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カテゴリー「Motley Crue」の57件の記事

2022年11月 8日 (火)

V.A.『THE RETALIATORS: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』(2022)

2022年9月16日にリリースされた映画『THE RETALIATORS』のサウンドトラックアルバム。日本盤未発売。

この映画はMOTLEY CRUEPAPA ROACHなどが所属するレコードレーベル・Better Noise Music系列のBetter Noise Filmsが制作したスリラーホラー映画。MOTLEY CRUEのトミー・リー(Dr)がストリップクラブのDJとしてスポット出演しているほか、FIVE FINGER DEATH PUNCH、PAPA ROACH、ESCAPE THE FATEのメンバーらも劇中で見つけることができる、ホラー映画マニア&メタルファンの筆者のような人間にはたまらない内容となっています(だからといって内容や完成度が高いとは思いませんが。笑)。

サントラに参加するアーティストもBetter Noise Musicに所属するバンド/アーティストばかりで、映画の面テーマである「The Retaliators Theme (21 Bullets)」はニッキー・シックス(B/MOTLEY CRUE、SIXX:A.M.)とジェイムズ・マイケル(Vo/SIXX:A.M.)の書き下ろしであると同時に、MOTLEY CRUEの面々やASKING ALEXANDRIAICE NINE KILLS、FROM ASHES TO NEWのフロントメンバーがコラボ参加。アルバムにはこのほかにもPAPA ROACHやTHE HU、EVA UNDER FIRE、FROM ASHES TO NEW、ASKING ALEXANDRIA、トミー・リー、CLASSLESS ACT、FIVE FINGER DEATH PUNCH、NOTHING MORE、CROSSBONE SKULLY、BAD WOLVES、コリィ・マークス、TEMPT、HYRO THE HERO、ALL GOOD THINGSなどが楽曲提供しています。

また、FROM ASHES TO NEWはアンダース・フリーデン(Vo/IN FLAMES)と、ASKING ALEXANDRIAはWITHIN TEMPTATIONと、CLASSLESS ACTはヴィンス・ニール(Vo/MOTLEY CRUE)、THE HUはジャコビー・シャディクス(Vo/PAPA ROACH)と、BAD WOLVESはスペンサー・チャーナス(Vo/ICE NINE KILLS)と、HYRO THE HEROはダニー・ワースノップ(Vo/ASKING ALEXANDRIA)&ミック・マーズ(G/MOTLEY CRUE)と、コリィ・マークスはタイラー・コノリー(Vo/THEORY OF A DEADMAN)&ジェイソン・フック(G/ex. FIVE FINGER DEATH PUNCH)と、ALL GOOD THINGSはHOLLYWOOD UNDEADと、それぞれコラボレーションが実現。CLASSLESS ACT×ヴィンス・ニール「Classless Act」は既発曲ですが、それ以外は本作のために新たに制作されたものが大半です。

僕は盤(CD)では購入しておらず、bandcampでDL購入したものを聴いているのですが、フィジカルは全18トラック、デジタル/ストリーミングは全27トラックとなっており、デジタル版には曲の合間に映画からのスキットが9トラック用意。CDのほうは単純に曲のみの収録なんでしょうかね。

ニッキーが新たに書き下ろした「The Retaliators Theme (21 Bullets)」はMOTLEY CRUEというよりはSIXX:A.M.寄りの楽曲なので、できることならSIXX:A.M.名義でレコーディングしてほしかったかな。

個人的な収穫はモダンメタルの王道といえるASKING ALEXANDRIA feat. WITHIN TEMPTATIONの「Faded Out」、AC/DCライクなクラシックロック感が強いCrossbone Skully「Evil World Machine」あたりかな。Crossbone Skullyは覆面バンドっぽくてまだその正体がわからない存在ですが、今度の動向を追ってみたいバンドのひとつです。

ニューメタル以降のモダンメタルに、ヒップホップに振り切ったトミー・リー、スリージーなハードロックを主旨するCLASSLESS ACTやCROSSBONE SKULLY、TEMPTなど、Better Noise Musicというレーベルのカタログ的な1枚は、映画云々を抜きにしても気持ちよく楽しめる良質なコンピだと思います。

 


▼V.A.『THE RETALIATORS: ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK』
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2022年6月29日 (水)

CLASSLESS ACT『WELCOME TO THE SHOW』(2022)

2022年6月24日にリリースされたCLASSLESS ACTの1stアルバム。日本盤未発売。

CLASSLESS ACTは2018年に結成された、ロサンゼルス出身の5人組ハードロックバンド。80年代を彷彿とさせる時代錯誤なヘアメタル/グラムメタルサウンドが魅力で、2021年にASKING ALEXANDRIAFIVE FINGER DEATH PUNCHSIXX:A.M.などが所属するBetter Noise Musicと契約。今年6月からスタートしたMOTLEY CRUEDEF LEPPARDPOISONジョーン・ジェットの全米スタジアムツアーのオープニングアクトに抜擢されるなど、現在大プッシュを受けている存在です。

先にも書いたような往年のスリージーなハードロックサウンドは、かつてのものをそのままリバイバルさせただけではなく、THE DARKNESSBUCKCHERRY以降の現代的な質感も備わっており、懐かしさと同時に若干の新鮮さも伝わる仕上がり。メタルというよりはロックンロール寄りの質感で、ブルースロックをベースにしたまとまりの良いアレンジと、一緒にシンガロングしたくなるようなキャッチーなフレーズを要するスタジアムロック的側面を併せ持つ、ある意味では新人離れした完成度と言えなくもありません。

また、デビュー作ながらもバンドのテーマソングともいえるオープニング曲「Classless Act」にはMOTLEY CRUEのヴィンス・ニール(Vo)がゲスト参加し、冒頭から華を添えています。さらに、続く「This Is For You」にはイギリスのTHE DARKNESSからジャスティン・ホーキンス(Vo)をフィーチャー。80〜90年代から2000年代を見事につなぐこの人選は、さすがの一言。世が世なら、これだけで白米5杯くらいいけそうです(笑)。

派手で豪快なアップチューンに加え、ヘヴィ&ダークな「On My Phone」やグルーヴィー&サイケポップな「All That We Are」、グラムポップ調の「Made In Hell」、シャッフルビートを活用したリズミカルな「Walking Contradiction」、豪快でアーシーなギターリフが80年代のHR/HM黄金期を思い出させる「Give It To Me」、渋みもはらんだパワーバラード「Circles」、アルバムラストにふさわしいパワーバラード調のミドルナンバー「Thoughts From A Dying Man」など、どの曲も非常に練り込まれている。単に80年代回帰で終わらず、90年代や2000年代以降のヘアメタル/グラムメタルもしっかり研究しており、その成果がどの曲にもしっかり反映されているから、とにかく聴き応えがあって最後まで飽きさせない。この手の新人ハードロックバンドのデビューアルバムとしては、上出来な1枚ではないでしょうか。

ある意味ではイギリスのTHE STRUTS、イタリアのMÅNESKINに対するLAからの解答と言えなくもない彼ら。だからこそ、日本含めもっといろんな形で注目されてほしいなと思わずにいられません。もしモトリーとLEPPSのスタジアムツアーが日本にも上陸するチャンスがあったら、その際にはぜひ帯同してもらいたいところです。

 


▼CLASSLESS ACT『WELCOME TO THE SHOW』
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2021年11月18日 (木)

MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年11月10日にリリースされた、MOTLEY CRUEの1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカルでの発売なしの、デジタル限定作品となっています。

今年6月に4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)と3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)、9月には5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)、そして10月に2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)の最新リマスター盤を立て続けにリリースしたMOTLEY CRUE。これらはバンド結成40周年の記念企画の一環として制作されたもので、今春のRecord Store Dayではこれら5作品のカセットテープが限定販売され話題を集めたばかりです。

これにて初期作品の最新リマスター盤企画はひとまず完結かな。最後にこの1stアルバムが選ばれたのは、リリース日の11月10日が40年前に今作が初めてリリースされた日だから。つまり、真の意味での40周年企画クライマックスなわけです。

さて、その40年前の音源の2021年最新リマスターの効果についてです。今回リマスターされた音源は、1981年初出時のオリジナルLeathürバージョンではなく、1982年のメジャーデビューに際してロイ・トーマス・ベイカーがリミックスを施したElektraバージョン。そもそもLeathürバージョンはすでにマスターテープが存在していないようなので、こうなりますわな(なので、過去ボックスなどでCD化された際のLeathürバージョンは、アナログ盤から起こした音なのです)。

気になるリマスタリング効果ですが、過去に触れてきた4作品同様に“音量をできる限りあげてコンプをかけて均一化したようなバランス感”でまとめ上げられています。なので、オリジナル版やその後のリマスターバージョンほど、ギターの尖った感が抑えられており、耳障りはだいぶ良いのではないでしょうか。「Starry Eyes」あたりを聴くと、そのへんの効果がよりわかりやすい気がします。

一方で、ドラムの低音がかなり効いており、イマドキのサウンドメイクに寄せられている印象も。「Live Wire」冒頭のツーバスでドコドコ突進するパートや、「Come On And Dance」でのドラムはこの効果がもっとも強く表れているような気がします。

まあ1981年のラフな録音をその後の作品と違和感なく聴かせること自体困難を極める作業ですし、ましてや『DR. FEELGOOD』のように鉄壁なサウンドと比較されたらたまったものじゃない。そう、この頃の音はオリジナルのチープさこそが売りであって、そこをなかったことにして現代的にドーピングするのはちょっと違うんじゃないかと思うんです。

なもんで、個人的には最初のLeathürバージョンの音が一番好きなんですよ。もっとも、僕がこれまで聴いてきた同作の音はレコード起こしの海賊盤と、正規版ながらも同様の起こしで若干のミックスを加えたバージョン。もしかしたら、レコードを通じて響く音がお気に入りなのかもしれません。『SHOUT AT THE DEVIL』のときにも

以前、レギュラーで出演しているDJイベントで本作のアナログ(1983年当時の日本プレス盤)を大音量で回したのですが、そこで耳にした音がこれまで聴いてきた『SHOUT AT THE DEVIL』の中ではベストだった、という一言だけは付け加えておきます。

と書きましたが、本作に関しても同様のことが言えると思います。だってこれ、CDが存在していなかった時代の作品ですからね。

まあ、なにはともあれ。これからMOTLEY CRUEのカタログに手を出そうとしている奇特な方(笑)には、ぜひこのデビュー作から順を追って彼らの進化を追体験してみてください。

 


▼MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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2021年10月11日 (月)

SIXX:A.M.『THIS IS GONNA HURT』(2011)

2011年5月3日にリリースされたSIXX:A.M.の2ndアルバム。日本盤は同年5月4日発売。

MOTLEY CRUEの頭脳ニッキー・シックス(B)が、プロデューサーやシンガーソングライターとしても活動するジェイムズ・マイケル(Vo)、当時GUNS N' ROSESにも参加していたDJアシュバ(G/ex. BULLETBOYS、ex. BEAUTIFUL CREATURESなど)とともに立ち上げたサイドプロジェクト。彼らのデビューアルバム『THE HEROIN DIARIES SOUNDTRACK』(2007年)は文字どおりニッキーの自伝的書籍『THE HEROIN DIARIES』のサウンドトラック的役割も果たしていましたが、その翌年に発表されたMOTLEY CRUEの(現時点での)最終作『SAINTS OF LOS ANGELES』(2008年)との共通点も見受けられ、ニッキーが今一番やりたいことはこの方向性なんだろうなということが伺える良質なメロディアスハードロックアルバムでした。

そんなサイドプロジェクト、1枚こっきりで終わるのかと思いきや、しっかり2作目も届けてくれました。しかも、今回もニッキーによるアルバムと同タイトルの書籍に紐づいた作品なのですが、前作以上の完成度を誇る傑作。びっくりです。

前作同様にジェイムズがボーカルやリズムギター、キーボード、ドラムを担当したことで、この3人のみでレコーディングは完結。しかもプロデューサー気質の強いメンバーが集まっていること、ソングライターとしても非凡な才能を発揮するニッキー&ジェイムズがいることで、前作をより濃厚に煮詰めたような、極上の作品に仕上がっているのです。

オープニングを飾るタイトルトラック「This Is Gonna Hurt」を筆頭に、メロディアスでツボを押さえた良質ハードロックチューンがずらりと並ぶ冒頭。特に4曲目「Live Forever」までの流れは圧巻ではないでしょうか。そして、5曲目でバラードタイプのミディアムナンバー「Sure Feels Right」で小休止し、豪快な「Deadlihood」で攻撃再開。アコースティックテイストの美しいバラード「Smile」、シンガロングしやすいフレーズが並ぶ「Help Is On The Way」、大陸的な壮大さを持つ「Oh My God」、ピアノの音色とオペラ調メロディラインがゴシック色を強めるアップチューン「Goodbye My Friends」、ピアノ&ストリングスが切なさとエモーショナルさを際立たせるスローバラード「Skin」と、とにかく良曲しか存在しない。かつ、曲の並び/構成も非常によく練られており、バラードタイプの楽曲が3曲と多めながらもすべてタイプが異なるので、そこまで多いと感じさせないのも良し。

要するにこのアルバム、傑作なわけです。ニッキー・シックスが関わってきた作品の中でも5本指に入るほどの完成度を誇る1枚だと思います。その結果が、全米10位というキャリア最高位を獲得するわけですから。

と同時に、本作はSIXX:A.M.というプロジェクトが初めてバンドになった瞬間を捉えたアルバムとも言えるのではないでしょうか。前作ほどの悲壮感もなく、頭からラストまでシンプルに楽しむことができる、このバンドの入門編に最適な内容だと思います。

ヴィンス・ニールが悪いわけではないですが、本当は『SAINTS OF LOS ANGELES』もここまで練り込まれた作品になるはずだったんじゃないかな……いや、そんなことないか。そりゃね、MOTLEY CRUE(のワールドツアー)で集金して、SIXX:A.M.の活動に本腰入れたくなる気持ちもわかります。結果、MOTLEYは数年後に活動終了(その後再結成)し、SIXX:A.M.をメインバンドとして動かしていくことになるわけですから(それも、最近では再び逆転しつつあるのが悲しいんですけどね...)。

 


▼SIXX:A.M.『THIS IS GONNA HURT』
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2021年10月10日 (日)

MOTLEY CRUE『SHOUT AT THE DEVIL (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年10月1日にリリースされた、MOTLEY CRUEの2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカルでの発売なしの、デジタル限定作品となっています。

今年6月に4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)と3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)、9月には5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)の最新リマスター盤を立て続けにリリースしたMOTLEY CRUE。これらはバンド結成40周年の記念企画の一環で、残すは1stアルバム『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)のリマスター盤発表を待つばかり。こちらはオリジナル盤の発売と同日の11月10日を予定しているようです。

過去に取り上げてきた作品の中では1983年制作と、本作がもっとも古いアルバム。当時の録音技術や機材の影響もあり、例えば『DR. FEELGOOD』と比べたらそのプロダクションに大きな差を感じてしまうのは仕方のないところ。しかし、この生々しさを伴うサウンドプロダクションこそ『SHOUT AT THE DEVIL』の魅力であり、ブレイク直前のはちきれんばかりのパッションと勢いが見事な形で表現された良作(および良ミックス)だと思っております。

で、実際に2021年の技術および価値観で最新リマスタリングが施された本作ですが、全体的に丸みを帯びた、非常にバランスの整えられた音像に変化しています。これまでの作品もそうであったように、その違いがもっとも表れているのがドラムサウンド。オリジナルバージョンおよび以前のリマスター作ではスネアにヒットがかなり刺々しく、それが本作に収録された楽曲群/テイストにフィットしていました。

