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カテゴリー「Queen」の48件の記事

2022年11月25日 (金)

QUEEN + PAUL RODGERS『THE COSMOS ROCKS』(2008)

2008年9月15日にリリースされた、「QUEEN + PAUL RODGERS」名義唯一のスタジオアルバム。日本盤は同年9月17日発売。

それまでも何度か共演経験のあったブライアン・メイ(G, Vo)とポール・ロジャース(Vo/ex. FREE、ex. BAD COMPANY)でしたが、2004年にフェンダー・ストラトキャスター発売50周年イベントで一緒になったことを機に、ロジャー・テイラー(Dr, Vo)を含む3人でのコラボレーションを画策。2005年に入り、先の名義によるワールドツアーを開催し、1986年の『Magic Tour』以来19年ぶりとなるQUEENを冠したライブツアーが実現しました。

ここ日本にも同年10月に訪れており、当方も10月30日の横浜アリーナ公演を訪れております。同じタイミングには、同ワールドツアーをパッケージ化したライブ作品『RETURN OF THE CHAMPIONS』(2005年)もリリースされ、ここでひと段落かなと思っていたら、活動はさらに続き、今度は完全新作を完成させるに至りました。

全13曲すべてが書き下ろし楽曲で、それぞれがブライアン、ロジャー、ポールの単独名義で制作されています。クレジットを見ると、ブライアンが3曲、ロジャーが6曲、ポールが5曲というバランス。3分の2がQUEENで残りがFREEもしくはBAD COMPANYと受け取ることもできますが、どの曲も“らしい”多重ハーモニーとブライアンのギターオーケストレーションが加えられることで、“それっぽく”聴こえてくるから不思議です。あと、「Still Burnin'」みたいに過去の楽曲をサンプリングする(ここでは「We Will Rock You」のリズムパターン)ことで「QUEEN」らしく聴かせることに意識的なポイントも散見されます。

しかし、やはりボーカリストがまったく異なると、最終的には似て非なるものになってしまう。もともとフレディ・マーキュリーのように華のある歌い手ではないポールですから、どうしても地味で小さくまとまってしまう。「Cosmos Rockin'」みたいに従来のQUEENがやっていそうなロックンロールナンバーも、ポールが歌うと不思議とこじんまりした形に落ち着く。言い方は悪いですが、力技で突き抜けるような爽快感は皆無です。が、ポールの節回しなど含め、深みのある歌唱スタイルは聴き込めば聴き込むほど味わいが伝わってくる。と同時に、ポールに引っ張られるようにブライアンのギタープレイもQUEENではあまり見せなかったフリーキーさーを見せてくれる。「Voodoo」あたりで披露されるフレージングは、まさにそういった好演の代表例ではないでしょうか。

QUEENもポールも、もともとブラックミュージックの影響下にあるロックを独自の形で昇華させてきたアーティスト。そのアプローチこそそれぞれ異なるものの、こうしてひとつに融合することで、“第3の解釈”をここに封じ込むことができたのではないでしょうか。もちろん、それはQUEENそのものではないし、もっと言えばFREEでもBAD COMPANYでもポールのソロとも違う。どっちつかずと言ってしまえばそれまでですが、僕は本作を「QUEENとソウルフルなロックを題材にした化学反応を楽しむ場」と受け取るようにしています。なので、リリースされた当時よりも大人になった今のほうが、フラットな気持ちでこの良作と向き合えているのではないかな。

なお、本作には今は亡きテイラー・ホーキンス(FOO FIGHTERS)が「C-lebrity」のバックコーラスで参加しています。いかにもブライアン・メイらしいエッジの効いたハードロックは、今聴いても抜群にカッコいいですね。

 


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2022年11月24日 (木)

QUEEN『THE MIRACLE: COLLECTOR'S EDITION』(2022)

2022年11月18日にリリースされた、QUEENの13thアルバムのリイシュー&ボックスセット。

本作は、1989年5月に発表されたアルバム『THE MIRACLE』の最新リマスター盤(2011年バージョン)のほか、同作制作時のセッション音源とアルバム未収録曲およびデモ音源集『THE MIRACLE: SESSIONS』、シングルのみに収録されたカップリング曲やリミックス音源をまとめた『ALTERNATIVE MIRACLE』、メンバー4人が一緒に行った最後のインタビューなどをまとめた『THE MIRACLE: RADIO INTERVIEWS』、アルバム収録曲のインストバージョンやバッキングトラックをまとめた『MIRAC-MENTALS: INSTRUMENTAL & BACKING TRACKS』のCD5枚に、当時制作されたMVとドキュメンタリー映像をまとめたBlu-ray/DVD『THE MIRACLE: VIDEO』、そして5曲目に「Too Much Love Will Kill You」を配置するという当初計画していた『THE MIRACLE』の“Long Lost Original LP Cut”のアナログ盤が付属した、非常にボリューミーな内容。「Too Much Love Will Kill You」はフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)死後に完成させた『MADE IN HEAVEN』(1995年)収録バージョンがそのまま用いられています。

本作でもっとも特筆すべきなのが、CD DISC-2の『THE MIRACLE: SESSIONS』でしょう。アルバム制作時のセッションの模様がダイレクトに伝わってくる内容で、未発表曲はもちろんなんですが、特にアルバム収録曲が完成に至る経緯が垣間見えてきて、非常に興味深い内容なんです。

例えば、『HOT SPACE』(1982年)の流れを汲む打ち込みダンスポップ路線を取り込んだ「Party」や「The Invisible Man」は、生々しさが残されており、よりスタジオセッション色が強い。良い意味でほかのハードエッジな楽曲群との整合性が取れており、この形で収録されていたら全体的にもっとロックテイストの強い内容になっていたのかなと感じました。しかし、そうしないのがQUEEN。このおもちゃ箱的バラエティ豊かさこそが80年代の彼らなわけで、改めて完成版の魅力にも気づくことができました。

あと、「Breakthru」の冒頭スローパートが、デモ版では「When Love Break Up」と題した2分に満たないスローバラードでまとめられていたり、当の「Breakthru」はリズムセクションが打ち込みではなくて生ドラム&生ベースを残したテイクを楽しむことができる。冒頭のアレンジも完成版とは異なる形で、これも興味深い。リリース当時は「これ、打ち込みじゃなくて生のリズム隊バージョンで聴きたかった」なんて贅沢なことを考えたりもしましたが、結果やはり完成版のクオリティの高さは格別であったことに30数年経って気づかされたのでした。

さらに、本作には先の「When Love Break Up」や先行リリースされた「Face It Alone」を含む未発表曲を6曲用意。「You Know You Belong To Me」はブライアン・メイ(G, Vo)による弾き語り風小楽曲。アルバム後半のつなぎとして用意されたような1曲かな。「I Cuess We're All Falling Out」は1980年前後のフレディらしいゴスペルチックなピアノバラード、「Dog With A Bone」はロジャー・テイラー(Dr, Vo)のコーラス&ハーモニーが良いテイストを醸し出しているヘヴィ&グルーヴィーな1曲。「Water」は2分前後のスペーシーなスローナンバーで、これもブライアン中心で固められているのかな。完成された1曲というよりは、ここから展開していくというネタ程度の小楽曲なんでしょうね。そして、今回のリイシューに際してリードトラックとして配信された「Face It Alone」は、アルバムに入れるにはかなり地味な仕上がり。アルバムの入れるにしてもインパクトが弱すぎて、シングルのカップリング向けのおまけ程度のクオリティかな。方向性的には『THE MIRACLE』というよりは、シームレスで制作に入った次作『INNUENDO』(1991年)のテイストに近い気がするので、そういった意味では『THE MIRACLE』と『INNUENDO』をつなぐ過渡期的楽曲とも言えるでしょう。

この時期のアルバム未収録曲は比較的多く、CD DISC-3『ALTERNATIVE MIRACLE』には当時シングルのカップリング曲として発表された「Hang On In There」「Stealin'」「Hijack My Heart」「Chinese Torture」、そしてのちに『MADE IN HEAVEN』でリメイクされる「My Life Has Been Saved」と、かなり豊富なアウトテイクが残されていることに気づきます。実際にシングルのカップリングで発表された楽曲は、アルバム本編に入れるには至らないものの、先のデモテイクよりはクオリティも高めであることにも気づかされる。と同時に、やはり『THE MIRACLE』って非常に練り込まれた完成度の高い1枚なんだなと実感させられます。

ここに「Too Much Love Will Kill You」が当時ならではのアレンジで収録されていたら、どうなっていたのか……実際にプレイリストで再現してみましたが(もちろん『MADE IN HEAVEN』版のアレンジなので、当初想定していたものとは異なるかもしれませんが)、これはこれで良い流れなんですよね。どうせなら、CDでもこのバージョンを再現してほしかったなあ。

というわけで、フレディの命日にQUEEN関連のアイテムを紹介するのは昨年の30周年で一区切りかなと思っていましたが、こんな素敵なプロダクツが制作された以上は取り上げないわけにはいかない。今年もこのボリューミーなボックスセットにしっかり浸りながら、フレディに思いを馳せたいと思います。

 


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2021年11月24日 (水)

QUEEN『LIVE MAGIC』(1986)

1986年12月1日にリリースされたQUEEN通算2作目のライブアルバム。日本盤は同年12月20日にアナログにて発売され、1988年2月3日に初CD化されています。


※YouTube上に『LIVE MAGIC』関連の公式映像はゼロのようなので、同時期の公式映像から。

フレディ・マーキュリー(Vo)存命中、QUEENのライブアルバムは『LIVE KILLERS』(1979年)とこの『LIVE MAGIC』の2枚のみ。しかも、この『LIVE MAGIC』はQUEENにとって最後のツアーとなった『The Magic Tour』から1986年7月11、12日のイギリス・Wembley Studium公演、7月27日のハンガリー・ブダペスト公演、そしてツアーファイナルにしてQUEEN最後のライブとなった8月9日のイギリス・Knebworth Park公演から抜粋されたライブベスト的内容。その“抜粋”の仕方も非常にクセの強いもので、本格的なライブアルバムを期待すると肩透かしを喰らう可能性が高い珍品です。

というのも、全15曲中「One Vision」「A Kind Of Magic」「Under Pressure」「Another One Bites The Dust」「Hammer To Fall」「Radio Ga Ga」のみほぼフル演奏ですが、それ以外の楽曲は当時演奏されたテイクをエディットしてメドレーっぽくつなげた形で、「Bohemian Rhapsody」に至っては、中盤のオペラパートをまるまるカットするという暴挙ぶり(怒)。なので、15曲(うち1曲はエンディングSE「God Save The Queen」なので実質14曲)で49分とアナログ1枚に収まる短さなのです(この49分はCDでの長さで、実際のアナログ盤は47分とさらに2分ほど短いのですが)。

当時の最新アルバム『A KIND OF MAGIC』(1986年)でQUEENに夢中になった筆者にとって、このライブアルバムがいかに期待外れだったか……来日が実現せず、今みたいにYouTubeで手軽にライブ映像を漁ることもできず、仮にライブ映像作品を購入しようとしても当時のVHSビデオテープ作品はどれも軽く1万円超えという時代。悶々としながらこのライブアルバムと向き合ったことは、言うまでもありません。

