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カテゴリー「Myles Kennedy」の9件の記事

2023年1月22日 (日)

SLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『APOCALYPTIC LOVE』(2012)

2012年5月22日にリリースされたSLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS名義での1stアルバム。日本盤は同年5月16日発売。

当時はGUNS N' ROSESを離れていたスラッシュ(G)の、ソロやSLASH'S SNAKEPITを含めると通算4作目のソロワーク。前作に当たる純粋なソロアルバム『SLASH』(2010年)では曲ごとに多彩なゲストボーカルを迎えていましたが、同作にも数曲で歌唱し、かつアルバムツアーにも参加したマイルズ・ケネディ(Vo, G/ALTER BRIDGE)を固定シンガーに据え、トッド・カーンズ(B)&ブレント・フィッツ(Dr)というリズム隊との4人編成で本格的なバンド活動へとシフトします。

プロデュースを手がけるのは、『SLASH』から引き続きエリック・ヴァレンタイン(GOOD CHARLOTTE、LOSTPROPHETS、QUEENS OF THE STONE AGEなど)。前作ではどこか抜けきらない音質で好みが分かれましたが、今作ではエッジの効いた抜けの良い音質で、スラッシュがイメージするハードロックバンド像と見事にマッチし、最良の形で具現化されています。

また、楽曲に関しても前作が「ソングライター・スラッシュ」としての側面を強く打ち出したものだったのに対し、今作はバンドの一員に徹することで従来の彼らしさがより良い形で表現することに成功。GN'Rから今日に至るまでのスラッシュらしさが強くにじみ出ており、マイルズのボーカルにも見事にフィットしている。と同時に、「これ、アクセル・ローズが歌っても全然アリだな」とも思わせてくれるような楽曲ばかりで、近年の彼に興味を持ったリスナーのみならず、古くからのリスナーにもしっかりアピールする仕上がりです。

ギターリフに関しては若干の手癖感は否めませんが、ギターソロに関しては手癖以上の冴え渡りも見つけられる。どの曲もボーカルのメロディ並みにメロディアスで、非常にキャッチー。かつ、「Anastasia」を筆頭にエモーショナルなフレーズ/メロディも随所で確認でき、全15曲/約61分というボリューミーな内容ながらもまったく飽きさせない構成となっています。

本作を聴いた当時は「スラッシュ、まだまだいけるじゃん!」と感動したものです。多くのファンが「またGUNS N' ROSESに戻ってほしい」と願ってやまなかったと思いますが、個人的には「このままマイルズ・ケネディと活動を続けてもらえたら……」と強く思ったことをよく覚えています。最新作『4』(2022年)の次に聴くべき、スラッシュの代表的ソロワークのひとつです。

 


▼SLASH featuring MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『APOCALYPTIC LOVE』
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2023年1月 4日 (水)

2022年総括

仕事始めのタイミングになりましたので、例年より数日遅いですが2022年のまとめ記事をアップしておきます。

昨年は「アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、20作品に縛る」形でまとめ、別途「HR/HM、ラウド編」で別エントリーを作っていましたが、今年はもうそういう枠を全部取っ払って(ジャンル分け面倒くさい)ひとつのエントリーに包括し、「ジャンル/アルバム/シングル/楽曲と枠にこだわらず、30作品に縛る」という形にさせていただきました。これなら一般総括の20作品の中からあえてメタル系を外したり入れたりと悩まなくて済むしね。

というわけで特に順位付けをせずアルファベット→50音順で30作品、掲載していきます。

 

Afterglow『独創収差』(楽曲)

 

ARCHITECTS『the classic symptoms of a broken spirit』(アルバム/レビュー

 

asmi「PAKU」(楽曲)

 

DEF LEPPARD『DIAMOND STAR HALOS』(アルバム/レビュー

 

Foi『HER』(アルバム)

 

GREYHAVEN『THE BRIGHT AND BEAUTIFUL WORLD』(アルバム/レビュー

 

THE HELLACOPTERS『EYES OF OBLIVION』(アルバム/レビュー

 

Ho99o9『SKIN』(アルバム/レビュー

 

IBARAKI『RASHOMON』(アルバム/レビュー

 

ITHACA『THEY FEAR US』(アルバム/レビュー

 

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2022年2月12日 (土)

SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『4』(2022)

2022年2月11日にリリースされたSLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSの4thアルバム。日本盤未発売。日本盤は同年6月22日に、ボーナストラックを追加した形態で発売予定。

GUNS N' ROSESスラッシュ(G)がALTER BRIDGEマイルズ・ケネディ(Vo)とタッグを組み、THE CONSPIRATORSと命名したメンバーとのバンド形態で制作した、前作『LIVING THE DREAM』(2018年)から3年5ヶ月ぶりの新作。90年代に活動したSLASH'S SNAKEPITや2010年に制作された純粋なソロアルバム『SLASH』(2010年)、映画のサウンドトラックなどを含めると、通算8作目のソロワーク/リーダーアルバムとなります。

今作は新興レーベルGibson Recordsと契約して最初の作品で、プロデューサーには新たにデイヴ・コッブ(RIVAL SONSEUROPEレディ・ガガなど)を迎えて制作。ナッシュビルにあるRCA Studio Aにて、たった10日間のライブレコーディングを通じて完成させた10曲が収録されたバランス感に優れたハードロックアルバムに仕上がっています。

現在のバンドメンバーはスラッシュ、マイルズ・ケネディ、トッド・カーンズ(B, Vo)、ブレント・フィッツ(Dr)という結成時からのメンバーに加え、2ndアルバム『WORLD ON FIRE』(2014年)リリース後のツアーから参加しているフランク・シドリス(G, Vo)の5人。この布陣では前作『LIVING THE DREAM』に続く2作目、リズム隊に関しては10年来の仲間ということもあり、アルバムのオープニングを飾る「The River Is Rising」を筆頭に気心知れたメンツによる安定感の強いハードロックが展開されています。

基本的にはいかにもスラッシュらしいミディアムテンポの豪快アメリカンハードロックが中心。この人に何を求めるのかといったら間違いなくそこなわけで、従来のファンにとって期待どおりの内容と言えるでしょう。そこにマイルズ・ケネディという素晴らしいシンガーが加わることで、終始安定した楽曲を楽しむことができる。また、バンドアレンジもGN'R以降スラッシュが参加してきた楽曲群を踏まえたものばかりで、過去のTHE CONSPIRATORSとの作品はもちろん、VELVET REVOLVERやSNAKEPITなどのカラーも随所に感じられます。思えば初期のツアーでは、このへんの楽曲も随時披露されていたわけで、そういった意味ではこの新作って“ミュージシャン/アーティスト:スラッシュ”の総決算的内容と言えなくもない。要するに、最高のアメリカンハードロックを楽しめる1枚というわけですよ。

オープニングトラックにふさわしい「The River Is Rising」のカッコよさはもちろんのこと、トーキングモジュレーターを用いた冒頭のギターフレーズが印象的な「C'est la vie」、キャッチーなメロディが耳に残る「The Path Less Followed」、どことなくグラマラスさが漂う「Actions Speak Louder Than Words」、不穏なギターフレーズがたまらない妖艶な「Spirit Love」、GN'Rの「Sweet Child O' Mine」を彷彿とさせるギターフレーズに思わずニヤリな「Fill My World」、いかにもスラッシュらしいリフワーク(でもマンネリ化してない)の「April Fool」、終盤の盛り上げに最適なアップチューン「Call Off The Dogs」、スラッシュのエモーショナルなギタープレイが存分に味わえるエモーショナルなパワーバラード「Fall Back To Earth」など、意外にもバラエティ豊かな内容は過去イチと言えるものかもしれません。全10曲/約44分という尺も程よく、似たり寄ったりの楽曲が少ないコンパクトな仕上がりという事実も、このアルバムを良作たらしめる要因ではないでしょうか。

ぶっちゃけ、スラッシュ自身は良質なメロディメイカーというわけではないと思うんです。ギタリストとしては優れているけど、気がつくとすぐに手癖に走ってしまうタイプのプレイヤーですし。もちろんこのアルバムにもそういった手癖の数々を確認することはできるのですが、それを補って余るほど良質なメロディとアレンジが存在することで、過去のマンネリ的な部分が解消されている。もしかしたら今のスラッシュは過去最高の充実期に突入しているのか、あるいは最良のパートナーたちに恵まれているのか。GN'SもTHE CONSPIRATORSも活動が順調だからこその結果がこのアルバムなんでしょうね。

正直、ここまでハートを鷲掴みにされるアルバムだと思っていなかっただけに、その手応えは期待以上でした。胸を張ってオススメできる1枚です。だからこそ、こんな傑作が日本盤リリースされないという事実には落胆させられます……。

※2022年4月26日追記:日本盤のリリースが正式決定しました。ボーナストラックを追加した通常盤に加え、アルバム発売時に配信されたライブの模様を収めたライブDVD同梱の2形態を予定。4ヶ月遅れはどうかと思いますが、出るだけでもありがたいですね。

 


▼SLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS『4』
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2021年5月17日 (月)

MYLES KENNEDY『THE IDES OF MARCH』(2021)

2021年5月14日にリリースされたマイルズ・ケネディALTER BRIDGESLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORS)の2ndソロアルバム。

長いキャリアのわりにソロアルバムはこれが初めてだった前作『YEAR OF THE TIGER』(2018年)から3年ぶり。前作は実の父親が亡くなった1974年を軸に、当時5歳前後だったマイルズの幼少期を題材としたコンセプチュアルな内容でしたが、今作は自身で「バラエティに富んだ作品にしたかった」と語るように、ベースにあるルーツミュージックはそのままに、より広がりの感じられる1枚に仕上がっています。

レコーディングメンバーはマイルズ(Vo, G, Lap Steel, Key, Mandolin)のほか、ジア・ディン(Dr, Per)、ティム・トゥルニエ(B)という前作から引き続きの布陣。プロデュースもマイケル“エルヴィス”バスケットが続投しており、基本的な質感は前作の延長線上にあるものと言えるでしょう。しかし、テーマと相まって幾分ダウナーな空気感が強かった前作と比較すると、本作のほうがより開放感の強い内容。フォーキーさは前作に譲るものの、本作はアメリカンロックのダイナミックさやドラマチックさがより感じられる、聴き応えのある1枚と言えるでしょう。

7分半にもおよぶ大作であるタイトルトラックの構成は、ALTER BRIDGEのそれとも異なるもので、こちらのほうがより土着的。かつ、異国情緒も散りばめられており、日本人がよりとっつき易い作風です。かと思えば、軽快さの強いロックンロール「Wake Me When It's Over」や豪快なブルースロック「Get Along」、音数の少ない枯れたブルースロック「Love Rain Down」、サザンロック調の「Sifting Through The Fire」、エモーショナルさが一際強い「Worried Mind」など全体を通して緩急に富んでいる。アコースティック色は随所から感じられるものの、聴き終えたときの爽快感はエレキギターガンガンのロック/ハードロックを聴いたときと同じものが得られるはずです。

シンガーとしてのマイルズの魅力はもちろんのこと、本作ではギタリスト:マイルズ・ケネディの才能も遺憾なく発揮されているのも特徴のひとつ。トリオ編成でここまでがっつり聴かせられるのであれば、ぜひ生でも観て/聴いてみたい……そう強く思わせてくれる1枚です。

年内にはスラッシュの新しいアルバムも完成予定で、おそらくこちらにもマイルズは参加しているはず。そして、来年以降にはALTER BRIDGEの新作も控えているはずなので、しばらくはマイルズ色満載の作品を切れ目なく楽しめそうです。土着的なアメリカン・ハードロックが好きな方なら間違いなく引っ掛かる1枚。ALTER BRIDGEやスラッシュのファンも、もちろん必聴です。

 


▼MYLES KENNEDY『THE IDES OF MARCH』
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2020年4月28日 (火)

SLASH『SLASH』(2010)

2010年3月末にリリースされた、スラッシュのソロアルバム。これまでSLASH’S SNAKEPIT名義では2枚のアルバムを発表していますが、ソロ名義ではこれが初のオリジナルアルバムとなります。

2007年にスコット・ウェイランド(Vo)が脱退したことで、事実上の解散状態に陥ったVELVET REVOLVER。スラッシュはUniversal Musicと新たに契約し、これまでのキャリアを総括するようなソロアルバム制作に臨みます。

彼と親交の深いミュージシャンを多数迎えた本作は、イアン・アストベリー(THE CULT)、オジー・オズボーン、ファーギー、マイルズ・ケネディALTER BRIDGE)、クリス・コーネルSOUNDGARDEN)、アンドリュー・ストックデイル(WOLFMOTHER)、アダム・レヴィーン(MAROON 5)、レミー・キルミスター(MOTÖRHEAD)、キッド・ロック、M.シャドウズ(AVENGED SEVENFOLD)、ロッコ・デルーカ、イギー・ポップと曲ごとに異なるシンガーが参加した豪華な内容に。さらに日本盤のみ、稲葉浩志(B'z)をフィーチャーした楽曲も用意されたことで、当時はリリース前から賛否両方の意味で話題となりました。

サウンド的には、過去にスラッシュが参加したバンド……GUNS N' ROSESやVELVET REVOLVER、そして自身のSNAKEPITの延長線上にあるものですが、それらをアクの強いシンガーたちが自身のメロディで歌うことにより、スラッスの楽曲であると同時に各シンガー自身の楽曲にもなっている、まさにコラボらしいコラボ作と呼べる仕上がりです。だって、オープニングのイアン・アストベリーが歌う「Ghost」からして、彼が歌うことでどう聴いたってTHE CULT以外の何者でもない楽曲に昇華されていますし、それこそオジーが歌う「Crucify The Dead」もオジーの近作に収録されていても不思議じゃない内容。ハードロック調の「Beautiful Dangerous」がファーギーのアルバムに収録されていたとしても、別に不思議じゃないし……っていう妙な納得感があるのは、それこそ本作に参加したシンガーたちの個性がいかに強いかという証拠でもあるわけです。

また、本作には1曲のみインストナンバー「Watch This」が収録されているのですが、こちらではベースに盟友ダフ・マッケイガン、ドラムにデイヴ・グロール(FOO FIGHTERS)という夢の組み合わせが実現しています。これ、デイヴがそのまま歌っても面白かったのにね。

本作で唯一複数歌っているマイルズ・ケネディとは相性が良かったのか、本作を携えたワールドツアーにも帯同することに。結局、その後もスラッシュのソロ活動では毎作彼が参加することになります。

ちなみに、誰もが気になる稲葉浩志が参加した「Sahara」ですが……稲葉による日本語詞で歌われているので、稲葉のソロ曲のように聴こえます。スラッシュらしさももちろんそこそこ見受けられるのですが、やっぱり他シンガー同様に稲葉のアクの強さが優っており、そこはさすがだなと。けど、どうせなら英詞で歌えばよかったのにね……日本語が悪いってことではなく、この流れで最後に日本語が飛び込んでくると、ちょっと違和感がね。80年代によくあった、外タレが日本盤ボーナストラックに提供した「日本語バージョン」みたいで、少し恥ずかしくなってしまうと言いますか。曲やボーカルパフォーマンスが素晴らしいだけに、非常に勿体ないと思いました。

なお、本作はのちに国別に内容の異なるボーナストラック/ディスクを付けたさまざまな別バージョンが発表されており、そちらにはCYPRESS HILLとファーギーによるガンズ「Paradise City」やマイルズ・ケネディが歌う「Sweet Child O' Mine」アコースティックカバー、ニック・オリヴェリやアリス・クーパー参加のアルバム未収録曲、先の稲葉歌唱曲「Sahara」の英語バージョン(!)などが収録されております。おいおい、英語版あるじゃねーかよ(苦笑)。

 


▼SLASH『SLASH』
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2019年10月 1日 (火)

MYLES KENNEDY『YEAR OF THE TIGER』(2018)

ALTER BRIDGEスラッシュGUNS N' ROSES)のソロバンドSLASH FEATURING MYLES KENNEDY & THE CONSPIRATORSでも活躍するシンガー、マイルズ・ケネディが2018年3月に発表した初のソロアルバム。

意外にも初のソロ名義作品となるこのアルバムは、彼の父親が亡くなった1974年を中心に、当時5歳前後だったマイルズの幼少期を題材としたコンセプチュアルな内容となっています。

実は2009年頃から計画されていたこのアルバムですが、完成させるまでに9年もの歳月を要することとなってしまいました。まあ、計画し始めた直後にスラッシュのソロバンドに参加したり、売れっ子バンドALTER BRIDGEが忙しかったりというのもあったのでしょう。ですが、まもなく50歳になろうとするこのタイミングに本作を完成させられたのは、ある意味では運命だったのかもしれません。

レコーディングにはジア・ディン(Dr, Per)、ティム・トゥルニエ(B)といった少数精鋭で臨み、マイルズはボーカルとギター以外にもマンドリンやバンジョー、ラップスティールなどを披露しています。相変わらず多才ですね。

楽曲自体はコンセプトもコンセプトなので、どこか内省的で落ち着いた雰囲気を醸し出しています。アコースティック主体で展開されるサウンドですが、マイルズのエモーショナルなボーカルと相まって、アコースティックならではの「枯れた」感は皆無。「The Great Beyond」のような楽曲ではむしろドラマチックさやダイナミズムすら感じられ、本作が単なる“バンド活動の合間の息抜き”とは異なるものであることがうかがえるはずです。

南部色の強いトラディショナルなアメリカンフォーク色もありつつ、どこか異国情緒を感じさせる音色があったり、また全体的には内向的なのに開放感のあるアレンジも散りばめられていたりと、改めてこの人の偉才ぶりを存分に味わえる1枚ではないでしょうか。

なんとなくですが、本作の軸はクリス・コーネルSOUDNGARDEN解散後、AUDIOSLAVEを立ち上げる前に出したソロ1作目『EUPHORIA MORNING』(1999年)にも近い気がします。ただ、この『YEAR OF THE TIGER』に関してはデジタル要素皆無で生々しさが際立っているので、装飾のある/なしでここまで変わるのかと改めて驚かされます。

スラッシュのソロも素晴らしいし、もちろんALTER BRIDGEは言うまでもなく。だけど、ここにはそれら2作品にもない輝きがあるので、両バンドのファン必携の1枚だと思います。年間ベストには選ばなかったけど、この先もずっと聴き続けるであろうスルメ的良作。

 


▼MYLES KENNEDY『YEAR OF THE TIGER』
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2019年3月 2日 (土)

MARK MORTON『ANESTHETIC』(2019)

2000年代を代表するUSヘヴィロック/ヘヴィメタルバンドLAMB OF GODのギタリスト、マーク・モートンによる初のソロアルバム。全10曲すべてが歌モノで、それぞれ異なるシンガーを迎えて制作されたものとなっています。そういう意味ではギタリストのエゴが前面に打ち出されたものではなく、あくまでソングライター/表現者としてバンドとは異なるアプローチで作り上げた1枚と言えるでしょう。

参加シンガーはチェスター・ベニントン(LINKIN PARK)、ジャコビー・シャディックス(PAPA ROACH)、マーク・ラネガン(ex. SCREAMING TREES)、チャック・ビリー(TESTAMENT)、ジェイク・オニ(ONI)、マイルス・ケネディ(ALTER BRIDGESLASH)、マーク・モラレス(SONS OF TEXAS)、ジョシュ・トッド(BUCKCHERRY)、ネイマー・マドックス、アリッサ・ホワイト-グルーズ(ARCH ENEMY)、そしてLAMB OF GODのフロントマンであるランディ・ブライとマーク自身という豪華かつバラエティに富んだ面々。演奏面ではギターをマークがすべて担当したほか、STONE SOURのロイ・マイヨルガ(Dr)、MEGADETHのデイヴィッド・エレフソン(B)、KORNのレイ・ルジアー(Dr)、ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズ(B)、TRIVIUMのパオロ・グレゴリート(B)&アレックス・ベント(Dr)、CLUTCHのジャン・ポール・ガスター(Dr)、元THE BLACK CROWESのスティーヴ・ゴーマン(Dr)&マーク・フォード(G)といったジャンルの垣根を超えた布陣が顔を揃えています。

アルバムはマークとジェイク・オニ、そしてLAMB OF GODのプロデューサーとして知られるジョシュ・ウィルバーとの共同制作によるもの。楽曲自体はマークが「いつかバンドとは別の形で発表したい」と長年書き溜めてきたものなのですが、各シンガーの個性が強いこともあってか、それぞれのシンガーに合った手法で書き下ろされたものと錯覚してしまいそうになります(もちろんそういう曲も含まれていますが)。

チェスターが亡くなる数ヶ月前に制作されたオープニングトラック「Cross Off」はLINKIN PARKをよりモダンヘヴィネス寄りにした良曲ですし、ジャコビーが歌う「Sworn Apart」もPAPA ROACHのアルバムに入っていたとしても不思議じゃない1曲。かと思えばマーク・ラネガンが歌う「Axis」ではアーシーさが前面に打ち出されているし、チャック・ビリー&ジェイク・オニによる「The Never」のスラッシュ&王道メタルなノリもひたすらカッコいい。

マイルス・ケネディ歌唱による「Save Defiance」は完全にマイルスのノリだし、マーク・モラレス参加の「Blur」はSONS OF TEXAS寄りのスモーキーさが表出している。ジョシュ・トッドが歌う「Back From The Dead」なんてBUCKCHERRYをヘヴィにさせたノリで好印象だし、ネイマー・マドックスによる「Reveal」はどこかファンキー。マーク本人が歌唱する「Imaginary Days」は正統派ハードロックの香りが感じられ、ラストを飾るランディ&アリッサによる「The Truth Is Dead」は2人の声の対比も良いし、なにより楽曲がLAMB OF GODの延長線上にあるのが良い。

マークのギタリストとしての非凡さも随所に感じられるし、何よりも曲のバラエティ豊かさに驚かされる。このひと、こんなに多才だったんだと驚き連発の1枚です。

LAMB OF GOD本体は、昨年BURN THE PRIEST名義のカバーアルバム『LEGION: XX』を発表したりと若干リラックスモードかもしれませんが、こういったガス抜きを経て次にどんなオリジナルアルバムを届けてくれるのか、今から楽しみでなりません。まずは奇跡の共演が実現した(特に、貴重なチェスターの声が残された)この意欲作をじっくり聴き込みたいと思います。

 


▼MARK MORTON『ANESTHETIC』
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2018年11月 6日 (火)

DISTURBED『EVOLUTION』(2018)

再始動後もやっぱり働き者なDISTURBED、早くもニューアルバム発売です。

2015年8月発売の6thアルバム『IMMORTALIZE』では“これぞDISTURBED!”というヘヴィかつキャッチーなモダンメタルを展開し、5作連続全米No.1を獲得。翌2016年11月にはライブアルバム『LIVE AT RED ROCKS』もリリースされ、その前後には「The Sound Of Silence」(ご存知、SIMON & GARFUNKELのカバー)がシングルヒット(全米42位)。このバンドにしては異色のカバーでしたが、ひとまず再始動後の活動はメタルファンから大いに受け入れられたのでした。

で、オリジナルアルバムとしては3年ぶりの7thアルバム『EVOLUTION』が、2018年10月中旬にリリース。ケヴィン・チャーコ(オジー・オズボーンロブ・ゾンビFIVE FINGER DEATH PUNCHなど)を再びプロデューサーに迎えて制作された本作は、前作以上にキャッチーな“異色作”に仕上げられています。

スケジュールの都合で前作のレコーディングには参加できなかったジョン・モイヤー(B)でしたが、今回は無事制作に参加。アルバム本編に収められた10曲の新曲はバンドとケヴィン・チャーコの曲作なのですが、その収録内容の幅広さに驚かされます。だって、オープニングの「Are You Ready」こそ従来のDISTURBEDらしいヘヴィロックですが、3曲目「A Reason To Fight」や6曲目「Hold On To Memories」、8曲目「Watch You Burn」、10曲目「Already Gone」と約半数近くの楽曲がアコースティックギター主体のバラードナンバーなのですから。

間違いなく前作での「The Sound Of Silence」カバーの成功がもたらした“変化”であり“進化”である、と。これを良しとするかなしとするかで、本作に対する評価は大きく異なるのではないでしょうか。ぶっちゃけ、僕は本作を最初に聴いたとき、3曲目に早くも「A Reason To Fight」みたいなバラードが登場してひっくり返りましたから。さらに数曲おきに訪れるバラードタイム……「いやいや、聴きたいのはそれじゃないから!」とツッコミを入れながら再生1周目は幕を下ろすわけですが。

確かに、慣れたらそこまで気にならない……とまでは言わないけど、意外と馴染むんですよ。アルバムタイトルで『EVOLUTION』と歌っている以上、新しく変わるならここまでやらないと、という気概も大いに感じられるし。ジャケットのテイストが変わったのもその表れでしょうしね。

ちなみに本作、デラックス盤にはボーナストラック4曲を追加しているので、どうせならそっちにバラードを少し分けてあげたら……と思ったら、ボートラ4曲中2曲がバラードだった!(笑) うち1曲は「The Sound Of Silence」のライブバージョン(ALTER BRIDGEマイルズ・ケネディがゲスト参加)だし。残りの2曲も1曲が「Are You Ready」のリミックスなので、正味水増し感がハンパない……。数百円高くても曲を多く聴きたい人はデラックス盤を購入したらいいでしょう。けど、アルバムのトータリティにこだわりたい人は10曲おみの通常盤でいいと思います。

にしても、悪くないんだけど……う〜ん。なんとも評価が難しい1枚です。きっと数年後に新しいアルバムが出たときに、本作に対する本当の評価が下されることになると思うのですが、現時点では難しい。現時点では日本盤もリリースされていないし、5作連続だった全米1位記録も本作で途絶えてしまったし(初登場4位)。数字がすべてではないですが、う〜ん。



▼DISTURBED『EVOLUTION』
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2013年5月18日 (土)

「Ozzfest Japan 2013」Day 1@幕張メッセ(2013年5月11日)

2日間にわたり日本で初開催された『Ozzfest Japan 2013』。ここでは初日公演の模様を簡単にレポートしていきます。以下は開催当時、某サイトにて執筆したレポートを加筆修正したものです。

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開演時間1時間前からKNOCK OUT MONKEY、ARTEMAの2組がオープニングアクトとして会場を温めると、いよいよ12時からCrossfaithのライブがスタート。「Monolith」から攻めのステージを展開すると、Koie(Vo)は「Make some fuckin' noise! まだまだいけるよな!」と観客を煽り、THE PRODIGYのカバー「Omen」を含む攻撃的なセットリストでフロアを加熱。曲中ではサークルモッシュやウォール・オブ・デスを促すようなアクションで観客を煽り、あっという間に出演時間の30分を終えました。

【Crossfaithセットリスト】
01. Monolith
02. Jägerbomb
03. Quasar
04. Omen
05. Photosphere
06. Leviathan

 

イギリスのハードロックバンドTHE TREATMENTは、平均年齢18歳とは思えない王道ハードロックサウンドで観客を魅了。初期AC/DCにも通ずるアップチューンが矢継ぎ早に披露され、終始ハイテンションのステージが展開されました。

【THE TREATMENT セットリスト】
01. Drink, Fuck, Fight
02. Don't Look Down
03. Emergency
04. I Bleed Rock + Roll
05. Get The Party On
06. The Doctor
07. Shake The Mountain

 

続くFear, and Loathing in Las Vegasはスクリーム&オートチューンボイスと独特のエレクトロサウンドを融合させたバンドアンサンブルで、会場をさらにヒートアップさせます。

【Fear, and Loathing in Las Vegas セットリスト】
01. Scream Hard as You Can
02. Hey Girl!! Why Not Party Like a Bitch!?
03. Stray in Chaos
04. Love at First Sight
05. Crossover
06. Twilight

 

ストレートなメロディックパンクを会場に響かせたNAMBA69のステージでは、難波章浩(Vo, B)が「ジャンルとかマジ関係ないと思うし、楽しんで帰ってください」とコメントして、Hi-STANDARDの代表曲「STAY GOLD」を含む選曲でロックファンを喜ばせました。

【NAMBA69 セットリスト】
01. ETERNAL GOLD
02. WAKE UP
03. (タイトル不明)
04. (タイトル不明)
05. (タイトル不明)
06. ONE MORE TIME
07. STAY GOLD
08. 未来へ ~It's your future~

 

この日の出演者の中ではもっとも正統派メロディック・メタルを鳴らすGALNERYUSは、オープニングSEに続いて「THE PROMISED FLAG」でライブをスタート。「MY LAST FAREWELL」では透明感のあるハイトーンボイスと卓越した演奏力を提示するも、小野“SHO”正利(Vo)は3曲目にして早くも「最後の曲です」と宣言して、10数分にもわたる大作「ANGEL OF SALVATION」で圧倒的な歌と演奏、アンサンブルを見せつけ30分のステージを全うします。

【GALNERYUS セットリスト】
01. THE PROMISED FLAG
02. MY LAST FAREWELL
03. ANGEL OF SALVATION

 

MAN WITH A MISSIONは大舞台を恐れることもなく、「Get Off of My Way」からいつもどおりのハイテンションなステージを展開。NIRVANA「Smells Like Teen Spirit」のカバーや「FLY AGAIN」といった人気曲に加え、SLIPKNOTのシド・ウィルソン(Turntable)をゲストに迎えた「distance」など豪華なメニューでフェスに華を添えました。

【MAN WITH A MISSION セットリスト】
01. Get Off of My Way
02. Take What U Want
03. HASTA LA VISTA
04. Smells Like Teen Spirit
05. FLY AGAIN
06. distance [with Sid Wilson]
07. Emotions

 

DEFTONESはシリアスで重厚なラウドロックサウンドで、会場の空気を一変。「My Own Summer (Shove It)」「Change (In The House Of Flies)」「Digital Bath」など唯一無二の世界観を持つ楽曲が次々に演奏されます。

【DEFTONES セットリスト】
01. Rocket Skates
02. Diamond Eyes
03. My Own Summer (Shove It)
04. Tempest
05. Rosemary
06. Digital Bath
07. Change (In The House Of Flies)
08. Poltergeist
09. Swerve city
10. Engine No.9
11. 7 Words

 

今回の『Ozzfest Japan 2013』ではもっとも異色の存在と言えるももいろクローバーZは、気負うことなくアイドル然としたステージングで観客を圧倒。MCではいつも通りの自己紹介も交えつつ、ライブ後半ではNARASAKI(COALTAR OF THE DEEPERS)、和嶋慎治(人間椅子)がギタリストとしてゲスト参加し、「黒い週末」「労働讃歌」「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」を披露するサプライズも飛び出しました(詳細なレポはこちらを参照のこと)。

【ももいろクローバーZ セットリスト】
00. OVERTURE
01. ピンキージョーンズ
02. 行くぜっ!怪盗少女
03. 黒い週末 (with NARASAKI&和嶋慎治)
04. 労働讃歌 (with NARASAKI&和嶋慎治)
05. 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」 (with NARASAKI&和嶋慎治)

 

マキシマム ザ ホルモンのライブでは、おなじみの定番曲を次々に披露。ナヲ(ドラムと女声と姉)が「Ozzfestへようこそ! Ozzfestが日本にやってきたぞーっ!」と叫ぶと、フロアを埋め尽くした観客は大声援で応えます。以降も「『F』」「ぶっ生き返す!!」「爪爪爪」「恋のメガラバ」を連発し、最高のステージでヘッドライナーSLIPKNOTへとつなぎます。

【マキシマム ザ ホルモン セットリスト】
01. What's up, people?!
02. 「F」
03. maximum the hormone
04. ぶっ生き返す!!
05. 爪爪爪
06. シミ
07. 恋のメガラバ

 

自身のバンドを引っさげて登場したスラッシュマイルズ・ケネディをシンガーに迎え、オリジナル・ソロ曲のほかGUNS N' ROSES「Nightrain」「My Michell」「Rocket Queen」、さらにはVELVET REVOLVER「Slither」とキャリアを総括する豪華なセットリストを用意。最後はGUNS N' ROSESのライブでもラストナンバーとしておなじみの「Paradise City」で締めくくり、観客から喝采を浴びました。

【SLASH feat. MYLES KENNEDY AND THE CONSPIRATORS セットリスト】
01. Halo
02. Nightrain
03. Ghost
04. Back From Cali
05. My Michelle
06. Serial Killer
07. Nothing To Say
08. Doctor Alibi
09. You're Crazy
10. Rocket Queen
11. Anastasia
12. You're A Lie
13. Slither
14. Paradise City

 

ヘッドライナーのSLIPKNOTはメンバー全員が白を基調としたジャンプスーツを着用し、花火や火炎噴出など派手な演出とともに貫禄のステージングを披露。ファンにはおなじみとなったコリィ・テイラー(Vo)の「ナカユビ立テロー!」「サワゲー!」といった日本語MCも次々に飛び出し、満員のフロアからは盛大な拍手と歓声が鳴り響きます。ライブ後半、2010年に亡くなったポール・グレイ(B)のメンバーナンバーである「2」がステージ後方に大きく映し出されると、客席からはより一層大きな歓声が沸き起こり、バンドは「Duality」「Spit It Out」を連発してライブ本編を終えました。さらに、アンコールでは「(sic)」「People = Shit」「Surfacing」と攻撃的なナンバーを立て続けに演奏。全20曲、約100分にわたるフ4年ぶりのライブは、大成功のうちに幕を下ろしました。

【SLIPKNOT セットリスト】
01. Disasterpiece
02. Liberate
03. Wait And Bleed
04. Get This
05. Before I Forget
06. Eyeless
07. The Blister Exists
08. Dead Memories
09. Sulfur
10. Left Behind
11. Gently
12. Pulse Of The Maggots
13. Everything Ends
14. The Heretic Anthem
15. Psychosocial
16. Duality
17. Spit It Out
<アンコール>
18. 742617000027 〜 (sic)
19. People = Shit
20. Surfacing

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