オジー・オズボーンが2025年7月22日(現地時間)に亡くなった。つい先日(7月5日)にラストライブとなる『BACK TO THE BEGINNING』を彼の故郷・バーミンガムで行ったばかりでしたが、あれが彼の最後の輝きとなってしまったのか、そしてあれからこんなにも早くに逝ってしまうのかと、正直動揺を隠しきれずにいます。
以下は『TV Bros.』2010年10月30日号(同年10月27日発売)に掲載された、『LOUD PARK 10』で来日した際のオジー・オズボーンへのインタビュー全文となります。同年6月にアルバム『SCREAM』をリリースしたばかり、8月には自伝『アイ・アム・オジー オジー・オズボーン自伝』も出版されたこともあり、当日はこの2つについてお話するつもりでしたが……冒頭から熱の入った「日本のカレー愛」が炸裂(テキストではコンパクトにまとめましたが、実際には5分近く熱弁していた記憶が……)。なんとか時間内にあれこれ聞かねば、と奮闘した思い出もあります。最終的にはラストのあの一言をもらえたことで報われた、と個人的には思っております。
オジー・オズボーンのステージを最初に観たのは、1991年10月の“引退”ツアー@日本武道館。ちょうどアルバム『NO MORE TEARS』をリリースした直後で、この日本公演から最後のワールドツアーが始まったんですよね。なので、自分にとってこれが最初で最後のオジーになる予定でした。あの時点でオジー42歳。今ならメタルをするには全然若いんですけどね。
で、その後に関してはご存知のとおり。最後の来日は2015年11月の『Ozzfest Japan 2015』になるのか。その2年前の『Ozzfest Japan 2013』はBLACK SABBATHでの来日でしたしね。2015年秋は自身がメニエール病の影響で大きな音を浴びることを避ける生活をしていたのですが、無理をして最後のオジーのステージに間に合うように会場へ向かい、かなり後方から無理せぬスタンスで観覧したことを覚えています。
セットリスト 1. Black Tongue 2. Blood And Thunder 3. Supernaut
■RIVAL SONS 個人的には好きなバンドだったけど今回バンド単体で出演する中ではもっとも人気も知名度も低いような気がするし、彼らはどちらかといえばLED ZEPPELIN寄りなのかなと思ったけど、この日演奏したオリジナル曲とサバス「Electric Funeral」カバーの相性も悪くなく、これはこれでアリだったな。
■HALESTORM 本日唯一の女性アーティストを含むHALESTORM。リジー姐さん(Vo, G)の華やかさと毒々しさがいい感じで伝わるファストチューン「Love Bites (So Do I)」で場の空気を温めると、8月発売の新作からの「Rain Your Blood On Me」を先行披露。ここで新曲か……と思ったものの、これはこれで今日という日にぴったりな選曲なのかな。で、気になるカバーですが……セッション以外では唯一オジーソロから、しかもマニアックな「Perry Maison」という選曲。で、これがリジー姐さんのパワフルボイスにぴったり。実は密かにザック・ワイルド(G)が飛び入りするんじゃないかと思ってたけど、そういったサプライズなしで終了。
セットリスト 1. Love Bites (So Do I) 2. Rain Your Blood On Me 3. Perry Mason
■LAMB OF GOD 最初に登場したドラマーを見て「あれ、クリス・アドラーじゃない」と気づく。そうか、クリスってだいぶ前に脱退したんだっけ。いきなり「Laid To Rest」から始まるのでテンション上がるも、その後にステージに姿を現したランディ・ブライ(Vo)のビジュアルに衝撃を受ける。なんでこんな“おとっつぁん”姿に……(苦笑)。しかも、線が細いから音のわりに軟弱に見えてしまう。悲しい。けど、音は最高の一言で、「Redneck」含め「まあこの2曲だよね」という選曲にニンマリ。が、その後のサバス「Children Of The Grave」では“歌う”ことに注力するがあまり……うん。シャウトだけで攻めてもよかったんじゃないかな。ランディの風貌と相まって、ちょっとだけずっこけたのはここだけの話。
