2007/12/26

Mr.Children「HOME」

今の仕事の良いところは、人よりもひと足先に新作に触れる機会が多いということ。もちろんそれ以外にもたくさんあるんだけど、まず最初に、単純にそう感じました。ある意味ではうらやましいと思われるかもしれないけど、例えば……子どもの頃みたいにアルバムの発売日を心待ちにしてた、あの気持ちは少しずつ失ってしまったかな、という気もします。ま、もっともすべての新作をサンプルで聴いているわけではないし、実際CDを買う量は今の仕事を始める前と後では、そんなに変わらないんですけどね(もしかしたら増えてる可能性のほうが高いんだけど)。

Mr.Childrenのこのアルバムを聴いたのは、確かリリースの1ヶ月くらい前だったと記憶してます。ちょうどインフルエンザで寝込んでた頃で、そんなときにこのアルバムが到着したことに気付いて、熱でフラフラの状態の中かけて……それがこのアルバムとの第一接触。自然と、スーッと体の中に溶け込んでくるような暖かくて、優しい音だなぁと感じたのを今でも覚えています。

その後何十回、何百回(は大袈裟か)と聴いてきたこのアルバム。6月に行く予定だった横浜アリーナでのライブは、残念ながら仕事の都合で行けなかったんだけど、初めて耳にしたときから「ブレない」アルバムなんですよね。アルバムによっては聴いたときの体調や感情、あるいは年齢によって聞こえ方・感じ方が変わってくるアルバムが多いんですが(それはミスチルのアルバムにしても同じで、リアルタイムではよく聴いていたけど、最近はほとんど聴かないという作品もありますよね)、この「HOME」という作品集は本当にブレないんです。

デビュー15周年とか、大ヒット曲「しるし」が入ってるとか、そういった要素はあるものの、個人的にはあまりそういった『おまけ』に左右されないし、最初から最後までバランス良く楽しめる1枚。確かに過去の作品と比べればかなり地味なアルバムです。でも、その地味さが個人的には『自然体』に感じら、自然体なようで実はかなり手の込んだアレンジだったりするもんで、聴きごたえがある1枚に仕上がってるなぁというイメージがあるんですね。曲によっては初期ミスチル的なポップ感が戻ってきてるものもあるし、「深海」以降のギラギラさも随所に散りばめられている。そして前作「I♥U」からもしっかりと地続きの内容となっている。桜井和寿の私小説集と解釈できると同時に、しっかり『バンド・Mr.Children』のアルバムとしても機能している。これはそういうバランス感がバツグンに優れたアルバムなんだと思います。

ミスチルはギミックやインパクトを追求するようなバンドじゃない。デビュー時からつねに「いい曲」「聴き手に響く曲」を徹底的に追求してきたバンドなんですよ。確かに全体的に地味かもしれないけど、これが「君がいた夏」から15年後の成長の『しるし』なんじゃないでしょうか?

シングルヒットの影響もあるだろうけど、こういうアルバムが2007年度もっとも売れた作品というのも、また興味深いです。「時代なんだろうなぁ……」なんて安直なことは言いたくはないけど、でもそう言いたくなるようなご時世だし、そう言いたくてたまらないアルバムなんですけどね。



▼Mr.Children「HOME」(amazon:日本盤

投稿: 2007 12 26 02:00 午前 [2007年の新譜レビュー, Mr.Children] | 固定リンク | コメント (1) | トラックバック

2005/12/22

Mr.Children@東京ドーム(11/27)

 Mr.Childrenの単独ツアーに行って来ました。夏の「ROCK IN JAPAN FES」で久し振り(4年振り!?)に観てちょっと感動し、次のアルバムを引っ提げたツアーは必ず観たい!と思ってたのですが、なかなかチケットが取れなくてね。ギリギリになって何とか確保できて正直ホッとしましたよ。

 新作「I♥U」はセールス的には過去の作品に匹敵しないものの(それでも100万枚突破してますが)内容的には申し分ない傑作に仕上がっていると確信してるだけに、ライヴもそれに沿った素晴らしいものになるだろう‥‥そう思ってたのですが、実際にはそれ以上のクオリティで正直「やられた!」と思いましたね。いやもう、スケール感が違うもの。アリーナクラスのライヴはこの1週間前にMOTLEY CRUEを観てたわけですが、あれとはまたベクトルの向きが違うけど、とにかく大会場でなくてはならないステージだったと思います。選曲の主軸は勿論新作なのですが、そこに肉付けされているここ数作の楽曲。ある意味では「復活」後の楽曲の総決算的、グレイテストヒッツ・ツアーと呼べなくもない(シングルヒットという意味ではなく、ね)。そしてセットは「深海」ツアー以降の彼等らしい、非常に凝っていてお金を存分にかけたものに仕上がってる。エンターテイメントとしてのショーと、表現者としてのパフォーマンス。そのバランス感が絶妙なのは言うまでもないでしょう。人によってはそれを「説教臭い」と感じてしまうかもしれませんが、古くからのファンにとっては「相変わらずだなぁ」と親しみを込めた苦笑いをしてしまう内容だったんじゃないかな?(少なくとも俺はそうでしたが)

