2017/08/06

MOGWAI『ATOMIC: A SOUNDTRACK BY MOGWAI』(2016)

MOGWAIが2016年4月に発表した、全編インストゥルメンタル曲からなるサウンドトラックアルバム。これは広島への原爆投下から70年というタイミングにあわせ、2015年に英・BBCで放送されたドキュメンタリー作品『ATOMIC: LIVING IN DREAD AND PROMISE』でMOGWAIが手がけた劇中曲をリワークしたものです。

作品を制作するきっかけとなったのは、バンドメンバーが来日中に広島の平和記念公園を訪れたこと。この訪問に多大なるインスピレーションを受けた彼らは、同じく原子力をテーマとしたドキュメンタリー作品のサウンドトラックにその感情をぶつけます。

残念ながらこのドキュメンタリー作品をフルで見られてはいないのですが(ネット上には字幕なしの映像が上がってますが)、作品自体はあくまでイギリス人の視点による反原発を取り扱ったものだそうです。昨年の来日公演では本作を演奏する際に、スクリーンにこの映像が流されたようですね。

僕自身、8月6日生まれということもあって広島のことについては他人事と思えず、初めて平和記念公園を訪れた際には何とも言えない気持ちになって、しばらく何も話せなくなってしまったのですが(なので、数年前に再び訪れた際にはかなり冷静に観察することができました)、そういうこともあってこのアルバムを聴くときもちょっと尋常じゃない気持ちになってしまいます。

あくまで個人的な感想ですが、前作にあたるオリジナルアルバム『RAVE TAPES』(2014年)も悪くなかったけど、趣味やパーソナルな思い入れからすると本作はちょっと特別なものだったりするのです。

言葉がないぶん、その音の強弱や厚みの違いで表情の変化を読み取ることになる。原子力に関係するキーワードがそれぞれ曲名に用いられたことにより、そこを深読みすることで聴き手のイマジネーションが掻き立てられる。特に7曲目「Little Boy」や10曲目「Fat Man」は、日本人なら何か感じるものがあるのではないでしょうか。

レビューや感想と呼ぶにはおこがましい文章ですが、このアルバムを前にすると僕は本当に何も言えなくなってしまうのです。いや、言葉が出るよりも前に、まずは耳を傾けたくなってしまう。そういう大切な1枚なのです。

今日くらいは静かに、いや可能な限りの爆音で、このアルバムに耳を傾けてみてはどうでしょう。



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投稿: 2017 08 06 12:00 午前 [2016年の作品, Mogwai] | 固定リンク

2003/11/05

MOGWAI『HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE』(2003)

スコットランドの「ノイズ・テロリスト」、MOGWAIが'03年春にリリースした通算4作目のオリジナルアルバム「HAPPY SONGS FOR HAPPY PEOPLE」は、ある種それまでの活動に一区切りつけるかのような集大成的内容になっているだけでなく、それまでとは違う「色合い」も見出すことができます。前作「ROCK ACTION」はそれまでの轟音ギターサウンドを後退させ、ムーディーで聴かせる曲(そう、前作ではアルバムの半数がボーカル入りだった)、穏やかな空気感を持った曲に支配されていたけど、今度のアルバムはどうだろう‥‥確かに前作の延長線上にある作風でもあり、尚かつ前作以上に轟音サウンドをちゃんと取り入れつつ(ま、そうはいっても初期程のうるささや狂気は感じないですけどね)、曲もコンパクトにまとまっていて(殆どの曲が4~5分台)、非常に聴きやすくて取っ付きやすいアルバムになっています。

新作では普通のボーカル・トラックは皆無。ボコーダー等を使ったコラージュ的なナンバーは幾つかありますが、とても歌モノと呼べる代物ではなく、完全に「楽器のひとつ」として機能しています。

穏やかさや緩さといった点では前作に近い印象を受けますが、ドラマチックに盛り上がっていく曲が多く、例えば静かにギターのアルペジオから始まり、徐々に徐々にとノイズギターが被さっていってクライマックスを迎える "Killing All The Flies" や、3本のギターが微妙に違ったフレーズ(アルペジオ)を絡ませていき、轟音ギターが加わった瞬間に何かが取り憑いたかのような激しさを見せる "Ratts Of The Capital" といった辺りは最も「MOGWAIらしさ」を感じることの出来る楽曲なのではないでしょうか。この辺りの楽曲は「COME ON DIE YOUNG」辺りを好むファンにもアピールする内容かと思いますし、また前作しか知らない人には(って、そういう人は少ないと思いますが)驚きに値する楽曲かもしれませんね。

前作を覆っていた独特な暗さ・冷たさが減退し、多少なりとも幸福感のようなものを感じられる‥‥正にタイトル通りかもしれませんが‥‥それもこのアルバムの特徴のひとつと言っていいでしょう。それは良い意味での「殺伐さ」の減退かもしれませんし、またある種のファンにとっては「緊張感の緩和」を意味するものかもしれません。確かに初期のような怒りに満ちた轟音サウンドも彼等の魅力であり、自分自身もそういった面に魅了されたひとりなのですが、前作の路線も好む自分としてはこの新作のサウンドもまた「MOGWAIらしさ」を存分に感じ、楽しむことが出来るものとして成り立っているんですよね。

例えば5曲目 "Boring Machine Disturbs Sleep" で聴ける、まるで賛美歌のような穏やかさ、そして7曲目 "Golden Porsche" で感じることのできる優しさ、等‥‥そういった「これからのMOWAI」的な新しい面もまた、こういう形で取り込まれると「ああ、何かMOGWAIらしいよな‥‥」と思えちゃうんですよね。決して違和感は感じることなく、ごく自然な形で変化・進化してるように感じられますよね。

バンドはこのアルバムを「作っていて楽しかった」そうです。そういった「純粋に音楽を楽しむ心」が、このタイトルに繋がっているのかもしれません。しかし、ここで俺はひとつ、わざと曲解をしてみようと思います。「ハッピーや人々の為の、ハッピーな曲」というタイトルの作品集ではあるんですが、これって逆説的に捉えちゃってもいいんじゃないかな、と‥‥つまり「決してハッピーになれない人達に向けた、現実的な曲達」‥‥そんな中からほんの一筋の光を見出すように、このアルバムには轟音や静寂に紛れて、ひと握りの幸福感も添えられている。全てがハッピーの塊じゃないからこそ、そういった人々にとってよりリアルに響く‥‥そういう類のアルバムなのかなぁ、と。深読みし過ぎだとは思いますが、この音の渦の中に身を委ねていると、自然とそういう気持ちになってくるんですよね‥‥



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投稿: 2003 11 05 02:50 午前 [2003年の作品, Mogwai] | 固定リンク

2001/08/12

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 2@苗場スキー場(2001年7月28日)

◎NUMBER GIRL (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  定刻通りにメンバーがステージに登場。向井「福岡県●▲出身、ナンバーガール~」等と自己紹介。いきなり和む。しかしギターが鳴らされた瞬間、場の空気は一変した。のっけからファストナンバーを連発だ。PAのやぐら前あたりで観ていたのだが、始まった瞬間、ブロックのかなり前の方まで走っていた。

  向井の歌は、こうやってライブで聴いていると、何となくカートを思い浮かべることがあった。確かにNIRVANAと共通する要素はいくつかあると思うが、単なるフォロワーではなく、それなりにオリジナリティを持ったバンドだ。例えば、向井がただ1曲だけギターを持たずにビールを持って歌った「Destruction Baby」は、完全にレゲエ/ダブ要素を加えたアレンジに変えられていたし(またそれが気持ちよかった)、そういう「パワー一辺倒」では終わらないところに今後の彼らが進むべき道を見たような気がした。

  向井のMCもなかなか笑わせてくれる。乾杯三唱をさせられたときにはどうしようと思ったが、それも今となってはいい思い出だ。結局45分程度のステージで、「この後ホワイトステージに行くんで、これにて終了」と言ってバンドは去っていった(11:30からホワイトではeastern youthが演奏していたのだが、この後本当に向井はホワイトで目撃されている)。朝イチで観る長さとしては腹八分目で丁度いい感じだった。


◎MO'SOME TONEBENDER (at RED MARQUEE / 12:40~13:20)

  何の期待もせずに、ステージ前近くで開演を待った。ドラムがサウンドチェックしてるとき、あるフレーズを延々と叩いていたのだが……あれ、これって何の曲のリフだっけ……あぁ、そうか、NIRVANAの「In Bloom」だ。しかもハードヒットで、リズムキープにも独特な重さを感じる。本当にデイヴ・グロールのプレイを聞いてるようだった。

  ライブ本編では、幻想的なシーケンス音に導かれてメンバー3人がステージに登場。続いてベースが独特な重さを持ったフレーズを弾き始める。それに呼応するかのように、ドラムもユニゾンプレイを繰り返す。ボーカルは線が細い声で危うさを感じさせるが、逆にそこが魅力的。特にヒステリックにシャウトしたときの歌い方が好きだ。