■SUPERGROUP A さあ、お待ちかねのセッションタイム! まずはリジー・ヘイル(Vo)、デヴィッド・エレフソン(B/ex. MEGADETH)、ヌーノ・ベッテンコート(G/EXTREME)、ジェイク・E・リー(G/RED DRAGON CARTEL)、マイク・ボーディン(Dr/FAITH NO MORE)、アダム・ウェイクマン(Key)で「The Ultimate Sin」。ジェイク、元気そうでよかったけど、ヌーノのほうが目立ってた気が。にしても、リジー姐さんはこういうパワフルな曲歌うの合ってるね。続く「Shot In The Dark」ではリジー&ヌーノOUT、デヴィッド・ドレイマン(Vo/DISTURBED)IN。ドレイマン、こういう曲意外と合うんだなと再確認。ソロはヌーノがいない分、ジェイクのプレイをしっかり味わえました。
■JACK BLACK, ROMAN MORELLO, REVEL IAN 転換タイミングにステージ上に2人の少年が登場して、そのまま幕間映像へと続くのですが、これがオジーに扮したジャック・ブラック(映画『スクール・オブ・ロック』の人ね)が「Mr. Crowley」を歌うという映像。ギターをトム・モレロ(G/RAGE AGAINST THE MACHINE)の息子ローマン・モレロ、ベースをスコット・イアンの息子レヴェル・イアン、ドラムを日本人ドラマーYOYOKAが担当し、同曲の有名な映像を見事に(かつ大袈裟に)完全再現していました。これぞ完全に『スクール・オブ・ロック』! 面白かった!
■ALICE IN CHAINS 久しぶりにバンドとして動いている姿を観た。ショーン・キニー(Dr)が先日から体調不良でお休みしていましたが、この日は無事ステージ復帰。いきなり「Man In The Box」から始まったけど、配信におけるサウンドミックスが激悪で、ジェリー・カントレル(G, Vo)のボーカル/コーラスが一切聴こえない始末。しかも、続く「Would?」ではジェリーのリードボーカルから始まるのにまったく聴こえない。途中でうっすら聴こえてきた気がするけど、こんなんじゃ彼らの魅力半減。さらに、サバスカバーでは途中で音声がまったく聴こえなくなる大トラブル。途中で復旧したものの、配信組にとってはAICが軽視されているように映っても仕方ないような扱いでした(その後、ガンズ終了後の幕間映像で音声完全版の「Fairies Wear Boots」が再配信されましたが、にしてもねえ?)。
■GOJIRA 「Stranded」のオープニングのあのギターの音色を聴いた瞬間、「あ、GOJIRAきた!」とテンション上がる。が、直前のAIC同様ミックスがダメダメで、ボーカルがあまり聞き取れない。加えて、カメラワークもどんどん悪くなっている印象が強くて、早番(笑)があんないい仕事ぶりだっただけに「遅番、なってねえな!」とぼやき始める自分。「さすがにもうパリオリンピックネタは引っ張らないよね」と思ってたら、3曲目「Mea Culpa (Ah! Ça ira!)」では原曲同様にマリナ・ヴィオッテイを連れてきて(あの映像こそなかったものの)完全再現。イギリスでフランス革命の曲やるの、おもろすぎ。で、最後はサバスカバー「Under The Sun」。これは選曲も演奏もよかったな。いつかスタジオ音源出していただきたい。
セットリスト 1. Stranded 2. Silvera 3. Mea Culpa (Ah! Ça ira!) 4. Under The Sun
■DRUM OFF このあたりからセッションパート2に突入。まずは「Drum Off」と称してチャド・スミス(RED HOT CHILI PEPPERS)、ダニー・ケアリー(TOOL)、トラヴィス・バーカー(BLINK-182)のトリプルドラム、ルディ・サーゾ(B/ex. QUIET RIOT)、トム・モレロ(G)、ヌーノ・ベッテンコート(G)という布陣で「Symptom Of The Universe」インストセッション。随所にドラマー3人がソロをぶち込んでくるスリリングな構成は、非常に贅沢でした。
■SUPERGROUP B 続いて本格的なセッションパート再び。ビリー・コーガン(Vo/THE SMASHING PUMPKINS)、トム・モレロ(G)、アダム・ジョーンズ(G/TOOL)、K.K.ダウニング(G/KK'S PRIEST、ex. JUDAS PRIEST)、ルディ・サーゾ(B)、ダニー・ケアリー(Dr)という布陣で何やるかと思えば、いきなりプリースト「Breaking The Law」! 会場大盛り上がりで〈Breaking The Law!〉連呼しやがるし。サバスやオジー以外のカバー、ありなのか。続いて同じメンツでサバス「Snowblind」。前の曲といい、ビリーのボーカル厳し目だけど、トムが“歯ギター”弾いてる後ろではっちゃけてる絵は面白かった(笑)。
3曲目は「Flying High Again」。メンツはサミー・ヘイガー(Vo)、ヌーノ・ベッテンコート(G)、ヴァーノン・リード(G/LIVING COLOUR)、ルディ・サーゾ(B)、チャド・スミス(Dr)、アダム・ウェイクマン(Key)。ステージ上のアメリカ人率の高さとファンクメタル(死語)率の高さといったら……。こういう曲は確かにサミーの歌にも合うし、このメンツで演奏したらなんだか“VAN HAGAR”っぽく聞こえてきますね。で、ヴァーノンとトムが入れ替わってサミーの持ち曲「Rock Candy」(MONTROSEの代表曲)を披露。さすが自身の持ち曲とあって、サミーはさっきよりも歌えてる。カラッとしたアメリカンハードロックがどんより空気のバーミンガムに響き渡る絵、面白い。
5曲目は名曲「Bark At The Moon」。メンツは“Papa V Perpetua”ことトビアス・フォージ(Vo/GHOST)、ヌーノ・ベッテンコート(G)、ヴァーノン・リード(G)、ルディ・サーゾ(B)、トラヴィス・バーカー(Dr)、アダム・ウェイクマン(Key)。てっきりジェイクが弾くもんだと思ってたら、まだまだ体力的に不安定なのでしょうか、ヌーノがジェイクに敬意を表しながらオリジナルに忠実なプレイを見せてくれます。ここではトビアスのボーカルの存在感(やっぱり80'sカバーは彼に合ってる!)とトラヴィスの躍動感の強いドラミングが見どころだったかな。
最後のブロックは想像を超えたセッションが展開。ヌーノ、トム、ルディ、トラヴィスにアンドリュー・ワット(G/著名プロデューサー。オジーの近作をプロデュース)、ロニー・ウッド(G/THE ROLLING STONES)、そしてスティーヴン・タイラー(Vo/AEROSMITH)という布陣で「Train Kept A Rollin'」を披露。もうなんでもありだな(笑)。スティーヴン、ツアーは引退したものの単発ならまだまだ歌えそうですよね。そして、ロニーとトラヴィスが去り、チャドが再度加わって、ラストは「Walk This Way」〜「Whole Lotta Love」というエアロやスティーヴンソロでよくやるメドレー。本当はロバート・プラント(LED ZEPPELIN)を呼びたかったのかな、とか邪推したけど、まあこれはこれでロック/ハードロック/ヘヴィメタルの50年以上に及ぶ歴史の総括としてアリかもしれませんね。
■PANTERA ライブもいよいよ後半戦。さすがにリアルタイムで起きていると眠気が酷かった(苦笑)。印象的なリフレインSEに導かれるようにフィル・アンセルモ(Vo)&レックス・ブラウン(B)のオリメンにザック・ワイルド(G)&チャーリー・ベナンテ(Dr/ANTHRAX)という再集結後お馴染みの4人で「Cowboys From Hell」からライブスタート。あれ……さっきよりさらに音のミックスが酷くなってる……ほぼザックのギターしか聞こえない(笑)。しかもライン直みたいな音の質感だから臨場感皆無で、ザックの粗が目立ってしまう。これは勿体ない。ラストのサバス「Electric Funeral」カバーでなんとかバランスが形になり、ザックの本領発揮と言わんばかりのプレイを楽しむことに集中できましたが、PANTERAとしてのステージを満喫するまでには至らなかったな。彼らはやっぱり生で楽しんでこそなのかもしれない、と実感しました。
■TOOL 明るい中でのTOOLのライブっていうのも新鮮ですが、こうやって観ると皆さん改めて……歳取りましたね。でも、演奏や歌、パフォーマンスはバキバキで「Forty Six & 2」という長尺曲で見事に惹きつけてくれる。かと思えば、サバスカバーは「Hand Of Doom」というマニアックぶりを見せて、こちらもTOOLらしい解釈が加わっていて好印象。その流れから「Ænema」へと続く構成も非常にナチュラルで、“普通の”TOOLのステージとして楽しめました。が、予想通りとはいえ25分で3曲は多いのか、少ないのか(笑)。
■SLAYER 再始動後、初見。全体的に若干テンポがゆっくりめに感じられたけど、それはスピードよりも重さを取ったと良き方向に解釈しました。トム・アラヤ(Vo, B)、全然声出てるじゃん。シャウトも活休前と変わらず。ブランクをまったく感じさせません。持ち時間30分近くということもあって、ここから一気に曲数が増えます(単にTOOLが長尺曲ばかりだったのもあるけど)。SLAYERのサバスカバーは意外な「Wicked World」。トムが珍しくベースを指弾きして、落ち着いたトーンで歌っているのが面白かった。そこからイントロダクションなしで「South Of Heaven」へとつなぐアレンジも絶妙で、さらにこの曲のエンディングから「Wicked World」へと戻る構成もいろいろ考えられててよかった。ラストは「Raining Blood」「Angel Of Death」の力技でダメ押し。まだまだやれるよ。もっとライブ見せてくれ。
セットリスト 1. Disciple 2. War Ensemble 3. Wicked World 4. South Of Heaven 〜 Wicked World 5. Raining Blood 6. Angel Of Death
■METALLICA サバス、オジー前の単体出演としてはトリを務めるのは、当然のようにMETALLICA。SEなしでステージに登場すると、「Hole In The Sky」といういかにも彼ららしい選曲からスタート。新作に入っていても違和感ないくらいに馴染んでた。そこから「Creeping Death」で一気にギアが入り、「For Whom The Bell Tolls」と自分たちらしいモードに引き摺り込んでいく流れもさすがの一言。会場の盛り上がり、一体感も(主役であるその後の2組を除けば)この日一番だったように感じました。今回、彼らはもう1曲サバスカバーを用意したのですが、それが「Johnny Blade」という意外な1曲。ガンズといいMETALLICAといい、こういうときにファンが求める初期曲から“外して”くるのが実にらしくていいです。にしても「Johnny Blade」、こうやって聴くといい曲だなという再発見があってよかった。そして「Battery」「Master Of Puppets」の連発でフィニッシュ。ガンズも彼らも最新モードを無理してねじ込まず、この場にいるメタルヘッズが何を求めているかに100%応えているのがさすがでした。
セットリスト 1. Hole In The Sky 2. Creeping Death 3. For Whom The Bell Tolls 4. Johnny Blade 5. Battery 6. Master Of Puppets
■OZZY OSBOURNE いよいよメインアクトの時間。恒例となったオープニングSE「Carmina Burana」に乗せて玉座に座ったオジーが床から迫り上がると、会場の熱量も一気に高まる。オジーの「I can't hear you! Are you ready?」を合図に、ライブは「I Don't Know」からスタート。この日のバンドはザック(G)、トミー・クルフェトス(Dr)、アダム・ウェイクマン(Key)に90年代前半を支えたマイク・イネズ(B/ALICE IN CHAINS)という特別編成。ルディ・サーゾやロバート・トゥルヒーヨ(METALLICA)といった歴代ベーシストがいるんだから、彼らでもよかったのにね。もはやカエル跳びもバケツ水掛けも期待できない御年76歳のオジーですが、それでも今できる全力でステージに臨んでくれているその姿に涙が溢れそうになります。時ににこやかに嬉しそうな表情を浮かべるオジーですが、手拍子を促す際の動きがぎこちなかったりと、いろいろパーキンソン病の症状も表れている中、足をバタバタさせ、今にも立ち上がりそうなその動きからは彼の生命力の強さがしっかり伝わります。
選曲的には1st『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)から4曲、6th『NO MORE TEARS』(1991年)から1曲と、2大ヒット作収録曲中心。今のオジーが歌える曲、体力的に最後まで維持できそうな曲と考えるとこの5曲でしょうね。いいんです、散々聴きまくって飽きがきそうな楽曲群ですが、オジーが生で歌うこれらの5曲はこの日が最後でしょうから。「Mr. Crowley」や「Mama, I'm Coming Home」では感傷的な気持ちに浸ってしまい、珍しく涙腺が刺激されましたし、特に後者を歌う際のオジーのどこか感極まっている様子にももらい泣きしてしまう始末。会場のお客さんもしっかり泣いてましたもんね……。ラストの「Crazy Train」ではランディ・ローズ(G)の演奏シーンとザックのソロがリンクして、そこでまた涙腺やられる。まさかオジーのライブでこんな気持ちになる日が来るとはね。自分も歳取ったなあ……(遠い目)。
BLACK SABBATHおよびオジーの生涯最後のライブで歌われたラストナンバーは「Paranoid」。わー、この曲でもこんな感傷的な気分になるのかと完全に喰らってしまいました。ビルのドラムはボロボロだけど、なぜか今まで聴いた中で一番響く「Paranoid」だった。そしてエンディング。打ち上がる花火を見上げるオジーのシルエットは、すべてやり切ったという満足感よりもどこか寂しげに映りました。
前作と何がそんなに違ったのでしょうか。ひとつは、ドラム以外のすべてのパートをザック・ワイルドひとりで担当したこと。ドラムのみ前作から参加したクレイグ・ニューネンマッハー(ex. CROWBAR)がプレイしているのですが、そもそも前作も3曲のみロバート・トゥルヒーヨ(現METALLICA)が参加したのみで、それ以外の曲ではザックがベースも弾いていたので、そこまで大きな変化というわけではない。そもそも、それ以前の『SONIC BREW』(1999年)、『STRONGER THAN DEATH』(2000年)の時点でザックはドラム以外のパートをすべてレコーディングしていたので、これに関してはただ原点に戻っただけと言えます。
日本のレーベル主導ということもあり、その人選こそ日本のメタルファンが好みそうなものですが、内容的には可もなく不可もなくといった印象。そもそも取り上げられている楽曲がオジー・オズボーンの初期2作からなので、選曲も限定されますし、そりゃあこうなるわなといったところでしょうか。だって、前半5曲が『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)、後半5曲が『DIARY OF A MADMAN』(1981年)からで、冒頭4曲に関しては『BLIZZARD OF OZZ』とまったく同じ流れですし、耳馴染み良すぎるというか聴き飽きたものがありますから。
まあとにかく、オープニングの「Crazy Train」を聴いて多くのリスナーがひっくり返るのではないでしょうか。だって、ボーカルがサージ・タンキアン(SYSTEM OF A DOWN)、ギターがトム・モレロ(RAGE AGAINST THE MACHINE)ですからね。正統派メタルリスナーやランディを妄信的に愛する方からは非難の嵐じゃないかな(苦笑)。ただ、個人的にはサージのボーカルにはオジー愛を感じたし、トムのギターもただコピーするんじゃなくて自分らしさを貫きながらランディのスタイルを表現しようとする強い意志も伝わりましたが、いかがでしょうか。
楽曲の指向自体は『ORDINARY MAN』の延長線上にある、“BLACK SABBATHのいいとこ採り+『NO MORE TEARS』(1991年)以降の王道ハードロック”路線を踏襲した楽曲ばかり。例えば、アイオミ参加の「No Escape From Now」はアレンジ含め完全にサバスを踏襲したものだし、ジェフ・ベックがプレイするタイトルトラックも前作に収録されていても不思議じゃない仕上がり。そんな中、クラプトンがいかにもなプレイを披露する「One Of Those Days」が“サバス meets CREAM”みたいなサイケデリックハードロックで、思わずニヤリとしてしまいます。
かと思えば、ザックが豪快なギタープレイを聴かせてくれる「Parasite」や「Evil Shuffle」はもろにBLACK LABEL SOCIETY経由のオジーサウンドだし、「Mr. Darkness」や「Nothing Feels Right」は良い意味で『NO MORE TEARS』以降を思わせるコラボレーションといった印象。さすが息が合っていると言いますか、痒いところに手が届く仕上がりです。
バンドメンバーはオジー(Vo)、ブラッド(G)、ルディ・サーゾ(B)、トミー・アルドリッジ(Dr)という布陣。実際のライブではオジーのソロ曲も披露されていますが、アルバムには当初の計画どおりサバスナンバーのみが収められています。ランディ在籍時からオジーのライブではすでに「Iron Man」「Children Of The Grave」「Paranoid」といったサバス曲は披露済みで、その様子はのちに発表されたライブアルバム『TRIBUTE』(1987年)などでも確認できます。
プロデュースおよびミックスは直近のスタジオアルバム『DIARY OF A MADMAN』(1981年)を手がけたマックス・ノーマンが担当。質感的にはかなり近いものがありますが、オジーのソロ曲には合っているこのプロダクションもサバス曲にはちょっと軽すぎる印象も。というよりも、ルディ&トミーのリズム隊が軽すぎるのと、ブラッドのギターワークがメタリックではないことが、アルバム全体の軽さに影響を与えているような気がしてなりません。
とはいえ、選曲自体はサバスの1stアルバム『BLACK SABBATH』(1970年)と2ndアルバム『PARANOID』(1970年)という代表作からの楽曲中心(メドレー含む全13曲中7曲)で、そこに「Sympton O The Universe」や「Snowblind」「Sweet Leaf」「Never Say Die」などオジーらしいセレクトが含まれており、これがオジーがイメージするBLACK SABBATH像なのかなと興味深いものがあります。本作発売から半月後にはロニー・ジェイムズ・ディオを加えた本家サバスも『LIVE EVIL』(1982年)というライブ作品を発表しており、そちらに含まれるオジー在籍時の楽曲がすべて『SPEAK OF THE DEVIL』にも含まれていることを考えると、オジー側とトニー・アイオミ(G)側の初期サバス像はほぼ一緒なのかもしれませんね。
RED HOT CHILI PEPPERSにスラッシュメタルギターを乗せたようなその独特のサウンドは、当時すでにブレイクしていたFAITH NO MOREなどにも通ずるオルタナティヴ感が備わっており、その手のバンドに偏見なく触れてきたメタルファンにも好評を博した記憶が。ぶっちゃけ、本家SUICIDAL TENDENCIESよりこっちのほうがカッコいい!という声も少なくありませんでした(SUICIDAL TENDENCIES自体はもともとハードコアですから、そっちが苦手なメタルファンもいたでしょうし。個人的にはどっちも好きだったけど)。
なお、SUICIDAL TENDENCIES同様にINFECTIOUS GROOVESも今日に至るまで活動継続中。現在のメンバーはマイク、ロバート、ディーンのほか、元FAITH NO MOREのジム・マーティン(G)、現AVENGED SEVENFOLDのブルックス・ワッカーマン(Dr)の5人で、2020年には最新EP『TAKE U ON A RIDE - SUMMER SHRED SESSIONS VOL.1』を発表しています。
▼INFECTIOUS GROOVES『THE PLAGUE THAT MAKES YOUR BOOTY MOVE... IT'S THE INFECTIOUS GROOVES』 (amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)
「Stand」とか「Asylum Choir」とか、確かにカッコいいですよ。でも、前作にあったスピード感が伝わらない。硬質なサウンドプロダクションと相まって、重さが強調されすぎているんです。確かに先のカバー2曲や「Bad Religion」、ブルース色を強めた「You Better Run」やダークな「March Or Die」など、ミディアムナンバーの仕上がりは上出来です。ただ、序盤にスピード曲が少なく、後半に固められている構成もよくなくて、せめて交互に並べるとか工夫が欲しかった(そのへんの失敗が次作『BUSTARDS』(1993年)につながるわけですが)。
とはいえ、本作にはGUNS N' ROSES的グルーヴ感を全面に打ち出した「Jack The Ripper」(前作にも似たテイストはありましたが)、オジーとのデュエットが楽しめる初の本格的パワーバラード「I Ain't No Nice Guy」、先の「March Or Die」など新たな魅力を伝える楽曲も用意されている。バンドとしての新たな挑戦と受け取ることもできるけど、果たしてファンはMOTÖRHEADにこういったスタイルを求めているのかどうか……そこは当時から謎でしたが。
あ、そうだ。今作ではフィル・“アニマル”・テイラー(Dr)は「I Ain't No Nice Guy」のみ参加で脱退(理由はなんとなく想像できる)。レコーディングではトミー・アルドリッジ(WHITESNAKE、オジーなど)が大半を叩き、「Hellraiser」にて当時DON DOKKENを抜けたか抜けないかの時期だったミッキー・ディーがプレイ。このへんのメタル勢がドラマーを務めたのも、ペタペタした重さの理由の一因かもね(結局、アルバム完成後にミッキーが加入。以後、解散まで席を置くことになります)。このほか、先のオジーやGN'Rのスラッシュ(G)が「I Ain't No Nice Guy」で客演しています。
80年代後半にバンドに加わったザック・ワイルド(G, Vo)参加2作目のオリジナルアルバムにして、1stアルバム『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)にも匹敵する売り上げを誇る名盤。特に今作からは「No More Tears」(全米71位/全英32位)、「Mama, I'm Coming Home」(全米28位/全英46位)というヒットシングルに加え、「Time After Time」「Road To Nowhere」「Mr. Tinkertrain」というラジオヒットも生まれるほどで、以降の音楽活動においてひとつの基盤となった“多彩なサウンド/音楽性を詰め込んだハードロックアルバム”としても知られています。
なにげに30年前のリリースも9月17日だったようで、正真正銘の30周年を祝福する本作は全25トラックから構成されています。オリジナル盤に収録された11曲に加え、2000年代以降のリマスター盤にボーナストラックとして追加された「Don't Blame Me」「Party With The Animals」(この2曲は日本盤初出時からボーナストラックとして収録されていたので、日本のファンにはお馴染み)、『NO MORE TEARS』制作時のデモ音源6曲、アルバムリリースツアーからのライブ音源5曲、そして今回のアニバーサリー盤のために新編集された「Hellraiser」のオジー&レミー(MOTÖRHEAD)デュエットバージョンという内容。
まず、デモ音源6曲は1992年にプロモ用に制作された『THE NO MORE TEARS DEMO SESSIONS』という限定CDが初出で、のちに「Mrs J.」を除く5曲がボックスセット『PRINCE OF DARKNESS』(2005年)で一般流通されました。ストリーミングサービスでは今回が初出のようですね。どの曲もノーマルチューニングで録音されており、ザックのギタープレイも現行版とは若干異なっていたり、「I Don't Want To Change The World」の冒頭にオジーのハーモニーが追加されていたりと、違いを見つけるのも楽しいです。あと、個人的にはデモでのランディ・カスティロ(Dr)のドラム音が好み。
「Mrs J.」はザックによるアコースティックインスト。なんとなく『BLIZZARD OF OZZ』におけるランディ・ローズの「Dee」を彷彿とさせるものがありますが、「Mrs J.」のほうはもっとメロディアスで、このまま歌を乗せても成立する仕上がり。ドラムとシンセがかぶさっていることもあって、箸休め感が薄まっているのも好印象。ただ、アルバムに入れるスペースがなかったのもわかります。バラード多いですものね、『NO MORE TEARS』。
そして、ライブ音源。こちらはDVD『MEMOIRS OF A MADMAN』(2014年)に収められていた1992年のサン・ディエゴ公演(4曲)とMTVでのライブ(1曲)。音源化はこれが初となります。どれも今日までライブの定番ばかりなので、新鮮味は薄いかな。しっかりボーカルに修正(ダブルボーカル)も加わってますしね。