2018年12月26日 (水)

2018年総括(番外編):HR/HM、ラウドロック編

隔月の奇数月に「リアルサウンド」さんにて、HR/HMやラウドロックの新譜キュレーション記事を書いているのですが、2018年のまとめ記事となる年間ベスト10紹介エントリー「西廣智一が選ぶ、2018年ラウドロック年間ベスト10 ネガティブな話題の中にも豊作が揃った1年」が12月25日に公開されました。

基本的には順位を付けるのは苦手なのですが、ここでま毎回思い切って1位から10位まで順番をつけて10枚紹介しています。今年に関しては上位3作品に関しては不動なのですが、4位以降は日によって変動があると思うので、セレクトの際に泣く泣く10枚から落とした準候補10枚を加えた20枚を紹介する意味で、SpotifyとApple Musicに記事と同名のプレイリストを作成しました。

改めて、20枚を紹介しておきますね(基本的には順位は付けていませんが、先のリアルサウンドさんで1〜10位と順位付けしているため、便宜上20までナンバリングしておきます)。


01. DEAFHEAVEN『ORDINARY CORRUPT HUMAN LOVE』(レビュー
02. VOIVOD『THE WAKE』(レビュー
03. ALICE IN CHAINS『RAINIER FOG』(レビュー
04. Crystal Lake『HELIX』
05. AZUSA『HEAVY YOKE』(レビュー
06. IHSAHN『ÁMR』(レビュー
07. JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(レビュー
08. SIGH『Heir to Despair』
09. LOVEBITES『CLOCKWORK IMMORTALITY』(レビュー
10. ARCHITECTS『HOLY HELL』(レビュー
11. CORROSION OF CONFORMITY『NO CROSS NO CROWN』(レビュー
12. FEVER 333『MADE AN AMERICA』(レビュー
13. GHOST『PREQUELLE』(レビュー
14. THE STRUTS『YOUNG & DANGEROUS』(レビュー
15. MANTAR『THE MODERN ART OF SETTING ABLAZE』
16. NINE INCH NAILS『BAD WITCH』(レビュー
17. NOTHING『DANCE ON THE BLACKTOP』(レビュー
18. SHINEDOWN『ATTENTION ATTENTION』(レビュー
19. SLEEP『THE SCIENCES』
20. CHTHONIC『BATTLEFIELDS OF ASURA』


最初の10曲が「リアルサウンド」さんで紹介した10枚から。一応順位どおりに楽曲を並べています。で、後半の10曲が選から漏れた10枚から。こちらは基本的には順不同ですが、まあ大体こんな並びかなと。基本的には当サイトで紹介した作品、あるいはキュレーション連載で紹介した作品ばかりですが、個人的にはこういう1年だったのかなとこれを聴いて振り返っているところです。

せっかくなので、この20枚から漏れた「今年よく聴いたHR/HM、ラウドロック系アルバム」も紹介しておきます。こちらはアルファベット順に並べています。


・BEHIMOTH『I LOVED YOU AT YOUR DARKNESS』
・BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(レビュー
・COHEED AND CAMBRIA『THE UNHEAVENLY CREATURES』
・Crossfaith『EX_MACHINA』
・DIMMU BORGIR『EONIAN』(レビュー
・DIR EN GREY『The Insulated World』
・Graupel『Bereavement』
・GRETA VAN FLEET『ANTHEM OF THE PEACEFUL ARMY』(レビュー
・HALESTORM『VICIOUS』(レビュー
・HER NAME IN BLOOD『POWER』
・JONATHAN DAVIS『BLACK LABYRINTH』(レビュー
・LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』(レビュー
・MICHAEL SCHENKER FEST『RESURRECTION』(レビュー
・OBSCURE『DILUVIUM』
・A PERFECT CIRCLE『EAT THE ELEPHANT』
・SAXON『THUNDERBOLT』(レビュー
・SHINNING『X - VARG UTAN FLOCK』
・SKINDRED『BIG TINGS』(レビュー
・SURVIVE『Immortal Warriors』
・THERAPY?『CLEAVE』(レビュー
・U.D.O.『STEELFACTORY』(レビュー
・UNITED『Absurdity』
・VENOM『STORM THE GATES』(レビュー
・陰陽座『覇道明王』

投稿: 2018 12 26 05:14 午前 [2018年の作品, A Perfect Circle, Alice in Chains, Architects, Azusa, Behemoth, Burn The Priest, Chthonic, Coheed and Cambria, Corrosion of Conformity, Crossfaith, Crystal Lake, Deafheaven, Dimmu Borgir, DIR EN GREY, Fever 333, The, Ghost, Graupel, Greta Van Fleet, Halestorm, HER NAME IN BLOOD, Ihsahn, Jonathan Davis, Judas Priest, Loudness, LOVEBITES, Mantar, Michael Schenker Fest, Nine Inch Nails, Nothing, Obscure, Saxon, Shinedown, Shinning, Sigh, Skindred, Sleep, Struts, The, Survive, Therapy?, U.D.O., United, Venom, Voivod, 「1年のまとめ」, 「音楽配信」, 陰陽座] | 固定リンク

2018年10月13日 (土)

NOTHING『DANCE ON THE BLACKTOP』(2018)

2018年8月にリリースされた、NOTHINGの3rdアルバム。前作『TIRED OF TOMORROW』(2016年)のツアー後に脱退した元DEAFHEAVEN、現WHIRRのニック・バセット(B/WHIRRではギタリスト)に代わり、USハードコアバンドJESUS PIECEのフロントマンであるアーロン・ハードが新たに加入、プロデューサーにはジョン・アグネロ(DINOSAUR JR.、SONIC YOUTH、ANDREW W.K.など)を迎え制作された初作品です。

シューゲイザー、ドリームポップ、ニューウェイヴ、90年代のUKロックといった要素をミックスし、現代によみがえらせたそのサウンドは本作でも健在。オープニングを飾る「Zero Day」からして、「これがフィラデルフィアのバンドかよ!」と思わせる陰鬱としたシューゲイザーサウンドを唸らせています。

そこにはグランジをはじめとする90年代初頭のUSオルタナティヴロックはもちろん、DEFTONESなど90年代後半からゼロ年代に勃発したヘヴィロックの香りも感じられ、単なるシューゲイザー/ドリームポップ・フォロワーでは終わらない不思議な質感が備わっています。

ダークでメランコリックな冒頭2曲(「Zero Day」「Blue Line Baby」)があるかと思えば、「You Wind Me Up」のようなモロに90年代前半のUKロック/シューゲイズポップも存在するし、爆音ギターとクリーントーンの対比が豪快ながらもポップさが感じられる「Us/We/Are」や、センチメンタリズムの強い「Hail On Palace Pier」みたいに「これ、本当にアメリカのバンドなの?」と驚かされる楽曲も含まれている。もちろん、その合間には「Plastic Migraine」や「I Hate The Flower」にようにヘヴィさを伴う楽曲が並んでいるのですから……なんというか、本当に気持ち良い。ある一定の年代にとって、ど真ん中に響くアルバムではないでしょうか。

個人的に本作のキモとなっているのが、終盤に配置された8分近くにおよぶ対策「The Carpenter's Son」。初期RIDEのアルバム終盤に入ってそうなスローナンバーは、本当に夢見心地にさせてくれる極上の1曲だと思うんです。大きな山こそないものの、このなだらかに流れていく感じと音響系的なギターの音色やフレージング、すべてがツボなんです。だからこそ、(ボーナストラック除く)ラストに再びメランコリックなロックチューン「(Hope) Is Just Another Word With A Hole In It」があると余計にグッとくるというか。いやあ……完璧。

本作は特に、ギターのエフェクトや音色の作り方が過去イチだと思いますし、実際それをカッコよく活かせる楽曲が揃っていると思います。と同時に、メジャー感も過去2作以上ではないかと。

これが2018年後半にリリースされた新譜かと思うと、90年代リアルタイム通過世代にはおよそ信じられないといいますか……若い世代はもちろんですけど、あの時代に思春期を過ごした大人たちにこそ触れてほしい1枚です。



▼NOTHING『DANCE ON THE BLACKTOP』
(amazon:海外盤CD / MP3

投稿: 2018 10 13 12:00 午前 [2018年の作品, Nothing] | 固定リンク

2018年8月28日 (火)

DEATH OF LOVERS『THE ACROBAT』(2017)

NOTHINGのドミニク・パレルモ(Vo, G)とカイル・キンボール(Dr)が、WHIRRのギタリストだったニック・バセット(のちにNOTHINGに加入し、ベーシストに)らと結成したドリームポップ/ニューウェイブプロジェクトDEATH OF LOVERSの、2017年11月に発売された1stフルアルバム。DEATH OF LOVERSとしては2014年にEP『BURIED UNDER A WORLD OF ROSES』を発表しており、本作はそれ以来の新音源となります。またここ数年の間に、上記の3人に加えキーボーディストの女性メンバー、CC・ルーが加入。本作は4人編成になってから初の音源にもなります。

NOTHING自体がUKロックやシューゲイザーへの憧れをそのまま形にしたものだとしたら、本作はUKニューウェイブやエレポップへの憧れがなんの捻りもなく具現化された1枚と言えるでしょう。だって、オープニングの「Orphans Of The Smog」。これ、JOY DIVISIONやNEW ORDERへの彼らなりのアンサーですよね。もう、笑っちゃうぐらいいベースが……(笑)。

2曲目「Here Lies」を聴くと、脳裏にDEPECHE MODEの影がチラつき、6曲目「Quai d’ Orsay」にはNEW ORDERが再び……。また、4曲目の「The Lowly People」はPULPの代表曲「Common People」へのアンサーだと名言されており、なるほどねと納得させられます(笑)。

シンセのちょっとしたフレージングや音使い、ボーカルのトーン、ギターのメロディやフレーズが、僕らが慣れ親しんできた80〜90年代のそれ。ああ、恥ずかしいったらありゃしない(もちろん良い意味で!/笑)

もうね、なんか笑ってしまうんですよ。リアルタイムであの時代を通過して、さらに後追いで80年代初頭、あるいは70年代末の歴史的価値の高い作品群に触れてきたアラフォー以上のオッさんオバさんたちは、これを聴いたら身体中がむず痒くなるんじゃないでしょうか。それぐらい、ずっとひた隠しにしてきた思い出の恥部を大胆にひけらかされたような気がする、そんな1枚。真面目に聴いてはダメです、半笑いぐらいがちょうどいい。

このドミニク・パレルモという男はどういう経緯でここにたどり着いたのか。本当に不思議でならない。彼はフィラデルフィアの片隅で、ハードコアとともにこういったUKバンドを聴き漁る青春時代を過ごしたってことなんでしょうね。なんだか、DEFTONESのチノ・モレノにも通ずるものがあるなぁ……。

にしても、こんなど直球な新作アルバムを2017〜8年に聴くことになろうとは。なんとも言えない気持ちになりますね(苦笑)。



▼DEATH OF LOVERS『THE ACROBAT』
(amazon:海外盤CD / MP3

投稿: 2018 08 28 12:00 午前 [2017年の作品, Death of Lovers, Nothing] | 固定リンク

2018年8月27日 (月)

NOTHING『TIRED OF TOMORROW』(2016)

2016年5月発売の、アメリカのシューゲイザー/ドリームポップバンドNOTHINGによる2ndアルバム。本作には元DEAFHEAVEN、WHIRRのニック・バセット(B/WHIRRではギタリスト)が参加しています(のちに脱退)。

このバンドの面白いところは、アメリカのバンドなのにUKシューゲイザーやブリットポップの影響下にあるサウンドをベースにしているところ。しかも、そういったサウンドを主軸にしているのに、アメリカのハードコア/メタルコア専門レーベルのRelapse Recordsに所属しているとうことでしょう。メタルレーベル所属のシューゲイザーバンドというと、ブラックゲイズやスクリーモといったスタイルが脳内で再生されますが、このNOTHINGはボーカルの気怠さや耽美な音作りはおもっくそUKバンドのソレなんです。

もともとはCONVERGE周りのハードコア界隈にいたドミニク・パレルモ(Vo, G)ですが、傷害事件を起こして2年間刑務所へ。出所後にこのNOTHINGを結成しています。この2年の間に彼の中でどんな変化があったのかはわかりませんが、まあ何か閃いちゃったのか悟っちゃったのか。激しさの中にも甘美さや耽美さを秘めた、それまでの世界観とは異なる“あっち側”に到達しちゃったわけです。

僕は前作『GUILTY OF EVERYTHING』(2014年)でこのバンドのことを知ったのですが、続く本作はよりポップさや温かみが増しており、シューゲイザーバンドにありがちなヒンヤリ感は減ったかな。

また、単にRIDEマイブラのようなカラーを取り入れるだけでなく、アメリカのバンドらしく90年代のオルタナティヴロック(グランジ含む)のテイストも至るところに含まれており、その両要素が融合することでオリジナリティを確立させようとしている。そんな印象を受ける1枚かなと思います。

特にこのバンドは、1曲がそんなに長くないのが他の同系統バンドとは異なる点ではないでしょうか。本編ラストのタイトルトラック「Tired Of Tomorrow」こそ6分半の大作ですが(ピアノとストリングスをフィーチャーした名曲!)、そのほかは3〜4分台の楽曲がメイン。そこが大作志向のDEAFHEAVENなどと異なり、しっかり差を出せているのかなと。

Relapse Records所属バンドということで、一部のリスナーから敬遠されそうな気がしないでもないですが、食わず嫌いせずにぜひ一度トライしてみては。ちなみに彼ら、待望の3rdアルバム『DANCE ON THE BLACKTOP』を先日リリースしたばかり。より濃度が高まったこの力作についても、後日触れてみようと考えているところです。



▼NOTHING『TIRED OF TOMORROW』
(amazon:海外盤CD / MP3

投稿: 2018 08 27 12:00 午前 [2016年の作品, Nothing] | 固定リンク