カテゴリー「Pink Floyd」の7件の記事

2024年3月19日 (火)

BERLIN『COUNT THREE & PRAY』(1986)

1986年10月13日にリリースされたBERLINの4thアルバム。テリー・ナン(Vo)を要する布陣での『PLEASURE VICTIM』(1982年)を正式な1作目とカウントするならは、本作は3作目に当たります(当時の日本盤には3rdアルバムとの表記あり)。日本盤は同年11月25日発売。

「No More Words」(米23位)というキャリア最大のヒット曲を生み出した前作『LOVE LIFE』(1984年)から2年半ぶりの新作。同アルバムは50万枚を超えるスマッシュヒットを記録しましたが、その後映画『トップガン』のサウンドトラックに参加したことを機に、その人気は最高潮に達します。同映画サントラからの2ndシングル「Take My Breath Away」は初の全米&全英1位を獲得。そんな高状況の中ドロップされたのが、このオリジナルアルバムとなります。

新たなプロデューサーとしてボブ・エズリン(ALICE COOPERKISSPINK FLOYDなど)を迎えた肝入りの本作。レコーディングはテリー、ジョン・クロフォード(B)、ロブ・ブリル(Dr)の3人にサポートメンバーを加えた形で制作されます。ギタリストとしてはデヴィッド・ギルモア(PINK FLOYD)やケイン・ロバーツ(当時ALICE COOPER BAND)のボブ・エズリン界隈に加え、テッド・ニュージェント(DAMN YANKEESなど)やエリオット・イーストン(THE CARS)などの個性的な面々が参加していますが、アルバムのクレジットには誰がどの曲に参加しているかまでは記されておらず。

ボーカル&リズム隊というアンバランスなメンバーが残ったこともあってか、アルバム冒頭を飾る「Will I Ever Understand You」や「Tras」、リードシングル「Like Flames」(米82位/英47位)はニューウェイヴを通過したハードロック的な、ビートの強い1曲に。特に「Will I Ever Understand You」ではタイトなドラムソロもフィーチャーされており、あくまで“テリー・ナン with リズム隊”ではないことを強くアピールします。

かと思えば、尺八や琴、琵琶といった和楽器がフィーチャーされた浮遊感の強い「You Don't Know」(英39位)、クラシカルなピアノフレーズが耳に残る「When Love Goes To War」などニューウェイヴ側に振った楽曲、前作の流れを汲むダンサブルなシンセポップ「Sex Me, Talk Me」なども含まれている。そんな中に、ジョルジオ・モロダーが手掛けた大ヒット曲「Take My Breath Away」まで収録されているもんだから、アルバムを通してやりたかったであろうハード&タイトな側面がぼんやりしてしまい、全体的にどっちつかずな方向性で終わってしまいます。

1986年後半というと、まもなくBON JOVI「You Give Love A Bad Name」で大ヒットを果たし、翌1987年にはハードロック新世代を迎えようとする過渡期。そんな来たる新世紀を予見したかのようなハードエッジなテイストを導入しつつも、それ以前のシンセポップやニューウェイヴも捨てきれない。さらにレーベル側のゴリ押しであろう「Take My Breath Away」という色の異なる異物まで打ち込む。そりゃ評価も分かれるわけで、大したヒットシングルも生まれず、アルバムは米61位/英32位(実はイギリスでは初のチャートイン)という結果で終わるわけです。

結局、バンドは1987年3月の初来日公演を含むワールドツアー終了後、解散することに。その10年後の1997年にテリー・ナンを中心に再結成を果たし、現在も細々と活動は続いているようです。本作を含むGeffen Records時代のアルバムはサブスクでは聴くことができませんが、MVなどはYouTubeでも視聴可能です。

 


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2020年1月15日 (水)

PINK FLOYD『A MOMENTARY LAPSE OF REASON』(1987)

1987年9月にリリースされたPINK FLOYDの13thアルバム。日本盤は1ヶ月遅れの同年10月に発売されています。って、今思えばRUSH『HOLD YOUR FIRE』(1987年)とほぼ同タイミングにリリースされたんですね。それで同じような印象を持ったのかしら。

自分が洋楽ロックを聴き始めて、最初に接したPINK FLOYDの新譜がこれでした。当時高校1年生だった僕は「これがPINK FLOYDか……」と胸をワクワクさせながら、本作と向き合った記憶があります。なにせ、『狂気(THE DARK SIDE OF THE MOON)』(1973年)や『THE WALL』(1979年)といった名作に触れるのは、そのもっとあとになってからですからね。

すでにMTVや『ベストヒットUSA』といった洋楽番組でリードトラック「Learning To Fly」のMVを目にしていたので、そのサウンドがどんな感じかは理解していました。この1曲を聴いた限りでは「あれ、プログレっていうかもっと小難しいと思ってた。めっちゃソフトじゃん」という感想。今思えば、完全にAORと同じ感覚でした。

で、アルバムをレンタルして聴くわけですが(当時、アナログ盤も発売されていたと思いますが、ここはいい音で……という短絡的な理由でCDを借りることに)……「これ、プログレ?」と疑問を感じるわけです。ロジャー・ウォーターズがいない、デイヴ・ギルモア主導だとかCDの解説にも書いてあったと思いますが、ほぼ初心者の僕からすればそういった要素は二の次なわけで、ここで鳴らされている音楽こそがすべて。「なんだか16歳の自分には難しいな……」と思ったのでしょうね。カセットテープにダビングして2〜3回聴いて、放ったらかしにしたと思います。

結局、90年代に入って上京して、自分のお金でCDを自由に購入できるようになってから再びこのアルバムと向き合い、その魅力に気づいたわけです。

HR/HMがメインストリームに躍り出た時代だったからか、質感的には重厚さこそ感じられるものの、本作はプログレッシヴロックというよりはAOR的要素の強い1枚だと思います。要所要所に短尺のインタールードを挟むことでコンセプチュアルな雰囲気を醸し出していますが、ストーリーとしてのトータル性はあまり感じられない。“コンセプチュアルな雰囲気”、これこそがすべての1枚かなと。

歌詞やタイトル(特にアナログM-1〜5のA面)においては、ロジャーなきあと新たに手がけることになった元SLAPP HAPPYのアンソニー・ムーアの手腕によるものが大きいと思います。ニック・メイソン(Dr)&リチャード・ライト(Key)も制作に貢献しているものの、基本的にはギルモアがPINK FLOYDを立て直そうとほぼソロ体制で作り上げた、そんな1枚かもしれません。

だからなのか、『鬱』という邦題のわりにはピースフルでポジティブな空気に満ちている気がします。サウンドのファット感はハードロックやAORが主流だった80年代半ばならではといえばそれまでですが、かなり聴きやすいもので、先鋭的だったプログレの香りは薄いかも。そんな中、デイヴのギターはかなり魅力的なフレーズ/プレイ満載で、「On The Turning Away」や「Sorrow」といった楽曲での“地味なのに印象に残る味わい深い”フレージングはさすがの一言。まあ、そこには高校生の頃はまったく耳が行きませんでしたが(派手さしか求めていなかったので。笑)。

ちなみに今作、全英/全米3位を記録。全米だけでも400万枚以上を売り上げる大ヒット作となり、バンドの健在ぶりをアピールすることに成功しています。よかったね、ギルモアさん。

時代に呼応した“アリーナロック化したPINK FLOYD”と言ってしまえばそれまでですが、これはこれで良いと思うんです。これがあったから、末期の傑作『THE DIVISION BELL』(1994年)が生まれたわけですから。

 


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2020年1月 2日 (木)

banned songs of US radio after 9.11

つい先日、昨年の9月11日に配信されたKERRNG!の記事「HERE ARE THE 164 SONGS THAT WERE BANNED FROM AMERICAN RADIO AFTER 9/11」がTwitterで流れてきたんですね。このリスト自体、これまでも完全版・不完全版問わずさまざまな形で流出していたと思いますし、実際僕も学生時代に湾岸戦争をテーマに「表現の自由」や「自主規制」について卒論を書いていたので、常に気になってチェックしていました。今回の記事も特別目新しさはなかったのですが、急にふと「そういえば、卒論書いてた90年代前半は実際にそういう曲を全部聴くのに相当苦労したけど、今ってストリーミングサービスがあるし、もしかしてこのリストの曲全部聴けるんじゃないかな……」と思ったんですね。

で、実際にプレイリストを作ってみようと思い、検索を開始……始めたのが明け方だったのですが、気づいたら1、2時間でプレイリスト完成。記事中に登場する曲名やアーティスト名に多少の間違いがあったので、ネット上で公開されている同様の記事(結局Wikipediaが一番便利でした)とも照らし合わせつつ、完全なるプレイリストを完成させました。

さすがに全曲ありました。すごいですね、Spotify(今回はApple Music版は作成せず。だって2つも作るの時間かかるし)。RAGE AGAINST THE MACHINEのみ全曲放送禁止だったので、本来なら彼らの楽曲はすべて入れるべきなんでしょうけど、それだと埒が明かないので各アルバムから主要ナンバー1曲ずつ、計4曲を入れることにしました。そこに「Knockin' On Heaven's Door」のみボブ・ディラン版とGUNS N' ROSES版の2曲を用意して、全168曲/11時間14分というアホほど長いプレイリストが完成したわけです(笑)。

一応、アーティスト名アルファベット順、複数の曲がリストにあるアーティストに関しては曲名もアルファベット順で並べてあります。なので、AC/DCみたいにいきなり7曲も続いてしまうこともありますが、シャッフル再生すると普通にラジオ感覚で楽しめるのではないでしょうか……しかも、いい曲ばかりですし。

こんなご時世だからこそ、こういった楽曲を手軽に楽しめる自由をかみしめつつ、今の生活に感謝したいと思います。またいつ、これらの楽曲やほかのヒット曲が放送禁止になるか、本当にわかりませんしね(しかも、あの当時よりも状況的には最悪ですから)。

 

※ブラウザ(記事上)でプレイリストを再生すると100曲しか表示されないようなので、プレイヤー右上のSpotifyロゴをクリックして、自身のSpotifyプレイヤーで再生することをオススメします。

2019年9月18日 (水)

PINK FLOYD『THE DIVISION BELL』(1994)

『対(TSUI)』の邦題で知られる、PINK FLOYDの14thアルバム。海外では1994年3月末に、日本では同年4月中旬にリリースされました。

デヴィッド・ギルモア(Vo, G)、ニック・メイソン(Dr)、リチャード・ライト(Key, Vo)体制になって正式な1作目(リチャード・ライトは1987年発売の前作『A MOMENTARY LAPSE OF REASON』制作時は参加せず、同作のツアーにサポートミュージシャンとして参加)。『A MOMENTARY LAPSE OF REASON』はロジャー・ウォーターズ(Vo, B)との裁判で揉めたりなど、すったもんだあったあとの作品でしたが、本作はそこから7年もの歳月を経て届けられた、新生フロイドとしては安定期に入ってからの1枚となります。

ということもあってか、作風的には非常にゆったり&まったりとした内容で、全体的にAORの香りが漂っています。もはや往年の緊張感を求めるのは酷かもしれませんね。

とはいえ、それでも70年代のプログレッシヴロック路線に回帰しようとする意思はあるようで、音楽的に組曲などで聴かせる手法ではないものの、歌詞のテーマ的には「コミュニケーションの欠如による対立」を軸にしたコンセプトアルバムに仕上げられています。

ギルモアの歌も板に付いてきた感があり、「What Do You Want From Me」あたりでは女性コーラスをフィーチャーした非常にソウルフルなボーカルを聴かせてくれます。また、サックスがアダルトな空気を醸し出す「Wearing The Inside Out」ではリチャード・ライトも歌声を披露しています。

実はこのアルバム、めちゃめちゃ好きなんですよね。プログレか否かと問われると非常に答えに困るのですが、今みたいな時期は深夜に、少し音量を落として流すと非常にハマるといいますか。ギルモアの味わい深いギタープレイと相まって、本当に気持ちよく楽しめるのです。

「それって、毒にも薬にもならないじゃないか」と突っ込まれたらそれまでですが、20代前半で出会ったリリース当時よりも大人になった今のほうが偏見なく、純粋に堪能できる1枚じゃないか。そんな気がしています。

全11曲、トータルで70分近い大作ですが、ラストの「High Hopes」までまったりと、リラックスしてその世界に浸ってほしい。歌詞の世界観を味わうのはそのあとからでも十分だと思うので、まずはこのサウンドと楽曲を楽しんでもらいたいと思います。この頃のフロイドも悪くないですから、ホントに。

 


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2019年1月 2日 (水)

ARCADIA『SO RED THE ROSE』(1985)

1985年秋にリリースされたARCADIA唯一のオリジナルアルバム。「Election Day」(全米6位/全英7位)、「Goodbye Is Forever」(全米33位)、「The Promise」(全英37位)、「The Flame」(全英58位)というシングルヒットも手伝って、アルバム自体も全米23位(ミリオン突破)、全英30位という好成績を残しています。

ARCADIAとは、当時活動休止中だったDURAN DURANのサイモン・ル・ボン(Vo)、ニック・ローズ(Key)、ロジャー・テイラー(Dr)が結成したサイドプロジェクト。先にアンディ・テイラー(G)、ジョン・テイラー(B)がTHE POWER STATIONを結成したことを受け、1年遅れでこちらを始動させたわけです。

この面子に加え、アルバムのプロデューサーがDURAN DURANの『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』(1983年)などを手がけたアレックス・サドキンという布陣。さらに、アルバムにはゲストプレイヤーとして土屋昌巳(G/ex. 一風堂。後期JAPANのツアーにも参加していましたしね、この流れは理解できます)、カルロス・アロマー(G/デヴィッド・ボウイなど)、デヴィッド・ギルモア(G/PINK FLOYD)、ハービー・ハンコック(Key)、アンディー・マッケイ(Sax/ROXY MUSIC)、スティーヴ・ジョーダン(Dr)、スティング(Cho)、グレイス・ジョーンズ(Cho)などが参加。もうこれだけで、アルバムのテイストがイメージできるかと思います。

で、その中身はDURAN DURANからブラックミュージック寄りのニューウェイブテイストは残しつつパンクロックの要素を排除し、シンセポップ色を強めたもの。DURAN DURANの耽美な世界観を強調させたそのサウンドは、『RIO』(1982年)や『SEVEN AND THE RAGGED TIGER』の延長線上にもあり、その後DURAN DURANが進むかもしれなかった“もうひとつの可能性”と捉えることができます。

というわけで、当然のように「Hungry Like The Wolf」や「The Reflex」といったテキストの楽曲は皆無。ミドルテンポ中心の作風なので、終始安心して聴いていられるかと思います。それもあって、THE POWER STATIONにあった刺激的な要素はゼロで、そこに不満をこぼす人も少なくないのでは。しかし、当時中学生だった自分は不思議とこの「どことなくエロを感じさせる、大人の雰囲気」に惹かれたんですよね。

サイモンの歌とニックのソングライティング&シンセが強く、ロジャーのカラーはほとんど感じらないかもしれません(苦笑)。また、曲によってはグレイス・ジョーンズ(「Election Day」)やスティング(「The Promise」)のコーラスが際立っており、刺激とまでは言わないけど良いフックにはなっているのではないでしょうか。

このアルバムでの世界観にジョン・テイラーが持ち帰ったファンクロックのテイストが加わったことで、DURAN DURANの『NOTORIOUS』(1986年)に続く……と考えると、DURAN DURANというバンドの史実上絶対に欠かせない1枚だと断言できるはずです。