  楽曲はグランジ+サイケといったイメージで、パンキッシュなファストナンバーから幻想的なミディアムスロウまで多彩さを感じる。ガレージっぽいバンドの曲って、どちらかというとモノトーン調なイメージがあるのだが、このバンドの曲にはいろんな色彩を感じ取ることができる。そのへんがサイケ的イメージと直結してるのかもしれない。とにかく、音を肌で感じていて気持ちいい(特にラストに演奏された「Echo」が圧巻だった)。この日は演奏時間を短く感じてしまうほど、入り込んでいた。もっと観たい。

  MCらしいMCも特になく、最後に「終わりっ!」の一言で現実に引き戻された。この感覚、こりゃドラッグミュージックですわ。本当、気持ちよかった。


◎ソウル・フラワー・モノノケ・サミット (at FIELD OF HEAVEN / 15:10~16:20)

  一応「モノノケ」名義なのだけど、メンバーが揃わなかったこともあって、結局この日限りのスペシャルメンバー&スペシャルセットで挑むこととなったソウルフラワー。ユニオン=バンド形態でモノノケ=チンドンスタイルの楽曲を演奏するそうだが、果たしてどうなることやら。

  ステージに登場した中川は、客を観て驚く。一番前にいたのでその時まで気づかなかったが、ふと振り返ると、すごい人の海。昨日のくるりに匹敵するほどの人が入ってる。裏ではパティ・スミスがやっているってのに、本当に物好きが集まったもんだ(自分を含めて)。ステージ上には左から洋子さん、ベースの河村、中川、ヒデ坊、山口洋(HEATWAVE)。後方はドラムのコーキの右隣にキーボードの奥野という、大所帯。

  最初はユニオンの「ロンドン・デリー」からゆったりとスタート……かと思いつつ、この曲サビではタテノリになるんだった。後ろから押し潰されそうになったり、前の奴が腰で俺を突き飛ばしたりで倒れそうになるものの、何とか持ちこたえる。こりゃ音を堪能してる場合じゃないな。暴れて、踊ってナンボの音楽。最後まで踊り狂ってやるか! そう覚悟を決めたら最後、汚い笑顔で踊り狂う。

  セットリストとしてはユニオンが7、モノノケが3といった比率で、上手い具合に交互に演奏されていた。モノノケの楽曲もユニオン用アレンジに変えられており(中川は三線だったが、山口はエレキ、ドラムもそのままといった感じ)、古来の民謡や仕事歌もこういうアレンジで聴かされるとユニオンの楽曲の中のひとつとして聴けるのだから、意外だ。

  特に印象的だったのは、やはり新譜「SCREWBALL COMEDY」からの楽曲。いい意味で「ロック然」としているのだ。新作は原点回帰とかいろいろ言われているが、確かにこれまでの作品の中では最もストレートでニューエスト・モデル色が濃い。それにライブとスタジオテイクの違和感の差がそれ程感じられない。先の野音でもここから何曲か聴いていたが、ただストレートでノリがいいだけじゃなく、記憶に(心に)残る曲ばかりだったこと、そこが大きいと思う。特に、野音で初めて聴いて心臓を鷲掴みにされた「荒れ地にて」は、ここ苗場の大自然の中、日中に聴いてもググッときた。いい曲というのは場所や時間、シチュエーションを選ばないってことなのか。しかも立て続けに「満月の夕」「竹田の子守歌」とやられた日にゃあ……放水された水が顔面を直撃したお陰でうまい具合に涙を隠せたはずだ。

  そうえいば、ステージ袖の奥の方に非常にノリノリで踊ってるキレイなおねぇちゃんがいるなぁ、と思って見とれていた。しかも見覚えあるんだよなぁ、前に会ったことなかったっけ?なんてデジャブに近い勘違いでボーッとしてたら、終盤「エエジャナイカ」で中川に呼ばれてステージに登場した。「from THE 3PEACE!」 あぁ、かおりさんか! 前夜祭に登場したTHE 3PEACEのボーカル&ギターの原と、ベースの永野が飛び入りで参加したのだった。永野かおり嬢はメスカリン・ドライヴ~ソウルフラワーの1枚目まで参加しているので、早い話がファミリーなのだ。気づけばヒデ坊、洋子さん、かおりさんとメスカリンの3人が揃ってる。最後にはお約束の「海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね」で大宴会。一度エンディングを迎えながらも、再び演奏を始めてしまう、いや、始めさせてしまう熱気。この文章だけで伝わるかな?

  「フジはいつも特別」とメンバーもファンも口にする通り、通常のライブとは違う熱気とおまけが付いたひととき。70分の予定が、「時間なんて気にしなくてもいいよな?」という中川の言葉通り、結局90分近い熱演となった。次のバンドまで1時間のインターバルがあったからよかったものの……「普段もこれくらい盛り上がってくれれば」との中川の言葉がすべてを物語ってるだろう。


01. ロンドン・デリー
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. ホライズン・マーチ
04. 水平歌 ~ 農民歌 ~ 革命歌 [モノノケ]
05. 戦火のかなた ~ I don't like (MESCALINE DRIVE)
06. 霧の滴
07. 殺人狂ルーレット
08. アリラン ~ 密陽アリラン [モノノケ]
09. 聞け万国の労働者 [モノノケ]
10. 風の市
11. 荒れ地にて
12. 満月の夕
13. 竹田の子守唄 [モノノケ]
14. インターナショナル [モノノケ]
15. エエジャナイカ
16. 海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね


◎MOGWAI (at WHITE STAGE / 18:50~19:40)

  ホワイトステージ手前の川で、メンバーのMCが聞こえてきた。どうやら丁度始まったとこみたいだ。7時前ってことで、いい具合に暗くなりつつあり、その静寂を断ち切るようにギターノイズが悲鳴を上げる。アルバムでしか聴いたことのなかったMOGWAI。どういうステージなのかまったく想像がつかなかった。

  メンバーは5人だったと思うが、ギターが3人(その内のひとりが曲によってキーボード、後半はチェロを弾いていた)とリズム隊で、ギターの轟音がとにかくすごい。それに合わせるかのように、照明のストロボが暗闇を裂く。新作「ROCK ACTION」からの楽曲がメインだったと思うが、とにかく楽曲云々よりも雰囲気を含めた全てを持ってMOGWAIのライブなんだな、という気がする。普通だったらマスターベーションと切り捨ててしまうようなギターノイズも、意外と計算されている印象を受けたし、ちゃんと楽曲として成り立っている。アルバム自体も日々好んでこればかりを聴くというタイプの音楽ではないが、この時この瞬間の気分やシチュエーションにはぴったりだったと、今はそう思う。

  万人を納得させる音楽では決してない。「ポストロック」なんてカテゴライズ、俺にはよく判らない。気持ちいいか否か、踊れるか否か。今の俺にとって、これがすべて。この日のMOGWAIは気持ちよかった。まぁ踊るどころか、呆気にとられて終始棒立ちに近い状態だったが。時々目を瞑り、その音圧のみを身体で感じてみたりもしたが、本当に気持ちよかった。頭を空っぽにして、ただ身体だけで感じる。せわしない日常の中で、こんな機会はそうはない。周りに何千、何万人いようがこうやって自分の空間を作り出すことができる。それがフジロックの好きなところだ。


◎渋さ知らズオーケストラ (at FIELD OF HEAVEN / 19:30~20:50)

  FOHに到着すると、まずその人の数に驚く。後ろの方まで人がいるのだ。しかもみんな気持ちよさそうに踊ってる。聞こえてくる音も気持ちよさげな音。響く音に合わせ踊りながら人混みに近づくと、ステージ上の人数に仰天する。少なく見積もっても20人はいるんじゃなかろうかという人の塊。決して広いとは言い難いFOHのステージ上、最前列にダンサーの女性陣が5~6人。その脇に歌&コーラスの男女がやはり7~8人。中央には指揮者。楽器隊はドラムがまったく見えず、ブラス隊、キーボードの女性が見えるのみ。間違いなくギターやベースといった楽器隊がいるはずなのだが。

  音楽は、もうノリノリでファンキーなソウルミュージック。レビュー形式で進んでいって(昨年サマソニのジェームズ・ブラウンみたいな感じ)、1曲が長くてそこにいろんなパートのソロを入れてく感じ。ここで初めてドラムが2人いることが判った(ドラムソロになったら、全員腰を屈めて後ろにもドラムが見えるように気遣うし)。

  曲の間に寸劇を挟んだりして、曲毎にメンバーが入れ替わったりする。途中、スーツ着てターバン巻いてたヒゲの男性が、石川さゆりの名曲「天城越え」を大熱唱。さらに後半、銀色の竜が客の頭上を飛び回る……が、すぐに心ない客の手によって破壊される。

  後半、山海塾(といって一体どれだけの人に理解してもらえるものか)も真っ青な全身白塗りダンサーが登場して、パフォーマンス。数曲のつもりが結局最後まで気持ちよく踊っちゃったもんなぁ。そのくらい、時間を忘れさせる程魅力的なライヴだったのだけは確か。こういうのは、家で聴くよりもこういう大自然の中で、大人数で消費するのが一番気持ちいいし、楽しい。


◎NEW ORDER (at WHITE STAGE / 22:20~24:00)

  16年振りですか、ここ日本にいらっしゃるのは。しかも今回はビリー・コーガンがギターで参加。ニール・ヤングと直前まで悩んだのだが、結局自身の“青春”を取ることとした。

  いやぁ、正直「Atomosphere」のイントロを聴いた瞬間、ジワッと涙が滲んだよ。懐かしさとかいろんなことがフラッシュバックして、その想いがとめどなく溢れそうになった。何で俺、NEW ORDERごときで泣かなきゃならねぇんだよ!って自分を疑ったが、こればっかりは仕方ない。暗黒の高校時代を思えば、それも致し方ないのかも。

  それにしてもビリー、あんま目立ってなかったね? スマパン時代はその「ガタイのデカさ」と「頭」だけが記憶に残る彼だが、この日はさすがサポートだけあって控えめ。一歩後ろに下がって、自身のプレイに徹する。時々コーラスを取ったり、バーニーとのデュエット的楽曲もあったが、最後まで帽子を被ったまま。あの威圧感がゼロだった。きっと、心底楽しんでるんだろうな、自分が憧れた、音楽を始める切っ掛けのひとつとなったバンドの一員としてフジロックみたいな大舞台に立てるんだから。スマパンの呪縛から解き放たれたような印象を受けたよ。こんな肩の力を抜いた雰囲気でのソロも見てみたい気がする。

  一方のNEW ORDERの面々は、ピーター・フック、暴れまくり。この日は参加できなかったギリアンがいないぶん、MARIONのギタリスト、フィル・カニンガムがキーボード&ギターとして参加。結局、JOY DIVISION+MARION+スマパンという、一見何が何やらな組み合わせだったのだけど……個人的には数々の名曲を思う存分聴けたこと、特にJOY DIVISION時代の「Isolation」「Love Will Tear Us Apart」といった大好きな曲を聴けたことが嬉しかった。勿論「Regret」や「Bizzare Love Triangle」「True Faith」「Temptation」等の代表曲も生で聴くと気持ちよかったし、新曲群も「これぞNEW ORDER!」的要素と「これからのNEW ORDER」を感じさせる要素が詰まった佳曲ばかりで、非常に期待が持てるものばかりだった。

  スタートが20分近く遅れた(実際には22:40頃スタート)ため、アンコールの時点で0時近かったが、そんなことお構いなし。前作からの「Ruined In A Day」他を披露後、最後の最後に超名曲「Blue Monday」。バーニー、ギターを置いて妙なステップで踊る。当然、声を振り絞って歌う。ロングバージョンとなった「Blue Monday」が終了した時点で、0時を10分程回っていた。結局90分というフルステージ状態のライブで底力を見せつけたNEW ORDER。「また16年後に会おう!」というバーニーの最後の一言、冗談に受け取れなかったんですけど。

  最後の最後に、ビリーにジャンプで飛びつくフッキー。帽子を取られたビリーを見て、あぁ、やっぱりビリーだな、と実感。

  聞けば裏のグリーンステージにおけるニール・ヤングも2時間半に渡る大熱演だったらしい。結局、どちらかを選ばなきゃならない運命だったのかなぁ。いやぁ、それにしてもいい夢観させてもらった!


01. Atomosphere
02. Crystal
03. Regret
04. Love Vigilantes
05. Isolation
06. Your Silent Face
07. Slow Jam
08. Turn My Way
09. Bizzare Love Triangle
10. Close Range
11. Touched By The Hand Of God
12. True Faith
13. Temptation
14. Love Will Tear Us Apart
---Encore---
15. Ruined In A Day
16. '60 Miles An Hour
17. Blue Monday


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 2001 08 12 12:00 午前 [2001年のライブ, FUJI ROCK FESTIVAL, HEATWAVE, MO'SOME TONEBENDER, Mogwai, New Order, Smashing Pumpkins, Soul Flower Union, ナンバーガール, 渋さ知らズ] | 固定リンク