2019年2月 9日 (土)

WEEZER『WEEZER (TEAL ALBUM)』(2019)

2019年1月24日に突如リリースされた、WEEZERのカバーアルバム(通算12枚目のスタジオアルバム)。今のところデジタルおよびストリーミングのみのリリースで(一応、3月にはフィジカルリリースの予定もあるようです)、セルフタイトルが冠されたことでシリーズの一環としてジャケットの色から“TEAL(=青緑) ALUBM”と呼ばれているようです。

WEEZERは昨年、TOTOの「Africa」や「Rosanna」をカバーして話題になりましたが、その流れからカバーアルバムの着想が生まれたのでしょうか。それとも来月リリース予定のオリジナルアルバム『WEEZER (BLACK ALBUM)』制作の合間に息抜きとして録音されたものなのでしょうか。その真相は不明ですが、まあとにかく40代の洋楽リスナーには懐かしい楽曲ばかりではないでしょうか。

取り上げられているアーティストはTOTO、TEARS FOR FEARSEURYTHMICS、A-HA、THE TURTLES、BLACK SABBATH、ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA、TLC、マイケル・ジャクソン、ベン・E・キングとバラエティに富んだもの。とはいえ、大半が80年代にヒットした楽曲ばかりで(ベン・E・キング「Stand By Me」も同名映画の主題歌として80年代半ばにリバイバルヒットしましたし)、リヴァース・クオモ(Vo, G)や筆者と同世代のリスナーにはたまらない内容と言えるでしょう。

そのアレンジも原曲に忠実なもので、4人の演奏を軸に再構築されたサウンドは「WEEZERのようでWEEZERとはちょっと違う」印象を受けます。特に「Sweet Dreams (Are Made Of This)」(原曲:EURYTHMICS)や「Take On Me」(原曲:A-HA)から感じるニューウェイヴ感は今までのWEEZERにありそうでなかったもの。前者に関してはアニー・レノックスそっくりな歌声まで再現されており、思わずクスッとしてしまうのではないでしょうか。かと思えば、後者ではどこか頼りない歌声が原曲とは違った味を醸し出しており、これもなかなかの仕上がりと言えます。

WEEZERとしての本領発揮と言えるのが、M-5「Happy Together」(原曲:THE TURTLES)やM-7「Mr. Blue Sly」(原曲:ELO)といったあたり。パワーポップバンドとしてのルーツが垣間見れる良カバーと言えるでしょう。かと思えば、ハードロックバンドとしての側面を「Paranoid」(原曲:BLACK SABBATH)で、昨今のモダンなR&B調ポップサウンドを「No Scrubs」(原曲:TLC)でストレートに表現する……なんて感心していたら、「Billie Jean」(原曲:マイケル・ジャクソン)のボーカルを含む完コピぶりに爆笑させられる。で、最後は若干エレクトリックな香りのする「Stand By Me」で終了。いやあ、最初から最後まで飽きさせないトリッキーな1枚ですね、これは。

原曲が良いんだから、あとは味付け次第。そこでどうWEEZERらしさを出すか……なんて難しいことを考えていた自分が馬鹿らしくなるくらいまっすぐ攻めてくる(いや、まっすぐ進んでいるようで脇道を100キロオーバーで突っ走る)、そんなアルバムです。『WEEZER (BLACK ALBUM)』を前に、良い気分転換になりました(笑)。



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投稿: 2019 02 09 12:00 午前 [2019年の作品, Black Sabbath, Eurythmics, Michael Jackson, Tears for Fears, Weezer] | 固定リンク

2004年9月 3日 (金)

とみぃ洋楽100番勝負(15)

●第15回「Beat It」 MICHAEL JACKSON('83)

 やはりこの人を避けて通ることは出来ないですよね。俺等の世代なら中学時代、絶対に通過してる‥‥というか、洋楽とか全然知らない人でも何故かダビングしたテープを持っていたのが「THRILLER」という驚異的なアルバム。後にも先にもこんなアルバム、ないんじゃないの?

 多分日本では'84年頃が最初のピークだったのかしら。ペプシのCMで火傷したりとか、"We Are The World" があったりとか、ポール・マッカートニーとの "Say Say Say" デュエットがあったりとか(代わりにマイケルのアルバムでは "The Girl is Mine" があったり)‥‥他にももっとあった記憶があるけど。あ、"Thriller" のPVとかね。PVって面白いなー、MTVって凄いなーって思わされたのは、間違いなくマイケルによる功績。

 正直「THRILLER」の曲だったら何でも良かったのよ。けどほら、やっぱりエディ・ヴァン・ヘイレン好きだった俺からすると、夢のようなコラボレーションだったわけですよ、"Beat It" って。ある意味、VAN HALENのこの頃の曲に匹敵する程の名ギターソロじゃないですか、これって。

 で、大人になって‥‥この曲のギター、エディが全部弾いてるわけじゃなくて、バッキングはスティーヴ・ルカサー(TOTO)が弾いてたと知った時の衝撃ね。TOTOってそんなに惹かれたことなかったんだけど、ここで見方が一気に変わったもん。そう、この曲のギタープレイ、俺はソロよりもリズムプレイの方が好きだったんだと悟った瞬間であります。この頃からかな、やっぱりギターはバッキングのセンスが肝だよな、と思うようになったのは。



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投稿: 2004 09 03 12:00 午前 [1983年の作品, Michael Jackson, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年5月 1日 (土)

MICHAEL JACKSON『HISTORY : PAST, PRESENT AND FUTURE BOOK 1』(1995)

今だからこそ語ってみたい、マイケル・ジャクソンの素晴らしさについて。

勿論、ここで話題にするのは最近のゴシップネタではなくて、純粋に『音楽』そのものについて。仮に今裁判で争われていることが事実だとしても‥‥これらの素晴らしい楽曲の数々を、我々から奪うことなんて、何者にも出来はしないよ。いや、出来てたまるか!ってぇんだ。

このアルバムは1995年6月にリリースされた、2枚組アルバム。「HISTORY」というそのタイトル、そして「PAST, PRESENT AND FUTURE」というサブタイトル通り、この2枚のディスクにはマイケルの過去、('95年当時の)現在、そして未来が約150分・30曲に渡って繰り広げられています。ディスク1には「HISTORY BEGINS」というタイトルがつけられ、彼がエピックからリリースした4枚のアルバム‥‥「OFF THE WALL」、「THRILLER」、「BAD」、「DANGEROUS」からの大ヒットナンバーが15曲選ばれています。当時の最新技術を用いたリマスター処理も施されていて、オリジナル アルバムを持っている人でもその音のクリアさに当時は驚いたものです。

曲目は可もなく不可もなく、といった印象。つうかどれも一度は耳にしたことがあるような曲ばかりだし、今更感は強いんだけど‥‥こうやって改めてこのディスクを聴いてみると、本当に優れたポップソングばかりで、一番古い音源‥‥ "Rock With You" や "Don't Stop 'Til You Get Enough" 辺りを2004年の今聴いても、全然古くさいと感じないんですよね。それは中学時代から数えてそれこそ20年近く聴き続けている「THRILLER」収録の楽曲群に関しても一緒。本当にこれらを聴いて、それを血や肉にしていって俺等は成長していったんだなぁ、と。特に自分と同じ世代の人達なら判ってもらえると思うけど、「THRILLER」や「BAD」といったアルバム、そしてそこから派生した "Billy Jean" や "Thriller"、"Bad" といった楽曲のPV。これらがあの頃の俺達にとって『全て』だったんだよね。後楽園球場での初来日公演とかさ、ペプシのCMとかさ、「キャプテンEO」とかさ‥‥

で、そんな『懐メロ』的要素だけで終わってないのがこの2枚組。残るもう1枚のディスク‥‥ディスク2には「HISTORY CONTINUES」というタイトルが付けられているのですが、もうね、そのまんま。15曲入りのニューアルバムなわけよ、これ。1曲既出曲(BEATLESのカバー "Come Together")があるけど、それ以外はこのベスト盤用に録音された新曲。これがね、とにかく凄いの何のって‥‥「THRILLER」や「BAD」といったアルバムは別格として‥‥'90年代以降にリリースされたマイケルのオリジナルアルバムの中では、もうダントツに1番好きですね、このディスクが。

とにかくね、挑発的/攻撃的な要素が強いんですよ、このディスク。確か当時も裁判で揉めてた時期だったのかな?(現在も続いている裁判の元となった事件ですよね確か)そういうこともあってか、とにかく攻めの要素が非常に強い作風で、尚かつ音楽的にも実験的なんですよね。

それ以外にも、脇を固めるゲスト陣の豪華さが過去最高。プロデュース陣はジャム&ルイス、ダラス・オースティン、R・ケリー、デヴィッド・フォスターといった大御所達が約半数を、残りをマイケル自身が手掛けていたりするし、ゲスト・ミュージシャンにも実の妹であるジャネット・ジャクソン、BOYZ II MEN、THE NOTORIOUS B.I.G.、シャキール・オニール、トレヴァー・ラビン(当時はYES)、ナイル・ロジャース(CHIC)、スラッシュ(当時はGUNS N'ROSES、現在はVELVET REVOLVER)、スティーヴ・ルカサー&デヴィッド・ペイチ(TOTO)等と、とにかく豪華。実際にはどの曲のどのパートを誰が弾いてるかまでは判らなかったりするんですが‥‥けどさ、別にその豪華さに気づかなくても、あるいは全然知らなくても平気なくらいに、本当に素晴らしいバックトラックで完成度が高い。勿論、そういった優れたプレイヤー達によって支えられてるからってのも大きいんだけどね。

兄同様、最近かなり話題になってしまった感のあるジャネットとのデュエット "Scream" からアルバムはスタートするんだけど、とにかくカッコいい。続く "They Don't Care About Us" もリズムがかなり強調されたアレンジで、イイ。その後も名曲が続くんだけど、最初の山場は5曲目 "Earth Song"。この壮大な楽曲がとにかく素晴らしい。マイケルのボーカルパフォーマンスも同様に素晴らしい。その後、また攻撃的なダンスチューンが続き、2度目の山場が‥‥9曲目 "You Are Not Alone" という名バラードからスタートする、スローチューン2連発。この後に、これまた素晴らしい "Childhood" という名曲が続くんですよ‥‥ここでメロメロになるね普通なら。前半の攻撃的で尖った空気をここで帳消しにしてくれるわけですよ。とはいってもその後にもヘヴィな "Tabloid Junkie" というまんまなタイトルの曲やら、もうカッコいいという以外の言葉が見つからないヒップホップチューン "2 Bad" を経て、最後の山場‥‥"History" 以降の流れね‥‥を迎えて、そのまま "Smile" で感動的なフィナーレを迎えるわけです。70分以上に及ぶ超大作なオリジナルアルバムとなってますが‥‥これがベスト盤のおまけ程度にしか思われてないのが残念でならないね。つうかさ、普通ディスク1のベスト盤の方がおまけだよね、ディスク2の新曲群を聴いてしまったら。そう思いませんこと??

‥‥と、かなり熱く力説してしまいましたが‥‥やはりこの人のミュージシャンとしての嗅覚って尋常じゃないよな‥‥と再認識。正直、ここ最近はスタッフやパートナーに恵まれてないように思いますが‥‥その気になったらもっと凄いアルバムを作ってくれるんじゃないか‥‥そう信じて疑わないよね、これ聴いちゃったら。

有罪か無罪か‥‥正直、そんなのどうでもいいよ。この2枚組をぶっ続けで聴いてたら本当にそう思えてきたよ。まぁ実際にはどうでもよくなかったりするんですが‥‥



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投稿: 2004 05 01 02:54 午前 [1995年の作品, Michael Jackson] | 固定リンク