2017/02/12

NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』(2011)

NIGHT RANGERが2011年初夏に発表した、通算9枚目(“MOON RANGER”と呼ばれる特殊編成で1995年にリリースした『FEEDING OFF THE MOJO』を含めると10枚目)のオリジナルアルバム。再結成後もしっかり参加していたジェフ・ワトソンが脱退し、新たにジョエル・ホークストラ(G)が加わって最初のアルバムになります。と同時に、NIGHT RANGERがついに“らしさ”を取り戻した記念すべき1枚ではないかと思っています。

1996年のオリジナル編成での再結成以降、1人抜け、また1人抜けとメンバーチェンジを繰り返しながら新陳代謝を続けてきた彼ら。一時は新作を10年近くもリリースできない期間もありましたが、ジェフ・ワトソン脱退後にバンドとしてのエンジンに再び火がついたのか、ジャック・ブレイズ(Vo, B)、ケリー・ケイギー(Vo, Dr)、ブラッド・ギルス(G)のオリメン3人に先のジョエル、そしてエリック・レヴィー(Key)という新たな布陣で4年ぶりのオリジナルアルバムを完成させるのです。

いざ完成した本作は、まずオープニングの「Growin' Up In California」でノックアウトさせられます。往年の「(You Can Still) Rock In America」を彷彿とさせる曲調、そしてあの“時代錯誤なシンセ”はないもののイントロのツインリードでぐっと心を鷲掴みにされ、ジャックのボーカルとジャック&ケリーのハーモニー、テクニカルなギターソロの応酬とすべてが“全盛期のNIGHT RANGER”をイメージさせるものばかり。『NEVERLAND』(1997年)も『SEVEN』(1998年)も良かったんだけど、待ってたのはこれなんですよね、うん。

その後もNIGHT RANGERらしい楽曲が続きます。ヘヴィな「Lay It On Me」、軽快かつキャッチーな「Bye Bye Baby (Not Tonight)」、ポップながらお豪快なハードロックチューン「No Time To Lose Ya」、イントロの泣きメロにグッとくるマイナーキーの「End Of The Day」、そしてNIGHT RANGERにとってもうひとつの“大きな武器”である王道パワーバラード「Time Of Our Lives」と、とにかく粒ぞろい。80年代の“バラードバンド”的レッテルを払拭しようと意識したのか、バラードは先の「Time Of Our Lives」のみ。基本的にはキャッチーなメロディを持つアップテンポ〜ミドルテンポのロックナンバーが中心で、彼らが今何をしたいのかが明確に理解できる1枚に仕上がっています。

思えば、バラードはあれだけヒット曲があるんだから、ぶっちゃけ過去の楽曲のみでことが済む気がするし、それだったらロックバンドとしての“今”を形として証明したほうがいいのではないか……きっとそんな思いが強かったんでしょう。「俺たち、まだまだやれるし!」って。「Growin' Up In California」から始まって、ドラマチックでスケール感の大きい「Say It With Love」で幕を降ろす構成もバッチリですしね。

僕自身もこのアルバムを聴いて「NIGHT RANGER、やっぱりイイじゃん!」と改めて思えたし、きっと同じように感じた往年のファンは多かったんじゃないかと信じています。大人の貫禄と「まだまだやれる!」っていう若々しさが混在した良作です。



▼NIGHT RANGER『SOMEWHERE IN CALIFORNIA』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 12 12:00 午前 [2011年の作品, Night Ranger] | 固定リンク

2017/02/08

DAMN YANKEES『DAMN YANKEES』(1990)

ここ数日続いたスーパーバンドの紹介、ひとまず今回が最後となります。1989年にBLUE MURDER、BADLAND、MR. BIG、BAD ENGLISHとデビューが続いたスーパーバンド、翌1990年初頭にその究極と言えなくもない存在のDAMN YANKEESが華々しくデビューを飾ります。

DAMN YANKEESは元NIGHT RANGERのジャック・ブレイズ(Vo, B)、元STYXのトミー・ショウ(Vo, G)、ソロアーティストとして知られるテッド・ニュージェント(Vo, G)、セッションドラマーでのちにLYNYRD SKYNYRDに加わるマイケル・カーテロン(Dr)の4人組。マイケル以外はそれぞれバンドやソロで一時代を築いた人ばかりで、3人ともボーカリスト。ということで、この『DAMN YANKEES』ではジャック&トミーのボーカルを軸にしつつ、曲によってどちらかがリードを取る形となっています。テッドはコーラス以外にも、アルバムラストの疾走ナンバー「Piledriver」でリードボーカルを聴かせてくれます。

楽曲は各メンバーの個が強く打ち出されたものばかり。どの曲を誰がメインで書いたかを考えるだけでも面白いんじゃないでしょうか(基本的に全曲ジャック、トミー、テッドの連名でクレジットされています)。ギタープレイを前面に打ち出しつつも、あくまで楽曲の完成度の高さを大事にしているのはBAD ENGLISHにも通ずるものがありますが、DAMN YANKEESの場合はとにかくフロント3人の色が濃いぶん、主張の強さが曲のいろんなところから感じられるのが面白いところ。それでいてストリングスを取り入れた美しいバラード「High Enough」みたいな曲もあるんだから、興味深い存在です。

基本はオープニングトラック「Coming Of Age」で聴ける、豪快なアメリカンハードロックが軸にあって、そこに「Come Again」のような叙情性の強い曲、「Piledriver」みたいにメタリックなブギー、「Runaway」のように美しいハーモニーが楽しめるアーバンなポップロックが織り交ぜられている。「Mystified」みたいなアメリカ南部のテイストは完全にテッドの持ち味でしょうし、ストレートなハードロック「Rock City」はジャックのテイストな気がするし。でも、ちゃんとひとつのバンドとして、1枚のアルバムにすべて収めることができているんだから、さすがとしか言いようがない。

このバンド、何がすごいって、やっぱりライブなんですよね。だって、「(You Can Still) Rock In America」も「Don't Tell Me You Love Me」も「Renegade」も「Blue Collar Man (Long Nights)」も「Cat Scratch Fever」も「Free-For-All」も聴けるんですから、悪いわけがない。ある意味、アメリカンハードロックの歴史を垣間見れる、貴重な場でもあったわけです。

ちなみに本作は全米13位まで上昇し、200万枚ものセールスを記録。シングルカットされた「High Enough」は全米3位と彼らの代表曲となり、ここ日本でもリーバイスのCMソングとしてオンエアされ話題となりました。

なおこのバンドも例に漏れず、1992年に2ndアルバム『DON'T TREAD』をリリースしてから解散。一時は3rdアルバムを制作するために再集結も計画されましたが、実現に至りませんでした。勿体ない。で、トミーとジャックは一時期SHAW BLADESを組むも、それぞれSTYX、NIGHT RANGERを再結成させ、活動を続けています。



▼DAMN YANKEES『DAMN YANKEES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 02 08 12:00 午前 [1990年の作品, Damn Yankees, Night Ranger] | 固定リンク

2017/01/08

個人的に気になるメタル系職業作家15選

先日KIX『BLOW MY FUSE』を紹介した際、知人が文中に登場したテイラー・ローズやボブ・ハリガンJr.といった職業作家に興味を持ったらしく、「デズモンド・チャイルドやホリー・ナイトあたりは調べたことあるんですが、メタル職業作家の存在すごく気になります」というコメントをいただきました。

実際、80年代後半以降、特にBON JOVIやAEROSMITHの大ヒット以降こういった職業作家の存在はメタル系アーティストにとっても欠かせない存在になっています。90年代に入ると、SCORPIONSやオジー・オズボーンといった大御所ですら採用し始めるわけですからね。それまでバンドの力だけですべてをまかなおうとしていたところ、「もっといい曲を!」というバンド自身の姿勢から積極的に、もしくはレコード会社からの圧力からイヤイヤこういったアクションに行動を移すようになったのかもしれません。

また、職業作家の楽曲をアーティストが取り上げるケースには幾つかのパターンがあり、


①作家が以前発表した楽曲をカバー。
②作家とアーティストが共作(アーティストが書いた楽曲をテコ入れする、あるいは逆のケース)。
③プロデューサーとして制作に加わり、楽曲制作にも携わる。
④作家が書いた新曲をそのまま取り上げる。


の4つが考えられるかと。現在のメタルシーンでは多くの場合②が主流だと思いますが、まれに③で大ヒットを飛ばすケースも見受けられます(AEROSMITHの「I Don't Want To Miss A Thing」など)。

そこで今回は、CDのブックレットでよく目にする作家さんをピックアップしつつ、その中から個人的にピンとくる方々をここで紹介。作家の特性を上記の①〜④で分類し、代表曲な楽曲を紹介していきたいと思います。


