KILLER BE KILLED『RELUCTANT HERO』(2020)
2020年11月20日にリリースされたKILLER BE KILLEDの2ndアルバム。日本盤未発売(あれ、予定なかったでしたっけ?)。
マックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLY、CAVALERA CONSPIRACY、NAILBOMB)、グレッグ・プチアート(Vo, G/THE BLACK QUEEN、ex. THE DILLINGER ESCAPE PLAN)、トロイ・サンダース(Vo, B/MASTODON)、デイヴ・エリッチ(Dr/ex. THE MARS VOLTA)の4人で結成され、2014年5月に1stアルバム『KILLER BE KILLED』を発表した彼ら。当初はアルバム1枚のみのスーパープロジェクトかと思いきや、翌2015年にドラマーがベン・コラー(CONVERGE、MUTOID MAN)に交代し、不定期ながらも活動を続けていくことを宣言。前作から6年半を経てついに2作目が届けられました。
ベンを含む編成では初のアルバムとなりますが、基本的な路線は前作を継承したもの。エクストリームメタル/ハードコア界の重鎮たちが一堂に会したバンドながらも、それぞれのエゴをむき出しにすることなく、ヘヴィながらもエモーショナルなメロディを前面に押し出した聴き応えのある良作に仕上げられています。
とにかく4人(というかフロントの3人)のカラーの配分が前作以上に明確になっており、役割分担もはっきりしてきた印象。1曲の中で複数のボーカリストが交わる曲構成は前作よりも増えているし、それが間違いなくこのバンドの個性につながっている。グレッグとトロイの個性の違いを存分に味わいつつ、要所要所で飛び込んでくるマックスのグロウルが大きな武器(フック)として効果を発揮しており、ようやくプロジェクトからバンドにまで進化したんだなと実感させられます。
どの曲も聴き応えのある良作ばかりなのですが、個人的に印象に残ったのが「Filthy Vagabond」かな。楽曲の作りといい、各シンガーの色分けといい、見事なまでに作り込まれている印象を受けました。この曲が本作を代表する1曲とまでは言わないものの、間違いなく彼らが目指したもの、やりたいことがここに凝縮されていると感じます。
かと思えば、続く「From A Crowded Wound」ではベンが加わったことによってなのか、どこかCONVERGEを彷彿とさせる色合いが増している。それをTHE DILLINGER ESCAPEのグレッグが歌うというところにも、個人的にはグッとくるものがあります。いやあ、すげえバンドです。
前作から引き続きプロデュースを担当したジョシュ・ウィルバーによるサウンドプロダクションも文句なし。HR/HMやラウド系リスナーのみならず幅広い層に受け取ってもらいたい、“エクストリームシーンの今”が凝縮されたKILLER BE KILLEDという“バンド”の本格的なスタート作だと断言させてください。
年末にこんな良作が飛び込んでくると、本当に年間ベスト作選びに苦労しそうです……(苦笑)。
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