2017/09/16

FOO FIGHTERS『CONCRETE AND GOLD』(2017)

FOO FIGHTERS待望のニューアルバムが昨日リリースされました。本作は2014年11月発売の8thアルバム『SONIC HIGHWAYS』から3年ぶりに発表される新作で、THE BIRD AND THE BEEのメンバーにして、シーアやアデル、P!NK、リリー・アレンなどポップス系プロデューサーとしても知られるグレッグ・カースティンと共同制作したもの。それ自体がすでに実験なのに、本作は事前に“MOTORHEAD meets『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”などと比喩されていたもんですから、そりゃあ期待が高まるってものですよ。

かなり早い段階で本作からの先行シングル「Run」が公開されていましたが、この1曲のみではその真偽は確認できず。で、リリースに先駆けて雑誌レビュー用にこのアルバムを聴くことができたので、今日はその際のメモを元に全曲解説をしていけたらと思います。


M1. T-Shirt
ギター弾き語りかと思いきや、大袈裟でスケールの大きなバラードへと変化。1分半程度の短い曲で、どこかQUEENのアルバムを彷彿とさせる。

M2. Run

1曲目から間髪入れずに突入。じわじわと盛り上がる構成と、ヘヴィかつグルーヴィーなサウンド&アレンジに新たな可能性も。とにかくスケールが大きい1曲。

M3. Make It Right [ジャスティン・ティンバーレイク参加曲]
「Run」同様グルーヴィーな楽曲だが、こちらはリズムの1音1音がとにかく重い。コーラスの入れ方が非常にポップで、単なるハードロック/ヘヴィロックバンドにはできない取り組みでは? リズムの抜け感、エフェクトのかけ方もインパクトが強く個性的。

M4. The Sky Is A Neighborhood [アリソン・モスハート参加曲]

“ヘヴィロック版ジョン・レノン”みたいな、強いサイケ感を持つミディアムヘヴィナンバー。ストリングスの入り方、コーラスの重ね方が非常にキャッチー。と同時に、音の抜き方、空白の使い方などアレンジが絶妙。

M5. La Dee Da [アリソン・モスハート参加曲]
歪みまくったベースによるイントロが、どこかQUEENS OF THE STONE AGEっぽい。ヘヴィなガレージロックかと思いきや、ピアノの音色やキャッチーなメロディが合わさることで気持ちよさ急増。拍の取り方が倍になる(テンポが速くなる)と、一気にハードコア感が増す。ここまで実験的要素が強く、ひたすらヘヴィなのにしっかりポップさが保たれているのがFOO FIGHTERSらしいのか、それとも今作のプロデューサーの手腕によるものなのか。

M6. Dirty Water [イナラ・ジョーンズ参加曲]
いきなり爽やかな曲調に(笑)。どこかボッサ調でもあり、ファルセット+オクターブ下の地声で歌う優しい声が耳に残る。複数のコーラスが重なることで生まれるハーモニーの心地よさに驚かされる瞬間も。FOO FIGHTERSらしいのに今までにないような感触もあり……と思ったら、後半でしっかり激しくなる攻めの1曲。女性コーラスが入る(M4〜6)ので、歌の豊かさはこれまで以上では。

M7. Arrows
メロディの流れ、コードの使い方に80年代ハードロック的カラーが。すごくストレートなメロディアスHR。が、どこかビートルズ的でもあり。5thアルバム『IN YOUR HONOR』(2005年)で試した実験の延長線上?

M8. Happy Ever After (Zero Hour)
後期ビートルズ(主にポール・マッカートニー)がやっていたようなアコースティックナンバーのFOO FIGHTERS的解釈。攻めまくりのアルバム前半と、この曲以降の流れのコントラストが素敵すぎ。

M9. Sunday Rain [ポール・マッカートニー参加曲]
完全にビートルズ(笑)。ジョンぽくもありポールぽくもあり、でもジョージぽくもある(笑)。そんな1曲でポール本人がドラムを叩くのも興味深い。テイラー・ホーキンスのボーカルもどこかポールに似てる(意識して真似てる?)。

M10. The Line

前曲のアウトロ?この曲のイントロ?のジャジーなピアノからダークな歌い出し。が、全体を覆うアンセム感がさすがの一言。どんなにアンダーグラウンドな方向に進もうとしても、デイヴ・グロール持ち前のポップネストプロデューサーの仕事ぶりでうまく調和されてしまうのは、もはやこのバンド最高の強みでは。

M11. Concrete And Gold [ショーン・ストックマン参加曲]
ダウナーなヘヴィバラード。どこかNIRVANA時代を思い浮かべてしまう1曲。かと思えば壮大なコーラス&ハーモニーがかぶさり、まるでQUEENの現代的解釈のようでもある。NIRVANAっぽいとはいえ、どこかポジティブさに満ちている気も。これこそデイヴの人柄そのものなのでは。ある種、このアルバムにおける究極の1曲。


以上となります。

確かに本作には“MOTORHEAD meets『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”的なカラーが満載でした。が、個人的には“LED ZEPPELIN+MOTORHEAD×『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』”が正解なのではないかと思います。単なるハードコア(MOTORHEAD)で終わらず、しっかり大衆性を持った王道ハードロック(LED ZEPPELIN)のカラーも維持しながら、新たな実験にも挑んでいる(『SGT. PEPPER'S〜』)。実験要素は足し算ではなく、今回は掛け算なのかなと思いこういう表現をしてみました。

と同時に、これは矛盾するかもしれませんが……本作は“引き算のアルバム”でもあるなと感じました。それはプロデュース方法によるものが大きいのかもしれませんが、音数が多いにも関わらず、しっかり“抜き”の技術が多用されている。そのバランス感が本当に絶妙で、過去のFOO FIGHTERSのアルバムにはなかったものじゃないかと思うのです(これまでも“抜き”はあったけど、それは0か100かくらい大きなものとして使用されていたように思います)。

発売後改めて何度か聴いてみて思ったのは、もしかしたらFOO FIGHTERSは80年代以降のQUEENみたいな存在になろうとしているのではないか、あるいはそうなれるのではないかということ。それくらい大衆性とアーティスティックな実験要素を両立させながら、どんどん大きくなっているんだから。今、周りを見渡してもこんな“ハードロック”バンドなかなかいませんよ。

デイヴのソロプロジェクトから始まったこのバンドが、スタートから20数年でここに到達するとは……ただただ驚きです。そして、こんなアルバムだからこそロック低迷の今、バカ売れしてほしいと願っております。



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投稿: 2017 09 16 12:00 午前 [2017年の作品, Foo Fighters, Paul McCartney] | 固定リンク

2015/04/16

ポール・マッカートニーの私的ベスト10(ソロ/Wings編)

去年中止になった来日公演がいよいよ来週からスタートしますね。昨年は武道館公演に行く予定でしたが、今回は東京ドーム初日のみになりそうです。が、久しぶりのポール(2013年は行けなかったので)。今から非常に楽しみであります。というわけで、今回はビートルズ時代を除くソロ作品(Wings含む)の中から、私的ベスト10をご紹介します。あくまで“私的なもの”ですので、「ソレジャナイ」などのツッコミはご遠慮を。あと、ライブで聴きたい曲というわけでもないので、そのへんもご了承ください。

1. Maybe I'm Amazed

2. Junk

3. Live and Let Die

4. Jet

5. Let Me Roll It

6. Band on the Run

7. Listen to What the Man Said

8. Venus and Mars/Rock Show

9. Pipes Of Peace

10. My Brave Face


結局1枚目のソロと「Band On The Run」〜「Venus And Mars」のあたりが一番好きなのかもな、と改めて実感しました。80年代以降の作品はシングルとしては好きなものは多いのですが、結局「Pipes Of Peace」と「My Brave Face」にとどまりました。評価は低いんだろうけど、セルフパロディ的な「Spies Like Us」とか「Once Upon a Long Ago」とかも個人的には好きなんですけどね。



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投稿: 2015 04 16 02:36 午前 [Paul McCartney, 「私的ベスト10」] | 固定リンク

2004/11/24

とみぃ洋楽100番勝負(98)

●第98回:「Maybe I'm Amazed」 PAUL McCARTNEY ('70)

 俺にとってのポール・マッカートニーとは、"Yesterday" でも "HeyJude" でも "Let It Be" でもない。このソロ1作目「McCARTNEY」に収録された、"Maybe I'm Amazed" なのね。この曲と出会ってなかったら、多分俺はポールのことを一生「ポップスター」的視点で見続けてたかもしれない‥‥それくらい俺にとってこの曲は衝撃であって、その後の自分の考え方を変えてしまった1曲なわけ。

 この転調を繰り返すアレンジといい、ポールのシャウトを通り越したシャウトといい、今聴いてもホントに鳥肌が立つ。初めて聴いたのは‥‥高校を卒業した後くらいかな‥‥ポールの初来日があって、その後に2枚組のライヴ盤が出て。そこにライヴテイクが収録されててさ。なんかスッゲー無理してシャウトしてんなぁ、とか、もの凄い劇的に盛り上げるなぁ、とか、転調凄いなぁ、とか。いろいろ感じながらもその時はそこまでピンとこなくて。

 ところが。それから3年後。自分が初めてポールを生で体験する日が訪れて。その頃からかな、過去のオリジナル・アルバムにも手を出し始めて。そこで最初にソロ1枚目「McCARTNEY」を買って‥‥スタジオテイクのこの曲に思いっきり鳥肌立てて。何だったんだ、あれは?

 自分が音楽をやる時、曲を書く時。アレンジの手本にするのはLED ZEPPELINであり、アティチュードの手本にするのはジョン・レノンなんだけど、歌詞やメロディの手本にする‥‥いや‥‥そうしたい、そうでありたいといつも思っているのは、このポールなんだよね。確かにアルバム/楽曲、駄作も多いポールだけど、一時の多作振りを考えると、まぁそれも許せるかな‥‥とにかく中にあるもの、出て来たものを全部世にぶちまけない質なのかもしれないね、ポールって人は。そういう面では非常に共感する点が多いんだけど。

 だって‥‥こうやって俺も、アホ程文章書いて、まとめてアップしてるわけだからさ!



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投稿: 2004 11 24 12:03 午前 [1970年の作品, Paul McCartney, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック