PRINCE & THE REVOLUTION『PURPLE RAIN』(1984)
1984年6月25日にリリースされたプリンスの6thアルバム。PRINCE & THE REVOLUTIONでは本作が最初の作品となります。
前作『1999』(1982年)が初の全米トップ10入り(最高7位)を記録したほか、同作からは「1999」(米12位)、「Little Red Corvette」(同6位)、「Delirious」(同8位)、「Let's Pretend We're Married」(同52位)とヒットシングルが多数誕生。そんな勢いづいた彼の人気の決定打となったのが、1984年に公開された自伝的映画『プリンス/パープル・レイン』と同作のサウンドトラック的役割を果たすアルバム『PURPLE RAIN』でした。
同アルバムからは「When Doves Cry」「Let's Go Crazy」という2つの全米No.1シングルが生まれ、このうち「When Doves Cry」は1984年のBillboard年間チャート1位。このほかにも「Purple Rain」(同2位)、「I Would Die 4 U」(同8位)、「Take Me With U」(同25位)と計5枚のヒットシングルが生まれ、アルバム自体も彼のキャリア中初の全米1位に輝き、現在までに1300万枚以上を売り上げる最大のヒット作となりました。また、映画自体の興行収入も週間ランキング1位、年間ランキングでも11位という好成績を残しています。
THE REVOLUTIONというバックバンドを携えているものの、「When Doves Cry」などを筆頭に基本路線としてはこれまでと変わらず。そんな中、「Let's Go Crazy」や「Take Me With U」「Purple Rain」などバンドサウンド色が強まった楽曲も含まれており、そうした側面が従来のリスナー層からさらに拡大させる鍵となったのかなと思います。事実、当時はそうした“聴きやすさ”が入り口として十分に役割を果たし、僕のような中坊にもしっかり届いたのですから。と同時に、プリンスという唯一無二の才能が適度な大衆性を取り入れたことで、結果的に『THRILLER』(1982年)が当時バカ売れし続けていたマイケル・ジャクソンにも匹敵する存在にまで登り詰めることになります。
取っ付きにくさを伴うかもしれないプリンスの作品において、実は本作が異色の存在であることは、その後のキャリアを見れば一目瞭然。しかし、彼の魅力の一端を知るという点では入門編としてもっともわかりやすい1枚なのも確か。本作や『SIGN O' THE TIMES』(1987年)、あるいは1990年代のTHE NEW POWER GENERATION期あたりから触れていけば、自然と馴染んでいけるのではないでしょうか。
あと、アルバムラストの「Purple Rain」で聴ける、プリンスのギタリストとしての腕前にもぜひ注目してもらいたい。以降もさまざな局面でその技量の高さを遺憾なく発揮してきましたが、この曲のギターソロは歴史に残すべき名演だと断言したいです。
ちなみに、2017年に発売されたデラックス・エディションには本作りリース後の1985年3月にニューヨークで行われたライブを収めたDVDが付属していので、こちらもオススメです(2022年には同ライブ映像がBlu-ray化、しかもライブCD付きで単独発売されていますが、それはまた別の機会に)。
▼PRINCE & THE REVOLUTION『PURPLE RAIN』
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