2017/07/22

DEAD BY SUNRISE『OUT OF ASHES』(2009)

LINKIN PARKのチェスター・ベニントン(Vo)が現地時間7月20日朝、ロサンゼルスの自宅で亡くなっているところを発見されました。自殺だったとのことです(詳細はこちら)。LINKIN PARKは来週から新作『ONE MORE LIGHT』を携えた北米ツアーも控えており、そのうちの数ヶ所には11月の来日公演で共演するONE OK ROCKがゲスト出演する予定でした。

11月の来日公演には僕も足を運ぶ予定だったので、ぶっちゃけ驚きを隠しきません。いや、ショックといったほうが正しいか。深夜にこの報せを受け、そのまま眠れずに朝を迎えてしまったのですから。

ふとLINKIN PARKの音源を手にとってみようとしたら、しばらく聴いていなかったこのアルバムが目に入りました。そういえば、これはまだ取り上げてなかったな……今日はチェスターのソロプロジェクト・DEAD BY SUNRISE唯一のアルバム『OUT OF ASHES』(2009年)を紹介することにします。

このプロジェクトは2005年頃に立ち上げられ、LINKIN PARKの3rdアルバム『MINUTES TO MIDNIGHT』(2007年)のレコーディング開始前にこの『OUT OF ASHES』を制作したとのこと。プロデューサーにハワード・ベンソン、制作パートナーに元ORGYのギタリスト2人、ライアン・シャックとアミア・デラクを迎え本作を完成させました。作風的になんとなく『MINUTES TO MIDNIGHT』で聴けるストレートなサウンドは、すでにこのDEAD BY SUNRISEを立ち上げた時点から決まっていたのですね。

とはいえ、LINKIN PARKとDEAD BY SUNRISEはボーカリストとソングライター(の一部)が一緒というだけで、バンドとしては別モノ。特にこのDEAD BY SUNRISEはヒップホップ色皆無ですし、よりダークさが強まっている印象があります。ゴシック的なダークさではなく、90年代初頭のグランジあたりに蔓延していたダークさと言ったほうがわかりやすいでしょうか。

適度にプログラミングなどを導入していますが、基本的にはギターを軸にしたハードロック。本作でのチェスターは激しさよりも、歌をじっくり聴かせることに注力しているように感じられます。「Crawl Back In」でのグランジ的作風はLINKIN PARKにはないラフさがあるし(これがのちのSTONE TEMPLE PILOTS参加につながるとは、当時は思ってもみませんでしたが)、バラード調の「Give Me Your Name」で美しい歌声を聴かせたかと思えば、続く「My Suffering」や「Condemned」では初期LINKIN PARKを思わせるスクリームを響き渡らせる。「Inside Of Me」みたいにLINKIN PARK的な楽曲もあるけど、それ以上に耳に残るのは、「Let Down」や「Into You」、そして「In The Darkness」のようなムーディーな歌モノ。同じシンガーによる2つのバンドの比較は避けきれませんし、それによってファンは本作を「LINKIN PARKより劣る」と判断してしまうかもしれません。実際、自分もリリース当時はそう感じたんですから。

でも、久しぶりに聴いてみたら(チェスターの死を抜きにしても)しっかり楽しめる1枚になっていた。これってもしかしたら、LINKIN PARK自体の方向性が少しずつDEAD BY SUNRISEに歩み寄っていたのもあるのかも……なんていうのは、言い過ぎでしょうか?

結果的には1回こっきりのプロジェクトで終わってしまいましたが、この続きがもしあったのなら……いや、“たられば”はやめておきましょう。今は彼が残した数々の名作に浸ることにしましょう。



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投稿: 2017 07 22 12:00 午前 [2009年の作品, Dead By Sunrise, Linkin Park, Orgy] | 固定リンク

2017/07/17

ORGY『CANDYASS』(1998)

1998年晩夏にリリースされたLA出身のヘヴィロックバンド、ORGYのメジャーデビューアルバム。インダストリアルの要素を取り入れたそのサウンドについて、本人たちは“デス・ポップ”と呼んでいたようですが、正直どこまで定着していたかは不明です。ただ、“乱行パーティ”を意味するそのバンド名、KORN主宰レーベル「Elementree Records」からのデビュー、そしてNEW ORDERの名曲中の名曲「Blue Monday」をカバーしたことが大きな話題となり、本作は全米32位、100万枚を超えるヒット作になりました。

インダストリアル調のリズムとデジタルを同期させたバンドサウンドはどこかNINE INCH NAILSを彷彿とさせるものの、あそこまでのカリスマ性が感じられないのも事実。とはいえ、ところどころに引っかかりのあるメロディが散りばめられており、決して駄作とは言い切れない。陰鬱だけど耽美さも感じられる空気感は、同年に発表され大ヒットしたMARILYN MANSON『MECHANICAL ANIMALS』にも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。そう考えると1994年頃を起点にスタートした新世代ヘヴィロックの波が、この1998年を境に新たな方向に進み始めたと言えなくもありません。

ちなみにこのバンド、元ROUGH CUTTのアミア・デラク(G)が参加しているというのも興味深いところ。L.A.メタルが生き絶え、グランジが世の中を席巻していた時期に、アミアは時代の波に乗ってこういうことを始めたんだなと思うと、なんとも涙ぐましいものを感じてしまいます。

そんなL.A.メタル界隈の人間が絡むバンドが、NEW ORDERの「Blue Monday」をカバーしているのも、非常に味わい深いものがあります。この時期、ヘヴィロックバンドが80年代のヒット曲をカバーするのは一種の流行りみたいなものでしたが、ORGYもその流れに乗ってヒットを手にするのですから、賢いというかなんというか。このカバーがまたド直球で、嫌いになれないんだよね(アルバムの中では比較的浮いている存在なんだけど)……。

アルバムにはこのほか、KORNのジョナサン・デイヴィス(Vo)も「Revival」で共作&ゲストボーカルで参加しています。かといって作品自体はKORN界隈の一派というよりも、「NINE INCH NAILSやFILTERといったバンドが好きな人なら気にいるかも」といった内容かも。当時はハイプ的存在だったかもしれないけど、今となっては悪くないんじゃないかな。10数年ぶりに聴きましたが、リリース当時よりも素直に楽しめましたよ。



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投稿: 2017 07 17 12:00 午前 [1998年の作品, Korn, New Order, Orgy] | 固定リンク