2017/07/17

ORGY『CANDYASS』(1998)

1998年晩夏にリリースされたLA出身のヘヴィロックバンド、ORGYのメジャーデビューアルバム。インダストリアルの要素を取り入れたそのサウンドについて、本人たちは“デス・ポップ”と呼んでいたようですが、正直どこまで定着していたかは不明です。ただ、“乱行パーティ”を意味するそのバンド名、KORN主宰レーベル「Elementree Records」からのデビュー、そしてNEW ORDERの名曲中の名曲「Blue Monday」をカバーしたことが大きな話題となり、本作は全米32位、100万枚を超えるヒット作になりました。

インダストリアル調のリズムとデジタルを同期させたバンドサウンドはどこかNINE INCH NAILSを彷彿とさせるものの、あそこまでのカリスマ性が感じられないのも事実。とはいえ、ところどころに引っかかりのあるメロディが散りばめられており、決して駄作とは言い切れない。陰鬱だけど耽美さも感じられる空気感は、同年に発表され大ヒットしたMARILYN MANSON『MECHANICAL ANIMALS』にも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。そう考えると1994年頃を起点にスタートした新世代ヘヴィロックの波が、この1998年を境に新たな方向に進み始めたと言えなくもありません。

ちなみにこのバンド、元ROUGH CUTTのアミア・デラク(G)が参加しているというのも興味深いところ。L.A.メタルが生き絶え、グランジが世の中を席巻していた時期に、アミアは時代の波に乗ってこういうことを始めたんだなと思うと、なんとも涙ぐましいものを感じてしまいます。

そんなL.A.メタル界隈の人間が絡むバンドが、NEW ORDERの「Blue Monday」をカバーしているのも、非常に味わい深いものがあります。この時期、ヘヴィロックバンドが80年代のヒット曲をカバーするのは一種の流行りみたいなものでしたが、ORGYもその流れに乗ってヒットを手にするのですから、賢いというかなんというか。このカバーがまたド直球で、嫌いになれないんだよね(アルバムの中では比較的浮いている存在なんだけど)……。

アルバムにはこのほか、KORNのジョナサン・デイヴィス(Vo)も「Revival」で共作&ゲストボーカルで参加しています。かといって作品自体はKORN界隈の一派というよりも、「NINE INCH NAILSやFILTERといったバンドが好きな人なら気にいるかも」といった内容かも。当時はハイプ的存在だったかもしれないけど、今となっては悪くないんじゃないかな。10数年ぶりに聴きましたが、リリース当時よりも素直に楽しめましたよ。



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投稿: 2017 07 17 12:00 午前 [1998年の作品, Korn, New Order, Orgy] | 固定リンク

2005/06/09

NEW ORDER『WAITING FOR THE SIRENS' CALL』(2005)

 今更感も強いだろうけど、改めて語っておきましょうよ、NEW ORDERのこの素晴らしいアルバムについて。

 昨日のSYSTEM OF A DOWNのところで「今年前半で一番」みたいなことを書きましたが、SOADのアルバムを聴くまでは、実はこのNEW ORDERの「WAITING FOR THE SIRENS' CALL」が今年前半で一番良かったアルバムだったんですよ、俺的に。まぁ音楽性やスタイルが全く違うので比較しようがないんだけど、でも‥‥俺的には両者に共通する要素として「泣きメロ」ってのがあるんですよね。その表現方法はまた違うわけだけど、美メロって意味では今の俺内では双璧を成す感じかな、この2枚は。

 オリジナルアルバムとしては通算8作目、前作「GET READY」から数えて約4年振りとなる待望のニューアルバムなわけですが、先行シングルの "Krafty" を聴いた時点で、まだ見ぬニューアルバムが素晴らしいものになるだろうことは想像に難しくなかったはずです。が、実際に発表されたアルバムは、そんな我々の想像の更に上を行くもの凄い1枚でした。

 前作の流れを汲むギターロック的アプローチのオープニング "Who's Joe?" や "Hey Now What You Doing" は更に深みを増し、そのメロディの潤いはハンパじゃない。特に前者の泣きメロには聴く者全てがヤラれまくったんじゃないでしょうか。かと思えばフッキー(ピーター・フック)お得意の「ランニング・ベース」が耳に残るタイトルトラック "Waiting For The Sirens' Call"、「らしさ」を更に追求した名曲 "Krafty" と、兎に角この頭4曲だけで既に感無量なんですよ‥‥ジリアンは結局脱退しちゃったけど、新たに加入した(前作のツアーでもいい味出してた)フィルはいい仕事してるし。オリジナル・NOは観る機会に恵まれなかったけど、でも4年前のフジロック‥‥あのステージは今でも忘れられない!(大好きなビリー・コーガンもサポートメンバーとしてステージ上にいたから余計な)

 アルバムはその後も新機軸/十八番路線双方を上手く取り込み、それら全てに「NO印」を刻印して我々に提示されてます。と同時に、前作辺りから顕著になりだしたゲスト参加アーティストも面白いことになってます。今回は話題のSCISSOR SISTERSのアナ・マトロニックが2曲("Jetstream" と "Guilt Is A Useless Emotion")に参加してます。前作ではビリー・コーガンやPRIMAL SCREAMの面々、またアルバムには収録されなかったもののTHE CHEMICAL BROTHERSとのコラボもありました。が、今回は前作程「ゲストアーティストに頼る」といった弱腰は感じられず(前作は久し振りのアルバムってこともあり、やっぱりその辺気にしてたのかなぁという気も)、あくまで「NOありき」という印象が強いかも。新旧ダンサブル・エレポップ(と呼ぶには双方ちょっと違うか)対決‥‥とは言い過ぎかな。どこかのフェスでこの生コラボが実現しないかなぁ。

 アルバム本編はある意味で最も衝撃的なラウド・ナンバー "Working Overtime" で終了。ホント、最後まで驚きで一杯の1枚ですよ。ここでは触れなかった曲も総じて素晴らしく、そして「NOらしい」仕上がりになってます。初期‥‥特に'80年代で止まっちゃってるファンの方々からすると、このアルバムで表現されてることは納得いかないのかもしれないけど‥‥決して純粋なNOファンではなかった俺だけど、この20年近くをリアルタイムで、いろんな音楽と接しながら通過してきた身としては、この進化は納得のいくものだし、逆にデビューから30年近く経ったバンドがこういう風に進化(と同時に深化)するというのは興味深いと思いますよ。しかも彼等、このアルバムと同時にもう1枚アルバムを作っちゃったというじゃないですか! そっちがホントに出るのかどうかはその時になってみないと判りませんが‥‥多分そちらも納得出来る仕上がりになってるはず。SOADといいNOといい、何故にこんなに素晴らしいアルバムを作っていながら、もう1枚作れちゃうんだろう‥‥ただのアウトテイク集になってないといいんだけどね。

 最後に‥‥やはり触れておきますか、"Krafty" 日本語バージョンについて。何故バーニーがアジカン・ゴッチが書いた歌詞を歌う羽目になったのか、その裏事情は耳にしてますが‥‥まぁ俺的には、面白かったからアリの方向で。ただ、これをステージで歌われたら萎えるだろうけどね!



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投稿: 2005 06 09 12:35 午前 [2005年の作品, New Order] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/04/16

NEW ORDER、FRFに出演決定!

NEW ORDER、FUJI ROCK FESTIVALに出演決定(アーティスト公式)

 NEW ORDERの公式サイトでのツアー日程に、7/31(日)にFUJI ROCK FESTIVAL '05に出演、と載っています。

 というわけで、FRF公式発表を待たずして決定キター!

 ホント、今度のアルバムは本国のみならず日本でも売れまくってるようですね。これがかの日本語バージョンのお陰だ、とか言われた日にゃ腹立たしいですが(いや、俺あの日本語テイク好きだよ)、要は売れればいいのですよ。これ切っ掛けに若い奴らは "Regret" や "True Faith" や "Blue Monday" を聴け!

 ホント、今度の「WAITING FOR THE SIRENS' CALL」って凄く良いアルバムなのよ。勿論、これまで通りのNEW ORDERのはずなんだけど、凄く同時代的な作品集なんだよね。1曲1曲を取り出すと、いつものNEW ORDERなのにね。凄く不思議。

 このアルバムについては後程、しっかり語りたいと思っておりますので、お楽しみに! まずは夏までにこのアルバムを5万回聴き込むぜ!!



▼NEW ORDER「WAITING FOR THE SIRENS' CALL」(amazon

投稿: 2005 04 16 02:06 午前 [FUJI ROCK FESTIVAL, New Order, 「フェス」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/12/09

気になる洋楽ニュースを

ニューオーダー新作『Sugarcane』、来年2月リリース!(CD Journal.com)
 NEW ORDERの新作、いよいよ出ます! 2001年の「GET READY」以来、3年半振りになるのかしら? タイトルは「SUGARCANE」、プロデューサーは複数参加で、ジョン・レッキー(STONE ROSES、RADIOHEAD等)、ステファン・ストリート(THE SMITHS、BLUR等)、そしてトーレ・ヨハンセン(THE CARDIGANS、FRANZ FERDINAND等)。これは面白いことになるんじゃないの?

オジー・オズボーンのボックス・セット、日本盤化決定!(CD Journal.com)
 噂の「BIBLE OF OZZ」、出ます! ディスク4枚の全収録曲名はHMVに出てます。「21世紀の精神異常者」キターっ! 日本盤は2/23リリース! 買う! 買うから!!(けど多分US盤な)

エアロスミス、ジョー・ペリーが新ソロ・アルバムを制作(BARKS)
 あー、ホントにエアロ休むんだね。このまま完全オリジナル・アルバム制作に突入、なんて話もあったけど、ジョーが通算4作目のソロを作ります、と。来年3月リリース、タイトルもそのものズバリ「JOE PERRY」!

投稿: 2004 12 09 08:50 午後 [New Order] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/10/04

とみぃ洋楽100番勝負(46)

●第46回:「True Faith」 NEW ORDER ('87)

 昔さ、「摩天楼はバラ色に」という映画があったのね。当時ノリにノッてたマイケル・J・フォックス主演の、ワラシベ長者的内容の如何にもアメリカなサクセスストーリーの映画が。俺、これを当時ビデオで借りて観てさ。借りた理由は単純、NIGHT RANGERの曲が聴きたかったから。

 すっげー不純な理由じゃない、それ? けどさ、好きだったし、あの曲。

 で、お目当ての曲はオープニングでいきなり流れて、その後二度と流れることはなく(あぁ‥‥)、普通に映画を楽しんでたのよ。ま、今観たらどうなんだろうって思うけど、あの頃は単純に目をキラキラさせて楽しんでたのね。

 ところがさ。映画が完結し、ラストのエンドロールのところで耳慣れない打ち込みの曲が流れ出したのよ‥‥何このメランコリックな曲は!? 一緒に観てた友人(以前から何度か登場するUKロック好き)が「あーこれ? NEW ORDERでしょ?」って我が物顔で言うわけ。あ、NEW ORDERね‥‥って俺も知ったかぶりして。しなきゃいいのにさ。

 けどね。そんな知ったかぶりも、実は全部バレててね。翌日、俺に2枚組のCDを渡すわけ。「これに入ってるから、あの曲」って。それがNEW ORDERの「SUBSTANCE」っていうアルバム。これが俺とNEW ORDERとの出会い。

 その後‥‥「TECHNIQUE」ってアルバムで本格的にハマって、そこから4年くらいして(既に忘れようとしてた頃に)「REPUBLIC」がリリースされてまたハマッて、翌年にベスト盤が出て聴きまくって‥‥それから7年だっけ? フジロックで来日したのって‥‥あれは正直夢のようだったよね。しかも同じステージ上にビリー・コーガン(元THE SMASHING PUMPKINS)の姿まであって(残念ながらギリアンが欠席だったけど)。で、そのすぐ後に8年振りの新作「GET READY」が出て‥‥何故かハマれなくて。いや、最近はよく聴くんですよこれ。

 俺が彼等を気に入った理由は単純。独特な暗さと湿ったメロディ、そして如何にもヨーロッパのバンドらしい「冷たさ」‥‥この冷たさの理由にはいろいろあるんだけど(それは各自、このバンドの歴史を辿れば自ずと見えてくるはず。有名な話ですからね)‥‥やっぱいいよね、"True Faith" とか "1963" の泣きのメロディが‥‥



▼NEW ORDER「SUBSTANCE」(amazon

投稿: 2004 10 04 12:00 午前 [1987年の作品, New Order, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2001/08/12

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 2@苗場スキー場(2001年7月28日)

◎NUMBER GIRL (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  定刻通りにメンバーがステージに登場。向井「福岡県●▲出身、ナンバーガール~」等と自己紹介。いきなり和む。しかしギターが鳴らされた瞬間、場の空気は一変した。のっけからファストナンバーを連発だ。PAのやぐら前あたりで観ていたのだが、始まった瞬間、ブロックのかなり前の方まで走っていた。

  向井の歌は、こうやってライブで聴いていると、何となくカートを思い浮かべることがあった。確かにNIRVANAと共通する要素はいくつかあると思うが、単なるフォロワーではなく、それなりにオリジナリティを持ったバンドだ。例えば、向井がただ1曲だけギターを持たずにビールを持って歌った「Destruction Baby」は、完全にレゲエ/ダブ要素を加えたアレンジに変えられていたし(またそれが気持ちよかった)、そういう「パワー一辺倒」では終わらないところに今後の彼らが進むべき道を見たような気がした。

  向井のMCもなかなか笑わせてくれる。乾杯三唱をさせられたときにはどうしようと思ったが、それも今となってはいい思い出だ。結局45分程度のステージで、「この後ホワイトステージに行くんで、これにて終了」と言ってバンドは去っていった(11:30からホワイトではeastern youthが演奏していたのだが、この後本当に向井はホワイトで目撃されている)。朝イチで観る長さとしては腹八分目で丁度いい感じだった。


◎MO'SOME TONEBENDER (at RED MARQUEE / 12:40~13:20)

  何の期待もせずに、ステージ前近くで開演を待った。ドラムがサウンドチェックしてるとき、あるフレーズを延々と叩いていたのだが……あれ、これって何の曲のリフだっけ……あぁ、そうか、NIRVANAの「In Bloom」だ。しかもハードヒットで、リズムキープにも独特な重さを感じる。本当にデイヴ・グロールのプレイを聞いてるようだった。

  ライブ本編では、幻想的なシーケンス音に導かれてメンバー3人がステージに登場。続いてベースが独特な重さを持ったフレーズを弾き始める。それに呼応するかのように、ドラムもユニゾンプレイを繰り返す。ボーカルは線が細い声で危うさを感じさせるが、逆にそこが魅力的。特にヒステリックにシャウトしたときの歌い方が好きだ。

  楽曲はグランジ+サイケといったイメージで、パンキッシュなファストナンバーから幻想的なミディアムスロウまで多彩さを感じる。ガレージっぽいバンドの曲って、どちらかというとモノトーン調なイメージがあるのだが、このバンドの曲にはいろんな色彩を感じ取ることができる。そのへんがサイケ的イメージと直結してるのかもしれない。とにかく、音を肌で感じていて気持ちいい(特にラストに演奏された「Echo」が圧巻だった)。この日は演奏時間を短く感じてしまうほど、入り込んでいた。もっと観たい。

  MCらしいMCも特になく、最後に「終わりっ!」の一言で現実に引き戻された。この感覚、こりゃドラッグミュージックですわ。本当、気持ちよかった。


◎ソウル・フラワー・モノノケ・サミット (at FIELD OF HEAVEN / 15:10~16:20)

  一応「モノノケ」名義なのだけど、メンバーが揃わなかったこともあって、結局この日限りのスペシャルメンバー&スペシャルセットで挑むこととなったソウルフラワー。ユニオン=バンド形態でモノノケ=チンドンスタイルの楽曲を演奏するそうだが、果たしてどうなることやら。

  ステージに登場した中川は、客を観て驚く。一番前にいたのでその時まで気づかなかったが、ふと振り返ると、すごい人の海。昨日のくるりに匹敵するほどの人が入ってる。裏ではパティ・スミスがやっているってのに、本当に物好きが集まったもんだ(自分を含めて)。ステージ上には左から洋子さん、ベースの河村、中川、ヒデ坊、山口洋(HEATWAVE)。後方はドラムのコーキの右隣にキーボードの奥野という、大所帯。

  最初はユニオンの「ロンドン・デリー」からゆったりとスタート……かと思いつつ、この曲サビではタテノリになるんだった。後ろから押し潰されそうになったり、前の奴が腰で俺を突き飛ばしたりで倒れそうになるものの、何とか持ちこたえる。こりゃ音を堪能してる場合じゃないな。暴れて、踊ってナンボの音楽。最後まで踊り狂ってやるか! そう覚悟を決めたら最後、汚い笑顔で踊り狂う。

  セットリストとしてはユニオンが7、モノノケが3といった比率で、上手い具合に交互に演奏されていた。モノノケの楽曲もユニオン用アレンジに変えられており(中川は三線だったが、山口はエレキ、ドラムもそのままといった感じ)、古来の民謡や仕事歌もこういうアレンジで聴かされるとユニオンの楽曲の中のひとつとして聴けるのだから、意外だ。

  特に印象的だったのは、やはり新譜「SCREWBALL COMEDY」からの楽曲。いい意味で「ロック然」としているのだ。新作は原点回帰とかいろいろ言われているが、確かにこれまでの作品の中では最もストレートでニューエスト・モデル色が濃い。それにライブとスタジオテイクの違和感の差がそれ程感じられない。先の野音でもここから何曲か聴いていたが、ただストレートでノリがいいだけじゃなく、記憶に(心に)残る曲ばかりだったこと、そこが大きいと思う。特に、野音で初めて聴いて心臓を鷲掴みにされた「荒れ地にて」は、ここ苗場の大自然の中、日中に聴いてもググッときた。いい曲というのは場所や時間、シチュエーションを選ばないってことなのか。しかも立て続けに「満月の夕」「竹田の子守歌」とやられた日にゃあ……放水された水が顔面を直撃したお陰でうまい具合に涙を隠せたはずだ。

  そうえいば、ステージ袖の奥の方に非常にノリノリで踊ってるキレイなおねぇちゃんがいるなぁ、と思って見とれていた。しかも見覚えあるんだよなぁ、前に会ったことなかったっけ?なんてデジャブに近い勘違いでボーッとしてたら、終盤「エエジャナイカ」で中川に呼ばれてステージに登場した。「from THE 3PEACE!」 あぁ、かおりさんか! 前夜祭に登場したTHE 3PEACEのボーカル&ギターの原と、ベースの永野が飛び入りで参加したのだった。永野かおり嬢はメスカリン・ドライヴ~ソウルフラワーの1枚目まで参加しているので、早い話がファミリーなのだ。気づけばヒデ坊、洋子さん、かおりさんとメスカリンの3人が揃ってる。最後にはお約束の「海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね」で大宴会。一度エンディングを迎えながらも、再び演奏を始めてしまう、いや、始めさせてしまう熱気。この文章だけで伝わるかな?

  「フジはいつも特別」とメンバーもファンも口にする通り、通常のライブとは違う熱気とおまけが付いたひととき。70分の予定が、「時間なんて気にしなくてもいいよな?」という中川の言葉通り、結局90分近い熱演となった。次のバンドまで1時間のインターバルがあったからよかったものの……「普段もこれくらい盛り上がってくれれば」との中川の言葉がすべてを物語ってるだろう。


01. ロンドン・デリー
02. サヴァイヴァーズ・バンケット
03. ホライズン・マーチ
04. 水平歌 ~ 農民歌 ~ 革命歌 [モノノケ]
05. 戦火のかなた ~ I don't like (MESCALINE DRIVE)
06. 霧の滴
07. 殺人狂ルーレット
08. アリラン ~ 密陽アリラン [モノノケ]
09. 聞け万国の労働者 [モノノケ]
10. 風の市
11. 荒れ地にて
12. 満月の夕
13. 竹田の子守唄 [モノノケ]
14. インターナショナル [モノノケ]
15. エエジャナイカ
16. 海ゆかば 山ゆかば 踊るかばね


◎MOGWAI (at WHITE STAGE / 18:50~19:40)

  ホワイトステージ手前の川で、メンバーのMCが聞こえてきた。どうやら丁度始まったとこみたいだ。7時前ってことで、いい具合に暗くなりつつあり、その静寂を断ち切るようにギターノイズが悲鳴を上げる。アルバムでしか聴いたことのなかったMOGWAI。どういうステージなのかまったく想像がつかなかった。

  メンバーは5人だったと思うが、ギターが3人(その内のひとりが曲によってキーボード、後半はチェロを弾いていた)とリズム隊で、ギターの轟音がとにかくすごい。それに合わせるかのように、照明のストロボが暗闇を裂く。新作「ROCK ACTION」からの楽曲がメインだったと思うが、とにかく楽曲云々よりも雰囲気を含めた全てを持ってMOGWAIのライブなんだな、という気がする。普通だったらマスターベーションと切り捨ててしまうようなギターノイズも、意外と計算されている印象を受けたし、ちゃんと楽曲として成り立っている。アルバム自体も日々好んでこればかりを聴くというタイプの音楽ではないが、この時この瞬間の気分やシチュエーションにはぴったりだったと、今はそう思う。

  万人を納得させる音楽では決してない。「ポストロック」なんてカテゴライズ、俺にはよく判らない。気持ちいいか否か、踊れるか否か。今の俺にとって、これがすべて。この日のMOGWAIは気持ちよかった。まぁ踊るどころか、呆気にとられて終始棒立ちに近い状態だったが。時々目を瞑り、その音圧のみを身体で感じてみたりもしたが、本当に気持ちよかった。頭を空っぽにして、ただ身体だけで感じる。せわしない日常の中で、こんな機会はそうはない。周りに何千、何万人いようがこうやって自分の空間を作り出すことができる。それがフジロックの好きなところだ。


◎渋さ知らズオーケストラ (at FIELD OF HEAVEN / 19:30~20:50)

  FOHに到着すると、まずその人の数に驚く。後ろの方まで人がいるのだ。しかもみんな気持ちよさそうに踊ってる。聞こえてくる音も気持ちよさげな音。響く音に合わせ踊りながら人混みに近づくと、ステージ上の人数に仰天する。少なく見積もっても20人はいるんじゃなかろうかという人の塊。決して広いとは言い難いFOHのステージ上、最前列にダンサーの女性陣が5~6人。その脇に歌&コーラスの男女がやはり7~8人。中央には指揮者。楽器隊はドラムがまったく見えず、ブラス隊、キーボードの女性が見えるのみ。間違いなくギターやベースといった楽器隊がいるはずなのだが。

  音楽は、もうノリノリでファンキーなソウルミュージック。レビュー形式で進んでいって(昨年サマソニのジェームズ・ブラウンみたいな感じ)、1曲が長くてそこにいろんなパートのソロを入れてく感じ。ここで初めてドラムが2人いることが判った(ドラムソロになったら、全員腰を屈めて後ろにもドラムが見えるように気遣うし)。

  曲の間に寸劇を挟んだりして、曲毎にメンバーが入れ替わったりする。途中、スーツ着てターバン巻いてたヒゲの男性が、石川さゆりの名曲「天城越え」を大熱唱。さらに後半、銀色の竜が客の頭上を飛び回る……が、すぐに心ない客の手によって破壊される。

  後半、山海塾(といって一体どれだけの人に理解してもらえるものか)も真っ青な全身白塗りダンサーが登場して、パフォーマンス。数曲のつもりが結局最後まで気持ちよく踊っちゃったもんなぁ。そのくらい、時間を忘れさせる程魅力的なライヴだったのだけは確か。こういうのは、家で聴くよりもこういう大自然の中で、大人数で消費するのが一番気持ちいいし、楽しい。


◎NEW ORDER (at WHITE STAGE / 22:20~24:00)

  16年振りですか、ここ日本にいらっしゃるのは。しかも今回はビリー・コーガンがギターで参加。ニール・ヤングと直前まで悩んだのだが、結局自身の“青春”を取ることとした。

  いやぁ、正直「Atomosphere」のイントロを聴いた瞬間、ジワッと涙が滲んだよ。懐かしさとかいろんなことがフラッシュバックして、その想いがとめどなく溢れそうになった。何で俺、NEW ORDERごときで泣かなきゃならねぇんだよ!って自分を疑ったが、こればっかりは仕方ない。暗黒の高校時代を思えば、それも致し方ないのかも。

  それにしてもビリー、あんま目立ってなかったね? スマパン時代はその「ガタイのデカさ」と「頭」だけが記憶に残る彼だが、この日はさすがサポートだけあって控えめ。一歩後ろに下がって、自身のプレイに徹する。時々コーラスを取ったり、バーニーとのデュエット的楽曲もあったが、最後まで帽子を被ったまま。あの威圧感がゼロだった。きっと、心底楽しんでるんだろうな、自分が憧れた、音楽を始める切っ掛けのひとつとなったバンドの一員としてフジロックみたいな大舞台に立てるんだから。スマパンの呪縛から解き放たれたような印象を受けたよ。こんな肩の力を抜いた雰囲気でのソロも見てみたい気がする。

  一方のNEW ORDERの面々は、ピーター・フック、暴れまくり。この日は参加できなかったギリアンがいないぶん、MARIONのギタリスト、フィル・カニンガムがキーボード&ギターとして参加。結局、JOY DIVISION+MARION+スマパンという、一見何が何やらな組み合わせだったのだけど……個人的には数々の名曲を思う存分聴けたこと、特にJOY DIVISION時代の「Isolation」「Love Will Tear Us Apart」といった大好きな曲を聴けたことが嬉しかった。勿論「Regret」や「Bizzare Love Triangle」「True Faith」「Temptation」等の代表曲も生で聴くと気持ちよかったし、新曲群も「これぞNEW ORDER!」的要素と「これからのNEW ORDER」を感じさせる要素が詰まった佳曲ばかりで、非常に期待が持てるものばかりだった。

  スタートが20分近く遅れた(実際には22:40頃スタート)ため、アンコールの時点で0時近かったが、そんなことお構いなし。前作からの「Ruined In A Day」他を披露後、最後の最後に超名曲「Blue Monday」。バーニー、ギターを置いて妙なステップで踊る。当然、声を振り絞って歌う。ロングバージョンとなった「Blue Monday」が終了した時点で、0時を10分程回っていた。結局90分というフルステージ状態のライブで底力を見せつけたNEW ORDER。「また16年後に会おう!」というバーニーの最後の一言、冗談に受け取れなかったんですけど。

  最後の最後に、ビリーにジャンプで飛びつくフッキー。帽子を取られたビリーを見て、あぁ、やっぱりビリーだな、と実感。

  聞けば裏のグリーンステージにおけるニール・ヤングも2時間半に渡る大熱演だったらしい。結局、どちらかを選ばなきゃならない運命だったのかなぁ。いやぁ、それにしてもいい夢観させてもらった!


01. Atomosphere
02. Crystal
03. Regret
04. Love Vigilantes
05. Isolation
06. Your Silent Face
07. Slow Jam
08. Turn My Way
09. Bizzare Love Triangle
10. Close Range
11. Touched By The Hand Of God
12. True Faith
13. Temptation
14. Love Will Tear Us Apart
---Encore---
15. Ruined In A Day
16. '60 Miles An Hour
17. Blue Monday


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 2001 08 12 12:00 午前 [2001年のライブ, FUJI ROCK FESTIVAL, HEATWAVE, MO'SOME TONEBENDER, Mogwai, New Order, Smashing Pumpkins, Soul Flower Union, ナンバーガール, 渋さ知らズ] | 固定リンク