カテゴリー「New Order」の9件の記事

2019年6月10日 (月)

JOY DIVISION『UNKNOWN PLEASURES』(1979)

JOY DIVISIONが1979年6月に発表したデビューアルバム。メンバーはイアン・カーティス(Vo)、バーナード・サムナー(G, Key)、ピーター・フック(B, Vo)、スティーヴン・モリス(Dr)の4人。当時全英アルバムチャートで71位を記録しています。

「Disorder」のようにスカスカのリズムの間を空間系のエフェクトをかけたギターが埋め尽くしたりする曲もあるものの、基本的には隙間だらけの非常にシンプルなバンドアンサンブルの中にひねくれたベースラインがうねうね歌ったり、効果音的にシンセを用いたりなどしたチープなサウンド。今の感覚で聴くと非常にスカスカだし、いくらリマスタリングされた音源(最新版は2007年リマスター)でも、さすがにオリジナルは40年前のものですからね。それなりのものだと理解してから触れてもらえればと(しかし、このチープさが最終的にはクセになるんですけどね)。

パンクロックがひと段落し、そこから派生したニューウェイヴ/ポスト・パンクバンドのひとつと見なされているJOY DIVISIONですが、確かにこのアルバムにも“パンクロック以降”を匂わせる面影は残っています。「Shadowplay」や、本作で唯一ピーターがボーカルを執る「Interzone」なんてまさにそれですよね。

しかし、シンプルなリズムとリフ(ギターというよりもベースかな)が反復され、その上にイアンのエモーショナルになりすぎない歌声が乗ると不思議な空気感が出来上がる。オープニングの「Disorder」然り、エンディングの「I Remember Nothing」然り。暗黒という言葉がぴったりなこのダークさは、なかなか真似できるものではないと思います。

そういったスタイルのせいか、要所要所でTHE DOORSを思い浮かべることもあります。イアンの書く歌詞の歌詞の世界観によるものも大きいですが、ジム・モリソン(Vo)のように情熱的でセクシーな印象はまったく伝わってこない。むしろ、そういった感情の動きを排除しているとさえ思えてくるこのダウナーさ。そこにUKパンクムーブメント後の“祭りのあと”感が透けて見える気がします。

シンプルなリズムとリフの反復という点においては、ほかのポスト・パンクバンドにも通ずるものがあると思いますが、ほかのバンドがダブなどアフロ的な方向に突き進んだりする中、JOY DIVISIONにはそちら側の色は見受けられない。その後、NEW ORDERにてハウスなどのクラブミュージックへと接近していくことを考えると、この時点でその片鱗が散りばめられている、と受け取ることもできるのではないでしょうか。

とはいえ、実は僕自身「ここがすごいんだよ!」とはっきり言い切れないところがあるのも、このJOY DIVISIONというバンドの不思議な魅力と言いますか。クセになるんだけど、じゃあ何がすごいのかと言われると「う〜ん……」と唸ってしまう。特にこの1stアルバムは荒削りだったパンク上がりの下手くそバンドが、プロデューサーの手によって劇的な変化を遂げた転換期でもあっただけにね。

そういう意味では、このバンドの魅力って本作のデラックス盤の特典ディスクに収録されたライブ音源(アルバム発売後の1979年7月、マンチェスターで録音)と合わせて聴くことでようやく見えてくるんじゃないか。そんな気がします。

 


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2019年4月24日 (水)

THE CHEMICAL BROTHERS『SURRENDER』(1999)

本国イギリスで1位、アメリカでも最高14位という好記録を残した前作『DIG YOUR OWN HOLE』(1997年)に続いて、1999年6月にリリースされたTHE CHEMICAL BROTHERSの3rdアルバム。本国では引き続き1位、セールス的にも前作の倍近いダブルプラチナムを記録する大ヒット作となりました。

基本的には前作の延長線上にある作風といっていいかもしれません。が、いわゆる“デジロック”的なゴリっとしたテイスト(ビッグビート的スタイル)は後退し、より(広い意味での)テクノに接近した1枚なのかなと。それが1999年という世紀末感にフィットしたのでしょうかね、今振り返ると。