ところが、これらも今の耳で聴くと若干古臭く感じられる。時代的にアナログ録音だと思うので、そのへんの個性/魅力が端的に表れているのだと思います。また、時代的にはすでにCDは存在していたものの、マスタリングでそこまで意識していなかったはず。アナログレコードで聴くとその魅力/威力を遺憾なく発揮するものの、CDだと若干チープに感じられ、ぶっちゃけ70年代の音像とさほど変わらない(ちょっと言い過ぎか)。そのへんが、時代時代のリマスタリングで徐々に変化していったわけですが、今回の配信を意識したリマスタリングはまさに2020年代にフィットしたものと言えるのではないでしょうか。

ほかの作品ほどギターの音像には変化は感じられず、若干音量が増したくらいの違いかな。ボーカル含め、コンプをかけて均一化したようなバランス感の良さは、ヘッドフォンやイヤフォンで聴けばより深く理解できると思います。ただ、この均一化が果たして『SHOUT AT THE DEVIL』という作品に最適なのかどうかは、ちょっと疑問も残りますが。

以前、レギュラーで出演しているDJイベントで本作のアナログ(1983年当時の日本プレス盤)を大音量で回したのですが、そこで耳にした音がこれまで聴いてきた『SHOUT AT THE DEVIL』の中ではベストだった、という一言だけは付け加えておきます。結局、アナログ主流の時代に制作された音源はアナログ盤で聴くのが一番!(趣旨が変わってる)

 


▼MOTLEY CRUE『SHOUT AT THE DEVIL (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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2021年9月 5日 (日)

MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年9月3日にリリースされた、MOTLEY CRUEの5thアルバム『DR. FEELGOOD』(1989年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカルなしの、デジタル限定作品のようです。

今年6月に4th『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)、3rd『THEATRE OF PAIN』(1985年)の最新リマスター盤を立て続けにリリースしたMOTLEY CRUEですが、今回もそれらの最新リマスター企画の一環として発表されたもの。バンド結成40周年を迎えた記念企画のようで、今年6月にはRecord Store Dayの一環で80年代の初期5作のカセットテープボックスセットを限定リリースしているので、今後は1st『TOO FAST FOR LOVE』(1981年)や2nd『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)の最新リマスターバージョンも配信されるかもしれませんね(追記:『SHOUT AT THE DEVIL』の最新リマスターが10月1日から配信とのことです)。

さて、これまで幾度となく再発されてきた本作。最後の再発/リイシューはリリース30周年(2019年)のタイミングでしたが、こちらの音源自体は2009年のリリース20周年記念エディションのものと一緒だった記憶があります。で、今回の最新リマスターですが、もともと尖った派手さが印象的だったボブ・ロックによるサウンドに、コンプを全体的にかけたような、1枚ベールで包んだような質感に変わっています。

今の耳で聴くと破裂音のようなドラムサウンドが派手すぎて、特にヘッドフォンやイヤフォンで聴く際に刺激が強すぎるように感じていたのですが、それが今風のバランス感でまとめられたことにより、だいぶ落ち着いて楽しめるような印象に変わりました。言ってしまえば、のちにニッキー・シックス(B)が嫉妬したという、同じボブ・ロックのプロデュースによるMETALLICAの5作目にして最大のヒット作『METALLICA』(1991年)のドラムサウンドに近づいたような感じでしょうか。

ただ、それでも今作が『METALLICA』にはなり得ない最大の特徴が、ミック・マーズによるギターサウンド。彼の特徴的なギターサウンドがジェイムズ・ヘットフィールド&カーク・ハメットのそれとは異なり、だいぶ人工甘味料の強いエフェクトがかけられた歪みのおかげで、MOTLEY CRUEらしい胡散臭さやいかがわしさが保てている……ような気がしてなりません。ミック・マーズ、偉大すぎます。

それでもオリジナルバージョンや前回、前々回のリマスターと比較しても全体のコンプのかかりかたがキツいのか、より平面的になって聴きやすくなったんじゃないかなと。スピーカーを通して大音量で聴く分には、過去のバージョンのほうがエッジが立っていてカッコいいと思うけど、イヤフォンで聴くことが増えた現在はこの最新バージョンが合っている。そういう「聴く環境の変化に合わせたバージョン選び」もできそうな気がしてきました。実際、各種ストリーミングサービスには旧バージョンも残っているので、自身の環境や耳に合った盤を選んでみてはいかがでしょう。

 


▼MOTLEY CRUE『DR. FEELGOOD (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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2021年6月26日 (土)

MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年6月11日にリリースされたMOTLEY CRUEの4thアルバム『GIRLS, GIRLS, GIRLS』(1987年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカル発売なし、デジタルのみのようです。

先に『THEATRE OF PAIN』(1985年)最新リマスターを取り上げましたが、実はこの『GIRLS, GIRLS, GIRLS』がMOTLEY CRUE結成40周年記念リマスター企画の第1弾だったんですね。6月前半、仕事でバタバタしていたので完全に見逃していました(苦笑)。

『GIRLS, GIRLS, GIRLS』は2017年8月にリリース30周年記念でリマスター盤がワールドワイドリリースされていますが、そっちは聴いていないんですよ……あまりにも評判が悪かったので(苦笑)。どうやらリマスター効果があまりなかったのか、それもと旧企画の音源をそのまま使っていたのか。国内リリース元もアレでしたしね(ジャケットも酷かったし)。

そういったことを踏まえて、この最新リマスターに触れてみたのですが……オリジナル版にあったナマっぽさを活かしたが故の線の細さが払拭され、全体的にふくよかな音になった印象を受けました。あと、『THEATRE OF PAIN』の最新リマスターを聴いた直後にこちらに触れたこともあってか、全体のまとめ方、整理の仕方が非常に近い印象を受け、リアルタイムで聴いていたときに両作に感じた差異がほぼなくなった気がします。

こうやってリマスタリング効果によって比較的近い音になった2作を続けて聴くと、楽曲的にも連続性が感じられるというか、バンドとしてアルバムごとにまったく違うことにチャレンジしていたのではなくて、バンドの音楽性自体はほぼ変化せず、ちょっとした味付けやヴィジュアル戦略で聴き手側が受け取るイメージに影響を与えていたんだな、と気づかされます。こんな簡単なことに、今までどうして気づかなかったんだろう。刷り込みや思い込みって怖い。

ボブ・ロックが手がけた『DR. FEELGOOD』(1989年)以降のゴージャスな音作りと比べるとさすがに異なるものがありますが、80年代半ばに制作されたこの2作が実は兄弟のような存在だったんだ……そんな事実に改めて気づけたのは、今回のリマスター効果のおかげかな。となると、いずれ登場するであろう2ndアルバム『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)のリマスター効果が非常に気になるところです。なにせ、『SHOUT AT THE DEVIL』から『GIRLS, GIRLS, GIRLS』まではトム・ワーマンのプロデュース作ですからね(ミックスは『SHOUT AT THE DEVIL』のみ異なるから、その差は多少あるかもですが)。

 


▼MOTLEY CRUE『GIRLS, GIRLS, GIRLS (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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MOTLEY CRUE『THEATRE OF PAIN (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』(2021)

2021年6月25日にリリースされたMOTLEY CRUEの3rdアルバム『THEATRE OF PAIN』(1985年)最新リマスター盤。現時点ではフィジカル発売なし、デジタルのみのようです。

タイトルに“40TH ANNIVERSARY REMASTERED”と銘打っていますが、これは『THEATRE OF PAIN』発売40周年というわけではなく、MOTLEY CRUEの結成40周年記念を意味するもの。そもそも『THEATRE OF PAIN』は1985年発売なので、現時点で36周年という中途半端なタイミングですしね。

アルバムの詳細なレビューに関しては4年前に執筆したものに譲るとして、ここではそのリマスター効果について記していきたいと思います。

1985年の作品ということで、ちょうどアナログとデジタルの間のタイミングに制作された音源。なので、リマスター効果はギリギリ表れるのかなという気がします。それはドラムサウンドに顕著で、「Smokin' In the Boys Room」や「Louder Than Hell」「Use It Or Lose It」「Save Our Souls」のようにリズムが強調された、あるいはドラムが目立つ曲だとその違いが明確かと思います。ぜひ一度、過去のバージョンや並行して配信されている以前のバージョンと聴き比べてみてください。

あと、過去のマスタリングは全体的に丸みのある音作りだったように感じていますが(それが80年代的な音だったんでしょうね)、今回のリマスタリングではよりエッジが効いた、メリハリの大きいマスタリングに変更されています。だからこそ、「Smokin' In the Boys Room」や「Home Sweet Home」のようにダイナミズムを強調したアレンジの楽曲ではリマスタリング効果が活きているんじゃないでしょうか。

リマスタリングによってイマドキの音っぽくなるケースも多々見受けられますが、本作に関してはオリジナル盤の魅力をそのまま残し、若干今風に整理した程度で、作品から受ける印象自体はあまり変わらないかな。ただ、今の耳にはすごくフィットしたマスタリングなんじゃないかという気はしています。

けど、改めて本作に触れる機会をくれたという意味では、これもアリかな。なにせ、僕個人として初めてMOTLEY CRUEに触れたアルバムですからね(ってことは、このバンドに出会ってもう36年ってことなんですね。ウケる。笑)。

 


▼MOTLEY CRUE『THEATRE OF PAIN (40TH ANNIVERSARY REMASTERED)』
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2021年5月 6日 (木)

GILBY CLARKE『THE GOSPEL TRUTH』(2021)

2021年4月23日にリリースされたギルビー・クラークの5thアルバム。日本盤未発売。

CANDYやKILL FOR THRILLSのフロントマンを経て、1992年にGUNS N' ROSESの2ndギタリストとしてツアーなどに参加したことで知られるギルビー。純粋な新作ソロアルバムは、2001年の『SWAG』以来20年ぶりとなります。そういえばここ10数年はLA界隈の“あの人は今”的ミュージシャンたちと、往年のメタルヒットソングカバーでしか名前を見かけませんでしたものね(苦笑)。

ここ数年、本作のために時間を費やしてきたというギルビー。レコーディングにはケニー・アロノフ(Dr/ジョン・メレンキャンプなど)、マット・スター(Dr/MR. BIGエース・フレーリーなど)、マーク・ダットン(マディー・スターダスト/B)などが参加したほか、「Tightwad」にはMOTLEY CRUEのニッキー・シックス(B)&JANE'S ADDICTIONのステファン・パーキンス(Dr)の名前を見つけることもできます。

すべてギルビーの書き下ろし曲で構成された本作は、ハードロックというよりはもっとレイドバックしたアーシーなロックンロールといった印象が強い内容。そのへんは前作『SWAG』にも通ずるものがありますが、本作ではより肩の力が抜けた歌とプレイを楽しむことができ、ガンズ以降の流れから“売れる”ことを重視した初期ソロ作とも一線を画する、いろんなしがらみから解き放たれたギルビー本来の姿を堪能することができるのではないでしょうか。

ブラスをフィーチャーしたタイトルトラックや、厚みのあるコーラスとスウィングするピアノが心地よい「Violation」、ニッキー&ステファンのリズム隊が極上のグルーヴを生み出す「Tightwad」、CANDY時代を思わせる甘いポップロック「Dangerous Sin」など、どの楽曲も粒揃い。かつ、どれも4分を超えない適度なアレンジが施されており、全10曲で33分という昔ながらのトータルランニングも好印象につながっている。ボーカルのヘタウマぶりは相変わらずですが(笑)、その極太サウンドで構築されたロックンロールナンバーの数々は、時にイジー・ストラドリンのソロ作と重なる瞬間もあります。