 ツアーメンバーは「DISCOVERY」ツアー以降固定なんで馴染みある面々ばかりだけど、こうやって長時間(約3時間のステージ!)改めてじっくり観て思ったのは、演奏が非常にタイトにまとまってるなぁってこと。ドーム云々による音響面は仕方ないとしても、演奏自体がタイトになってるのは十分に伝わってきました。リズム隊もしなやかだったし、田原のギターもこれまでで一番自己主張してるように感じられたし。鍵盤ふたりの仕事振りも目を見張るものがあったし。多分この辺のまとまりって、夏のイベントやフェスに出演したことも大きく影響してるんでしょうね。ただアルバムを作りました、じゃあリハーサルしてツアーに出ましょう、ってノリじゃなかったしね今回。アルバム自体も思ってたよりも早くに出来上がっちゃったし。この辺、今が非常に良い状態なのが伝わってきます。

 序盤に演奏し慣れた曲を並べ徐々に場を温めていく。頭4曲にダンサブルなノリのナンバーを並べ、その後に必殺の "innocent world"。流れとしては完璧じゃないですかね? 勿論、この辺のセットリストに関しては日によって少しずつ変わっているので、観た人にとっては自分が参加した日こそがベスト!って考えがあるかもしれませんけど(例えば大阪初日では "シーラカンス" やってますしね!)。ここアルバム2作のツアーを観れてなかっただけに、その辺の曲を多めにやってくれて、尚かつ「Q」といった作品からもバンバンやってくれる今回のセットリスト、非常に好感が持てました。

 俺が参加したのは東京2公演のうちの2日目だったのですが、初日と違ったのは弾き語りだけかな(前日は "君が好き" を披露)。但し、この日の "SAY YES"(勿論あのCHAGE & ASKAのヒット曲な)はさわりのみだし、"抱きしめたい" は2コーラス目に入るところの転調を間違え(サビで転調して、2コーラス目のAメロでまた元に戻るんだけど、間違えてそのままのキーで歌おうとして素っ頓狂な歌い出しになってしまった。苦笑)途中2コーラス目からやり直し。思いっきり苦笑しましたよ。ま、その辺のドジさも込みで「いかにも」ミスチルらしいなーって思ったりもしたんですが(シリアスで込み上げるような "抱きしめたい" は過去散々聴いてきてるし、こういう笑顔であったかいのもいいなーって思ったもので)。そういえば前回のドーム(1997年3月)でもこの曲、アコースティックバージョンで演奏されてたよなーって今ふと思い出しました。

 やはり "蘇生" からの温度の上がり具合はもの凄いものがありましたね。"Hallelujah" ってアルバムで聴くとそんなにいい曲だとは思わないんだけど、ライヴだといつも込み上げるものがあるんだよなー。そしてそのまま自然に "and I love you" へと続く構成も、初めてこの曲を聴いた時から何となく「パート2っぽいよな」と思ってた自分の考えが繋がったようで、ちょっと嬉しかったり。

 アンコールラストの "潜水" が終わった後にS.E.として "Sign" が流れるんだけど(今回のツアーでは演奏されず)、それを左右の花道への移動中、桜井はずっと歌ってて、丁度真ん中に戻って来た時サビの最後の方で、思わず会場と一緒に歌ってしまってました、マイク通して。ちょっとしたファンサービスなんだけど、さすがにちょっとホロッときた。いや、終始ホロッときまくりでしたけど。"くるみ" なんて歌い出した瞬間に涙腺ヤバかったし。あの新しいアレンジもよかったね。

 それにしても‥‥今時ここまで大掛かりなセットを組んだライヴ、海外でも少ないんじゃないの? 恐らく「深海」の頃から一緒にやってる海外製作チームなんだろうけど(ROLLING STONESとかU2のステージセットを手がけてる連中)、今やここまでやるのはPINK FLOYDくらいなんじゃないかな、と。それくらい金かけた、見応えあるセットでしたよ。映像もFLOYDっぽいしね。まぁこの辺はいつも通りか。