少ない音数とチープな電子音で構築されたオープニングトラック「Music:Response」は当時TV CMにも起用されたので覚えている方も少なくないかも。この曲からアッパーな「Under The Influence」、バーナード・サムナー(NEW ORDER)のボーカル(バックボーカルではPRIMAL SCREAMのボビー・ギレスピーも参加)をフィーチャーした「Out Of Control」へと切れ目なく続く3曲の流れは圧巻。これだけでも、本作は“勝った”と実感できる内容かもしれません。

そこからブレイクビーツ/ヒップホップ色濃厚な「Orange Wedge」を経て、ノエル・ギャラガー(当時OASIS)が前作の「Setting Sun」に続いて参加したキャッチーな「Let Forever Be」、8分半にも及ぶ一大抒情詩「The Sunshine Underground」とサイケデリックゾーンへ。前者は二匹目のドジョウを狙ったらより濃いものが生まれてしまったある種偶然の産物(?)でもあり、後者は「俺らが本気出せばこんなもんよ?」的な気合いが感じられる。オープニングからピークの連続みたいな作品ですが、間違いなくこの中盤はこのアルバムのクライマックスと言えるでしょう。

ホープ・サンドヴァル(MAZZY STAR)の気怠い歌声がチルな空気にぴったりな「Asleep From Day」、ブラックミュージックと同じくらいYMOからの影響も見え隠れする「Got Glint?」で少し落ち着いたところで、アゲアゲ(死語)のクラムアンセム「Hey Boy Hey Girl」で再び潮目が変わると、ポップさが際立つ「Surrender」、ジョナサン・ドナヒュー(MERCURY REV)のボーカル/アコギ/ピアノを前面に打ち出した“涅槃からのささやき”的エンドロールナンバー「Dream On」という豪華な構成でアルバムを締めくくります。

久しぶりに聴いても、やっぱりその内容/完成度は随一。ロックサイドからの入門編的には前作『DIG YOUR OWN HOLE』がとっつきやすいかもしれませんが、THE CHEMICAL BROTHERSの本質を知る上では本作から入るのがベストではないでしょうか。リリースから20年経った今も、最強のダンスミュージックアルバムです。

 


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2017年7月17日 (月)

ORGY『CANDYASS』(1998)

1998年晩夏にリリースされたLA出身のヘヴィロックバンド、ORGYのメジャーデビューアルバム。インダストリアルの要素を取り入れたそのサウンドについて、本人たちは“デス・ポップ”と呼んでいたようですが、正直どこまで定着していたかは不明です。ただ、“乱行パーティ”を意味するそのバンド名、KORN主宰レーベル「Elementree Records」からのデビュー、そしてNEW ORDERの名曲中の名曲「Blue Monday」をカバーしたことが大きな話題となり、本作は全米32位、100万枚を超えるヒット作になりました。

インダストリアル調のリズムとデジタルを同期させたバンドサウンドはどこかNINE INCH NAILSを彷彿とさせるものの、あそこまでのカリスマ性が感じられないのも事実。とはいえ、ところどころに引っかかりのあるメロディが散りばめられており、決して駄作とは言い切れない。陰鬱だけど耽美さも感じられる空気感は、同年に発表され大ヒットしたMARILYN MANSON『MECHANICAL ANIMALS』にも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。そう考えると1994年頃を起点にスタートした新世代ヘヴィロックの波が、この1998年を境に新たな方向に進み始めたと言えなくもありません。

ちなみにこのバンド、元ROUGH CUTTのアミア・デラク(G)が参加しているというのも興味深いところ。L.A.メタルが生き絶え、グランジが世の中を席巻していた時期に、アミアは時代の波に乗ってこういうことを始めたんだなと思うと、なんとも涙ぐましいものを感じてしまいます。

そんなL.A.メタル界隈の人間が絡むバンドが、NEW ORDERの「Blue Monday」をカバーしているのも、非常に味わい深いものがあります。この時期、ヘヴィロックバンドが80年代のヒット曲をカバーするのは一種の流行りみたいなものでしたが、ORGYもその流れに乗ってヒットを手にするのですから、賢いというかなんというか。このカバーがまたド直球で、嫌いになれないんだよね(アルバムの中では比較的浮いている存在なんだけど)……。

アルバムにはこのほか、KORNのジョナサン・デイヴィス(Vo)も「Revival」で共作&ゲストボーカルで参加しています。かといって作品自体はKORN界隈の一派というよりも、「NINE INCH NAILSやFILTERといったバンドが好きな人なら気にいるかも」といった内容かも。当時はハイプ的存在だったかもしれないけど、今となっては悪くないんじゃないかな。10数年ぶりに聴きましたが、リリース当時よりも素直に楽しめましたよ。



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2005年8月12日 (金)

ドキュメント・FRF'05

 遅くなりましたが、7/28〜8/1の間参加した今年のフジロックフェスティバルについて、簡単なレポートというか、まぁ「記憶の記録」でもしておこうかと。ハッキリ言って、他所のサイトみたいに(あるいはこれまでのライヴみたいに)キッチリしたライヴレポートは書く気、全くないです。つーか書きたくないので。今、そういうのに対して殆ど興味がないというか、やりたいと思わないのですよ。

 てなわけで、今年は趣向を変えて、7/28〜7/31の4日間、某所にてリアルタイム更新をしていた時のログと携帯で撮影した写真とを併せてアップしようかな、と。そんなこまめに更新してたわけじゃないけど(いや、今見たら結構尋常じゃない数アップしてたのね俺)雰囲気だけは伝わるかな、と。正直、苗場でのフジロックは個人的にも今年で6回目だし、そろそろそういう「ライヴレポ」的なものはいいかな、と‥‥

 ではでは前夜祭当日、7/28(木)早朝からいきましょう。もう2週間も経っちゃったのね‥‥

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2005年6月 9日 (木)

NEW ORDER『WAITING FOR THE SIRENS' CALL』(2005)

 今更感も強いだろうけど、改めて語っておきましょうよ、NEW ORDERのこの素晴らしいアルバムについて。

 昨日のSYSTEM OF A DOWNのところで「今年前半で一番」みたいなことを書きましたが、SOADのアルバムを聴くまでは、実はこのNEW ORDERの「WAITING FOR THE SIRENS' CALL」が今年前半で一番良かったアルバムだったんですよ、俺的に。まぁ音楽性やスタイルが全く違うので比較しようがないんだけど、でも‥‥俺的には両者に共通する要素として「泣きメロ」ってのがあるんですよね。その表現方法はまた違うわけだけど、美メロって意味では今の俺内では双璧を成す感じかな、この2枚は。

 オリジナルアルバムとしては通算8作目、前作「GET READY」から数えて約4年振りとなる待望のニューアルバムなわけですが、先行シングルの "Krafty" を聴いた時点で、まだ見ぬニューアルバムが素晴らしいものになるだろうことは想像に難しくなかったはずです。が、実際に発表されたアルバムは、そんな我々の想像の更に上を行くもの凄い1枚でした。

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2005年4月16日 (土)

NEW ORDER、FRFに出演決定!

NEW ORDER、FUJI ROCK FESTIVALに出演決定(アーティスト公式)

 NEW ORDERの公式サイトでのツアー日程に、7/31(日)にFUJI ROCK FESTIVAL '05に出演、と載っています。

 というわけで、FRF公式発表を待たずして決定キター!

 ホント、今度のアルバムは本国のみならず日本でも売れまくってるようですね。これがかの日本語バージョンのお陰だ、とか言われた日にゃ腹立たしいですが(いや、俺あの日本語テイク好きだよ)、要は売れればいいのですよ。これ切っ掛けに若い奴らは "Regret" や "True Faith" や "Blue Monday" を聴け!

 ホント、今度の「WAITING FOR THE SIRENS' CALL」って凄く良いアルバムなのよ。勿論、これまで通りのNEW ORDERのはずなんだけど、凄く同時代的な作品集なんだよね。1曲1曲を取り出すと、いつものNEW ORDERなのにね。凄く不思議。

 このアルバムについては後程、しっかり語りたいと思っておりますので、お楽しみに! まずは夏までにこのアルバムを5万回聴き込むぜ!!



▼NEW ORDER「WAITING FOR THE SIRENS' CALL」(amazon

2004年12月 9日 (木)

気になる洋楽ニュースを

ニューオーダー新作『Sugarcane』、来年2月リリース!(CD Journal.com)
 NEW ORDERの新作、いよいよ出ます! 2001年の「GET READY」以来、3年半振りになるのかしら? タイトルは「SUGARCANE」、プロデューサーは複数参加で、ジョン・レッキー(STONE ROSES、RADIOHEAD等)、ステファン・ストリート(THE SMITHS、BLUR等)、そしてトーレ・ヨハンセン(THE CARDIGANS、FRANZ FERDINAND等)。これは面白いことになるんじゃないの?

オジー・オズボーンのボックス・セット、日本盤化決定!(CD Journal.com)
 噂の「BIBLE OF OZZ」、出ます! ディスク4枚の全収録曲名はHMVに出てます。「21世紀の精神異常者」キターっ! 日本盤は2/23リリース! 買う! 買うから!!(けど多分US盤な)

エアロスミス、ジョー・ペリーが新ソロ・アルバムを制作(BARKS)
 あー、ホントにエアロ休むんだね。このまま完全オリジナル・アルバム制作に突入、なんて話もあったけど、ジョーが通算4作目のソロを作ります、と。来年3月リリース、タイトルもそのものズバリ「JOE PERRY」!

2004年10月 4日 (月)

とみぃ洋楽100番勝負(46)

●第46回:「True Faith」 NEW ORDER ('87)

 昔さ、「摩天楼はバラ色に」という映画があったのね。当時ノリにノッてたマイケル・J・フォックス主演の、ワラシベ長者的内容の如何にもアメリカなサクセスストーリーの映画が。俺、これを当時ビデオで借りて観てさ。借りた理由は単純、NIGHT RANGERの曲が聴きたかったから。

 すっげー不純な理由じゃない、それ? けどさ、好きだったし、あの曲。

 で、お目当ての曲はオープニングでいきなり流れて、その後二度と流れることはなく(あぁ‥‥)、普通に映画を楽しんでたのよ。ま、今観たらどうなんだろうって思うけど、あの頃は単純に目をキラキラさせて楽しんでたのね。

 ところがさ。映画が完結し、ラストのエンドロールのところで耳慣れない打ち込みの曲が流れ出したのよ‥‥何このメランコリックな曲は!? 一緒に観てた友人(以前から何度か登場するUKロック好き)が「あーこれ? NEW ORDERでしょ?」って我が物顔で言うわけ。あ、NEW ORDERね‥‥って俺も知ったかぶりして。しなきゃいいのにさ。

 けどね。そんな知ったかぶりも、実は全部バレててね。翌日、俺に2枚組のCDを渡すわけ。「これに入ってるから、あの曲」って。それがNEW ORDERの「SUBSTANCE」っていうアルバム。これが俺とNEW ORDERとの出会い。

 その後‥‥「TECHNIQUE」ってアルバムで本格的にハマって、そこから4年くらいして(既に忘れようとしてた頃に)「REPUBLIC」がリリースされてまたハマッて、翌年にベスト盤が出て聴きまくって‥‥それから7年だっけ? フジロックで来日したのって‥‥あれは正直夢のようだったよね。しかも同じステージ上にビリー・コーガン(元THE SMASHING PUMPKINS)の姿まであって(残念ながらギリアンが欠席だったけど)。で、そのすぐ後に8年振りの新作「GET READY」が出て‥‥何故かハマれなくて。いや、最近はよく聴くんですよこれ。

 俺が彼等を気に入った理由は単純。独特な暗さと湿ったメロディ、そして如何にもヨーロッパのバンドらしい「冷たさ」‥‥この冷たさの理由にはいろいろあるんだけど(それは各自、このバンドの歴史を辿れば自ずと見えてくるはず。有名な話ですからね)‥‥やっぱいいよね、"True Faith" とか "1963" の泣きのメロディが‥‥



▼NEW ORDER「SUBSTANCE」(amazon

2001年8月12日 (日)

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 2@苗場スキー場(2001年7月28日)

◎NUMBER GIRL (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  定刻通りにメンバーがステージに登場。向井「福岡県●▲出身、ナンバーガール~」等と自己紹介。いきなり和む。しかしギターが鳴らされた瞬間、場の空気は一変した。のっけからファストナンバーを連発だ。PAのやぐら前あたりで観ていたのだが、始まった瞬間、ブロックのかなり前の方まで走っていた。

  向井の歌は、こうやってライブで聴いていると、何となくカートを思い浮かべることがあった。確かにNIRVANAと共通する要素はいくつかあると思うが、単なるフォロワーではなく、それなりにオリジナリティを持ったバンドだ。例えば、向井がただ1曲だけギターを持たずにビールを持って歌った「Destruction Baby」は、完全にレゲエ/ダブ要素を加えたアレンジに変えられていたし(またそれが気持ちよかった)、そういう「パワー一辺倒」では終わらないところに今後の彼らが進むべき道を見たような気がした。

  向井のMCもなかなか笑わせてくれる。乾杯三唱をさせられたときにはどうしようと思ったが、それも今となってはいい思い出だ。結局45分程度のステージで、「この後ホワイトステージに行くんで、これにて終了」と言ってバンドは去っていった(11:30からホワイトではeastern youthが演奏していたのだが、この後本当に向井はホワイトで目撃されている)。朝イチで観る長さとしては腹八分目で丁度いい感じだった。


◎MO'SOME TONEBENDER (at RED MARQUEE / 12:40~13:20)

  何の期待もせずに、ステージ前近くで開演を待った。ドラムがサウンドチェックしてるとき、あるフレーズを延々と叩いていたのだが……あれ、これって何の曲のリフだっけ……あぁ、そうか、NIRVANAの「In Bloom」だ。しかもハードヒットで、リズムキープにも独特な重さを感じる。本当にデイヴ・グロールのプレイを聞いてるようだった。

  ライブ本編では、幻想的なシーケンス音に導かれてメンバー3人がステージに登場。続いてベースが独特な重さを持ったフレーズを弾き始める。それに呼応するかのように、ドラムもユニゾンプレイを繰り返す。ボーカルは線が細い声で危うさを感じさせるが、逆にそこが魅力的。特にヒステリックにシャウトしたときの歌い方が好きだ。

  楽曲はグランジ+サイケといったイメージで、パンキッシュなファストナンバーから幻想的なミディアムスロウまで多彩さを感じる。ガレージっぽいバンドの曲って、どちらかというとモノトーン調なイメージがあるのだが、このバンドの曲にはいろんな色彩を感じ取ることができる。そのへんがサイケ的イメージと直結してるのかもしれない。とにかく、音を肌で感じていて気持ちいい(特にラストに演奏された「Echo」が圧巻だった)。この日は演奏時間を短く感じてしまうほど、入り込んでいた。もっと観たい。

  MCらしいMCも特になく、最後に「終わりっ!」の一言で現実に引き戻された。この感覚、こりゃドラッグミュージックですわ。本当、気持ちよかった。


◎ソウル・フラワー・モノノケ・サミット (at FIELD OF HEAVEN / 15:10~16:20)

  一応「モノノケ」名義なのだけど、メンバーが揃わなかったこともあって、結局この日限りのスペシャルメンバー&スペシャルセットで挑むこととなったソウルフラワー。ユニオン=バンド形態でモノノケ=チンドンスタイルの楽曲を演奏するそうだが、果たしてどうなることやら。

  ステージに登場した中川は、客を観て驚く。一番前にいたのでその時まで気づかなかったが、ふと振り返ると、すごい人の海。昨日のくるりに匹敵するほどの人が入ってる。裏ではパティ・スミスがやっているってのに、本当に物好きが集まったもんだ(自分を含めて)。ステージ上には左から洋子さん、ベースの河村、中川、ヒデ坊、山口洋(HEATWAVE)。後方はドラムのコーキの右隣にキーボードの奥野という、大所帯。

  最初はユニオンの「ロンドン・デリー」からゆったりとスタート……かと思いつつ、この曲サビではタテノリになるんだった。後ろから押し潰されそうになったり、前の奴が腰で俺を突き飛ばしたりで倒れそうになるものの、何とか持ちこたえる。こりゃ音を堪能してる場合じゃないな。暴れて、踊ってナンボの音楽。最後まで踊り狂ってやるか! そう覚悟を決めたら最後、汚い笑顔で踊り狂う。

  セットリストとしてはユニオンが7、モノノケが3といった比率で、上手い具合に交互に演奏されていた。モノノケの楽曲もユニオン用アレンジに変えられており(中川は三線だったが、山口はエレキ、ドラムもそのままといった感じ)、古来の民謡や仕事歌もこういうアレンジで聴かされるとユニオンの楽曲の中のひとつとして聴けるのだから、意外だ。

  特に印象的だったのは、やはり新譜「SCREWBALL COMEDY」からの楽曲。いい意味で「ロック然」としているのだ。新作は原点回帰とかいろいろ言われているが、確かにこれまでの作品の中では最もストレートでニューエスト・モデル色が濃い。それにライブとスタジオテイクの違和感の差がそれ程感じられない。先の野音でもここから何曲か聴いていたが、ただストレートでノリがいいだけじゃなく、記憶に(心に)残る曲ばかりだったこと、そこが大きいと思う。特に、野音で初めて聴いて心臓を鷲掴みにされた「荒れ地にて」は、ここ苗場の大自然の中、日中に聴いてもググッときた。いい曲というのは場所や時間、シチュエーションを選ばないってことなのか。しかも立て続けに「満月の夕」「竹田の子守歌」とやられた日にゃあ……放水された水が顔面を直撃したお陰でうまい具合に涙を隠せたはずだ。

  そうえいば、ステージ袖の奥の方に非常にノリノリで踊ってるキレイなおねぇちゃんがいるなぁ、と思って見とれていた。しかも見覚えあるんだよなぁ、前に会ったことなかったっけ?なんてデジャブに近い勘違いでボーッとしてたら、終盤「エエジャナイカ」で中川に呼ばれてステージに登場した。「from THE 3PEACE!」 あぁ、かおりさんか! 前夜祭に登場したTHE 3PEACEのボーカル&ギターの原と、ベースの永野が飛び入りで参加したのだった。永野かおり嬢はメスカリン・ドライヴ~ソウルフラワーの1枚目まで参加しているので、早い話がファミリーなのだ。気づけばヒデ坊、洋子さん、かおりさんとメスカリンの3人が揃ってる。最後にはお約束の「海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね」で大宴会。一度エンディングを迎えながらも、再び演奏を始めてしまう、いや、始めさせてしまう熱気。この文章だけで伝わるかな?

  「フジはいつも特別」とメンバーもファンも口にする通り、通常のライブとは違う熱気とおまけが付いたひととき。70分の予定が、「時間なんて気にしなくてもいいよな?」という中川の言葉通り、結局90分近い熱演となった。次のバンドまで1時間のインターバルがあったからよかったものの……「普段もこれくらい盛り上がってくれれば」との中川の言葉がすべてを物語ってるだろう。