フレディ逝去後、先のWembley Studium公演をまるまる収めた2枚組作品『LIVE AT WEMBLEY '86』(1992年)がリリースされ、中学生時代の悔しさをここで解消したこと、今でもよく覚えています。さらに2000年代以降は各時代の秘蔵ライブアルバムが制作され、それらを貪るように聴き漁り……自分がQUEENのライブ作品に対して敏感なのは、きっとこの『LIVE MAGIC』での落胆が大きかったのかもしれませんね。

Wembley Studium公演は先の『LIVE AT WEMBLEY '86』、ブダペスト公演はのちにリリースされた『HUNGARIAN RHAPSODY: QUEEN LIVE IN BUADPEST』(2012年)で完全版が公開されているので、ここで希少価値が高いのはラスト公演となった Knebworth Park公演の音源のみ。QUEEN関連のライブ作品では本来重要視されるべき作品にもかかわらず、先のようなエディットのため評価が低いという、なんともアレな1枚なので、コアファン以外は無理して手にするべきではないと思います。まあ、そもそも日本ではデジタル配信およびストリーミングサービスでも未配信ですけどね。

このアルバム、当時は日本やヨーロッパでのみ発売され、セールス的に不遇期だったアメリカでは未発売。血胸、フレディ死後の1996年8月になってようやくUSリリースされたのです。しかし、現在はQUEENのカタログ・リイシュー時に今作が含まれることはなく、廃盤状態の国も少なくないようです。そんな中、ここ日本では2019年に本作がSHM-CD仕様でフィジカルリリースされておりますので、気になった方は(無理にとは言いませんが)購入してみてはいかがでしょう。

 


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QUEEN『A NIGHT AT THE ODEON - HAMMERSMITH 1975』(2015)

2015年11月20日にリリースされたQUEENのライブアルバム。

フレディ・マーキュリー(Vo)死去から24年後に制作された本作は、QUEENの4thアルバム『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)発表から約1ヶ月後の1975年12月24日にロンドンのHammersmith Odeon(現・Hammersmith Apollo)にて開催されたライブの模様を収録したもの。ライブCDに加え、同公演の映像(DVD、Blu-ray)が同梱された仕様も用意されています。

2014年に発表された『LIVE AT THE RAINBOW '74』と比べて、こちらのライブは当時BBCで映像収録されたほか、BBC Radio 1でもオンエアされたこともあり、これまで多数のブートレッグも出回っています。その完全版であり、音声/映像がクリアなものが40年の時を経てお披露目されたわけですから、そりゃありがたい限りです。

この日の公演は『A NIGHT AT THE OPERA』を携えたUKツアーの最終日。ちょうど「Bohemian Rhapsody」が9週連続で全英1位を獲得していた時期での公演とあって、会場には5000人もの観客が集まりました(当然ソールドアウト)。アルバム自体も初の全英1位を獲得したあとだけに、名実ともにトップバンドの仲間入りを果たした絶妙なタイミングでの公演、悪いわけがありません。

「Now I'm Here」「Ogre Battle」「White Queen」という流れは1974年後半のツアーと似た流れですが、当然このツアーでは「Bohemian Rhapsody」をはじめとする『A NIGHT AT THE OPERA』も複数演奏されています。が、後年のように「Bohemian Rhapsody」の中盤パートをライブで(音源にて)再現することなく、オペラパート&ハードロックパートを省いて「Killer Queen」「The March Of The Black Queen」へとつなぐメドレー形式で披露。最後は再びエンディングのバラードパートへと戻って終わっていきます。このアレンジもこの時期ならではと言えるものではないでしょうか。これはこれでカッコいいし(特に「Killer Queen」へと切り替わるタイミングのスリリンスさ、たまらんです)。

あと、「Brighton Rock」からブライアン・メイ(G, Vo)の長尺ギターソロへと続く構成は、すでにこの時期からあったものだったのだと気づかされます。そこから「Son And Daughter」へと流れるアレンジもカッコいいの一言。こういう洒落たアレンジ、一度は生で聴いてみたかったなあ。

にしても、『A NIGHT AT THE OPERA』からの曲が思った以上に少ないなと……あのアルバム、それ以前と比べてライブを想定して制作に取り組んでいないような気がしますし、レコーディングが終了してからツアーに入るまでの期間が短すぎて、新曲を体に染み込ませるには時間が足りなかったのかな、という気もします。

それと、後年のように「Bohemian Rhapsody」をクライマックスに持ってきたり、「We Are The Champions」で締め括るお約束に慣れてしまうと、エルヴィス・プレスリー「Jailhouse Rock」が当たり前のように毎ツアー演奏されていたり、「Seve Seas Of Rhye」「See What A Fool I've Been」でエンディングを迎える終盤の流れは、我々のようにQUEENのライブを生で体験したことのない世代には非常に新鮮です。

フレディの死後、数々の企画盤が続発したことに対して悪い感情を持っているファンも少なくないようですが、こういう初期の貴重なライブ音源が楽しめるようになったことは、後期〜末期からファンになった僕や後追い世代にとってうれしいのでは。ここは素直に喜びたいところです。

 


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QUEEN『LIVE AT THE RAINBOW '74』(2014)

2014年9月8日にリリースされたQUEENのライブアルバム。日本盤は同年9月9日発売。

フレディ・マーキュリー(Vo)がこの世をさってから23年後に発表された本作は、ロンドンのThe Rainbowにて1974年3月31日に開催された公演と、同会場で同年11月19〜20日に実施された公演の模様を収めた2枚組ライブ作品。11月公演のみの単品ディスク、および11月公演の映像を収めたBlu-ray/DVDも同時発売されました。

1974年のQUEENは2つのアルバムをリリースしており、そのどちらもが彼らにとって非常に重要な作品として知られています。まず1974年3月8日に発売された2ndアルバム『QUEEN II』。全英5位を記録した言わずと知れたコンセプチュアルな作品で、QUEENらしさを完全に確立させた初期の重要作です。そしてもうひとつが、同年11月8日に発表された3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』。同作からは「Killer Queen」(全英2位)、「Now I'm Here」(同11位)という2つのヒットシングルも生まれ、アルバム自体も最高2位まで上昇した出世作です。

つまり、このライブアルバムに収録された2つのライブは、2ndアルバム&3rdアルバムをそれぞれリリースした直後の、バンドとしても非常に脂の乗った状態のステージを楽しむことができるのです。まだ初来日前の彼らが、現地でどのように受け入れられたのか、そしてその受け入れられ方は8ヶ月でどう変化したのか。そういった状況の違いも音源から楽しめるのではないでしょうか。

どちらの公演もアルバム2枚、3枚と持ち曲が限られていたこともあり、セットリスト的には非常に似たものがあります。特に『QUEEN II』をリリースしたばかりのDISC 1は、同作を軸にしたセットリストで濃厚な世界観を展開しています。一方、DISC 2に入るとオープニングSEこそ同じ「Procession」を使用していますが、そこに続く1曲目がロックンロール色の強い「Now I'm Here」と、「Father To Son」からドラマチックに始まるDISC 1とは雰囲気がガラリと変わります。ポップ色の強い楽曲が増えた『SHEER HEART ATTACK』期のライブは、その後の彼らのステージに近いものが感じられますが、とはいえまだ「Behemian Rhapsody」完成前のステージ。終盤には「Big Spender」や「Jailhouse Rock」といったスタンダードナンバーで締め括られているのも印象的です(「Jailhouse Rock」で終えるのは、この頃の定番だったのでしょう)。

加えて、非常に興味深いのが『SHEER HEART ATTACK』ツアーではすでにライブのエンディングSEとして、QUEENバージョンの「God Save The Queen」が用いられていること。同テイクがアルバムに収録されるのは、続く4作目『A NIGHT AT THE OPERA』(1975年)と1年先のことなので、すでに『SHEER HEART ATTACK』の時期にはレコーディングされていたことが伺えます。

また、作品を重ねるごとに1stアルバム『QUEEN』(1973年)からの楽曲が披露される頻度が低くなっていく。DISC 1では「Great King Rat」や、初期のシングルB面曲「See What A Fool I've Been」なども披露されており、特に前者のカッコよさは特筆に値するものがあります。かと思えば、DISC 2にはのちにMETALLICAがカバーすることでお馴染みの「Stone Cold Crazy」が含まれている。それぞれのセトリにそれぞれの良さがあるので、一概にどちらの時期が好みなんて言えない。それくらい両公演とも必聴のライブ音源なのです。

2000年代に入ってから過去の秘蔵ライブ音源が複数リリースされましたが、その多くが1980年代以降のものばかり。こういった初期の貴重なライブテイクを(しかも映像付きで)楽しめるようになったのも、もはや純粋なニューアルバムが望めないからこそと複雑な心境にもなりますが、ここは素直に楽しんでフレディに想いを馳せたいと思います。

 


▼QUEEN『LIVE AT THE RAINBOW '74』
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QUEEN『HUNGARIAN RHAPSODY: QUEEN LIVE IN BUADPEST』(2012)

2012年9月20日にリリースされたQUEENのライブ作品。日本盤は同年12月19日発売。

本作はもともとBlu-ray/DVDの映像作品で、同作品のライブ音源を収めた2枚組CDが初回限定エディションにのみ付属。その後、音源のみデジタルリリース/ストリーミングサービスでの配信が行われ、デラックス版パッケージを買い逃した方も手軽に楽しめる作品となりました。

収録されたのは1986年6月7日から8月9日にかけて実施された『Magic Tour』から、7月27日のハンガリー・ブダペスト公演。『Magic Tour』の音源は『LIVE MAGIC』(1986年/未配信)『LIVE AT WEMBLEY '86』(1992年)と複数発売されていますが、この作品が大きな意味を持つポイントはそこではなく、1986年当時はまだヨーロッパでは冷戦状態下にあり、中でも「鉄のカーテン」の中であるハンガリーでイギリスのバンドがライブを行うという事実が非常に画期的だったわけです。

『Magic Tour』は本数も26本と決して多くなく、セットリストは基本的に大きく変わりません。しかし、初めて訪れたブダペストで、QUEENはこの日ならではの楽曲も用意しました。それが「Love Of My Life」と「Is This The World We Created...?」の間に披露されたハンガリー民謡「春の風(Tavaszi Szél Vizet Áraszt)」。約6万人のキャパシティに対し約8万人も集まった聴衆による大合唱の理由も納得です。

そんなカバーのあとに、「(You're So Square) Baby I Don't Care」「Hello Mary Lou」「Tutti Frutti」といったアメリカンポップス/ロックのスタンダードを披露するというのは、非常に大きな意味を感じます。もともと今ツアーに組み込まれていたカバーではあるものの、この流れは冷戦時代の“壁”をぶち破ろうとするQUEENの気概を感じずにはいられません。

ちなみにこれらのロックンロールメドレーや「Another One Bites The Dust」など一部楽曲は、映像版には未収録。「Tie Your Mother Down」「I Want To Break Free」「Crazy Little Thing Called Love」も映像版はエディットされているのでご注意を。バンドの意志を汲み取るという点では、ぜひ音源での完全版を味わってもらいたいところです。

とはいえ、8万人も集まった圧巻の映像もぜひBlu-rayやDVDにて体験しておきたいところ。なのでここはひとつ、ボーナスCD付きのデラックス版を入手しておくことをオススメします。残念ながら国内デラックス版はDVDのみなので、Blu-rayで楽しみたい方はすでに廃盤状態の輸入盤でご購入を。

 


▼QUEEN『HUNGARIAN RHAPSODY: QUEEN LIVE IN BUADPEST』
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QUEEN『QUEEN ROCK MONTREAL』(2007)

2007年10月29日にリリースされたQUEENのライブアルバム。日本盤は同年10月31日発売。

フレディ・マーキュリー(Vo)没後、さまざまな未発表音源が公式リリースされてきましたが、本作もそのひとつ。全英&全米1位を獲得した8thアルバム『THE GAME』(1980年)を携えたワールドツアーから、1981年11月24&25日にカナダ・モントリオールにて行われたファイナル公演のもようを収めたもので、もともとライブ映画『WE WILL ROCK YOU』として1982年に公開されたものに、映画ではカットされた「Flash」「The Hero」を追加した完全版。ライブアルバムと同時に、同タイトルの映像作品も発売されています。

フレディがこの世を去る(1991年11月24日)ちょうど10年前の録音という、非常に意味深い内容でもありますが、初めてイギリスとアメリカで同時に1位を獲得した、ある意味で第二の全盛期を迎え油の乗ったタイミングの録音でもあるので、筆者のようにフレディを含むQUEENを一度も生で目にすることができなかった世代や後追いファンにとっても貴重な作品と言えるでしょう。

名ライブアルバム『LIVE KILLERS』(1979年)同様、「We Will Rock You」のファストバージョンからスタートし、そのまま「Let Me Entertain You」へと続く構成は興奮ものですし、そこから「Play The Game」「Somebody To Love」と新旧の名ピアノバラードを連発する流れも圧倒的。特に後者は後半で聴けるフレディのアドリブやフェイク、そこに絡んでいくブライアン・メイ(G, Vo)のギタープレイなど聴きどころも多く、数ある同曲のライブテイクの中でも出色の出来ではないでしょうか(曲終わりにブライアンが「Under Pressure」のイントロを弾き始めると大歓声が湧くあたりもポイントでは)。

中盤の聴きどころは、「Now I'm Here」の中間にフィーチャーされた「Dragon Attack」かな。まあ中間というか「Now I'm Here」終盤にそのまま「Dragon Attack」へとなだれ込んでいき、「Dragon Attack」のエンディングでフレディのボーカルエフェクト&ブライアンのギターを挿入しつつ再び「Now I'm Here」に戻っていくという、ライブならではのアレンジなんですけどね。「Now I'm Here」はよくこういう使われ方するので、「Dragon Attack」とのドッキングはこの時期ならではと言えるでしょう。

後半に入ると、ようやく「Under Pressure」がちゃんと披露されるのですが、ベースリフが鳴り響いた瞬間の歓声もヒット直後のこの時期ならでは。そしてブライアンのギターソロから「Flash」「The Hero:へと続く構成も、この時期じゃないと聴けない貴重なもの。そこから大ヒット曲「Crazy Little Thing Called Love」からエルヴィル・プレスリー「Jailhouse Rock」へと続けるお遊び、「Boheian Rhapsody」よりもあとに「Another One Bites The Dust」が置かれているのも1981年という時代ならでは。こうやって代表曲の置き場所の違いによって、その時期のバンドの様子が窺えるのは面白いものですね。

『LIVE AT WEMBLEY '86』(1992年)のように歴史的ライブを収めた作品とは異なる、数あるツアーの断片ではありますが、こうした作品が複数存在するのはファンにはありがたい限り。ストリーミングサービスを通じて気軽に聴くことができるライブアルバムはもちろんですが、ぜひ映像版(1985年の『LIVE AID』映像も追加収録)も併せて楽しんでほしいですし、中でも映画『ボヘミアン・プソディ』を観た方には絶対に刺さる作品だと思いますので。

 


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2021年8月10日 (火)

BRIAN MAY『BACK TO THE LIGHT: DELUXE EDITION』(2021)

2021年8月6日にリリースされたブライアン・メイの1stソロアルバム復刻盤。日本盤は同年8月11日発売予定。

本作は1992年9月にイギリスでリリースされたQUEENのブライアン・メイによるソロデビューアルバム『BACK TO THE LIGHT』をボブ・ラドウィックが最新リマスタリングを施したアルバム本編に、ブライアン監修による別バージョン、シングルC/W曲、ライブテイクなどをまとめたボーナスディスク『OUT OF THE LIGHT』を付属した2枚組仕様。アルバム本編のみの単体ディスクも発売されていますが、今回は主に『OUT OF THE LIGHT』を軸に話を進めていきたいと思います。

アルバム本編は、フレディ・マーキュリーの死後から1年経たずして届けられた、前を向こうとするポジティブな姿勢がダイレクトに伝わる良質なロックアルバム。レコーディングにはコージー・パウエル(Dr)やニール・マーレイ(B)といったのちのツアーに参加する布陣のほか、ドン・エイリー(Key/現DEEP PURPLE)やQUEEN時代の盟友ジョン・ディーコン(B)もゲスト参加。コージーのパワフルなプレイが楽しめる「Resurrection」(全英23位)や、のちにQUEENバージョンも公開されることになる「Too Much Love Will Kill You」(同5位)、シングルヒットも飛ばした「Driven By You」(同6位)や「Back To The Light」(同19位)など良曲目白押しで、QUEENファンのみならず楽しめる内容だと断言しておきます(詳しくは2004年に執筆した、こちらレビューをご確認ください)。

さて、気になるボーナスディスクですが、ファンならばすでに耳にしたことがある音源が豊富で、当時シングルまでこまめにチェックしていた方ならどれも聞き覚えがあるのではないでしょうか。まず、“Guitar Version”と銘打った3曲(「Nothin' But Blue」「Too Much Love Will Kill You」「Just One Life」)はブライアンのボーカルに代わり自身がギターソロを弾きたおすテイク。特に後者2曲は1992年当時の日本盤ボーナストラックとして追加収録されていたので、知っている方も多いことでしょう。いかにも“ギタリストのソロ活動”といった内容ですが、これはこれで味わい深いのではないでしょうか。

また、「Driven By You」は別テイクが3曲用意され、中でも貴重なのが「Driven By You (Ford Ad Version)」ではないでしょうか。これは同曲がリリースされた当時、自動車メーカーのフォードがCMソングとして起用した際の別バージョン。歌詞が当時のキャンペーンにあわせたものに変更されており、こういうこともやっていたんだなあ……とジワジワ響いてくるものがあります。

そして、ライブテイクについて。1993年6月のThe Brixton Academyでのテイクはすべて、ライブアルバム『LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY』(1994年)からのテイクで、それ以外はシングルのカップリングで発表されたもの。スラッシュ(G/GUNS N' ROSES)をフィーチャーした「Tie Your Mother Down」のような貴重な音源も改めて楽しめることになり、うれしい復刻と言えるのではないでしょうか。

今回の復刻は、ブライアンが現在進めている企画「Brian May Gold Series」の一環として用意されたもの。つまり、現在廃盤状態である2ndソロアルバム『ANOTHER WORLD』(1998年)を含むソロ音源が新たな形で復刻される可能性もあるようです。できることなら映像作品を含む『LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY』の完全版リリースにも期待したいところです。

まあ何はともあれ、しばらく配信で聴くことができなかったブライアンの初ソロアルバム、この機会に思う存分楽しみましょう。

 


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2020年11月24日 (火)

QUEEN『GREATEST HITS』(1981)

1981年10月26日にイギリスでリリースされたQUEEN初のグレイテスト・ヒッツアルバム『GREATEST HITS』。80年代にはこのアルバムからQUEENに入ったというリスナーも多かったのではないでしょうか。かくいう僕も、初めて聴いたQUEENはこのアルバムでした(レンタルだったけど)。

昨日、このアルバムがアメリカBillboard 200(アルバムチャート)で初のTOP10入りを果たしたというニュースが飛び込んできました(ニュース元)。これは、同作のアナログ盤がWalmartのセールで15ドルに値下げセール販売されたことで、1週間で2万3000枚以上もの売り上げを記録したことから、前週の36位から8位まで急上昇したんだとか。ちなみに、同週の1位はAC/DCの新作『POWER UP』。ロックがまったく売れないと言われているアメリカで、AC/DCとQUEENが同時にTOP10入りする2020年。何が何やら(苦笑)。

さて、この記録に関して一部メディアでは「これまで同作の最高位は、1992年に記録した11位だった」と明記されていますが、これ正しくもあり間違いでもあるんですよね。要するに、同じタイトルだけど別内容のアルバムが前回の11位を記録しているのです。

今回のエントリーではレビューというよりも、このへんのややこしさについて記録を残していけたらなと思います。

 

まず、1981年10月発売の『GREATEST HITS』は当時、本国イギリスやここ日本はもちろん、アメリカでもしっかりどうタイミングにリリースされています。が、実はこの3ヶ国で発売された本作、収録内容が微妙に異なるのです。ここからは、イギリスで発売された全17曲入りの内容を“オリジナル盤”として話を進めます。

イギリスではEMIからリリースされた本作。その収録内容は現在も流通している同作と同じ内容です。ところが、当時Elektra Recordsから発売された北米盤は、オリジナル盤には未収録だった当時の最新シングル「Under Pressure」を追加したほか、「Keep Yourself Alive」シングルバージョン追加といった独自の14曲に厳選。これにより「Don't Stop Me Now」「Save Me」「Now I'm Here」「Good Old-Fashioned Lover Boy」「Seven Seas Of Rhye」が選外に。

一方で、日本で発売された同作はオリジナル盤と北米盤のいいとこ取りな17曲収録。こちらはオリジナル盤未収録の「Under Pressure」に加え、日本ならではの「Teo Torriatte」を追加。代わりに「Bicycle Race」と「Seven Seas Of Rhye」がオミットされています。北米、日本から嫌われる「Seven Seas Of Rhye」の立場よ。

ところが、1984年にCD化された際、独自選曲だった日本盤の内容は北米盤にシフト。僕が初めて聴いたのは、まさにこの北米盤CDだったので、「Another One Bites The Dust」から始まり「Bohemian Rhapsody」へと続く構成にしばし慣れ親しんでいました(オリジナル盤は逆です)。さらに北米に倣ってElektraの親会社Warner Musicからだった日本のリリース元が80年代半ばに東芝EMIへと移行。これにより1988年に再々発された日本盤『GREATEST HITS』は、オリジナル盤と同じ17曲入り/オリジナルセットリストへと落ち着くのでした。なので、『A KIND OF MAGIC』(1986年)までにQUEENを聴き始めたリスナーと『THE MIRACLE』(1989年)以降にQUEENに触れたリスナーとでは、この『GREATEST HITS』の思い出がまったく異なるわけです。なんなら、1981年のオリジナル盤リリース当時に日本盤に触れていたリスナーとも異なるわけで、1つのアルバムに対してたった10年の間に異なる大出を持つ3つの層が生まれるという、なんとも不幸な出来事が起きてしまったのでした。

 

話題を再びアメリカ(北米)に移します。『THE WORKS』(1984年)を機にそれまでのElektraからCapitol Recordsへと発売元を移したQUEENでしたが、90年代に入るとディズニー資本の新興レーベルHollywood Recordsへと移籍。Capitol Records移籍以降廃盤状態だった旧譜が、新作『INNUENDO』(1991年)に続いて次々と再発されていきます(その際、各盤に貴重なボーナストラックが追加されていたのは、個人的にもうれしくて。思わず全部揃えちゃったんだよね。苦笑)。そして、1991年11月24日以降……フレディ・マーキュリーの死、映画『ウェインズ・ワールド』に使用されたことで「Bohemian Rhapsody」が再ヒット。それと前後して、本国ではベスト盤第2弾『GREATEST HITS II』が発売されるのですが、こちらはアメリカでは当時未発売。『GREATEST HITS II』まで絡むと話がさらにややこしくなるのですが、これに関しては北米盤を語る際に欠かせない1枚なので、このまま進めさせていただきます。

さて、Hollywood Recordsからはオリジナルアルバムのリイシューこそあったものの、ベスト盤はしばらく未発売。ところが、上記の“1991年11月24日以降”QUEENに注目が集まり、手軽にQUEENの代表曲を楽しめるコンピレーション盤を求める声が高まります。こうして、(フレディ追悼の意も込めて)1992年3月にようやく北米独自盤『CLASSIC QUEEN』が発売されるのです。


▼QUEEN『CLASSIC QUEEN』
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ジャケットの方向性こそ『GREATEST HITS II』とほぼ同一ですが、タイトルと収録内容が異なるという、非常にやっかいな本作。全17曲入りで、『GREATEST HITS II』を軸にしつつ『GREATEST HITS』オリジナル盤から数曲抜粋した非常にいいとこ取りという、「今からベスト盤2枚買うには金銭的に厳しいけど、これなら便利!」という当時のビギナーにはありがたい1枚でした。だって、「A Kind Of Magic」から始まり「Bohemian Rhapsody」へと続き、そこから「Under Pressure」「Hammer To Fall」、当時METALLICAがカバーしたことで再注目を浴びた「Stone Cold Crazy」と新旧の代表曲/隠れた名曲がズラリと並ぶわけですから、それを輸入盤として1000数百円で購入できるのは学生にはありがたいったらありゃしない。本作はアメリカでも最高4位まで上昇し、300万枚以上もの大ヒットとなりました。

そして、この『CLASSIC QUEEN』大ヒットに味をしめたHollywood Recordsは、同作から半年後に今度は『GREATEST HITS』と題した新規コンピレーション盤を発売します。そう、これが先に述べた、全米11位を記録した『GREATEST HITS』の正体です!(ここまで2000字以上。長かった。苦笑) 以降、こちらを“1992年北米盤”と称することにします。

似たようなデザインからシリーズ連作と感じさせるものの、濃い青を基調にした『CLASSIC QUEEN』に対して1992年北米盤は小豆色。内容は『CLASSIC QUEEN』から漏れた『GREATEST HITS』オリジナル盤収録のヒット曲を軸に、これまでどのエディションにも未収録だった80年代前半の小ヒット「Body Language」、そして『GREATEST HITS II』から「I Want To Break Free」を含む全17曲入り。思えば代表曲中の代表曲「We Will Rock You」も「We Are The Champions」も「Another One Bites The Dust」も「Killer Queen」も、『CLASSIC QUEEN』には未収録だったんですよ。そりゃあ二匹目のドジョウでも、それなりにヒットするわけです。


▼QUEEN『GREATEST HITS (1992 US EDITION)』
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北米では10数年にわたり、この2作品がロングヒットを続けることになるのですが、2004年に事態が急変。なぜかオリジナル盤と同内容の『GREATEST HITS』がHollywood RecordsからCD化されるのです(どんどんややこしい話になってきた。笑)。ここでは、これまでの各国盤にはないボーナストラックも用意され、ボーナストラックとしてロジャー・テイラーが歌う「I'm In Love With My Car」や、「Under Pressure」「Tie Your Mother Down」のライブテイクなどを追加収録。「I'm In Love With My Car」が追加された理由は当時、QUEENの楽曲を題材にしたミュージカル『WE WILL ROCK YOU』が上演されたことも関係しており、「I'm In Love With My Car」は同ミュージカルの中でも登場するためと思われます。また「Under Pressure」「Tie Your Mother Down」は『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』(2004年)からのテイクで、同時期に発売されたため宣伝の意味もあったのでしょうね。


その頃日本では、長らくQUEEN作品をリリースし続けた東芝EMIが親会社の変更によりEMI Music Japanへと改名(2007年)。さらに、本国のEMIグループがUniversal Musicグループに吸収合併(2012年)。同じ頃、しばらく動きの止まっていたQUEENも新たにアダム・ランバートを迎えて“QUEEN + ADAM LAMBERT”としてライブ活動を開始したこともあり、2012年からは日本やイギリスなどでのリイシューが進むことになります。

その一環として、『GREATEST HITS』および『GREATEST HITS II』も世界共通仕様/同内容として、北米盤はHollywood Recordsから、それ以外の国ではUniversal Musicよりリリースされました。なお、日本盤のみボーナストラックとして(ややこしいわ。笑)、1981年盤の名残ともいえる「Teo Torriatte」が追加され、こちらはストリーミングバージョンでも耳にすることができます。以降、2020年に至るまでこの仕様は統一されており、先ごろアメリカでバカ売れした『GREATEST HITS』は現行のオリジナル盤と同じ内容となっております。

<完>

 

……以上が“『GREATEST HITS』戦争”ともいえなくもない、約40年にわたる同作のややこしい歴史です。なので、簡単に「これまで同作の最高位は、1992年に記録した11位だった」と言ってほしくないわけです。以上、面倒くさいQUEENオタクのたわごとでした。

追記:今回は世界中でもっとも流通しているであろう、かつ日本で手軽に入手しやすいイギリス盤、北米盤のみについて言及しました。このほかにも『GREATEST HITS』は国によってさまざまな“収録曲違い”や“独自ボーナストラック”が存在するので、そのへんはQUEENの私設ファンサイトやWikipediaDiscogsなどでチェックしてみてください。

 


▼QUEEN『GREATEST HITS』
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QUEEN『QUEEN FOREVER』(2014)

2014年11月にリリースされた、QUEENのコンピレーションアルバム。CD1枚ものとCD2枚組の2仕様が流通しており、本稿では2枚組エディションについて触れていきます。

本作はクイーンの“ラブソング”に焦点を当てた作品集で、新たな未発表曲/テイクが加えられたことで大きな注目を集めました。当初本作について、ロジャー・テイラー(Dr, Vo)は「ブライアン・メイ(G, Vo)と新たなQUEENのアルバムを制作する」と発言していましたが、それはのちに「フレディ・マーキュリー(Vo)や、すでに引退したジョン・ディーコン(B)が参加した80年代の音源を用いて、新たにギターとドラムを追加した『MADE IN HEAVEN』(1995年)と同じ方式の未発表曲」を含むコンピ盤であることが明らかになります。

本作のために準備された新曲/未発表テイクは3曲。アルバムのオープニングを飾る「Let Me In Your Heart Again」は『THE WORKS』(1984年)のセッションから、これまで未完成だった楽曲を新たに完成させたもの。フレディのボーカルパフォーマンスも本チャン作品と何ら差を感じさせない完成度で、そこに80年代以降のQUEENらしい厚みのあるダイナミックなバンドサウンドが重ねられています。確かにこれは『THE WORKS』や、それ以前の『THE GAME』(1980年)に収録されていても不思議じゃない1曲です。

続く「Love Kills」は、1984年にフレディがソロシングルとして発表した楽曲。もともとは映画『メトロポリス』のためにジョルジオ・モロダーとともに制作したディスコ調の楽曲でしたが、ここではバラード調にリアレンジされています。レコーディングクレジットにはジョン・ディーコンの名前も見つけられるので、おそらく『MADE IN HEAVEN』制作時のアウトテイクではないでしょうか。原曲のキラキラ/ピコピコ感のイメージが強いだけに、最初こそ違和感が残りましたが(曲後半にその名残が感じられます)、それって『MADE IN HEAVEN』でのリテイク曲を初めて聴いたときと同じ印象なんですよね。慣れれば「こういう曲」と納得するんでしょうけど、そこまでいくにはだいぶ時間がかかりました(苦笑)。

3曲目の「There Must Be More To Life Than This」はフレディのソロアルバム『MR. BAD GUY』(1985年)収録曲のQUEENバージョンなのですが、これがちょっと複雑でして。もともとこの曲、QUEENのアルバム『HOT SPACE』(1982年)収録曲として制作されたものでしたが、なぜかお蔵入り。そこからマイケル・ジャクソンが1983年に制作予定だったデュエットアルバムの候補としてQUEEN側から提供され、マイケルのボーカルもレコーディングされたものの、『THRILLER』(1982年)の爆発的ヒットの影響などもあって制作中止に。最終的にフレディが自身のソロアルバムに自身のソロバージョンとして収録することで、世の中に初めて放たれます。

で、今回ここに収録されたのはその幻の“QUEEN feat. MICHAEL JACKSON”バージョン。フレディの声に並ぶと、マイケルの存在感も多少弱まってしまうといいますか、のちのマイケルほどのオーラがやや感じられないといいますか。完成バージョンというよりはデモに近い状態だったのかもしれませんね。その音源を、かのウィリアム・オービットがミックスすることで、本作にて日の目を見たわけですから、聴けただけありがたいのかもしれませんね。

以降はおなじみのQUEENナンバーが目白押し。“ラブソング”という括りなので、バラードに限らずさまざまなタイプの人気曲/隠れた名曲が30曲以上にわたり詰め込まれています。いわゆるグレイテストヒッツ・アルバムに飽き飽きしているQUEENリスナーにとっては意外な選曲も少なくないので、個人的にも長きにわたり愛聴しているコンピ盤のひとつです。

なお、日本盤のみボーナストラックとして「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」を追加収録。とはいえ、2枚組バージョンはインストの「Forever」で綺麗に締めくくられるので、多少蛇足のように感じられます。1曲でも多く聴きたいというリスナーは日本盤でもいいかもしれませんが、個人的には「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」なしの海外盤およびデジタル盤でも十分な気がします。

2021年でフレディ没後30周年。今年はこの手の発掘モノはリリースされませんでしたが、きっと来年はいろいろ続きそうな予感です。

 


▼QUEEN『QUEEN FOREVER』
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