2017/10/01

PRINCE『SIGN O' THE TIMES』(1987)

1987年春に発表された、プリンス通算9作目のスタジオアルバム。“PRINCE & THE REVOLUTION”名義で発表された『PURPLE RAIN』(1984年)、『AROUND THE WORLD IN A DAY』(1985年)、『PARADE』(1986年)を経て、ソロ名義では1982年の『1999』以来4年半ぶりのアルバム。しかも同作以来の2枚組作品(『1999』はアナログ2枚組でしたが、CD化の際に1枚に。『SIGN O' THE TIMES』はCDでも初の2枚組)でした。

世代的に『PURPLE RAIN』からプリンスの音楽に触れ、「曲はカッコ良いのに声が気持ち悪い」と思っていた、あの頃10代前半だったリスナー、多かったんじゃないでしょうか。まさに自分がそうで、『AROUND THE WORLD IN A DAY』は苦手意識のほうが勝ってしまいしばらく放置(高校生くらいまで)。が、『PARADE』収録の「Kiss」のファルセットはなぜかイケて、ハマってしまったクチでした(もっともアルバム自体は当時、そこまでのめり込めませんでしたが)。

で、『SIGN O' THE TIMES』。先行シングルのタイトルトラックの淡々とした曲調、まずこれにヤラレました。もはやこの頃になると声の気色悪さはほとんど気にならず、むしろこの声じゃないとダメ!とすら思えるように。確か、レンタルではなく初めて購入したプリンスのアルバムが本作だったと記憶しています。

全16曲、約80分というボリュームは当時の自分にとっては相当なものがありました。だって、情報量が多すぎて……単なるファンクや R&Bだけでなく、ポップやロック、ハードロック、ヒップホップ、サイケ、ソウルetc…いろんな要素詰まりまくりで、すべてを理解するには相当の時間を要したことを、今でもよく覚えています。ぶっちゃけ、今でも完全に理解しきれているかと言われたら微妙ですが、少なくとも20代になってしばらく経ってから、このアルバムの本当の凄味に気づいたんじゃないでしょうか。

本来は3枚の別々のアルバムだったものを、 THE REVOLUTION解散などを経てひとつの作品にまとめ込んだのが本作。これまでも1枚のアルバムの中にいろんな要素を詰め込んむ人ではありましたが、本作が過去の作品の比じゃなほどに雑多なのは、そういった理由もあるのかもしれません。にしても、やりすぎだろ!と思っちゃうほどに遊びまくり実験しまくり、なのに自然とするする聴けてしまう。

プリンスの声色も曲によってカラフルに変わっており、時には爬虫類系の声色で歌い、時にはファルセットでセクシーに歌い、ある時にはエフェクトかけまくりの歌声を披露する。もはや自身の声すらも楽器のひとつとして、自身の楽曲を最高の形で演出する。そういった意味では、この人はシンガーというよりも音楽家だったんだなと。

昔はハードでロック色が強く、パーティ感もにじませていたディスク2を気に入っておりましたが、最近はもっぱらいディスク1にやられまくり。やっぱりタイトルトラックの無機質感(密室ファンク!)といい、そこからパーティチューン「Play In The Sunshine」を経て「Forever In My Life」まで続く怒涛の流れは、本当に圧巻。これがあるから、ディスク2がより映えるということにも、改めて気づかされました。

本作をプリンスの最高傑作に挙げるファンも多いようですが、それも納得の内容。本作と続く『LOVESEXY』(1988年)、そしてその間にリリースされる予定だった『THE BLACK ALBUM』(1987年12月発売予定だったものの、直前に発売中止。1994年にようやく日の目を見ました)の3作は本当に神がかっていたんだなと、今さらながら時間しているところです。

ただ、ひとつだけ難点を挙げるとしたら、曲ごとに録音レベル(音量)が異なること。1曲目「Sign O' The Times」を基準に聴き始めると、続く「Play In The Sunshine」で急に音量が小さくなるし、その後も変動を繰り返し続けるという。まあこれすらも、聴き手を惹きつけるための戦略なのかな、なんて邪推してしまうわけですが(そんなことないでしょうけどね)。



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投稿: 2017 10 01 12:00 午前 [1987年の作品, Prince] | 固定リンク

2016/04/22

R.I.P. Prince

世代的には『Purple Rain』が最初。以後、毎年のように新作を発表してくれる、律儀な人だった。ライブは1回だけ。

つい最近、引越しの際に手放していた1stアルバム『For You』と2ndアルバム『Prince』を買い直したばかりで、iTunesの中にはこの2枚と『1999』以降の80年代のアルバムが常に入ってる状態だった。

もし無人島に10枚だけ……みたいな質問をされたら、絶対に選ぶのが『Sign O' The Times』だと思う。「私を構成する9枚」にもマストで選ぶくらい、本当に影響を受けた1枚(2枚組だけど)。

もうこれ以上、言葉が出てこない。夜中に近所迷惑で申し訳ないけど、今晩だけは大きな音で聴かせてほしい。

ご冥福をお祈りします。


投稿: 2016 04 22 03:40 午前 [Prince, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2004/10/12

うわーっ、こんなの出るんだ!

 プリンスの自作自演映画3部作(「パープル・レイン」「アンダー・ザ・チェリー・ムーン」「グラフィティ・ブリッジ」)をまとめた4枚組DVDボックス。しかも「パープル・レイン」は2枚組。特典ディスクがとにかく凄い。「THE VIDEOS」ってのは各サントラアルバム(2番目はかの「PARADE」)からシングルカットされた曲のPVってことですよね。ってことは‥‥「パープル・レイン」9曲って‥‥全曲じゃんか(汗)。いやまてよ。THE TIMEの曲とかシーラ・Eの曲も含まれて9曲ってことか!?

 何にせよ、これは絶対に買いだ。最近、ライヴ映画「SIGN 'O' THE TIMES」がDVD化されたけど、それに続く快挙といいましょうか。特に「グラフィティ・ブリッジ」は観た事ないからなぁ。「アンダー〜」は以前観た記憶があるけど‥‥全然ストーリー覚えてないもんで。

 あー来日しないかなぁ、殿下。



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投稿: 2004 10 12 09:19 午後 [Prince] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/28

とみぃ洋楽100番勝負(40)

●第40回:「Sign 'O' The Times」 PRINCE ('87)

 前に "1999" の時(第19回)にも書いたけど、アルバム「1999」から無題アルバム(通称「BLACK ALBUM」)や「LOVESEXY」の頃までのプリンスの快進撃はホント休む事知らずって感じで、アルバムを必ず年に1枚リリースしてたんですよね。特に「AROUND THE WORLD IN A DAY」、「PARADE」、そしてこの「SIGN 'O' THE TIMES」の3作はどれもが歴史的名盤と呼んでも差し支えない程の作品集。しかも3枚とも作風が異なりますからね。そこが凄い。

 初めて買った2枚組CDアルバムが、この「SIGN 'O' THE TIMES」だったんですよ。で、それが‥‥その後の俺の人生を変えちゃうような、もの凄い名盤中の名盤だったとしたら‥‥皆さんだったらどうします?

 それまで率いてきたTHE REVOLUTIONというバンドをいきなり解散させ(一応「PURPLE RAIN」から「PARADE」までの3作が『PRINCE & THE REVOLUTION』名義)、再び自作自演に明け暮れたプリンス。そうして出来上がったアルバムが2枚組なんだから‥‥しかも駄曲一切なし。ものスゲエよ、マジで。

 自作自演‥‥言い方は悪いけど、引き蘢りミュージックのひとつの完成型じゃないか、これ。1曲目の表題曲が、もう全部を語ってるよね、歌詞の内容にしろさ。チープなリズムボックスをバックに、胡散臭いんだけどソウルフルなシンセや、如何にもプリンスなかっちょいいギターソロが被さって、あの爬虫類的歌声が乗る‥‥しかもメロウ。そりゃ度肝を抜かれるわな。

 よくジミヘンだったりSLY & THE FAMILY STONE、スティーヴィー・ワンダーといった偉人達、そして同時代を生き抜くマイケル・ジャクソンと比較されるけど、全然違う立ち位置にいる人だよね。だって、未だに攻めの姿勢を崩してないじゃない。'90年代後半はレーベルとのゴタゴタとか訳判んない未発表曲集みたいなのが次々と出てきてファンは翻弄されたけど、ここ最近の彼は(決して「SIGN 'O' THE TIMES」の頃みたいな神懸かった閃きはないにせよ)ホント輝いてるよね。

 だからこそ‥‥そろそろまた、こういう「計算」と「暴走」の狭間にいるような作品集を期待しちゃうんだよね。



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投稿: 2004 09 28 12:00 午前 [1987年の作品, Prince, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/07

とみぃ洋楽100番勝負(19)

●第19回:「1999」 PRINCE('82)

 そうか、この曲ってそんなに前の曲だったんだ。けど俺が初めて聴いたプリンスの曲がこれなのね。初めて聴いたアルバムは、続く大ヒット作「PURPLE RAIN」('84)だったけど。

 個人的にはこの曲を含む5作目のアルバム「1999」以降の作品‥‥「LOVESEXY」や、後にリリースされることになる無題アルバム(通称「BLACK ALBUM」)辺りまでが最もハマった時期で、特に「AROUND THE WORLD IN A DAY」「PARADE」「SIGN 'O' THE TIMES」の3作は一切隙のない名作中の名作だと思っております。中学〜高校の頃、影響受けまくったもん。これがなければ、個人的には岡村靖幸に行かなかったと思うし。

 で、"1999"。カッコいいよね、純粋に。ま、ファンクって部類に分けられるんだろうけど‥‥個人的には「ポップ」というか「ポップス」だったんだよね。ヘンテコなポップス。プリンスの顔が気持ち悪いとか声が変だとかいろいろ意見はあるだろうけど‥‥特にガキの頃だったから、周りはみんなそんな風に言ってたよね。特にマイケル辺りと比較してさ。

 そういえば‥‥ベタだけど、この曲を1999年の元旦一発目に聴いた記憶が。みんなもそうじゃねぇの?(と勝手に決めつけ)

 まぁプリンスに関してはベスト盤から聴くのもいいけど、アルバムだったら素直に「PURPLE RAIN」辺りから聴いてください。あるいは'90年代以降のNEW POWER GENERATIONと組んだ時のやつとか。K-1のテーマソングになってるやつとか入ってるし。「1999」は意外とアクが強いので(ってプリンスの作品は全部アク強いけど)慣れてからの方がいいかな、と。

 プリンスについては、もう1回くらい語りたいな。



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投稿: 2004 09 07 12:00 午前 [1982年の作品, Prince, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック