2017/09/08

OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』(1991)

1991年秋に発表された、オジー・オズボーン通算6作目のスタジオアルバム。前作『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)から参加したザック・ワイルド(G)の才能が遺憾なく発揮された、オジー史上もっともバラエティに富んだ作品です。セールス的にも全米だけで400万枚を売り上げ、ソロデビュー作『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)に匹敵するヒット作となりました。

前作では従来のオジーらしさや「BLACK SABBATHのオジー・オズボーン」のイメージを踏襲した、ハードエッジなギターを前面に打ち出した攻めの1枚でしたが、本作ではハードさはそのままに、曲によっては非常にポップでキャッチーな作風を打ち出したり、ザックの持ち味であるアメリカ南部テイストと取り入れたバラード、さらにはLED ZEPPELINの香りすらするサイケデリックな大作など、とにかく1曲1曲の個性が際立っており、まるで“おもちゃ箱をひっくり返したかのような”作品集に仕上がっております。

興味深いのは、MOTORHEADのレミーが制作に加わった楽曲が多数含まれて居ること。のちにMOTORHEAD自身もセルフカバーする「Hellraiser」のほか、今やライブの定番曲となった「I Don't Want To Change The World」、シングルヒット(全米28位)も果たしたパワーバラード「Mama, I'm Coming Home」、前作の流れを汲むハードな「Desire」の4曲で、レミーは作詞面で協力したと言われています。

また、アルバム完成後にバンドに加わるマイク・アイネズ(B/のちにALICE IN CHAINSに加入)のアイデアが生かされたアルバムタイトル曲「No More Tears」は、その後のオジーにとって大きな転機となった1曲。もちろんソングライターとしてのザックの才能によるところも大きいのですが、こういった曲を自然にやれるようになったことで、オジーは自身のルーツにあるTHE BEATLESテイストを次作『OZZMOSIS』(1995年)以降もストレートに出していくことになります。

全11曲で57分というCDを意識した大作ですが、1曲1曲の出来が優れているだけにまったく飽きないし、そういう点においてはDEF LEPPARD『HYSTERIA』(1987年)などにも通ずる魅力があるのではないでしょうか。ただ、現行のCDには日本盤初版に収録されていたボーナストラック2曲「Don't Blame Me」「Party With The Animals」が世界共通ボートラとして追加され、計66分とさらに長くなっています。2曲ともあくまで“ボーナストラック”なので、完成度はアルバム本編と比べて若干落ちますので、普段聴くぶんには11曲目「Road To Nowhere」でキレイに締めくくったほうがいいかもしれませんね。

ちなみにオジーは本作発表後、同作を携えたワールドツアー終了を持ってライブから引退することを発表。しばし隠居生活に入りますが、結局1995年にはザックを呼び戻して『OZZMOSIS』で復活宣言。ツアーにはジョー・ホルムスが参加してライブ活動を再開させるのでした。



▼OZZY OSBOURNE『NO MORE TEARS』
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投稿: 2017 09 08 12:00 午前 [1991年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2017/09/03

BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』(1970)

DEEP PURPLEが『IN ROCK』でハードロック化計画に突入するちょっと前、1970年2月13日(金)……そう、“13日の金曜日”にリリースされたのが、オジー・オズボーンが在籍するハードロックバンドBLACK SABBATHのデビューアルバム。『黒い安息日』と邦題が付けられた本作でシーンに現れた彼らは、パープルやLED ZEPPELINとともに70年代以降のHR/HMにとって礎的存在としてリスペクトされ続けています。特にサバスの場合、HR/HMシーンのみならず90年代に登場したグランジバンド(NIRVANASOUNDGARDEN、MELVINS、ALICE IN CHAINSなど)からもリスペクトされた、数少ないハードロックバンドのひとつです。

サバスというと「Paranoid」や「Iron Man」などキャッチーな曲がパブリックイメージとしてあったり、「Paranoid」「War Pigs」など名曲目白押しの2ndアルバム『PARANOID』(1970年)を名盤として挙げがちですが、この1stアルバムだってそれに負けないくらい強力な魅力が詰め込まれているわけです。まあ言ってしまえば、サバスは1stから3rdアルバム『MASTER OF REALITY』(1971年)までは本当にハズレなしなので、どれが一番かはその人の好みによって変わってくると思います。

で、このアルバム。オープニングの「Black Sabbath」のダウナーさ加減にまずは驚かされるわけですが、今やドゥームメタルやストーナーロックなどさらにダークでヘヴィでスローなメタルが多い時代なのでちょっとやそっとでは驚きません。ただ、この曲を初めて高校時代に聴いたときは、さすがに衝撃が走ったことを今でもよく覚えています。80年代育ちの僕らの世代にとって、オジーといえばあのキャラクターありきで、しかも曲調はもっとソフトでメロディアスなハードロックという印象。ライブでは「Paranoid」や「Iron Man」はやるけど、さすがにこういったダウナーな曲は当時やってませんでしたしね(サバス曲を掘り始めるのはザック・ワイルド加入以降のことですから)。

かと思えばブルースハープをフィーチャーしたブルージーな「The Wizard」、独特のグルーヴ感を持つ「Behind The Wall Of Sleep」、キャッチーなメロディの「N.I.B.」と、アナログでいうA面だけですでにおなかいっぱい状態。カバー曲の「Evil Woman」はさておき、不穏でもの哀しげな序盤からハードに展開する「Sleeping Village」、10分超の大作「Warning」、ジャズからの影響すら感じられるスリリングな「Wicked World」と、とにかく聴きどころの多い1枚となっています。

すでに1stアルバムの時点でこのバンドのスタイルが完璧に出来上がっているのが恐ろしいというか。あとはその個性をどうソリッドに研ぎ澄ますか。それが次作、次々作で完璧なまでに表現されてしまうのですから、ドラックの力ってすごいですね(たぶん間違ってると思う)。



▼BLACK SABBATH『BLACK SABBATH』
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投稿: 2017 09 03 12:00 午前 [1970年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/05/09

OZZY OSBOURNE『THE ULTIMATE SIN』(1986)

1986年初頭にリリースされた、オジー・オズボーン通算4作目のソロアルバム。参加メンバーはオジー、ジェイク・E・リー(G)、フィル・スーザン(B)、ランディ・カスティロ(Dr)。プロデュースは当時SURVIVOR『VITAL SIGNS』(1984年)、HEART『HEART』(1985年)を手がけてヒットさせたロン・ネヴィソンが担当しており、過去3作の仰々しいブリティッシュヘヴィメタルサウンドがここで一気にアメリカナイズ&産業ロック化されてしまいます。

もちろん、これは当時オジー(やマネージャーであり妻のシャロン)がこれらの作品を気に入ったことで起用したわけですが、当時はファンから酷評された記憶があります。

が、しかし。僕自身初めて聴いたオジーのアルバムが本作。そんな酷評なんて知らなかったもんだから、純粋にMTVから流れてくる「Shot In The Dark」や「The Ultimate Sin」に心奪われ、アルバムに手を出したわけです。

確かに曲によってはやりすぎってくらいにシンセを重ねているし、どこか軽薄さの感じられるメロディも存在する。でも、アルバムを通して聴くと「そこまで気にするほどか?」と思ってしまうのも事実。過去との比較で音楽を聴いているわけではないので、これはこれで純粋に楽しめる作品集なんじゃないでしょうか。

ジェイクのギタープレイも前作『BARK AT THE MOON』以上に個性が確立されていますし、ギターをかじったことがある人なら思わずコピーしたくなるリフやフレーズも多いはずです。特に「Secret Loser」はその代表的な1曲だと思いますよ。このギターソロ、本当に難しいんだよね……。

ザック・ワイドル加入以降のオジーしか生で観たことない自分は、本作からライブで耳にしたことあるのは「Shot In The Dark」。その後もほとんど取り上げられることはないんですよね。それもあってか、本作は2000年代に入ってからのリマスター版カタログから、オリジナルアルバムとしては唯一外されているという。これは噂ですが、フィル・スーザンと揉めて彼に印税が行かないようにするためなんだとか(そういえば、1997年のベストアルバム『THE OZZMAN COMETH』も、ある時期から「Shot In The Dark」が「Miracle Man」に差し替えられましたしね)。

オジーのアルバムで唯一ダブルボーカル(同じ歌声を2つ重ねる手法)じゃないとか、そのほかにもいろいろ気になるトピックはありますが、リリースから30年以上経った今聴いても、良いものは良い。それでいいじゃないですか。個人的にはオジーの作品群でかなり好きな部類です。


Ultimatesin
▼OZZY OSBOURNE『THE ULTIMATE SIN』
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投稿: 2017 05 09 12:00 午前 [1986年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/03/20

RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』(2013)

HAREM SCAREM、オジー・オズボーンと続いたので(『TRIBUTE』は3月19日に紹介しようとは決めていましたが、その前にHAREM SCAREMを取り上げるというこの流れは意図的ではありませんでした)、今回はその2つが絶妙な形で合体したRED DRAGON CARTELを紹介したいと思います。

RED DRAGON CARTELはオジー・バンドの二代目ギタリスト、ジェイク・E・リーがBADLANDSの2ndアルバム『VOODOO HIGHWAY』(1991年)以来22年ぶりに本格始動させたバンドRED DRAGON CARTELの1stアルバム。日本では2013年12月、海外では2014年1月にリリースされています。アルバムではHAREM SCAREMのドラマー、ダレン・スミスが大半の楽曲でボーカルを務めていますが、4曲でゲストボーカルも採用。「Feeder」にはロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、「Wasted」にはポール・ディアーノ(元IRON MAIDEN)、「Big Mouth」にはマリア・ブリンク(IN THIS MOMENT)、「Redeem Me」にはサス・ジョーダンと男女/ジャンル問わずさまざまなシンガーがジェイクの楽曲を歌っています。

1曲目「Deceive」の冒頭、オジーの「Bark At The Moon」を彷彿とさせるカミソリギターリフに歓喜したHR/HMリスナーは非常に多いのではないでしょうか。僕も間違いなくそのひとりで、それにつづくダレンのハスキーなボーカル含め非常にカッコよくて「これは期待できる!」とすぐに確信。もちろんその確信に間違いはなく、曲によってはインダストリアル調のアレンジを含むものもありますが、基本的にはジェイクのキャリアを知っている人なら納得できるものばかりでした。しかもBADLANDSで傾倒したブルースロックではなく、オジー・バンド在籍時を思わせる楽曲やプレイも豊富で、「ようやくこっちの畑に戻ってきてくれた!」とアルバムを聴き進めるうちに頰が緩んでいったものです。

「Wasted」でのモダンなアレンジはどことなく最近のオジーにも通ずるものがあるし、「War Machine」なんて完全にBLACK SABBATHリスペクトなアレンジだし。そりゃそうだ、本作のエグゼクティヴ・プロデューサー&ミキサーはオジーの近作を手がけるケヴィン・チャーコなんだから。それにザックはオジーの代表作『BARK AT THE MOON』(1983年)、『THE ULTIMATE SIN』(1986年)のメインソングライターでもあるわけで、“オジーっぽさ”がゼロなわけない。ダレンがライブでもボーカルを務めていることから、この形態がバンドとしては正しいんだろうけど、アルバム制作時はそこまでパーマネントなものとしては考えてなかったから、こういう作品になったのかもしれないですね(そのダレンも一時、バンドを脱退していますし。ますますバンド感が薄いような)。

オジーやサバスが好き、特にジェイク時代が好きという人なら間違いなく気に入る1枚。オジーっぽい曲を女性ボーカルが歌うと……という興味深い試みも楽しめますし。バンドっぽさは本当に希薄だけど、HR/HMファンならジェイク・E・リーというアーティストの実験の場として素直に受け入れられるはずです。



▼RED DRAGON CARTEL『RED DRAGON CARTEL』
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投稿: 2017 03 20 12:00 午前 [2013年の作品, Badlands, Cheap Trick, Harem Scarem, Ozzy Osbourne, Red Dragon Cartel] | 固定リンク

2017/03/19

OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』(1987)

このアルバム『TRIBUTE』の主人公、ランディ・ローズというギタリストは今から35年前の今日、突然この世から去ってしまいました。僕がHR/HMを聴き始めるちょっと前の出来事で、僕がオジー・オズボーンというHMアーティストを知ったときにはすでにその隣にはジェイク・E・リーという日系ギタリストが立っていました。

『TRIBUTE』は1987年3月19日、まさにランディが亡くなってから5年経ったその日にリリースされた2枚組(アナログのみ。CDは1枚)ライブアルバムです。実は僕自身オジーの作品に関して、当時はまだリアルタイムで発表されたアルバムしか聴いておらず、この『TRIBUTE』を通じて初めて『BLIZZARD OF OZZ』や『DIARY OF A MADMAN』の楽曲に触れました。いや、もしかしたら一部のBLACK SABBATHナンバーもここで初めて聴いたのかな。ちょっと記憶があやふやですが。あと、オジーのライブではおなじみ、オープニングSEに使われているあのクラシッックナンバーが、カルミナ・ブラーナの「おお、運命の女神よ(合唱)」だと知ったのは、もうちょっと時間が経ってからのことでした。

ボーカルに関してはオジーがあとからダブルで録り直していますが、そのほかの演奏に関しては(特にギターパートは)無修正。ところどころにミスも見られますが、それがライブならではの緊張感を生み出しており、他のオジーのライブ作品とは異なる空気感を作り上げています。

楽曲に関しては、今さらここで書くまでもないでしょう。名曲しか入っていません。そんな中でも特に「Mr. Crowley」は、オリジナルのスタジオバージョンを超える仕上がりだと思います。僕が『TRIBUTE』を先に聴いてしまったからというのもありますが、『BLIZZARD OF OZZ』でのスタジオバージョンはちょっと物足りないような……って贅沢言ってますね。

圧巻なのは、「Revelation (Mother Earth)」〜「Steal Away (The Night)」の組曲的構成と、それに続くトミー・アルドリッジのドラムソロ、そこからランディの長尺ギターソロを含む「Suicide Solution」でしょうか。この山場があるから、そのからサバス3連発(「Iron Man」「Children Of The Grave」「Paranoid」)でライブ本編を大盛り上がりで締めくくれるわけです。

そうそう、本作には唯一のスタジオトラックにしてレア音源の「Dee (Randy Rhoads Studio Out-takes)」が、アルバムの最後に収録されています。『BLIZZARD OF OZZ』に収録されているクラシックギターのインスト「Dee」のアウトテイクなわけですが、ギターを爪弾きながらところどころで飛び出すランディの生声になぜか涙腺が……本来なら世に出すべき音源ではないのかもしれませんが、このテイクがラストに置かれることで温かい気持ちでこのアルバムを聴き終えることができる、絶対になくてはならない音源なのです。

このアルバム、最初はレンタルで借りたんだよね。しかもレコードだったなぁ……いつ聴いたんだっけ。中学卒業したあとの春休み? それとも高校に入学してから? それは記憶が定かじゃないんだけど、間違いなくこの年よく聴いたアルバム(というかカセット)のひとつでした。そして今でもパソコンやスマホの中に必ず入っているアルバムのひとつでもあります。

今日は『TRIBUTE』だけじゃなくて、『BLIZZARD OF OZZ』も『DIARY OF A MADMAN』も聴き返してみようかな。



▼OZZY OSBOURNE『TRIBUTE』
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投稿: 2017 03 19 12:00 午前 [1987年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/02/22

OZZY OSBOURNE『SCREAM』(2010)

2017年2月現在、オジー・オズボーンの最新オリジナルアルバムが本作『SCREAM』。2010年6月にリリースされ、全米4位を記録しました。前作『BLACK RAIN』(2007年)ではザック・ワイルドがギターおよびソングライティングで参加していましたが、本作からFIREWINDのガスG.が正式加入。ソングライティング面での貢献度はゼロですが、レコーディングではザックとはひと味違ったヘヴィ&ワイルドさをアピールしています。

プロデューサーは前作『BLACK RAIN』も手掛けたケヴィン・チャーコ。彼はPAPA ROACHやROB ZOMBIE、FIVE FINGER DEATH PUNCH、IN THIS MOMENT、DISTURBEDなどのプロデュースやソングライティングで知られる人で、そのラインナップからもわかるようにとてもモダンな作風を信条とする方です。事実、オジーの前作『BLACK RAIN』はそのひとつ前のオリジナルバム『DOWN TO EARTH』(2001年)とも異なる、モダンなヘヴィロックが軸になっていました。どこかBLACK SABBATHを思わせるような楽曲が“まんまサバス”にならなかったのは、彼の手腕によるところが大きかったと思います。

そのケヴィンは『BLACK RAIN』同様、今作『SCREAM』でもメインソングライターとして制作に参加。ほぼすべての楽曲をオジーとのコンビで書き上げ、残りの数曲はオジー&ケヴィンとアダム・ウェイクマン(YESのリック・ウェイクマンの息子)のトリオで制作しています。ザックのカラーがなくなったことで、モダンな中にもそこはかとなく感じられたアーシーさは今作では減退。「Life Won't Wait」には若干ザック在籍時の匂いが残っている気がしますが、ザックのアーシーサよりもオルタナ感のほうが優っているかなと。

「Let Me Hear You Scream」みたいにドライヴ感の強い楽曲もあるにはあるけど、アルバムの軸になるのはミドルテンポで重苦しいサウンドを持つナンバー。オープニングの「Let It Die」はまさにその象徴といえる1曲だし、不穏なイントロとギター&ドラムのユニゾンリフが気持ちいい「Diggin' Me Down」などは“2000年代のオジー”だからこそできる楽曲かなと。かたやBLACK SABBATHでは王道感の強いHR/HMに挑み、かたやソロでは同時代性を大切にしたヘヴィメタルにチャレンジする。これが(リリース当時)60歳を超えたジジイのやることかよと。ただただ脱帽です。

そして、こういうモダンなサウンド&楽曲だからこそ、ガスG.のギターワークが活きるというのも納得。ザックが弾いていたら、もっといなたくなっていたんでしょうね(まぁそもそもザックが弾く時点でソングライティングにも携わるだろうから、こんな作風にはならないでしょうけど)。このアルバムから早7年。BLACK SABBATHの活動終了を経て、オジーはスティーヴ・スティーヴンスなどとソロアルバムの準備をしていると聞きます。それがソングライティングのみなのか、はたまたレコーディングにも参加するのか。そしてガスG.の処遇はいかに。なんにせよ、早く“2017年のオジー・オズボーン”が聴きたいし、生で観たいものです。



▼OZZY OSBOURNE『SCREAM』
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投稿: 2017 02 22 12:00 午前 [2010年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2017/01/13

OZZY OSBOURNE『NO REST FOR THE WICKED』(1988)

オジー・オズボーンにとって通算5枚目のオリジナルアルバム『NO REST FOR THE WICKED』は、1988年に発表されました。前任ギタリスト、ジェイク・E・リーの脱退を経て、1987年春にランディ・ローズ時代のライブ音源を収めた『TRIBUTE』を発表。そういったブランク期間に行われたオーディションを経て加入したのが、加入当時20歳だったザック・ワイルド。今ではいかついオッちゃんになっちゃいましたが、当時はポスト・ランディと言わんばかりの美少年だったんですよ(ただし、ルックスのみ)。

そんなザック加入後、初のアルバムには前作から引き続きランディ・カスティロ(Dr)、古くからの付き合いとなるボブ・ディズリー(B)、ジョン・シンクレアー(Key)が参加。レコーディング終了後にはBLACK SABBATH時代の盟友ギーザー・バトラーが加わり、ツアーではサバスの1/2が揃ったことでも話題になりました。

クラシックがルーツのランディ・ローズ、日本人の血を引くジェイク・E・リー(2人の間にはNIGHT RANGERのブラッド・ギルスなどもいましたが、ここでは割愛)に続くギタリスト、ザック・ワイルドは2人とも違ったカラーの持ち主。尊敬するギタリストとしてランディの名を挙げつつも、ブルースやカントリーからの影響も強く、その色合いは作品を重ねるごとに強く表れていきます。

しかし、本作ではまだその独特な個性は完全に発揮されているとは言いがたく、あくまで「オジーが主役のアルバム」の中で、与えられた見せ場の中だけで暴れている印象。とはいえ、そのギターソロやリフワークが尋常じゃないくらいカッコいいんですけどね。オープニング「Miracle Man」冒頭のリフだけで心を持っていかれた本人(私)が言うんですから、間違いない。そこから、あのギターソロ。ああ、すげえ奴が現れたぞ、と。正直、音源だけ聴いてたらオジーの存在を忘れてしまうくらいです(いや、そんなことはないけど)。

やたらとポップで「LAメタル版オジー」と言わんばかりの前作スタジオアルバム『THE ULTIMATE SIN』から一変、そして初期2作とも異なる攻撃性を持った楽曲&サウンドはBLACK SABBATH時代のそれとも異なり、1988年という時代に非常にマッチしたものでした。そういう意味では本作、ザックという若い未成熟な個性、そしてオジーのことを熟知したランディ・カスティロ、ボブ・ディズリーなど熟練メンバーのサポートが融合することで生まれた、奇跡的な1枚なのかもしれません。

頭3曲(「Miracle Man」「Devil's Daughter (Holy War)」「Crazy Babies」)の怒涛の構成、「Bloodbath in Paradise」「Fire in the Sky」の中盤、そして「Tattooed Dancer」「Demon Alcohol」の攻めまくりな後半。とにかく空きのない構成です。だからこそ、CDでボーナストラック的なポジションの「Hero」と「The Liar」は蛇足かなという気も。楽曲自体は悪くないけど、このアルバムの中では置きどころが難しいかなと。そこだけが勿体ないと思ってます。

オジーとザックの蜜月期は、続く1991年の6thアルバム『NO MORE TEARS』でピークを迎えますが、それはまた別の機会に。



▼OZZY OSBOURNE『NO REST FOR THE WICKED』
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投稿: 2017 01 13 12:00 午前 [1988年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2017/01/08

個人的に気になるメタル系職業作家15選

先日KIX『BLOW MY FUSE』を紹介した際、知人が文中に登場したテイラー・ローズやボブ・ハリガンJr.といった職業作家に興味を持ったらしく、「デズモンド・チャイルドやホリー・ナイトあたりは調べたことあるんですが、メタル職業作家の存在すごく気になります」というコメントをいただきました。

実際、80年代後半以降、特にBON JOVIやAEROSMITHの大ヒット以降こういった職業作家の存在はメタル系アーティストにとっても欠かせない存在になっています。90年代に入ると、SCORPIONSやオジー・オズボーンといった大御所ですら採用し始めるわけですからね。それまでバンドの力だけですべてをまかなおうとしていたところ、「もっといい曲を!」というバンド自身の姿勢から積極的に、もしくはレコード会社からの圧力からイヤイヤこういったアクションに行動を移すようになったのかもしれません。

また、職業作家の楽曲をアーティストが取り上げるケースには幾つかのパターンがあり、


①作家が以前発表した楽曲をカバー。
②作家とアーティストが共作(アーティストが書いた楽曲をテコ入れする、あるいは逆のケース)。
③プロデューサーとして制作に加わり、楽曲制作にも携わる。
④作家が書いた新曲をそのまま取り上げる。


の4つが考えられるかと。現在のメタルシーンでは多くの場合②が主流だと思いますが、まれに③で大ヒットを飛ばすケースも見受けられます(AEROSMITHの「I Don't Want To Miss A Thing」など)。

そこで今回は、CDのブックレットでよく目にする作家さんをピックアップしつつ、その中から個人的にピンとくる方々をここで紹介。作家の特性を上記の①〜④で分類し、代表曲な楽曲を紹介していきたいと思います。


<70年代〜>

●ラス・バラード(特性:①②)
この人の場合は楽曲提供というよりも、彼が自身のバンドや他のアーティストに提供した曲をメタル系アーティストがカバーしたことにより、その名が知られるようになったと言ったほうがいいかもしれません。きっかけはグラハム・ボネット期のRAINBOWがカバーした「Since You Been Gone」ですよね。RAINBOWは続くジョー・リン・ターナー期にも「I Surrender」をカバーしてますし。そのRAINBOWの数年前に、当時KISSのエース・フレーリーもラス・バラッド作「New York Groove」をカバーして全米トップ20入りのヒットを記録。KISS自身も90年代に「God Gave Rock And Roll To You」を「God Gave Rock And Roll To You II」と改題してカバーしてますしね。それと今回いろいろ調べて初めて気づいたのですが、NIGHT RANGERが最初の解散前に発表したアルバム『MAN IN MOTION』からのリード曲「I Did It For Love」もラス・バラッド作。加えて、これも全然気にしてなかったんですが、BAD ENGLISHのラストアルバム『BACKLASH』収録曲「So This Is Eden」はジョン・ウェイト(Vo)、ジョナサン・ケイン(Key)との共作曲。時代的に90年代に入ってからの作品なので、世の中的に職業作家との共作が当たり前になった時期にそれまでのカバーとは違った形でのコラボレーションが実現したわけです。

代表作品:ACE FREHLEY「New York Groove」「Into the Night」、BAD ENGLISH「So This Is Eden」、GRAHAM BONNET「Liar」「S.O.S.」、KING KOBRA「Dream On」、KISS「God Gave Rock And Roll To You」、NIGHT RANGER「I Did It For Love」、PETER CRISS「Let Me Rock You」「Some Kinda Hurricane」、RAINBOW「Since You Been Gone」「I Surrender」


●リチャード(リッチー)・スパ(特性:①②④)
AEROSMITH「Chip Away The Stone」の作者として知られる彼は、もともとソングライター兼ギタリストとして活動していたアーティスト。ソロアーティストとして70年代にアルバムも発表しており、この中からジョニー・ウィンターが「Stone County Wanted Man」をカバーしています。また、エアロにはその後も楽曲提供を幾つかしているだけでなく、ジョー・ペリーが脱退した際にはレコーディングにも参加(1979年のアルバム『NIGHT IN THE RUTS』収録の「No Surprize」「Mia」)。それ以外に目立った共演は、元BON JOVIのリッチー・サンボラの2ndソロアルバム『UNDISCOVERD SOUL』での共作ぐらい。メタル系以外では、P!NKやMIKAといったアーティストにも楽曲提供しています。

代表作品:AEROSMITH「Chip Away The Stone」「Lightning Strikes」「Amazing」「Pink」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、RICHIE SAMBRA「Hard Times Come Easy」


<80年代〜>

●ジム・ヴァランス(特性:②)
この人はブライアン・アダムスとの共作者としての印象が強いですが、そのブライアンと一緒に書いた2曲がKISS『CREATURES OF THE NIGHT』に収録されたのが、メタル系との最初の接触でしょうか。その後、80年代半ばにはHEART「What About Love」の全米ヒットを皮切りに、AEROSMITH「Rag Doll」を機にエアロとの仕事が増えていきます。ちょうど80年代後半になると、ブライアンとジムの関係も一時的に疎遠になり、メタルのみならず幅広いジャンルのアーティストと共作を重ねていきます。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」「Eat The Rich」、ALICE COOPER「Die For You」「Lullaby」、HEART「What About Love」、KISS「War Machine」、OZZY OSBOURNE「I Just Want You」、SCORPIONS「Tease Me Please Me」


●デズモンド・チャイルド(特性:②③④)
BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」でのイメージが強い彼ですが、実は70年代末にKISS「I Was Made For Lovin' You」をポール・スタンレー、ヴィニ・ポンシア(KISS作品でのコラボレーションが有名なソングライター)と共作しています。なので、上の世代の方々はBON JOVIがヒットした際に「KISSのラヴィン・ユー・ベイビーの人」と思ったかもしれません。BON JOVIでの大成功後、AEROSMITH、アリス・クーパーから引っ張りだこ。そのすべての楽曲がヒットにつながっています。興味深いところではRATTの5thアルバム『DETONATOR』のプロデュースおよび楽曲制作、DREAM THEATERへの楽曲提供といったものもあります。また、HR/HM以外にもジョーン・ジェット「I Hate Myself for Loving You」、リッキー・マーティン「Livin' la Vida Loca」、ZEDD「Beautiful Now」、WEEZER「Trainwrecks」といったところでも名前をみかけます。

代表作品:AEROSMITH「Dude (Looks Like A Lady)」「Angel」「Crazy」、ALICE COOPER「Poison」、BON JOVI「You Give Love A Bad Name」「Livin' On A Prayer」「Bad Medecine」、DREAM THEATER「You Not Me」、KISS「I Was Made For Lovin' You」「Heaven's On Fire」、MEAT LOAF「The Monster Is Loose」、RATT「Shame Shame Shame」「Lovin' You's A Dirty Job」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ダイアン・ウォーレン(特性:②④)
カナダ出身の女性ソングライターで、80年代前半から作家としての活動を開始。最初にヒット曲はローラ・ブラニガン「Solitaire」でした。メタル系では80年代後半、HEART「Who Will You Run To」、BON JOVI「Wild Is The Wind」あたりで最初に名前を目にするようになったと記憶しています。が、メタルシーン彼女の名が本当の意味で知られるようになるのは、その10数年後に発表された映画『アルマゲドン』のテーマソングであるAEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」でのこと。このインパクトは強かったと思います。しかし、非メタルシーンではホイットニー・ヒューストン、ビヨンセ、マライア・キャリーといったアーティストへの楽曲提供ですでにキャリアを積んでおり、中でも「Because You Loved Me」をはじめとするセリーヌ・ディオンとのヒットは「I Don't Want To Miss A Thing」と同じくらい大きなものでした。

代表作品:AEROSMITH「I Don't Want To Miss A Thing」「We All Fall Down」、ALICE COOPER「Bed Of Nails」、BON JOVI「Wild Is The Wind」「Thank You For Loving Me」、CHEAP TRICK「Ghost Town」「Wherever Would I Be」、HEART「Who Will You Run To」「I Didn't Want To Need You」、KISS「Turn On The Night」、MEAT LOAF「I'd Lie For You (And That's The Truth)」「Not A Dry Eye In The House」、RICHIE SAMBRA「Rosie」


●ホーリー・ナイト(特性:②④)
ダイアン・ウォーレンと同時期に名前を目にする機会が増えた、同じく女性ソングライター。そして、自身もシンガーとしての活動をしています。ティナ・ターナーやパット・ベネターといったポップ/ロック系を経て、HR/HM系ではHEART「Never」が最初だったのかな。そこからAEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」でメンバーや他の職業作家と共作を繰り広げます。CHEAP TRICKやKISS、オジー、MEAT LOAFといった面々から想像される、ポップで親しみやすい楽曲作りがメイン。とはいえ、OTEPといったモダンラウド系へも楽曲提供しているから、なかなかあなどれません。

代表作品:AEROSMITH「Rag Doll」、BON JOVI「Stick To Your Guns」、CHEAP TRICK「Space」、HEART「Never」「There's The Girl」、KISS「Hide Your Heart」「I Pledge Allegiance To The State Of Rock & Roll」「Raise Your Glasses」、LITA FORD「Stiletto」、LOU GRAMM「Just Between You and Me」、MEAT LOAF「Monstro」「Alive」、OTEP「Perfectly Flawed」「UR A WMN NOW」、OZZY OSBOURNE「Slow Burn」、PAUL STANLEY「It's Not Me」


●ロバート・ジョン・マット・ラング(特性:②③④)
ソングライターというよりもプロデューサーのイメージが強い存在ですよね。古くはAC/DCやFOREIGNER、そしてDEF LEPPARD、90年代にはブライアン・アダムス、2000年代はNICKELBACKやMUSE、さらにはLADY GAGAあたりも手掛けております。主にDEF LEPPARDのメガヒット作『HYSTERIA』において、全曲にクレジットされているところから、曲作りの面においてもある程度コントロールしながらプロデュースしていくタイプなんでしょうね。他にはHEART、LOVERBOYの楽曲制作にも携わっているようです。

代表作品:DEF LEPPARD『HYSTERIA』全曲、「Promises」「It's Only Love」、HEART「All I Wanna Do Is Make Love To You」「Will You Be There (In The Morning)」、LOVERBOY「Lovin' Every Minute Of It」


●ジャック・ポンティ(特性:②③④)
BON JOVIのデビュー作に収録された「Shot Through The Heart」でその名を目にして以降は、BONFIRE、DORO、KEELとB級バンドとの仕事が多いイメージ。90年代に入るとNELSON、アリス・クーパーへの楽曲提供で再びその名を目にするようになります。彼自身はプロデューサー業も行っており、BATON ROUGEやDOROといった正統派からKITTIE、OTEPなどのモダン系まで幅広く手掛けています。

代表作品:ALICE COOPER「Hey Stoopid」「Love's A Loaded Gun」、BABYLON A.D.「The Kid Goes Wild」、BATON ROUGE「The Price Of Love」、BONFIRE「Sweet Obsession」「Hard On Me」、BON JOVI「Shot Through The Heart」、DORO「Eye On You」「Ceremony」、KEEL「Somebody's Waiting」、NELSON「We Always Want What We Can't Get」


●ボブ・ハリガン・Jr.(特性:②④)
自身もシンガーとして活動するソングライター。メタル系アーティストへの楽曲提供がメインで、JUDAS PRIESTのアルバム『SCREAMING FOR VENGEANCE』に収録された「(Take These) Chains」で始めてその名を目にした人がほとんどでは? プリーストには次作でも「Some Heads Are Gonna Roll」を提供したほか、ロブ・ハルフォードのHALFORDにも「Twist」を提供しています。また、80年代末にKIX「Don't Close Your Eyes」のヒットによって、さらに知名度を高めることに成功。90年代には自身のソロアルバムも2枚制作しているようです。

代表作品:BLUE OYSTER CULT「Beat 'Em Up」「Make Rock Not War」、BONFIRE「Bang Down The Door」、HALFORD「Twist」、HELIX「Rock You」、ICON「Danger Calling」、「Raise The Hammer」、JUDAS PRIEST「(Take These) Chains」「Some Heads Are Gonna Roll」、KISS「Rise to It」「Read My Body」、KIX「Midnite Dynamite」「Don't Close Your Eyes」


<90年代〜>

●テイラー・ローズ(特性:②④)
88年発売のKIX「Cold Blood」でその名を目にしたのが最初で、本格的に活躍し始めたのは90年代に入ってから、AEROSMITHとのコラボレーションが活発化して以降のこと。「Cryin’」というヒットシングルがひとつのきかっけになったことは間違いありません。

代表作品:AEROSMITH「Cryin'」「Blind Man」「Full Circle」、CHEAP TRICK「Back 'n Blue」、JOURNEY「All The Way」、KIX「Cold Blood」「Hot Wire」、LOVERBOY「Love Will Rise Again」、OZZY OSBOURNE「Back On Earth」、TORA TORA「Amnesia」「Faith Healer」、Y&T「Contagious」


●マーク・ハドソン(特性:②③)
シンガーソングライター、TVパーソナリティなどを経て、プロデューサーや職業作家としての道を進み始めます。AEROSMITH「Livin' On The Edge」でその名を広く知らしめ、グラミー賞も受賞しました。エアロとの仕事はアルバム『JUST PUSH PLAY』でスティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、次に触れるマーティ・フレデリクセンとのチームで「Boneyard Boys」と名乗り、プロデュースやソングライティングを行いました。他にはアリス・クーパー、オジー・オズボーン、BON JOVI、SCORPIONSと大御所ばかりと共作。他にはリンゴ・スターとのコラボレーションも有名どころです。

代表作品:AEROSMITH「Livin' On The Edge」「Gotta Love It」「The Farm」、ALICE COOPER「Cleansed by Fire」、BON JOVI「Two Story Town」、OZZY OSBOURNE「Ghost Behind My Eyes」「Denial」、SCORPIONS「No Pain No Gain」


●マーティ・フレデリクセン(特性:②③)
AEROSMITHのアルバム『NINE LIVES』で頭角を表して以降、同バンドとのコラボレーションを重ねていきます。上のマーク・ハドソンでも触れたように、スティーヴン・タイラー&ジョー・ペリー、マーク・ハドソンとの4人で「Boneyard Boys」というチームで、続くアルバム『JUST PUSH PLAY』のプロデュースやソングライティングも手掛けました。以降はBUCKCHERRY、MOTLEY CRUE、DAUGHTRYなどへの楽曲提供、DEF LEPPARD『X』のミキシングといったHR/HM系仕事のほか、キャリー・アンダーウッド、フェイス・ヒルとの共作でも知られています。

代表作品:AEROSMITH「Nine Lives」「Jaded」「Fly Away from Here」「Sunshine」、BUCKCHERRY「Next 2 You」「Sorry」、THE CULT「Breathe」、DAUGHTRY「Crawling Back To You」「Outta My Head」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」「Love Me Bad」、MOTLEY CRUE「Saints of Los Angeles」「Mutherfucker Of The Year」、OZZY OSBOURNE「Dreamer」「That I Never Had」、RICHIE SAMBRA「Who I Am」、SCORPIONS「10 Light Years Away」「We Were Born To Fly」、STEVEN TYLER「(It) Feels So Good」


●グレン・バラッド(特性:②③)
この人は90年代中盤、アラニス・モリセット『JAGGED LITTLE PILL』のプロデュース&楽曲制作で一気に名を馳せることになりますが、それ以前にもソングライターやミュージシャン、プロデューサーとしてマイケル・ジャクソン、ポーラ・アブドゥル、WILSON PHILLIPSなどの代表作に参加して経験を積んできました。アラニスの成功により、AEROSMITHが1997年のアルバム『NINE LIVES』のプロデューサー兼コラボレーターとして白羽の矢を立てるのですが、その内容に納得できずに制作途中でコラボを解消。結果的には一部の楽曲をケヴィン・シャーリーのプロデュースで再録音したり新たに楽曲を書き足したりして、現在の形にまとまるという、エアロファンには忘れられない事件を引き起こします。以降、HR/HM系アーティストとの共作はほとんどなく、エアロ以前にVAN HALENにデイヴ・リー・ロスが一時復帰した際の新曲に携わった程度でしょうか。本来ならここで取り上げるまでもない存在なのですが、トピック的に面白かったので残してみました。

代表作品:AEROSMITH「Falling in Love (Is Hard on the Knees)」「Taste of India」「Pink」、VAN HALEN「Me Wise Magic」「Can't Get This Stuff No More」


<2000年代〜>

●アンドレアス・カールソン(特性:②)
スウェーデン出身のプロデューサー、ソングライター。現在40代前半と、上記の作家陣と比べると若手の部類に入ります。ということで、彼が活躍し始めたのも2000年前後から。一番の出世作はBACKSTREET BOYS「I Want It That Way」でしょうか。彼はブリトニー・スピアーズやWESTLIFE、NSYNCと当時のアイドルを手がけることが多かったのも特徴です。そういったポップフィールドでの活躍が評価されて、2002年にBON JOVIがアルバム『BOUNCE』で「Everyday」「Misunderstood」など、DEF LEPPARDがアルバム『X』で「Unbelievable」を共作します。同じタイミングにこの2バンドが彼を採用したことで、僕も印象に残っていました。HR/HM系では他にもポール・スタンレーのソロアルバム『LIVE TO WIN』、EUROPEの異色作『LAST LOOK AT EDEN』にも参加しています。

代表作品:BON JOVI「Everyday」「Misunderstood」「All About Lovin' You」、DEF LEPPARD「Unbelievable」、EUROPE「Last Look At Eden」「New Love in Town」、PAUL STANLEY「Live To Win」「Wake Up Screaming」「Bulletproof」


●ジェイムズ・マイケル(特性:②③)
プロデューサーやソングライターとしてより、現在はニッキー・シックス(元MOTLEY CRUE)とのバンド、SIXX: A.M.のフロントマンとして有名かな。さまざまなバンドを経て、2000年にソロデビュー。ちょうどこのころにニッキー・シックスと出会い、MOTLEY CRUEのトミー・リー不在アルバム『NEW TATTOO』にソングライターとして参加します。以降は同じくニッキーが参加したBRIDES OF DESTRUCTION、そしてSIXX: A.M.へと続いていくわけです。他にはPAPA ROACH、HALESTORM、ジェイムズ・ダービンといったモダンなアーティストのほか、SCORPIONS、MEAT LOAFなどの大御所との共演も実現しています。またプロデューサー/エンジニアとしてはHAMMERFALLのアルバムも手掛けています。

代表作品:BRIDES OF DESTRUCTION「Brace Yourself」「Natural Born Killers」、HALESTORM「Private Parts」、JAMES DURBIN「Higher Than Heaven」、MEAT LOAF「Couldn't Have Said It Better」「Did I Say That?」、MOTLEY CRUE「New Tattoo」「Sick Love Song」「Saints of Los Angeles」、PAPA ROACH「I Almost Told You That I Loved You」、SCORPIONS「Hour I」、SIXX: A.M.「Life Is Beautiful」「Lies of the Beautiful People」「Gotta Get It Right」


以上、15名を独断と偏見で挙げてみました。やはり80年代中盤、アメリカでHR/HMが大ヒットしたことがメタル系職業作家の繁栄につながったと言って間違いなさそうですね。正直2000年代以降はどういった人たちが主流なのかいまいち調べきれず、こういう形になってしまいました。

改めて思ったのは、BON JOVIやAEROSMITHといった先駆者たち、そしてオジーやSCORPIONSなどの大御所アーティストが新作を出すたびにクレジットに注目しておくのが、一番手っ取り早いなと思いました。

そういう意味でも、この(↓)アルバムは歴史を変えた重要な1枚かもしれませんね。



▼BON JOVI『SLIPPERY WHEN WET』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 01 08 12:00 午後 [Aerosmith, Alice Cooper, Bon Jovi, Buckcherry, Def Leppard, Europe, Heart, Kix, Night Ranger, Ozzy Osbourne, Richie Sambora, Scorpions, Sixx:A.M., Van Halen, 「分析ネタ」] | 固定リンク

2016/08/26

「一番好きなHR/HMギターソロ」について考える(80年代〜90年代前半編)

仕事の合間だけど、現実逃避ついでに「一番好きなギターソロ」について考えてみた。あくまで主観だが、HR/HMにおけるギターソロはライブで一緒に「口ギターソロ」ができる、つまり口ずさめるものがベストだと思ってる。

最初に思いつくのはやっぱりオジー・オズボーン「Mr.Crowley」だろうか。適度に速弾きしていて、かつ口ずさめるメロディ。これ以上速くても、音数が多くてもダメ。だって弾けないもん。俺が。