 不満はないことはないけど、それを言い出したらキリがないし、別にそんなこと口にしなくても十分に金額に見合っただけのものを得たと思います。やっぱりミスチルはどこまでいってもミスチルだ、と。それを改めて実感でき、嬉しかったですよ。確かにこの集大成的内容を観て「再度活動休止?」なんて声が挙がってますが、まぁそう思っても不思議じゃないくらいの(彼等なりの)サービス振りだったし。

 でもまぁ‥‥間違いなく「続き」ますよ。この状態を観たら、終わるなんてことはありえないし。多少休むことはあっても、それは次に繋ぐための休息・充電期間でしかないわけですし。まだまだ登り詰めますよ、このバンド、そして桜井和寿という男は。


  [SETLIST]
  01. LOVEはじめました
  02. Dance Dance Dance
  03. ニシエヒガシエ
  04. 跳べ
  05. innocent world
  06. 言わせてみてぇもんだ
  07. くるみ
  08. CANDY
  09. 靴ひも
  10. 隔たり
  11. ファスナー
  12. Monster
  13. CENTER OF UNIVERSE
  14. ランニングハイ
  15. SAY YES(さわりのみ)〜抱きしめたい(弾き語り)
  16. ラララ
  17. overture〜蘇生
  18. Worlds end
  19. Hallelujah
  20. and I love you
  ---encore---
  21. 未来
  22. 僕らの音
  23. 潜水
  24. Sign [S.E.サビのワンフレーズのみ桜井歌う]



▼MR.CHILDREN「I♥U」(amazon

投稿: 2005 12 22 09:06 午後 [2005年のLIVE, Mr.Children] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/09/22

MR.CHILDREN「I♥U」

 いろいろ考えたんだけど、「とみぃの宮殿」時代からの恒例行事となっている、『全曲解説レビュー』は今回だけはやらないことに決めました。それは決してこのアルバムが語り難いからとかそういったネガティヴな理由からではなく、本当に光り輝き過ぎてるからなんです。1曲1曲を取り出して分析するんじゃなくて、1枚のアルバムとして、13編の私小説を綴った1冊の長編物語を読むようにこのアルバムと接してもらいたい、そういう風に楽しんでもらいたい‥‥っていう願いが強いんです。曲に関しては、前に取り上げたシングルのレビューでも読んで復習してみてください。といっても、このアルバムに収められた13曲の内、たった4曲についてしか触れてないですけどね‥‥

 Mr.Childrenの通算12作目となるオリジナル・アルバム「I♥U」がいよいよリリースされました。前のシングルレビューの時は‥‥7/20とかなんだね。あれから「ROCK IN JAPAN FES」があって、それと前後するようにアルバムのリリースが発表されて‥‥あのシングルについて語った時点では俺、「こうなると‥‥やはりアルバムに期待せざるを得ないよね。年内リリースは‥‥可能性薄いよなぁ。早くても年明け、やっぱり来春くらいかなぁ。」って書いてるんだよね。あの「四次元 Four Dimensions」における、尋常じゃないテンションとグルーヴ感を体験してしまった後となっては、やはりどうしてもアルバムに期待してしまうんだけど、まさかこんなに早く完成しちゃうとはね‥‥要するに、あのシングルに収録された4曲を含め、昨年後半辺り(恐らく昨年9月のツアー終了後)からドンドンと曲を作っていき、合計13曲もの素晴らしい新曲群を完成させてしまっていたんですね‥‥本当に驚くと同時に、それらが先のシングルと同等、あるいはそれ以上のポテンシャルとクオリティを備えている事実に驚愕するというか‥‥前作「シフクノオト」を聴いた後となっては、ただただ驚くばかりというか‥‥嬉しくて涙すら溢れてくるよ。それくらい、このアルバムを聴くと、どうしようもない程に嬉しくなっちゃんだな、うん。

 実はこのアルバム、フラゲ(フライング・ゲット。リリース日前日、店頭に並び始めた時に購入)すていたものの、当日は聴く余裕がなくて。そのまま封も開けずに寝ちゃってさ。その時点では、メディア(テレビや雑誌)やネット上での評判は殆ど目にしてなくてさ。けどまぁ、何となく「絶対的な1枚になる」という予感めいたものはあって。そりゃね、あのシングルを聴けばね。

