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2003年7月13日 (日)

OBLIVION DUST『REBORN』(1999)

  OBLIVION DUSTが'99年12月にリリースしたサードアルバム、「REBORN」。KEN LLOYD(Vo)、KAZ(G)、RIKIJI(B)、FURUTON(Dr)という黄金期メンバーによる第1作目でもあるこのアルバムは、それまでの2枚(ファースト「LOOKING FOR ELVIS」とセカンド「MISERY DAYS」)以上に攻撃的であると同時に、過去最高にポップな作品集でもある、彼等の個性を決定づけた1枚になっています。

  OBLIVION DUSTというと、ギターのKAZがhide with Spread Beaverに参加していたこともあり、また元LUNA SEAのJがお気に入りとして名前を挙げる等、ビジュアル系の範疇で語られることの多かったバンドですが、実はかなりハード&ヘヴィなバンドだったわけですよ。聴かず嫌いで敬遠してきた人も多かったんじゃないでしょうか? このバンド、実は洋楽指向の人にこそ聴いて欲しかったバンドなんですよね。

  例えば、ボーカルのKENはハーフということもあり、英語が堪能。ファーストアルバムの殆ど、及びセカンドアルバムの全曲を英語詞で歌っており、発音に関しては当然文句なし。「ロックは英語じゃなきゃ!」と拘る方々には打って付けですよね。

  しかもサウンドの方も、'90年代後半以降に登場したラウド系の影響を良い意味で受けつつ、殆どの楽曲を手掛けるKAZの日本人的繊細さを強く感じさせるポップなメロディセンスとの組み合わせは、他に類を見ません。ギターソロが全くない、という点に於いても独特な個性を感じるし、バラエティ豊かな楽曲群からも「ヴィジュアル系」にも「ラウド系」にも属さない、唯一無二な存在感を感じ取ることができます。

  特にこのサードアルバムは、シングルヒットというものに積極的になっていた時期だったようで、ここに収められた3枚のシングル曲("YOU"、"GOODBYE"、"CRAZY")は全て日本語詞で歌われています。アルバム全12曲中、日本語詞で歌われているのはこの3曲のみで、他の9曲はそれまで同様全て英語詞で歌われています。この試みはある意味成功したといっていいでしょう。

  サウンド的にも前作にあったニューウェーブ的要素を押し進めつつ、当時主流だったKORN辺りからの影響を感じさせつつ、上手い具合にラウドロックの要素を取り入れています。が、完全にそっち側に行ってしまうのではなく、例えばグラムロックだったり、ストレートなハードロックだったり、それこそ日本のヴィジュアル系的な要素だったり‥‥とにかく、ありとあらゆる要素を全て飲み込んで、それを上手く消化し、完全に「OBLIVION DUSTの音」にしてしまっているのはさすがと言うべきでしょうね。静と動とのコントラストが素晴らしい"COME ALIVE"のような楽曲にしろ、非常にポップで判りやすいメロディが備わっているのですから。

  解散してしまった今、改めて振り返ってみると、バンドとしてはこのアルバムで完成してしまったように感じます。その後、メンバー間の「色」や「主張」がどんどん強くなっていき、ぶつかり合いが多くなっていき、そんな中からもう1枚、「BUTTERFLY HEAD」という奇跡的なアルバムをひねり出すと同時にRIKIJIが脱退。そういう意味からも、この「REBORN」というアルバムがひとつのピークだったと言い切ってしまっても、決して間違いではないように思います。

  それにしても、今こうやって聴くと‥‥本当にポップなバンドだったんだなぁ、と再認識。もっとヘヴィだと感じてたんだけど、それって結局ライヴでのイメージが強かったのね。その後、フォロワー的存在も現れないし、解散後の各メンバーがやってるバンドもOBLIVION DUSTと似て非なる存在ばかりだし、やはりとてつもなく「オリジナル」な存在だったんだなぁ、と思うわけです。今だからこそ、改めてちゃんと聴いて欲しいアルバムですね。



▼OBLIVION DUST『REBORN』
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1999年12月20日 (月)

OBLIVION DUST LIVE 1999@赤坂BLITZ(1999年11月12日)

  OBLIVION DUSTの存在を知ったのは多くの人と同じで、ギタリストKAZがhide with Spread Beaverに参加してからだ。彼のカッティング姿に惚れ込んだと言ってもいい。俺はリードを取るギタリストよりも、いかにかっこよくリズムを刻むかとか、リフに命を懸けるかっていう存在の方が魅かれたりする。そういう意味ではこのKAZって人にはビデオで観てからずっと興味を持っていた。音を聴いたのも(このライヴを観た時点では)最新作「MISERY DAYS」からである。そしてビビるわけだ‥‥ヴォーカルがハーフで、しかも歌詞は全部英語詞。音はへヴィロックやグランジを通過してるのだけど、ニューウェーブと言った方がいいかも。曲はかなりキャッチー。「いつかライヴ観てぇなぁ」とは思ってたのだけど、その機会をやっと得ることが出来た。近々リリースされる(これをみんなが読んでる頃には絶賛発売中の)新作「REBORN」発売前のツアー最終日である。

  ライヴではメンバー4人の他にサポートメンバー(ギター)が加わり、より音の厚みを増した攻撃的なステージを繰り広げる。まず印象的なのが、ヴォーカルのKEN LLOYDのデカさだ。ルックスもいいし、背も高い。そしてMCが面白い。(笑)辿々しい日本語で、かなり攻撃的なことを言う。「赤坂って土地は金持ちの親父サラリーマンが多いって、今日初めて聞いた。OBLIVION DUSTのファンは今日帰る時、その親父どもをぶっ飛ばしてから帰りな」とかさ。(笑)それを偉ぶるわけでもなく、かっこつけるわけでもなく、ごく自然に言っちゃうんだから面白い。どこまでがマジで、どこからが冗談なのか‥‥音とのギャップに笑ってしまった。

  彼らのステージアクションはとにかくアグレッシヴ! その辺のくだらないコア系バンドよりも男らしい。ふと思ったのは‥‥ヴィジュアル系のファンばかりが目についたライヴだったが(hideやLUNA SEAのファンなんかも多かったそうだ。実際、2階席にはLUNA SEAのメンバーも何人か観に来ていたらしい。俺もJらしき人を見かけたし)、もっと男性客‥‥ダイヴをバシバシかます若い奴等が多くてもいいような気がした。その存在がまだメジャーではない分、こういったヴィジュアル系というイメージがあるのかもしれないが、例えばフジロックとか今年出演したMARILYN MANSONのイベントみたいな、ああいった大舞台に出演すれば絶対に人気が急上昇するはずだ。当日、KORNのTシャツを着たお客がいたけど、絶対にそういうへヴィロックファンにも受け入れられるだけの実力と魅力を兼ね備えているバンドだと思う。ヘヴィな演奏にキャッチーなメロディー。演奏も上手くてしっかりしてるし、オリジナリティーもある。英語詞がメインだが、最近のシングル曲は全て日本語詞でチャレンジしている。メンバーのルックスもイケてるし。何の問題もないはずだ。惜しい。実に惜しい。



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1999年5月 2日 (日)

『hide TRIBUTE : SPIRITS』(1999)

  1998年5月2日。まだ1年しか経っていないのか‥‥hideがこの世を去ってから。たった1年。もう1年。人によっていろいろ違うのだろう。hideの不在がもたらしたものって一体なんだったのだろう、とこのトリビュート・アルバムを聴きながら考えてみた。答えはまだ見つからない。みんなはもう見つかったかい?
  このトリビュート・アルバムには、hideの身近にいた人間、hideに影響を受けた人間、hideとは接点がなかった人間と、いろいろ参加している。それぞれがそれぞれの解釈でhideの楽曲をカヴァーしている。今回は久し振りの「全曲解説」を通して、それぞれのアーティストの解釈についていろいろ感想を述べてみたいと思う。最後までお付き合い願いたい。

M-1. 布袋寅泰「ROCKET DIVE」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  「HOTEI」ではなく、「布袋寅泰」として発表したこの曲。ハマリ過ぎ。(爆)布袋の為に作られたような名曲だな、これ。最初に布袋がこの「ROCKET DIVE」を選んだことを知った時、爆笑した。「自分の事がよく判ってるじゃん♪」って。ただ、実際に出来上がったアレンジは、ちょっと考え過ぎの部分もあるかな?と思ったのも事実。が、あえて打ち込み中心の「布袋流テクノ・ロック」に仕上げたのには‥‥やっぱり(笑)
  布袋自身はhideとは交流がなかったようだが、自分とhideとの共通項をうまいこと見つけたな、というのが正直な感想。バンド出身、解散後ソロアーティスト、ギタリスト兼ボーカリスト、時代に敏感、よき兄貴分‥‥等々共通点はいくらでもある。だけど布袋は布袋、hideはhide。全く違うアーティストだ。なのに‥‥不思議だ。これこそ「名カヴァー」と言えるのではないだろうか?

M-2. 清春・SHOJI「Beauty & Stupid」(from ALBUM「PSYENCE」)
  元「黒夢」のボーカル、清春の解散後初の仕事がこれ。清春自身もhideとは交流はなかったそうだ。聴く限りでは原曲に忠実な出来。リズムは打ち込みなんだね? あくまで「ロックンロール」にこだわる(?)清春らしからぬアレンジかな?と最初は思ったのだけど‥‥まぁアリ、かな? でも、「カヴァー」というよりは「コピー」に近いような‥‥原曲ではhideの癖の強い唄い方が特徴だったこの曲も清春が唄う事によって、幾分「黒夢」っぽいイメージを与えてくれる。何故彼がこの曲を選んだのか(あるいは与えられたのかもしれない)、彼がこの曲を通して何を伝えたいか?が全く伝わってこない。トリビュートは故人のよいところを新たな解釈で伝えるのがひとつの目的なわけで、これではただ「僕、ソロになったんで、手始めに他人の曲から始めてみました」と取られる可能性もあるわけだ。実際はどうだか知らないが‥‥

M-3. kyo & TETSU「TELL ME」(from ALBUM 「HIDE YOUR FACE」)
  hideとはSABER TIGER時代一緒だったkyoがボーカルを取るこの曲、イントロの走りぎみなTETSUのドラムが印象的。これも基本的には「コピー」だが、kyoが一音一句をとても丁寧に、心を込めて唄っているのが伝わってくる好演だと思う。こういう「元メンバー」といった身内の人間がカヴァーする場合、感傷的になってポシャって終わる事も考えられるのだけど、やはり昨年末のSpread Beaverとの共演が先にあったからよかったのかもしれない。(ちなみにその時、kyoは「Beauty & Stupid」を唄っている)

M-4. SIAM SHADE「ピンクスパイダー」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  彼等はhideというより、LUNA SEA側の人間なわけで、やはりhideとの直接交流はなかったようだ。それにしても‥‥ファンには悪いが、このアルバム中最悪のケースだと思う。最も悪い「カヴァー/トリビュート参加」のケース。まず、この録音の悪さはどうにかならなかったのだろうか? スタジオ・デモ並である。この程度の録音、現在ならアマチュアでも可能だ。それからロックらしからぬミックス。ボーカルが前に出てリズムが引っ込んでるパターン。歌謡曲じゃないんだから。
  録音技術の事ばかりではない。完全に「コピー」だ、これでは。唯一、ギターが好き放題暴れているといった程度。今回の各曲のクレジットを見て思った事は、今までプロデューサーを立てて作品を作ってきたバンド(GLAY, SIAM SHADEなど)がセルフ・プロデュースを行っている事‥‥つまり、「たった1曲に金かけて(プロデューサーに払う金)らんないでしょ?君らでどうにかしなさい♪」とでもレコード会社から言われたのか? にしても‥‥これは最悪。自分らの曲より酷いよ。ボーカルも自身の曲だと生き生きしてるのに、ここじゃ‥‥と俺は感じたのです。

M-5. shame「LEMONed I Scream」(from ALBUM「PSYENCE」)
  このバンドに関して僕はそれ程知識がないが、hideが主催するレーベル「LEMONed」のバンドだそうだ。ということは、hideが見つけてきたって事? アルバム内のアーティストのコメントを見る限りでは、そう取れるのだけど‥‥いいんじゃない? このアルバムからは唯一の英語曲だけど、気負ってなくていい仕上がりだと思おう。原曲にあった浮遊感・アップテンポ感を、ネオアコっぽい始まり~徐々に盛り上がる持ってき方へとアレンジしたのは正解かも。おそらくこれがこのバンドの色なのだろう。ちょっとオリジナルアルバムの方も聴いてみたくなった。本来カヴァーソングってそういう効力を持ったものなのでは?

M-6. CORNELIUS「ピンクスパイダー」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  この組み合わせが一番難解かつ厄介だった。(爆)hideと小山田くんとの接点が‥‥まぁ面白い仕事するとは思ってたけど、ここまでやってしまうとは‥‥小山田が参加すると知った時点で、俺は2通りのパターンを考えた。ひとつは「バンドで演奏して、滅茶苦茶に解体するカヴァー」、もうひとつが最近依頼の多い「解体かつリミックス」作業‥‥前者なら、「69/96」アルバムで見せたハードロックへのアプローチが再び見れたのかもしれない。でも、そこは小山田。結局は後者を取ったわけだ。(笑)彼らしい手段だと思う。
  で、これがまた傑作。このアルバム中、確かに異色の出来だが、本来ここまでやらなくてはならないのでは? hideに対する敬意を込めつつ、自分の色を出す‥‥hideの癖の強い楽曲を前にこれすら忘れてしまうアーティストも多いのでは? しかし布袋といい小山田といい‥‥ソロアーティストの方が動きやすいのかもしれない。自身のイメージもひとつというわけではないしね。(バンドだとそうもいかない場合もあるしね)敢えて唄わなかったのも正解かも。しかし‥‥小山田に「ピンクスパイダー」って言葉、合ってない?(笑)

M-7. ZEPPET STORE「FLAME」(from ALBUM「PSYENCE」)
  hide自身が生前「この曲はZEPPET STOREに影響されて書いた曲だ」と言っていたのが印象的なナンバーを、当の御本家ZEPPET STOREがカヴァーすることになるとは。しかもこういう形で‥‥原曲はZEPPET STOREっぽいリズミカルでヘヴィーで繊細な曲を、彼等は違った解釈でカヴァーした。原曲のまま再現してもZEPPET STOREらしい曲には仕上がっただろうが、「それじゃhideが許してくれないだろう」と感じたのか、今現在のZEPPET STOREらしいアレンジで挑んできた。アコースティックギターを軸にして、大陸的な大きなノリ‥‥このまま彼等のオリジナルアルバムに入っていても何ら違和感がない出来だ。原曲に助けられてる部分も多少あるが、それでもここまで説得力があるのは、やはり彼等ZEPPET STOREの底力ではないだろうか? 個人的には、昨年末のSpread Beaverで聴かせてくれたあのピアノアレンジをもう一度聴きたいなぁ‥‥

M-8. LUNA SEA「SCANNER」(from ALBUM 「HIDE YOUR FACE」)
  hideとLUNA SEA(いや、JとSUGIZOと言った方がいいか?)との関係は今さらここで語ることもないだろう。よき兄貴分、よきライバルとして彼等をお互いを意識していたようだ。そして彼等は「無言で」このアルバムに挑んだ(彼等のみ、ライナーノーツにはコメントを載せていない)‥‥「Let the music do the talking」って事だろうか‥‥
  やはりLUNA SEAのカヴァーを聴いても感じる事だが、実力・オリジナリティーを既に持ち合わせたアーティストというのは、誰の曲をカヴァーしても「自分達の曲」にねじ曲げてしまう力量を持っているな、という事。長く活動してればいい、って訳じゃない。結局はいかに「myself」でいられるか‥‥このアレンジなんて、LUNA SEAのオリジナルと言われても信じてしまうんじゃないだろうか? 近年の彼等らしい曲調だし(歌詞はともかく;笑)‥‥が、後半のアップテンポになる展開‥‥久し振りにこんなに激しいLUNA SEAを聴いた気がする。改めてLUNA SEAに惚れ直した。(笑)

M-9. BUCK-TICK「DOUBT '99」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  hideとBUCK-TICK‥‥繋がりそうで繋がらない。まぁXとBUCK-TICK、と考えればなんとなく繋がるが。布袋同様、まさにハマりまくった選曲・名カヴァーではないか? BUCK-TICKは最近の所謂「ヴィジュアル系」ファンにはそれ程好かれてはいないようだが、LUNA SEA同様ゴス(ゴシック系バンド。BAUHAUSや初期のTHE CURE, JAPANなどがこう呼ばれた。最近ではMARILYN MANSONなども再びこう呼ばれているようだが)に影響を受けたバンドとして、彼等こそが真の意味での「ヴィジュアル系」であり「オルタナ」ではないだろうか? しかしなぁ‥‥「人間ドラムンベース」(笑)‥‥どこまでこの路線を続けるのかが興味深い。

M-10. TRANSTIC NERVE「ever free」(from ALBUM 「Ja,Zoo」)
  確かhideが生前、最後に関わったのがこのバンドだと聞いている。hideとは会った事がなかったようだが‥‥新手のヴィジュアル系、というわけでもなさそうだ。オリジナル作ではラルクを手掛ける岡野ハジメ氏をプロデューサーに迎えているようだが、このカヴァーは自分達で手掛けている。このアルバムに参加してるアーティストの中では最もキャリアが短いだけに、一体どういう解釈で挑んでくるのかが気になったが‥‥これから、といったとこだろうか? 原曲のストレートさをそのままに、音数を多くし、一部16ビートを持ち込んでいる、という至極そつないアレンジだ。新人という事を差し引いて‥‥今後に期待、というところだろうか? だが、改めて「影響を受けたフォロワー」としてのカヴァーが聴きたかった。(本人達はそのつもりかもしれないが、俺にはそれは伝わらなかった。ハードルが高すぎたのか?)