<70年代〜>

●ラス・バラード(特性:①②)
この人の場合は楽曲提供というよりも、彼が自身のバンドや他のアーティストに提供した曲をメタル系アーティストがカバーしたことにより、その名が知られるようになったと言ったほうがいいかもしれません。きっかけはグラハム・ボネット期のRAINBOWがカバーした「Since You Been Gone」ですよね。RAINBOWは続くジョー・リン・ターナー期にも「I Surrender」をカバーしてますし。そのRAINBOWの数年前に、当時KISSのエース・フレーリーもラス・バラッド作「New York Groove」をカバーして全米トップ20入りのヒットを記録。KISS自身も90年代に「God Gave Rock And Roll To You」を「God Gave Rock And Roll To You II」と改題してカバーしてますしね。それと今回いろいろ調べて初めて気づいたのですが、NIGHT RANGERが最初の解散前に発表したアルバム『MAN IN MOTION』からのリード曲「I Did It For Love」もラス・バラッド作。加えて、これも全然気にしてなかったんですが、BAD ENGLISHのラストアルバム『BACKLASH』収録曲「So This Is Eden」はジョン・ウェイト(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)との共作曲。時代的に90年代に入ってからの作品なので、世の中的に職業作家との共作が当たり前になった時期にそれまでのカバーとは違った形でのコラボレーションが実現したわけです。

代表作品:ACE FREHLEY「New York Groove」「Into the Night」、BAD ENGLISH「So This Is Eden」、GRAHAM BONNET「Liar」「S.O.S.」、KING KOBRA「Dream On」、KISS「God Gave Rock And Roll To You」、NIGHT RANGER「I Did It For Love」、PETER CRISS「Let Me Rock You」「Some Kinda Hurricane」、RAINBOW「Since You Been Gone」「I Surrender」


●リチャード(リッチー)・スパ(特性:①②④)
AEROSMITH「Chip Away The Stone」の作者として知られる彼は、もともとソングライター兼ギタリストとして活動していたアーティスト。ソロアーティストとして70年代にアルバムも発表しており、この中からジョニー・ウィンターが「Stone County Wanted Man」をカバーしています。また、エアロにはその後も楽曲提供を幾つかしているだけでなく、ジョー・ペリーが脱退した際にはレコーディングにも参加(1979年のアルバム『NIGHT IN THE RUTS』収録の「No Surprize」「Mia」)。それ以外に目立った共演は、元BON JOVIのリッチー・サンボラの2ndソロアルバム『UNDISCOVERD SOUL』での共作ぐらい。メタル系以外では、P!NKやMIKAといったアーティストにも楽曲提供しています。

代表作品:AEROSMITH「Chip Away The Stone」「Lightning Strikes」「Amazing」「Pink」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、RICHIE SAMBRA「Hard Times Come Easy」


<80年代〜>

●ジム・ヴァランス(特性:②)
この人はブライアン・アダムスとの共作者としての印象が強いですが、そのブライアンと一緒に書いた2曲がKISS『CREATURES OF THE NIGHT』に収録されたのが、メタル系との最初の接触でしょうか。その後、80年代半ばにはHEART「What About Love」の全米ヒットを皮切りに、AEROSMITH「Rag Doll」を機にエアロとの仕事が増えていきます。ちょうど80年代後半になると、ブライアンとジムの関係も一時的に疎遠になり、メタルのみならず幅広いジャンルのアーティストと共作を重ねていきます。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」「Eat The Rich」、ALICE COOPER「Die For You」「Lullaby」、HEART「What About Love」、KISS「War Machine」、OZZY OSBOURNE「I Just Want You」、SCORPIONS「Tease Me Please Me」


●デズモンド・チャイルド(特性:②③④)
BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」でのイメージが強い彼ですが、実は70年代末にKISS「I Was Made For Lovin' You」をポール・スタンレー、ヴィニ・ポンシア(KISS作品でのコラボレーションが有名なソングライター)と共作しています。なので、上の世代の方々はBON JOVIがヒットした際に「KISSのラヴィン・ユー・ベイビーの人」と思ったかもしれません。BON JOVIでの大成功後、AEROSMITH、アリス・クーパーから引っ張りだこ。そのすべての楽曲がヒットにつながっています。興味深いところではRATTの5thアルバム『DETONATOR』のプロデュースおよび楽曲制作、DREAM THEATERへの楽曲提供といったものもあります。また、HR/HM以外にもジョーン・ジェット「I Hate Myself for Loving You」、リッキー・マーティン「Livin' la Vida Loca」、ZEDD「Beautiful Now」、WEEZER「Trainwrecks」といったところでも名前をみかけます。

代表作品:AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」「Crazy」、ALICE COOPER「Poison」、BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」「Bad Medecine」、DREAM THEATER「You Not Me」、KISS「I Was Made For Lovin' You」「Heaven's On Fire」、MEAT LOAF「The Monster Is Loose」、RATT「Shame Shame Shame」「Lovin' You's A Dirty Job」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ダイアン・ウォーレン(特性:②④)
カナダ出身の女性ソングライターで、80年代前半から作家としての活動を開始。最初にヒット曲はローラ・ブラニガン「Solitaire」でした。メタル系では80年代後半、HEART「Who Will You Run To」、BON JOVI「Wild Is The Wind」あたりで最初に名前を目にするようになったと記憶しています。が、メタルシーン彼女の名が本当の意味で知られるようになるのは、その10数年後に発表された映画『アルマゲドン』のテーマソングであるAEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」でのこと。このインパクトは強かったと思います。しかし、非メタルシーンではホイットニー・ヒューストン、ビヨンセ、マライア・キャリーといったアーティストへの楽曲提供ですでにキャリアを積んでおり、中でも「Because You Loved Me」をはじめとするセリーヌ・ディオンとのヒットは「I Don't Want To Miss A Thing」と同じくらい大きなものでした。

代表作品:AEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」「We All Fall Down」、ALICE COOPER「Bed Of Nails」、BON JOVI「Wild Is The Wind」「Thank You For Loving Me」、CHEAP TRICK「Ghost Town」「Wherever Would I Be」、HEART「Who Will You Run To」「I Didn't Want To Need You」、KISS「Turn On The Night」、MEAT LOAF「I'd Lie For You (And That's The Truth)」「Not A Dry Eye In The House」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ホーリー・ナイト(特性:②④)
ダイアン・ウォーレンと同時期に名前を目にする機会が増えた、同じく女性ソングライター。そして、自身もシンガーとしての活動をしています。ティナ・ターナーやパット・ベネターといったポップ/ロック系を経て、HR/HM系ではHEART「Never」が最初だったのかな。そこからAEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」でメンバーや他の職業作家と共作を繰り広げます。CHEAP TRICKやKISS、オジー、MEAT LOAFといった面々から想像される、ポップで親しみやすい楽曲作りがメイン。とはいえ、OTEPといったモダンラウド系へも楽曲提供しているから、なかなかあなどれません。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」、CHEAP TRICK「Space」、HEART「Never」「There's The Girl」、KISS「Hide Your Heart」「I Pledge Allegiance To The State Of Rock & Roll」「Raise Your Glasses」、LITA FORD「Stiletto」、LOU GRAMM「Just Between You and Me」、MEAT LOAF「Monstro」「Alive」、OTEP「Perfectly Flawed」「UR A WMN NOW」、OZZY OSBOURNE「Slow Burn」、PAUL STANLEY「It's Not Me」


●ロバート・ジョン・マット・ラング(特性:②③④)
ソングライターというよりもプロデューサーのイメージが強い存在ですよね。古くはAC/DCやFOREIGNER、そしてDEF LEPPARD、90年代にはブライアン・アダムス、2000年代はNICKELBACKやMUSE、さらにはLADY GAGAあたりも手掛けております。主にDEF LEPPARDのメガヒット作『HYSTERIA』において、全曲にクレジットされているところから、曲作りの面においてもある程度コントロールしながらプロデュースしていくタイプなんでしょうね。他にはHEART、LOVERBOYの楽曲制作にも携わっているようです。

代表作品:DEF LEPPARD『HYSTERIA』全曲、「Promises」「It's Only Love」、HEART「All I Wanna Do Is Make Love To You」「Will You Be There (In The Morning)」、LOVERBOY「Lovin' Every Minute Of It」


●ジャック・ポンティ(特性:②③④)
BON JOVIのデビュー作に収録された「Shot Through The Heart」でその名を目にして以降は、BONFIRE、DORO、KEELとB級バンドとの仕事が多いイメージ。90年代に入るとNELSON、アリス・クーパーへの楽曲提供で再びその名を目にするようになります。彼自身はプロデューサー業も行っており、BATON ROUGEやDOROといった正統派からKITTIE、OTEPなどのモダン系まで幅広く手掛けています。

代表作品:ALICE COOPER「Hey Stoopid」「Love's A Loaded Gun」、BABYLON A.D.「The Kid Goes Wild」、BATON ROUGE「The Price Of Love」、BONFIRE「Sweet Obsession」「Hard On Me」、BON JOVI「Shot Through The Heart」、DORO「Eye On You」「Ceremony」、KEEL「Somebody's Waiting」、NELSON「We Always Want What We Can't Get」


●ボブ・ハリガン・Jr.(特性:②④)
自身もシンガーとして活動するソングライター。メタル系アーティストへの楽曲提供がメインで、JUDAS PRIESTのアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』に収録された「(Take These) Chains」で始めてその名を目にした人がほとんどでは? プリーストには次作でも「Some Heads Are Gonna Roll」を提供したほか、ロブ・ハルフォードのHALFORDにも「Twist」を提供しています。また、80年代末にKIX「Don't Close Your Eyes」のヒットによって、さらに知名度を高めることに成功。90年代には自身のソロアルバムも2枚制作しているようです。

代表作品:BLUE OYSTER CULT「Beat 'Em Up」「Make Rock Not War」、BONFIRE「Bang Down The Door」、HALFORD「Twist」、HELIX「Rock You」、ICON「Danger Calling」、「Raise The Hammer」、JUDAS PRIEST「(Take These) Chains」「Some Heads Are Gonna Roll」、KISS「Rise to It」「Read My Body」、KIX「Midnite Dynamite」「Don't Close Your Eyes」


<90年代〜>

●テイラー・ローズ(特性:②④)
88年発売のKIX「Cold Blood」でその名を目にしたのが最初で、本格的に活躍し始めたのは90年代に入ってから、AEROSMITHとのコラボレーションが活発化して以降のこと。「Cryin’」というヒットシングルがひとつのきかっけになったことは間違いありません。

代表作品:AEROSMITH「Cryin'」「Blind Man」「Full Circle」、CHEAP TRICK「Back 'n Blue」、JOURNEY「All The Way」、KIX「Cold Blood」「Hot Wire」、LOVERBOY「Love Will Rise Again」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、TORA TORA「Amnesia」「Faith Healer」、Y&T「Contagious」


●マーク・ハドソン(特性:②③)
シンガーソングライター、TVパーソナリティなどを経て、プロデューサーや職業作家としての道を進み始めます。AEROSMITH「Livin' On The Edge」でその名を広く知らしめ、グラミー賞も受賞しました。エアロとの仕事はアルバム『JUST PUSH PLAY』でスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、次に触れるマーティ・フレデリクセンとのチームで「Boneyard Boys」と名乗り、プロデュースやソングライティングを行いました。他にはアリス・クーパー、オジー・オズボーン、BON JOVI、SCORPIONSと大御所ばかりと共作。他にはリンゴ・スターとのコラボレーションも有名どころです。

代表作品:AEROSMITH「Livin' On The Edge」「Gotta Love It」「The Farm」、ALICE COOPER「Cleansed by Fire」、BON JOVI「Two Story Town」、OZZY OSBOURNE「Ghost Behind My Eyes」「Denial」、SCORPIONS「No Pain No Gain」


●マーティ・フレデリクセン(特性:②③)
AEROSMITHのアルバム『NINE LIVES』で頭角を表して以降、同バンドとのコラボレーションを重ねていきます。上のマーク・ハドソンでも触れたように、スティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、マーク・ハドソンとの4人で「Boneyard Boys」というチームで、続くアルバム『JUST PUSH PLAY』のプロデュースやソングライティングも手掛けました。以降はBUCKCHERRY、MOTLEY CRUE、DAUGHTRYなどへの楽曲提供、DEF LEPPARD『X』のミキシングといったHR/HM系仕事のほか、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルとの共作でも知られています。

代表作品:AEROSMITH「Nine Lives」「Jaded」「Fly Away from Here」「Sunshine」、BUCKCHERRY「Next 2 You」「Sorry」、THE CULT「Breathe」、DAUGHTRY「Crawling Back To You」「Outta My Head」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」「Love Me Bad」、MOTLEY CRUE「Saints of Los Angeles」「Mutherfucker Of The Year」、OZZY OSBOURNE「Dreamer」「That I Never Had」、RICHIE SAMBRA「Who I Am」、SCORPIONS「10 Light Years Away」「We Were Born To Fly」、STEVEN TYLER「(It) Feels So Good」


