DON BROCO『AMAZING THINGS』(2021)
2021年10月22日にリリースされたDON BROCOの4thアルバム。日本盤は同年11月24日発売予定。
DON BROCOは2008年に結成されたイギリス出身の4人組バンド。2ndアルバム『AUTOMATIC』が全英6位を記録するなど、本国ではすでに知名度のある存在ですが、日本デビューは前作『TECHNOLOGY』(2018年)にて。そこもおそらく、2017年にONE OK ROCKやMAN WITH A MISSIONといった国内バンドとの共演および来日が影響したといっても過言ではないでしょう(さらに2018年にはMWAM、coldrainとも共演済み)。
約3年8ヶ月ぶりに届けられた本作は、前作から引き続きジェイソン・ペリー(McFLY、KIDS IN GLASS HOUSES、THE BLACKOUTなど)&ジョン・ランカスター(BRING ME THE HORIZON、ONE OK ROCK、BLINK-182など)がプロデュース。ポストハードコアやオルタナティヴロックの影響下にあり、適度にエレクトロの味付けを施した現代的なラウドロックサウンドが展開されています。
ギターリフやその鳴らし方含め、随所から90年代後半以降のモダンメタル的色合いも感じられ、至るところから“DEFTONES以降”や“LIMP BIZKIT以降”、あるいは“LINKIN PARK以降“のテイストがにじみ出ている。また、プロデューサーの手腕によるものだと思いますが、全体を覆う質感は最近のBMTHと共通するものが見つけられる。そういった意味ではフォロワー感の強いバンドのようにも思えますが、1つひとつの楽曲の仕上がり、作り込みが同系統のバンドよりも優れていることもあってか、不思議と最後まで飽きずに楽しめるんです。
個人的なツボは「One True Prince」や「Anaheim」といった中盤の流れかな。それこそ先に挙げた数バンドのうち、DEFTONES的ダークさとBMTH的モダンさが程よいバランスでブレンドされており、そこに親しみやすいメロディが乗っている。タイトなバンドサウンドも非常に気持ちよく響き、それこそヒットチャートを賑わすダークポップとの共通点も豊富に見受けられるし、国内ラウドロックのリスナーにも引っかかる要素がたくさん含まれているような気がします。
見方によっては商業的な存在……ひと昔、いやふた昔前なら産業ロックとレッテルが貼られるようなタイプのバンドかもしれません。しかし、楽曲の質とアルバムの内容、そしてライブパフォーマンスが良ければすべてよし。この3要素のうち、僕はまだライブだけ体験できていませんが、映像などで目にする限りでは合格点を与えられる存在なので、ぜひ機会があったら観てみたいです(というか、このアルバムの楽曲をどうライブで表現するのか非常に楽しみ)。
なお、海外から1ヶ月遅れてリリースの日本盤にはボーナストラックとして「Action (feat. Taka Moriuchi, Tyler Carter, Caleb Shomo & Tilian Pearson)」「Half Man Half God」の2曲を追加。ともに2019年に配信された楽曲で、前者にはONE OK ROCKのTaka、当時ISSUESのタイラー・カーター、BEARTOOTHのケイリブ・ショーモ、DANCE GAVIN DANCEのティリアン・ピアーソンというモダンヘヴィ/ラウド系を代表するバンドのフロントマンがゲスト参加しています。
当時もかなり話題になった1曲なので、ぜひこの機会に日本盤アルバムを手に入れておくことをオススメします。
▼DON BROCO『AMAZING THINGS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)