THE MONKEES『CHRISTMAS PARTY』(2018)
前作『GOOD TIMES!』(2016年)で本格的復活を果たしたTHE MONKEESが2年ぶりの新作として発表した、初のクリスマスアルバム。相変わらず正式メンバーはミッキー・ドレンツとピーター・トークの2人ですが、前作同様に脱退しているオリジナルメンバーのマイク・ネスミスも参加。さらに、2012年に亡くなったデイヴィ・ジョーンズのボーカルテイクを使った楽曲も含まれており、完全に“あのモンキーズ”のアルバムとして仕上げられています。
内容的にはクリスマスソングのスタンダードと、ポール・マッカートニー「Wonderful Christmastime」やBIG STAR「Jesus Christ」といったロック/ポップスのクリスマスソングカバーが中心。そこに、前作でもオリジナル曲を提供したアダム・シュレシンジャー(FOUNTAINS OF WAYNE)やアンディ・パートリッジ(XTC)、リヴァース・クオモ(WEEZER)がオリジナル曲を書き下ろし。さらに、今回は元R.E.M.のピーター・バックもソングライティング&ギターで参加するなど、アメリカンロック/パワーポップ界的には今回もたまらない内容となっています。
全体のプロデュースを手がけたのは、今回もアダム。演奏面でも全面的に彼が関わっており、プレイヤー陣の中にはジョディ・ポーター(G)やブライアン・ヤング(Dr)といったバンドメイトの名前も見つけることができます。今や解散状態のFOUNTAINS OF WAYNEなだけに、こういう形で再び共演が楽しめるのはファンとしては嬉しいかぎり。
数少ないオリジナル曲4曲は、オープニングを飾るアンディ・パートリッジ作「Unwrap You At Christmas」こそ“らしい”クリスマスソングですが、リバース・クオモ作「What Would Santa Do」はハンドベルこそ用いているものの、基本的にはWEEZERっぽいパワーポップ。アダム・シュレシンジャーによる「House Of Broken Gingerbread」もFOW風パワーポップで、特にクリスマスソングという印象は薄いかもしれません。
そしてもう1曲、ピーター・バックが関わるアルバムタイトルトラック「Christmas Party」もそのギターフレーズのせいもあってか、どこかR.E.M.を彷彿とさせるもの。これを歌うミッキー・ドレンツの声もどこかマイケル・スタイプっぽいような……気がしませんか?
もちろん、それ以外のカバー曲も原曲が素晴らしいですし、それを演奏するプレイヤー陣も優れているので、安心して楽しめるはず。若々しいデイヴィのボーカルを用いた「Mele Kalikimaka」や「Silver Bells」には、ちょっとウルっとしてしまいますけどね。アコースティックテイストにアレンジされた「Wonderful Christmastime」も素敵な仕上がりですし。安心安定の1枚として、この時期にお楽しみくださいませ。