2017年12月16日 (土)

MR. MISTER『WELCOME TO THE REAL WORLD』(1985)

80年代半ばに活躍したアメリカの4人組バンド、MR. MISTERが1985年秋にリリースした2ndアルバム。デビュー作に当たる『I WEAR THE FACE』(1984年)が全米170位とヒットし損ねたのに対し、本作は全米1位を獲得したほか、シングルカットされた「Broken Wings」「Kyrie」がともに全米1位、「Is It Love」が全米8位にランクインし、名実ともにトップバンドの仲間入りを果たすきっかけを作った出世作となりました。

もともとスタジオミュージシャンたちが集まったAOR寄りバンドPAGESの一員だったリチャード・ペイジ(Vo, B)とスティーヴ・ジョージ(Key)により結成されたMR. MISTERは、ギターよりもシンセを前面に打ち出したポップ寄りのロックバンドでした。ドラムサウンドもどこか人工的で、トリガーなどを使ってかなりエフェクトが加えられている(あるいは打ち込みが採用されている)。ギターも適度にハードでエッジが効いているものの、ボーカルより前に出ることはない。各プレイヤーが自分の役割を心得ているあたり、スタジオミュージシャンの集まりなんだなと実感しました。

本作のプロデュースを手がけているのはポール・デヴィリアーズという人で、YESのライブアルバム『9012LIVE: THE SOLOS』(1985年)や『BIG GENERATOR』(1987年)のエンジニアを務めたり、KING CRIMSONに携わっている人とのこと。クリムゾンは別として、いわゆる“90125 YES”関係というのを知ってからこの『WELCOME TO THE REAL WORLD』を聴くと、意外と頷けるものがあるのではないでしょうか。

あと、リリースは本作よりもあとですが、DEF LEPPARD『HYSTERIA』(1987年)にも通ずるものがありますよね。サウンドプロダクションをもっと派手に(リバーブ深めに)したら、かなり近いものがあるんじゃないかと。楽曲の質感もどこか近いものがあるし、90125 YES 〜 MR. MISTER 〜 DEF LEPPARDと並べてみると、実はMR. MISTERを中心にみんなつながるんじゃないかと。そんなことにも気づかせてくれる1枚です。

まあとにかく、後半のヒットシングル畳み掛けは圧巻です。前半のヒンヤリとしたアーバンポップ/ロックも独特の色があるけど、やはり「Kyrie」「Broken Wings」の強さといったら。特にこの2曲は今聴いても色褪せない魅力があるなと思いました。

結果として彼らは次作『GO ON...』(1987年)で再び失速。1989年に制作していたものの、未発表のまま解散してしまった4thアルバム『PULL』も2010年にWEB限定で発表され、最近では国内初リリースも実現しました。この2枚も決して駄作ではないので、本作が気に入ったらぜひチェックしてみてはどうでしょう。

ちなみに、MR. MISTER解散後、ギターのスティーヴ・ファリスは一時期WHITESNAKEのツアーに参加。ドラムのパット・マステロットは90年代以降のKING CRIMSONに参加し、レコーディングやツアーで活躍しているのはご存知のとおり。リチャード・ペイジもソロアーティストとして、またリンゴ・スターのツアーメンバーとして活動中です。



▼MR. MISTER『WELCOME TO THE REAL WORLD』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2017 12 16 12:00 午前 [1985年の作品, Mr. Mister] | 固定リンク

2004年9月15日 (水)

とみぃ洋楽100番勝負(27)

●第27回:「Broken Wings」  Mr.MISTER ('85)

 これも如何にも'80年代的なバンドでしたよね。産業ロックといいましょうか、職業ソングライターが作ったバンドといいましょうか。

 '80年代に入って、とにかく目立つようになったのが「専門職業ソングライター」の存在ですかね。いや、勿論それ以前にも沢山有名どころがいましたが、こと'80年代に入ると‥‥ブライアン・アダムスの片腕といえるジム・ヴァランス、BON JOVIの大ヒットの立役者であるデズモンド・チャイルド、DEF LEPPARDを大物に仕立て上げたプロデューサー兼ソングライターのジョン・マット・ランジ、その他ダイアン・ウォーレン、ホーリー・ナイト、ジム・スタインマン、等々‥‥

 今回紹介するバンド、Mr.MISTERのリーダー兼ボーカル&ベース、そしてソングライターでもあるリチャード・ペイジもそのひとりなんですよね。'80年代初頭にPAGESっていうバンドでデビューしたものの、鳴かず飛ばず。その後Mr.MISTERを結成、この "Broken Wings" が収録されたのは、'85年リリースの2nd「WELCOME TO THE REAL WORLD」。ここで一気に大ブレイクですよ。同曲は同年末から翌'86年にかけて全米ナンバー1ヒット。続く "Kyrie" もナンバー1。それに続いてアルバムも1位に。

 彼等は決してルックスも良かったわけでもないし(元々はスタジオミュージシャンの集まりみたいなもんだからね)MTV的にPVが面白かったわけでもなく、単純に「楽曲の良さ」が評価された結果だったように思います。実際、大ヒットした2曲の出来はハンパないもの。

 暗い曲が大好きなとみぃさんとしては、やはり "Broken Wings" の重苦しい雰囲気にやられたんですよね。ちょっとスティングにも通ずるルックス&歌声のリチャードも魅力的でしたし。サウンド的にもちょっとPOLICE末期のスティングっぽいかな‥‥なんて。静と動を上手く組み込んだアレンジも、例えば同年大ヒットしたTEARS FOR FEARSの "Shout" に似てるし。あーやっぱ俺、暗かったんだなー。

 ちなみにMr.MISTERは'87年に3rdアルバムをリリースするも、思いっきりコケちゃって、後に解散。リチャードはソロアルバムなんかをリリースしつつ、職業作家として現在も活躍しております。そうそう、矢沢永吉が'80年代にアメリカで英語アルバムリリースしたこと、あったでしょ? あそこでもリチャードは曲を提供してるんですよね(豆知識)。あとギターのスティーヴ・ファリスはセッションマンとして活躍、'90年代末のWHITESNAKEに参加したりもしてましたね。ドラムのパット・マステロットは'90年代半ばの「6人編成」KING CRIMSONに参加、現在の「4人編成」KING CRIMSONにも在籍し、ロバート・フリップやエイドリアン・ブリューの良き片腕として活躍しております。

 そう考えると‥‥実は凄いバンドだったんだね。まぁ再結成はないだろうけどさ。されても困っちゃうんだけど。



▼Mr.MISTER「WELCOME TO THE REAL WORLD」(amazon

投稿: 2004 09 15 12:00 午前 [1985年の作品, Mr. Mister, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック