2018年5月13日 (日)

SKINDRED『BIG TINGS』(2018)

2018年4月にリリースされたSKINDREDの通算7作目のスタジオアルバム。前作『VOLUME』(2015年)発売後、2016年春と2017年秋の2度にわたり来日公演を行い、前者ではCrossfaithをはじめとする国内勢らと共演、後者では『LOUD PARK』という国内最大級のメタルフェスでパフォーマンスしました。これまでSiMやCrossfaithなどの国内ラウドロックバンドと共演することが多く、そちら側のリスナーにはある程度知られていたものの、生粋のメタルファンには「レゲエメタル? そんな邪道」と若干敬遠されていたところもあったのではないでしょうか。それが、あのライブパフォーマンスを観て、いや見せられてしまったら、みんなイチコロですよね。

また、特に彼らのアルバムはアルバムごとに国内でのリリース先がコロコロ変わり、情報が得難いことも少なくありませんでしたが、今回は前作から引き続き国内盤はビクターから発売。前作での来日も好評だったので、きっと今回も……期待しています(笑)。

さて、国内盤を購入した方ならすでにご存知かもしれませんが、本作のライナーノーツを筆者が担当させていただきました。実は、このライナー執筆後にメンバーのベンジー・ウェッブ(Vo)にインタビューする機会を得まして、そちらが『BURRN!』6月号に掲載中です。ライナーでは拾いきれなかった情報(メンバーの脱退やレコーディングに関して)も多数フィーチャーされておりますので、ぜひ併せてチェックしていただけると幸いです。

ということで、以上の資料を読んでいただければ、本作の素晴らしさは十分伝わると思うので、今回はこれにて……というわけにはいかないですよね(苦笑)。まだ聴いてない!っていう人は、『VOLUME』のレビューを読んでからこちらを読んでいただいて……。

基本的には、路線は前作から大きくは変わっていません。ただ、若干ストレートな作風かな?といった程度の変化はありまして、それがメタルファンにとっては聴きやすさにつながっているのではないでしょうか。特にリードトラックの「Machine」はAC/DCを彷彿とさせる軽快なロックンロールですし、ゲストボーカルでREEFのゲイリー・ストリンガー、ギターソロで元MOTÖRHEAD、現PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSのフィル・キャンベルが参加しているので、よりとっつきやすいと思います。

それ以外の楽曲もレッチリほどファンクというわけでもなく、レゲエ要素も味付けとして曲の幅を広げることに成功してますし。前作が好きなら間違いなく気にいる1枚ですし、前作を聴いてなくても存分に楽しめる入門編的な1枚ではないかと断言します。はい。

なお、日本盤のみボーナストラックとしてマックス・ロメロというレゲエシンガーの代表曲「Chase The Devil」をパンキッシュにカバーしております。パンクとレゲエはもともと地続きな存在ですし、このアレンジは納得の一言。残念ながら配信バージョンでは聴けないので、気になる方はぜひ国内盤を購入いただけますと(クドイですね。笑)。

インタビュー時にはまだ来日は決まっていないという話でしたが、ぜひこの際また10月に来日していただいて、そのタイミングに小箱での単独公演も……お願いします!



▼SKINDRED『BIG TINGS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2018 05 13 12:00 午前 [2018年の作品, Motorhead, Phil Campbell And The Bastard Sons, Reef, Skindred] | 固定リンク

2018年1月29日 (月)

PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『THE AGE OF ABSURDITY』(2018)

2015年末のレミー(Vo, B)急逝を受け活動を終了させたMOTÖRHEAD。そのMOTÖRHEADにおいて、“ファスト”・エディ・クラーク(G)の後釜としてバンドに加わり、活動終了までバンドのギタリストとして在籍したフィル・キャンベルがMOTÖRHEAD後に結成したのがこのPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSというバンドです。

同バンドは活動終了から約半年後の2016年8月、ドイツで行われたフェス『WACKEN OPEN AIR』にて本格始動。同年11月にオリジナル曲で構成されたEP『PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS』を発表し、2017年6月にはMOTÖRHEADやRAMONESBLACK SABBATHのカバーを含むライブEP『LIVE AT SOLOTHURN』をリリースしています。

そして2018年1月、ついに発表された1stフルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』では、MOTÖRHEADで養われた爆走ロックンロール魂はそのままに、さらに幅を広げたロックンロール/ハードロックを存分に堪能することができます。

メンバーはフィル(G)のほか、トッド(G)、デイン(Dr)、タイラ(B)というフィル自身の実子3人に加え、ニール・スター(Vo)という5人編成。“これぞMOTÖRHEAD!”と叫びたくなる黄金ギターリフからスタートし、疾走感あふれるバンドサウンドを聴かせつつもサビではグルーヴィーなミドルテンポへとテンポチェンジする巧みなアレンジがたまらない「Ringleader」1曲で、このアルバムの掴みはOK。以降も「Freak Show」や「Gypsy Kiss」「Dropping The Needle」など、MOTÖRHEADのテイストがふんだんに散りばめられたハードロックが多数登場します。

もちろん、それだけじゃないのがこのバンドの特徴でもあり、グルーヴィーなモダンヘヴィネスナンバー「Skin And Bones」、いかにもなバッドボーイズロック「Welcome To Hell」、ヘヴィブルースと呼びたくなる「Dark Days」、男臭い哀愁味すら感じさせるミディアムスローの「Into The Dark」など、本当に聴きどころの多い1枚に仕上げられています。MOTÖRHEADフリークはもちろんのこと、フィルがゲスト参加したLAのハードロックバンドBUDDERSIDEをはじめ、BUCKCHERRYなど硬派なハードロックバンドが好きなリスナーにも存分にアピールする内容ではないでしょうか。特にこのバンドの場合、シンガーのニールが聴かせる歌声がレミーっぽくないのが良い方向に作用しており、いい意味でMOTÖRHEADに一線を引くことができたと個人的には感じています。

ちなみに、日本盤の初回限定盤には先に紹介したライブEP『LIVE AT SOLOTHURN』同梱の2枚組仕様も用意。AppleMusicでは2作品別々に配信されているので、CD購入を考えている人は通常盤に500円程度プラスしてこの初回盤を手に入れることをオススメします。



▼PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『THE AGE OF ABSURDITY』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2018 01 29 12:00 午前 [2018年の作品, Motorhead, Phil Campbell And The Bastard Sons] | 固定リンク

2018年1月12日 (金)

MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』(1980)

“ファスト”・エディ・クラークが亡くなりました。「へっ、誰?」という人もいるかもしれないけど、僕にとってはレミー・キルミスター(Vo, B / 2015年12月没)、フィルシー・“アニマル”・テイラー(Dr / 2015年11月没)、そして“ファスト”・エディ・クラーク(G)という黄金トリオは決して観ることができなかった布陣ということもあって、かなり憧れの強いラインナップでもあります。

MOTÖRHEADに対する思いは過去のテキストでも散々書いているので、ここでは割愛。今晩は急遽、このアルバムを爆音で聴きながら本作の魅力について触れてみたいと思います。

『ACE OF SPADES』はMOTÖRHEADが1980年晩秋にリリースした、通算4作目のスタジオアルバム。前年に発表した2枚のアルバム『OVERKILL』『BOMBER』がそれぞれ全英24位、12位と好記録を伸ばし続けるなか発表された、決定打的1枚が本作『ACE OF SPADES』であり、実際このアルバムは最高4位まで上昇するヒット作となりました。また、同作からのシングル「Ace Of Spades」も最高15位を記録し、バンドは名実ともに人気者の仲間入りを果たしました。

このアルバム、何が良いって、まずはそのジャケットでしょう。それまでのMOTÖRHEADのアートワークは牙をむいた豚(=War Pig)のキャラクターがデザインされていましたが、本作ではメンバー3人が砂漠だか岩場だかで佇む姿が収められています。もうね、これだけで最高じゃないですか? 革ジャンにタイトなパンツ、ハット、そしてガンベルト。この姿を目にしただけで、どんな音かが伝わってくる。

で、実際に1曲目さから再生すると、あのゴリゴリに歪みまくったベースリフ……名曲「Ace Of Spades」からスタートするわけですよ。最高ったらありゃしない。その後も速い曲、ミドルテンポのブギー、渋いロックが目白押し。メタリックだけどヘヴィメタルではなく、ハードロックかと言われるとそういうわけでもない、そしてパンキッシュなのにパンクとも違う。このMOTÖRHEAD以外の何者でもない証明がこの12曲でなされているわけですよ。

1980年というとパンクムーブメントも終わり、本国イギリスではニューウェイブが流行りだしたと同時に、それまで死にかかっていたヘヴィメタルが新たな波に乗って再編され始めた頃。New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)と呼ばれるムーブメントが勃発したタイミングですね。その時期に発表された『ACE OF SPADES』やMOTÖRHEADというバンドに対して「NWOBHMのオリジネーター」なんて声が多いのは、そういったいろんなタイミングが合致したのも大きいんでしょうね。

とにかく頭を無にして、ただひたすら大音量で楽しみたいアルバム。どのアルバムも最高だけど、今晩だけは「Ace Of Spades」から「The Hammer」までを通して聴いて、3人の鬼気迫るプレイに浸りたいと思います。



▼MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

投稿: 2018 01 12 01:00 午前 [1980年の作品, Motorhead, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2017年12月28日 (木)

MOTÖRHEAD『BASTARDS』(1993)

1993年秋にリリースされたMOTÖRHEAD通算11枚目のスタジオアルバム。前2作(1991年の『1916』、1992年の『MARCH OR DIE』)がメジャーのEpic Recordsからのリリースで、前者は健闘したものの後者がほぼプロモーションされなかったことにレミー(Vo, B)らメンバーは激怒。結局レーベルから離脱し、ドイツのレーベルZYX Musicから本作を発表したのでした。が、レーベルの特性もあってか、当時は日本とドイツ周辺のヨーロッパ諸国でしかリリースされず、アメリカなどで発表されたのは2000年代に入ってからでした。

前作『MARCH OR DIE』がミドルテンポの楽曲を中心とした、従来の彼らからしたら“らしくない”作風だったのに反し、本作ではスピード違反で捕まるんじゃないかってくらい飛ばしまくってます。冒頭の「On Your Feet Or On Your Knees」での爆走ロケンローぶりにガッツポーズを取ったかと思うと、続く「Burner」はミッキー・ディー(Dr)のツーバスドラムを効果的に活用したスピードメタル! さらに「Death Or Glory」「I Am The Sword」とスピードナンバーが連発され、前年からの鬱憤がここで一気に吐き出されるかのような展開を見せます。

かと思えば、ミドルテンポの心地よいロックンロール「Born To Raise Hell」があったり、らしくないようで非常に“らしい”仕上がりのバラード「Don't Let Daddy Kiss Me」があったりと、中盤あたりから“遊び”が見え隠れします。

そんな飛ばしまくりの前半から一変、後半はノリノリのロックンロールとメタリックなミドルナンバー、バラード調の「Lost In The Ozone」などがバランス良く飛び出す構成。冒頭4曲のノリを考えると若干落ち着いた印象を受けますが、実はこのバランス感こそ本作の聴きやすさにつながっているのではないかと思っています。

特に序盤はMOTÖRHEADにしては非常にメタリックな仕上がりですが、そこに当時の彼ら(特にレミー)の怒りが表現されているということなのでしょう……そういえば今、リリース当時に頭2曲を狂ったようにリピートしまくったことをふと思い出しました。あの当時の自分の心境にもぴったりな1枚だったのかもしれませんね。

ちなみに彼らは本作を携え、翌1994年初夏に再来日。関東は確かクラブチッタで2日くらいやった記憶があり、僕も1日だけ足を運びました。決して満杯とないえないフロアにがっかりしたものの、本作からの楽曲や名曲の数々に大満足したことは今でもよく覚えています。

“あの日”からもう2年。今日はこのアルバムを爆音で楽しみたいと思います。



▼MOTÖRHEAD『BASTARDS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2017 12 28 12:00 午後 [1993年の作品, Motorhead, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2017年9月 7日 (木)

MOTÖRHEAD『UNDER COVER』(2017)

MOTÖRHEADが遺したカバー曲を1枚にまとめたコンピレーションアルバム。それぞれ録音時期もプロデューサーも異なるものの、ご機嫌なロックンロールクラシックをレミーの歌とMOTÖRHEADのダーティーな演奏で楽しむことができる企画盤です。

全11曲中、もっとも古い作品は1992年発表の「Cat Scratch Fever」(オリジナルはテッド・ニュージェント)と「Hellraiser」(オリジナルはオジー・オズボーン)の2曲(アルバム『MARCH OR DIE』収録)。もっとも「Hellraiser」はレミー(Vo, B)も作曲クレジットに加わっており、カバーというよりは作者が同時期に同じ曲を発表したという認識なんですけどね(オジー版は1991年秋発売のアルバム『NO MORE TEARS』収録)。

また、本作には2015年のラストアルバム『BAD MAGIC』制作時に録音された未発表音源「Heroes」(原曲はデヴィッド・ボウイ)が収録されており、そこに関してはポイントは高いかなと。ほぼ原曲どおりのアレンジですが、それでもMOTÖRHEADが演奏するだけでこんなにも変わるんだと、驚かされるよりも笑ってしまう1曲。他にもROLLING STONESのカバーが2曲もあったり、RAINBOWのカバー「Starstruck」ではSAXONのビフ・バイフォードとデュエットしてたり、最後にMETALLICA「Whiplash」で締めくくったりと、なかなかツッコミどころ満載の1枚です。フォロワーの曲をルーツになった本家がカバーするって、面白い試みですよね。

レミー亡き今、きっと今後も未発表音源が小出しにリリースされるのかもしれませんが、その先駆けとなった本作は企画や意図的には面白かったと思います。だってレミーの死後、孤高の存在と妙にリスペクトされ始めたMOTÖRHEADというバンドが、実は節操ない存在だったことがこの1枚で証明されるようなもんですから(笑)。僕はそれは決していけないことだとは思ってないし、だからこそ彼らは非常に身近な存在に感じられたんですけどね。



▼MOTÖRHEAD『UNDER COVER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ+CD/ iTunes

投稿: 2017 09 07 12:00 午前 [2017年の作品, Motorhead] | 固定リンク

2017年6月23日 (金)

MOTÖRHEAD『1916』(1991)

1991年初春にリリースされた、MOTÖRHEAD通算9枚目のスタジオアルバム。当時のメンバーはレミー(Vo, B)、フィル・キャンベル(G)、マイケル・ワーゼル・バーストン(G)、フィル・アニマル・テイラー(Dr)。アニマルにとっては本作がラスト作になります。また、本作はバンドがイギリスからアメリカ(ロス)に渡ってから初の作品であると同時に、メジャーレーベルから最初の1枚でもあります。

MOTÖRHEADという名前を聞いて、多くの人が思い浮かべるのが「ロックンロール」「ハードロック」「ヘヴィメタル」といったところでしょうか。そのカテゴライズで言えば、本作は完全なるロックンロールアルバム。レミーがライブを始める間に言うセリフ「We are Motorhead. We play rock n' roll」がここまでピッタリなアルバムも他にないんじゃないかってくらい、完璧な1枚だと個人的には感じています。

冒頭の「The One To Sing The Blues」から地を這うような、それでいて軽快さも持ち合わせたグルーヴ感のロックンロールを炸裂。続いてい3コードのお約束R&Rナンバー「I'm So Bad (Baby I Don't Care)」、爽快さすら感じさせるメジャーキーの「No Voices In The Sky」、シンプルでストレートな「Going To Brazil」とアッパーな楽曲が連発されます。この時点でもう最高。文句なし。

しかし、アルバム中盤に差し掛かると、それまでのMOTÖRHEAD史上でもっとも問題作と呼べるような2曲が登場。それがダークなミディアムスロウチューン「Nightmare / The Dreamtime」と、パワーバラードと言えなくもないヘヴィブルース「Love Me Forever」です。前者はそのダークさゆえ、MOTÖRHEADっぽいと言えますが、後者は8分の6拍子のバラード調。確かに度肝を抜かれますが、よくよく聴くとその構成はLED ZEPPELINの「Dazed And Confused」に近かったりして、要するにこれはMOTÖRHEAD版ブルースってことなんだろうなと。これもロックンロールなんだと、改めて納得させられた次第です。

後半も、ピアノやブラスを導入した異色のロック「Angel City」やRAMONESへのトリビュートソング「Ramones」などアップチューンが立て続けに繰り出され、最後にタイトルトラック「1916」。しかしこれが、正真正銘のスローバラード。レミーがストリングスをバックに歌うその様は、いわば“MOTÖRHEAD版「Yesterday」”か。結局、本作がきっかけとなり、彼らはその後も積極的にスローナンバーに挑戦していくことになります……が、そこはMOTÖRHEAD。せいぜいアルバムに1曲程度の割合なので、個人的にはまったく問題なし。アクセントと思えば気持ちよく聴けるはずです。

僕個人としては、本作がMOTÖRHEADでもっとも好きなアルバムなんですよね。きっと初めてライブを観たのが、このアルバムでの来日公演だからというのも大きいのかな。まぁそれを抜きにしても、本作は第2次黄金期の幕開けにふさわしい傑作だと思いますけどね!



▼MOTÖRHEAD『1916』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 06 23 12:00 午前 [1991年の作品, Motorhead] | 固定リンク

2017年2月 2日 (木)

BUDDERSIDE『BUDDERSIDE』(2016)

ロサンゼルス出身の4人組バッドボーイズロックバンド、BUDDERSIDEが2016年9月に発表したセルフタイトルの1stアルバム。彼らはMOTÖRHEADのマネジメントである「MOTÖRHEAD MUSIC」が手掛けており、本作のプロデュースを担当したのもレミー・キルミスターの息子であるポール・インダー・キルミスターが担当。MOTÖRHEADのフィル・キャンベルも1曲(M-2「Ska Bra」)、ギターソロにてゲスト参加した“MOTÖRHEADファミリー太鼓判”の1枚となっています。

がしかし。サウンドそのものは「LA出身」「バッドボーイズロックバンド」というキーワードから想像できる、MOTÖRHEADからはかけ離れた、いかにもアメリカンなノリノリのハードロック。先に挙げた「Ska Bra」はブラス隊をフィーチャーしたスカコア調ナンバーだし、続く「Pain」はBUCKCHERRYあたりにも通ずるキャッチーで豪快なハードロックだし。いや、めちゃめちゃ良いんですよ、適度にダークで適度にポップで、適度にヘヴィで適度に軽快で、とにかく聴きやすい。実はこのバンランス感を保つのってすごく難しいと思っているので(大概のバンドはどこかに偏るし)、MOTÖRHEADファミリーのバックアップでデビューというのもなるほどと頷ける話です。

個人的にはSTONE TEMPLE PILOTSのような、ダークでサイケデリックなミディアムナンバー「X-Girlfriend」がツボ。そういったあたりの影響が感じられるのも、80年代のLAバンド的ではなくて、90年代以降の流れにあるバンドなんだろうなってことが伺えるし。また、アーシーなテイスト(M-5「Clear Blue Sky」あたり)がありつつも、随所にデジタル要素も盛り込まれていて、そのへんも前時代のバッドボーイズロックバンドとは異なるところかなと。

フロントマンのパトリック・ストーン(Vo, G)の歌声・声質も、スコット・ウェイランド(STONE TEMPLE PILOTS、VELVET REVOLVERなど)やジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)に近いものが感じられ、耳に残る個性を持っていると思います。あとは「これ!」というキメの1曲ができたら完璧かなと。「Ska Bra」も「X-Girlfriend」も「Clear Blue Sky」もいい線いってると思うし、アグレッシヴな「Open Relationship」もストリングスを取り入れたバラード「Can't Wrap My Head Around You」も平均以上だと思うので、きっかけさえあればすぐにでもブレイクできると思います。それくらいのメジャー感があるし、2枚目が期待できるバンドではないでしょうか。