 


▼ARCADIA『SO RED THE ROSE』
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2015年1月13日 (火)

祝ご成人(1994年4月〜1995年3月発売の洋楽アルバム20枚) ※改訂版

新成人の皆さん、おめでとうございます。というわけで今回は、新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1994年4月〜1995年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

あ、並びはすべてアルファベット順です。

Beastie Boys「Ill Communication」(Amazon

Blur「Parklife」(Amazon

Dinosaur Jr.「Without a Sound」(Amazon

Helmet「Betty」(Amazon

Jeff Buckley「Grace」(Amazon

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2001年12月31日 (月)

MY BEST OF 2001

今年もとうとうこの時期が来たわけですね‥‥早いもんだなぁ、1年が経つの。特にこのサイトを初めてから、それを嫌と言う程実感しますよ。ついこないだ2000年の10枚を選んだような記憶が(多少痴呆が入ってるのかも/苦笑)‥‥まぁ冗談はともかくとして、年末ということで毎年お約束の「とみぃが選ぶ『BEST OF 2001』」を紹介しようと思います。ここ数年はアルバム10枚のみだったので、今年はまぁ独り身で時間もあることですし(号泣)、ちょっと頑張ってアンケートの全項目をご紹介したいと思います。まぁ順を辿りながら、今年2001年の音楽界、更には自分自身を振り返ってみようかと思いまして、ええ。

ぶっちゃけ、2001年というのは自分自身にとっても忘れられない年になりました。プライベートでも一生の内で最も高額な買い物をしたり、新しい友との出会いがあったり、失恋したり‥‥それは勿論音楽にも当てはまるわけで、やはり2年振りに参加したフジロック、更には初の「ひたちなか」等、1年のへそに当たる夏を分岐点にして、自身の音楽傾向が変わりつつあると‥‥そう、所謂クラブミュージックとモーニング娘。のことですが(苦笑)。まぁその辺は後々語るとして‥‥とりあえず、アルバム10枚をご紹介しましょう。掲示板で言及してるものもあれば、レビューで大プッシュしたもの、更には密かにひとり楽しんだものまで。かなり意外な選出になってることかと思われます。


AIR『10000HZ LEGEND』

not車谷(笑)、フランスのエールの方です。今年はDAFT PUNKの大ブレイクもあり、フランスのクラブシーンに再び脚光が浴びる機会がありました。非常にダウナーなクラブミュージックと呼べますが、様々なゲスト(BECKや元JELLYFISHの面々、BUFFALO DAUGHTER等)を迎えて作り上げた曲は、非常にポップなものでした。買ってからまだ1ヶ月しか経ってませんが、かなりインパクトがあって、相当聴き込みました。ある意味「癒し系」?(笑)

BUFFALO DAUGHTER『I』

そのAIRのアルバムにも参加した日本人3人組、約4年振りの新作。レーベルの閉鎖等があり発表が遅れたものの、それを補って余るだけの完成度。TOOLと法則論は違うものの、共にKING CRIMSON's childrenと呼べるでしょう。エレグラでの初ライヴ体験も記憶に新しい、日本が世界に誇る2001年の名盤その1。

電気グルーヴ『THE LAST SUPPER』

当然、限定2枚組の方で。残念ながら活動休止となってしまいましたが(それを彷彿させる意味深なアルバム名もまた良し)、やはり電気は別格ですわ。元メンバーのCMJKやまりん、コーネリアス小山田等、いろんな人間に電気の曲をいじらせても尚、聴いて電気と判る原曲の完成度はやっぱり素晴らしいです。つうかこのアルバムの功績は、2001年という時代に「ロマンティックが止まらない」を復活させたことでしょう!(笑)

GORILLAZ『GORILLAZ』

BLUR「13」も好きだったけど、こっちの方がピンときた。比べるのは違うと思うんだけど‥‥いや、別物なんだけどさ。こういう形でアメリカでのブレイクを果たすとは思ってもみなかったけど。今年前半はマニックス、TOOLとこれがヘヴィロでしたね。この手の音楽に傾倒する切っ掛けを作った1枚かも。けど是非2002年はここで得たものをBLURの新作に生かして下さい。

JOUJOUKA『RE-SEI』

日本が世界に誇る2001年の名盤その2。別にこないだ出たスタジオ盤でもよかったんだけど、やはりファーストインパクトの強かったフジロックと、そこで買ったこの2枚組を。テクノだとか何だとか言うな!これこそ真のロックンロールだろうが!!

MANIC STREET PREACHERS『KNOW YOUR ENEMY』

何も言うことないでしょう。マニックスの、真の意味での二回目のデビュー盤だと思う。ここに終着するんじゃなく、ひとつの始まりなんだと思う。バンドは2002年にベスト盤を出して歴史を総括しようとしてるけど、まだまだ行けるでしょ?ここからもっと新しい何かが生まれるはず。ただでさえ素晴らしいのに、そこに別の可能性すら感じさせる作りには脱帽モノ。このアルバムの曲をもっとライヴで聴きたかったなぁ‥‥

PINK FLOYD『ECHOES』

これまでは頑なに「ライヴ盤」「ベスト盤」を選出外としてきたけど、これは選ばざるをえないでしょう。30年以上に渡る数々の名曲を並べ替え、クロスフェードすることによって新しい物語性を生み出してしまう。それぞれの曲が未だに色褪せていないのと同時に、新鮮で今のポップ/ロック/クラブシーンにさえも影響を与えそうな魅力には、ただ舌を巻くばかり。編集次第で新たな物語を生み出すことが出来るという可能性を提示した、奇跡の1枚。考え方を変えれば、それだけ昨今のロックが未だにこれらを越えていないとも言えるが‥‥

SLIPKNOT『IOWA』

KING OF キチガイ、ラウドロック界のモー娘。(笑)ことSLIPKNOTの大傑作。判り難いとかうるさいとか曲なのかこれはとか言うな!リリース後すぐに9/11を迎えてしまったが為にレビューをボツにするという、とみ宮始まって以来の大事件を作ったのも、このアルバム。その影響で来日まで延期。万単位の人間がこいつらの曲で暴れ狂う様を思い浮かべただけで鳥肌モノ。ここまで行っちゃったら、もう他のラウド系は聴けないわ。正直、SLAYERとどっちにしようか悩んだけど、甲乙つけがたい。ま、2001年という時代を象徴する意味でこっちを選ばせてもらいました。

SOUL FLOWER UNION『SCREWBALL COMEDY』

日本が世界に誇る2001年の名盤その3。文句なしの格好良さ。つうかこれよりカッコイイ「ロック」アルバム、今年どれだけあった?民謡だとかトラッドだとか、そういった土着的要素すらも血や肉と化し、オリジナルのロックンロールへと変化していく様は観て/聴いていて圧巻。今年最高の出会いを果たしたと思います。3回も、しかもどれも違ったフォーマットで観れたし。来年もお世話になります♪

TOOL『LATERALUS』

ラウドロック系で括られそうだけど、ある意味プログレ‥‥CRIMSONや上のPINK FLOYDと比べた方が意味があるのでは?ロックの持つ神秘性だとか、聴くだけでこれ程までに頭に映像が浮かんでくる楽曲や演奏、確かに気軽に聴けるものではないのかもしれないけど、改めて音楽に向かう姿勢を問われたような気がして、引き締まりました。フジロックでのステージは絶対に忘れられないよ。


最初にアンケートを書いてから間が2週間近く空いてて、しかもこの原稿を書き出したのがクリスマス前後なんですけど‥‥その間に結構何枚か入れ替わってます。まず惜しくも選から漏れた名作を。GARBAGE「BEAUTIFULGARBAGE」は一番最初のには入ってましたが、残念ながら落としました。同じくキリンジ「FINE」も。それとSLIPKNOTのとこにも書いてるように、SLAYER「GOD HATES US ALL」も残念ながら選外でした。ぶっちゃけ、これらと上の10枚、特に差はないんですよ。たまたま選んだ時の気分で上の10枚になってしまった、と。よく聴く頻度で言えば、今年は間違いなくモーニング娘。「ベスト!モーニング娘。1」が一番でしたからね(苦笑)。それとCocco「サングローズ」も今年前半ですよね。あ、AEROSMITH「JUST PUSH PLAY」も選んでなかった(汗)。DRAGON ASHもAIR(元BAKUの方/笑)も、EGO-WRAPPIN'やくるりも今年かぁ‥‥そうそう、GRAPEVINEもね。そう考えると、本当に今年は日本のアーティストが心に残る、素晴らしいアルバムを連発した年だったんだなぁと実感。ただ今好例のCD-Rコンピ「とみ宮的 BEST OF 2001」を作ってるんですが、日本の素晴らしいアーティスト達の曲が多くて、2枚に収まりそうにないですから。嬉しい悲鳴ですよ(お陰で娘。関係が2曲しか入れられない‥‥って2曲も入るのかよ!)

上を見てお判りの通り、クラブ系のアルバムが多数入ってます。昨年はUNDERWORLDくらいでしたが、今年はホント幅広く聴きましたね、この手を。特に後半の追い上げが‥‥選ばなかったところだとORBITAL「THE ALTOGETHER」やDAFT PUNK「DISCOVERY」、APHEX TWIN「DRUKQS」、毛色はちと違うけどRADIOHEAD「AMNESIAC」、MOGWAI「ROCK ACTION」、NEW ORDER「GET READY」も愛聴しました。本当、いい年でしたよ。


続いて「SONG OF 2001」の5曲も。


・AEROSMITH「Jaded」

文句なしでしょう。エアロがデビュー30年近く経って放った、新たなる魅力。今年前半、携帯の着メロはこれでした(笑)。オリジナル曲としては約10年振りのトップ10入り。2月の来日公演が非常に楽しみであります。名曲!

・GRAPEVINE「風待ち」

アルバムを選べなかった代わりに、最新シングルをここに入れておきました。これは夏フェス時期の俺のテーマソングでした。この男泣きしそうな哀愁のメロディーに本気で泣き崩れそうになった事が何度あったことか。単純に「歌モノ」として最高級の1曲。文句なし!

THE HIGH-LOWS「14才」

このバンド‥‥というよりも、ヒロトとマーシーって男は、何故もこう「ロックを聴き始めた頃の初期衝動」を忘れることなく15年近くも第一線でロックし続けてこれたのでしょうか? 俺が高校に入って最初に出来た音楽友達から借りたテープがブルハのファーストでした。それから約15年‥‥あの頃と何ら変わりない衝撃をこの曲から受けました。去年の「青春」からも近い衝撃を受けたけど、これは比じゃないです。秋はこの曲にやられっぱなしでした。順位を付けるなら、これがナンバー1です。

MR.CHILDREN「YOUTHFUL DAYS」

早くも1/1には「君が好き」って名曲をドロップしますが、これも忘れちゃいけない名曲。曲中の「I got back youthful days」っていう一節が全てを物語ってるような気がします。「優しい歌」から始まった「ミスチルを取り戻す旅」の、ある意味終着駅であり出発点でもある、記念すべき1曲なのです。桑田圭祐がマジでビビッたらしいからね、これ聴いて。ホント、アルバムが楽しみだわ。

タンポポ「恋をしちゃいました!」

え~っと‥‥入れちゃいました(入れちゃった!)。文句なしで、今年出た娘。関係の曲ではナンバー1の出来でしょう。正直、メロン記念日「This is 運命」と悩んだりもしたのですが、やっぱり「第一印象で決めました!」って事で。新生タンポポは昨年の「乙女パスタに感動」でのクイーン路線に始まり、この曲でのBCR真っ青な真っ当なアイドル路線が決定打となり、先頃の「王子様と雪の夜」で王道ポップ安定期に入った感があります。次はどういった手を打つのか気になる以前に、早くこの路線でアルバム作ってください、マジでお願いします。


一応、アルバムで選出したアーティストと被らないように選んだつもりです。ここに挙げた以外だと、もう選んだアルバム10枚の中からもいくらでも挙げられるわけで‥‥他に選ぼうとすると、どうしても今の俺はモーニング娘。絡み、しかも石川梨華絡みで挙げてしまいそうなので‥‥(笑)ちなみに他に気になった娘。関係だと、「ザ☆ピ~ス!」、プッチモニ「BABY!恋にKNOCKOUT!」、タンポポ「年末年始の大計画」(「王子様~」カップリング)、松浦亜弥「100回のKISS」等が挙げられます(って誰も聞いてないですね、はい/笑)


続きまして、今年観たライヴから選ぶ「LIVE OF 2001」を。


・AC/DC@横浜アリーナ (2/19)
・SOUL FLOWER UNION@野音 (6/9)
・TOOL@FUJI ROCK FES. (7/29)
・MR.CHILDREN@ROCK IN JAPAN FES. (8/4)
・エレファントカシマシ@SHIBUYA-AX (11/21)


AC/DCは文句なしでしょう。あれこそエンターテイメントってもんです。それでいて、コアなロックをも満足させる。何故彼らが「世界最強のライヴバンド」と呼ばれるのかが、この身をもって実感できた至福の2時間でした。

ソウルフラワーは正直どのライヴ(7月のフジロック、9月のリキッドルーム)も甲乙付けがたい、素晴らしい内容だったのですが、やはりファーストインパクトを与えた頭脳警察とのイベントを。頭脳警察も良かったんだけど、その後のソウルフラワーとの関わり方、そして「現役か否か」を考えるとどうしても(いや、頭警が現役から退くべきとかそういう意味ではなく、あの図警はやっぱり「祭り」って印象が拭えなかったし、演奏する側も観る側も、そして選曲も、その後の彼らの活動を観ても)。

TOOLはフジロックの中で観たライヴでは最も異質な存在で、演奏とか内容だったらこれよりも素晴らしかったアーティストは他にもいるんだけど、「観てはいけないものを観てしまった」という後味の悪さ、そして「ロックにはまだ神秘性が残っている」って事も改めて気づかせてくれた彼らを選びました。その後に観たEMINEMとは正反対のベクトルながらも、やっぱり根本にあるロック魂はおんなじだよな?なんて思ってるのは、俺だけでしょうか?

ミスチルも今年は久し振りによく観ました。2月のさいたま公演が俺の中で不完全燃焼気味だった事を考えると、この「ひたちなか」での彼らは、きっと二度と観ることは出来ないであろう「ギラギラ感」を堪能する事が出来ました。つうか、あれを観れた人はホントラッキーだよ? あんな桜井、きっと単独公演では観れないはずだから。事実、その数週間後に観たマリンスタジアムでは、いつもの桜井に戻っていたし。同じ曲を演奏するにも、シチュエーションでこんなにも変わってしまうものか、ロックの神が憑依してるんじゃないか?と思わせる程の大熱演。もし1本だけ選べと言われたら、AC/DCをも差し置いて、これを選びます。

エレカシもよく観たなぁ。昨年12月の千葉公演に始まり、5月のゼップ、8月のひたちなか、そしてこの11月AX公演。内容的にはどれも素晴らしいと思ったけど、やっぱりこの11月のが群を抜いて良かったのでは?と。これでくだらないアルバムを作りやがったら、承知しません(笑)。

この他にも、CYBERNAUTS、HELLACOPTERS、TEENAGE FANCLUB、KISS、フジロックでのマニックスやNEW ORDER、ひたちなかでも中村一義、更に市井紗耶香なんかも素晴らしかったです(最後のは余計か?/笑)


2002年も沢山の素晴らしい音楽と出会えますように‥‥

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