01. ロンドン・デリー
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. ホライズン・マーチ
04. 水平歌 ~ 農民歌 ~ 革命歌 [モノノケ]
05. 戦火のかなた ~ I don't like (MESCALINE DRIVE)
06. 霧の滴
07. 殺人狂ルーレット
08. アリラン ~ 密陽アリラン [モノノケ]
09. 聞け万国の労働者 [モノノケ]
10. 風の市
11. 荒れ地にて
12. 満月の夕
13. 竹田の子守唄 [モノノケ]
14. インターナショナル [モノノケ]
15. エエジャナイカ
16. 海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね


◎MOGWAI (at WHITE STAGE / 18:50~19:40)

  ホワイトステージ手前の川で、メンバーのMCが聞こえてきた。どうやら丁度始まったとこみたいだ。7時前ってことで、いい具合に暗くなりつつあり、その静寂を断ち切るようにギターノイズが悲鳴を上げる。アルバムでしか聴いたことのなかったMOGWAI。どういうステージなのかまったく想像がつかなかった。

  メンバーは5人だったと思うが、ギターが3人(その内のひとりが曲によってキーボード、後半はチェロを弾いていた)とリズム隊で、ギターの轟音がとにかくすごい。それに合わせるかのように、照明のストロボが暗闇を裂く。新作「ROCK ACTION」からの楽曲がメインだったと思うが、とにかく楽曲云々よりも雰囲気を含めた全てを持ってMOGWAIのライブなんだな、という気がする。普通だったらマスターベーションと切り捨ててしまうようなギターノイズも、意外と計算されている印象を受けたし、ちゃんと楽曲として成り立っている。アルバム自体も日々好んでこればかりを聴くというタイプの音楽ではないが、この時この瞬間の気分やシチュエーションにはぴったりだったと、今はそう思う。

  万人を納得させる音楽では決してない。「ポストロック」なんてカテゴライズ、俺にはよく判らない。気持ちいいか否か、踊れるか否か。今の俺にとって、これがすべて。この日のMOGWAIは気持ちよかった。まぁ踊るどころか、呆気にとられて終始棒立ちに近い状態だったが。時々目を瞑り、その音圧のみを身体で感じてみたりもしたが、本当に気持ちよかった。頭を空っぽにして、ただ身体だけで感じる。せわしない日常の中で、こんな機会はそうはない。周りに何千、何万人いようがこうやって自分の空間を作り出すことができる。それがフジロックの好きなところだ。


◎渋さ知らズオーケストラ (at FIELD OF HEAVEN / 19:30~20:50)

  FOHに到着すると、まずその人の数に驚く。後ろの方まで人がいるのだ。しかもみんな気持ちよさそうに踊ってる。聞こえてくる音も気持ちよさげな音。響く音に合わせ踊りながら人混みに近づくと、ステージ上の人数に仰天する。少なく見積もっても20人はいるんじゃなかろうかという人の塊。決して広いとは言い難いFOHのステージ上、最前列にダンサーの女性陣が5~6人。その脇に歌&コーラスの男女がやはり7~8人。中央には指揮者。楽器隊はドラムがまったく見えず、ブラス隊、キーボードの女性が見えるのみ。間違いなくギターやベースといった楽器隊がいるはずなのだが。

  音楽は、もうノリノリでファンキーなソウルミュージック。レビュー形式で進んでいって(昨年サマソニのジェームズ・ブラウンみたいな感じ)、1曲が長くてそこにいろんなパートのソロを入れてく感じ。ここで初めてドラムが2人いることが判った(ドラムソロになったら、全員腰を屈めて後ろにもドラムが見えるように気遣うし)。

  曲の間に寸劇を挟んだりして、曲毎にメンバーが入れ替わったりする。途中、スーツ着てターバン巻いてたヒゲの男性が、石川さゆりの名曲「天城越え」を大熱唱。さらに後半、銀色の竜が客の頭上を飛び回る……が、すぐに心ない客の手によって破壊される。

