2004/01/17

THE PLAYMATES『LISTEN!』(2003)

  姫路が誇るパワーポップ/ギターポップバンド、THE PLAYMATESが約1年振りに発表する通算4作目のフルアルバム「LISTEN!」。このアルバムの3ヶ月前には、ここにも収録されている "IF" や "BABY LOVE" の「STEREO VERSION」や、ニール・セダカやキャロル・キングといった王道ポップクリエイター達のカバーを含む全6曲入りのミニアルバム「A SESSION WITH THE PLAYMATES」をリリースしていて、結成10周年を迎える2003年は本当に精力的に活動していくんだな?というのが伺えて、ファンには嬉しい限り。しかも、そのどれもが本当に素晴らしい楽曲ばかりなのだから、さすがとしか言いようがないですよね。暫く活動が停滞していた時期があっただけに、ここ最近の充実振りには正直嬉しいものがあります。

  上にミニアルバムでは「STEREO VERSION」なんてことを書きましたが、この「LISTEN!」というアルバム、ジャケットにも表示されているように「モノラル」なんです。今やギターの振り分けとかドラムのタムタムやシンバルの位置が全てステレオ録音によって、まるで目の前で演奏されているかのように実感することができるわけですが、録音技術が乏しかった'50~'60年代の録音物はほぼ全部「モノラル録音」だったことはご存知でしょう。BEATLESのアルバムひとつをとっても、ある時期から急に「モノラル」から「ステレオ」に切り替わっていたり、あるいは「疑似ステレオ」なんていうのまである始末で。ステレオ録音は勿論、現代の音楽界ではごく当たり前と思われがちですが、そんなの誰が「当たり前」って決めたんですかね? そういったセオリー通りの音楽、面白くないよね?

  このTHE PLAYMATESはそういったセオリー通りに面白みを感じなかったから敢えてモノラルにした‥‥のではないと思います。これはもう単純に趣味の問題であり、自分達のサウンドに一番フィットする録音方法/表現方法だったから、時代に逆行するかのような技術を採用したんでしょうね。ていうかさ、3ピースのロックバンドが至極シンプルなそのサウンドを、ライヴ感そのままに録音物に閉じ込めようとした場合、実はこういった方法が一番伝わりやすいんじゃないかな‥‥なんて思うんですけど、どうでしょうか? 勿論人それぞれ、趣味も好みも違うから、一概にはそれが正論とは言い難いですが‥‥そして、それが合っているバンド/似合わないバンドが存在するのも事実。単純にTHE PLAYMATESの場合、見事にその方法とサウンドが合致したわけですよ、奇跡的に。

  このバンドのサウンドを言い表す時、必ず「マージービート」だとか「リバプールサウンド」といったキーワードが出てくると思うのですが、勿論そういったものをルーツに持ちつつもただ再現するのではなく、ちゃんと同時代性‥‥全員が20代後半~30代前半ということもあり、パンクやガレージ等を通過してるはずなので‥‥も表現しつつ、彼らなりの表現方法で「THE PLAYMATESらしいロックンロール」を展開しているわけです。歌詞は全て英語、2声~3声によるコーラス、シンプルな演奏、甘くとろけるようなメロディ、全部2~3分以内で収まる楽曲(アルバム自体も12曲で30分ちょっとという聴きやすいランニングタイム)。これだけ書くと「そんなの、似たようなバンドが腐る程いるじゃないか?」と返されそうですが、確かに。けどさ、聴いてもらえば判ってくれるはず‥‥決して勢いとかで押し切るタイプではなくて、あくまで「メロディ・歌(コーラス)・演奏」で勝負するバンド。そして聴いて納得してしまう説得力。伊達に10年もやってないな?と思わされるわけですよ。確かに初期はもっと勢いがある楽曲をやってたりもしたんでしょうけど、例えばTEENAGE FANCLUBがどんどん轟音から鳴りを潜め、「静かなる攻め」を突き詰め始めたのと同じものをTHE PLAYMATESからも感じるわけです。

  とはいっても、彼らはTFCよりもまだまだ若いですから、完全に「枯れて」しまうには勿体ない。若さ故に表現できるものもあるわけで、そういった楽曲もちゃんと収録されている。映画「アメリカン・グラフィティ」の中のダンスタイムで流れてきそうな楽曲から、ストレートでスピード感をちゃんと伴ったロックチューンまで。「ポップ」というキーワード繋がりで約30数分、全く飽きさせない至福の時を与えてくれるアルバム。それがこの「LISTEN!」という1枚。日本のインディーシーンには有名無名問わず、まだまだ素晴らしいバンドが沢山いるんです。チャートやテレビ、雑誌だけが全てじゃないってことがお判りいただけると思いますよ、特にこのアルバムを聴いてしまうとね!



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投稿: 2004 01 17 12:00 午前 [2003年の作品, Playmates, The] | 固定リンク