Midnight Bankrobbers『冬のピノキオ』(2006)
多分、誰もが今のROSSOの状況に対して妙な違和感みたいなものを感じてるんじゃないかな‥‥少なくとも、俺はどうにもしっくりこないものがあるんだわ。昨年夏にいきなり登場した、このMidnight Bankrobbersというチバとイマイによる弾き語りユニット。単なるライブでのお楽しみ企画だと思ってたら、いきなりアルバムまで作っちまう。その後に発表された、ROSSOニューアルバム「Emissions」リリースの情報と、第2期ROSSOが今作でファイナルという事実。そして本日、照井がベンジー(浅井健一)のソロ作に参加していることが発表されて‥‥
本人達からのオフィシャルコメントがないので、何をどう信じていいか判らないし、本当にどうなっているのか全く見えてこない。これが今のROSSOを取り巻く現状。まぁとにかく、あと2週間もしたらリリースされるアルバムを待つしかないか。
その前に、この作品についてちょっと触れておきましょう。実は昨年末、このMidnight Bankrobbersをイベントで観るチャンスがあったんだけど‥‥遅刻して観れなかったんだわ。噂で「2人してエレキで弾き語りしてる」なんて話が伝わってきてたんだけど、実際に出来上がったアルバムは、まぁ確かにその言葉通りではあるんだけど、もっと自由度の高い、とても実験的なロックアルバムだったなぁと。多分ミッシェルやROSSOでのストレートなロックンロールを期待したファンには辛い内容かもしれないけど、こういう要素はミッシェル時代からあったはずだし、要するに見せ方・聴かせ方なんだと思うのね。これが現在の、2006年のチバの表現方法なんだろうな、と。
全17曲中10曲がインストナンバーという暴挙ぶりに、このユニットに対する自由度が伺えるし、歌モノにしてもポエトリーリーディング的なものが多い。中にはドラムが入ってる曲もあって、それを叩いてるのが元thee michelle gun elephantのクハラカズユキだというんだから、笑える。ま、だからといってこれがミッシェルというわけではないんだけど。
でも、同時にミッシェルでもROSSOでもあるんだよね、矛盾してるけど。要するにそれらのバンドの中にあるセンチメンタルな要素だったり、実験的な要素だったりを抜き出して、それを2006年に追求したらこうなった。そういうシンプルな作品なんじゃないかな。決してこれがやりたいからROSSO第2期が終わるとは思えないのね。最初聴いたときは、次につなげるためのアク抜き程度にしか思ってなかったし。けどこうなっちゃうと、このアルバムの存在が重要な意味を持つのかもしれないなぁ‥‥実際にはないんだろうけど。
評価は人によって分かれる内容だと思うけど、俺は好き。チバのこういう面が好きだったからさ。
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