  後半、山海塾(といって一体どれだけの人に理解してもらえるものか)も真っ青な全身白塗りダンサーが登場して、パフォーマンス。数曲のつもりが結局最後まで気持ちよく踊っちゃったもんなぁ。そのくらい、時間を忘れさせる程魅力的なライヴだったのだけは確か。こういうのは、家で聴くよりもこういう大自然の中で、大人数で消費するのが一番気持ちいいし、楽しい。


◎NEW ORDER (at WHITE STAGE / 22:20~24:00)

  16年振りですか、ここ日本にいらっしゃるのは。しかも今回はビリー・コーガンがギターで参加。ニール・ヤングと直前まで悩んだのだが、結局自身の“青春”を取ることとした。

  いやぁ、正直「Atomosphere」のイントロを聴いた瞬間、ジワッと涙が滲んだよ。懐かしさとかいろんなことがフラッシュバックして、その想いがとめどなく溢れそうになった。何で俺、NEW ORDERごときで泣かなきゃならねぇんだよ!って自分を疑ったが、こればっかりは仕方ない。暗黒の高校時代を思えば、それも致し方ないのかも。

  それにしてもビリー、あんま目立ってなかったね? スマパン時代はその「ガタイのデカさ」と「頭」だけが記憶に残る彼だが、この日はさすがサポートだけあって控えめ。一歩後ろに下がって、自身のプレイに徹する。時々コーラスを取ったり、バーニーとのデュエット的楽曲もあったが、最後まで帽子を被ったまま。あの威圧感がゼロだった。きっと、心底楽しんでるんだろうな、自分が憧れた、音楽を始める切っ掛けのひとつとなったバンドの一員としてフジロックみたいな大舞台に立てるんだから。スマパンの呪縛から解き放たれたような印象を受けたよ。こんな肩の力を抜いた雰囲気でのソロも見てみたい気がする。

  一方のNEW ORDERの面々は、ピーター・フック、暴れまくり。この日は参加できなかったギリアンがいないぶん、MARIONのギタリスト、フィル・カニンガムがキーボード&ギターとして参加。結局、JOY DIVISION+MARION+スマパンという、一見何が何やらな組み合わせだったのだけど……個人的には数々の名曲を思う存分聴けたこと、特にJOY DIVISION時代の「Isolation」「Love Will Tear Us Apart」といった大好きな曲を聴けたことが嬉しかった。勿論「Regret」や「Bizzare Love Triangle」「True Faith」「Temptation」等の代表曲も生で聴くと気持ちよかったし、新曲群も「これぞNEW ORDER!」的要素と「これからのNEW ORDER」を感じさせる要素が詰まった佳曲ばかりで、非常に期待が持てるものばかりだった。

  スタートが20分近く遅れた(実際には22:40頃スタート)ため、アンコールの時点で0時近かったが、そんなことお構いなし。前作からの「Ruined In A Day」他を披露後、最後の最後に超名曲「Blue Monday」。バーニー、ギターを置いて妙なステップで踊る。当然、声を振り絞って歌う。ロングバージョンとなった「Blue Monday」が終了した時点で、0時を10分程回っていた。結局90分というフルステージ状態のライブで底力を見せつけたNEW ORDER。「また16年後に会おう!」というバーニーの最後の一言、冗談に受け取れなかったんですけど。

  最後の最後に、ビリーにジャンプで飛びつくフッキー。帽子を取られたビリーを見て、あぁ、やっぱりビリーだな、と実感。

  聞けば裏のグリーンステージにおけるニール・ヤングも2時間半に渡る大熱演だったらしい。結局、どちらかを選ばなきゃならない運命だったのかなぁ。いやぁ、それにしてもいい夢観させてもらった!


01. Atomosphere
02. Crystal
03. Regret
04. Love Vigilantes
05. Isolation
06. Your Silent Face
07. Slow Jam
08. Turn My Way
09. Bizzare Love Triangle
10. Close Range
11. Touched By The Hand Of God
12. True Faith
13. Temptation
14. Love Will Tear Us Apart
---Encore---
15. Ruined In A Day
16. '60 Miles An Hour
17. Blue Monday


‥‥‥‥‥‥To be continued.

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