2018年10月 8日 (月)

NEW YORK DOLLS『NEW YORK DOLLS』(1973)

1973年7月にリリースされた、NEW YORK DOLLSのデビューアルバム。当時のメンバーはデヴィッド・ヨハンセン(Vo)、ジョニー・サンダース(G)、シルヴェイン・シルヴェイン(G)、アーサー・キラー・ケイン(B)、ジェリー・ノーラン(Dr)。アルバムのプロデュースはかのトッド・ラングレンが担当し、このほかにもトッドはアルバムでピアノやモーグシンセなどでも参加しております。

アルバムジャケットを見ると、そのケバケバしいルックスに驚かされ「グラムロック?」と思ってしまうかと思います。もちろんそれも間違いではありませんが、それよりもここで鳴らされている(記録されている)音の塊はパンクロックそのものではないでしょうか。

例えば、60年代末から70年代初頭のキラキラしたメイクのストーンズ。アメリカではマイナーな存在だったかもしれないけど、デヴィッド・ボウイを筆頭にMOTT THE HOOPLE、T. REXといったお化粧をしたロックアーティスト。そういったバンドたちと肩を並べる存在、あるいはその延長線上にあるムーブメントだったのかもしれない。けど、何か違う。むしろ、ドールズの数年先にデビューしていたTHE STOOGESを、アグレッシヴさをそのままに、もっとキャッチーにした存在。そのほうがピンとくるのは僕だけでしょうか。

オープニングの「Personality Crisis」を筆頭に、「Looking For A Kiss」や「Frankenstein」「Trash」など、ロックンロールのフォーマットに乗ったポップなメロディと、どこか危うさが伴うバンドアレンジ。例えばそれは、本作から数年後に誕生するSEX PISTOLSにも通ずるものがある気がするし、さらにそこから10年後にデビューするGUNS N' ROSESにも共通するものがある。なんていうのは言い過ぎでしょうか?

僕自身がこのアルバムと出会ってすでに30年近く経ちますが、今でも本作と向き合うときは「ジャンルとは?」「カテゴリーとは?」なんてことを考えさせられます。それくらい、括りとかどうでもよくなる1枚。それがNEW YORK DOLLSのデビューアルバムの持つ大きな意味なのかもしれません。

このアルバムから影響を受けて誕生したバンドは、ここ日本にも少なくありません。ジャケットのアートワークを見て「あっ!」と思い浮かべるバンドもいるでしょうし、楽曲の1つひとつを聴いて脳内でイメージできるバンドもいるでしょう。そういった意味でも、国境関係なくすべてのロックファンに一度は接してほしいアルバムです。



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投稿: 2018 10 08 12:00 午前 [1973年の作品, New York Dolls] | 固定リンク

2018年1月23日 (火)

JOE PERRY『SWEETZERLAND MANIFESTO』(2018)

AEROSMITHのギタリスト、ジョー・ペリーが数日前にひっそりと新しいソロアルバムをリリースしていました。あれ、実は大々的に告知されていて、自分だけが知らなかったパターン?とも思ったのですが(昨年11月には告知されていたようですね)、国内盤の予定もなく……まったく気づいていませんでした。申し訳ない!

で、ジョーのソロですよ。彼はエアロに復帰して以降、2000年代半ばまでソロアルバムを作って来ませんでした。それ以前のJOE PERRY PROJECTはエアロを脱退したからこそ生まれた産物だったわけで、メインバンドがある以上はソロで何かをする必要性はなかったと。ところが、2000年代以降のジョーのソロ2作(2005年の『JOE PERRY』、2009年の『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』)には作る理由がちゃんとあった。『JOE PERRY』のときはエアロが無期限活動休止を発表したタイミング、『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』のときはエアロのアルバム『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』(2012年)の制作初期段階で、途中で頓挫してしまった時期にソロへと向かった。クリエイターとしての制作意欲の吐け口として、止むを得ず(かどうかはわかりませんが)再びソロへと向かっていったわけです。

事実、『JOE PERRY』は90年代以降のエアロらしさにジョーならではの渋みが加わった良作ですし、『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』は新たな才能(YouTubeで見つけた無名のシンガーを迎えて制作)から触発された初期衝動がにじみ出た力作でした。それぞれカラーが異なり、個人的にも楽しんで聴くことができたけど、エアロの色が散りばめられていることで「だったらエアロの新作が聴きたいよ……」と思ってしまったのも事実でした。

では、今回発表された9年ぶりのソロアルバムはどうでしょう? 実はこれ、めっちゃ肩の力が抜けているんですよ。バンドとしてのエアロは終わりが近づいている、音楽でたくさん稼げたし、納得のいく作品もたくさん作ってこられた、あとは余生を楽しむのみ……と思ったかどうかはわかりません。でも、数年前にジョーがステージで倒れて意識不明?なんて事故がありましたが、あれを思い浮かべると今回は純粋に好きな音楽を楽しもうという姿勢が感じられるのです。

全10曲中インストが2曲、ジョー自身がボーカルと務めるのが1曲。残り7曲はロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、デヴィッド・ヨハンセン(NEW YORK DOLLS)、テリー・リードというロックファンなら誰もが知るレジェンドたちを迎えて制作しているのです。もちろん、悪いわけがない。基本的にはブルースをベースにしたロック/ハードロックで、エアロを彷彿とさせる曲もあるんだけど、以前のように「これ、エアロでやれよ!」的な“そのもの”ではなくてエアロのフレーバーを散りばめた楽曲をアクの強いフロントマンが歌ってるという印象にとどまっている。ああ、そうか。ジョー本人が歌ったりスティーヴン・タイラーを彷彿とさせるフロントマンが歌ったりするからいけなかったんだ。当たり前の話だけど。けどそれも、アリス・クーパーやジョニー・デップたちと始めたスーパーバンド、HOLLYWOOD VAMPIRESがあったからこそなんでしょうね。フロントに立つよりも、アクの強いシンガーの隣でこそ光ることを再確認できたのかもしれません。

ジョーのギターも非常にリラックスしたプレイを聴かせてくれているし、各ボーカリストに触発されて引っ張り出されたキレのあるフレーズも見受けられる。ぶっちゃけ、エアロの最新作『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』よりも良いんじゃないかと思うほど。いやあ、ジョーのソロアルバムでここまで興奮したの、久しぶり、いや、初めてかもしれない。

現在67歳。まだまだ最前線でやろうと思えばやれるし、若い才能をフックアップすることも可能でしょう。でも、エアロの近況もそうだけど、アーティストとしてはそろそろ“終活”の時期なのかな……もはや『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』レベルを保つことすら難しいのだったら、エアロのアルバムはもう無理に作らなくてもいいから、スティーヴンもジョーも自分の好きな音楽を、楽しみながら作ればいいと思うのです。その結果として本作が生まれたのだったら、僕はそれを素直に受け入れるので。



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投稿: 2018 01 23 12:00 午前 [2018年の作品, Aerosmith, Cheap Trick, Joe Perry, New York Dolls] | 固定リンク