そういう意味じゃEUROPE「The Final Countdown」もベスト候補。いや、こっちはシンセのメインリフのほうが印象的か。シンセのフレーズは口ずさんでも、ギターソロを口ずさむことは少な……いや、そんなことはなかった。口ずさむ。好き。

主メロ自体がリフ?なゲイリー・ムーア「Wild Frontier」も、個人的には「Mr.Crowley」と同じくらい好きな楽曲&ソロ。結局、こういうマイナーコードで泣きのメロを持つ楽曲が好きんなんだろうな。ザ・日本人。

泣きメロかつ「誰もが知ってるフレーズの引用」というドーピング感満載のACCEPT「Metal Heart」は反則。これこそ全力で日本人泣かしにかかってるだろと。

「Mr.Crowley」と同じくらい重要かつベストだと思ってるのが、KISS「Detroit Rock City」。あのクソシンプルなのに最強なツインリードは、この先何百年も語り継がれるべきだと思う。結局「コピーできそうだけどちょっと難しい」くらいの、あの絶妙なレベル感が自分の求めるギターソロなのかもしれない。あと、長すぎてもダメ。2分とか続いちゃうようなのはね、覚えられない。

……ってよくよく考えたら70年代じゃん、「Detroit Rock City」。却下却下。代わりにKISSのコピーバンド始めた頃にやってた「Crazy Crazy Nights」を挙げとく。このコンパクトだけど印象に残り、口ずさめて適度なテクニックが凝縮されてるというのは非常に重要。そういう意味じゃBON JOVIのこの時代の楽曲はほとんどこれに当てはまる。選ばないけど。

もうちょっとヘヴィな方面についても。

METALLICA「One」は随所にソロが登場するけど、後半の畳み掛けるようなソロパートは難しいながらも覚えやすいメロディがちゃんと備わっているし、この手のバンドのものとしてはベストクラスなんじゃないかなと。

逆にMEGADETH「Tornado Of Souls」までいくと、ちょっとやりすぎ感が。もちろんこれは個人的なさじ加減の問題だけど。リスニング的にはMEGADETHのほうだけど、「コピーしたくなる」という点においてはMETALLICAかなと。なかなか共感しづらいだろうけど。

PANTERAのギターソロも実はすごくメロウなものが多くて、個人的にはリフ以上に推していきたいと思ってる要素。スローな曲はもちろんなんだけど、「Mouth For War」はあのリフとグルーヴにこのソロが乗るから最強なんだと。

最後に国内のバンドからも。

80年代半ばに青春時代を過ごした人なら、きっと誰もがコピーをしたんじゃないだろうかっていうLOUDNESSから選ぶならば、やっぱり「Crazy Doctor」だろうか。「In The Mirror」も捨て難いけど。って、どっちも弾けないんだけど。

で、結局最後はEARTHSHAKER「More」に行き着くと。この呪縛から逃れられないんだな、あの時代に10代を過ごしてしまった者は。でもイントロのアルペジオのほうが印象深い? かもしれない。

以上10曲。KISS以外は結局泣きメロなんだな。わかりやすいぞ自分。

……でもさ、ああだこうだ考えたけど、結局この曲のこのソロがいろんな意味で最強かもしれないと思うんだよ。

グランジ以降、ギターソロの重要度が低くなったと言われたけど、ここまでシンプルで印象的なソロは逆にメタル脳では作れなかっただろうな。だって歌メロをそのまま弾いてるだけだし。その後の歴史を変えてしまったという意味ではとても皮肉な1曲。

90年代後半以降についても、いつか考えてみたい。10曲も挙げられるかどうか微妙だけど。

投稿: 2016 08 26 11:56 午前 [Accept, Earthshaker, Europe, Gary Moore, KISS, Loudness, Megadeth, Metallica, Nirvana, Ozzy Osbourne, Pantera] | 固定リンク

2004/10/30

洋楽カレンダー事情

 さて。今年もあと2ヶ月ってことで、新年に向けていろいろ準備を始める人も多いんじゃないでしょうか。カレンダーもそのひとつですよね。わざわざ買う人もいれば、他所から貰ってきたもので済ます人もいる。人によってその重要度が全然違う一品ですが‥‥洋楽ファンにとってのカレンダーってどうなんでしょう? ビートルズくらい? いや、ブリトニー・スピアーズとかあの辺の女性シンガー系はあるんでしょうけど‥‥

 というわけで、海外制作の、日本からすれば「そんなアーティストのカレンダーなんかあるのかよ!?」みたいなものを幾つか紹介します。全部Amazonで買えるようになってますよー。



▼INCUBUS 2005 CALENDER(amazon



▼KISS : ROCK THE NATION 2005 CALENDER(amazon



▼OZZY 2005 CALENDER(amazon



▼PANTERA 2005 CALENDER(amazon


▼ROB ZOMBIE 2005 CALENDER(amazon



▼SLIPKNOT 2005 CALENDER(amazon



▼SYSTEM OF A DOWN 2005 CALENDER(amazon


 つーかSYSTEM OF A DOWNのカレンダーって需要あるのか!? オジーは判るけど。意外とMETALLICAとかあってもおかしくないんだけどさ、やっぱり版権問題かしら!?

 さて、貴方の心に響くカレンダーはあったでしょうか‥‥誰か俺用にSLAYERカレンダーとか作ってください(特に初期)。

投稿: 2004 10 30 02:56 午前 [Incubus, KISS, Ozzy Osbourne, Pantera, Rob Zombie, Slipknot, System of a Down] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/26

とみぃ洋楽100番勝負(38)

●第38回:「Mr.Crowley」 OZZY OSBOURNE ('80/'87)

 もうひとり忘れてた、オールタイムで好きなギタリスト。そう、ランディ・ローズね。唯一亡くなっている人だけにさ、もうその動向を追うなんてことは出来ないわけだけど‥‥やっぱり彼がオジーの元に残した2枚のオリジナル・アルバムと、この「TRIBUTE」というライヴ盤は、ホントに一生ものだと思うんですよ。

 オジーとの出会いは意外と遅くて、俺。多分「BARK AT THE MOON」が出て1年以上経ってからだと思うわ‥‥だってさ、あのルックスがね、子供心にマジで怖くて。本当に悪魔なんじゃなかろうか、と。そんなわけないんだけどさ。で、その後の「THE ULTIMATE SIN」は、単純に曲が気に入って、アルバムは結構聴いてた。ジェイク・E・リーのギタープレイも好きだったし。

 けど‥‥この「TRIBUTE」で初めてランディのプレイに接したんだけど‥‥感動した。いや、速弾きがどうこうっていうんじゃなくて、そのクラシカル且つメロディアスなギタープレイに。ライヴだけにラフな部分も目立つんだけどさ、それ以上にリフワークとソロプレイの対比がね、本当に感動的に凄かったわけ。

 ほら、ソロイストって意外とリズムプレイ(メインリフじゃなくて、歌のバックでのリズムプレイ)が印象薄い人多いじゃない。スティーヴ・ヴァイみたいに終始ソロプレイみたいな人は別として‥‥やっぱりエディ・ヴァン・ヘイレンくらいしか思い浮かばなかったのね、当時そういう人って。だからこそ、ランディのプレイには目から鱗だったわけ。

 特にさ、この "Mr.Crowley" でのソロは、全ギタリスト必聴なプレイが満載なんですね。俺もコピーしたもん、出来もしないのに。勢い余ってスケールアウトする箇所もあるんだけど、そんなのお構いなし。とにかく若さ故の勢いでカバー。勿論しっかり計算されているわけですが。

 この頃(高校1〜2年)、本気で「HM/HRが世界で最も高等な音楽」だと信じてたもんな、俺。そのくらい染まってたわけですよ、ハイ。



▼OZZY OSBOURNE / RANDY RHOADS「TRIBUTE」(amazon

投稿: 2004 09 26 12:00 午前 [1980年の作品, 1987年の作品, Ozzy Osbourne, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/05/23

OZZY OSBOURNE『DOWN TO EARTH』(2001)

6年待ってこれかよ‥‥リリース当時の偽らざる気持ちが、これ。いや、リリース前にラジオで聴いたアルバム1曲目 "Gets Me Through" を聴いた時は、確かな手応えを感じたんだけど‥‥

世間的にラウドロック/ヘヴィロックと呼ばれるジャンルが盛り上がっていったのが、'90年代末。そんな中実現したBLACK SABBATHの(一時的な)再結成。新曲2曲を含むライヴアルバムもリリースされたものの、オリジナルアルバムは'95年の「OZZMOSIS」以降6年以上に渡ってリリースがなかったオジー・オズボーン。今や「ヘヴィメタル界の帝王」なんて形容詞もいらない程に「HM/HRの象徴」と化した彼が、こんなに「オイシイ」時期に過去の楽曲を再録音したものを出してお茶を濁すなんて‥‥いや、それを時代が求めていたことも重々承知してるよ。けどさ‥‥やっぱり俺達は「新しいオジーの曲」「カッコいい最新型のオジー」が聴きたかったわけじゃない、違う?

メンバーが流動的で固定されないまま突入したレコーディングは長期に渡ったようですが(というか、ソングライティングに関してもかなりいろんな外部ライターと作業をしたようですね)、最終的に21世紀に入った2001年10月に、ようやくリリースされたのがこの「DOWN TO EARTH」。そしてリリースされたアルバムを手にして感じたのが、最初の行。

プロデューサーにメタル畑以外からの人選(U2、THE CURE、デヴィッド・ボウイのTIN MACHINE等を手掛けるティム・パーマー)という時点で、個人的には嫌な予感がしてたんだけど‥‥うん、正直に書くね。俺にとっては、オジーがリリースしたソロ・アルバムの中で、一番印象が薄い、一番つまらないアルバムがこれ。勿論、その辺の2流バンドのアルバムと比べれば雲泥の差なんだけど(クオリティー的には非常に高いとは思いますよ、このアルバム)、けどさ‥‥誰が今のオジーにカッチリ作り込まれた品の良いアルバムを期待する?

まずさ、このアルバム最大の失敗点って、アルバム制作前までにバンドを固定しなかったことだと思う。「OZZMOSIS」の時もいろんなソングライターと共同作業で制作してるけど、基本的にはすぐ側にザック・ワイルドという最高のギタリスト/ソングライターがいたし、更には気心知れたギーザー・バトラーというベーシスト/ソングライターもいて、新顔だけどアホみたいに叩きまくるディーン・カストロノヴォもいた。こういったメンバーがしっかり自己主張してたんだよね、アルバム内で。

ところが今回の場合、リズム隊はマイク・ボーディン(元FAITH NO MORE)とロバート・トゥルージロ(元SUICIDAL TENDENCIES、現METALLICA)を固定しながらも、ギタリストに関しては曲作りの時点ではジョー・ホームズが参加、しかしこれといったケミストリーがみられず脱退、レコーディングではバッキングをプロデューサーのティムがこなし、ソロパートと一部のバッキングをまたザックに依頼するという形。つまり、ザックは自分が書いていない曲(ギターリフ)を弾かされたり、ただソロを弾くために呼び戻された、と‥‥こんな作業にケミストリーが生まれると思う?

