BLACK LABEL SOCIETY『THE BLESSED HELLRIDE』(2003)
2003年4月22日にリリースされたBLACK LABEL SOCIETYの4thアルバム。日本盤は同年3月29日発売。
前作『1919 ETERNAL』(2002年)からほぼ1年という、非常に短いスパンで届けられたオリジナルアルバム。アメリカでは売り上げを前作の倍近くに伸ばし、初めてBillboard 200(全米アルバムチャート)入り(最高50位)を記録しました。
前作と何がそんなに違ったのでしょうか。ひとつは、ドラム以外のすべてのパートをザック・ワイルドひとりで担当したこと。ドラムのみ前作から参加したクレイグ・ニューネンマッハー(ex. CROWBAR)がプレイしているのですが、そもそも前作も3曲のみロバート・トゥルヒーヨ(現METALLICA)が参加したのみで、それ以外の曲ではザックがベースも弾いていたので、そこまで大きな変化というわけではない。そもそも、それ以前の『SONIC BREW』(1999年)、『STRONGER THAN DEATH』(2000年)の時点でザックはドラム以外のパートをすべてレコーディングしていたので、これに関してはただ原点に戻っただけと言えます。
では、楽曲面が大きく変化したのか。そこに関しても、前作までの延長線上にあるものなので、そこまで変わったとは思えない。ただ、楽曲の質感に関しては一聴して粗暴に思えるものの、実は洗練され始めていることにも気付かされる。ヘヴィすぎるギターリフに圧倒されるかもしれませんが、実はアレンジもかなり手が込んだものが多く、「Suffering Overdue」でのスマートな冴え渡りぶりには驚きを隠せません。どうしても似たようなヘヴィナンバーの連発で1曲1曲の差別化に苦心しそうなジャンルですが、このアルバムにおける各曲の個性の際立ちぶりからは、前作以で得た手応えが非常に大きなものだったことが伺えます。
また、アコースティック色を強めた「The Blessed Hellride」、ダークなパワーバラード調「Blackened Waters」、アーシーでセンチメンタルなピアノバラード「Dead Meadow」といった変化球もしっかり用意。さらに、自身の師匠ともいえるオジー・オズボーンがゲスト参加した「Stillborn」といった話題性の強い楽曲も含まれており、楽曲のバラエティ豊かさや充実度は過去イチかもしれません。特段変わったことや新しいことにトライしたわけではない本作、作品を重ねるごとにバンドの軸がより強靭なものへと確立されていったからこそ、特別なことをしなくても当たり前のような傑作へと昇華させることができたわけですね。それが、売り上げやチャート成績にも反映された。そう考えると、この結果は納得といいますか、ごく当たり前の評価なのでしょう。
とにかく、この時期のザックの創作意欲は尋常じゃないものがあり、翌年春には早くも次作『HANGOVER MUSIC VOL.VI』(2004年)を発表することになります。
▼BLACK LABEL SOCIETY『THE BLESSED HELLRIDE』
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