2018年8月28日 (火)

DEATH OF LOVERS『THE ACROBAT』(2017)

NOTHINGのドミニク・パレルモ(Vo, G)とカイル・キンボール(Dr)が、WHIRRのギタリストだったニック・バセット(のちにNOTHINGに加入し、ベーシストに)らと結成したドリームポップ/ニューウェイブプロジェクトDEATH OF LOVERSの、2017年11月に発売された1stフルアルバム。DEATH OF LOVERSとしては2014年にEP『BURIED UNDER A WORLD OF ROSES』を発表しており、本作はそれ以来の新音源となります。またここ数年の間に、上記の3人に加えキーボーディストの女性メンバー、CC・ルーが加入。本作は4人編成になってから初の音源にもなります。

NOTHING自体がUKロックやシューゲイザーへの憧れをそのまま形にしたものだとしたら、本作はUKニューウェイブやエレポップへの憧れがなんの捻りもなく具現化された1枚と言えるでしょう。だって、オープニングの「Orphans Of The Smog」。これ、JOY DIVISIONやNEW ORDERへの彼らなりのアンサーですよね。もう、笑っちゃうぐらいいベースが……(笑)。

2曲目「Here Lies」を聴くと、脳裏にDEPECHE MODEの影がチラつき、6曲目「Quai d’ Orsay」にはNEW ORDERが再び……。また、4曲目の「The Lowly People」はPULPの代表曲「Common People」へのアンサーだと名言されており、なるほどねと納得させられます(笑)。

シンセのちょっとしたフレージングや音使い、ボーカルのトーン、ギターのメロディやフレーズが、僕らが慣れ親しんできた80〜90年代のそれ。ああ、恥ずかしいったらありゃしない(もちろん良い意味で!/笑)

もうね、なんか笑ってしまうんですよ。リアルタイムであの時代を通過して、さらに後追いで80年代初頭、あるいは70年代末の歴史的価値の高い作品群に触れてきたアラフォー以上のオッさんオバさんたちは、これを聴いたら身体中がむず痒くなるんじゃないでしょうか。それぐらい、ずっとひた隠しにしてきた思い出の恥部を大胆にひけらかされたような気がする、そんな1枚。真面目に聴いてはダメです、半笑いぐらいがちょうどいい。

このドミニク・パレルモという男はどういう経緯でここにたどり着いたのか。本当に不思議でならない。彼はフィラデルフィアの片隅で、ハードコアとともにこういったUKバンドを聴き漁る青春時代を過ごしたってことなんでしょうね。なんだか、DEFTONESのチノ・モレノにも通ずるものがあるなぁ……。

にしても、こんなど直球な新作アルバムを2017〜8年に聴くことになろうとは。なんとも言えない気持ちになりますね(苦笑)。



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投稿: 2018 08 28 12:00 午前 [2017年の作品, Death of Lovers, Nothing] | 固定リンク

2018年8月27日 (月)

NOTHING『TIRED OF TOMORROW』(2016)

2016年5月発売の、アメリカのシューゲイザー/ドリームポップバンドNOTHINGによる2ndアルバム。本作には元DEAFHEAVEN、WHIRRのニック・バセット(B/WHIRRではギタリスト)が参加しています(のちに脱退)。

このバンドの面白いところは、アメリカのバンドなのにUKシューゲイザーやブリットポップの影響下にあるサウンドをベースにしているところ。しかも、そういったサウンドを主軸にしているのに、アメリカのハードコア/メタルコア専門レーベルのRelapse Recordsに所属しているとうことでしょう。メタルレーベル所属のシューゲイザーバンドというと、ブラックゲイズやスクリーモといったスタイルが脳内で再生されますが、このNOTHINGはボーカルの気怠さや耽美な音作りはおもっくそUKバンドのソレなんです。

もともとはCONVERGE周りのハードコア界隈にいたドミニク・パレルモ(Vo, G)ですが、傷害事件を起こして2年間刑務所へ。出所後にこのNOTHINGを結成しています。この2年の間に彼の中でどんな変化があったのかはわかりませんが、まあ何か閃いちゃったのか悟っちゃったのか。激しさの中にも甘美さや耽美さを秘めた、それまでの世界観とは異なる“あっち側”に到達しちゃったわけです。

僕は前作『GUILTY OF EVERYTHING』(2014年)でこのバンドのことを知ったのですが、続く本作はよりポップさや温かみが増しており、シューゲイザーバンドにありがちなヒンヤリ感は減ったかな。

また、単にRIDEマイブラのようなカラーを取り入れるだけでなく、アメリカのバンドらしく90年代のオルタナティヴロック(グランジ含む)のテイストも至るところに含まれており、その両要素が融合することでオリジナリティを確立させようとしている。そんな印象を受ける1枚かなと思います。

特にこのバンドは、1曲がそんなに長くないのが他の同系統バンドとは異なる点ではないでしょうか。本編ラストのタイトルトラック「Tired Of Tomorrow」こそ6分半の大作ですが(ピアノとストリングスをフィーチャーした名曲!)、そのほかは3〜4分台の楽曲がメイン。そこが大作志向のDEAFHEAVENなどと異なり、しっかり差を出せているのかなと。

Relapse Records所属バンドということで、一部のリスナーから敬遠されそうな気がしないでもないですが、食わず嫌いせずにぜひ一度トライしてみては。ちなみに彼ら、待望の3rdアルバム『DANCE ON THE BLACKTOP』を先日リリースしたばかり。より濃度が高まったこの力作についても、後日触れてみようと考えているところです。



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投稿: 2018 08 27 12:00 午前 [2016年の作品, Nothing] | 固定リンク