THE MONKEES『THE MONKEES LIVE: THE MIKE & MICKY SHOW』(2020)
THE MONKEESのマイク・ネスミスが現地時間12月10日、78歳で亡くなりました。自分もYahoo!ニューズの公式コメンテーターとして、このニュースについてコメントを書かせていただいています(詳細はこちらの記事後半に掲載されているコメントより)。
THE MONKEESは自分が小学生低学年の頃、初めて能動的に触れた洋楽アーティストでした。もちろんきっかけは、当時再放送されていた『ザ・モンキーズ・ショー』を観て。TBSでの再放送だったか東京12チャンネル(現・テレビ東京)での再放送だったかの記憶は曖昧ですが、日本語吹き替えで小学生にも親しみやすかったシットコム形式の内容や、はっきりとキャラの違いが描かれていた4人の個性、そして胸躍るオープニングテーマや毎回後半に1曲紹介されるTHE MONKEESのヒット曲。これらが当時アニソンや戦隊モノ、歌謡曲しか知らなかった自分にはキラキラして見えて(聞こえて)、気づいたら日本独自企画のベストアルバムを小遣いを貯めて購入し、デイヴィ・ジョーンズにファンレター(当時通っていた学習塾の先生に、日本語で書いた手紙を英訳してもらい、それを見様見真似で清書した)を送ったりしたものでした。
僕にとって、能動的に聴き始めたという点において今の自分の音楽的原点となっているのが、その時期に触れたTHE MONKEESとYellow Magic Orchestra。どちらもかけがえのない、特別な存在なのです(YMOについては、また別の機会に)。
というわけで、マイク存命時最後のリリースとなったライブアルバムを紹介させてください。
本作は2020年4月3日にリリースされたアルバムで、ピーター・トーク死去(2019年2月)後最初の作品でした(日本盤未発売)。発売タイミングがちょうどコロナ禍に突入した最初の時期で、ロックダウンなどと重なったこともあり、僕自身リリースを知ったのはずいぶん後になってからでした。
本音源はピーター逝去後に行われたアメリカ公演(2019年3月および6月)で収録されたもの。タイトルどおり、マイク・ネスミスとミッキー・ドレンツの2人に大勢のサポートメンバーが加わることで、非常に豪華かつ聴きやすい形のアレンジで表現された名曲の数々は、オリジナル音源以上に新鮮に響きます。
ミッキーが歌う「Last Train To Clarksville」からスタートするというのも良いですし、かつミッキーの歌声が若い頃とさほど大きくイメージが違っていないことにも驚かされる。以降、ミッキーとマイクのリード歌唱曲が交互に披露されたり、ときに一緒に歌ったりと、極上のパワーポップチューン/カントリーポップナンバーが次々に繰り出されていきます。知っている曲も2人のボーカルで表現されることで新鮮に響き、若干新曲に触れているような錯覚にも陥ります。いやあ、いい曲多いな、本当に。
どの曲も2〜3分程度のコンパクトさということもあり、全25曲で78分というトータルランニングもそれほど疲れることなく楽しめるもの。いわゆるグレイテストヒッツ的な内容/作品とは異なるものの、THE MONKEESというバンドが最後の最後まで現役として生きた記録として、非常に大きな意味のある1枚ではないでしょうか。
なお、THE MONKEESは今年11月14日にフェアウェルツアーを終えたばかり。そこから1ヶ月経たずしてマイクはこの世を去ったわけですが、もしかしたらそのツアーの模様もいずれ何らかの形で発表されるかもしれません。が、今はこの最新ライブアルバムを聴いて、THE MONKEESの功績を讃えたいと思います。
▼THE MONKEES『THE MONKEES LIVE: THE MIKE & MICKY SHOW』
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