 でさ、翌日。通勤時間を使って、10曲目くらいまでザーッと聴いて。

 頭3曲("Worlds end"、"Monster"、"未来")の時点で、まず前作に何が足りなかったのかを再確認できたよ。ありきたりの言葉だけど、

  「グルーヴ(あるいはロール感)」「破綻」

このふたつだったんだな、と。シングルの時は「毒」って表現したけど、ほぼ「破綻」と同じ意味合いでこの表現を使ったんだな、うん。そして後で「とみ宮」時代に書いた「シフクノオト」レビューを読み返したけど、既にあの時点で同じような事を書いてるのね。この新作を通過することで、そこを再認識できたという意味では、本当に良かったのかもしれないな。

 他人はどう思ってるか知らないけど、自分にとって「IT'S A WONDERFUL WORLD」ってアルバムは、音楽オタクとしての桜井が思う存分『音』で遊んだ、正しく音楽(=ポップス)オタクのためのアルバムだったのね。んで、リリース後に本当の意味での『破綻』が一回あってリセット。手探りで作られた「シフクノオト」は世間的(所謂「ファン」ではなく、浮動票といえる一般層)に歓迎はされたものの、それは作品云々というよりも「病み上がりへのご褒美」的評価だったんじゃないかな、と。もしかしたらあのアルバムがホントの意味で評価されるのって、もっと時間が経ってからなんじゃないか、とも思うし。

 でさ、前作の時に非常に歯切れの悪い文章を書いた俺だけど、結局あのアルバムはライヴツアーを通過しないで作られた、いわば「密室音楽」だったのかな、と。オタク作品「IT'S A WONDERFUL WORLD」は良くも悪くも「外」に向けて放たれたけど、「シフクノオト」って非常に「内」に向かって放たれてるんだよね。音的にも、歌詞の面でも(これは前作リリース時点で既に書いてましたね。自分の事なのに改めてビックリした)。だから、バンド特有のグルーヴ感やロール感も希薄だったし、破綻もなかった。悪い意味で『出来上がっちゃった感』が強かった。バンドとしての『あがり』が見えちゃったんだよね。あー、ミスチルはこのままこういうスタイルで、今後何年もずーっとヒットチャートの常連を続けて行くんだろうな、でもそれはそれで悪くはないんだけどなぁ‥‥淋しいよなぁ、と。

 けど、今度の「I♥U」というアルバムは、過去のどれとも比較しようのないものが感じられるんじゃないかな。例えば‥‥俺自身がこのアルバムを最初に聴いた時ふと思い浮かべたんだけど‥‥「深海」とか「Q」辺りと比較することは容易いけど、明らかにあれとは異質の『何か』が潜んでる。それが何なのかは‥‥実は俺自身、まだそれを見極めることができてなかったりするんだよね。単なるグルーヴ感や破綻だとか毒といったものではなく、もっとこう、根本的なものというか‥‥そうか‥‥それが全てアルバムタイトルに集約されてるのか‥‥何となくそんな気がしてきた。ただの「I LOVE YOU」ではなく、トマトが潰れてハートの形なってるジャケット。トマトは自然と床に落ちたのか、あるいは意図的に叩き付けられたのか‥‥その違いだけでも「I LOVE YOU」のニュアンスがだいぶ違ってくる。母国語じゃない日本人からすればとても容易く口にすることができるフレーズなんだけど、実は最も日本人が苦手とする表現手段でもある。凄く奥が深いよな‥‥

 でさ、そういった様々な表現や想いを13編の歌詞とメロディに乗せて、ひとつの大きな『うねり』(=アルバム)を作り出す。それぞれがバラバラの個性を持っていながら、実は13曲がこの順番に並んだ時にこそ、その言葉の重み・意味合いは更に増す。この配置じゃなきゃいけないんだよ、"未来" も "and I love you" も。"ランニングハイ" の後にあの "Sign" のピアノフレーズが響かなきゃいけないんだよ。

 なんか‥‥音楽面(メロディがどうとかアレンジがどうとか、そういった類のお話)については全くといっていい程触れてない気がするけど‥‥今回だけは、余計な先入観なしに‥‥そう、こんな駄文を読む前に、真っ先に聴いて欲しいんだよ。そうだよ、これ読んでる暇があったらCD買ってこいよ!

 このアルバムに関してはさ‥‥もしかしたらこの人達(「この人」ではなく「この人達」ね)、とてつもなくもの凄い作品を生み出しちゃったのかもしれない‥‥全部聴き終えてない時点でそう言わせるだけのパワー・熱量を持った作品集だと思いますよ。そしてアルバムを通して聴いた今、その思いは確信へと変わりました。最高傑作とかそういう容易い表現は使いたくないけど、間違いなく過去のどの作品から遥か彼方の高みへと到達してしまったなぁ。

 ていうかさ‥‥ミスチルのアルバムを聴いて、泣きそうになったのなんて何時以来だよ‥‥嬉しくてガッツポーズを取ることはあっても、目に涙を滲ませるなんてことは暫くなかった気がするんだけどな。


 嗚呼‥‥今後ずーっと付き合っていけるアルバムが、また1枚増えちゃったなぁ。



▼MR.CHILDREN「I♥U」(amazon

投稿: 2005 09 22 12:05 午前 [2005年の新譜レビュー, Mr.Children] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/07/20

Mr.Children「四次元 Four Dimensions」

 Mr.Children約13ヶ月振りの新音源は、4曲それぞれベクトルが異なる個性的な楽曲を収めた、正しくタイトル通りの作品集に仕上がってます。4曲共CMやテレビ番組、映画とタイアップしていることから、今年に入ってから必ずどこかしらで耳にしたことがある曲ばかり。良くも悪くも‥‥けど、今回ばかりは悪い方には作用してないように思えます。この1年、音源のリリースがなかったことから(Bank Bandとしてのリリースはあったけど)ファン側の飢餓感も強かったし、また今年の頭辺りから徐々にCM等で彼等の未発表新曲("and I love you" や "未来")が15秒だったり30秒だったりがブラウン管から流れ出す‥‥そりゃ否が応でも期待するわけですよ、何時聴けるんだ、この新曲は!?って。

 昨年春にリリースされたアルバム「シフクノオト」、その延長線上にあるシングル「Sign」は、確かに素晴らしい作品だったし、2004年の日本の音楽シーンを代表する作品と呼んでも何ら差し支えないと思う(実際これらは、昨年年間チャートの、それぞれトップ5入りしているし)。

 でも‥‥

 何か物足りなかったのも事実なんですよ。何だろう‥‥もの凄く「心地よ過ぎる」作品だったんだよね、この一連の作品群って。多分‥‥多分だけど、俺にとっては「毒」の要素が足りなかったのかな、と。勿論そんなのは結果論でしかないんだけど、今回リリースされた4曲を聴くと何となくそう思えるんだよね。

 勿論これらの4曲全てに櫻井和寿なりの「毒」を盛ったとは思わないけど、4曲通して聴いた時に見えてくる風景、伝わってくる感情ってのがあるんだよね。そういう意味で、凄くバランスの良い組み合わせだなぁ、と。決して革新性とかそういった類のものはないけど(そしてもはや彼等にそういう類のものを期待しない方がいいのかもしれない)、前作以上に強く感じられる揺るぎなさだったり、更なる余裕や心のゆとりだったり、ちょっとだけ斜に構えた皮肉さだったり、そういったものがダイレクトに伝わってくるんだよね。彼等の曲を聴いてこんな風に感じられたの、何時以来だろう。

 曲によっては過去の楽曲の延長線上にあるものもあるし、懐かしい匂いのするアレンジもあるし、そして久し振りに胸躍るような高揚感を持つ楽曲もあれば、切なくて胸に沁みる歌詞もある。恐らく「ミスチルといえば、こういう音」というイメージの最大公約数を忠実に再現しつつ、その上で「今だからこそ/今しか表現できない音/言葉」を上手に取り込んだのが、今回の4曲なんだろうな、と。だから100万人近い人間の心を瞬時に動かすことが出来、そしてこの俺の心も揺さぶることが出来た。文句ないよ、今回ばかりは。

 どの曲が一番好きか‥‥ってのは正直なところ愚問かな、と思うんだけど‥‥こればっかりは、その日その時で全然違うし、ドンドン変わってくんだよね。今だったら‥‥そうだね、"and I love you" かもしれない。ついさっきまでは "ランニングハイ" だったけど。どの曲もそれぞれに違った個性と魅力を持っているから、どれが一番とか選べないってのが本音。人によっては「俺は/私は、ミスチルのこういう要素/曲調が好きだから、○○が好き」とハッキリ選べるのかもしれないけどね。

 こうなると‥‥やはりアルバムに期待せざるを得ないよね。年内リリースは‥‥可能性薄いよなぁ。早くても年明け、やっぱり来春くらいかなぁ。この夏は精力的に各フェスティバルに出演してくれるし、俺も幸い「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」で彼等を観ることができるので、非常に楽しみにしてるところ。ここ2枚のアルバムに伴うツアーには参加出来てないんで、ホントに久し振りなんだよね。前にRIJFに出た年が最後だから‥‥4年振りくらい!? ひ、ひえぇ‥‥



▼Mr.Children「四次元 Four Dimensions」(amazon

投稿: 2005 07 20 12:30 午前 [2005年の新譜レビュー, Mr.Children] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック