OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』(2000)
2000年11月13日にリリースされたOASISのライブアルバム。日本盤は同年11月15日発売。
OASIS初にして活動期間中唯一発表されたライブアルバムは、4thアルバム『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』(2000年)を携え実施されたワールドツアーの中から、そのハイライトとなった2000年7月21日のイギリスWembley Stadium公演を軸に収録したもの。レコーディングには参加していないものの、ツアーからメンバーとなったゲム・アーチャー(G/ex. HEAVY STEREO)、アンディ・ベル(B/ex. RIDE、ex. HURRICANE #1)にとって初のOASISの音源となります(スタジオ作品は5thアルバム『HEATHEN CHEMISTRY』より)。
できることなら初期メンバーでのフルライブアルバムも欲しかったなあと思うものの、ゲム&アンディが加わったことで演奏に安定感/安心感が加わったことでまとまったライブ作品の発表に踏み切ったというのもあるんでしょう。もちろん、かのWembley Stadiumをフルハウスにした歴史的ライブという要員も大きいでしょうけどね。
にしても、よりにもよって『STANDING ON THE SHOULDER OF GIANTS』を携えたツアーというのが……。まあ、ゲム&アンディがスタジオレコーディングに参加していないことから、「Go Let It Out」や「Who Feels Love?」はもちろんのこと、アルバムのハイライト的な長尺曲「Gas Panic!」もこの編成でしっかり楽しめるというのはありがたい限りですが。
ちなみに、本作での「Wonderwall」はボーカルテイクのみ同年3月に行われた横浜アリーナ公演から引っ張ってきたものなんだとか。これは、Wembley Stadium公演にてリアム・ギャラガー(Vo)がしっかり歌わなかったため、現存するテイクの中から横アリでのボーカルテイクが選ばれたんだそう。いやいや、横アリだって……ねえ?(苦笑) あと、ラストに収められたビートルズのカバー「Helter Skelter」は2000年4月16日、米・ミルウォーキー州Riverside Theatreからのテイク。貴重な1曲ですね。貴重といえばもうひとつ、本作にはニール・ヤングのカバー「Hey Hey, My My (Into The Black)」も収録されています。
いわゆる代表曲はほぼ網羅されているので、7万人の聴衆による大合唱をフィーチャーした「Wonderwall」や「Cigarettes & Alcohol」「Don't Look Back In Anger」「Live Forever」などもしっかり堪能できます。これを聴いちゃったあとに来日公演に足を運ぶと……特にフェスでは物足りなさを感じていたんですが、それも2005年以降はどんどん解消され、最後の来日となった2009年のフジロックでは大雨の中感動の涙を流したことを今でもよく覚えています。
なお、本作にはジャケット色違いの“ハイライト盤”と称したCD1枚モノの輸入盤も存在します。赤みがかったアートワークのC2枚組が通常仕様ですが、青みがかったアートワークのものは全18曲入りの通常盤から5曲カットした13曲仕様となっているので、ご注意を。さらに、同タイトルの映像版も発売されており、こちらは圧巻の客席の様子を併せてお楽しみいただけるはずです。
また、OASISのライブアルバムは単品では本作のみとなりますが、ベストアルバム『TIME FLIES... 1994-2009』(2010年)初回限定盤にはノエル・ギャラガー(Vo, G)脱退1ヶ月前(フジロックの約1週間前)の2009年7月21日に実施されたライブの音源が、ボーナスディスクCD1枚に収められています。フルスケールではないですが、こちらもオススメです。
▼OASIS『FAMILIAR TO MILLIONS』
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