2017/08/21

OASIS『BE HERE NOW』(1997)

1997年8月21日に世界同時リリースされた、OASIS通算3作目のオリジナルアルバム。前作『(WHAT'S THE STORY) MORNING GLORY?』(1995年)が本国イギリスのみならず、アメリカでも大ヒット。これを受けて制作された本作もイギリスで1位、アメリカでも2位という好成績を残しています。全世界待望の新作は、ここ日本でもバカ売れ。当初こそ前作を超えるセールスを記録しましたが、実際のアルバムは前作のメガヒットに対するプレッシャーが見え隠れする、非常に“Too Much”な1枚なのでした。

なにせ本作は、全12トラックで71分という超大作。先行シングル「D'You Know What I Mean?」は大ヒット曲「Wonderwall」に似たコード進行のミディアムヘヴィナンバーなのですが、これが約8分という長尺曲。ちなみにこの曲が本アルバムのオープニングトラックなのですから、初めて聴いたときはちょっと面食らってしまうわけです。

かと思うと、続く「My Big Mouth」は攻撃的なハードロックだし、ノエルが歌う「Magic Pie」はサイケデリックなミディアムナンバー(この曲も7分超え)だし。メガヒットした前作とは傾向が異なると同様していると、4曲目にいかにもOASISらしいメジャーバラード「Stand By Me」(約6分)が登場して、若干安心するという。

その後も5〜6分と若干長めの曲がずらりと並び、ジョニー・デップがスライドギターでゲスト参加したヘヴィブルース「Fade In-Out」、1stアルバム『DEFINITELY MABYE』(1994年)収録の「Slide Away」にも匹敵する泣きのバラード「Don't Go Away」、軽快というよりも能天気なタイトルトラック「Be Here Now」、OASIS版「All You Need Is Love」+「Hey Jude」な9分超の大作「All Around The World」(アルバムラストのリプライズを付け加えれば11分超え)など、1曲1曲を取り上げれば魅力的な楽曲が多いのですが……とにかく全体的に長すぎて、1曲目からラストまで通して聴こうという気になかなかなれないのが難点。最初から「アナログでいうところの2枚組」アルバムと納得ずくで聴けばいいのかもしれないけど、にしても……1曲が長いからなぁ。

というわけで、リリース当時は最初こそ「OASISの新作!」と喜んで何度も聴き返しましたが、半年もすれば自然と手が伸びなくなったのは言うまでもありません。

で、あれから20年経った今。現在来日中のリアム・ギャラガーは自身のライブで本作から「D'You Know What I Mean?」と「Be Here Now」の2曲を取り上げているんです。非常に謎な選曲ですが、リリース20周年って意味合いもあるんでしょうか。本当に謎すぎます。

それで、久しぶりに聴き返した本作。1曲の中にあれこれ詰め込もうとした結果、どんどん長くなっていったということなんでしょうね。その諦めの悪さがよろしくない方向に作用してしまった惜しいアルバムだなと、再認識しました。

が、先に書いたように曲単位では印象的なものも多いので、このタイミングにじっくり聴き込んでみるのもいいかもしれませんね。

なお、本作は昨年リマスタリング&3枚組仕様で再発されています。本編がただでさえ長いのに、ボーナスディスク2枚て……まぁこちらはマニア向けってことで(ただ、「Stay Young」などシングルカップリング曲に魅力的なナンバーも多いので、気が向いたらチェックしてみるとよいかも)。



▼OASIS『BE HERE NOW』
(amazon:国内盤CD / 国内盤リマスターCD / 国内盤リマスター3CD / 海外盤CD / 海外盤リマスターCD / 海外盤リマスター3CD / MP3

投稿: 2017 08 21 12:00 午前 [1997年の作品, Oasis] | 固定リンク

2016/01/10

祝ご成人(1995年4月〜1996年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。昨年度に初めて実施したこの企画、今回も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1995年4月〜1996年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

並びはすべてアルファベット順です。(2015年の新成人編はこちら


Alice in Chains『Alice in Chains』(Amazon

Ben Folds Five『Ben Folds Five』(Amazon

Björk『Post』(Amazon

Blur『The Great Escape』(Amazon

Bon Jovi『These Days』(Amazon

The Chemical Brothers『Exit Planet Dust』(Amazon

Fear Factory『Demanufacture』(Amazon

Foo Fighters『Foo Fighters』(Amazon

The Fugees『The Score』(Amazon

Garbage『Garbage』(Amazon

King Crimson『Thrak』(Amazon

Oasis『(What's the Story) Morning Glory?』(Amazon

Pulp『Different Class』(Amazon

Queen『Made in Heaven』(Amazon

Red Hot Chili Peppers『One Hot Minute』(Amazon

Reef『Replenish』(Amazon

Sepultura『Roots』(Amazon

The Smashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(Amazon

Teenage Fanclub『Grand Prix』(Amazon

The Wildhearts『P.H.U.Q.』(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下ざっと候補を羅列します。

Alanis Morissette『Jagged Little Pill』
Anthrax『Stomp 442』
The Beatles『Anthology 1』
The Boo Radleys『Wake Up!』
Bruce Springsteen『The Ghost of Tom Joad』
The Charlatans『The Charlatans』
D'Angelo『Brown Sugar』
David Bowie『Outside』
In Flames『The Jester Race』
Michael Jackson『HIStory: Past, Present and Future, Book I』
Nine Inch Nails『Further Down the Spiral』
Ozzy Osbourne『Ozzmosis』
Paul Weller『Stanley Road』
The Rentals『Return of the Rentals』
Ron Sexsmith『Ron Sexsmith』
Sonic Youth『Washing Machine』
Supergrass『I Should Coco』
Terence Trent D'Arby『Terence Trent D'Arby's Vibrator*』
Terrorvision『Regular Urban Survivors』
Underworld『Second Toughest in the Infants』
White Zombie『Astro-Creep: 2000』

こうやって振り返ると、1995年から1996年初頭ってブリットポップの最盛期だったんですね。1995年3月にはElasticaやGeneのアルバムも発表されてるし、1996年後半になるとKula Shakerの1stもリリースされますし。やっぱり1995年夏のBlur vs Oasisの直接対決がピークでしたね、いろんな意味で。

あ、Underworldをあえて選外にしたのは、日本盤のリリースが1996年6月だったから。海外では3月発売ですが、その後の「Born Slippy」のヒットなど含めて考えると、このアルバムは1996年から1997年の作品かなと思いまして。来年はマストかな。

メタルの世界はグランジがひと段落したものの、ポストグランジ的サウンドのバンドが増えつつあり、前年からのMotley Crue、Dokkenの失敗など、あまり芳しくない状況でした。そんな中、1994年のKornデビューを機にグルーヴ感のあるヘヴィロックが台頭し始めます。前年デビューのMachine Headもその1つですね。Sepulturaは前作『Chaos A.D.』でのシフトチェンジから、ブラジル音楽のルーツを取り入れた傑作『Roots』で活動のピークを迎えるのも、1996年初頭のお話。Fear Factoryのようなデジタル要素を取り入れたヘヴィバンドも人気を集め始めたのも印象に残ってます。同時期に国内ではTHE MAD CAPSULE MARKETSが『4 PLUGS』をリリースしたのも、海外の動きとリンクしていて興味深いです。

ちなみに日本国内ではこの頃、ブルーハーツの解散(6月)やUP-BEATの解散(8月)、光GENJI(光GENJI SUPER5)の“卒業”(9月)、Winkの活動停止(96年3月)といった出来事がありました。いわゆるTKサウンドがチャートを席巻し、MY LITTLE LOVERやglobeがデビューしたのもこの頃でした。

投稿: 2016 01 10 12:00 午前 [1995年の作品, 1996年の作品, Alice in Chains, Ben Folds, Björk, Blur, Bon Jovi, Chemical Brothers, The, Fear Factory, Foo Fighters, Fugees, The, Garbage, King Crimson, Oasis, Pulp, Queen, Red Hot Chili Peppers, Reef, Sepultura, Smashing Pumpkins, Teenage Fanclub, Wildhearts, The, 「20年前」] | 固定リンク

2015/01/13

祝ご成人(1994年4月〜1995年3月発売の洋楽アルバム20枚) ※改訂版

新成人の皆さん、おめでとうございます。というわけで今回は、新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1994年4月〜1995年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

あ、並びはすべてアルファベット順です。

Beastie Boys「Ill Communication」(Amazon

Blur「Parklife」(Amazon

Dinosaur Jr.「Without a Sound」(Amazon

Helmet「Betty」(Amazon

Jeff Buckley「Grace」(Amazon

Korn「Korn」(Amazon

Machine Head「Burn My Eyes」(Amazon

Madonna「Bedtime Stories」(Amazon

Manic Street Preachers「The Holy Bible」(Amazon

Nine Inch Nails「The Downward Spiral」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Oasis「Definitely Maybe」(Amazon

Pearl Jam「Vitalogy」(Amazon

Pink Floyd「The Division Bell」(Amazon / 日本盤1994年4月発売)

Portishead「Dummy」(Amazon

The Prodigy「Music for the Jilted Generation」(Amazon

R.E.M.「Monster」(Amazon

Radiohead「The Bends」(Amazon

Slayer「Divine Intervention」(Amazon

Suede「Dog Man Star」(Amazon

Weezer「Weezer (The Blue Album)」(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。それこそThe Beatlesの「Live at the BBC」、The Rolling Stones「Voodoo Lounge」、Nirvana「MTV Unplugged in New York」、The Stone Roses「Second Coming」といったものから、Marilyn Mansonのデビュー作「Portrait of an American Family」、Sloan「Twice Removed」、Sick of It All「Scratch the Surface」、The The「Hanky Panky」、Bonston「Walk On」、TLC「CrazySexyCool」、Van Halen「Balance」、Beck「Mellow Gold」あたりまで。カート・コバーンが亡くなって20年なんですね。そう考えると20年なんてあっという間ですよ、本当に。

※1/13 17:40加筆修正
Nine Inch Nails「The Downward Spiral」という個人的に絶対に欠かせないアルバムの存在を思い出させてくれたいっしーさんに感謝。というわけで、セレクトを一部改訂しております。

投稿: 2015 01 13 12:06 午前 [1994年の作品, 1995年の作品, Beastie Boys, Blur, Dinosaur Jr., Helmet, Jeff Buckley, Korn, Machine Head, Madonna, Manic Street Preachers, Nine Inch Nails, Oasis, Pearl Jam, Pink Floyd, Portishead, Prodigy, The, R.E.M., Radiohead, Slayer, Suede, Weezer, 「20年前」] | 固定リンク

2002/05/05

OASIS『THE HINDU TIMES (EP)』(2002)

新曲としては2000年夏の「SUNDAY MORNING CALL」以来ということになるのかな? もっとも俺はあのアルバム(「STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS」)からのシングルは1枚たりとも買っていないので、個人的にはそのアルバム以来、まるまる2年振りの新曲っていう捉え方をしてます。ちなみに、それ以前‥‥「BE HERE NOW」までの関連シングルは全部買ってましたよ。それは純粋に、シングルのカップリングにはアルバムに入ってる以上の名曲が入ってる確立が高いから。その好例が、'98年リリースのBサイド集「THE MASTERPLAN」だと思ってます(実際、OASISではファーストの次に好きなアルバムで、今ではセカンド以上に聴く頻度が高いです)。

さて、そんなOASISだけど、前作に伴う一連のシングルでのカップリング曲って特に印象に残ってないんですよね‥‥レコード屋で視聴した限りでは。絶対に買おう!って思わせる程のパワーを持ってないのと同時に、どうもノエル・ギャラガーの独断場(ノエルがボーカルの曲が多かったし)ってイメージが強くて。いや、ノエルの歌は嫌いじゃないんだけど、やっぱり俺にとってのOASISはリアムの「声」だから。だって、何のアナウンスもなしにラジオで流れてきた今回の新曲"The Hindu Times"にしても、すぐに彼等の新曲だって判ったし(確か前作からの先行シングル"Go Let It Out!"の時もそうだったよな)。今の俺が明らかに惰性でOASISの同行を追ってるのは確かだけど、けどそれだってリアムが唄ってるから未だに続けてるという。リアムのソロは聴きたいと思うけど、正直俺はノエルのソロアルバムってそんなに惹かれないなぁ‥‥多分。曲を書いてるのはノエルだけどさ(ここらへんは恐らく、最初にOASISというバンドに惹かれた切っ掛けが音楽ではなく、リアムの行動や佇まいだったことに起因すると思う)。

っていきなりネガティブなことばかり書くのもなんですが(苦笑)、そんな感じで今度のシングルにも向かっていったわけです。ただ、今回は珍しく買ってまで聴こうって気になりまして。単純にアルバムがまだ先(予定では7月)ってのもあってのことなんですけどね。それに思ってた以上に悪い曲だとも思わなかったし、タイトルトラック。ただ、大騒ぎするような曲でもないかな、と。正直、曲のインパクトでいえば前作からの"Go Let It Out!"の方が大きかったなぁ。それに前作からだと、一番最初に聴いた曲が"Fuckin' In The Bushes"ってのもインパクト大だったからなぁ(発売2ヶ月近く前に、某クラブで何のアナウンスもなしに、このツェッペリンばりのヘヴィーロックを聴かされたら‥‥ねぇ?)。そういう観点からすれば、ごく普通のロックンロールナンバーだな、と。いや、それでも他の平凡なUKロックバンドと比べれば遙かにレベルの高い、ポップで親しみやすくて、それでいてロック然としたカッコイイ曲なのですが。個人的な趣味からすれば、シングル向きって感じじゃないような‥‥やっぱりこれまでのOASISを考えると、サビでドカンと一発!ってイメージがあるんで。そういう意味では新機軸!?って捉えることもできるけど‥‥これ、やっぱりノエルの曲だしね。恐らくそこまでは何も考えてないんでしょう(多分、一番最初に出来た曲だから最初のシングル、程度でしょうね? 実際、昨年秋の結成10周年ライヴでも既に演奏されていたっていうし)。

で、問題は残りのカップリング曲ふたつなんですが‥‥これが予想通りの、ノエルがボーカルをとるバラードナンバーでして‥‥正直なところ、そんなもんを今のOASISに求めてないんですよ、俺は。ゲムとアンディ・ベルを向かえた新体制での1発目のアルバムなのに‥‥もっとこう、すっげー爆発力のある、揺るぎない力強さをここでまず誇示して欲しかったんですけどねぇ‥‥いや、両方とも悪い曲じゃないんですよ。特に2曲目"Just Getting Older"はアルバムに入っていてもおかしくない、優れたナンバーなんですが‥‥逆に「今度のアルバムにはノエルが唄う曲は1曲も入ってません。第二のデビュー盤ですから(「DEFINITELY MAYBE」がそうであったように)」っていう意志が働いてのことだったらいいのですが、そうも考えられないし‥‥久し振りに全曲リアムが唄うシングルってのも聴いてみたいんだけどねぇ‥‥

‥‥と不満をタラタラと書き綴ってしまいましたが、結局のところはアルバムを聴いてみないと最終判断は下せないと思うんです。だから、過度に期待し過ぎずに7月を待とうと思ってます。ちなみに俺はここ1年くらい、セカンド「MORNING GLORY」は聴いてません。よく聴くとすればファーストとBサイド集、そして意外にも「BE HERE NOW」と前作なんですよね。雑誌が「ノエルが失敗作と言ったから駄作」「売れなかったから失敗作」という捉え方を次の新作が出る度にするけど、俺は全然そんなこと思ってもないわけで。そういう意味で次のアルバムも楽しみにしてるんですよ。



▼OASIS『THE HINDU TIMES (EP)』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2002 05 05 12:00 午前 [2002年の作品, Oasis] | 固定リンク

2001/08/08

「FUJI ROCK FESTIVAL '01」DAY 1@苗場スキー場(2001年7月27日)

◎JOEY RAMONE TRIBUTE (at GREEN STAGE / 10:30~11:00)

  「ライブ開始30分前に、先頃亡くなったジョーイ・ラモーンの追悼式を、フジロックのやり方でやる」とスマッシュの日高社長(大将)が言っていたので、RAMONES好きだし前行って観てみようと思い、出来るだけ前の方へ。

  まずMCのふたりがしゃべり、その後大型スクリーンを観てほしいと言って引っ込む。すると、聴き覚えのある、あの音楽が。映画「荒野のガンマン」の有名がタイトルナンバーが。ご存じの方も多いと思うが、これこそRAMONESのライブには欠かせない1曲なのである(METALLICAもRAMONESの真似をして、この曲使ってたっけ)。スクリーンには、ジョーイが元気だった頃の姿、RAMONESのライブシーンをコラージュ的にフューチャーしたものだった。と同時に、天井から懐かしのRAMONESのロゴが入った垂れ幕が。これ、本物?

  曲が終わり、拍手。そして大将が現れ、挨拶。ステージ袖から、これまでRAMONESのイラスト・デザインを手掛けてきた人が登場し、挨拶。残りのRAMONESメンバーから預かってきたという手紙を読む。続いて大将がそれを日本語に訳す。ここで先の垂れ幕が本当にライブに使っていたもので、現在「ROCK'N'ROLL HALL OF FAME」に寄与されていたのを借りてきたそうだ、これだけのために。

  続いてツアーマネージャー、そして同じニューヨーカーのパティ・スミス・バンドのギタリスト、レニー・ケイも登場し、それぞれメッセージを観客に伝える。ツアマネはジョーイの母親と弟からの手紙も持参し、読み上げる(全員のメッセージを大将はその場で日本語に訳して伝える)。

  これらのコメントを聞いて、如何にジョーイが日本を、日本食を、日本人を愛していたかが伝わってきたし、単純に感動した。そして大将は最後に「湿っぽく送るのはフジロックらしくない。フジらしいやり方でジョーイを送り出してやろう」と言って、ステージに1本のマイクスタンドが運ばれる。やけに身長が高い人用だなぁと思っていると、流れてきたのは「Blitzkrieg Bop」。スクリーンには再びRAMONES時代のジョーイの姿とライブシーン。曲に合わせて大暴れする俺。当然「HEY, HO, LET'S GO!」のかけ声と共に。RAMONESは1992年だったか1993年だったかに一度観ただけだが、バンドで何度もカバーした経験があるので、それなりに思い入れがある。というより、パンク好きな人でRAMONES嫌いな人っているの? 苗場に来たからには、この曲で暴れるのは義務なのだ。


◎KEMURI (at GREEN STAGE / 11:00~11:50)

  やっぱりフジに来たからには、一番デカいグリーンステージでスタートしなくちゃ。今年は3日間共、日本の「パワーバンド」でスタートする、という話を事前に聞いていた。初日はKEMURIだ。スタートする前に、ボーカルが「再び今日、フジロックに出演でき、さらにこんなに大きな舞台のトップバッターをやらせてもらえることに感謝する」というような喜びと感謝の言葉の述べてから、いよいよ「PMA (Positive Mental Attitude)」という、KEMURIの姿勢を代弁する曲からスタート。のっけからモッシュ&だいぶの嵐。俺もその中に巻き込まれる。笑顔でやんの、俺。ギターのザクザク感も、ブラスの音色も気持ち良すぎ。

  途中、レゲエ調のインストを挟んでヒートアップした観客をクールダウンさせてから、再び代表曲の連発。秋に出る4作目のアルバムからもいち早く2曲を披露。特に目新しい要素は皆無だが、このバンドは変わらずにこのままのスタイル/姿勢で続けて欲しいと思う。そして願わくば、来年もこの大自然の中で感じたい音楽だと素直に思った。正直、こんなに惹かれるとは思いもしなかった。これは大きな収穫だった。


◎EGO-WRAPPIN' (at WHITE STAGE / 14:20~15:00)

  ホワイトステージは2年前とあまり変わっていなかった。あれ、前はスクリーンとかなかったっけ? 客も一昨年とは大違いで、結構入ってる。真ん中よりちょと前あたりで、最初は様子を伺う。印象としては、ジャズやブルーズ、ロック色が濃いジャズやブルーズといった感じ。もし今ビリー・ホリディが音楽をやっていたら、きっとこんな音を出すんじゃなかろうかっていうイメージの音。けどジャズロックとかブルーズロックとか、そういうのともちょっと違う。独特な「色」を持ったユニットだと思った。

  とにかく、踊ってナンボの音楽。日中の炎天下の中で聴くタイプの音楽だとは思わないが、最後まで気持ちよく踊らせてもらった。ボーカルの歌声が気持ちよく伸び、心に響く。その上手さに唸りながら、連鎖するように前へ前へと進んでいき、踊り狂っう自分。お洒落だとかクールだとか、彼らをそういう上品な言葉で表現することは簡単だ。けど、自分にはもっとどぎつい「黒さ」のようなものが感じられた。それは音楽的要素としての「黒さ」ではなく、もっと人間の暗部、決してネガな音楽をやっているわけではないのだが、何故かそういうものを感じてしまう。これは家でCD聴くよりも、クラブや小さい小屋でライブを楽しむ音楽だな。


◎くるり (at FIELD OF HEAVEN / 14:20~15:20)

  昨年のフジロックでは、ここFOHで奥田民生が演奏した際にやはり規制がかかる程人が入ったそうだ。「あのFOHが人でごった返してるって?」と半信半疑だったが、この時くるりを観に足を運んで、それがどういう意味なのかがよく判った。本当に後ろまで人でビッシリなのだ。

  俺が着いた時点でエンディング近くだったようで、すでに「ばらの花」がスタートしていた。この1曲が聴けただけでもよかった。昨年のサマソニにも出演してるが、そのときとは状況が変わってきている。すでに彼らはホワイトやグリーンでも何ら問題のない存在なのだ。

  ステージにはサポートのギタリストを入れた4人。「ばらの花」の後は、この日の為に作ったという「変な曲」(岸田・談)を披露。不協和音や怪しいコーラスが入る、殆どインストと言っていい曲。一応歌っているのだけど、歌詞らしい歌詞はなく、うめき声というか何というか……おふざけソングですな、これ。途中でフロント3人が同じアクションを取って踊ったりして、そしていきなりプツリと曲は終了し、くるりのステージも終了。


◎ミラクルヤング (at FIELD OF HEAVEN / 16:00~17:00)

  ボーカルは元INU、現在作家として活躍中の町田康(元・町田町蔵)、ギターにシアター・ブルックの佐藤タイジ、ベースが現在清志郎のラフィータフィーでも活躍中の藤井裕。このメンツでしびれた人、或いは「町蔵は何をやるつもりなんだ?」といった興味本位でここまで来た人。当日のFOHはこの2タイプの方々で埋め尽くされるはずだった。が、実際にはさっきのくるりでの規制がウソのような閑散振り。裏はグリーンでASIAN DUB FOUNDATION~TRAVISだもん。そりゃそっちに行くわ。

  ドラムとベース、そしてギターが登場して、軽くジャムセッション。カッコイイ! どこからが本番でどこまでがサウンドチェックなのか判らないくらい自然にスタートした。そして町田がアコギを首からぶら下げて登場。「ア~アァアァア~」っていう‥‥何だっけ、ほら、よく耳にする‥‥学校の音楽の授業とかでもやるクラシカル曲‥‥超有名な曲なのに、タイトルど忘れ。とにかくその曲をアレンジして、メロディーラインをア~だけで歌い通す町田。バックの演奏がフュージョン+ハードロックって感じで、ちょっとCHARあたりを彷彿とさせる。けどあそこまでジャジー&ブルージーでもないんだけど。ちょっとアレンジのせいで、ふとRAINBOW版「Somewhere Over The Rainbow」を思い出したのは、俺だけだろうか?

  前半はタイジの魅せ場満載で、町田の影が薄かった。タイジ、チョーキング一発決めれば右手を天に向け仰け反るし。ちょっとリッチー・ブラックモアと印象が被った。ギターヒーローらしいギターヒーローを久し振りに観た感じ。当人は本家であるシアター・ブルックでは歌も歌ってるわけだから、普段はここまで動けないはず。つうことは、フロントマンとして鬱積してたものが多少なりあったってことか。

  曲もリフ主体の70年代的ハードロック。ギターリフに合わせてベースもリフをユニゾンで弾いたり、またバトルしちゃったり。ジミヘンとかツェッペリンみたい。しかも1曲が長い(必ず中盤にジャムセッション風のソロパートが入る)。こういう古くさいハードロックが町田の歌に合っていたのかは最初、疑問を感じていたが。

  MCは完全にタイジの役目。町蔵ぅ~って歓声が湧くと、それにちゃんと受け答えする町田。「黒って何だぁ~?」っていう、例のCMを意識した声が挙がると、たまらずタイジも「うちのボーカルは、怒らせたら怖いぜぇ~」と一言。この後あたりからだろうか、町田もエンジンがかかり始めたのは。

  町田は終始マイペースで、歌い方自体は最近の唱法なのだけど、やっぱり存在感ある人ってのは、そこに立ってるだけで違う。もうステージの上にいるだけでいい。オーラっつうか、そういうのをひしひしと感じる。で、それに対して大袈裟すぎるくらいのアクションで受け答えするタイジ。一見対照的だが、このバランス感がバンドには必要なのだ。

  最後にはノリノリで終了したミラクルヤング。音源が発表されていないため、1曲も知ってる曲はなかったが、それでも十二分に楽しめた。大物ミュージシャンが組んだ「スーパーユニット」というイメージが観る前はあったが、あれを観た後なら誰もが「これはバンドなんだ」と断言できるはず。


◎MANIC STREET PREACHERS (at GREEN STAGE / 19:10~20:30)

  以前から「フェスでマニックスを観たい!」と言い続けてきた俺だが、その願望が遂に実現する日が来た。しかも、大好きなフジロック、苗場の一番大きなステージで。さらにOASISの前座ときた。こりゃ観客もマニックス側も盛り上がらないわけがない。どうOASISを「食う」のか‥‥その1点だけがずっと気になっていた。

  無機質なインダストリアル系っぽいSEに合わせてメンバーが登場し、ジェームズがいつもの挨拶をした後に1曲目のタイトルをコールする。今回のツアー同様、「Found That Soul」からスタート。本ツアーとは選曲・曲順を変えていて、通常は2曲目に「Motorcycle Emptiness」へと流れるのだが、比較的アップテンポな曲を頭に固めた。フェス仕様なのだろうか。個人的にはまだ一度もライブで体験したことのなかった「Faster」に痺れ上がった。

  新作からの曲が激減し、シングルナンバーだけになっていたのはちょっと驚きだった。個人的にはライブで聴きたい曲満載だった新作なのだが、どうやら今夜はグレイテストヒッツ的内容で攻めるようだ。これもOASISに対する挑戦状だろうか。それにしても、新譜や前作からの曲への反応は素晴らしいのだが、「Faster」や初期の曲への反応の寒さといったら。自分の周りだけだったのかもしれないが、明らかにノリきれてない。ボーっとその場に棒立ち状態。前のブロックでは半狂乱に暴れる輩やダイバー続出の「Motown Junk」でも「これ、知らなぁ~い」って今にも言いそうな空気が流れていた。

  内容に関しては文句なし。ジェームズもいつも通りだったし、ショーンもいい感じだったし、ニッキーはこれまで観た中で一番調子良さそうだったし。そのニッキーが爆発したのが、エンディング「You Love Us」でのこと。2コーラス目の途中でベースを床に叩きつけ、マイクスタンドを持って、客を煽りまくる。当然ベースの音がないまま曲はギターソロへと突入。前回来日時の縄跳びといい、この人は……ちなみにこの日の彼は久し振りのワンピース姿。中盤のジェームズ弾き語り前後で衣装替えを行っている。

  アコースティックコーナー前に「A Design For Life」やられちゃったんで、泣くに泣けなかった。っと盛り上がるところでやってほしかった。唯一文句を言うとしたら、中盤以降の曲の並べ方かな。ミディアム~スローな曲が固まっていて、途中から肌寒さを思い出す瞬間が何度かあった。けど、プレイされた曲の大半はシングルとして発表されている曲ばかりなので、もしかしたらこのセットリストってのは、来るべきグレイテストヒッツへの伏線なのかもしれない。

  何にせよ、俺は泣かなかった。きっと泣くだろう、誰もがそう思っていたはず。実際自分でも号泣するんじゃ……なんて思っていたけど、目頭が熱くなることすらなかった。何故? もうマニックスが、俺にとって必要なバンドではない、ということではない。俺がマニックスを越えていったんだろう。そこに俺が込めた思いとか、想い出とか、そういうのを越えていって客観的に見れるようになったのかもしれない。それに後ろのほうで観てたから、とのも大いに関係あると思うが。とにかく、初日のピークだったのには違いない。

  最後の最後で、ニッキーはアンプやモニターにマイクスタンドをぶち込み、ショーンもドラムセットを蹴り倒す。かなり派手にやってる。これこそ俺が知ってるマニックスってもんだ。ただ、初期の彼らを知らない最近のファンはビビっていたようだが。これもOASISへ対する煽り、挑戦状だったのだろうか?


01. Found That Soul
02. You Stole The Sun From My Heart
03. Faster
04. Motorcycle Emptiness
05. Ocean Spray
06. Tsunami
07. The Masses Against The Classes
08. Let Robeson Sing
09. Sweet Child O'Mine ~ Baby Love ~ Motown Junk
10. A Design For Life
11. Raindrops Keep Fallin' On My Head
12. The Everlasting
13. Ready For Drowning
14. Everything Must Go
15. So Why So Sad
16. Kevin Carter
17. If You Tolerate This Your Children Will Be Next
18. You Love Us


◎OASIS (at GREEN STAGE / 21:30~23:00)

  会場に向かう途中、1曲目「Go Let It Out」が聞こえてきた。続く2曲目までは昨年の来日公演と同じ。途中、風の流れで曲が確認出来なかったが、会場のゲートをくぐった時点で「Morning Glory」が終わったところだった。

  グリーンステージに到着して、俺は驚愕の場面に遭遇する。人、人の海なのだ、グリーンステージが。こんなグリーン、観たことないぞ? 一昨年のBLURも確かこんな感じだったけど、あれよりも遙かに人が入っている。恐らく今日苗場を訪れた人の8割以上がここに集まっているんだろう。

  そうそう、こんなOASISが観たかったんだよ! グラストやレディングフェスでの一場面のような光景。本当に鳥肌が立った。前の方で観てた人には判りづらいと思うが、後方から全体を見渡したときの光景といったら、それはもう例えようがないくらいのすごさだった。俺の中の理想像に限りなく近い光景がそこにはあったのだ。

  リアムもかなり調子がよさそうで、他のメンバー(特にゲムとアンディ)も数をこなしたことによって魅せ方が判ってきたような印象を受けた。ゲムがソロを弾く場面もかなり増えていたし。

  けど、みんなが言うほど俺はセットリストはすごいとは感じなかった。結局、要所要所は前回とほとんど変わっておらず、「Wonderwall」をやらない代わりに意外性のある曲が多かったってわけでもない。1998年2月の武道館以外は毎公演足を運んでいるだけに(特に初来日と2回目は何度も観ているし)、それまでに演奏されている曲ばかりだから新鮮味はあまりなかった。とはいえ、大半の曲を一緒になって歌ったんだけどね。

  個人的には前回聴けなかった「Shampagne Supernova」を野外で聴けたことが大きな収穫か。これで天気が良くて流れ星なんか見えたら最高のシチュエーションだったんだけどなぁ(この頃には肌寒いを越え、凍えそうなほどの寒さだった)。

  ラストはお約束の「Live Forever」なのだが、ここであることに気づいた。みんな歌っているのだ! 「Maybe, I don't really wanna know♪」ってちゃんと聞こえる。やっと実現した、3万人が同時に消費するOASIS。ここで2度目の鳥肌。嗚呼、やっぱりOASIS観ておいてよかった。素直にそう思えた瞬間だった。

  アンコールにも応え、懐かしい「I Am The Walrus」を披露して、23時頃には終了。実質90分におよぶステージだった。正直期待していなかっただけに、これはちょっと得した気分だった。見終えたときにはマニックスとの勝負なんてどうでもよくなっていた。特にマニックスの煽りを受けるわけでもなく、OASISはいつも通りのOASISのまま。貫禄なのか、端から相手になってなかったのか。ビッグなバンドのすごさってのを改めて見せつけられた思いがする。


00. Fuckin' In The Bushes
01. Go Let It Out
02. Who Feels Love?
03. Columbia
04. Morning Glory
05. Supersonic
06. Fade Away
07. Acquiesce
08. Gas Panic!
09. Cigarettes & Alcohol ~ Whole Lotta Love
10. Step Out
11. Slide Away
12. Champagne Supernova
13. Don't Look Back In Anger
14. Live Forever
---Encore---
15. I Am The Walrus


‥‥‥‥‥‥To be continued.

投稿: 2001 08 08 12:00 午前 [2001年のライブ, EGO-WRAPPIN', FUJI ROCK FESTIVAL, KEMURI, Manic Street Preachers, Oasis, Ramones, くるり] | 固定リンク

2000/03/10

OASIS JAPAN TOUR 2000@横浜アリーナ(2000年3月5日)

  OASISのライヴは‥‥最後に観たのが「MORNING GLORY」発売前の時だから‥‥かれこれ4年半振りになる。前回「BE HERE NOW」ツアー@武道館は3日間ともチケットを持っていたにも関わらず、丁度東京から銚子へと戻った頃で、家の中も入院者が出たりでいろいろ慌ただしかった為断念していた。という事は「MORNING GLORY」世界的大ブレイク後の、あのアリーナツアーをまだ体験していないという事になる。クラブレベルでの彼らしか知らないのだから‥‥市場に出回っているビデオは何度も観ているから、あの"Live Forever"大合唱を数万人レベルで体験出来るのか?と想像しただけで‥‥小便チビりそうである。(笑)

  ところが前回の武道館、そうならなかったそうだ‥‥つまりこういう事だ。バンドがデカくなれば、それだけのセールスを上げる。事実、前作は日本国内で60万枚以上売れたそうだ。今まで彼らを知らなかった「ヒットチャート至上」な浮動票をうまく掴んだわけだ。そうすると、タダでさえ取りにくいチケットが更にプラチナ化するわけだ‥‥その結果どういう事になったか‥‥多くのロックファンが期待していたような現象が起こらなかったのだ。つまり‥‥"Live Forever"や"Don't Look Back In Anger"を1万人が大合唱する‥‥グラストンベリーやネブワースのようにはならなかったのだ。

  普段クラブKなどのイベントに出向いていると、必ずといっていい程フロアで大合唱になる曲がいくつもある。その代表例がOASISの曲だと思う。そもそも彼らの曲はひざを抱えてヘッドフォンで聴いたりするのではなく、大音量で、大規模で、大人数で、騒ぎ、唄い、消費されるべきなのだ。そうする事によって歌は更にパワーを吸収して、俺達の想像以上にデカいものへと成長していく。「みんなの歌」として書かれた曲が多くの人間が共有する事によって、本当の意味での「俺達の歌」になる瞬間。その瞬間を共有するのがOASISのライヴだと初来日、2度目の来日の時は感じていた。(とは言っても当時はそんな小難しい事考える余裕もなく、ただ一緒に唄っていられれば楽しかっただけなのだが)それが武道館という特別な場所で起こらなかった‥‥

  そうこうしているうちにオリジナルメンバーの2人が脱退し、バカ兄弟だけがデビュー時からの残留メンバーとなってしまった。その穴埋めをする事になったのが‥‥同じクリエーション・レーベルに所属していたゲム(元HEAVY STEREO)、アンディ・ベル(元RIDE~HURRICANE#1)だと聞いたときには、正直「メタルやプロレスの世界じゃねぇんだからさぁ‥‥」って思ったものである。(笑)MOTLEY CRUEからヴィンスとミックの首切ってトミー・リーを引き戻して、ボーカルにマイケル・モンロー、ギターにスラッシュでも入れたようなもんか?(爆)いや、ちと違うな‥‥まぁ判りやすく言えばこんな感じ。そのくらい驚いたのだ。と同時にOASISの場合‥‥ドラム以外、全員がボーカル取れるグループへと変化したわけだ。これを宝の持ち腐れにしないように生かすのか、それとも‥‥それを確認する意味もあって、今回の来日に挑んだ。そう、新作がリリースされるずっと前にチケットを取ってしまった。


  年が明け、2000年。正月明けに新生OASIS第1弾シングルとなる"Go Let It Out!"をラジオで聴いた。何のアナウンスもなく流れてきた、そのサイケデリックな曲。歌が入った瞬間にそれが彼らの曲だとすぐに判った。第1印象は‥‥「確かに変わったけど‥‥そんなにいい曲かな?シングルにするような曲かな?」だった。あの兄弟には起死回生とか、そういう言葉は無意味なようだ。(笑)その後、新作に関するインタビューを読む。『「BE HERE NOW」は失敗作だ』『解散しようかと思った』といったネガティヴな発言ばかりが目につく。おいおい、らしくねぇよ!? 雑誌もここぞとばかりに「前作は売れなかったから失敗作。今度のは凄い!」と煽る。本当に「BE HERE NOW」ってダメなアルバムだったか!? 改めて聴いてみたら‥‥全然色褪せてねぇじゃんかよ! むしろ「MORNING GLORY」が凄すぎたんだって、内容・セールス共に。確かに言いたい事は沢山あるけど、まだ3枚目だよ!? バンドを潰そうとしたのはノエルでもなくレコード会社でもなく、こういう書き方をする雑誌(メディア)じゃねぇかよ! どの雑誌も同じ事書きやがって‥‥

  2月上旬にシングルがリリースされた時には俺は無視した。初めて彼らの新譜をリリース日に買わなかった。やれ「新機軸」だ何だと騒ぐ割には、他の曲は今まで通りだったからだ。つまり、俺も雑誌に振り回されていたのだが。(苦笑)そのくせしてアルバムはしっかり発売日に買ったのだけど。(爆)そう、他に欲しいCDがあったにも関わらず、だ。が‥‥そのくせして最初に聴いたのは、買ってから数日経ってからだが。(苦笑)

  第1印象‥‥多くの人同様、「地味」だった。「大丈夫なの、これで?」とも思った。何が『最高傑作!』だよ、某雑誌!(爆)まぁこの辺りから雑誌には惑わされてなかったが。正直言って、1回聴き終えてまた暫く聴かなかった。それ程魅力的に思えなかったのだ。イイ曲はあるのだけど‥‥そういう曲に限って、俺のOASIS観からズレてる曲‥‥大合唱できないような曲‥‥ばかりだった。勿論、アルバムには新しいメンバーは参加していない。旧メンバー最後の録音となったわけだが‥‥どういう気持ちでこれらの曲に接したのだろうか‥‥そう思うと‥‥何だかとても悲しい雰囲気が漂っているような気がする。いや、悲しいというか、ヘヴィと言った方がいいかもしれない。そういう状況の中で出来上がったアルバム。だったらそれ以後の「現体制でのOASIS」はやはりライヴで感じ取るしかない。そう考え出したら、自然とライヴへの期待感も膨らんでいった。


  「リアム不調!」と初めて聞いたのは、ツアー初日2/29の横浜公演終了後だった。全然声が出ていない、と。新入りがまだ馴染んでいないのは仕方ないとしても、OASISの象徴とも言える「リアムの声」が完全な形で聴けないとなると‥‥ノエルだけでは魅力半減、いやそれ以下だ。そして3/3の福岡ではとうとう、5曲目途中でリアム離脱!残りの曲を全てノエルが唄うというアクシデントまで勃発した。これが自分が観に行く前々日の状況だった。キャンセル‥‥一瞬頭を過った言葉。が、その日はテレビ中継が入っているので、まずそれはないだろう。となると‥‥曲目変更か曲数減らすか‥‥ノエルが唄う曲が増えるか、まぁそんなところだろう。どっちみち他人の話を鵜呑みにするのではなく、後は自分の目と耳で確認してこよう‥‥そういう思いで3/5、横浜アリーナに出向いた。

  センター席(武道館や代々木体育館でいうところの「アリーナ席」)11列目、ほぼど真ん中。距離にしたら10mもないだろう‥‥確かにそれまでのクラブでの距離を考えれば遠いが、今の彼らを考えれば、こんなに近くで観れる事自体がラッキーかもしれない。同行した彼女も「こんな凄い席、初めて!」と喜んでおったし。(笑)

  意外にもライヴは定刻通りにスタートした。テレビが入っているからか?「ガンズだったらあと1時間は待つな」とか考えながら、オープニングS.E. "Fuckin' In The Bushes"を聴く。この曲からスタートして欲しいという願いは叶ったが、S.E.としてではなく演奏してもらいたかった。その方が絶対にかっこいいのに! S.E.が終わるとメンバーがぞろぞろとステージに現れる。「Hello!」とリアム。ふてぶてしさは相変わらず。スタートは"Go Let It Out!"だった。

  この日のリアムは思った程酷くはなかった。が‥‥こんなもんだっけ!?と思ったのも、また事実。かなり掠れてるし、ポケットに手を入れて隠してはいるものの、その手は明らかにお腹を押さえていた。腹を押して唄わねばならぬ程辛い状態なのか‥‥いや、勘繰り過ぎか‥‥高音が外れてたりしたけど、それは今に始まった事じゃないので関係なし。(笑)だが、明らかに「生気」が感じられない。俺だけか、そう感じたのは? 水はガバガバ飲むわ、歌のパートがない時は袖に引っ込んでスタッフと話をしているわで‥‥いつもこうだったっけ?‥‥何かに苛立っているのか、それとも‥‥

  問題の、新たなる「THE OTHER TWO」の出来は、上々といったところだろうか? ゲムはソロパートも結構あって、あの独特な姿勢(ちょっと中腰っぽい感じで前屈みになる?)で気持ち良くリズムを刻み、ソロを弾く。だが、彼の前にはマイクはなかった。そしてアンディ。デカいな、やっぱこの人は。HURRICANE#1時代にはよくジャケットとか羽織ってたけど、OASISに入ればそれなりに小汚い格好になるわけね?(爆)Tシャツにジーパンときたか‥‥それにしても、細身で長身の人がベース持つとかなり恰好良いなぁ‥‥元ガンズのダフといい、ビリー・シーンといい(細身でもねぇか?/笑)まぁこのバンドにいる限りはそれ程難しい事も要求されないだろうから、やってけるかな‥‥そう思ったのは俺だけでなく、アンディも一緒か?(笑)それにしても、アンディの前にもマイクはなかった‥‥やっぱりそういう事かい。(苦笑)俺、新体制に期待したのは「結構ハーモニーが増えるんじゃないかな?」って事。でもそれは儚い夢だったわけだ‥‥考えてみりゃOASISってあのバカ兄弟のバンドだし、まだ正式メンバーでもない?人間にそうやすやすと唄わせるわけがねぇか。


  結論から言ってしまおう。俺は今回のライヴ、100%は楽しめなかった。後半からのヒットパレードには大合唱で応えたが‥‥俺の周りで唄ってたの、殆どいなかった‥‥俺の右隣りなんて、腕組んだまま仁王立ちでノッてもいなかったし、俺の数列前もこの状態。新曲になると座ってる。おいおい、これ、本当にOASISのライヴか??

  正直、OASISは頑張ったと思う。確かにライヴ終わった後は感情的になって「こんなもんじゃねぇだろ!?」と思った。その思いは今も変わらないが、彼らの頑張りは伝わってきた。やれ無愛想だの生気ないだの最初は感じたが、冷静になって考えてみれば何の事はない、彼らなりのファンサービスに徹していたはずだ。MCも言葉少なだが、リアムなりのコミュニケーションをとろうとしていたし、最後の"Rock'n'Roll Star"ではステージサイドまで行ってファンと握手したり、タンバリンをあげたりなど気を遣っていたように思える。それはノエルからも感じ取る事ができた。彼の子供の誕生を祝うコメントを書いた紙を持って見せたファンに対し、ちゃんとお礼を言っていたり、何か駄洒落を言ってたり。(苦笑)彼らなりに必死にファンサービスをしてたのかもしれない。だが不器用さからか、日本人のお国柄か、そう感じ取らなかった人の方が多かったようだが。(当日の自分も含めて)

  結局、グラストやネブワースのような大合唱は今回も起こらなかった。あの"Wonderwall"でさえも(てゆうか、歌詞間違えてたし/笑)‥‥別に「OASISのライヴとはこういうものだ!」って固定観念を持っているわけではないし、「彼らのライヴはこう観るべき!」と押しつけるつもりもない。ただ‥‥そうは言ってもやっぱり『あの』感覚を味わいたかった‥‥それが正直な気持ちだ。そう思った人は何も俺だけじゃなかったようだ。うちの掲示板にも同じ意見を書き込んだ人もいた。よその掲示板でもそういう意見は見受けられた。「もうダメなのか‥‥」という意見も。けど、改めて考えて欲しい。本当にOASISってこの程度のバンドか? 今回が初めてって人はまだしも、クラブ時代から観てる人ならそう思ったはずだ。今回の彼らは本調子じゃない。ライヴは生ものだし、どんな理由をつけたってその1回きり、その一瞬が全てなのだ。たまたま観に行った日が最悪の日だったとしても、その人にとっては「あ、OASISってこの程度のバンドか」と判断されてしまう。ライヴはそういう怖さも持っている。だからこそ、俺は言いたい。「OASISは、リアムはこんなもんじゃねぇぞ! 俺はそんなOASISを、これからも断固支持するぞ!」と。


  セールスがガタ落ちでもしない限り、アリーナクラス以下ではやらないだろう。よく「ブリッツで観たい」とか「金儲けの為に」なんて言う奴がいるけど、一生夢見てろ!って思うよ。そうなったらどうなる? ブリッツ10回はやらなきゃな?(苦笑)仮にブリッツクラスで今回のような日程で回ったら、今度は「チケットが手に入らない!もっとデカいとこでやれ!」って声が増えるはず。それにツアーはアルバムのプロモーションとはいえ、金儲けでやってるわけだから、それがプロモーターの決めた事だろうが、最終決定はノエルやリアムが下したはずだ。それを支持出来ないなら観なければいい。

  既にここ日本では一般の人達に、マライヤ・キャリーやセリーヌ・ディオン、BON JOVIやAEROSMITH、エリック・クラプトンなんかと同じレベルで捉えられている。事実、今回会場で見かけた人は、普通のUK系のライヴと違ってスーツ姿やその辺にいそうなネエちゃん達、中学生くらいの子達が多かった。アルバムも売れに売れているらしい。と同時に、発売数日後には中古盤屋に沢山並んでいたが。(苦笑)一般のファンの方が正直だな。

  これが今のOASISなのだ。それを受け入れるか否か? それはあなたの自由。受け入れようが受け入れまいが、楽曲の素晴らしさには左右しないはずだ。今では新作をよく聴いている。ライヴを観たせいもある。ライヴ中盤での(俺にとっての)山場となった"Gas Panic!"。このプログレッシヴなブルーズが今後の彼らを象徴してるような気がしてならない。ただ、(音的に)枯れてしまうにはまだ早すぎる。こういう要素を取り入れつつ、また新しい要素も増え、更にパワーアップした「みんなの歌」に出会えるのは、そう遠くないはずだ。


oasis @ Yokohama Arena. 3/5/2000
 00. FUCKIN' IN THE BUSHES
 01. GO LET IT OUT
 02. WHO FEELS LOVE?
 03. SUPERSONIC
 04. SHAKERMAKER
 05. ACQUIESCE
 06. SUNDAY MORNING CALL (Vo. Noel)
 07. WHERE DID IT ALL GO WRONG? (Vo. Noel)
 08. GAS PANIC!
 09. ROLL WITH IT
 10. STAND BY ME
 11. WONDERWALL
 12. CIGARETTES & ALCOHOL
    ~ WHOLE LOTTA LOVE (INTRO / LED ZEPPELIN)
 13. DON'T LOOK BACK IN ANGER (Vo. Noel)
 14. LIVE FOREVER
[encore]
 15. ROCK'N'ROLL STAR



▼OASIS『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』
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投稿: 2000 03 10 12:00 午前 [2000年のライブ, Oasis] | 固定リンク