに80年代の『RIDE THE LIGHTNING』や『MASTER OF PUPPETS』と比べると別のバンドの音だけど、これは1st『KILL'EM ALL』発表前後から繰り返してきたメンバー・チェンジ(デイヴ・ムステイン→カーク・ハメット、クリフ・バートン→ジェイソン・ニューステッド)が多少なりとも影響してるのでは? 少なくとも1stや2ndの楽曲にはデイヴがタッチした楽曲が多いし、3rdまでの楽曲と『…AND JUSTICE FOR ALL』の一部には、亡くなったクリフが中心となってソングライティング(特に作詞面)を行ってきたと聞くし。つまり4thでネタが尽きた(悪い言い方ですね)彼らは、ジェイソンという新しい血を交え、『…AND JUSTICE FOR ALL』から3年、クリフの死から5年かけて新しい「音」を手に入れたのです。確かに『METALLICA』アルバムには当時台頭してきたシアトル勢/オルタナ勢の影響が多少なりとも見え隠れするけど、それでも“METALLICAの音”を鳴らしているし。しかし不幸なことにこのアルバムが、その後のミュージックシーン及びMETALLICA自身を変えてしまったのです。

1991~92年というのは、その後のミュージックシーンをガラリと変えてしまった、歴史的名盤が数多くリリースされています。NIRVANA『NEVER MIND』、PEARL JAM『TEN』、PANTERA『VALGAR DISPLAY OF POWER』、そして『METALLICA』。80年代中盤から続いていたメタル・バブルに終止符を打ったのが、この4枚ではないかと今でも確信しています。否、今だからこそ言えるのかもしれないですね。オルタナ/ガレージ勢はNIRVANAやPEARL JAMを目指し、多くのメタルバンドはPANTERA風なギターサウンドを模写し、METALLICAみたいなミドル・テンポの楽曲ばかりの退屈なアルバムを量産。最近までこの傾向は続いてました。多くのバンドが上の4枚を模写しようとして失敗し、消えていった。しかし、良い面もない訳ではありません。彼らの成功によって、数多くのへヴィロックバンドがメインストリームにのし上がってきました。NINE INCH NAILSやRAGE AGAINST THE MACHINE、KORN、TOOL、MARILYN MANSON……ある意味、RADIOHEADのアメリカでの成功もこの恩恵を受けているのかもしれませんね?(事実、RADIOHEADは数多くのヘヴィロック・バンドに好かれているし。ANTHRAXやSLAYER、METALLICAなど)

このアルバムまでは常に「ジェネレーション・リーダー」だったMETALLICA。しかし、不幸はこの5年後に起こるのです。1996年の『LOAD』。80分近い大作。しかし……5年という月日は長すぎました。ラーズ・ウルリッヒ曰く「この5年という月日はあまりに大きい。1991年に俺達がアルバムをリリースした頃は、まだカート・コバーンはアンダーグラウンドの路地にいたよ」と。

このアルバムで彼らがとった方法。それは「ジェネレーション・フォロワー」に成り下がることでした(少なくとも、僕はこう感じた)。前作リリース後、約3年続いたツアー。その後1年の休暇をとり、再び1年かけて作品作り……なのに提示された楽曲郡は、中途半端なものばかりだった。全てが「~風」と特定のバンド名が思い浮かびそうな2流の、へヴィとも言い難い楽曲。酷いものになると、前作のヒット曲の焼き直し的ナンバーまである始末。そして当時のインタビューでの、へヴィメタルへのネガティヴな発言……「俺達は、もうメタルバンドと呼べないよ。そう、“メタリカ”ってジャンルの音楽をやってると思ってくれ」……こういう発言をして消えていった、多くの80年代のバンド達を忘れたのかい、君達は?

余談ですが、実はこの『LOAD』がここ日本で最も好セールスを記録した作品なのです。1996年当時で約20万枚を越えたそう。これはメタル勢としては異例の記録。それより上となると、ロック勢でもAEROSMITHやOASISクラスになるらしい。それだけこのアルバムが、メタルファン以外の一般層にもアピールしたということなのだろうけど……車のCMに「Until It Sleeps」が使われたのも、ヒットに影響したそうだし。確かに良い曲だけど。

続いて翌1997年には、早くも新作『RELOAD』をリリース。前作レコーディング時にストックされた楽曲を全てここで使い切る。前作で言われた「速い曲がない」という苦言を参考にしたのかどうかは知らないけど、『RELOAD』には速めの曲が数曲混じっている。とはいっても、ここではオールドファンが言う「速い曲」ではなく、一般的に「速い曲」。正直に言います。前作とどっちが好きか?と問われれば……トータル面では『RELOAD』だけど、楽曲の粒・実験度では『LOAD』に軍配を挙げたい。当初、2枚組としてリリースされる予定だったこの2枚だけど、そういうことをするくらいなら、良質の曲だけを1枚にまとめて欲しかった。実際、俺はMDに落とす際にそうしたけど。

この2作で、俺は完全に彼らから離れた。初来日から毎回足を運んだライヴにも90年代に入ってから行っていないし。アティチュードの変化を上で述べたけど、変わってしまったのはそれだけではなかったのです。彼らの、ライヴへの接し方も『METALLICA』アルバム以降、変わってきたのは確か。それは明らかに「音」に出ているし。ライヴアルバムとビデオがセットになったボックスセット『LIVE SHIT…』を聴く機会があったら、是非'88年のライヴと最新のライヴとを聴き比べて欲しいです。明らかに違うのです、出す「音」が……うまく口では説明できないけど。良く言えば「演奏が上手くなった」、悪く言えば「タイトさがなくなった/ルーズになった」。こればかりは個人の感覚だから、「へっ、そんな事ないでしょ?」と言われてしまえばそれまでだけど。

さて、ここからがやっと新作のレヴュー。個人的に言えば、METALLICAというバンドは自己紹介でも書いているとおり、「俺の人生を変えてしまった」バンドなのです。そのバンドの落ちぶれていく姿だけは見たくない。だからこの『GARAGE INC.』に対しても慎重に接してきました。

まず対象になるのがDISC-1の新録の方。選曲のセンス……90年代、特にここ2作の作風を考えれば、納得のいく選曲。逆に、今更DIAMOND HEADをやるあたりに作為を感じた。意外だったのは、MERCYFUL FATEとTHIN LIZZY。METALLICAがDISCHARGEをやるのも意外だった(DISCHARGEといえば、ANTHRAXのオハコでしょう!)。

実際に聴いてみた感触。音は90年代の彼らそのもの。オリジナルアルバムと同じプロダクションでレコーディングされている。ちょっと残念。何故なら……『GARAGE~』と名のつく以上、『THE $5.98 E.P.- GARAGE DAYS RE-REVISITED』と同様に一発録り、もしくは「NON-PRODUCED」とか言って欲しかったのだ。この名前を使う以上は、オールドファンはそこに拘ると思う。でも、正式なアルバムとして出す以上、今の彼らはそれを許さないのだろう。完璧主義……ラーズらしい。楽曲は殆どが完コピに近い。が、「Whiskey In The Jar」みたいに完全にオリジナルと化してる曲もあるし、「Sabbra Cadabra」や「MERCYFUL FATE」みたいにメドレー形式になってる曲もある。かなり考えて作られてる。遊びで作った以前のカバー集と違い、今回は正式なアルバムと同等の作品のようだ(実際、「Turn The Page」のビデオクリップまで作られてるし)。

正直な感想……カッコイイ、と思った。いや、素直に。METALLICAの新作聴いて、素直に「カッコイイ」と思えたのはほぼ10年振り。1曲目の「Free Speech For The Dumb」のイントロのギターでやられた! そして「It's Electric」! 「今更DIAMOND HEAD」と馬鹿にしていたが、さすがMETALLICA、やっぱりこういう曲やらしたら上手いわ。でも次の「Sabbra Cadabra」は蛇足かな? だって、ネタばらしでしょう、「2×4」の。中盤の「National Acrobat」に移ってからがカッコイイ。次、「Turn The Page」。これ、彼らのオリジナル新曲と言われても違和感がない位、ハマってる。この辺は『LOAD』~『RELOAD』路線だね。

「Die Die My Darling」、このアルバムで1番好き! MISFITSも既に3回目のカバーだけど、今この曲を選んだのは正解。もし10年前にやってたら、似合ってなかったと思う。6曲目「Loverman」。ニック・ヶイヴのカバー。これも『LOAD』~『RELOAD』路線だけど、俺にとってはちょっと退屈。1曲だけでよかった。さぁ、次はこのアルバム最大の見せ場、「MERCYFUL FATE」メドレー! これ、これなのですよ! 俺が好きになったMETALLICAは! このタイトさが最近の作品に欠けていたのだと思うのだけど、如何だろう? 最近の作品から入った若いファンには解らないと思うけど。確かにこのメドレーは数曲を1つにまとめているわけだけど、少なくとも初期のMETALLICAにはこういう曲が多かったような気がする。つまり、転調・展開の激しい楽曲が。今だから言うが、『METALLICA』アルバムを初めて聴いたとき、1曲目の「Enter Sandman」イントロのアルペジオを聴いて、「いつ展開するんだ? いつ速くなるんだ?」と期待したのだが。そうじゃありませんでした、オールドファンの皆さん?

8曲目「Astronomy」って選曲はどうなのかなぁ? 彼ら的に言えば「Godzilla」あたりが一番ハマルと思うのだけど。次が問題のTHIN LIZZYのカバー、「Whiskey In The Jar」。これはやり過ぎ!って位にいじってる。でも、原曲のイメージは残しつつ、彼ららしく「ドカドカうるさい」ヴァージョンになってる。10曲目「Tuesday's Gone」はアンプラグド・ライブから。ゲストにALICE IN CHAINSのメンバーも参加してるけど、まぁご愛嬌といった所か? ライブではやって欲しくないけど。そして最後がDISCHARGEの「The More I See」。2曲もやるんだ、と思った。何を意図してるのかは知らないけど。多分、SLAYERが数年前にハードコア/パンクのカバーアルバム出したから、それに対する返答かも?……なんてね。

長くなったけど、このアルバム、大好きだ。購入から約1ヶ月、今でもよく聴いてる。あえてDISC-2の内容には触れなかったけど、ここでこの2枚を比べても意味がないと思う。最初通して聴いたときは、明らかに「2枚の間にあるもの」が見え隠れしていた。それは、今の彼らが失ったもの、そして今の彼らが得たものだった。それをここで書くのはやめにしよう。何故なら、2000年に活動再開するというMETALLICAに期待しているから。この『GARAGE INC.』でこの路線(『METALLICA』~『LOAD』~『RELOAD』)はひとまず落ち着くそうだ。'80年代の彼らは攻撃の10年。90年代は成長・円熟・実験の10年。そして2000年からの10年(=Decade)にはどういう「音」を聴かせてくれるのだろう? このカバー集を聴く限りでは、まだまだMETALLICAは終わっていない。そう思いたい。



▼METALLICA『GARAGE INC.』
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投稿: 1998 12 21 04:41 午前 [1998年の作品, Metallica] | 固定リンク