カテゴリー「Muse」の13件の記事

2020年1月12日 (日)

祝ご成人(1999年4月〜2000年3月発売の洋楽アルバム20選)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今年で6回目となります。毎年この時期にこの企画をやることで、温故知新というよりは「自分の20年前の音楽ライフはどんなだったか」を思い返す上で非常に重要なコンテンツになりつつあります。

しかも、前回(1998年4月〜1999年3月)から当サイトの前身サイトがスタートした時期(1998年12月)と被っていることもあり、選出時いろいろ感慨深いものがあったりするのですから、長く続けてみるものですね。

さて、企画説明です。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1999年4月〜2000年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れが強い作品のうちSpotifyやApple Musicで試聴可能なものを20枚ピックアップしました。

でも、どれも名盤ばかりですし、もしまだ聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。特に、現在20歳の方々は「これ、自分が生まれた年に出たんだ」とかいろいろ感慨深いものがあるような気もしますし。ちなみに、作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちら、2017年度の新成人編はこちら、2018年度の新成人編はこちらです)

 

AC/DC『STIFF UPPER LIP』(2000年2月発売)(Spotify)(レビュー

ATARI TEENAGE RIOT『60 SECOND WIPE OUT』(1999年5月発売)(Spotify)(レビュー

BUCKCHERRY『BUCKCHERRY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』(1999年6月発売)(Spotify)(レビュー

CIBO MATTO『STEREO☆TYPE A』(1999年6月発売)(Spotify

D'ANGELO『VOODOO』(2000年1月発売)(Spotify

THE DILLINGER ESCAPE PLAN『CALCULATING INFINITY』(1999年9月発売)(Spotify

DISTURBED『THE SICKNESS』(2000年3月発売/US)(Spotify)(レビュー

THE FLAMING LIPS『THE SOFT BULLETIN』(1999年5月発売)(Spotify

FOUNTAINS OF WAYNE『UTOPIA PARKWAY』(1999年4月発売)(Spotify)(レビュー

 

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2018年12月31日 (月)

2018年総括(1):洋楽アルバム編

2018年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2018年気になったアイドルソング10曲(+次点5曲)、そして今年印象に残ったライブ10本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

今年はまず最初に、次点の10枚から紹介していきたいと思います。たまにはやり方を変えて、新鮮さを保たないとね。

<次点>
・BLOOD ORANGE『NEGRO SWAN』
・CHVRCHES『LOVE IS DEAD』
・JACK WHITE『BOARDING HOUSE REACH』(レビュー
・KAMASI WASHINGTON『HEAVEN AND EAERTH』
・KURT VILE『BOTTLE IT IN』
・THE LEMON TWIGS『GO TO SCHOOL』
・MUSE『SIMULATION THEORY』(レビュー
・NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
・STARCRAWLER『STARCRAWLER』(レビュー
・VOIVOD『THE WAKE』(レビュー

メタル系以外は、自宅でまったりしているときに流していることが多かったか、移動中に聴く頻度が多かったものが中心。BLOOD ORANGEやMUSEなんて、まさにそれですね。CHVRCHESはフジロック以降、がっつり聴いていた記憶が。KAMASI WASHINGTONはレビュー仕事でディスク1のみ先に届いて、こっちばかりリピートしてたんだよな。THE LEMON TWIGSは常にセレクトするというタイプではないんだけど、個人的趣味からしてやっぱり外せないなと。KURT VILEも然り。

STARCRAWLERは今年1月のリリースだったけど、ちょっと12月まで持続させられなかったな、自分の中で。今年後半、もうひと跳ねあったら、自分内評価もまた変わったのかも。

さて、続いてここからが本編。僕が選んだ2018年の洋楽アルバム10枚です。

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2018年11月12日 (月)

MUSE『SIMULATION THEORY』(2018)

初の全米No.1を獲得した前作『DRONES』(2015年)から約3年ぶりに発表される、MUSEの通算8枚目のスタジオアルバム。ロバート・ジョン・マット・ラング(DEF LEPPARDブライアン・アダムスAC/DCなど)とタッグを組んだ前作から一変、本作では旧知の仲間であるリッチ・コスティ(FOO FIGHTERSTHE MARS VOLTAAT THE DRIVE-INなど)に加え、マイク・エリゾンド(ドクター・ドレー、エミネム、MAROON 5など)、シェルバック(テイラー・スウィフト、アデル、アダム・ランバートなど)、ティンバランド(ジャスティン・ティンバーレイク、ミッシー・エリオット、ONE REPUBLICなど)という異色のプロデューサー/ソングライターを多数迎えた、バラエティ豊かな内容に仕上げられています。

本作は昨年5月に発表されたシングル「Dig Down」からスタートしたと言っても過言ではないでしょう。当初は単発シングルであり、これが次作への序章とはまた異なるものであるようなアナウンスもあったかと思いますが、年が明けてから2月に「Thought Contagion」、7月に「Something Human」と不定期に新曲が届けられると、ようやくニューアルバム発売情報も発表され、秋には「The Dark Side」や「Pressure」といったリードトラックも解禁。どの曲も完成度は高いものの、アルバムとしてまとまったときの方向性がボンヤリしていたような気がして少々モヤモヤしたものがありました。そう、曲単位では本当に素晴らしいんですけどね。

先週末に届けられたニューアルバム。デラックス盤やスーパーデラックス盤などボーナストラックが複数含まれるバージョンがあるものの、今回はアルバム本編11曲(トータル42分程度)について話を進めたいと思います。

まず、40分台のコンパクトなアルバムはずいぶん久しぶりだなと。振り返ると、全米ブレイクのきっかけとなった4thアルバム『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006年)以来(トータル45分)でした。最近は50分強で、本編中に大作が含まれていたり、曲数が13曲くらい入っていたりしましたからね。

ですが、この11曲42分という内容、先に書いたようにトータリティに関しては過去イチで薄いものと言えるでしょう。従来のMUSEらしい変態的ギタープレイをフィーチャーしたロック/ポップチューンを含みつつも、モダンなエレクトロポップの要素を強めたシングル向き楽曲、ヒップホップ色濃厚なナンバーなど、かなり斬新な楽曲も複数含まれています。ですが、それらは決して「MUSEらしくない」ものではなく、しっかりとMUSEのフォーマットの中でギリギリのラインをはみ出したりはみ出さなかったりしながら、ジワジワとその許容量を広げているのです。ぶっちゃけ、曲単位で聴いたら(例えば先行リリースされた「Dig Down」みたいに)若干拒否反応を示すかもしれませんが、アルバムの流れで聴くと意外と馴染んでしまうのだから、不思議です。

そうなんです。トータリティは薄いんだけど、不思議と「MUSEの作品集」としては当たり前のように楽しめる。これまでの「アルバム」というフォーマットを重要視したスタイルとは明らかに異なるものの、この流れで聴けば抵抗なく聴き進められるのです。そんなマジックみたいなアルバムがこの『SIMULATION THEORY』なのかもしれません。

アルバム冒頭の2曲(「Algorithm」「The Dark Side」)は確かにアルバムというフォーマットを想定した構成だと思いますし、ラスト2曲(「Dig Down」「The Void」)も同様でしょう。それを意図して作られたものなのか否かはわかりませんが、ストリーミング主流時代に突入した今、アルバムというフォーマットの意味が薄まりつつある中でMUSEというバンドがこんな作品を提示してきた。これ自体がある意味現実を表すと同時に、挑戦でもある。そう受け取ることはできないでしょうか。

ぶっちゃけ、アルバムとしての思い入れは過去作ほど強いものにはならないかもしれない。だけど、聴く頻度は異常に高くなりそうな気がする。そんな新時代の代表作になりそうな1枚の登場です。

だからこそ、デラックス盤、スーパーデラックス盤に別バージョンを複数収録したというのも頷ける話。とはいっても、個人的には受け付けませんけどね、アルバムの流れとしては。こちらは単体で聴いて楽しんでいます、出来が良いものも多いので。



▼MUSE『SIMULATION THEORY』
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2018年10月22日 (月)

MUSE『THE RESISTANCE』(2009)

2009年9月にリリースされた、MUSEの5thアルバム。前作『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006年)が本国イギリスで100万枚を超えるメガヒット作となっただけでなく、全米9位&100万枚突破と、ついにアメリカでもブレイクを果たした彼ら。3年ぶりに発表された今作は、全英1位&全米3位という好記録を残し、セールス的にも前作に匹敵する1枚となりました。また、「Uprising」(全英9位、全米37位)や「Undisclosed Desires」(全英49位)、「Resistance」(同38位)というヒットシングルも生まれています。アメリカでのシングルヒットというのは非常に大きいのではないでしょうか。

前作では「Starlight」や「Invincible」といったメジャーキーのポップチューンが印象に残りましたが、本作は全体的に前々作『ABSOLUTION』(2003年)までの要素を強めたイメージ。オープニングの「Uprising」は当時流行だったシャッフルビートを用いつつも、作風的に前作における「Supermassive Black Hole」の延長線上にある1曲。そこからMUSEらしいドラマチックさを持つハードロックチューン「Resistance」や、生とデジタルの融合から生まれたニューウェイヴ的な「Undisclosed Desires」というシングル3連発で聴き手を惹きつけます。ここまでは、前作でファンになったリスナーを楽しませるための“掴み”といったところでしょうか。

ですが、このアルバムは4曲目「United States of Eurasia (+Collateral Damage)」からが本領発揮。QUEENを彷彿とさせる壮大なオペラバラードは、初期の彼らが持ち合わせていた仰々しさがエスカレートしていますし、続く「Guiding Light」も前作にあったポップチューンをさらに激化させたもので、必要以上に力んでいる。ギターの弾きまくりっぷりなんて「この曲のそこで、ここまで弾かなくてもいいんじゃない?」と思わされますが、でも待った。この“無駄なまでに過剰”なのがMUSEの魅力だったんじゃなかった?と、自分が彼らのどこに惹きつけられたかをこの一連の流れで思い出させてくれるわけです。

アルバムはその後も、賛美歌とブルースと攻撃的なハードロックミックスしたような「Unnatural Selection」、ダイナミックかつドラマチックな「MK Ultra」、ピアノを軸にしたストレンジポップ「I Belong to You (+Mon Cœur S'ouvre a ta Voix)」と過剰な曲が続くのですが、アルバム終盤に本作最大の問題作が用意されています。それこそが、9〜11曲目からなる「Exogenesis: Symphony」3部作。トータルで13分におよぶこの組曲は、ストリングスを軸にしたおおらかな第1楽章「Overture」から、クラシカルなピアノとストリングスがじわじわと曲を盛り上げる第2楽章「Cross-pollination」、そして光で包み込まれるようなポジティブさでクライマックスを迎える第3楽章「Redemption」まで、かなり力を入れて作り込まれたもの。各楽章(1曲)単位でも存分に楽しめる内容ですが、ここはあえて3曲続けて聴いて、その世界に浸りたいところです。

エレクトロの要素は前作以上に高まりモダンさを強めているものの、クラシックからの引用やストリングスの導入といった“生の要素”がこのアルバムの持つドラマチックさに拍車をかけている。現代的なサウンドながらも初期作にあった耽美さが復活したように感じますが、実は楽曲自体は「これ!」といった飛び抜けたものが少ないのが難点。「Uprising」のようなアンセムが1曲あるだけでも十分っちゃあ十分ですが、やはり前作がトータルとしての完成度が高かっただけに、ちょっと残念な気もします。決して悪いアルバムではないんですが、もしかしたら「どのアルバムからMUSEのファンになったか?」で本作の評価は激変するんじゃないか……そんな1枚でもあるのかなと。

僕自身は最初に聴いたとき「これはちょっと……」と思ったものですが、何度も聴き込むことでポジティブに受け入れられるようになったし、リリースから数年経ってからは「あれ、悪くないじゃん」と思えるようになった作品でもあります。



▼MUSE『THE RESISTANCE』
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2017年11月25日 (土)

MUSE『SHOWBIZ』(1999)

MUSEの久しぶりとなる単独来日公演に行けませんでした。チケットは確保していたんですが、直前に仕事が入ってしまい、泣く泣く断念。『DRONES』(2015年)発売直後のフジロックは観ているとはいえ、同作を携えたフルサイズのライブ(ステージセット含む)だっただけに、非常に残念でなりません。次はいつになるのやら……。

さ、そんな悔しさを紛らわせようと、久しぶりにデビューアルバムを引っ張り出してみました。1999年秋に本国イギリスで最初に発売され、ここ日本では翌2000年春にリリースされたのが本作『SHOWBIZ』です。

トリオ編成、『THE BENDS』『OK COMPUTER』期のRADIOHEADを彷彿とさせるアレンジ(ただし、ちょっとハードロック寄り)、マシュー・ベラミー(Vo, G)の繊細さとヒステリックさが兼ね備わった歌唱スタイル、などなど個人的に嫌いになる要素皆無なはずなのですが、最初にアルバムを聴いたシチュエーション、つまり第一印象が悪かったのですよね。だって、徹夜で長時間ドライブする中で延々聴かされ、着いた先がサマソニ初年度の富士急ハイランド。完全徹夜明け状態で最初に観たアクトがこのMUSEだったわけですから……残念ながら、素直に受け入れられませんでした。

ということで、本作を正当に評価し始めたのは、続く『ORIGIN OF SYMMETRY』(2001年)を聴いてから。冒頭2曲(「Sunburn」「Muscle Museum」)あたりはHR/HM発〜グランジ経由〜ブリットポップ着のオルタナティヴロックといったイメージで、以降の彼らほどのアクの強さはないかな。アップテンポの「Fillip」の大げさなアレンジは“いかにも”だけど、まだ振り切りきれてない印象も。「Falling Down」や「Unintended」はRADIOHEADと比較されても仕方ないようなアレンジの繊細なバラードだし、「Cave」や「Sober」は完全にハードロックだし、「Uno」もどこか時代錯誤感があるし。結局、全体を通じて“爆発前夜”というイメージなんですよね。まぁそれも、先に2ndアルバム『ORIGIN OF SYMMETRY』から入ってしまったからの感想なんでしょうけど。

もちろん新人のデビューアルバムとしては破格の完成度だし、ブリットポップとかRADIOHEADとか余計な比較対象がなければ、確実に「イギリスらしい複雑怪奇なプログレッシヴロックとメランコリックなグラムロックが融合した新たなスタイル」と僕も絶賛していたはずです。そもそもこのアルバムジャケット自体、HR/HM以外の何者でもないし。うん、出会いが悪すぎた(笑)。

けど、本作だけを聴くと、まさかその後あんなことやこんなことになるなんて、いや、あそこまで進化するなんて誰も想像できなかったでしょうね。どこでどう道を間違えたのか(いや間違えてはないって)。



▼MUSE『SHOWBIZ』
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2015年12月31日 (木)

2015年総括(1):洋楽アルバム編

さて、2015年もあとちょっとで終わりということで、今年を総括してみたいと思います。

毎年恒例となりましたが、その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2015年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ3本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品 / 楽曲には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありませんので、あしからず。あといろんなところに貼り付けたりFacebookでシェアされても恥ずかしいだけなので、やめておいてもらえるとありがたいです。本当にごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」ですからね。

あ、今年から動画を貼り付けてるので、各項目ごとにエントリー分けしてあります。まずは洋楽アルバム編です。

■洋楽10枚(アルファベット順)

●Bring Me The Horizon『That's The Spirit』(amazon)(レビュー

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2015年7月11日 (土)

2015年上半期総括

2015年も気付けば上半期終了。フリーになって最初の上半期ですが、ただ突っ走って終わった気がします。その突っ走った結果が、そろそろいろんな形で世に出ると思うのですが、ここでは今年前半気になったアルバムを洋楽5枚、邦楽5枚セレクトしてみたいと思います。年末にいつもやってるベスト10枚の上半期版ですね。思えば初めてかも、上半期のセレクトって。

きっと半年後、ここに選んだ作品が漏れることもあると思うんですよね。というか、下半期に名盤が連発するような、そんな1年になることを願いたい。もしくは、気分的に今回外したアルバムが、やっぱり下半期には盛り返すこともあるので、あくまで7月11日現在ということで。

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2015年6月10日 (水)

MUSE『DRONES』(2015)

マット・ラングとの共同プロデュースに妙な安心感を覚えた新作は、セルフプロデュースの前2作よりもハードロック色濃厚。現代的な重々しいミドルチューンを連発しながらも近作にあったエレクトロの要素も味付け程度に登場し、後半にかけてはQUEEN風オペラコーラスも健在。

しかしあくまでもこのアルバムの主役は、原点回帰とも言える「トリオ編成のバンドサウンド」であることが近作との大きな違いだ。アルバムタイトルには日本で旬なキーワードが用いられているがその内容はとてもシリアスで、コンセプトアルバムとして各曲のストーリーが連なっていく。

アッパーな楽曲が少なくてもテクニカルなギタープレイやアレンジによって全体に起伏を付けており、「内面の死」を歌った1曲目から劇的な結末へと流れるように続く構成は過去の作品以上に筋が通ったものといえる。個人的には4作目がピークと思っていたが、ここにきてまた新たな高みに到達したのではないだろうか。どうせならアルバム完全再現ライブにも期待したい。

※このレビューは同作リリース時に『TV BROS.』に掲載されものを一部修正して掲載しております。



▼MUSE『DRONES』
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2007年3月13日 (火)

MUSE@東京国際フォーラム ホールA(2007年3月12日)

2時間強の濃厚ライブ。COASTの時よりも曲数は多く、しかもダブルアンコール。なんじゃこりゃ。

ニューアルバムからの曲はほぼ全曲演奏し、なおかつこれまでのアルバムのベストヒット的な選曲。完璧すぎる。前半のユラユラと体があったまっていく感じもスゴいし、中盤のピアノ曲での濃厚なセットリストも圧巻。そして何よりも本編終盤。「Sunburn」で溜め息こぼれて、その後に「Starlight」「Time Is Running Out」「New Born」て。本編最後は「Bliss」で大いに盛り上がりましたよ。

んで、アンコール……「Invincible」で泣きそうになり、その後に「Supermassive Black Hole」「Stockholm Syndrome」。なんじゃそりゃ! これで終わってもよかったんだけど(いやよくない!あの曲やってないから!)、さらにアンコール。「City Of Delusion」をアコギで弾いて(途中から歪みまくり、ソロ弾きまくり)、待ってました!の「Plug In Baby」。そして……いよいよきました、「Knights Of Cydonia」! 中盤で大合唱した後のヘヴィパートでヘドバンの嵐! うひゃー!

……終わった後、完全な廃人でした。

なんかやたらすごいことになってた。いや、デカいバンドになってるのはわかってたけど、自分の認識以上にデカいスケールのバンドになっちまったなぁ、MUSEは。

嫌いだった1stの曲も、のめり込むきっかけとなった2ndの曲も、前作も新作も、どれもが数段上のスケールにいっちゃってた。もう圧巻。

アンコールであれだけ新曲やってもダレないしテンション落ちないのもスゴイと思う。そんだけ新作が受け入れられてるってことだろうし、なによりも全部名曲なんですよ。いやー、こんなに我を忘れて興奮したライブ、久しぶりだ。もうすでに今年のBest3に入るね。

これをまたフジロックで、しかも満天の星の下で観ることができるのか。なんかそれだけでチビリそうだな。


[SET LIST]
01. Take A Bow
02. Hysteria
03. Map Of The Problematique
04. Butterflies & Hurricanes
05. Assassin
06. Sing For Absolution
07. Citizen Erased
08. Hoodoo
09. Apocalypse Please
10. Feeling Good
11. Sunburn
12. Starlight
13. Time Is Running Out
14. New Born
15. Forced In
16. Bliss
--encore--
17. Solder's Poem
18. Invincible
19. Supermassive Black Hole
20. Stockholm Syndrome
--encore--
21. City Of Delusion
22. Plug In Baby
23. Knigts Of Cydonia

2006年7月 1日 (土)

MUSE『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006)

 前作「ABSOLUTION」から3年ぶり、通算4作目となるMUSEのニューアルバム「BLACK HOLES AND REVELATIONS」なんですが‥‥これまたスゴいことになっちゃってますわ。何度か書いてきてるから覚えている人もいるかもしれないけど、俺スッゲーこのバンドが苦手だったんだよね、初期の頃。ま、1st「SHOWBIZ」の時期限定ですが。それが2nd「ORIGIN OF SYMMETRY」で一気にヤラレてね。その後は言うまでもなく。どのアルバムも今では大好きですよ(けど1stだけは今でも違和感残るかな)。

 そんな彼らがメジャー「Wea」移籍して、アメリカや日本でも本国イギリスとほぼ同時期に新作がリリースされる‥‥それだけ力入れてるってことでしょうね。実際、これはそれだけの内容だと思います。

 前作、前々作にあったようなメタリックな要素は若干後退して、その分ニューウェイブチックなアレンジの曲が増えたような気がします(例えばM-2〜4辺りの流れ)。かと思えばM-5〜6だけを何も知らずに聴かされたら「へっ、トム・ヨークのソロアルバムってもう出たの?ていうかこんなサウンドなんだ?」って思っちゃうんじゃないかな、と。実際、俺も店頭でM-5を聴いたときは焦ったもん。

 前作までがどちらかというと「シングル曲並みの完成度の高い曲を並べた作品集」という印象が強かったのに対し、このアルバムはもっとこう、アルバム・オリエンテッドな作風な気がしますね。流れがすごい良い。新機軸もあるんだけど、聴けばそれがMUSEの曲だとわかる。ダンサブルなシングル曲 "Supermassive Black Hole" みたいな異色作でもね。マシュー・ベラミーの声の強みだったり、あの変態的なキターサウンドだったり、そういったものの強みもあるけどね。RADIOHEADフォロワーみたいなことを今更言う人もいないだろうけど(単純に裏声のひっくり返り方がトムとマシューが似てるんだよね)、今から10年前に腐る程いたフォロワー予備軍の中では完全に一人勝ちな気がする(だからフォロワーじゃないってば)。

 でね。ものすごく純度が高くなってる分、やはり「Very British」な部分は隠せないんだよね。そういう意味では、この音がどこまでアメリカで善戦するのかが気になるところ。もしかしたら完全に拒絶されるかもしれないし、その逆に面白がられるかもしれない。可能性はゼロじゃないしね。ま、日本ではウケる音ですよ、こういうメロやサウンドは。ますますファンが増えるんじゃないかな、この夏のサマソニで。

 そうそう。やっぱりこのサウンドをどうライブで再現するのか、あるいは崩すのかが気になるね。そして過去の曲との対比も。並んだ時にどう聞こえてくるのか‥‥ま、そんな違和感はないだろうけどね。突出した出来というわけじゃなくて、順当にいい方向に成長してるサウンドだからさ、彼らの場合。

 いやぁ‥‥それにしても、本当に良いアルバムを作ったなぁ。良いバンドが期待以上のものを作ってくれた時の嬉しさって、何ものにも代え難いっていうか、表現難しいよね。とにかく、このアルバムがより多くの人に受け入れられることを願います。



▼MUSE「BLACK HOLES AND REVELATIONS」(amazon:US盤US限定盤日本盤

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