カテゴリー「Mr.Children」の31件の記事

2019年3月12日 (火)

「#平成の30枚」

Twitterのハッシュタグでよく目にする「#平成の30枚」という企画。これ、面白いですね。30年を30枚のアルバムで紹介するというのは、いろんな側面があると思うんですよ。一般的な名盤なのか、その年バカ売れしたものなのか、あるいはもっと私的な選出なのか。でも、そのどれを取ってもいろいろ見えてくるものがある。30枚くらいだからちょうどいいんでしょうね。これが昭和だったら……無理か(苦笑)。

ということで、こういうのに便乗するのが好きな私としては、とりあえず記録として残しておこうと。ただ、普通にTwitter上に残すのは違うよね、せっかくならこっちだよねってことで、無理くり1989年から2018年までの30年をすごい勢いで振り返ってみました。平成元年(1989年)っていうと、自分が高2〜高3の時期。音楽的にも多感だった10代後半の終盤ですね。特に90年代半ばまでは思い出深い作品がたくさんあるだけに1年1枚縛りはなかなかキツイものがありますが……あえて自分内でルールを作って選出しました。

① 同じアーティストのアルバムは複数枚選ばない(バンド/ソロは例外とする)
② 可能な限り今の自分の直感に従う(過去BEST OF企画の年間1位に選んだとしても今回も選ぶとは限らない。今の感覚で選ぶ)
③ 2枚同時発売など連作となっているものは例外として2枚選出も可(ガンズとかラルクみたいなね。ガンズは関係ないけど)

以上、これだけを守って選んだら……やっぱりキツかった(笑)。さて、個人的な思い入れ乱れまくりの30枚、ぜひご堪能あれ。


平成元年(1989年)
X『BLUE BLOOD』(Spotify

平成2年(1990年)
ユニコーン『ケダモノの嵐』(Spotify

平成3年(1991年)
BUCK-TICK『狂った太陽』(Spotify

平成4年(1992年)
佐野元春『sweet16』(Spotify

平成5年(1993年)
LUNA SEA『EDEN』(Spotify

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2015年12月31日 (木)

2015年総括(2):邦楽アルバム編

洋楽アルバム編に続いて、邦楽アルバム編。こちらのエントリーでは2015年もっとも気に入った邦楽アルバム10枚(+次点10枚)を紹介します。


■邦楽10枚(アルファベット→五十音順)

・BOOM BOOM SATELLITES『Shine Like A Billion Suns』(amazon

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2007年12月26日 (水)

Mr.Children『HOME』(2007)

今の仕事の良いところは、人よりもひと足先に新作に触れる機会が多いということ。もちろんそれ以外にもたくさんあるんだけど、まず最初に、単純にそう感じました。ある意味ではうらやましいと思われるかもしれないけど、例えば……子どもの頃みたいにアルバムの発売日を心待ちにしてた、あの気持ちは少しずつ失ってしまったかな、という気もします。ま、もっともすべての新作をサンプルで聴いているわけではないし、実際CDを買う量は今の仕事を始める前と後では、そんなに変わらないんですけどね(もしかしたら増えてる可能性のほうが高いんだけど)。

Mr.Childrenのこのアルバムを聴いたのは、確かリリースの1ヶ月くらい前だったと記憶してます。ちょうどインフルエンザで寝込んでた頃で、そんなときにこのアルバムが到着したことに気付いて、熱でフラフラの状態の中かけて……それがこのアルバムとの第一接触。自然と、スーッと体の中に溶け込んでくるような暖かくて、優しい音だなぁと感じたのを今でも覚えています。

その後何十回、何百回(は大袈裟か)と聴いてきたこのアルバム。6月に行く予定だった横浜アリーナでのライブは、残念ながら仕事の都合で行けなかったんだけど、初めて耳にしたときから「ブレない」アルバムなんですよね。アルバムによっては聴いたときの体調や感情、あるいは年齢によって聞こえ方・感じ方が変わってくるアルバムが多いんですが(それはミスチルのアルバムにしても同じで、リアルタイムではよく聴いていたけど、最近はほとんど聴かないという作品もありますよね)、この「HOME」という作品集は本当にブレないんです。

デビュー15周年とか、大ヒット曲「しるし」が入ってるとか、そういった要素はあるものの、個人的にはあまりそういった『おまけ』に左右されないし、最初から最後までバランス良く楽しめる1枚。確かに過去の作品と比べればかなり地味なアルバムです。でも、その地味さが個人的には『自然体』に感じら、自然体なようで実はかなり手の込んだアレンジだったりするもんで、聴きごたえがある1枚に仕上がってるなぁというイメージがあるんですね。曲によっては初期ミスチル的なポップ感が戻ってきてるものもあるし、「深海」以降のギラギラさも随所に散りばめられている。そして前作「I♥U」からもしっかりと地続きの内容となっている。桜井和寿の私小説集と解釈できると同時に、しっかり『バンド・Mr.Children』のアルバムとしても機能している。これはそういうバランス感がバツグンに優れたアルバムなんだと思います。

ミスチルはギミックやインパクトを追求するようなバンドじゃない。デビュー時からつねに「いい曲」「聴き手に響く曲」を徹底的に追求してきたバンドなんですよ。確かに全体的に地味かもしれないけど、これが「君がいた夏」から15年後の成長の『しるし』なんじゃないでしょうか?

シングルヒットの影響もあるだろうけど、こういうアルバムが2007年度もっとも売れた作品というのも、また興味深いです。「時代なんだろうなぁ……」なんて安直なことは言いたくはないけど、でもそう言いたくなるようなご時世だし、そう言いたくてたまらないアルバムなんですけどね。



▼Mr.Children「HOME」(amazon:日本盤

2005年12月22日 (木)

Mr.Children@東京ドーム(11/27)

 Mr.Childrenの単独ツアーに行って来ました。夏の「ROCK IN JAPAN FES」で久し振り(4年振り!?)に観てちょっと感動し、次のアルバムを引っ提げたツアーは必ず観たい!と思ってたのですが、なかなかチケットが取れなくてね。ギリギリになって何とか確保できて正直ホッとしましたよ。

 新作「I♥U」はセールス的には過去の作品に匹敵しないものの(それでも100万枚突破してますが)内容的には申し分ない傑作に仕上がっていると確信してるだけに、ライヴもそれに沿った素晴らしいものになるだろう‥‥そう思ってたのですが、実際にはそれ以上のクオリティで正直「やられた!」と思いましたね。いやもう、スケール感が違うもの。アリーナクラスのライヴはこの1週間前にMOTLEY CRUEを観てたわけですが、あれとはまたベクトルの向きが違うけど、とにかく大会場でなくてはならないステージだったと思います。選曲の主軸は勿論新作なのですが、そこに肉付けされているここ数作の楽曲。ある意味では「復活」後の楽曲の総決算的、グレイテストヒッツ・ツアーと呼べなくもない(シングルヒットという意味ではなく、ね)。そしてセットは「深海」ツアー以降の彼等らしい、非常に凝っていてお金を存分にかけたものに仕上がってる。エンターテイメントとしてのショーと、表現者としてのパフォーマンス。そのバランス感が絶妙なのは言うまでもないでしょう。人によってはそれを「説教臭い」と感じてしまうかもしれませんが、古くからのファンにとっては「相変わらずだなぁ」と親しみを込めた苦笑いをしてしまう内容だったんじゃないかな?(少なくとも俺はそうでしたが)

 ツアーメンバーは「DISCOVERY」ツアー以降固定なんで馴染みある面々ばかりだけど、こうやって長時間(約3時間のステージ!)改めてじっくり観て思ったのは、演奏が非常にタイトにまとまってるなぁってこと。ドーム云々による音響面は仕方ないとしても、演奏自体がタイトになってるのは十分に伝わってきました。リズム隊もしなやかだったし、田原のギターもこれまでで一番自己主張してるように感じられたし。鍵盤ふたりの仕事振りも目を見張るものがあったし。多分この辺のまとまりって、夏のイベントやフェスに出演したことも大きく影響してるんでしょうね。ただアルバムを作りました、じゃあリハーサルしてツアーに出ましょう、ってノリじゃなかったしね今回。アルバム自体も思ってたよりも早くに出来上がっちゃったし。この辺、今が非常に良い状態なのが伝わってきます。

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2005年9月22日 (木)

MR.CHILDREN『I♥U』(2005)

 いろいろ考えたんだけど、「とみぃの宮殿」時代からの恒例行事となっている、『全曲解説レビュー』は今回だけはやらないことに決めました。それは決してこのアルバムが語り難いからとかそういったネガティヴな理由からではなく、本当に光り輝き過ぎてるからなんです。1曲1曲を取り出して分析するんじゃなくて、1枚のアルバムとして、13編の私小説を綴った1冊の長編物語を読むようにこのアルバムと接してもらいたい、そういう風に楽しんでもらいたい‥‥っていう願いが強いんです。曲に関しては、前に取り上げたシングルのレビューでも読んで復習してみてください。といっても、このアルバムに収められた13曲の内、たった4曲についてしか触れてないですけどね‥‥

 Mr.Childrenの通算12作目となるオリジナル・アルバム「I♥U」がいよいよリリースされました。前のシングルレビューの時は‥‥7/20とかなんだね。あれから「ROCK IN JAPAN FES」があって、それと前後するようにアルバムのリリースが発表されて‥‥あのシングルについて語った時点では俺、「こうなると‥‥やはりアルバムに期待せざるを得ないよね。年内リリースは‥‥可能性薄いよなぁ。早くても年明け、やっぱり来春くらいかなぁ。」って書いてるんだよね。あの「四次元 Four Dimensions」における、尋常じゃないテンションとグルーヴ感を体験してしまった後となっては、やはりどうしてもアルバムに期待してしまうんだけど、まさかこんなに早く完成しちゃうとはね‥‥要するに、あのシングルに収録された4曲を含め、昨年後半辺り(恐らく昨年9月のツアー終了後)からドンドンと曲を作っていき、合計13曲もの素晴らしい新曲群を完成させてしまっていたんですね‥‥本当に驚くと同時に、それらが先のシングルと同等、あるいはそれ以上のポテンシャルとクオリティを備えている事実に驚愕するというか‥‥前作「シフクノオト」を聴いた後となっては、ただただ驚くばかりというか‥‥嬉しくて涙すら溢れてくるよ。それくらい、このアルバムを聴くと、どうしようもない程に嬉しくなっちゃんだな、うん。

 実はこのアルバム、フラゲ(フライング・ゲット。リリース日前日、店頭に並び始めた時に購入)すていたものの、当日は聴く余裕がなくて。そのまま封も開けずに寝ちゃってさ。その時点では、メディア(テレビや雑誌)やネット上での評判は殆ど目にしてなくてさ。けどまぁ、何となく「絶対的な1枚になる」という予感めいたものはあって。そりゃね、あのシングルを聴けばね。

 でさ、翌日。通勤時間を使って、10曲目くらいまでザーッと聴いて。

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2005年8月13日 (土)

ドキュメント・RIJF05

 さてさて。フェス企画第二弾(「企画」なのか‥‥)は、先週末に行われた、ROCK IN JAPAN FESTIVALです。今回はミスチル目当てで土曜のみの参加でした。ま、RIJFは3日フル参加したことないし、またその必要も(俺的には)全く感じられない「イベント」なので、観たいアーティストが出る日だけ行けばいいや、って考えなんですよね、うん。そう、フェスというよりは、イベントっていう認識の方が強かったんですよ。けど今回、ちょっとだけその認識を改めました。

 RIJFには2001年(土日)、2003年(日のみ)に続く3度目の参加だったんですが、フェスとして過去2回よりもかなり整理/整備されて、過ごしやすくなってる気がしました。ていうか、単に俺がいろんなフェスを見てきて、そして「フェスの過ごし方」を習得した結果、自分らしく過ごすことが出来るようになり、ポジティブに感じられるようになったのかな、と。最初はさすがに暑さと見たいバンドの無さに困り果てましたが、まぁ前者は木陰に入るとかしてフォロー出来るし、後者は単に出演者チェックしてなかった自分の責任だし。でも最終的には観たバンドの殆どに満足できたし、良かったと思いますよ。

 てなわけで、またまたリアルタイム更新時のログ+後から書いたライヴの感想を編集して、お送りしたいと思います‥‥

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2005年7月20日 (水)

Mr.Children『四次元 Four Dimensions』(2005)

 Mr.Children約13ヶ月振りの新音源は、4曲それぞれベクトルが異なる個性的な楽曲を収めた、正しくタイトル通りの作品集に仕上がってます。4曲共CMやテレビ番組、映画とタイアップしていることから、今年に入ってから必ずどこかしらで耳にしたことがある曲ばかり。良くも悪くも‥‥けど、今回ばかりは悪い方には作用してないように思えます。この1年、音源のリリースがなかったことから(Bank Bandとしてのリリースはあったけど)ファン側の飢餓感も強かったし、また今年の頭辺りから徐々にCM等で彼等の未発表新曲("and I love you" や "未来")が15秒だったり30秒だったりがブラウン管から流れ出す‥‥そりゃ否が応でも期待するわけですよ、何時聴けるんだ、この新曲は!?って。

 昨年春にリリースされたアルバム「シフクノオト」、その延長線上にあるシングル「Sign」は、確かに素晴らしい作品だったし、2004年の日本の音楽シーンを代表する作品と呼んでも何ら差し支えないと思う(実際これらは、昨年年間チャートの、それぞれトップ5入りしているし)。

 でも‥‥

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2004年4月11日 (日)

Mr.Children『シフクノオト』(2004)

  前作「IT'S A WONDERFUL WORLD」から1年11ヶ月振りとなるMr.Childrenの最新アルバム「シフクノオト」。2002年7月リリースのシングル "Any" から始まり、同年12月の "HERO" とそのカップリング "空風の帰り道"、更に2003年9月にラジオ・オンエアのみで発表された話題曲 "タガタメ" と同年11月のシングル "掌" と "くるみ" といった既出曲6曲を含む全12曲ということで、「新曲が少ない」という声が発表前からあったようですが、何故そういう構成に至ったのかは完成したアルバムを聴けば答えが自ずと見えてくるだろうから、これまで特にそれについてはコメントしてきませんでした。確かに最初にアルバム曲目が発表になった時、「あれー、カップリング曲も入れちゃうんだ」とは思ったものの、肝心なのは残りの新曲であり、そして既出曲と並んだ時のバランス、アルバムとしての完成度だったので、それに対して不満は抱かなかったですね。

  既にいろんなところで桜井和寿が発言している通り(また、初回盤付属のDVDでも語られているように)、アルバムタイトルには『至福の音』と『私服の音』というダブるミーニングがかけられています。それ以外にも音の響きでいえば『至福(私服)ノート』と受け取ることができるし、実際にそれらの言葉の意味合いが納得できるような内容に仕上がっているのではないでしょうか? 最初の仮タイトルが「コミック」だったということから、個人的には『~ノート』という響きが妙にしっくりくるんですけどね‥‥ま、それは皆さんひとりひとりが実際にアルバムを聴いた感想を当てはめていけば、またタイトルの意味合いも少しずつ変わってくるんだろうなぁ‥‥と。そういう自由なアルバムなんだろうな、という気はしますね。

  で‥‥レビューやるに当たって、これまでミスチルのアルバムで必ずやっていた全曲レビューを、今回は止めようかな、と思ったんですね。時間が取れないというのもあるし、それ以上に‥‥最初に数回聴いた時、良い作品集だとは思ったけど、前数作のような傑作とは言い難いよなぁ‥‥と感じたもので。けどまぁ乗りかかった船だ、期待してる人もいるみたいだし、思い切ってやってみようか‥‥というわけで、リリースからちょっと遅れましたがレビューすることになりました。今日は朝から天気も良かったので、延々リピートして聴いてましたよ。それではいってみましょう‥‥


◎M-1. 言わせてみてぇもんだ
  サーカスか、場末のキャバレーか、と思わせるようなジャジーなイントロから、中~後期BEATLES的ヘヴィ&サイケなミドルチューンへ。これまでのミスチルのアルバムとは明らかに違うスタート。オープニングにSE的なインストを持ってこなかったのも新鮮だし(とはいっても「DISCOVERY」や「Q」にもその手のSEはないんですけどね)、何しろこの手の曲自体が随分と久し振りな気がするので(ある意味「深海」以来!?)。とにかくこの曲の要はギターでしょうね。田原、頑張ったなぁ、と。

◎M-2. PADDLE
  既に2月から某テレビCMに起用されていたので耳に馴染みのある1曲。意表をついたミドルヘヴィでスタートし、曲間も殆どなく2曲目に。前作からの流れにある、ある意味ミスチルの王道パターン。聴き手としてはここでひと安心。サビ後半での崩した譜割りが印象的。

