2004/05/29

PROBOT『PROBOT』(2004)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロールが、約4年前からその存在を臭わせる発言を繰り返してきたメタル・プロジェクト「PROBOT」。それが'04年になってやっと日の目を見ることになりました。「デイヴがデスメタルをやる」とか「いや、ドゥームメタルみたいだ」とか噂だけが一人歩きしてた感がありますが、結果は見ての通り、もの凄い「豪華プロジェクト」となっております。

基本はデイヴが全ての楽器を多重録音し(一部例外あり)、そこに各曲毎にゲストボーカルを迎えるという形で、曲もデイヴが各シンガーに合わせて起用に作ってます(歌詞は各シンガーが作詞)。全11曲(+シークレットトラック)に11人のシンガー。恐らく、メタルを普段聴かない(聴いていても'90年代初頭以前の古き良き時代のメタル/ハードコアを知らない)世代からすると、知ってる人なんて誰もいないのかも‥‥いや、かろうじてレミー(MOTORHEAD)くらいは知ってるかな? 決して全米/全英チャートで大ヒットを飛ばしたようなバンドのシンガーは参加してない、所謂「アングラ」的、カルト的な存在ばかりが選ばれているように感じます。もっとも、普段からメタルしか聴かないようなコアなファンからすれば、「何でクロノスやキング・ダイアモンドと一緒にC.O.C.のマイク・ディーンの名前があるの? そもそもマイクってベースで、ボーカルはペッパー・キーナンじゃないの?」とかいろいろ不満の声も挙がりそうな気がしますが、それは完全に無視ね。だってメタルファンやフーファイのファンに向けて作られたアルバムじゃないもんこれ。絶対に「デイヴのオナニー」的自己満足アルバムだもん。じゃなきゃ、もっと売れる要素を取り入れて、メジャーレーベルから出すんじゃないの?(今回のアルバムをリリースする「Southern Lord」っていうレーベルもCHURCH OF MISERYとかTHE OBSESSED、ELECTRIC WIZARDみたいなコアなバンドを扱うインディーレーベルですしね)。

先に書いたように、1曲1曲がバラバラで、アルバムのトータル性を考えると微妙ですが、メタルのオムニバスアルバムと考えた場合、非常によく出来た作品なんじゃないかな、と思うわけです。マックス・カヴァレラが参加した曲なんて、彼が参加するSOULFLYや'90年代半ばのSEPULTURAでやってたことをよく研究して、曲調だけでなく演奏スタイルもそれらを模倣してるんですよね。同じくリー・ドリアン参加曲も彼のCATHEDRALチックなドゥームメタルしてるし。レミー参加曲もまんまMOTORHEADだしね。デイヴがそんなによくメタルものを聴いてるなんて知らなかったよ。もっと初期の‥‥それこそ今回参加してるVENOMやCELTIC FROST、VOIVOD辺りに拘った作風になるのかと思ってたもんで、NIRVANA前後の同時代に活躍するバンド‥‥SEPULTURAやNAPALM DEATH‥‥を選ぶのがかなり意外に思えましたね。単純にメタル/ハードコア好きなのね、この人。

デイヴがNIRVANA以前にハードコアバンドでドラムを叩いてた話は有名ですが、その名残りなのか、'8O年代後半頃のC.O.C.をイメージしてマイク・ディーンをボーカルに起用したり(彼、一時期ボーカルもやってたんですよ)、D.R.I.みたいな懐かしい名前も飛び出す始末。この辺は、完全に'80年代してますよね。それぞれが参加した曲も見事にそれっぽいし。かと思えば'80年代ドゥーム/ストーナーロックの元祖・TROUBLEのエリック・ワグナーなんて人まで呼んでるし。この辺はQUEENS OF THE STONE AGEのアルバムに参加した流れかなぁ、なんて勝手な推測をしてみたいりして(ご存知の通り、デイヴはQOTSAの前作でドラムを叩いてます。QOTSA自体、元々はストーナーロックバンドのKYUSSが前身ですしね)。

‥‥とここまで書いて、多分殆どのフーファイ・ファンがチンプンカンプンな名前や内容ばかりだろうな‥‥なんて思ったんですが、要するにあれですよ、カッコいいと感じればそれでいいし、理解できなければ素直にフーファイやNIRVANAまで戻ればいい。それで十分じゃないですかね、このアルバムへの接し方って。そこまでシビアに考える必要ないと思いますよ、だって単なる「遊び」なんですから(売れる/売れないは二の次でしょう、上にも書いたようにね)。で、これ聴いて「メタルってカッコいいかも‥‥」とかちょっとでも思ったら、各シンガーが参加するバンドに手を出せばいい、と。そうやってデイヴのルーツを探っていくのも面白いかもしれませんよね。

あ、個人的には勿論楽しめる1枚でしたが、やっぱり俺的にはデイヴのハードなドラミングを久し振りに堪能しまくれたのが一番の収穫ですね。QOTSAのアルバムやライヴ@フジロックも良かったけど、やっぱりね、ここまで派手にやってくれるとさぁ、嬉しいじゃない? 最近のフーファイはドラムが固定してるから、アルバムで彼のプレイを聴くような機会もないしね。たまにでいいんで、またこういう「遊び」を見せて/聴かせて欲しいですよね、NIRVANA時代からのファンとしては。



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投稿: 2004 05 29 03:48 午後 [2004年の作品, Foo Fighters, Probot] | 固定リンク