2017/11/25

MUSE『SHOWBIZ』(1999)

MUSEの久しぶりとなる単独来日公演に行けませんでした。チケットは確保していたんですが、直前に仕事が入ってしまい、泣く泣く断念。『DRONES』(2015年)発売直後のフジロックは観ているとはいえ、同作を携えたフルサイズのライブ(ステージセット含む)だっただけに、非常に残念でなりません。次はいつになるのやら……。

さ、そんな悔しさを紛らわせようと、久しぶりにデビューアルバムを引っ張り出してみました。1999年秋に本国イギリスで最初に発売され、ここ日本では翌2000年春にリリースされたのが本作『SHOWBIZ』です。

トリオ編成、『THE BENDS』『OK COMPUTER』期のRADIOHEADを彷彿とさせるアレンジ(ただし、ちょっとハードロック寄り)、マシュー・ベラミー(Vo, G)の繊細さとヒステリックさが兼ね備わった歌唱スタイル、などなど個人的に嫌いになる要素皆無なはずなのですが、最初にアルバムを聴いたシチュエーション、つまり第一印象が悪かったのですよね。だって、徹夜で長時間ドライブする中で延々聴かされ、着いた先がサマソニ初年度の富士急ハイランド。完全徹夜明け状態で最初に観たアクトがこのMUSEだったわけですから……残念ながら、素直に受け入れられませんでした。

ということで、本作を正当に評価し始めたのは、続く『ORIGIN OF SYMMETRY』(2001年)を聴いてから。冒頭2曲(「Sunburn」「Muscle Museum」)あたりはHR/HM発〜グランジ経由〜ブリットポップ着のオルタナティヴロックといったイメージで、以降の彼らほどのアクの強さはないかな。アップテンポの「Fillip」の大げさなアレンジは“いかにも”だけど、まだ振り切りきれてない印象も。「Falling Down」や「Unintended」はRADIOHEADと比較されても仕方ないようなアレンジの繊細なバラードだし、「Cave」や「Sober」は完全にハードロックだし、「Uno」もどこか時代錯誤感があるし。結局、全体を通じて“爆発前夜”というイメージなんですよね。まぁそれも、先に2ndアルバム『ORIGIN OF SYMMETRY』から入ってしまったからの感想なんでしょうけど。

もちろん新人のデビューアルバムとしては破格の完成度だし、ブリットポップとかRADIOHEADとか余計な比較対象がなければ、確実に「イギリスらしい複雑怪奇なプログレッシヴロックとメランコリックなグラムロックが融合した新たなスタイル」と僕も絶賛していたはずです。そもそもこのアルバムジャケット自体、HR/HM以外の何者でもないし。うん、出会いが悪すぎた(笑)。

けど、本作だけを聴くと、まさかその後あんなことやこんなことになるなんて、いや、あそこまで進化するなんて誰も想像できなかったでしょうね。どこでどう道を間違えたのか(いや間違えてはないって)。



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投稿: 2017 11 25 12:00 午前 [1999年の作品, Muse] | 固定リンク

2015/06/10

MUSE『DRONES』(2015)

マット・ラングとの共同プロデュースに妙な安心感を覚えた新作は、セルフプロデュースの前2作よりもハードロック色濃厚。現代的な重々しいミドルチューンを連発しながらも近作にあったエレクトロの要素も味付け程度に登場し、後半にかけてはQUEEN風オペラコーラスも健在。

しかしあくまでもこのアルバムの主役は、原点回帰とも言える「トリオ編成のバンドサウンド」であることが近作との大きな違いだ。アルバムタイトルには日本で旬なキーワードが用いられているがその内容はとてもシリアスで、コンセプトアルバムとして各曲のストーリーが連なっていく。

アッパーな楽曲が少なくてもテクニカルなギタープレイやアレンジによって全体に起伏を付けており、「内面の死」を歌った1曲目から劇的な結末へと流れるように続く構成は過去の作品以上に筋が通ったものといえる。個人的には4作目がピークと思っていたが、ここにきてまた新たな高みに到達したのではないだろうか。どうせならアルバム完全再現ライブにも期待したい。

※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。



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投稿: 2015 06 10 12:00 午前 [2015年の作品, Muse] | 固定リンク

2007/03/13

MUSE@東京国際フォーラム ホールA(2007年3月12日)

2時間強の濃厚ライブ。COASTの時よりも曲数は多く、しかもダブルアンコール。なんじゃこりゃ。

ニューアルバムからの曲はほぼ全曲演奏し、なおかつこれまでのアルバムのベストヒット的な選曲。完璧すぎる。前半のユラユラと体があったまっていく感じもスゴいし、中盤のピアノ曲での濃厚なセットリストも圧巻。そして何よりも本編終盤。「Sunburn」で溜め息こぼれて、その後に「Starlight」「Time Is Running Out」「New Born」て。本編最後は「Bliss」で大いに盛り上がりましたよ。

んで、アンコール……「Invincible」で泣きそうになり、その後に「Supermassive Black Hole」「Stockholm Syndrome」。なんじゃそりゃ! これで終わってもよかったんだけど(いやよくない!あの曲やってないから!)、さらにアンコール。「City Of Delusion」をアコギで弾いて(途中から歪みまくり、ソロ弾きまくり)、待ってました!の「Plug In Baby」。そして……いよいよきました、「Knights Of Cydonia」! 中盤で大合唱した後のヘヴィパートでヘドバンの嵐! うひゃー!

……終わった後、完全な廃人でした。

なんかやたらすごいことになってた。いや、デカいバンドになってるのはわかってたけど、自分の認識以上にデカいスケールのバンドになっちまったなぁ、MUSEは。

嫌いだった1stの曲も、のめり込むきっかけとなった2ndの曲も、前作も新作も、どれもが数段上のスケールにいっちゃってた。もう圧巻。

アンコールであれだけ新曲やってもダレないしテンション落ちないのもスゴイと思う。そんだけ新作が受け入れられてるってことだろうし、なによりも全部名曲なんですよ。いやー、こんなに我を忘れて興奮したライブ、久しぶりだ。もうすでに今年のBest3に入るね。

これをまたフジロックで、しかも満天の星の下で観ることができるのか。なんかそれだけでチビリそうだな。


[SET LIST]
01. Take A Bow
02. Hysteria
03. Map Of The Problematique
04. Butterflies & Hurricanes
05. Assassin
06. Sing For Absolution
07. Citizen Erased
08. Hoodoo
09. Apocalypse Please
10. Feeling Good
11. Sunburn
12. Starlight
13. Time Is Running Out
14. New Born
15. Forced In
16. Bliss
--encore--
17. Solder's Poem
18. Invincible
19. Supermassive Black Hole
20. Stockholm Syndrome
--encore--
21. City Of Delusion
22. Plug In Baby
23. Knigts Of Cydonia

投稿: 2007 03 13 03:22 午前 [2007年のライブ, Muse] | 固定リンク

2006/07/01

MUSE『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006)

 前作「ABSOLUTION」から3年ぶり、通算4作目となるMUSEのニューアルバム「BLACK HOLES AND REVELATIONS」なんですが‥‥これまたスゴいことになっちゃってますわ。何度か書いてきてるから覚えている人もいるかもしれないけど、俺スッゲーこのバンドが苦手だったんだよね、初期の頃。ま、1st「SHOWBIZ」の時期限定ですが。それが2nd「ORIGIN OF SYMMETRY」で一気にヤラレてね。その後は言うまでもなく。どのアルバムも今では大好きですよ(けど1stだけは今でも違和感残るかな)。

 そんな彼らがメジャー「Wea」移籍して、アメリカや日本でも本国イギリスとほぼ同時期に新作がリリースされる‥‥それだけ力入れてるってことでしょうね。実際、これはそれだけの内容だと思います。

 前作、前々作にあったようなメタリックな要素は若干後退して、その分ニューウェイブチックなアレンジの曲が増えたような気がします(例えばM-2〜4辺りの流れ)。かと思えばM-5〜6だけを何も知らずに聴かされたら「へっ、トム・ヨークのソロアルバムってもう出たの?ていうかこんなサウンドなんだ?」って思っちゃうんじゃないかな、と。実際、俺も店頭でM-5を聴いたときは焦ったもん。

 前作までがどちらかというと「シングル曲並みの完成度の高い曲を並べた作品集」という印象が強かったのに対し、このアルバムはもっとこう、アルバム・オリエンテッドな作風な気がしますね。流れがすごい良い。新機軸もあるんだけど、聴けばそれがMUSEの曲だとわかる。ダンサブルなシングル曲 "Supermassive Black Hole" みたいな異色作でもね。マシュー・ベラミーの声の強みだったり、あの変態的なキターサウンドだったり、そういったものの強みもあるけどね。RADIOHEADフォロワーみたいなことを今更言う人もいないだろうけど(単純に裏声のひっくり返り方がトムとマシューが似てるんだよね)、今から10年前に腐る程いたフォロワー予備軍の中では完全に一人勝ちな気がする(だからフォロワーじゃないってば)。

 でね。ものすごく純度が高くなってる分、やはり「Very British」な部分は隠せないんだよね。そういう意味では、この音がどこまでアメリカで善戦するのかが気になるところ。もしかしたら完全に拒絶されるかもしれないし、その逆に面白がられるかもしれない。可能性はゼロじゃないしね。ま、日本ではウケる音ですよ、こういうメロやサウンドは。ますますファンが増えるんじゃないかな、この夏のサマソニで。

 そうそう。やっぱりこのサウンドをどうライブで再現するのか、あるいは崩すのかが気になるね。そして過去の曲との対比も。並んだ時にどう聞こえてくるのか‥‥ま、そんな違和感はないだろうけどね。突出した出来というわけじゃなくて、順当にいい方向に成長してるサウンドだからさ、彼らの場合。

 いやぁ‥‥それにしても、本当に良いアルバムを作ったなぁ。良いバンドが期待以上のものを作ってくれた時の嬉しさって、何ものにも代え難いっていうか、表現難しいよね。とにかく、このアルバムがより多くの人に受け入れられることを願います。



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投稿: 2006 07 01 12:30 午前 [2006年の作品, Muse] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2003/12/23

MUSE『ABSOLUTION』(2003)

前作「ORIGIN OF SYMMETRY」から約2年3ヶ月振りに届けられた、MUSEのサードアルバム「ABSOLUTION」は前作以上に『深化』した、非常に過剰で味わい深い1枚に仕上がっています。前作にみられた北欧系ヘヴィメタル的な色合いは若干後退しながらも、シアトリカルな側面は更に激化。ロック的な攻撃性よりもズッシリと構え、腰を据えたかのような重さを感じさせる印象を全体から受けます。

例えば、前作ではまだ飛び道具的存在だったピアノメイン曲が、この新作ではいきなり1曲目から登場します。ミディアムテンポで激しいピアノが印象的な "Apocalypse Please" がそれで、ボーカル/ギター/ピアノ担当のマシュー・ベラミーのオペラチックなファルセット・ボーカルもここで存分に堪能できます。更に従来の路線を追求したシングル曲 "Time Is Running Out" や "Hysteria"、ヘヴィなリフが印象的な "Stockholm Syndrome" や "The Small Print"、ミディアムバラード "Sing For Absolution"、劇的な盛り上がり方をする "Falling Away With You"、ストリングスを導入した新境地 "Blackout"、ちょっとだけダンサブルな要素がみられる(けど予想の範疇内な) "Butterflies & Hurricanes"、これまた新境地といえる "Endlessly"、ありそうでなかったタイプの "Thoughts Of A Dying Atheist"、ちょっとだけここ数年のRADIOHEAD的な方向性を感じるラスト曲 "Ruled By Secrecy"‥‥確かに新境地といえるような新たな曲調もあるにはあるんだけど、それら全てが予想の範疇内であり、つまりは前作の延長線上にある作風なわけ。ファースト「SHOWBIZ」からセカンドへと移行する時に見られた劇的な変化/成長は今回見られず‥‥しかしながら、大成功を収めたセカンドの路線を更に追求した形での成長がこの新作で大きくクローズアップされてるんですね。

基本的にはこのMUSEというバンド、RADIOHEAD以降のバンドの中でもかなり特異な存在で、UKギターロック的な色合いよりも、ダークでゴシック調でヘヴィメタリックな側面をフューチャーしたバンドなんですよね。ポップで判りやすい歌メロに、ラウドロック真っ青なヘヴィリフ、時にはギターレスでピアノやシンセをメインに据えた耽美な楽曲まで登場する。決してポストロック的な方向へは行かず、あくまで判り易さ全面に出す。実はこのバンド、THE DARKNESS辺りに通ずるバンドなんじゃないかって気がするんですよね。伝統的ブリティッシュロック・バンドという意味でね。プログレッシヴでヘヴィで、メロウで耽美でゴシックで。ただ、こういう表現の仕方をするバンドが同時代に存在しなかったから目立ってしまったという。それとファルセットを多用したヒステリックで線の細いボーカルが、如何にも「RADIOHEAD以降」という風に捉えられてしまった。タイミング的なものも大きいし、まぁ登場の仕方も大きいし。世が世なら、間違いなく「時代錯誤」とか「'70年代のレトロック・リバイバル」なんて呼ばれてハイプ扱いされてたんでしょうね。アートワークにストーム・トーガソン(元ヒプノシスのメンバー)を起用する辺りにも、その筋の匂いがプンプンするし。

多分‥‥2003年にこのアルバムを持ってデビューしてたら‥‥絶対にTHE DARKNESSと比較されてたと思います。ライヴを観ても判るように、このMUSEも非常にアート面とエンターテイメント面をバランス良く強調したステージを繰り広げるし。そういう意味でも比較されるべき対象なのかもしれませんね。本当はRADIOHEADではなく、THE DARKNESSと肩を並べるべき存在。それが2003年に於けるMUSEの在り方なのではないでしょうか。前作同様、非常に気に入っている1枚です。しかし、癖が強い為‥‥THE DARKNESS同様、好きな人にはとことんアピールするものの、苦手意識のある人にはとことんダメな1枚にもなるでしょう。万人にはオススメしないものの‥‥実はハードロック・ファンにこそ聴いて欲しいアルバムだったりして。



▼MUSE『ABSOLUTION』
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投稿: 2003 12 23 02:36 午前 [2003年の作品, Muse] | 固定リンク

2001/07/07

MUSE『ORIGIN OF SYMMETRY』(2001)

何時からメタルと疎遠になったのだろう。何時メタルという音楽に見切りをつけたのだろう。ふと考えてみたが、ハッキリと覚えていない。何時何時から、とかその日を境に聴かなくなったというわけではなく、徐々にだったのだろう。が、その決定打となった1枚は今でもハッキリ覚えている。RAGE AGAINST THE MACHINE「EVIL EMPIRE」。これを聴いたことで、それまでの価値観が変わってしまったのだった。その頃からだろうか、それまで創刊号から毎月買っていた「BURRN!」が立ち読みで済ます月が出てきたり、CDラックにあった山程のメタル系CDを売り払ってしまったのは‥‥

今でもこの手のジャンルはよく聴くし、たまに思い出したかのように中古で買い戻しているアルバムもある。決して‥‥嫌いになったわけではないのだ。ただ‥‥『NO FUTURE』‥‥メタルを聴いていると、こういう言葉が頭を過ぎるのだ。メタル好きやメタル肯定派を否定するつもりは毛頭ない。じゃなければ「猿メタル」なんてコーナーを作ったりしないし、ロブ・ハルフォードやJUDAS PRIESTの新譜に期待したりもしないだろう。

ただ‥‥以前この「猿メタル」コーナーに対して「メタル復権の為に頑張って下さいね!」という励ましのメールをいただいたことがあった。正直、どう返答していいのか困ってしまい、結局返事を書かず終いにしてしまった(殆どのメールに対して、例えそれが誹謗中傷であれ、俺はキッチリと返事を書くのだが、このメールのみ返事を書くことができなかった)。だって‥‥俺はメタルがメインストリームに立ったことなんてないと今でも思っているし、今後もそんなことはないと確信している。15年程前、確かに全米を巻き込んだムーブメントがあったが、あれはバブルのようなものだったと、今では思っている。「ブリットポップ」と同じようなもんだと俺は捉えている。

当然、その恩恵を受けてデビューしたバンドの中には素晴らしいものも幾つかいたが、その殆どは‥‥判ってるだろ?

さて、そんな俺ではあるが、たまにメタルと全く関係ないジャンルのアルバムを衝動的に購入した時に、そこから「メタル臭」や影響を発見してしまうと、無条件でニヤリとしてしまう。別にメタルが好きだったとかではなく、そのルーツとなるバンドが同じだったというケースが殆どなのだろうけど、なかなか興味深いものがある。

さぁ、やっとここからが本題だ。何故イギリスのトリオバンド‥‥雑誌や メディアでは「UKロック期待の新星」等と呼ばれているこのMUSEの新作「ORIGIN OF SYMMETRY」レビューに際し、こういうことを書いたのか‥‥聴いた人、判るでしょ?(ニヤリ)

1曲目 "New Born" を聴いた時の俺の感想‥‥「うわっ、これってメタルじゃんか!しかも北欧辺りの!!」ヤられた。ぶっ飛んだよ、マジで。俺はそれまでMUSEに対してそれ程いい印象を持っていなかったし、ちょっとしか聴いたことのないファーストアルバムに対しても、それ程いいとは思わなかった。昨年のサマーソニックでのステージも、環境が悪かったせいもあってか(朝イチで、しかも炎天下の中)その良さに気づくことなく終わった。

そんな俺が何故、このアルバムを買ったのか‥‥今となっては「血迷った」としか言いようがないが、とにかく今年に入って「何の期待もせずに衝動的に買ったアルバム」の中ではダントツの1位だ。

前に‥‥REEFの「GETAWAY」レビューの時だったと思うが‥‥「逆猿メタル」という表現を使ったことがある。本来の「猿メタル」が「メタルに疎い・毛嫌いしてる人にも受け付けられる可能性がある、メタル寄り/メタルとカテゴライズされるアーティスト」をオススメする枠なのに対し、この「逆猿メタル」というのはその言葉通り‥‥「普段メタル以外の音楽と接する機会があまりない方々に対して、他ジャンルにもそれに匹敵する素晴らしい作品があるんだよ」という意味合いで語っている。REEFがMR.BIG辺りの土着的ルーツロック好きにアピールするように、このMUSEも‥‥ドラマチックな展開が盛りだくさんのメタルに匹敵する内容だと思っている。

前作を手掛けたジョン・レッキー(STONE ROSESやRADIOHEAD等を手掛けたことで有名だが、その昔はXTCといったバンドも手掛けている)だけでなく、TOOLやKING CRIMSON、ピーター・ガブリエルといったプログレ・チックなアーティストを手掛けるデヴィッド・ボトリルにもプロデュースを依頼したことによって、前作から一皮も二皮も剥けた‥‥いや、化けた内容となっている。「MUSEってこんなに凄かったっけ!?」アルバムを聴き終えた時、誰もがそう思うに違いない。

キーボード類を効果的に多様している点、トリオの利点を上手く機能させたバンドアンサンブル等から、カナダのRUSHを彷彿とさせるイメージもあるが、むしろあっちよりも攻撃的であり、同時に耽美性も十分すぎる程にある。ボーカル&ギターのマシュー・ベラミーの、ファルセットを多用した歌唱法から前作では「トム・ヨークのフォロワー」、あるいは「RADIOHEADフォロワー」と呼ばれることが多かった(実際俺も最初はそう思ってたし)が、ここでは既にオリジナルとして、独特な存在感を醸し出している。ファルセットと同様に、独特なブレス(息継ぎ)も印象的だ(これがダメって人もいるだろうけど)。むしろそれらの要素が、こういう耽美性を更に高めているように感じる。メタルだ、プログレだ、という割には「弱さ」「儚さ」が強すぎるのだ。もしこの演奏に対してボーカルがジェームズ・ラブリエ(DREAM THEATERのVo)やジェフ・テイト(QUEENSRYCHEのVo)だったら、正しく正統派メタルとして機能するはずだ。

1曲1曲の作りがしっかり作り込まれているにもかからず、非常に自由度が高いアンサンブル。この辺に'70年代辺りのブリティッシュ・ロックとの共通点を見出せるような気がするのだが、如何だろうか? その観点からすれば、タイプは全く違うが初期のマニックスやMANSUN辺りとも共通するものを持っているバンドだと、今回このアルバムを聴いて実感した。

とにかく、起承転結がしっかりしてるのだ。1曲目 "New Born" や3曲目 "Spece Dementia"、6曲目 "Citizen Erazed" 辺りは、その代表的楽曲だろう。同時に、シーケンサーを多用したパワーソング "Bliss" や、ストレートな "Plug In Baby"、オペラチックな "Micro Cuts" のような曲もある。アルバムの流れとしても非常に振り幅の大きい構成となっている前半と、一聴して地味な印象を受けるものの非常に味わい深い後半というように、飽きさせない作りとなっている。

以前、マシューのギターワークについて「KING CRIMSONのロバート・フリップやRATMのトム・モレロからの影響が大きいのでは?」と書いたことある。その時はリズム隊について特に触れなかったが、このセカンドではそのリズム隊の存在感が非常に大きい。特にベース。トリオってこともあって、CREAM時代のジャック・ブルースとイメージが重なった。ギターよりもベースがメインリフを刻む曲が多く見られるが、それもこのバンドの特徴だろう。ギター2人ではなく、敢えてトリオという形態を取ったのも、実はこの辺からの影響が強いのかもしれない(って実は友達がこの3人だけだったとか!?)。こうなると、当然ライヴが観たくなってくる。当初はフジロックへの出演が決まっていたが、アルバムリリースの遅れやプロモーション計画の変更で流れてしまった。単独来日は年末辺りだろうか? 久し振りに「本気で観たい」と思わせてくれたアルバムだ。このアルバムの曲をどうステージで再現するのか? 或いはぶち壊すのか? 非常に興味深い。

最近「ギターロックがつまらない」「UKロックが面白くない」と言い続けてきた俺だが、これには本当に「やられた!」感が大きい。ある意味、今年前半にリリースされたイギリスのアーティストの作品の中ではダントツかもしれない。大穴、マジで。俺の中ではWEEZERよりもASHよりも面白かった。これはマジでいいアルバムだ。メタルファンもUKロックファンもプログレファンもそうでない人も‥‥とにかく聴いて欲しい1枚である。



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投稿: 2001 07 07 02:31 午前 [2001年の作品, Muse] | 固定リンク

2000/08/14

「SUMMER SONIC 2000」DAY 1@富士急ハイランド・コニファーフォレスト(2000年8月5日)

  SUMMER SONIC 2000のライヴ・レポートです。音楽以外の、純粋にイベントに対して思ったことは日記の方にまとめたので、そちらも併せてご覧ください。


◎SPRING NO.1

  「SPRING NO.1」‥‥何のことはない、春一番のことだ。(笑)オープニングMCを務めることになったわけだが、司会の男性のコールに合わせて流れた音楽は‥‥そう、アントニオ猪木の入場テーマ! 勿論会場が一丸となって唄う。そして登場した春一番は白の闘魂ガウンを着て現れた。開口一発「元気ですかーっ!!」場内大歓声&大爆笑。当然大喜びする俺。今日はこんなに大勢の人が集まってくれてとても嬉しいこと、そして今日一番楽しみにしているアーティストはジェームズ・ブラウンだということを、司会者に質問され答えた。最後に彼は「道はどんなに険しくても、笑って歩いていこうぜ」ってなことを言って(合ってるかな?)、お約束の「いくぞーっ、いーっち、にーい、さーん、ダァーッ!!!」を会場と一丸になって叫ぶ。そして大きな拍手。間違いなく、会場がひとつになった瞬間だ。そう、どんなアーティストよりも。(笑)もうつかみはOKってとこだろうか? 一番見れて嬉しかったのは、実は俺だったのかもね?


◎MUSE

  富士急でのトップバッターはイギリスからの新人トリオ、MUSEだ。この春に発売されたファーストアルバムは雑誌等で話題になったようだが、今年に入ってその手の雑誌を読まなくなった自分にとっては、今回が音・ビジュアル共に初体験である。実は会場入りする前に1~2曲だけ、アルバムを聴かせてもらったのだけど、いまいちピンとこなかった。早朝、高速を飛ばしてる最中の車の中というシチュエーションには合わない音だったのは確かだろう。

  ステージに登場したメンバーは簡単な挨拶を交わした後に演奏を開始した。髪の青いギタリストがボーカルを兼任している。声質や高音の地声から裏声に切り替わる辺りの発声が確かにRADIOHEADのトム・ヨークに似てなくもないが、音楽的にはそれ程RADIOHEADっぽいとは感じなかった。むしろ、そのRADIOHEADも間接的に影響を受けているであろうKING CRIMSONのアンサンブルに近いものを感じた。ギターもトム・モレノやロバート・フリップからの影響が伺える効果音的ギタープレイが随所に登場し、聴いてて気持ちいい。演奏全体がとてもヘヴィで、想像していたものとは違った(もっと内向的で、イギリス特有の根暗ロックかと思っていたが)。メロディは確かに潤いあるヨーロッパ色を感じさせたが、それを支えるバックは昨今のヘヴィロックにも負けない力強さを感じた。アルバムはそれ程ヘヴィと感じなかったが‥‥俺の好みかというと、それ程「最高!」とまで感じなかったのも、また事実。あの炎天下の野外という環境も合わなかったのかもしれないし、トップバッターということもあって、こっちも構えてしまっていたし。ただ、これを切っ掛けにアルバムだけはちゃんと聴いてみようと思う。それ次第では10月の単独公演にも足を運ぶかもしれないし。悪くはないが最高でもない、それが第一印象だろうか。


◎REEF

  本来なら昨年KULA SHAKERを脱退したクリスピアン・ミルズの、ソロとしての初ステージとなるはずだったが、急遽DUST BROTHERSとのレコーディングが決定したため、残念ながら出演キャンセルとなり、それに代わって登場となったのが、俺も大好きなREEFである。なにげに初REEFだったんだわ、これが。アルバムはこれほど聴き込んでるくせして、初ライヴ。しかも野外。とっても野外が合うバンド/音だと思うよ♪

  ステージに登場したボーカルのゲイリーは、既に上半身裸だった。おおっ、体毛濃いぃなぁ。(笑)いきなり"Place Your Hands"からスタートするとは、反則モノだ!! MUSEよりもお客が少なくなっていたにも関わらず、このスタートに客席にいた者は歓声を上げ、一緒に大声で唄いながら踊った。この日はこれまでのシングルヒット曲を中心に、8月下旬にもうリリースされてしまう4枚目のアルバム「GETAWAY」からの新曲3曲も披露された。新曲はこれまでよりもストレートな印象を受けたが、メンバーの演奏力とゲイリーの歌唱力/テクニックの向上によって、より深みを感じ取ることが出来た。興味深かったのは前作「RIDES」からはたった1曲しか選曲されていなかったこと。今となっては気に入っていないのか、それとも単に演奏時間の関係上削っただけなのか‥‥俺としてはREEF史上ベスト3に入る"New Bird"が聴きたかったのだが‥‥

  メディア等で「ベースは煽るだけ煽って、演奏が疎かになる」という話を耳にしていたが、確かに1番よく動いていたが、それ程下手とも感じなかったし、あれはあれでいいと思った。むしろ、ああいう「おバカ・キャラ」がいなきゃバンドとしては‥‥ねぇ? そうそう、"Good Feeling"の時だったかな。ゲイリー、ステージから降りてお客と握手したり、柵に登ったりしてた。(笑)そして、そこから客席にダイブ!(爆)何か下にいた女の子が潰されてしまったみたいで、ちょっと前のブロックが大騒ぎ。ゲイリー、バツが悪そうにステージに戻っていった。(笑)その後も何度もステージから降りたけど、スタッフに注意されたのかどうか知らないが、あまりお客にタッチしていなかったように思う(少なくとも、モニターで見た限りでは)。けど、お客の煽りはこの日一番だった。ドラムも途中で感極まったのか、フロアタムをドラムライザーから蹴り落とすし。(笑)もうハチャメチャ(そういえば、この人達初来日の時もリキッドルームでの「ナニシテモイイヨ事件」という前科があるしな/笑)。勿論曲はグレイテスト・ヒッツ的内容だし、演奏はガッチリしてるし。ただアクが強い分、MUSEが好きっていう「ごく一般的な」UKロックファンには敬遠されてしまうのね。こんなにかっこいいのに‥‥間違いなく、この日のベストアクトでしょう! 次は絶対に単独公演、行くもんね‥‥と思ってたら、何と早くも来年1月に再来日決定!!!


◎THE MAD CAPSULE MARKETS

  こいつら見たさにフジロック蹴って、こっちを選んだようなもんだから。ステージに現れたメンバーは3人‥‥あれ、ひとり足りない‥‥ギターでしょ、ドラムでしょ、ベース‥‥あれ、ベース持ってない。ターンテーブルみたいなの、いじってる。そう、いきなり未発表のインストナンバーからスタート。これがアップテンポで気持ちいい曲だった。そして曲終了と共にボーカルが登場し、「OSC-DIS」の1曲目"Tribe"がスタート。最前ブロックでは既にボディサーファーやダイブする者が続出。そうそう、こうじゃなくっちゃ! 禁止されてても、やっちゃうんだよなぁ‥‥たとえ怪我したとしてもそれは自分の責任だし、周りも怪我させないように気遣って協力してくれる。最近のヘヴィ系やパンク系のライヴでよく見かける光景だが、すごく一体感を感じる瞬間だ。個々が楽しければいいのではなく、みんなで楽しくやる、みんなで盛り上げる。ここ10年くらいで日本もライヴの流れが随分と変わった気がするな。

  この日の選曲は新曲2曲と前作からの"Systematic"以外は、最新アルバムからの曲だった。コアなファンは「もっと昔の曲を‥‥」って不満だったようだが、俺は大満足だった。だって、俺が本格的にのめり込んで聴くようになったの、「OSC-DIS」からだし。勿論前作も好きだけどね。その新曲2曲の内、もう1曲はとてもサイケ色が強いミディアムヘヴィナンバーだった。所謂サビのパートにくるまでギターが入らず、ベースが独特な和音を奏でていた。そこにラップ調ボーカルが乗り、サビでドカーン‥‥ともならず、メロウなサビだけど意外と単調な感じの曲だった。何となくだけど、DEFTONESの新作で感じた冷たさと同じものを感じたのは俺だけだろうか? もしマッドの新作がこういう方向にいくとしたら、それはそれで興味深い。常に前進するバンドなだけに、それもアリだと思う。

  とにかく「上手いな」と思った。前のREEFとは正反対のタイプかもしれないが、それぞれがやはり一流のプレイヤーと一流のパフォーマーの集まりなんだと思う。シーケンサーを中心にバンドが動くわけだが、ドラムは機械以上に暴力性を感じさせるプレイで気持ちよくさせてくれたし、ギターのザクザクしたクランチも気持ちよかった。ただ残念なのは、音響の酷さだろうか。こういうタイプのバンドの場合、どうしても野外だと全体がグシャッとしてしまって、聴き難くなる。けど、それに負けないだけのパワーと熱意を感じ、それを受け取った。十分だった。足が痛くなる程踊ったし。また観たい、素直にそう思わせてくれるパフォーマンスだった。


◎DRAGON ASH

  マッドの後、休憩をした為に311やアレステッド、SUPERCARといったところは断念した。明日もあるし。やはり去年フジロック3日間での教訓が活かされているのだろうか、すごくマイペースに観てる気がする。最前ブロックに行くこともなかったし(単に歳だ、っていう話もあるが/笑)

  さて、DRAGON ASH。実はこいつらも初めて観る。音は随分聴いてきた気がするけど、まぁ最近ではチケットも取り難くなったし、こういう機会でもないと観れないだろうから、俺は大歓迎だった。けど、多くの「自称」ロックファンにとっては休憩タイムだったようだ。いいけどね、こんなにガラガラな環境で彼等が観れるなんてさ、得した気分だし。

  実はDRAGON ASHが今回、どういう方法で自分達をアピールするかが結構楽しみだった。ひとつはこれまで通りのヒップホップ路線を誇示する形。まぁアルバム「VIVA LA REVOLUTION」を中心とした選曲かな、と。そしてもうひとつが‥‥絶対にないとは判っていたが‥‥フェス仕様の、ヒット曲のオンパレード。つまり最近では殆ど演奏されることもなくなったであろう"陽はまたのぼりくりかえす"や"Under Age's Song"を最近のヒット曲と一緒に演奏してしまう、本来のミクスチャーバンドとしての形。ないと判っていても、やっぱり期待してしまう。

  で、実際はどうだったかというと‥‥言うまでもなく、前者でした。(笑)「VIVA LA REVOLUTION」からパンクナンバーを抜いて、最近のシングル2枚("Deep Impact"、"Summer Tribe")を追加した形。すごく潔かった。アレステッドとJBに挟まれるという、'97年フジロックでのレイジとレッチリに挟まれたイエモン状態だったのも関わらず、気負いせずに最高のパフォーマンスを見せてくれた。思ってた以上に降谷がお客に対して紳士的だったのがとても意外だった。前の方の熱心なお客以外は冷めた目で彼等を見つめていた。ヒップホップがこれだけ市民権を得ていても、やっぱ今日のお客にはキツいのかね?とも思ったが‥‥やっぱ別の理由からだろう。(苦笑)

  ここで俺の中で1回目のピークが‥‥ライヴ後半に登場した大ヒット曲"Let Yourself Go, Let Myself Go"のイントロを聴いた瞬間、鳥肌が立った。そしてそれまで静かだった後方からも歓声が。やっぱりヒット曲を持っているバンドは強い。降谷や馬場は右へ左へと大忙し。それがまた嫌みになってないからかっこいい。続けざまに"Deep Impact"に突入‥‥いいのか? だってこの曲ではラッパ我リヤが重要なパートを受け持っているのに‥‥サンプリングで済ますのか、と思っていた。それにしては声が生々しいな、と感じていたら‥‥ステージ袖から見覚えのある2人が‥‥ラッパ我リヤだった! 何とDRAGON ASHはラッパ我リヤをスペシャルゲストとして、この1曲だけのために連れてきていたのだ。おお、こりゃお得だわ! お客とのコミュニケーションもうまくいき、最後の曲として「みんなが一番好きな曲をやります」と降谷。おおっ!?と思ったが、そこは今の彼等。最後に披露されたのは"Viva La Revolution"だったという‥‥(苦笑)けど、気持ちよかったな。すごく感動的だったし。それまで彼等に見向きもしていなかった俺の周りのお客も、この時には彼等に夢中になっていた。やっぱり変な色眼鏡を抜きにして、実際に体験してしまえば彼等の良さが判るのよ‥‥勝ったんだよね、彼等は。そして最後の最後まで自分達のファン以外のお客にも気を遣って「この後にはJBが待ち構えてるからね。俺も楽しみ♪」とか言ったり。きっと自分も楽しんでるんだろうな‥‥そう感じた。

  改めて今のDRAGON ASHを観て思ったのは、彼等はヒップホップでもなんでもない、それまでと何ら変わらないロックバンドだったという事。ラップを中心とした曲をやっているものの、やはり、まこっちゃんのドラムと馬場さんのベースが入れば、どこから切ってもロックになっている。サポートギタリストが入った分、降谷がギターを弾く比率は低くなったが(この日も"Dark Cherries"1曲のみ)、その分歌(ラップ)にパフォーマンスに集中する事が出来るようになった。きっと今後も彼等はこの路線で突き進むだろうが、何も悲しむ事はない。彼等はこれまでもロックバンドでなくなった時は1度だってなかったのだから。そしてそれは今後も変わらないだろう。この4人でやっていく限りは‥‥とにかく今回観れたことで、胸のつっかえが取れた気がした。


◎SPRING NO.1

  JB登場の前に、再び「イノキッ、ボンバイエッ!」が‥‥おいおい、ここでも登場か?(笑)今度は赤いガウンを着て登場の春一番。「ジェームズ・ブラウンと皆さんにこの言葉を‥‥」てな感じで始まったのは‥‥「この道を行けば、どうなるものか~」って、おいおい、「道」かよ!!(爆)生で聞いちまったぜ!!! 勿論最後は「ダァー!」で占める。「アリガトーッ!」とステージを去る春一番。あんた‥‥やっぱ、今日の主役だよ♪ JBを食うつもりか、あんた‥‥(笑)


◎JAMES BROWN

  今何故にJB!?とも思ったが、これはこれで「飛び道具」として成り立つのだから面白い。いや、彼が出演する事によってこの1日目の色が決まったも同然だった。REEF、マッド、311、アレステッド、DRAGON ASH、そしてジョンスペ‥‥この日出演のアーティスト達は音楽性こそ異なるものの、それぞれに「踊る/踊らせる」事に長けた人達ばかりだ。2日目がどちらかといえばロック色が濃いだけに、俺はJBにはすごく期待していたのだ。

  もう既にご存知だろうが、彼は本来の持ち時間の60分を更に1時間近くオーバーした。フルステージやっちまったようなもんだ。(笑)いくら時間限定されたフェスだろうが、「よい子ちゃんではここまでやってこれないんだよ!?」と言わんばかりの暴走ステージ。まさに「俺がJBだっ、文句あっか!」な内容だった。だって、頭2曲ではJB登場しないし。始まって20分くらいしてから勿体ぶって登場するし、とにかくゴージャスなステージで、ツインドラム、ツインベース、ギターも2人、ホーンセクションにキーボーディスト、パーカッション、女性コーラス3人に「レイク・エンジェルズ」みたいな(笑)女性ダンサー3人、更に男女ソロボーカリストに、MC(マント・パフォーマンスの要となる人/笑)‥‥総勢20人以上ですから。富士の裾野がこの時だけ、ラスベガスに変わってしまったのだった。

  でもね、やっぱりプロだよ、そこは。非常に楽しかったもん。ただ疲れたけど。(苦笑)JBはさ、それこそキーボードも弾くし、ドラムも叩いちゃうし、ベースもお手のもの、ダンスまで披露したからね。まさに「俺様ショー」だわ、こりゃ。嫌いな人にとっては「ジャイアン・オンステージ」と同じくらい苦痛なんだろうけどね。(笑)

  そうそう、中盤で空ペットボトルをステージに向かって投げつけた方がいらっしゃって、それが「俺様」の気に障ったらしく、ステージ中断(当たり前だ!)。JBご立腹。マイク倒してたもん。ものすごい威圧感を感じ取った観客、2万人が黙りこくり「ドンッ!」とデカい音だけが静寂の中に響くのだった。あんな緊張感、二度と味わいたくない。(苦笑)

  まぁそれはさておき、やっぱり何十年とやってきたプロの仕事を昨年のZZ TOPに続いて観れただけでも、俺にとっては収穫だった。なんてったって「KING OF SOUL」ですからなぁ‥‥自分の曲以外にもオーティス・レディングの曲なんかもやってたし。やっぱり俺様だしね♪(笑)


◎THE JON SPENCER BLUES EXPLOSION

  JBによる1時間押し、更に直前に雨に見舞われ、最悪の形でのトリとなってしまったジョンスペ。残念ながら最初の10分ちょっとは雨宿りしてたために観れなかった。よって"2Kindsa Love"や"Attack"といった曲は、遠くからぼんやり聞こえる程度だった。(涙)

  やっぱり去年フジロックでBLURを選んだがために観れなかった事をこの1年後悔してきたので、何としても観ようと小雨の中突進した。やっぱJBの後だけに、何を観てもスケールダウンして見えてしまう。実際にJBの時と比べれば、照明も暗い。しかも3人だし。音も小さいよ。雨降ってるからか? 「時間押しても延長ナシよ?」っていう重圧なのか、これは? とにかくね、すごい気迫を感じた。JBに対する怒りなのか、それとも元々こんな感じのステージを繰り広げるバンドなのか‥‥って後者だろうけど。

  この日初めて彼等を生で観たわけだけど‥‥何故彼等がこういうバンド名(BLUES EXPLOSION)を付けたのかがよ~く解った。だって、本当にブルーズがEXPLOSION(爆発)してたもん! これ以外にどうやって表現すればいいのさ!?って音だったよ、マジで。ベースがいない分、音が薄くなるのは目に見えているけど、あのスカスカ感が逆に気持ちよいのであって、それこそこの3人以外には考えられないアンサンブルなんだろうな? マジでかっこいいし、凄くセクシーだった。俺が女だったら惚れるね、ジョンに。(笑)

  悲しいかな、俺が見始めてから5曲程度でステージは終わろうとしていた。実質40分前後だろうか? 本来なら70分の予定だったのに‥‥最後はカオスというか絶頂というか、もう暴れまくり。床をのたうち回ったり‥‥予定通り20時に終わらせられたようで、空には打ち上げ花火が上がり、主催者側の人間が「これをもちまして、本日の公演は全て終了しました~」とアナウンス。が‥‥がっ!! それを振り切り3人がステージに再び!!! うぉぉ! 大歓声。つうか、花火まで上げてしまった主催者、面目丸つぶれ。(笑)最後の1曲は何でもあり。もう「Fuck!」は連呼するわ、マイクは床に叩き付けて壊すわ‥‥そうとう鬱積してたんだろうな‥‥最後の最後で、本当に「EXPLOSION」してしまった彼等。もしこのアンコールがなかったら、俺は不完全燃焼のまま、また1年を過ごすところだった。けど、これで十分満足できた。この日最高に鳥肌が立った瞬間だった。そして「何でロックはかっこいいのか?」という本質に、ちょっとだけ触れたような気がしたのは俺だけだろうか?

投稿: 2000 08 14 12:00 午前 [2000年のライブ, Dragon Ash, James Brown, Jon Spencer Blues Explosion, The, Mad Capsule Markets, The, Muse, Reef, SUMMER SONIC] | 固定リンク