◎M-3. 掌
  言うまでもなく最新シングル。詳しくはこちらで。ミスチルの「王道ポップ・サイド」から「王道ロック・サイド」へと流れていき、続く「王道バラード」へと続くこの流れは、正しく前半部のハイライトといえるでしょう。曲自体は地味なものが続くんだけどね。

◎M-4. くるみ
  前曲から、シングル収録時と全く同じ流れ。"掌" との両A面シングル。詳しくはこちらで。何も言うことはないでしょう。名曲。

◎M-5. 花言葉
  初回盤付属DVDエンディングでの「コスモスの花言葉は『乙女の純情』」 というあの言葉が印象深いですが、楽曲の方も印象的‥‥いや、地味か。「versus」の後半辺りに入ってそうな印象の1曲。地味だけど味わい深く、後半の展開部(転調前ね)で思わずググッときてしまいました。

◎M-6. Pink~奇妙な夢
  スロウでヘヴィ、しかもダーク‥‥けど「BOLERO」の頃とは違った種のダークさ。芯から病んでいるのではなく、雰囲気としてのダークさ、表現としてのダークさ、といったところかな。とにかく音作りが非常に凝っていて、とても興味深い内容。ちょっとだけ抽象的で夢を具体化したような歌詞も印象的。多分世間の受けは悪いだろうけど、個人的にはアルバム中かなり好きな部類の1曲。

◎M-7. 血の管
  で、そのダークな空気をちょっとだけひきずったかのようなイントロ。ピアノとストリングスだけをバックに歌われる、ちょっとだけ重苦しい印象を持つパラード。1曲目 "言わせてみてぇもんだ" といい、前の "Pink~奇妙な夢" といい、全体的にこのアルバム、地味でダークで穏やか‥‥という印象。勿論、前半を聴いた限りの感想だけどね。

◎M-8. 空風の帰り道
  シングル "HERO" のカップリング曲として既出。このアルバムのレコーディング自体は2003年春頃からスタートしたと思うんだけど、こうやって聴いてみると既に2002年秋‥‥"HERO"レコーディング時から、おぼろげながらそのイメージは見えていたんだろうね。違和感なくアルバムに収まっているこの曲を聴いて、そう実感しました。

◎M-9. Any
  アルバム中唯一、前作「IT'S A WONDERFUL WORLD」とほぼ同時期に制作された1曲。結局実現しなかった前作でのツアーでも、間違いなくハイライトのひとつとなったであろう曲だよね。詳しくはこちらを。やっぱりどこか、「前作の音」かな‥‥偏見かもしれないけど、音のゴージャスさは明らかに「IT'S A WONDERFUL WORLD」のものだよね。あのアルバムが16色のパステルをいろいろ組み合わせたカラフルなイメージなのに対して、「シフクノオト」がどこかモノトーン/セピアなイメージが強い。そう考えると "Any" は‥‥楽曲の地味さ加減は「シフクノオト」っぽいかな?という気がしたけど、いざアルバムの中に入れてみるとハッキリと「IT'S A WONDERFUL WORLD」だよな、と感じる。制作側はそこまで考えてない/感じてないのかもしれないけどさ‥‥ま、いち個人の感想ですけどね。

◎M-10. 天頂バス
  中盤の穏やかなノリから大ヒットシングルで転機を迎え、いよいよラストに向けて大きな盛り上がりをみせるこのアルバム‥‥個人的にはこのアルバム一番のハイライトだと思っているこの曲。ROLLING STONES的アーシーなロックンロール調アレンジのA~Bメロはどこか "光の射す方へ" を彷彿させるアレンジ。けどサビになるといきなりエレクトロな四つ打ちに。どこか一時期のスーパーカー的で面白い。更に中盤の展開部ではまた違った印象のアレンジ‥‥どこかニューウェーブ的というか。ぶっちゃけ、3つの異なるアレンジの曲を合体させたような1曲になってるのよ。この辺は何となく「Q」的ですよね。凄く面白い曲だなこれ。バンドというより、桜井とプロデューサーの小林武史のふたりで遊んでみました的楽曲というか。

◎M-11. タガタメ
  で、ラストに向けて更に盛り上がっていくこのアルバム。ラス前に持って来たか、この曲を‥‥ま、詳しくはこちらでね。もはや何も言う事はないでしょう。この曲に感動/共感できない人とはちょっと距離を取りたいな、と思える程圧倒的な1曲。やっぱりこのポジション(アルバム最後ではなく、ラス前)しかあり得ないよな、うん。