●グレン・バラッド(特性:②③)
この人は90年代中盤、アラニス・モリセット『JAGGED LITTLE PILL』のプロデュース&楽曲制作で一気に名を馳せることになりますが、それ以前にもソングライターやミュージシャン、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソン、ポーラ・アブドゥル、WILSON PHILLIPSなどの代表作に参加して経験を積んできました。アラニスの成功により、AEROSMITHが1997年のアルバム『NINE LIVES』のプロデューサー兼コラボレーターとして白羽の矢を立てるのですが、その内容に納得できずに制作途中でコラボを解消。結果的には一部の楽曲をケヴィン・シャーリーのプロデュースで再録音したり新たに楽曲を書き足したりして、現在の形にまとまるという、エアロファンには忘れられない事件を引き起こします。以降、HR/HM系アーティストとの共作はほとんどなく、エアロ以前にVAN HALENにデイヴ・リー・ロスが一時復帰した際の新曲に携わった程度でしょうか。本来ならここで取り上げるまでもない存在なのですが、トピック的に面白かったので残してみました。

代表作品:AEROSMITH「Falling in Love (Is Hard on the Knees)」「Taste of India」「Pink」、VAN HALEN「Me Wise Magic」「Can't Get This Stuff No More」


<2000年代〜>

●アンドレアス・カールソン(特性:②)
スウェーデン出身のプロデューサー、ソングライター。現在40代前半と、上記の作家陣と比べると若手の部類に入ります。ということで、彼が活躍し始めたのも2000年前後から。一番の出世作はBACKSTREET BOYS「I Want It That Way」でしょうか。彼はブリトニー・スピアーズやWESTLIFE、NSYNCと当時のアイドルを手がけることが多かったのも特徴です。そういったポップフィールドでの活躍が評価されて、2002年にBON JOVIがアルバム『BOUNCE』で「Everyday」「Misunderstood」など、DEF LEPPARDがアルバム『X』で「Unbelievable」を共作します。同じタイミングにこの2バンドが彼を採用したことで、僕も印象に残っていました。HR/HM系では他にもポール・スタンレーのソロアルバム『LIVE TO WIN』、EUROPEの異色作『LAST LOOK AT EDEN』にも参加しています。

代表作品:BON JOVI「Everyday」「Misunderstood」「All About Lovin' You」、DEF LEPPARD「Unbelievable」、EUROPE「Last Look At Eden」「New Love in Town」、PAUL STANLEY「Live To Win」「Wake Up Screaming」「Bulletproof」


●ジェイムズ・マイケル(特性:②③)
プロデューサーやソングライターとしてより、現在はニッキー・シックス(元MOTLEY CRUE)とのバンド、SIXX: A.M.のフロントマンとして有名かな。さまざまなバンドを経て、2000年にソロデビュー。ちょうどこのころにニッキー・シックスと出会い、MOTLEY CRUEのトミー・リー不在アルバム『NEW TATTOO』にソングライターとして参加します。以降は同じくニッキーが参加したBRIDES OF DESTRUCTION、そしてSIXX: A.M.へと続いていくわけです。他にはPAPA ROACH、HALESTORM、ジェイムズ・ダービンといったモダンなアーティストのほか、SCORPIONS、MEAT LOAFなどの大御所との共演も実現しています。またプロデューサー/エンジニアとしてはHAMMERFALLのアルバムも手掛けています。

代表作品:BRIDES OF DESTRUCTION「Brace Yourself」「Natural Born Killers」、HALESTORM「Private Parts」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」、MEAT LOAF「Couldn't Have Said It Better」「Did I Say That?」、MOTLEY CRUE「New Tattoo」「Sick Love Song」「Saints of Los Angeles」、PAPA ROACH「I Almost Told You That I Loved You」、SCORPIONS「Hour I」、SIXX: A.M.「Life Is Beautiful」「Lies of the Beautiful People」「Gotta Get It Right」


以上、15名を独断と偏見で挙げてみました。やはり80年代中盤、アメリカでHR/HMが大ヒットしたことがメタル系職業作家の繁栄につながったと言って間違いなさそうですね。正直2000年代以降はどういった人たちが主流なのかいまいち調べきれず、こういう形になってしまいました。

改めて思ったのは、BON JOVIやAEROSMITHといった先駆者たち、そしてオジーやSCORPIONSなどの大御所アーティストが新作を出すたびにクレジットに注目しておくのが、一番手っ取り早いなと思いました。

そういう意味でも、この(↓)アルバムは歴史を変えた重要な1枚かもしれませんね。



▼BON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 08 12:00 午後 [Aerosmith, Alice Cooper, Bon Jovi, Buckcherry, Def Leppard, Europe, Heart, Kix, Night Ranger, Ozzy Osbourne, Richie Sambora, Scorpions, Sixx:A.M., Van Halen, 「分析ネタ」] | 固定リンク