ただ、イジーが(ストーンズでいうところの)キース・リチャーズ的だとすれば、ギルビーはよりロニー・ウッド的とも言えるのかなと。ロニーでピンとこなかったら……そうだ、ジョーン・ジェットがもっとも近いんじゃないでしょうか。そういう、オーソドックスでご機嫌なアメリカン・ルーツロックを思う存分に楽しめるので、この手のサウンドが好きなリスナーには少しでも響くものがあるはずです。

 


▼GILBY CLARKE『THE GOSPEL TRUTH』
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2020年10月18日 (日)

TOMMY LEE『ANDRO』(2020)

2020年10月16日にリリースされたトミー・リーMOTLEY CRUE)の3rdソロアルバム。日本盤未発売。

トミーのソロ名義による新作としては『TOMMYLAND: THE RIDE』(2005年)以来15年ぶりですが、別名義のMETHODS OF MAYTHEMをソロ作品としてカウントすれば『A PUBLIC DISSERVICE ANNOUNCEMENT』(2010年)以来10年ぶりのアルバムとなります。そう考えると、意外と出てないんですよね。

今回のアルバムに先駆けて、トミーは6月5日にまず「Knock Me Down」「Tops」という2曲のリードトラックを配信。この2曲はそれぞれにキルヴェイン、プッシュ・プッシュというヒップホップ系アーティストをメインゲスト(ボーカル&ラップ)に据え、トミー自身は(ボーカルやラップは交えつつも)ドラムやプロデュースに徹するにとどまっています。つまり、自身の個を強くアピールするよりも曲ごとにボーカルや(それに合わせて)音楽性が変わるという、作品性に強くこだわった内容に仕上がっています。

基本的にはMETHODS OF MAYHEM寄りのヒップホップ中心の作風で、ゲストアーティストもPAV4Nやショーティー・ホーロゥ、ミッキー・アヴァロン、ブルック・キャンディ、ムーン・バウンス、キング・エレ・ノワ、ルーカス・ロッシーなど国籍/性別もそれぞれ異なるヒップホップ/エレクトロ/ロック/SSWなどをフィーチャー。ベースを残しつつも、曲ごとに表情を変えていくその作風は1本芯が通っており、ボーカルの異なるオムニバス盤/プレイリスト風ではあるもののスルスルと聴き進めやすさや親しみやすさが備わっています。

先のリード曲2曲で免疫ができていたし、なによりトミーがソロ活動でロックやハードロック的なスタイルをやるとも思えないので(笑)、このスタイルは納得できるのですが、意外とエレクトロ色やR&B/ソウルのテイストが強めなのには驚かされました。元ROCK STAR SUPERSTARのフロントマン、ルーカス・ロッシーが歌う「Your Dancy」はどこかプリンスっぽさがあって「これ、いいじゃない」と思っていたら、そのプリンスの名曲「When You Were Mine」をルーカスのボーカルでカバーしているし。最初、このカバーの存在に気づいておらず、曲を聴き進めているうちに「あれ、この曲聴いたことあるな……あ、プリンスだ!」と気づかされたくらい、この流れに馴染んでいます。

アルバムはタイラ・ヤーウェとポスト・マローンのコラボ作にトミーがドラムで参加した「Tommy Lee」で締めくくり(ストリーミング版には未収録)。そういえばトミーとポスト・マローン、過去にも共演していますものね。納得の組み合わせですが、自身の名前を冠したこの曲がラストなんだと思うと、やっぱりこの人の我の強さを実感させられます(笑)。

なお、アルバムにはこのほかBUCKCHERRYジョシュ・トッドも「Hot Fudge Sundae」にフィーチャーされていますが、彼はボーカルではなくナレーションでの参加。ハードロックリスナーは過剰な期待をしないように。

というわけで、アルバム自体はHR/HMからかなりかけ離れた内容ですが、「このへんのジャンルも多少は聴くよ」というリスナーにはとっつきやすい1枚ではないでしょうか。僕はかなり気に入っており、リリース日以降移動中に聴きまくっております。

 


▼TOMMY LEE『ANDRO』
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