ちなみに本作、日本盤は今のところ未発売。サマソニあたりで初来日が決まれば、それなりに盛り上がるんじゃないかと信じております。



▼BUDDERSIDE『BUDDERSIDE』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2017 02 02 12:00 午前 [2016年の作品, Budderside, Motorhead] | 固定リンク

2016年12月28日 (水)

MOTÖRHEAD『BAD MAGIC』(2015)

2015年8月にリリースされた、MOTÖRHEADの事実上ラストアルバム。もちろん発売当初はこれが最後の作品になるなんて、考えてもみなかったし、その直前に行われた『FUJI ROCK FESTIVAL '15』での久々の来日公演を観て「次は新作発表後にフルでみたい」と思ったくらいでしたから。

レミー(Vo, B)、フィル・キャンベル(G)、ミッキー・ディー(Dr)の3人が揃って23年、このトリオ編成になってからはまるまる20年というタイミングに制作された今作。22枚のオリジナルアルバムということらしいですが、とにかく彼らは勤勉で、2010年の『THE WORLD IS YOURS』から2013年の『AFTERSHOCK』で3年空いたぐらいで、それ以外はほぼ2年に1枚のペースでアルバムを制作しています。しかもMOTÖRHEADの場合、アルバムごとに作風を変えるとか新しいことに挑戦するといったことはほぼ皆無で、どの曲がどのアルバムに入っていても不思議じゃないくらい安定した“これぞMOTÖRHEAD”な楽曲群を提供してくれるのです。そういうバンドのアルバムに対して、こういうレビューが果たして必要なのかとも思いますが、まぁやってみようじゃないですか。

M-1. Victory or Die
レミーの歌からスタートする、アップテンポのMOTÖRHEAD流ロックンロール。このリフ、以前も聴いたことあるけど気にしない。途中で展開が入ってメロの雰囲気が変わり、そのままギターソロへと流れていく構成がカッコいい。さらにソロ明け、ドラムとレミーの歌だけになるとさらにカッコよさが増します。

M-2. Thunder & Lightning
THIN LIZZYの同名曲とは無関係ですが、MOTÖRHEADのほうもTHIN LIZZYのそれと同じくらいのファストナンバー。「Ace of Spades」タイプといえば伝わるでしょうか。

M-3. Fire Storm Hotel
アップチューン2曲からテンポダウンして、小気味が良いリズム感のミドルチューン。ここまでの流れが本当に心地よい。

M-4. Shoot Out All of Your Lights
ミッキーの鋭いドラミングから、そのままツーバス踏みまくりのミドルテンポ、サビでテンポアップというヘヴィな1曲。ライブでのコール&レスポンスが目に浮かびます。

M-5. The Devil
不穏なイントロから、引き摺るようなヘヴィなテンポ感。そのまま歌に入るとテンポアップして、気持ち良く踊れます。サビでのタメの効いたリズムに、思わず首を振りたくなったりも。ちなみにこの曲、ギターソロをQUEENのブライアン・メイが弾いてます。

M-6. Electricity
何も考えずにヘドバンできる、アッパーなロックンロール。説明など必要なし。

M-7. Evil Eye
イントロのグルーヴィーなドラミングから一変、ストレートに突っ込んでいくファストチューン。サビでのレミーの、ドスの効いた声が最高。

M-8. Teach Them How To Bleed
これもファストチューン。今回のアルバム、思っていた以上に速い曲が多くて当時驚いた記憶が。

M-9. Till The End
泣きメロが印象的な、いわゆるバラードタイプの1曲。レミーはこういう楽曲を歌わせても天下一品。今作収録のオリジナル曲では、この曲が一番長い(4:05)というのも驚き。他は全部2〜3分台だし(そりゃ速い曲ばかりだしね)。

M-10. Tell Me Who To Kill
再びアップテンポのロックンロールへ。ギターよりもベースが前に出てる印象。

M-11. Choking On Your Screams
前の曲よりちょっとだけテンポを落としてるけど、それても速めの1曲。終始がなるようなボーカルが、不穏な空気を作り上げてます。

M-12. When The Sky Comes Looking For You
3連リズムのハードロック風アップチューン。本当にこのアルバム速い曲ばかりで、改めて生き急いでたなと実感させられます。ただ、速い曲の中でもいろんなテンポ感、いろんなリズムを使い分けることでバリエーションを作っているところは流石だと思います。

M-13. Sympathy For The Devil
アルバムラストを飾るのは、ROLLING STONESの名曲カバー。なぜこの曲で締め括る? そもそもなぜこの曲を選んだ? MOTÖRHEADってカバー曲のセンスが悪いよね。まぁそこがいかにもMOTÖRHEADらしいよね、とも思うんですが。そして、この曲がMOTÖRHEADのラストナンバーというのも意味深というか……。ただ、アレンジはさすがにカッコいいです。

以上、無駄に全曲解説をやってみましたが、解説するようなアルバム、楽曲ではないんですけどね。まぁ……面白いかなと。これ、今後もMOTÖRHEADのアルバムを紹介するときは毎回同じようにやってみようかな。常に同じこと書いてたりしてね(笑)。

あれから1年。早いもんですね。思えばここから始まったんですよね。早くこの負の連鎖を断ち切れないものですかね……。



▼MOTÖRHEAD『BAD MAGIC』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2016 12 28 12:00 午後 [2015年の作品, Motorhead, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2015年3月27日 (金)

Motörheadの私的ベスト10

今年のフジロックへの出演決定、さらには今年後半に「Aftershock」(2013年)以来となるニューアルバムの発売も控えるMotörhead。ぶっちゃけ私的ベスト10を選んだところで、その大半が似たような曲になるような気がするのですが……ひとまずやってみましょう。


1. Ace Of Spades

2. Overkill

3. Burner

4. I'm So Bad (Baby I Don't Care)

5. (We Are) The Road Crew

6. Stay Clean

7. Stone Dead Forever

8. Sacrifice

9. Iron Fist

10. R.A.M.O.N.E.S.


あれ、意外と簡単に10曲選べたかも。要するにライブの定番曲と、自分が熱心に聴いてた90年代前半の楽曲が大半ですね。もちろん今でも新譜が出たらその都度買ってますけど、彼らの場合は新たなアンセムを求めるというよりも、ちゃんと活動し続けているという事実だけで満足してるようなところがあるのかも。そういう意味ではAC/DCも一緒か。

ちなみにここには選出しなかったけど、ミドルテンポのロックンロールナンバーも嫌いじゃないです。「Born To Raise Hell」とか「Orgasmatron」とか。毛色が違うけど「Whorehouse Blues」みたいなブルースナンバーも、1周回ってカッコイイし。

フジロック、恐らくホワイトステージじゃないかと予想してるんですが……今年も無事行けそうだし、しかも仕事と関係なく完全プライベートになりそうなので、心置きなく飲んだくれようと思います。楽しみだー。

最後に。「えっ!?」という珍カバーを。意外と嫌いじゃないです。



▼Motörhead「The Best Of Motörhead」
(amazon:輸入盤


※2015年12月29日 11:10追記

レミー・キルミスター氏がお亡くなりになりました。今年7月24日のフジロック初日は、上に書いた予想とは異なり、グリーンステージの準トリとして圧倒的なステージを見せてくれました。今思えばレミーの調子はあまり良さそうではなかったですし、実際その後本当に体調を崩してライブを中止にするなどありましたが……ちょうど数日前に、中野サンプラザでの二度目の来日、さらに3度目の来日でクラブチッタでライブした思い出話をしたばかりだったので、ショックを隠しきれません。

ご冥福をお祈りします。

投稿: 2015 03 27 09:58 午後 [Motorhead, 「私的ベスト10」] | 固定リンク