そりゃね、確かにザックのプレイは凄いですよ。彼が参加したスタジオ盤過去3作と比べれば暴れ度は相当低いですが、それでも彼のプレイに突入した途端に場の空気が一変し、緊張感が高まるし。何だろうねぇ、これ。

何度も書くけど、曲は決して悪いとは思わないのよ。そりゃさ、一流のソングライターが山ほど参加してるんだもん。スコット・ハンフリー(MOTLEY CRUEやROB ZOMBIE等のプロデューサー)、ジェフ・ニコルズ(BLACK SABBATHのキーボード等)、マーティ・フレデリクセン(AEROSMITH等で有名)、ミック・ジョーンズ(FOREIGNER)、アンディ・スターマー(元JELLY FISH。現在は日本のPuffyのプロデュース/ソングライターで有名)、ダニー・セイバー(元BLACK GRAPE。UKロック/ダンス系プロデュース/リミックスで有名)といった名前が共作者として並び、更に今回アルバムに収録されなかった曲ではデイヴ・グロール(元NIRVANA、現FOO FIGHTERS)、マイク・マクレディ(PEARL JAM)、そしてザック・ワイルドの名前もあったそうで‥‥勿体ない。それ全部ザックのギターを全面的に導入して再録音してさ、今から出そうよ、ねぇ‥‥

まぁそういった錚々たるメンツによる楽曲だけど、最終的にどれも「オジー印」の楽曲に仕上がっているのは、もはや「オジーが歌えば全部オジーの曲に聞こえる」という事実の象徴というかなんと言うか‥‥言い方悪いけど、全部同じに聞こえてくるというのも事実でして。なんて言うかねぇ‥‥バリエーションが狭い、というか、過去の焼き直し、というか、新境地らしい新境地なしの安全パイ、といったイメージが非常に強い作品でして。冒険が少ないんですよね‥‥新しい発見も少ないし。で、それをダメ押しするかのような、没個性的なバックトラック‥‥リズム隊さ、もっと華があるはずなのに、全然普通。ベースももっとバキバキいったプレイをするはずのロバートが、完全に地味に徹してるし。そしてギターな。恐らく半分以上ティムが弾いてると思うんだけど‥‥本当につまらない。やっぱりこの人、ヘヴィメタルの人じゃないしさ、メチャメチャ普通に刻んでるだけ、という真面目なプレイが基本なのね。だからさ、ザックのプレイと思われるギターが登場すると、完全に食われる。音圧も全然違う。曲のイントロでザックが特徴あるチョーキング&ハーモニクス等で盛り上げてから歌に突入すると‥‥急にバッキングの音圧が低くなる。で、またザックのギターが入ってくると分厚くなる。プロデューサーとして、これはアリなの??

少なくともファンはオジーのアルバムに、こんな品の良い作品集は求めてないはず。もっとギトギトしたリズム隊に、ザラザラしてささくれ立ったギターが被さって、そこにダブルボーカルのオジーの声が乗る‥‥それだけで「おおっ!」ってなるのにさ。結局、オジーのことを理解してない奴、オジーに対して敬意を払えない奴と仕事するとこういう結果に終わるという、悪いお手本ですよね。ホント、これなら「THE ULTIMATE SIN」の方が100万倍も優れてると思うよ。

ミドルテンポ中心でもフックが沢山仕込まれていた前作。楽曲のバリエーションが一気に広がった結果、ソロとしては過去最高のセールスを記録した「NO MORE TEARS」。'90年代はこの2枚しかオリジナルアルバムをリリースしてないわけだけど、ホントこれらと比べるのが申し訳ない程の内容。いや、何度も書くけど曲は悪くないのよ、うん。だからね、アレンジだったりさ、制作側の熱意だったりさ、そういった要素に欠ける‥‥そう、決定的な「売り」がないんだよね。「オジーが今回も歌ってます!」ってのじゃあねぇ‥‥オジーのアルバムなんだから当たり前だし。これ聴いちゃうとさ、本気でオジーは「オジー+バックバンド」という構図で、ソロ・シンガーとしての道を歩みたいのかなぁ‥‥と心配になってきちゃうよね。まぁザックは今あの調子だし、本気で再び一緒にやる気があるのかどうか(いや、ちゃんと声さえかかれば、彼も本腰入れて仕事すると思うけどね)‥‥そしてリズム隊‥‥その後、ベースが元METALLICAのジェイソン・ニューステッドに変わったり、またまたギーザー・バトラーが出戻りしたり、かなり流動的。本気で「ケミストリー云々」とか口にしてるのか正直疑問(ま、この場合はオジーというよりも、マネージャーであり妻であるシャロンの意見が強いんだろうけど)。

あんまりさ‥‥オジーのことで悪いこと書きたくないんだけどねぇ‥‥やっぱりほら、自分にとっても「スーパースター」だからさ、どうしても常に最高でいて欲しいわけじゃない? そんな人が6年振りにアルバム出したら期待以下だったらねぇ‥‥で、ここから更に現時点で3年近く経ってるわけじゃない? その後当然のように新譜が出る気配はないし、で昨年末のあの大事故だし。今年の夏はソロとしてなのか、あるいはBLACK SABBATHとしての活動なのか現時点では不明ですが、とにかくね‥‥まだまだ現役でやる気があるなら、本当に「凄い」アルバムを期待してます。もう「良い」アルバムは今回ので十分ですから。



▼OZZY OSBOURNE『DOWN TO EARTH』
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投稿: 2004 05 23 04:29 午前 [2001年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2003/11/07

BLACK SABBATH『MASTER OF REALITY』(1971)

BLACK SABBATHが1971年8月にリリースした3作目のオリジナルアルバム、『MASTER OF REALITY』。サバス自体がその後誕生するいろんなジャンルのロックにおけるルーツ的役割を果たしているわけだけど、特にこのアルバムや続く4作目『VOL.4』はグランジだとか、後にストーナーロックと呼ばれるようになる特殊なメタル、90年代以降のラウドロックの教科書/お手本になっていると言えます。知名度からいえばセカンド『PARANOID』なんでしょうけど、やはり個人的にはこの『MASTER OF REALITY』と『VOL.4』、そして5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』をロック教則本に認定したいですね。

オジー・オズボーンの咳払い(マリファナでむせた咳払い、と言われていますが‥‥)からスロー&ダーク&ヘヴィスタートするこのアルバム、頭から名曲目白押し。いきなりミドルヘヴィな「Sweet Leat」でどんよりした空気を作り、サバスの歴史の中でも比較的ポップでキャッチーな路線に入る「After Forever」(そういえば昔この曲、バンドでカバーしたっけ。BIOHAZARDがカバーしたバージョンで)、トニー・アイオミによる30秒程度のインストナンバー「Embryo」は続く「Children Of The Grave」への序章で、かなりいい感じで盛り上げてくれます。そしてその「Children Of The Grave」。とにかくカッコイイ。曲のバックで鳴ってるパーカッションの音がまたいい雰囲気を作ってて‥‥オジーがソロになってからのライヴテイク(特にランディ・ローズ在籍時のテイクね)もカッコよかったけど、個人的にはサバスのオリジナルテイクの方が全てにおいて勝ってると勝手に思い込んでます。リズムのモタリ方とか、ギターのリフの刻み方、ちょっとしたリズムの取り方とか、全てにおいてツボ。完璧過ぎですよ。

そして後半戦は1分半程度のインスト曲「Orchid」で再スタート。アコースティックギターによる中世的でクラシカルな雰囲気がこのアルバムの世界観を更にハッキリしたものに仕立て上げてくれてます。それに続くはまたまたミドルヘヴィな「Lord Of This World」。テンポが変わる瞬間のカッコよさといったらもう‥‥そんな混沌とした世界を更に深いものにしてくれるのが、続く「Solitude」。クラシックとブルーズの融合とでもいいましょうか、とにかく暗黒の世界をそのまま音に表現したかのようなこの曲、サバスのスローナンバーの中でも俺内で1~2を争う程好きなんですよ。絶対にマリファナなりドラッグなりをキメて作ったであろうこのサウンド、後ろでなるいろんなエフェクト音、そして独特なフルートの音色。全てが「あっち側の世界」といった印象。オジーの抑えた歌い方もまた良いし。そんな静寂を引きちぎるかのようにスタートするヘヴィリフ。アルバムラストを飾るのは名曲中の名曲、「Into The Void」。とにかくこのアルバム、頭とケツのヘヴィさといったらパンパじゃないですよ。勿論サウンド的にいったらこれよりももっとヘヴィなサウンドはこの世にいくらでもあるんでしょうけど、音だけでなくアルバム全体に散りばめられたヘヴィさ、世界観であり空気感であり、音の隙間であり息づかいであり‥‥全てがヘヴィ一辺倒でこの『MASTER OF REALITY』を超える作品は、そうはないと思いますよ。

そういった面からこのアルバムがロック教則本として用いられているんでしょうね。METALLICAやPANTERA、カート・コバーンやビリー・コーガン、そしてMOGWAIのようなバンドまでもがサバスを愛するのは、こういった理由からなんじゃないでしょうか? もしあなたがまだサバスのアルバムに一度も触れたことがないというのなら、悪いことは言いません。まずはこのアルバムからスタートしてみましょう。



▼BLACK SABBATH『MASTER OF REALITY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2003 11 07 12:00 午前 [1971年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2001/10/31

BLACK SABBATH『REUNION』(1998)

オジー・オズボーン在籍期BLACK SABBATHとしては過去にも非公式ながら『LIVE AT LAST』があるし、ディオ時代には『LIVE EVIL』があるし、トニー・マーティン期も(日本盤は出なかったが)ライヴビデオ+ライヴCDのボックスが出ていた。そう考えると、約30年のキャリアでライヴ盤4枚というのは、決して少ない方ではない。ツェッペリンなんて映画のサントラとはいえ、約10年のキャリアでたった1枚しか出ていないわけで、DEEP PURPLEは‥‥どれだけ出てるのか知らない(苦笑)。とにかく、オジー在籍時の、ちゃんとしたライヴ盤はこれまで正式にはリリースされていなかったし、97年の復活以後唯一の音源(2001年10月現在)としてだけでなく、初期のベスト盤としても手軽に聴ける構成となっている2枚組ライヴアルバム。

収録は1997年12月5日、イギリスはバーミンガムにあるNECシアター。曲数や収録時間(16曲、約2時間)から、ほぼノーカット状態と思われる。収録曲に関しては、ファースト~5作目がメインになっていて、そこに「Dirty Women」なんて意外な曲も含まれている辺りに、彼らの本気振りが伺える‥‥かも(笑)。

ちょっとしたプレイのミスは修正されているかもしれない。更に、知っている方も多いと思うが‥‥オジーはスタジオ盤だろうがライヴ盤だろうが、必ず「ダブル・ボーカル」方式で録音する。つまり、一度唄ったモノに、更にもう一度同じモノを唄って被せる事を指す。これによってボーカルに自然と厚みが加わったり、また同じ事を二度唄っても微妙にズレるので、自然なコーラス/ディレイが得られたりする。スタジオ盤のみならず、ライヴ盤でもライヴ音源にスタジオで更にボーカルを重ねるわけだ。つうわけで、オジーのライヴ盤ってのはある意味、正真正銘の「実況中継盤」ではなく、ひとつの「作品」として語られるべきなのかもしれない(試しにMC部分と歌の部分の声を聴いてもらいたい。声の厚みや録音の違いが明らかだろう)。けどまぁ、今時修正のないライヴ盤の方が少ないのだし、そこまで気にして聴く人も少ないのかもしれない。余談だが、KISSなんてギターは全部スタジオで弾き直したものと差し替える、なんて話もある程だし(ステージで動き回る分、ミスや余計な音が入っている事が多いので、キチンとした作品として仕上げるために修正するそうだ)。

まずアルバムを聴いて驚くのが、歓声の大きさだろう。まぁこれはスタジオで調整して大きくしてるんだろうけど‥‥それにしても、この大合唱は何だろう? 1曲目「War Pigs」でのオジーと観客の掛け合いときたら‥‥まず間違いなく、ここ日本ではこんなの、無理だろう。一体「War Pigs」や「Iron Man」の歌詞をそらで唄えるファンがどれだけいるだろうか? 間違いなく1万人もいないはずだ。逆に武道館や横浜アリーナで大合唱が起きたら、俺は号泣+糞尿垂れ流し状態で感動するだろうね、きっと(爆)。まぁ冗談はさておき、この事実だけでも如何にBLACK SABBATHというバンドが欧米で認知されているか?がお判りいただけるだろう。途中のMCで熱狂的なファン?の叫びをそのまま収録しているが、これが全てなんだろう。単純にサバスとしての人気、それにプラスしてオジー・オズボーンとしての人気。最強じゃない?

そして、新曲‥‥オリジナルサバスとしては‥‥約20年振りの新曲ということになるのだが‥‥これが‥‥別にオジー名義でも何ら問題がない程度の楽曲とでもいうか‥‥確かに「サバスらしい」楽曲と見ることもできる。が、オジーがサバス脱退後、如何にサバスから離れたサウンドを繰り広げるか、如何に幅広いロックを聴かせるかという命題と戦ってきた結果、オジーが唄えば全て「OZZY OSBOURNEのサウンド」となってしまうわけで、今更「BLACK SABBATHとしての純粋な新曲です」と言われても、単純にバックトラックが変わっただけ、サウンドが変わっただけというようにしか思えない自分がいたりする。勿論、約20年振りにサバスとしての新曲を発表という事実には興奮したりもしたが、実際にその楽曲を前にすると、先に感じたような興奮を感じないのもまた事実だったりする。それだけ自分自身にとって「BLACK SABBATHの新曲」というのはハードルが高いものなのかもしれない。ただ、フォローする訳ではないが、単純に「オジーが唄う新曲」と考えれば、かなり高水準の楽曲であることには間違いない。

先にも書いた通り、選曲はファーストから5作目『SABBATH BLOODY SABBATH』までのベスト選曲(という表現には語弊があるだろうが、とりあえずこう言わせてもらう)ということになっている。先日、「サバスは『REUNION』1枚で十分」というような声を聞き、これに反論してる方がいた。確かに、深追いせずに手っ取り早く聴く分にはこの1枚で十分だろう。が、これ1枚でサバスの全てを解り切ったつもりになられては困る。ツェッペリンならベスト盤やBBCライヴを聴けば事足りるだろう、なんてしたり顔で言われた日にゃ、確かに俺も怒るだろう。サバスやツェッペリンというアーティストは、アルバム・オリエンテッド・アーティストなのだ。1枚のアルバムの流れ、ジャケットの神秘性等を大切にしてきたバンドなのであり、本来ベスト盤なんてものは邪道なのだ。もし上のように『REUNION』しか聴いたことがなく「サバスなんてあんなもんでしょ!?」としか思ってない方がいたとしたら、是非ファーストから5作目までのスタジオ盤をちゃんと聴いて欲しい。バンドのアーティスティックな面を本当に理解してもらうには、それが一番なのだ。

そう、あくまでこの作品は「ライヴバンドとしてのBLACK SABBATH」を伝えるのがメインであり、ベスト盤的カタログというのは二の次なのだから。



▼BLACK SABBATH『REUNION』
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投稿: 2001 10 31 12:00 午前 [1998年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2001/09/09

OZZY OSBOURNE『THE OZZMAN COMETH』(1997)

1997年11月に発表された、BLACK SABBATHから現在までのオジー・オズボーンの歴史を総括するような内容のベストアルバム。普通ベストアルバムというと「興味はあるけど聴いたことがない初心者向け」というお手軽さがあって、コアなファンには必要のない代物の場合が多いが、これはちょっと違う‥‥マニアをも唸らす音源入りなのだ。「ベースメント・テープス」と銘打たれたそれらの音源は、当時流行っていた「BBCラジオ・スタジオライヴ音源」に匹敵する、或いはそれ以上のお宝で、音は悪いものの資料価値としてはかなりのものなのでは‥‥なんて騒がれた程だ。

'70年のBLACK SABBATHのリハーサルテープだという4曲(本編のディスク1に "Black Sabbath" と "War Pigs" が、ボーナスディスクには "Fairies Wear Boots" と "Behind The Wall Of Sleep" の計4曲)が収録されているこのベスト盤。コアなサバスファンをも唸らすそれら4曲は確かに衝撃だ‥‥10分近くもある "Black Sabbath" は勿論なのだが、何よりも驚いたのが‥‥恐らくまだセカンドアルバムをレコーディングする前のリハのものだと思われる "War Pigs" だ。何せ歌詞が現存のものと全く違うのだから。国内盤には歌詞が付いているがオリジナル音源のものなので、これ程意味をなさないものもなかろう。アレンジ自体はほぼ完成型に近いのだが、唄われている内容は‥‥聞き取り難いのだけど‥‥多分当初は「War Pigs」ってタイトルではなかったのでは?と思わせる節もある。所々現在の歌詞を思わせるフレーズがあるものの、やはりどこかぎこちなさを感じさせる。非常に面白い代物だろう。

4曲全てに共通する事なのだが、演奏がスタジオテイクと比べてスローで、かなりドゥーミーな雰囲気を醸し出している。もしかしたらマリファナでラリってる状態で演奏されたものかもしれない。それとチューニングの問題。ライヴでのサバスは既に当時からチューニングをスタジオテイクよりも1音下げていたという。これは'80年に急遽リリースされたライヴ盤「LIVE AT LAST」でも確認できる。ということは、やはりこれらの音源はライヴではなく、リハーサルの音源という事になるのだろうか‥‥当のオジーでさえもこれらの音源が何時・何処で録音されたものなのか、正確には判らないという位、いい加減に録音されたものなのかもしれない。モノラルでかなりこもった音をしてるが、当時の雰囲気だけは掴めると思う。いや、ある意味この録音状態がBLACK SABBATHというバンドの体質にピッタリなのかも。

というわけで、貴重音源を含むこのベスト盤。メインディッシュはなにもこれだけではない。新曲(いや、正確には未発表曲)も含まれている。ディスク1最後に収録されている "Back On Earth" がそれで、録音自体は'95年にリリースされたアルバム「OZZMOSIS」当時のものだ。所謂アウトテイクなのだが‥‥本来は当時('97年)のバンドメンバー(ジョー・ホルムズ、ロバート・トゥルージロ、マイク・ボーディン)と共に作った曲を収録する予定だったが、時間の都合で完成にまで到らなかったらしい。しかし一説によると、ジョーの書く曲にオジーが満足しなかったという噂もある。これが結局、現在のザック・ワイルド出戻りに関係してくるのかもしれない。

で、この未発表曲だが‥‥特に可もなく不可もなくといった出来の、「OZZMOSIS」にそのまま入っていても不思議ではない、メロウな楽曲。けど特に印象に残るような曲でもないという事も付け加えておこう。これだったらボーナスディスクに日本盤のみ追加収録されている "Walk On Water" の方がいい曲のように思えるのだが(アメリカで当時流行っていたアニメ「ビーヴィス&バットヘッド」のサントラ盤に収録されていた曲)‥‥他にもこのボーナスディスクには映画「HOWARD STEIN : PRIVATE PARTS」のサントラに収録されていたTYPE O NEGATIVEとの共演曲である "Picture Of Matchstick Men" (STATUS QUOの'68年のヒット曲のカヴァー)も収録されていて、お得だ。更には'88年に行われたオジーとRED HOT CHILI PEPPERSのベース、フリーとの対談(17分)も収録されているが‥‥英語に自信のある方のみ聴いていただきたい。

以上のように、既に全アルバム持っている人に向けてはそれなりの価値がある音源が幾つか入っているので、まぁ通勤通学時に気軽に聴くには(サバスのリハテイクは気軽に聴けるような代物とは思えないが)いい1枚かもしれない。では、これからオジーを聴いてみようと思ってる人には‥‥確かに代表曲が殆ど収録されているし、コアなファンからすれば疑問の残る曲もあるにはあるが‥‥まぁオジーの歴史をかいつまんで知りたいあなたには打って付けの1枚かもしれない。ランディ・ローズ(初期オジー・ソロの立て役者であり、メタル界屈指の名ギタリスト。'82年3月に飛行機事故で亡くなっている)在籍時の音源もサバス "Paranoid" のライヴテイクも含めて5曲も収められているし(最も在籍期間の長いザック時代の6曲に次ぐ多さ)。逆にジェイク・E・リー時代が少ない気もしないではないが‥‥これから聴くって人には、約30年近い歴史を15曲で追うのだからこれでいいのかもしれない。逆に興味を持ったなら、ライヴ盤(「LIVE & LOUD」か、ランディ在籍時の名ライヴ盤「TRIBUTE」)に手を出せばいいわけだし、更にサバスに手を出せばいいだけの事だ。

最後に‥‥このレビューを書くに当たって、既に中古盤屋に売ってしまっていたこのアルバムを買い直したのだが‥‥やっぱりオジーは、俺の十代を象徴する曲ばかりで‥‥青春って感じなんだな。ドロドロしたイメージがあるかもしれないが、"Goodbye To Romance" のようなメロウなバラードもあるし(リサ・ローブがカバーしたバージョンも素敵です)、"Mr.Crowley" みたいな泣きの曲もあるし‥‥高校時代 "Crazy Train" とかバンドでコピーしたり、自身のギターの課題曲として "Bark At The Moon" のリフやソロをコピーしたのも、今となっては懐かしい思い出。聴いた事がない人。とにかく思った以上にポップだという事に驚かされると思うので、気楽に手を伸ばしてみては如何だろうか?


