カテゴリー「Police, the」の6件の記事

2019年6月24日 (月)

STING『MY SONGS』(2019)

2019年5月発売の、スティングの通算14作目となるスタジオアルバム。本作はTHE POLICE時代およびソロ名義での楽曲を“リ・ワーク”したもので、EDM系プロデューサー/DJのデイヴ・オーデが手がけた再構築曲(主にソロ楽曲)と、マーティン・キアーズズンバウムがプロデュースしたバンド編成の再アレンジ曲が軸になっています。

まず、ダンストラック風に再構築された冒頭3曲(「Brand New Day」「Desert Rose」「If You Love Somebody Set Them Free」)は賛否分かれるところではないかなと。原曲の完成度が高いし、ライブでのアレンジもその都度さまざまだったとは思いますが、結局はこういう形でリミックス(ですよね?)でお茶を濁すしかなかったのかなと。思えばスティング、過去にも「Roxanne」をパフ・ダディのリミックスでヒットさせていますし、そういった(今の世代が知らないであろう過去の楽曲を現代的にリ・ワークすることで、楽曲の良さを再び浸透させる)狙いもあったのかなと。なので、原曲世代がブーたれるのも理解できるけど、ここはそっと目を瞑っておきましょう。

で、バンド編成で再レコーディングされた楽曲群は主にTHE POLICE時代のナンバーが中心。最近のライブで披露されているアレンジにほぼ近いものばかりで、原曲の良さを残しつつ現編成での個性を打ち出している。かつ、スティングの今の声量/声域に合わせて節回しを変えたり、キーを下げたりしているわけです。

そりゃ、オールドファンはどの曲も原曲への思いが強いでしょうから、ここで展開されているアレンジや演奏には不満もあるでしょう。ていうか、だったらこのアルバムに手を出さなきゃいいわけですが(とはいっても、それでも聴きたくなってしまうのがファンとしての悲しいサガなのも重々理解しています)……。

キャリアとしては最終コーナーを折り返したスティングが、現在の活動と合わせて今一度過去と向き合った結果、こういう作品に着手した。そういう意味では、本作は『57TH & 9TH』(2016年)での手応えがあってこその1枚なのかなと思います。

そりゃあ20〜30代の彼が醸し出す緊張感やスリリングなアンサンブルは皆無ですよ。ただ、今の年齢でなければ出せない安定感と成熟感は20〜30代の彼には出せないものであり、ロックが老いと向き合う/成熟していくことの意味を体現しているという点においては評価すべき作品だと思います。

なんだかんだで名曲しか入っていないし、原曲を収めたベスト盤を聴き飽きたであろう人には新鮮さや新たな魅力を見つけることができるかもしれない、そんな可能性も秘めた作品集。“今の耳”で楽しみたい1枚です。

 


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2019年1月 3日 (木)

STING『...NOTHING LIKE THE SUN』(1987)

スティングが1987年秋に発表した、通算2作目のスタジオソロアルバム。本作からは「We'll Be Together」(全米7位/全英41位)、「Be Still My Beating Heart」(全米15位)、「Englishman In New York」(全米84位/全英51位)、「Fragile」(全英70位)、「They Dance Alone」(全英94位)などのシングルヒットが生まれ、アルバム自体も全米9位、全英1位という好成績に恵まれました。特に「We'll Be Together」「Englishman In New York」が当時ビールやビデオテープのCMソングに使用されたこともあり、日本のファンの間でも馴染み深いアルバムの1枚と言えるでしょう。

前作『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985年)THE POLICE時代の恩恵もあり大ヒットを記録。そういう意味では続く今作でソロアーティストとしてのスティングの真価が問われるわけですが、そういった外野からの声を完全に無視するかのように、このアルバムではジャズを軸にした独自の世界観が展開されています。

アルバムのオープニングを飾る「The Lazarus Heart」のジャズやフュージョンを彷彿とさせるノリ、「Englishman In New York」でのレゲエとジャズをミックスしたテイストは、まさにスティングならではと言えるでしょう。また、「They Dance Alone」後半の展開や、ジミ・ヘンドリクスのカバー「Little Wing」に感じられるインプロ的緊張感は、本作に到るまでに彼が経験したソロツアーが大きく反映されているのではないでしょうか。

そういえば、本作は参加メンバーもそうそうたるもので、ルーベン・ブラデス(Vo, G)、ハイラム・ブロック(G)、エリック・クラプトン(G)、マーク・ノップラー(G)、アンディ・サマーズ(G)、マーク・イーガン(B)、ケンウッド・デナード(Dr)、マヌ・カチェ(Dr)、アンディ・ニューマーク(Dr)、ケニー・カークランド(Key)、ブランフォード・マルサリス(Sax)、ギル・エヴァンス(オーケストラ指揮)、GIL EVANS ORCHESTRAなど、ジャズやフュージョン、ブラックミュージック、ロックなどさまざまなジャンルからトップアーティストが勢揃い。ギル・エヴァンスが参加してるというのが、そもそもポップス/ロック界的には当時、相当衝撃的だったような記憶があります。

『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』と比較すると全体的に穏やかで、ロックやポップスのジャンルにおいてはかなり地味な部類に入る作品だと思います。事実、当時高校生だった自分にはかなり大人な内容で、正直すぐに気に入ったかと言われると微妙でしたし。が、中にはグッとくる楽曲も多かったですし、スティングが活動を重ねアルバムを重ねていくごとに、振り返ってこの作品を聴くと「これ、ものすごいアルバムなんじゃないか……」と少しずつ気づくという。そんな濃さと奥深さを持つ傑作のひとつだと思います。

ですが本作、実はかなり闇の深い1枚でもあります。本作の制作に向かう過程で、スティングは最愛の母親を亡くしています。また、ツアーで訪れた南米で触れた、現地の内戦などでの犠牲者たち……こういった出来事から受けた死生観が、歌詞に落とし込まれている。それがアルバム全体を多く「明るくなりきれない」空気につながっているのではないでしょうか。

また、本作は当時としては破格のフル・デジタル・レコーディング作品。そんな触れ込みもあって、当時のCDとしてはかなり音が良かった記憶が。もちろん、現在はもっと音の良い作品は山ほどあるので、今となってはどうってことのないトピックですが。



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2018年4月25日 (水)

THE POLICE『SYNCHRONICITY』(1983)

乃木坂46通算20枚目のシングル『シンクロニシティ』発売および大ヒット、おめでとうございます。

ということで、今日はこのタイトルを最初に知ったとき、オッさんリスナー誰もが思い出したであろうTHE POLICEの5thアルバムにして最終作となった『SYNCHRONICITY』を紹介したいと思います。

アルバムを出すごとに本国イギリス以上にアメリカで大きなヒットを飛ばし始めたTHE POLICE。前作『GHOST IN THE MACHINE』(1981年)はついに全米2位、300万枚ものヒット作となりました(イギリスでは当然のように1位獲得)。また、同作からは「Every Little Thing She Does Is Magic」(全英1位/全米3位)というヒットシングルも生まれ、あとはどのタイミングで全米1位を獲得するのかと、誰もが注目しているところでした。

そんな中、先行シングル「Every Breath You Take」に続いて1983年6月に発表されたのが、本作『SYNCHRONICITY』。「Every Breath You Take」はイギリスのみならずアメリカでも初の1位を獲得し、しかも8週連続1位という偉業を成し遂げました。アルバムのほうもこれに続いて全米1位を獲得。さらに「Wrapped Around Your Finger」(全英7位/全米8位)、「Synchronicity II」(全英17位/全米16位)、「King Of Pain」(全英17位/全米3位)とヒットシングルが多数生まれ、結果アメリカでは800万枚を超えるメガヒット作となったのでした。

パンクにレゲエをミックスしたシンプルなバンドサウンドからスタートしたTHE POLICEが、7年程度でたどり着いた到達点。テクニカルなバンドアンサンプルを多用した「Synchronicity I」のようなロックチューンから民族音楽的な「Walking In Your Footsteps」、アンディ・サマーズ(G)が歌う国籍を感じさせない「Mother」、ラテンポップロックと読んでも差し支えない「Miss Gradenko」、ギターがパワフルなハードロック「Synchronicity II」など、楽曲としてはかなりバラエティに富んだ印象の強いアルバムです。

