2018年10月19日 (金)

PAUL WELLER『TRUE MEANINGS』(2018)

2018年9月リリースの、ポール・ウェラー14作目のスタジオアルバム。12thアルバム『SATURNES PATTERN』(2015年)でParlophone Recordsに移籍して早くも3作目となります。前作『A KIND REVOLUTION』(2017年)が去年の5月発売だったので、1年4ヶ月という非常に短いインターバルにも驚きです。そういやあ、来日公演なんて今年の1月でしたものね。

5月25日に還暦を迎えてもなお、いや、還暦に向けてその活動ペースが再びアップしだしているポール・ウェラー御大ですが、今回のアルバムはアコースティックギターを軸にした、非常に穏やかな作品集に仕上がっています。

確かにエレキギターも使ってはいるものの、その音色はほとんど歪んでおらず、あくまで味付け程度。アコギを爪引きながら落ち着いたトーンで歌うポールの声に、ところどころでストリングスや美しいハーモニーが重ねられていく。なんですか、これは(笑)。最初に聴いたときは正直驚きました。前作『A KIND REVOLUTION』がどこかそれまでの集大成感が漂っていたのもあって、その延長線上で来るのかと思いきや、これですから。

もちろん、曲を聴けばメロディや節回し、ソウルの影響下にあるアレンジからウェラー翁らしさを存分に味わえるのですが、終始同じトーンなので……もしかしたら聴き手を選ぶ1枚かもしれません。

それは言い方を変えれば、今までポール・ウェラーという人にある種の暑苦しさを感じていた層にこそ触れてほしい1枚とも言えるわけで。THE STYLE COUNCIL時代とまではいわないものの、あの頃にあったクールダウンした(ちょっとオシャレな)世界観に近いものが再び展開されている、とも言えなくはないのかな。ただ、その表現方法は80年代のそれとは異なるわけですが。

“ロックスター:ポール・ウェラー”の姿はここにはないのかもしれない。あるとしたら、60歳になった男の等身大の姿と生きざま。THE JAM、THE STYLE COUNCIL、そしてソロと何周もしてきたこの音楽界で何度目かの“上がり”を経て、彼はようやく今、心の底からリラックスして音楽を楽しめているのかもしれない……そう受け取れなくもない1枚かな。

にしても、そのものズバリ「Bowie」なんてタイトルの美しいバラードもあったりして、本当に泣かせてくれます。

今年はむちゃくちゃ暑かったし、気象状況もヘンテコだったし、本当に散々な夏だったな……そんなことを思い返しながら、この秋じっくり浸りたい。僕にとってはそんなアルバムになりそうです。

もし、本作で来日公演が実現したら、この世界観を忠実に再現した編成になるのかしら。それはそれで観てみたいかも。



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投稿: 2018 10 19 12:00 午前 [2018年の作品, Paul Weller] | 固定リンク

2016年12月19日 (月)

THE MONKEES『GOOD TIMES!』(2016)

60年代にアメリカを中心に一世を風靡し、その後何度か再結成をしているTHE MONKEES。バンドの顔としてアイドル的人気を誇ったデイヴィ・ジョーンズが2012年に亡くなり、音楽的支柱だったマイク・ネスミスも脱退。現在はミッキー・ドレンツとピーター・トークの2人だけが正式メンバーですが、THE MONKEESをリスペクトするフォロワーたちの協力を得て、20年ぶりに完成させたオリジナルアルバムが今作です。そういった話題性もあったか、本作はビルボード200にて14位という好成績を残しています。

プロデュースにFOUNTAINS OF WAYNEのアダム・シュレシンジャーが参加。もちろん楽曲制作にも携わっており、この他にもアンディ・パートリッジ(XTC)、リヴァース・クオモ(WEEZER)、ベン・ギバート(DEATH CAB FOR CUTIE)、ノエル・ギャラガーポール・ウェラーといった錚々たる面々が楽曲提供。さらに60年代にレコーディングされたデイヴィ・ジョーンズのボーカルを活かした楽曲も含まれているだけでなく、レコーディングにはマイク・ネスミスも参加しています。ボーカルの比重の違いこそあれど、これはまさしく僕が洋楽原体験として聴き親しんだTHE MONKEESそのものなのです。

楽曲はどれも悪いわけがない。ハリー・ニルソンやニール・ダイヤモンドの楽曲も含まれているのですが、フォロワーたちがTHE MONKEESに新曲を書くと意気込んだこともあってか、いい意味でどれが新曲でどれがカバーかわからないくらいに充実しています。もっとも、各アーティストのファンが聴けば、どの曲もそれぞれのクセが散りばめられているので「これは誰の曲」とおわかりになると思いますが。

2016年にTHE MONKEESの新作が聴くことができたという事実もさることながら、その完成度の高さにただただ驚かされた1枚。2016年は個人的に非常に豊作でしたが、そんな1年を語る上で欠かせないアルバムと言えます。


こちらはリヴァース提供楽曲。らしさがありますね。


こちらはアンディ・パートリッジ先生の楽曲。本気度が違います。



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投稿: 2016 12 19 12:00 午前 [2016年の作品, Fountains of Wayne, Monkees, The, Noel Gallagher's High Flying Birds, Paul Weller, Weezer] | 固定リンク