◎M-12. HERO
  最後の最後はこの超名曲を持ってきたか‥‥"タガタメ" の余韻を引きずったまま、歌い出しの「例えば誰か一人の命と/引き換えに世界を救えるとして」って歌詞聴いて、思わず目頭熱くさせちまったよ。ったく、反則! 桜井自身もこの曲でアルバムを終えるという構想が最初からあったみたいですね。詳しくはこちらで。そういえば既出シングル曲で終わるアルバムってのも、「BOLERO」以来で随分と久し振りだね(ま、「BOLERO」の場合はボーナストラック的位置なんだっけか、"Tomorrow never knows" は)。


◎まとめ

  実は今回、歌詞についてあまり深く突っ込まなかったのは意図的です。というのも、桜井自身も「ミスチルというと『歌詞が~』と言われることが多く~」と初回盤付属DVDの中で述べていたので、今回は(っていうか毎回だけど)特にサウンド/アレンジ面中心で語ってみました。いや、もうね、大体そうじゃない、他所のサイトもさ、歌詞云々って。だったら俺らしいやり方でアルバム語ってみようかな、と。

  最初に書いたように、良いアルバムだとは思うけど傑作とは言い難いなぁ‥‥と感じたのは、アルバム全体のトーンが地味目なのが大きいでしょうね。一聴してカラフルなイメージがない。全体が似たようなトーンでまとまっているし。いろんなギミックは仕掛けられているものの、それは聴き込んでいく内に発見していくといったような感じ。ホント、細部にまで拘って制作されているのは何度も聴いてよく判りました。

  何だろ‥‥「ポップ」という要素に拘ったことで外に向けて放った「IT'S A WONDERFUL WORLD」とは真逆にあるのかな、「シフクノオト」って。極端な話だけどさ。歌われる対象だったり、聴いて欲しい対象がもっと限定されているように感じるのも、このアルバムの特徴かもしれませんね。勿論「ポップ」なんだけど、前作ではいろいろ計算されていたからこその作風だったのに対し、今回は好き放題やったものをまとめたような、そんなイメージ。そうか、だから「コミック」であり「私服ノート」なのか。妙に納得。

  あとさ‥‥これはもう仕方ないことなんだけど、前作でツアーをやらなかった(出来なかった)のも、このアルバム制作に大きく影響してるように思います。最後に大掛かりなツアーをやったのが2001年夏。2002年12月に単発でライヴはやったけど‥‥やっぱり「バンド」としてこれは大きいと思うな。「作家」としては然程大きな影響はないと思うけど(‥‥いやあるな。絶対あるわ)。

  以前‥‥「掌/くるみ」のレビューで書いたんだけど、次のアルバムは「Q」みたいな作風になるんじゃないか?っていうの‥‥あながち間違ってなかったように思います。勿論完全にあの路線の延長線上にある作品だという意味ではなくて、振り幅/前作からの流れという意味でね。「DISCOVERY」~「Q」という流れと、「IT'S A WONDERFUL WORLD」~「シフクノオト」という流れ/作品の振り幅が、俺には似たように映るんですよね‥‥

  さて、改めて。最高傑作かどうか‥‥という問いに対しては、正直まだ自信を持って答えることはできません。聴けば聴く程、どんどん好きになっていくアルバムではあるんだけど、まだそこまで言い切れない。多分‥‥ライヴ観たいんだろうな。ライヴ観て、セットで判断したいんだと思う。「IT'S A WONDERFUL WORLD」みたいな一聴して「傑作!」と言い切れる作品とは違う、非常にデリケートな作品集だからさ、これ。



▼Mr.Children『シフクノオト』
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2004年4月10日 (土)

Mr.Children『HERO』(2002)

  Mr.Children 24作目のシングル「HERO」は、アルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」の流れを組む、正しく「ポップの究極型」と呼べる最高のナンバーを収録した作品になっています。桜井和寿の小脳梗塞によるバンド活動の休止から5ヶ月、実質レコーディングはこの年(2002年)の9月頃から行われていたようですから、復帰後すぐに作業に入ったようですね。とにかく手の込んだ、魂のこもった1曲に仕上がったタイトル曲 "HERO" といい、地味ながらも非常に完成度の高い "空風の帰り道" といい、非常に純度/濃度が高いシングルに仕上がってます。

  桜井の悲劇というフィルターを通すことで、どうしても深読みしてしまいがちの歌詞ですが‥‥それがなくても、いろいろ考えてしまう "HERO" の歌詞は、ちょっと切なくて、それでいて胸が熱くなるような内容。同年代の男性だからこその共感というのもあるでしょう。そして「ヒーローになりたい」相手である「君」を誰に想定するかで、また聴こえ方も違ってきます。恋人、妻、あるいは子供‥‥残念ながら自分は後者ふたつを持った経験がないので想像でしか理解できませんが、それでもそれらを当てはめて歌詞を読んでいると‥‥不覚にもウルッときてしまう。そういう「ズルい」曲なんですよね、全く。

  「IT'S A WONDERFUL WORLD」でのラヴソングやバラード曲は、その歌われる対象が恋人だったように感じたんですが、ここではもっと広い意味を持たせている。「IT'S A WONDERFUL WORLD」が「ポップソングとしての匿名性」を意識した為にそういう風に書かれたのかどうかは判りませんが、そういう意味ではこの "HERO" は明らかに歌われる対象を絞っているように感じられます。にも関わらずここまで「ポップの究極型」として成立してしまうのは、それ以外の要素がしっかりしているからなんでしょうね。

  演奏のアレンジにしても、シンプルなバンドサウンドの上に温かみのあるストリングスが乗ることで、デジタルな側面よりもアナログな側面が強調されている(実際には打ち込みも導入されてるんですが)。しかしシンプルながらも書く楽器のプレイはしっかり練られているんだよね。特にベース。自分がベース弾くからってのもあるけど、特に「DISCOVERY」以降の中川のベースフレーズには目を見張るものがあります。地味なんだけど味わい深い、印象に残るフレーズが多いのね。今回は特にそれが際立っているように感じますね。

  カップリング曲 "空風の帰り道" は如何にもカップリング/アルバム収録曲といった感じの地味目の1曲なんだけど、これも今のミスチルじゃなきゃ上手く表現できない楽曲なんじゃないでしょうか。この曲の歌詞も "HERO" 同様「~以後」を意識して(させて)しまう内容なんですよね‥‥地味なトーンのまま淡々と進んでいく曲調は、正に前シングル "Any" の延長線上にある路線なんですよね。ただ、明らかに響き方が以前とは違う。いや、違って聴こえるだけなのかな‥‥意識してないつもりでもやはり‥‥全く厄介なもんに巻き込まれたもんだよな、桜井も。

  とまぁ、駆け足でこのシングルについて書いてきたんだけど‥‥「ポップの究極型」と書いてはみたものの‥‥実は初めてこの曲を聴いた時、俺さ、全然頭に思い浮かべる事が出来なかったのよ、これらの曲を桜井が、ミスチルが歌い演奏している姿をね。明らかに「ミスチルの歌」だと聴いて判る内容なのに、それをバンドとして演奏している姿がね、全然イメージ湧かなくて。もしかしたら、この2曲に関しては‥‥「桜井和寿の歌」としてしか見れなくなっていたのかな、と。ソロとかそういう意味じゃなくてさ、もっとこう‥‥シンプルな意味で、別にミスチルである必要ないよな、と。良くも悪くもね、そう思ってしまったのよ。

  ま、そうは言ってみても、やはりこれも間違いなく「Mr.Childrenの楽曲」の一部なんだけどね。そしてこの後にリリースされた楽曲が "タガタメ" であり「掌/くるみ」だったというのも、何となく頷ける話ですよね。そういったことも含めて、俺は続くアルバムが『「Q」みたいな作風の作品集になるんじゃないか?』って書いたんですけどね。さて、実際にはどうなってましたかね‥‥。



▼Mr.Children『HERO』
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2004年4月 8日 (木)

Mr.Children『Any』(2002)

  Mr.Children 23作目のシングル「Any」は、非常に可哀想なシングルだったと思う。会心の一撃となったアルバム「IT'S A WONDERFUL WORLD」から2ヶ月しか経っていないのにドロップされたこの曲は、まだまだミスチルの快進撃は続くんだよ‥‥というダメ押しの1曲になるはずだったのに。いや、実際にはいつも通り1位も取り、そこそこのヒットを記録したんだけど‥‥2002年7月、桜井和寿が小脳梗塞の疑いで緊急入院、及びMr.Childrenの活動休止。やはりこの事実を前にして、この曲のインパクトは薄まってしまったように思います。

  実はこのシングルのレビューをリリース当時に試みようとしたことがあったのですが、その矢先にあの出来事。結局まともな判断がつかないだろうなぁと感じたので、取り止めに。で、気づいたら桜井もミスチルも復活し、既にアルバムまでリリースしている始末。そろそろ本腰入れて『「IT'S A WONDERFUL WORLD」以降』について書いてもいい頃だよな‥‥ということで、「シフクノオト」と向き合う前に今一度、そこへ向かうまでの道のりを再確認しておこうかと思います(主に俺内で)。

  表題曲となる "Any" はイントロのピアノが印象的な、メロディアスなミドルチューン。サビで被さってくるブラスも気持ちいいし、田原健一によるギターも味わい深いし、リズムトラックのアレンジも地味ながらも凝ったものがある。そして桜井の歌詞/メロディ/歌唱。熱くなりすぎず、それでいて醒めてるわけでもない。サビでの盛り上がりはあるものの、以前のような劇的なまでの盛り上げがあるわけでもない。決して抑えて歌っているわけでもないのにそう感じてしまうのは、彼なりのテクニックなのか、それとも作戦なのか‥‥

  イントロからの流れを追っていくと、ふと "Tomorrow never knows" とイメージを重ねてしまうんだけど‥‥この曲って、もしかして "Tomorrow~" へのアンサーソング?なんて思ったりして。「心のまま」進んだ青年が「誰も知ることのない明日」を目指して迷走し、大人になった彼は「真実からは嘘を/嘘からは真実を/夢中で探してきたけど」、最終的には「今/僕のいる場所が/探してたのと違っても/間違いじゃない/きっと答えは一つじゃない」というひとつの真理にたどり着く。そんな一種悟りのようなものさえ感じさせる歌詞にしろ、言い方は悪いけど‥‥煮え切らないような劇的盛り上がりに欠ける展開/アレンジにしろ、桜井自身が当時感じていた「余裕」のようなものが生んだ産物なのかもな‥‥その先に待ち受けている「真実」が彼にとって辛いものであったとしても、ね。まぁその辺は結果論でしかないですけど

  散々「煮え切らない」「盛り上がりに欠ける」とか書いてるけど、決してそれを嫌ってるわけじゃないですよ。この曲にはこういうアレンジがピッタリハマっていて、全然アリだと思うし。むしろこのアレンジだからこその1曲だと思うし。決してシングルだけを想定して作られたものではなく、この先に待ち構えている次のアルバムへの布石‥‥パズルのピースみたいに考えて制作されてると思うしね。

  それはカップリングの "I'm sorry" にしても同様で、決してシングルのタイトルナンバーに持ってくるようなタイプではないものの、アルバムやカップリングとしては最高に良い役割を果たす作品として完成しているし。サビでのちょっと風変わりなコード進行とコーラスが印象的で、やはりブラスが被さっているんだけど "Any" 程目立ってない。曲も決して派手な盛り上がりをするアレンジではない。けど、何度もリピートして聴いてしまうし、気づけば口ずさんでしまう‥‥

  このシングルでの2曲って、共通してそういう「地味」「劇的な展開がない」「煮え切らない」みたいなイメージがあるんだけど、この辺が当時桜井及びMr.Childrenとして目指していた「ポップ」の、「IT'S A WONDERFUL WORLD」みたいな王道とは違った追求の仕方だったのかもしれませんね。勿論、ヒットメイカーでもある桜井のこと、頑張って抑えてみたものの、しっかり王道になっちゃってるんですけどね。

  あのアルバムとこの曲を引っ提げて長期のツアーをしていたら‥‥その後に "HERO" は生まれなかったかもしれない。いや、生まれたとしても、ああいった形にはならなかったかもしれない。そういう意味ではこの "Any" という曲及びこのシングルがひとつの分岐点になってしまったようですね。歌詞通り、正に「いつも答えは一つじゃない」わけだしね‥‥ 。



▼Mr.Children『Any』
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