そこから、スティング(Vo, B)の淡々とした歌い出しがストーカーまがいな歌詞と妙にマッチする「Every Breath You Take」で後半戦に突入。以降、「King Of Pain」「Wrapped Around Your Finger」とヒット曲が続き、アナログ盤はジャジーさすら感じさせるレゲエソング「Tea In The Sahara」で幕を下ろします。そこにCDやカセットではさらに、「Murder By Numbers」というのちのスティングのソロ活動につながる1曲が追加されています。

スティング、アンディ・サマーズ、スチュワート・コープランド(Dr)と創作意欲も演奏技術も優れた、エゴの強いミュージシャンが作り出した終着点。いろんな意味で、バンドとしても臨界点に突入していたんでしょうね。本作を携えたワールドツアーを終えると、バンドは活動休止に突入。スティングはジャズに傾倒したソロアルバム『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985年)を発表し、THE POLICEに次ぐ成功を収めます。そして1986年、再びスタジオ入りした3人でしたが、結局過去のヒット曲「Don't Stand So Close To Me」のリメイクバージョン1曲を残したのみで、THE POLICEは長い沈黙に入るのでした。



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2017年12月14日 (木)

STING『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985)

THE POLICEの活動休止を経て、1985年6月に発表されたスティング初のソロアルバム。「If You Love Somebody Set Them Free」(全米3位)や「Fortress Around Your Heart」(全米8位)、「Russians」(全米16位)、「Love Is the Seventh Wave」(全米17位)とシングルヒットを連発したおかげもあり、アルバムも全米2位まで上昇し、300万枚以上を売り上げる大ヒット作となりました。

本作はオマー・ハキム(Dr)、ダリル・ジョーンズ(B)、ケニー・カークランド(Key)、ブランフォード・マルサリス(Sax)といったジャズ/フュージョン界で名の知られたミュージシャンたちと制作(本作でスティングはギターをプレイ)。そのサウンドもジャズテイストを強めたポップ/ロックサウンドで、“THE POLICEのスティング”らしい内容に仕上がっています。

クールでジャジーなオープニングトラック「If You Love Somebody Set Them Free」にいきなり驚かされるものの、ポップなレゲエソング「Love Is the Seventh Wave」や重厚な「Russians」などを聴くと、「ああ、“あの”スティングだ」と納得させられる。その後もジャズやフュージョンからの影響が強い楽曲がたびたび登場しますが、THE POLICEを通過していれば特に違和感なく楽しめるのではないでしょうか。

確かに派手なギターリフも激しいリズムも、ロックバンドならではの緊張感もここでは希薄です。それを良しとするか否かで本作の評価は分かれるかもしれません。が、ポップアルバムとして接するのであれば、本作は非常にクオリティの高い1枚だと断言できます。曲もしっかり作り込まれているし、各プレイヤーの存在感の強いプレイも圧巻の一言だし。それはそれで緊張感が感じられるのですが、それはロックバンドならではのアレとは別モノ。比較するのはやめておきましょう。

ちなみに5曲目「Shadows In The Rain」は、THE POLICEの3rdアルバム『ZENYATTA MONDATTA』(1980年)のセルフカバー。こちらは原曲と聴き比べてみることをオススメします。スティングがソロで何をやりたかったのかが、明白ですから。

このアルバムも中学生の頃に死ぬほど聴き込んだ1枚。残念ながらこの当時のライブは生で観ることはできませんでしたが、当時の様子はライブビデオなどで確認することができます。



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2017年7月30日 (日)

THE POLICE『GHOST IN THE MACHINE』(1981)

早いもので、今年でTHE POLICE結成40周年。つまり、期間限定で再結成した30周年からもう10年経ってしまったわけです。あのときの東京ドーム公演、ちょうど今の仕事を開始してからようやく忙しくなり出した時期だったので、残念ながら足を運ぶことはできませんでしたが、再結成ツアーの模様はのちに発売されたDVDなどで目にしており、往年のキレはないものの「やっぱり、なんだかんだで変わらないな」と思わされたものでした。

初めて聴いたTHE POLICEのアルバムは最終作となった5作目『SYNCHRONICITY』(1983年)。その後はスティングのソロや、一時的な再始動の際に制作されたベストアルバム『EVERY BREATH YOU TAKE: THE SINGLES』(1986年)をよく聴き、20歳を超えてからは他のスタジオアルバムにもまんべんなく触れるようになりました。

今回紹介する『GHOST IN THE MACHINE』は1981年にリリースされた、THE POLICE通算4作目のスタジオアルバム。アメリカでも最高2位まで上昇し、300万枚以上ものセールスを記録しました。また本作からは「Every Little Thing She Does Is Magic」(全米3位、全英1位)、「Spirits In The Material World」(全米11位、全英12位)、「Invisible Sun」(全英2位)、「Secret Journey」(全米46位)というヒット曲も生まれています。

初期2作にあったパンキッシュさとレゲエやスカを織り交ぜたサウンドから、よりポピュラリティの強い要素が表面化した3rd『ZENYATTA MONDATTA』(1980年)を経て、そこからたった1年でより洗練されたサウンドを確立させたのが本作『GHOST IN THE MACHINE』。サウンド的にも3人だけで成立させていたアンサンブルを、他の楽器をフィーチャーすることでよりゴージャスに見せ始めた。それは「Every Little Thing She Does Is Magic」でのピアノしかり、「Demolition Man」などでのブラスしかり。その要素は前作にも存在したのですが、それがより前面に打ち出され出したという点において、続く『SYNCHRONICITY』の片鱗が見え隠れしています。このへんは、本作からプロデュースに携わるようになったヒュー・パジャムの影響が強いのかもしれません。

シリアスかつスリリングな「Spirits In The Material World」でオープニングを飾るものの、キャッチーで陽気な2曲目「Every Little Thing She Does Is Magic」でいきなり空気が一変。かと思うと再び緊張感の強い「Invisible Sun」やグルーヴィーな「Demolition Man」が飛び出す。そして、後半に進むにつれてラテンの香りが強まっていき、パンクというよりはニューウェイブなアップチューン「Rehumanise Yourself」「Omega Man」みたいな曲も飛び出す。『SYNCHRONICITY』とはまた違った魅力が感じられる、味わい深い1枚だと思います。

特に彼らの作品をリリース順に聴いて行くと、本作でバンドとしてもアーティストとしても一段高いステージに到達したんだなということが、はっきり感じられるはず。手っ取り早くベスト盤で触れるのも良いですが、このバンドの場合はぜひ全5作品をリリース順に聴いて、その成長の過程を味わうことをオススメします。そこから、自分に合った1枚を選んでみてはどうでしょう。



▼THE POLICE『GHOST IN THE MACHINE』
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2004年8月31日 (火)

とみぃ洋楽100番勝負(12)

●第12回「Synchronicity I」 THE POLICE('83)

 ベタですが、スティングが在籍したTHE POLICEを。名曲 "Every Breath You Take" が収録されたオリジナルアルバムとしてはラストとなった「SYNCHRONICITY」の1曲目。当然アルバムを当時レンタルして、いきなりスピーカーから流れ出したこの曲に衝撃を受けたわけですよ。

 当時「変拍子」の曲なんて初めて聴いたわけですよ。ま、変拍子といっても四分の六拍子ですけど。で、POLICEって普通に渋いポップバンドだと思ってたら、いきなりこんなハードな曲から始まるじゃないですか。そりゃビックリですよ。しかもこの曲と対を成す "Synchronicity II" もまたハードロックしててカッコいい。そう、POLICE初体験は「ハードエッジ」な面に惹かれたんです。

 その後、アルバムを遡って聴くと、彼等がパンクやレゲエ、ジャズなんかをスタート地点にしていることを知って、また驚いて。初期の2枚はホント大好きですね。勿論後期2枚の高品質ポップマシーンとしての彼等も大好きですが。けどさ‥‥実は俺、POLICEよりもスティングのソロの方が好みなんだよね。初期のソロ‥‥ジャズにモロ影響を受けた路線の頃ね。マルサリスとかメンバーに入れたりしてね。4人編成の頃も思い入れあるけど(メンバー最強だったしね。来日の度に足を運んだもの)、やっぱりスティングのソロは「ブルータートルの夢」が一番かな、と。って全然POLICEの話題から外れちゃってますが。



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