(2004年5月23日追記)
今回このレビューを再構築するに当たってAmazon.co.jpで現在流通しているこのアルバムを調べたら、2002年のリマスター化の際に収録曲目が見直しされてたのね。ジェイク時代の "Shot In The Dark" が削られて、代わりにザック加入後最初の "Miracle Man" に差し替えられてます。個人的には "Shot In The Dark" って大好きな曲なので、どうせならライヴでもあんまり演奏する機会のない "Crazy Babies" を削ればよかったのにね。ってそれって偏見?



▼OZZY OSBOURNE『THE OZZMAN COMETH』
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投稿: 2001 09 09 04:25 午前 [1997年の作品, Black Sabbath, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク

2001/09/08

OZZY OSBOURNE『OZZMOSIS』(1995)

“HM/HR界の「サージェント・ペパーズ」”という大袈裟な表現が似合う程、これまでのオジー・オズボーンのイメージとは異なる楽曲が多く、幅広く収録された'95年発表のソロとしては7枚目のオリジナルアルバム(ライヴやベストを除く)であり、現時点(2001年9月)に於いての最新作。この10月にはいよいよ6年振りにオリジナルの新作が発表されるそうだから‥‥もうそんな前の作品になるのか。考えてみれば、この6年の間には「OZZFEST」開始もあったし、初のベスト盤リリースもあったし、BLACK SABBATHとしての復活もあった。ソロでのバンドメンバーも度々変わり、一体現在誰が在籍してるのか判らなくなる時期もあったが、結局この6年はサバスを中心に回っていた感もあるので、気にしないこととしよう。

この「OZZMOSIS」は'91年秋に発表された「NO MORE TEARS」から4年振りに発表されたオリジナル新作。だが、ちょっとこのアルバムリリースにはいろんな意味が隠されている。まずオジーは'91年に一度、ステージからの引退を発表しているのだ。よって「NO MORE TEARS」でのツアーが最後のツアーということで、世間を騒がした。アルバムリリース1ヶ月後にここ日本からスタートしたワールドツアー(勿論、俺も武道館に足を運んだ。2階席のかなり後方だったがいい想い出だ)は約1年続き、最終日には幻のオリジナルサバス再結成も含まれていた。それらの音源を含んだ、集大成的内容のライヴアルバム「LIVE & LOUD」を'93年に発表し、オジーはそのまま隠居するのかと思われた。翌年にはBLACK SABBATHトリビュートアルバムに(トリビュートされる側にも関わらず)ゲスト参加し、同時にこの頃から「アルバム制作開始」の噂が広がる。しかも、そのパートナーとしてスティーヴ・ヴァイの名前が挙がる‥‥オイオイ(苦笑)。ヴァイはメタル向きの人間ではない。アバンギャルドなそのプレイからミュージシャン受けが良く、グラハム・ボネットやデイヴ・リー・ロス、デヴィッド・カヴァデイルといったシンガー達と活動を共にした経験を持つが、やはりメタルの人とは言い難いプレイなのだ。そのヴァイとオジーは曲作りをしたそうだ。結局、アルバム参加にまでは到らず(当然のように周囲が猛反発したと聞く)、レコーディングには旧知の仲であるザック・ワイルド(Gt)、そしてサバスでの盟友であるギーザー・バトラー(Ba)、そしてヴァイから薦められた現JOURNEYのディーン・カストロノヴォ(Dr)が参加。プロデュースにはRED HOT CHILI PEPPERSやSOUNDGARDENでお馴染みのマイケル・ベインホーン、ミックスにはALICE IN CHAINSやCATHEDRALを手掛けるデヴィッド・ビアンコという、昨今のヘヴィ/ラウド・ロックには欠かせないエンジニア陣を起用。このメンツからして、どれだけヘヴィな音になるのかワクワクしたものだ。

さて、アルバムだが‥‥ヘヴィロック一辺倒という内容ではない。確かに1曲目 "Perry Mason" がスタートすると「これぞオジー流モダン・ヘヴィネス!」なんて唸ったりもしたが、アルバムが進むにつれいろんなタイプの曲が登場する。確かにヘヴィな音像をしており、ザックのギターもこれまでで一番ヘヴィだし、ギーザー&ディーンのリズム隊もモダンで重心の低い音を出す。けど、メロディーは相変わらずポップだし、サバスのヘヴィネスと比べるとどこか違う。よりモダンというのもあるが‥‥バックの演奏は確かに'95年当時のヘヴィロックなのだが、歌はいつものオジー。この絶妙な組み合わせが独特な味わいを出しているのだ。

このメンツじゃなきゃ作れなかったであろう超ヘヴィネスな "Thunder Underground" や "My Jekyll Doesn't Hide" のような曲もあれば、バラード "See You On The Other Side"、"Old L.A. Tonight" もある。サイケな "Ghost Behind My Eyes" や "Denial"、スティーヴ・ヴァイとの共作でやはりサイケテイストな "My Little Man"、歌モノポップスとしても通用しそうな(それでいてバックはHMな)"I Just Want You"‥‥これまでもHM/HR一辺倒というわけではなかったが、ここまでカラフルなアルバムは初めての事だ。前作「NO MORE TEARS」の時点でその前兆は見え隠れしていたが、ここまで本格的にやるとは‥‥本来はライヴなんて想定していなかったはずで、あくまで「スタジオ作品」として作られたはずなのだ。しかし、いつの間にか「ライヴからの引退、撤回」発言まで飛び出し、当然のようにこのアルバムでツアーにも出るわけだ(苦笑)。残念ながらというかやはりというか、ライヴではこのアルバムからの曲は数曲しか披露されなかったようだ。オジーのライヴは、基本的にはグレイテスト・ヒッツ的内容となっていて、新作からは2~3曲という事が多い。サバス時代~ソロまでの全作品から選ばれるわけだから、仕方ないと言われればそれまでだが‥‥個人的にはこのアルバムの楽曲の完全再現ライヴを観たかった。

オジーという人がBEATLESを好きだという事はファンの間では周知の事実で、実際これまでもそういう要素は所々に見受けられた。しかし、このアルバムのように本来は「ライヴを想定せずに作られた、スタジオワークの結集的」作品でその才能が開花するとは思ってもみなかっただろう、ファンも本人も。けど、やっぱりヘヴィメタルの人というか、その音像はメタル以外の何ものでもなく、バンドサウンドに拘っている。いや、もしかしたら楽曲作りの段階で、既にライヴを想定していたのかもしれない。ザック・ワイルドという類い希なるプレイヤー/コンポーザー/パフォーマーと共に曲作りを進め、そこに旧友ギーザー・バトラーが加わった時点で。個人的には、このメンツは最強だと思っていた、が‥‥ツアーに出れるのか出れないのかをザックに問いただすと、当時GUNS N'ROSESにも声をかけられていた彼は結局両天秤にかけ、それをオジーが激怒し、結局他のギタリスト(ジョー・ホルムズ)を起用する。そしていざツアーを開始すると、ディーンのドラムがうるさすぎるとの事でクビ(笑)、代わりに旧知のランディ・カスティロ(後にMOTLEY CRUE加入するも2002年5月、癌で死去)を起用することとなる。その後サバス復活の件もあってギーザーも抜け、ベスト盤('97年)に伴う日本ツアーでは何故かザック、ランディ、そして現ALICE IN CHAINSのマイク・アイネズという、「NO MORE TEARS」ツアーのメンツでの来日となった。結局その後、再びジョーが復帰し、ドラムは元FAITH NO MOREのマイク・ボーディン、ベースには元SUICIDAL TENDENCIESのロバート・トゥルージロを起用する事となる。

そういえば、このアルバムはオジーの歴史上、最も高順位に位置したアルバムである(米・ビルボード紙のアルバムチャートで初登場4位)。これまでもトップ10入りは何度か果たしていたが、4年のブランク後にこの結果‥‥しかも時代はヘヴィ/ラウド・ロック全盛時代。如何にオジーがメタル界だけでなく、多くのロックファンに復活を願われていたかが伺える象徴のひとつかもしれない。そしてオジーは、このアルバムを引っ提げて翌年、オズ・フェストを開催するのである。

最初に書いたように、このアルバムはBEATLESにおける「サージェント・ペパーズ~」のような内容にしたかった、とオジー自身も当時のインタビューで確か発言している。同じ頃、AEROSMITHのスティーヴン・タイラーも「エアロ版『サージェント・ペパーズ~』」と「GET A GRIP」を比喩している。ロック界では'90年代前半、こういうサイケで楽曲の振り幅が大きい内容のアルバムが流行だったのか‥‥そう考えてみると、そうかもしれない。'80年代末にTEARS FOR FEARSがおもむろにBEATLESをコピーした「SEEDS OF LOVE」というアルバムからスタートし、その後のOASISに到るまで‥‥そして最後には当のBEATLESの、音源上での復活。世紀末に向かうに当たり、もしかしたらロック界は再びスタート地点に戻ろうとしていたのか、それともグランジといったシンプルな演奏スタイルを目の当たりにして、ロック自体が再びシンプルなものへと戻ろうとする反動として、「サージェント・ペパーズ~」を持ち出したのか。その答えは今も判らないが、時同じくしてエアロとオジーが同じような事を考えていた事実が非常に興味深い。

今年初め、オジーが久し振りにソロアルバムを作っているという噂が広がり、三度ザック・ワイルドと曲作りを進めているとの情報が伝わってくる。そして‥‥結局噂でしかなかったが‥‥ドラムにトミー・リー(元MOTLEY CRUE、当時はMETHODS OF MAYHEM。現在は再びMOTLEYに復帰という話)、ベースにギーザー・バトラー、ギターにザックという布陣でアルバムのレコーディングに入るという噂が広がる。結局ザック、マイク・ボーディン、ロバート・トゥルージロというメンバーでレコーディングされたという。既に1曲聴いているが、かなり「復活サバス」を意識した、デッドなサウンド感を持ったヘヴィロックという印象を受けた。この「OZZMOSIS」と全く違った音になる事は間違いない。非常に楽しみだ。



▼OZZY OSBOURNE『OZZMOSIS』
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投稿: 2001 09 08 04:22 午前 [1995年の作品, Ozzy Osbourne, Zakk Wylde] | 固定リンク