NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』(1996)
SEX PISTOLSのスティーヴ・ジョーンズ、DURAN DURANのジョン・テイラー、GUNS N' ROSESのダフ・マッケイガン&マット・ソーラム(当時)が90年代半ばに結成したスーパーグループ、NEUROTIC OUTSIDERSが1996年に発表した唯一のアルバム。もともとはチャリティイベントのために結成したお遊びバンドで、気づけばアルバムを作ってツアーをするまでになっていたという。
このバンドではスティーヴとジョン、ダフの3人がボーカルを担当。ジョンとダフはもともとベーシストですが、ジョンはギターにスイッチしています。アルバムのプロデューサーは元TALKING HEADSのジェリー・ハリスン。大半の楽曲をスティーヴが担当し、ジョンのソロ名義が2曲、スティーヴとジョンの共作が1曲、ダフとスティーヴの共作が1曲、そしてTHE CLASH「Janie Jones」のカバーという全12曲が収められています。
DURAN DURANの中でもアンディ・テイラーに次いでロック/パンクのイメージが強いジョン、そのアンディと1987年に『THUNDER』というアルバムで共演したスティーヴ、1993年にガンズで『THE SPAGHETTI INCIDENT?』というパンクカバーアルバムを発表した直後のダフ&マット。音楽的につながってないようで、実はいろいろつながっている4人なんですよね。
アルバム自体は、この4人から想像できる、適度にハードでパンキッシュ、それでいて歌メロはしっかりポップなロックが展開されています。ピストルズでのスティーヴ、そしてパンクカバーを通過したガンズが好きって人は否応無しに楽しめる1枚だと思います。ただ、パンクやハードロックを通過してないDURAN DURANのファンには多少キツいかな? THE POWER STATIONでの彼とも全然違いますしね。
思えばDURAN DURANって「SEX PISTOLSとCHICのミックス」をイメージして結成されたバンドなわけで、後者はDURAN DURAN本家やTHE POWER STATIONで強めに表現していたので、前者をこちらのバンドで表現した……ってことなんでしょうね。にしては、それぞれのオリジネイターと共演することでそれを具現化するっていう、安直さはアレなんですが。
ガンズもDURAN DURANも大好きだった自分からしたら、確かに夢の組み合わせなんですよね。なのに、リリース当時はまったく惹かれなくて……ぶっちゃけ、このレビュー書くために10数年ぶりにこのアルバム、引っ張り出したくらいですから。
時代的に、この頃はGREEN DAYあたりがブレイクしたタイミングだったと思いますが、そういったポップパンク勢よりもハードロック色が強いのは、間違いなくスティーヴのカラーとマットのドラムによるものが大きいわけで。そこでの差別化はしっかりできていますが、だからなのかチャート的にもセールス的にもそこまで成功を収めることはありませんでした。まあもともと遊びで始まったバンドなので、それでいいのかもしれないけど。じゃなきゃ、このメンツで「Janie Jones」なんてやりませんて(これがなかなか良いんです)。
“これ!”といった突出した1曲はないものの、アルバム通して気楽に聴ける1枚。傑作ではないけど、忘れた頃に再生してみると「あ、意外と良いじゃん」と素直に思える作品集なんじゃないでしょうか。事実、久しぶりに聴いてみたらリリース当時よりも楽しめたので。
▼NEUROTIC OUTSIDERS『NEUROTIC OUTSIDERS』
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