M-11. OBLIVION DUST「限界破裂」(from ALBUM「PSYENCE」)
  Spread Beaverにも参加したギタリストKAZが所属するバンド。元がかなりオルタナ色の強いバンドなだけに、どういう選曲でどういうアレンジになるのかが気になるところだった。選んだのは「限界破裂」。原曲はアップテンポのhideらしい曲だが、オブリのアレンジが‥‥これ、傑作だ! このアルバムの中でも1、2を争う出色の解体振りだと思う。ゴシック調に始まり、サビにくるとドカーンと爆発するグランジ調アレンジ。自分自身を常に持っているバンドのアレンジはこうも違うのだろうか? 原曲にあった「切なさ」が、このアレンジで聴くと「ストーカー的圧迫感」(笑)を感じる。この力技、半端じゃないと思う。OBLIVION DUST、やはり侮れないバンドだ。

M-12. GLAY「MISERY」(from ALBUM「PSYENCE」)
  GLAY、レコード会社移籍第1弾の仕事がこれ。彼等もこの曲には自らがプロデュースに当っている。それにしても‥‥好き放題やってるなぁ、というのが第1印象。こんなにテンポアップにして、原曲のメロディアスさを殺してないか?と思ったのだが‥‥スタッフは誰も何も言わなかったのだろうか?(笑)GLAYにとってもhideという存在は特別だったようだ。それにしても‥‥このパンキッシュなアレンジに、ファン以外の人間はGLAYらしさを感じる事が出来るのだろうか? かなり疑問が残るアレンジだ。中盤のアコースティックによる「和み」の部分に「GLAYらしさ」を垣間見る事は出来るのだけど‥‥

M-13. I.N.A.・Pata・heath「CELEBRATION featuring hide」(from ALBUM「BLUE BLOOD」)
  最後の2曲は完全な「身内」の参加作品。hideがソロ活動の際には常に活動を共にしてきたI.N.A.、X JAPANのメンバーPataとheathが参加したこの曲は‥‥なんとX時代の名曲のリアレンジ曲。しかもボーカルトラックにhideの未発表音源を使用している。ということは‥‥いずれこの曲をX時代とは別のアレンジで発表する計画があったという事か? となると「JOKER」や「SCARS」なんかのデモ音源も残っているのでは?‥‥なんて考えてしまった。それにしてもこれは‥‥もう反則です!(笑)冷静に判断を下せ、という方が難しい。hideが参加してるんだぜ!? これ以上何を言えばいいっていうんだ? 「Ja,Zoo」に入っていてもおかしくないアレンジだし、やはりこれは「hide以上」でも「hide以下」でもない、正真正銘のhideの作品だ、と言いたい。彼がアレンジに関わっていなくても、これはhide以外の何ものでもない。これは嬉しいボーナスだった。

M-14. YOSHIKI「GOOD-BYE」(from ALBUM「PSYENCE」)
  最後まで参加があやふやだったYOSHIKIが選んだのが、この曲‥‥何も言う事はないと思う。僕自身の感情とは別に‥‥あのイントロダクションのピアノソロも彼によるものだろう。あのイントロに、このアウトロ‥‥感傷的になってしまうが、ひとつの作品という意味ではこれで正解かも。


  こうやって通して聴いてみて改めて思った事‥‥hideという「ソングライター/表現者」の非凡さ。こんなにポップで判りやすく、それでいてロック然としている。いろいろなジャンル/新しい表現に常に興味を持ち、それを自己流の消化をしてみんなの前に提示する。何度も言うが、日本のヒットチャートに「ピンクスパイダー」のような楽曲を送り続けた彼は、やはり偉大すぎる。
  hideの不在‥‥それは、こういうイノベィティングなソングライター/表現者を失ったという事。こういうジャンルでこういう事をやるアーティスト。しかもヒットチャートの上位に君臨する「ポップスター」としても機能する存在‥‥確かにLUNA SEAやラルクといった後輩達がそれに追いつけ追いこせと頑張っているが‥‥今世紀、という意味では彼が最後なのかもしれない。今後、「最も影響を受けたアーティストはhideです」という若手が多く出現するだろう。そして、その度に思い出して欲しい。hideが如何に素晴らしいアーティストだったかという事を。忘れないで欲しい。本来、「アーティスト」とはこういう人の事を言うのだという事を‥‥ありきたりの言葉しか言えないが、1年前に言えなかった事を今、言いたい。

‥‥‥‥‥Thank you, and.....I love you.



▼『hide TRIBUTE : SPIRITS』
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