2016/12/27

GEORGE MICHAEL and QUEEN with LISA STANSFIELD『FIVE LIVE』(1993)

1993年春に発表された、ライブ音源で構成されたEP。ジョージ・マイケルのソロ名義の作品ではなく、QUEENやリサ・スタンスフィールドとの共演が繰り広げられた1992年4月20日のイギリス・ウェンブリースタジアムでのフレディ・マーキュリー追悼ライブでのライブ音源がメインのため、こういうアーティスト名義となっております。

5曲中2曲がQUEENナンバーのカバー。1曲目「Somebody To Love」はシングルカットもされて、当時全米30位まで上昇しております。もう1曲は4曲目の収められた「These Are The Days Of Our Lives」。こちらはQUEEN、リサ・スタンスフィールドとの共演トラックです。「Somebody To Love」ほどのインパクトはないものの、これはこれでアリかなと。

そういえば、このステージでの共演を機に「フレディの後任はジョージがいいんじゃ」なんて話をちらほら挙がったこともありましたっけ。歌唱力はもちろんのこと、いわゆるセクシャリティにおいても共通点があるし、そういったところで適任なんて噂されたのかもしれないけど、結局QUEENはご存知のとおり現在アダム・ランバートと一緒にステージに立っているわけですから。結果論とはいえ、結局はこれでよかったのかな、と。

QUEENとの共演トラックばかりに目が行きがちですが、そのほかの3曲にも注目しておきたいです。ジョージ・マイケルはWHAM!時代からカバー曲のセレクト、その仕上がりに対して定評がありましたが、今作ではハウス系アーティストADAMSKIとソウルシンガーのシールによるコラボ曲「Killer」と、THE TEMPTATIONSなどのカバーでも有名な「Papa Was A Rollin' Stone」の10分にわたるメドレー、そして映画『バグダッド・カフェ』の主題歌として知られる「Calling You」をセレクト。それぞれ1991年春にウェンブリーアリーナで行われた、2ndアルバム『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1』(1990年)を携えたツアーからの音源で、同作での作風の延長線上にあるアレンジ(主に前者のメドレーで)を堪能することができます。一方で、「Calling You」は『FAITH』(1987年)での「Kissing A Fool」にも通ずるジャジーなテイスト。ジョージのスウィートな側面が遺憾なく発揮された、名カバーのひとつと言えるのではないでしょうか。

ちなみに今作、最後の最後にQUEENの「Dear Friends」(1974年の3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』収録)が収められたバージョンも存在します。これは同作が、当時ジョージが所属するソニー系からではなく、QUEENの所属レーベルParlophone(北米圏ではHollywood Records)からのリリースというのも大きく影響しており、「あくまでQUEENプロジェクトの一環」として発表されたものであることが伺えます。ジョージ自身、その後のリリースは『LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL.1』から続く3rdソロアルバム『OLDER』まで約6年もの歳月を要することになるので、その中間となる1993年にこういう作品をリリースしておけたのは(しかもそこそこのヒット作になったのは)以降の活動へつなげる意味でもいい効果をもたらしたのではないでしょうか。また、QUEENも2年後の1995年に“オリジナル”アルバム『MADE IN HEAVEN』を発表することになりますしね。



▼GEORGE MICHAEL and QUEEN with LISA STANSFIELD『FIVE LIVE』
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投稿: 2016 12 27 12:00 午後 [1993年の作品, George Michael, Queen, 「R.I.P.」] | 固定リンク

2016/01/10

祝ご成人(1995年4月〜1996年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。昨年度に初めて実施したこの企画、今回も新成人の皆さんが生まれた年(学年的に1995年4月〜1996年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にお手にしてみてはいかがでしょうか。とは言いながらも大半が名盤中の名盤なので、聴いたことがあるものばかりかもしれませんが。

並びはすべてアルファベット順です。(2015年の新成人編はこちら


Alice in Chains『Alice in Chains』(Amazon

Ben Folds Five『Ben Folds Five』(Amazon

Björk『Post』(Amazon

Blur『The Great Escape』(Amazon

Bon Jovi『These Days』(Amazon

The Chemical Brothers『Exit Planet Dust』(Amazon

Fear Factory『Demanufacture』(Amazon

Foo Fighters『Foo Fighters』(Amazon

The Fugees『The Score』(Amazon

Garbage『Garbage』(Amazon

King Crimson『Thrak』(Amazon

Oasis『(What's the Story) Morning Glory?』(Amazon

Pulp『Different Class』(Amazon

Queen『Made in Heaven』(Amazon

Red Hot Chili Peppers『One Hot Minute』(Amazon

Reef『Replenish』(Amazon

Sepultura『Roots』(Amazon

The Smashing Pumpkins『Mellon Collie and the Infinite Sadness』(Amazon

Teenage Fanclub『Grand Prix』(Amazon

The Wildhearts『P.H.U.Q.』(Amazon


残念ながらセレクトから漏れた作品も多いです。以下ざっと候補を羅列します。

Alanis Morissette『Jagged Little Pill』
Anthrax『Stomp 442』
The Beatles『Anthology 1』
The Boo Radleys『Wake Up!』
Bruce Springsteen『The Ghost of Tom Joad』
The Charlatans『The Charlatans』
D'Angelo『Brown Sugar』
David Bowie『Outside』
In Flames『The Jester Race』
Michael Jackson『HIStory: Past, Present and Future, Book I』
Nine Inch Nails『Further Down the Spiral』
Ozzy Osbourne『Ozzmosis』
Paul Weller『Stanley Road』
The Rentals『Return of the Rentals』
Ron Sexsmith『Ron Sexsmith』
Sonic Youth『Washing Machine』
Supergrass『I Should Coco』
Terence Trent D'Arby『Terence Trent D'Arby's Vibrator*』
Terrorvision『Regular Urban Survivors』
Underworld『Second Toughest in the Infants』
White Zombie『Astro-Creep: 2000』

こうやって振り返ると、1995年から1996年初頭ってブリットポップの最盛期だったんですね。1995年3月にはElasticaやGeneのアルバムも発表されてるし、1996年後半になるとKula Shakerの1stもリリースされますし。やっぱり1995年夏のBlur vs Oasisの直接対決がピークでしたね、いろんな意味で。

あ、Underworldをあえて選外にしたのは、日本盤のリリースが1996年6月だったから。海外では3月発売ですが、その後の「Born Slippy」のヒットなど含めて考えると、このアルバムは1996年から1997年の作品かなと思いまして。来年はマストかな。

メタルの世界はグランジがひと段落したものの、ポストグランジ的サウンドのバンドが増えつつあり、前年からのMotley Crue、Dokkenの失敗など、あまり芳しくない状況でした。そんな中、1994年のKornデビューを機にグルーヴ感のあるヘヴィロックが台頭し始めます。前年デビューのMachine Headもその1つですね。Sepulturaは前作『Chaos A.D.』でのシフトチェンジから、ブラジル音楽のルーツを取り入れた傑作『Roots』で活動のピークを迎えるのも、1996年初頭のお話。Fear Factoryのようなデジタル要素を取り入れたヘヴィバンドも人気を集め始めたのも印象に残ってます。同時期に国内ではTHE MAD CAPSULE MARKETSが『4 PLUGS』をリリースしたのも、海外の動きとリンクしていて興味深いです。

ちなみに日本国内ではこの頃、ブルーハーツの解散(6月)やUP-BEATの解散(8月)、光GENJI(光GENJI SUPER5)の“卒業”(9月)、Winkの活動停止(96年3月)といった出来事がありました。いわゆるTKサウンドがチャートを席巻し、MY LITTLE LOVERやglobeがデビューしたのもこの頃でした。

投稿: 2016 01 10 12:00 午前 [1995年の作品, 1996年の作品, Alice in Chains, Ben Folds, Björk, Blur, Bon Jovi, Chemical Brothers, The, Fear Factory, Foo Fighters, Fugees, The, Garbage, King Crimson, Oasis, Pulp, Queen, Red Hot Chili Peppers, Reef, Sepultura, Smashing Pumpkins, Teenage Fanclub, Wildhearts, The, 「20年前」] | 固定リンク

2015/01/09

Queenの私的ベスト10

昨年のサマソニでのアダム・ランバートとのライブを見逃したわけですが、個人的には大切かつ重要なバンド。これまた難しい10曲選びでした。KISS以上に曲のタイプが幅広いし、「このタイプの曲が好き」というよりもオールタイムで好きなバンドですので……完全に「今聴きたい10曲」ですね。きっと明日になれば半分くらい曲が入れ替わると思います。

1. Ogre Battle

2. Brighton Rock

3. Love of My Life

4. Bohemian Rhapsody

5. Let Me Entertain You

6. Sail Away Sweet Sister (To the Sister I Never Had)

7. I Want to Break Free

8. Princes of the Universe

9. I Want It All

10. The Show Must Go On


ちなみに「Liar」「Seven Seas of Rhye」「Stone Cold Crazy」「Tie Your Mother Down」「Sheer Heart Attack」「Spread Your Wings」「Don't Stop Me Now」「Play the Game」「Under Pressure」「Radio Ga Ga」「Hammer to Fall」「One Vision」「Innuendo」「Don't Try So Hard」「Let Me Live」あたりは常に10曲の候補に入れたい。

投稿: 2015 01 09 01:20 午前 [Queen, 「私的ベスト10」] | 固定リンク

2005/11/01

QUEEN『A KIND OF MAGIC』(1986)

 QUEENで一番思い入れのあるアルバム、一番よく聴いたアルバム、一番完成度の高いアルバム‥‥人によってそれぞれ異なるんだろうけど、こと時期によって音楽性が異なるQUEENのようなバンドの場合、それぞれに意外なアルバムが挙がることが多いんじゃないかな。

 例えば‥‥一般的には駄作と呼ばれるような「HOT SPACE」だって、見方を変えれば非常に魅力的に映るし、世間的には傑作呼ばわりされている「A NIGHT AT THE OPERA」だって、ある人にとっては別にどうってことのない1枚かもしれない。「そんなの個人の価値観や趣味の違いじゃん」と言ってしまえばそれまでだけどね。

 この「A KIND OF MAGIC」というアルバムは前作「THE WORKS」の流れを汲む、通算11作目のオリジナルアルバム。元々は映画「ハイランダー」のサントラ的作品として、収録曲全9曲中6曲が映画に使われていて、更にアルバム制作前に既出だった "One Vision" も映画「アイアン・イーグル」主題歌としてヒットを飛ばしてる、非常に『映画づいた』作品集だったりします。そういうこともあって、人によってはオリジナルアルバムと見なさない人もいるし、そういった要素が災いして「完成度が低い」「内容が散漫、統一性がない」という人もいます。が、元々QUEENって1枚のアルバムにいろんなジャンルの音楽、いろんなタイプの楽曲を詰め込むバンドだったんじゃないの? 特に世間一般で名盤と認識されている「A NIGHT AT THE OPERA」なんて、その代表例じゃないの。

 楽曲のタイプは、「HOT SPACE」〜「THE WORKS」の流れにあるものが多く、シングルヒット予備軍的コンパクトでポップなナンバーが数多く収められています。特にこのアルバムではソングライターとしてジョン・ディーコンが大活躍していて、名バラード "One Year Of Love" や "Friends Will Be Friends" といった楽曲のみならず、ファンキーでポップな "Pain Is So Close To Pleasure" にもフレディ・マーキュリーと共に名を連ねています。またロジャー・テイラーもタイトルナンバー "A Kind Of Magic" というその後の彼等の代表曲のひとつを生み出しているし、ブライアン・メイは壮大なバラード "Who Wants To Live Forever" と、ヘヴィなギターが冴える "Gimme The Prize" を手掛け、フレディは先の "Pain Is〜" と "Friends〜" をジョンと共作し、単独では初期の疾走感&ヘヴィさを持つハードロックチューン "Princes Of The Universe" を手掛けています。創作面では非常に良いバランスで4者4様な楽曲を書き、それを1枚のアルバムに纏めた‥‥ある意味で最もQUEENらしい手法で製作され、その結果『'80年代のQUEENの指針』となる作品を完成させたのですから、さすがとしか言いようがありません。

 と、何でここまでこのアルバムをベタ褒めするかというと、俺このアルバムが大好きなんですよ。恐らくQUEENのアルバムで最も聴き込んだ、回数聴いたアルバムじゃないかな、「GREATEST HITS」を除くと。リアルタイムだと丁度中3くらいだったのかな。その頃はそんなに好きってわけでもなく、『QUEENのアルバム』というよりは単純に『当時ヒットしたアルバム』という認識で耳にしていてたのね。だって、その頃の俺は「QUEEN、イコール、"Bohemian Rhapsody"」みたいな固定観念があったし、ああいうクラシカルなサウンドこそQUEENって雑誌の受け売りで刷り込まれてたから。だから「これは同じバンド名だけど違うバンドのアルバム」くらいの気持ちで接してたんだよね、ガキのくせに生意気にさ。クソだ、終ったとか言いながらも、曲の良さ/ポップさには敵わず、気づくと口ずさんでる‥‥そんなアルバムが「A KIND OF MAGIC」だったのね。

 その後、俺は素直に『リアルタイムのQUEEN』と対峙できるようになるのは、更に5年くらい経った、それこそフレディの余命が数ヶ月というような時期なんだけどね‥‥

 変な固定観念がなくなった今、まぁ今は逆にQUEENを愛し過ぎていてどのアルバムにも愛着が湧いちゃって冷静な判断ができないような立場なんだけどさ。それでも俺の中ではこのアルバム、5本指に入る程好きなアルバムなんだよなぁ。"Who Wants To Live Forever" で泣いて、"Princes Of The Universe" で拳を天に掲げる、みたいなね。「HOT SPACE」以降に試してたことがここで一旦完結しちゃうんだよね。それをライヴという形で表現することができた、間に合っただけでも、このアルバムはまだ救われてると思いますよ。

 斜に構えて判った振りをしてたガキの頃を思い出させる、そんな1枚ですよ。甘酸っぱい、懐かしくて恥ずかしい思い出の詰まった作品、それが俺にとっての「A KIND OF MAGIC」です。



▼QUEEN「A KIND OF MAGIC」(amazon:日本盤US盤UK盤

投稿: 2005 11 01 12:34 午前 [1986年の作品, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/10/31

QUEEN + PAUL RODGERS@横浜アリーナ(10/30)

 俺とQUEENとの関係性については、「とみぃの宮殿」時代からいろいろ書いてきてるし、このブログに移行してからも幾つかQUEEN絡みのレビューを書いてるので、その中から伺い知ることができるかと思うんだけど‥‥今日のレポートは、レポートにならない、単なる感情の捌け口として書かせてもらうつもりなので、そういう感情的なレポートやレビューが嫌いって人は見ない方がいいかと思います。つーか、このサイト(ブログ)に冷静なものを求めてるんだとしたら、二度と来なくていいや。そういうのは、そういう文章が上手い人のサイトで読んで。うちはどう足掻いたって、そういう文章しか書けないんで。むしろ変えるつもり、一切ないし。俺自身が感情のこもってない文章やレポート、レビューが大嫌いというのが大きいからね。もうそこだけは、どうやったって変えようがない。変えるつもりがないんで。さ、他所行った方がいいよ!


 というわけで‥‥本当に「好きな人」だけ読んでください。ここから先はかなり長くなるんで。。



 念願のQUEENのライヴに行ってきました。いや、正確にはこれはQUEENではないんだけど。FREEやBAD COMPANYとして活躍し、10年くらい前にジミ・ヘンドリクスやブルーズのカバーを引っ提げて来日したポール・ロジャースをシンガーに迎えて(その10年前の来日、観に行ってますから)、敢えて『QUEEN + PAUL RODGERS』という名義にして。ベースのジョン・ディーコンも参加してない(もう隠居してしまったみたいですね)、ある意味ではQUEENの二分の一しかいない、「それ、ホントにQUEEN名乗っちゃっていいの?」状態なわけですが‥‥ライヴで、ブライアン・メイやロジャー・テイラーが演奏し歌うQUEENナンバーを聴けるってだけで、俺は幸せだと思うんですけど‥‥先にライヴ盤を聴いて好意的に捉えられてたんで、今回の来日にも喜んで行くことを決めてました。

 さ、ここからはセットリストに沿って、箇条書きですがレポートというか感想を書いていきます。まず最初に10/30のセットリストから。


  01. Reaching Out
  02. Tie Your Mother Down
  03. Fat Bottomed Girls
  04. I Want To Break Free
  05. Wishing Well [FREE]
  06. Crazy Little Thing Called Love
  07. Say It's Not True (Vo:Roger)
  08. '39 (Vo:Brian)
  09. Long Away (Vo:Brian)
  10. Love Of My Life (Vo:Brian)
  11. Teo Torriatte (Vo:Brian&Paul)
  12. Hammer To Fall
  13. Feel Like Makin' Love [BAD COMPANY]
  14. Let There Be Drums (Instrumental)
  15. I'm In Love With My Car (Vo:Roger)
  16. Guitar Solo (Instrumental)
  17. Last Horizon (Instrumental)
  18. These Are The Days Of Our Lives (Vo:Roger)
  19. Radio Ga Ga (Vo:Roger&Paul)
  20. Can't Get Enough [BAD COMPANY]
  21. A Kind Of Magic
  22. I Want It All
  23. Bohemian Rhapsody (Vo:Freddie&Paul)
  ---Encore---
  24. I Was Born To Love You (Vo:Roger&Brian)
  25. The Show Must Go On
  26. All Right Now [FREE]
  27. We Will Rock You
  28. We Are The Champions
  29. God Save The Queen (Instrumental)


 オープニングS.E.は "It's A Beautiful Day" のダンスミックス。そこで皆立ち上がるんだけど、更にこの後、何故かEMINEMの "Lose Yourself" が。それに合わせてギターがギュイーンと鳴る。ブライアン、遊び過ぎ。
 ステージには暗幕がかかったまま。"Reaching Out" でポールひとりが最初に出て来て歌う。途中からブライアンも出て来て、そのまま "Tie Your Mother Down" のリフを弾き、ドラムが入るところで、暗幕降りる。
 ポールの歌、ライヴ盤でも安定感あったけど、この日も年齢を感じさせない余裕さと安定感。2日連続の2日目とは思えない声量。さすが。
 "Fat Bottomed Girls" はズッシリするドラムが気持ちよい。けどロジャー・テイラーのドラムはちょっと‥‥時々危なっかしい場面あり。暫くドラムから遠ざかってたからか?
 日本公演では今日が初お披露目となる "I Want To Break Free" に好リアクション。ただ、「God knows♪」って歌わせるところでは、みんなキョトンとしてた。なんだ、やっぱりにわかファンが殆どか。。
 "Wishing Well" は前日外されてただけに、聴けて嬉しかった。んだけど‥‥前の曲とのリアクションの違いが凄い。客席寒過ぎ。歌ってる客なんて殆どいなかった。ポールがマイク向けるんだけど、誰も歌えてない。それでもポール、「Good」を連発。さすがプロ。泣ける。
 本来ならここで "Another One Bites The Dust" にいくんだけど、この日はカット。そのまま "Crazy Little Thing Called Love" へ。ポールもギターを抱え、3人でアコギ。サビで弾くのを止めて、ブライアンもエレキに持ち替える。ロジャーのドラムはこういうスウィングする曲に合ってる気がする。

 "Say It's Not True" ではロジャーと、サポートのギター&ベースの2人がアコギ抱えて花道中央へ。それまでずっとかけてたサングラスを外して熱唱。悪くないね。
 ここでブライアンに交代。花道中央で椅子に座ってギブソンのアコギを抱える。日本語の挨拶しまくり。ヨコハマ、トウキョウ、ニッポンって全部言ってるよ!
 みんな歌って!って言ったはいいものの、明らかに古いファンしか歌えてない "'39"。そりゃ最近ベスト盤で知ったような客には難しいわな。その後に嬉しい "Long Away" が。前日はボロボロだったみたいだけど、今日は良かった。
 そして‥‥"Love Of My Life"。さすがにこの曲は大合唱だった。ワンコーラス殆ど歌ってたし。鳥肌立った。そして泣いた。いろんな思い出のある1曲なだけに、いろんなことを思い出して、泣けて泣けて仕方なかった。曲の最後に天を見上げて、フレディが見てるよ、みたいなことを言って、フレディコール。この時点で俺、ボロボロ泣きまくり。
 そこから更にアコギで "Teo Torriatte" を歌うブライアン。こっちは客の声がちょっと小さかった。途中からバンドが加わり、後半にポールが戻ってきて一緒に歌う。

 "Hammer To Fall" は変な構成のアレンジにされてるんだよね。いきなりサビ→ブリッジ→ソロ、みたいな。唐突過ぎ。恐らくポールにはキーが高いから省いてるんだと思うけど。
 バドカンの "Feel Like Makin' Love"。やはり日本ではFREEとかバドカンって弱い。あとQUEENのファンって聴いてなさそうだもんな、この辺のロック。客の反応最悪なんだけど。それに反してポールのパフォーマンスが凄い。あの節回しはさすが。天才だと思った。10年前にも聴いてるんだけど、あの時以上だわ。
 その後、ロジャーのドラムソロ。ブライアンも途中加わったりするんだけど、まずまずって感じ。年齢の割りには頑張ってた。久し振りだな、ドラムソロやるライヴなんて。そしてそのまま "I'm In Love With My Car" をドラム叩きながら歌う。カッコいいな、この曲は。
 そこからブライアンのギターソロへ。ディレイやハーモナイザー(かな?)を駆使した長編ソロ。途中、「さくら」のフレーズを取り入れたソロや、例の津軽じょんがら風フレーズも飛び出し、それなりに飽きさせない。そのままインストナンバー "Lost Horizon" へ。ツインリードがカッコいい。

 ロジャーがドラムセットから降りて、ハンドマイク持って "These Are The Days Of Our Lives" を歌う。ハーモニーはブライアンがつける。こうやって「INNUENDO」の曲をライヴで聴ける日が来ようとは、夢にも思わなかったなぁ。
 そのまま打ち込みリズムで "Radio Ga Ga" へ。原曲通りですよ、打ち込みだけに。サビではあの手拍子をみんな一緒にやりました。つーか折角来たなら、やらなきゃ損でしょ? 最後のサビ前にポールが戻ってきて、ロジャーはドラムセットに座り、再度叩き始める。
 ポールの持ち歌 "Can't Get Enough" へ。あんな簡単なサビを歌えないお客が不憫すぎる。つーかホントにポールかわいそう。この曲でもポールの歌はホントに凄い。やっぱり自分の持ち歌の時は、歌い慣れてるせいか節回しがQUEENの時と全然違う。もっともブルージーとクラシカルっていう違いも大きいかもしれないけど(グルーヴィーとストレートともいうか)。ポールって前者だから、QUEENの曲では不思議な融合感が味わえるんだよね。俺は好きだよ。この曲でのブライアンのギターも良いね。すっげー楽しそうに弾いてるのな。あと、ロジャーはやっぱりこういうスウィングするリズムが合ってるんだと思った。
 "A Kind Of Magic" ではさすがにポールにはキーが高過ぎるので、ロジャーやキーボードのスパイク・エドニーがサポート。でもロジャーの節回しもカッコいい。そしてブライアンのソロが気持ちいいんだよな、この曲は。
 これまたライヴ活動休止後の曲 "I Want It All"。こういうヘヴィな曲はポールの声に合ってると思う。中盤のソロパート(テンポが早くなるパート)はやっぱりライヴならでは。是非一度、フレディが歌うライヴテイクを聴いて/観てみたかった。。
 スクリーンにフレディの姿が映される。"Bohemian Rhapsody" なんだけど、ライヴ映像とフレディの歌とピアノ音声を抜き出して、そこにライヴ演奏を足すという荒業が。hideのライヴかよ! でもこの演出が泣けるんだよね。映像と歌テイクはウェンブリー'86のやつかな? オペラパート後のテンポアップするところで、ポール再登場。あのパートをポールが歌い、その後再び静かになるパートでは、ポールとフレディが交互に歌うという演出。何か知らないけど、涙が止まらない状態に。この曲でこんなに泣けるとは思いもしなかった。頭で判っていても、やっぱりいざこの演出を目の当たりにすると、泣くしかない状況に。
 ここで本編終了。時間にして約1時間50分。

 アンコールはブライアンとロジャーが揃って登場。花道中央で二人して "I Was Born To Love You" のショートバージョンを歌う。演奏はブライアンのアコギのみ。つーかこの曲がこの日一番の歓声ってのはどういうことよ? この曲の人気/評価がここまで高いのって、日本だけじゃん。そもそもこの曲、QUEENの曲ではなくて、フレディ・マーキュリーのソロアルバムの曲なのに。ビールのCMやドラマの主題歌じゃなくて、ノエビア化粧品のCMソングなのに! そこを忘れるなよ!
 終ると、あのストリングス系キーボードのフレーズが。待ってました!の "The Show Must Go On"。ポール用にキーは落としてあるので、意外と合ってました、ポールの歌声に。ただ、終盤の盛り上がる部分では、フレディみたいな高音はなかったけどね。決してライヴでやるような曲だとは思わないんだけど、やっぱりメッセージなんだろうな、我々に対する。
 ポールの持ち歌では最も知名度が高い(はずの)"All Right Now"。さすがにこれはみんな歌えてた。安心した。俺もポールも(何様だ俺は)。カッコいい、全てがカッコいい。ポールも、ブライアンも、ロジャーも、そしてサポートメンバーも。みんないい仕事してるよ。ホント最高な1曲だった。

 そしてQUEENライヴ終盤のお約束の2曲‥‥いよいよラストが近づいてるんだな。。

 "We Will Rock You" では勿論あの手拍子を一緒にやって、サビで大合唱。ポールの節回しがハンパなくカッコいい。ブルージーな "We Will Rock You" ってのも、また味わい深くて良いね。
 間髪入れずにそのまま "We Are The Champions" へ。サビ前のオペラ風コーラスまでしっかり再現するサポート隊に拍手。ポールの節回しって勿論独自のものも多いんだけど、基本的にはフレディのライヴでの歌い方や節回しに忠実なんだよね。そこに凄く好印象を受けたし、ちゃんと意思を継いでるような気がして、古くからのファンとしては嬉しいし、聴いてて気持ちよいんだよ。これがジョージ・マイケルだったら、あるいは他のシンガーだったら、ここまでは出来なかったと思う。やはりポールで大正解だったと思います。ま、勿論単なる「QUEENの再結成」ではないけどね、今回は。
 曲終了と共にイギリス国歌 "God Save The Queen" が流れ、約2時間20分に渡るライヴは終了。感無量。バンドに拍手を送ると同時に、自分自身にも拍手してたよ、俺。あーやっぱり最後も泣いたなぁ。目が真っ赤なのが自分でもよく判るくらいに、泣いた。絶対に周りの人から不審がられてたと思うけど、これだけは仕方ない。20年待ったんだもん。いや、14年前には待つどころかもう諦めたんだけどね、二度と観れないって。なのに、今回こういう形で観れた。純粋なQUEENじゃないけど、その夢を無惨にぶち壊すことなく、大切に扱ってくれているのがしっかり伝わったし、そして観る側も安心して楽しめた。QUEENであってQUEENではないんだけど‥‥俺の中ではひとつの達成感があったし、もの凄い満足感があった。これでよかったんだと思う。観なかったら、多分この先の人生、ずーっと後悔してたと思うから。だからこれで良かったんだよ。うん。



▼QUEEN + PAUL RODGERS「RETURN OF THE CHAMPIONS」(amazon:日本盤US盤


 これを機に、是非BAD COMPANYやFREEも聴いてみて!


▼BAD COMPANY「IN CONCERT : MERCHANTS OF COOL」(amazon


▼FREE「FREE LIVE!」(amazon

投稿: 2005 10 31 02:19 午前 [2005年のライブ, Free, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/10/29

V.A.『KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-』(2005)

 さて、目下絶賛来日中の『QUEEN + PAUL RODGERS』御一行様ですが、やはり来日する前は懐疑的な声があったと思うんですよ、特に古くからのファンから。けど、実際にこの目で見てしまうとやはり‥‥QUEENという偉大さに対してリスペクトをしつつ、ブライアン・メイやロジャー・テイラーがポール・ロジャースという「友人」と思う存分楽しんでQUEENナンバー、更にはFREEやBAD COMPANYの曲を演奏してる‥‥っていうことを、もの凄い説得力を持って披露してくれるもんだから、観る側としては文句の言いようがないわけですよ。だってねぇ、約2時間半近くに渡って、それこそ30曲近くも演奏してくれるんですからねぇ‥‥俺はあのセットリスト見ただけで涙ぐみましたもの。

 そんなQUEEN、今年は「WE WILL ROCK YOU」のミュージカルが日本に来日したり(当然俺も行きましたが)、先のQUEEN + PAUL RODGERSがあったり、もっといえば去年からの「JEWELS」の日本でのヒット等があって、かなりQUEENに注目が集まった1年だったじゃないですか。そんな中、リリースされたのがこのトリビュートアルバム「KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-」。アメリカでは8月に、ここ日本では来日公演に合わせて10月後半にリリースされたばかり。リリース元がQUEENのアメリカでの配給元である「Hollywood Records」ということもあり、最も公式トリビュート盤に近い存在な1枚ではないかと思うんですが‥‥如何でしょう? 以前にも「EMI」からこの手のトリビュートが出たこともあったけど、あの時はダンス系のみだったし。今回みたいなロック/ポップス/オルタナティヴといった最もQUEENが影響を与えたシーンからのフィードバックは恐らく初めてのことだと思うので、普段はこの手のトリビュート盤を買わない俺ですら、これは真っ先に買いましたからね。

 参加アーティストはそれこそ多岐に渡り、その辺はAmazonのリンク先を見てもらえば一目瞭然だと思うんですが‥‥みんなそれぞれに原曲に忠実だったり、独自の色にまで昇華させてしまっていたり、その愛情表現の方法は様々で、良い意味で聴きやすく、破綻してないなーと。それが嬉しくもあり、また物足りなくもあり。まぁトリビュート盤というのはそういうのが多いですからね、そこまで過剰な期待はしてなかったですけど。でも聴き応えありますよ、それなりに。完全にゴスペルバラードに昇華してしまったデヴィン・デグロウの "We Are The Champions" もそうだし、ストーナーチックなヘヴィロックへと進化したジョシュ・オム(QUEENS OF THE STONE AGE)が歌いELEVENが演奏する "Stone Cold Crazy" もそうだし、個性的なアーティストっていうのはやはりカバー曲でも己の色へと昇華してしまうんですね。かと思えばSUM41による "Killer Queen" やROONEYによる "Death On Two Legs" みたいに原曲まんまの完全コピーすらある(彼等がここまで素直なカバーをするとはちょっと驚きでした)。あのLOS LOBOSがQUEEN("Sleeping On The Sidewalk")をカバーするというのもある意味面白いし、ジョン・オブライオンによる "Play The Game" もらしくて聴き応えあったし。うん、これだけでも平均点以上ですよね。

 しかし、このアルバムには本当の意味でのハイライトがふたつ用意されていました。それは2曲の "Bohemian Rhapsody" カバーなんですよ。前半のハイライトであるコンスタンティン・Mとミュージカル「WE WILL ROCK YOU」のハリウッド版キャストによるカバーは、原曲まんまなんですが、中盤のオペラパートもミュージカル同様全て完全コピーされてるのがさすがというか。ちょっと鳥肌立ちますね。そしてもうひとつのカバーは、かのTHE FLAMING LIPSによるサイケデリック・バージョン。こちらも基本的には完全コピーに近いんだけど、そこは彼等のことですから‥‥完全にLIPSバージョンになってしまってる。ていうか、彼等のオリジナル曲ですよこれ! 多重録音ならではの中間パートは正に「涅槃からの誘い」ですし、このドリーミーな感じこそLIPSの極みといったところでしょうか。こちらも違った意味で泣けますね。

 とまぁ他にも名カバーは幾つもあるしホントは1曲1曲についてコメントしていきたいんですが、それをやると相当な長さになるんで、今回は割愛。QUEEN好きで昨今のロックシーン(主にアメリカン・オルタナ・シーンね)に興味を持っている人なら間違いなく楽しめる1枚だと思いますよ。これを聴いて改めてQUEENの偉大さにひれ伏すもよし、来日公演前に聴いて気分を高めるもよし。LIPSバージョン "Bohemian Rhapsody" だけでも是非聴いてみてくださいよ!



▼「KILLER QUEEN -A TRIBUTE TO QUEEN-」(amazon:日本盤US盤

投稿: 2005 10 29 09:18 午後 [2005年の作品, Compilation Album, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005/09/27

QUEEN + PAUL RODGERS『RETURN OF THE CHAMPIONS』(2005)

 QUEENはフレディ・マーキュリーが亡くなった時点で、ほぼ解散してしまったも同様なわけですよ。そう、1991年11月24日に幕を閉じたと言っても過言ではないのです。その翌年4月、残された3人のメンバーは様々なシンガーを迎えてチャリティーライヴを行い、それから数年後には生前に残されたフレディのボーカルトラックを用いて「ニューアルバム」を完成させ、更に数年後には「フレディ抜きのQUEEN」として新曲まで発表しました。しかし、俺にとってのQUEENは間違いなく、あの日に終っていたんです。

 QUEEN復活(敢えて「再結成」とは呼びません)について周囲がざわつき始めたのは、結構前の話です。当初はジョージ・マイケルをシンガーに迎えてアルバムを作るなんて話もありました。しかしここ数年、ロビー・ウィリアムスを迎えてツアーに出るのではないか?なんて噂が飛び交ったりもしました。

 とあるイベントでブライアン・メイとポール・ロジャース(元FREE/元BAD COMPANY等)が共演したことが切っ掛けみたいですが、この両者が「QUEEN + PAUL RODGERS」名義でライヴツアーを行うことを発表、ライヴではポールがQUEENの曲を歌うだけでなく、FREEやBAD COMPANYの曲をQUEENのメンバーが演奏する、ということまで発表され、多くのQUEENファンは複雑な思いの中、その『復活の日』を待つことになったのです。更にこのツアーにはQUEENのベーシスト、ジョン・ディーコンの姿はなく、バンドメンバーはQUEENやブライアン・メイのツアー・サポートメンバーによって固められていました。

 当初、俺もこの組み合わせには疑問だったし、少々ガッカリしたのも確かでした。QUEENの歴史をあのままキレイに閉じて欲しかった‥‥しかし、この6月に新宿コマ劇場であのミュージカル『WE WILL ROCK YOU』を観る機会がありまして。この時、ああいう形でQUEENの名曲をライヴ形式で聴くことが出来、ファンとしては非常に嬉しかったのも確かです。だって‥‥俺、QUEENを生で一度も観たことなかったんですよ? 俺が彼等を知った時には、既に最後の来日公演が終了した後だったんですから。ブラウン管の中でしか動くQUEENを観たことない世代なんですから‥‥

 そんなことも手伝って、このライヴ盤「RETURN OF THE CHAMPIONS」にもフラットな気持ちで接することができたのです。QUEENの曲を、歌の上手いシンガー(しかもそれが大好きなバドカンのポール・ロジャース)が歌い、更に懐かしい "All Right Now" や "Can't Get Enough"、"Feel Like Makin' Love" といったFREE/バドカンの名曲まで聴くことができる。でもそれは決して俺の知ってるQUEENではない‥‥そう素直に割り切ることができたのです。自分も大人になったんだなぁ‥‥それが良いことなのか悪いことなのかは別としてね。

 このライヴアルバム、非常に良い出来だと思います。ポール・ロジャースは十数年前に、マディ・ウォーターズのカバーアルバムをリリースした時、JOURNEYのニール・ショーン等を引き連れて来日した時に観てるので、その上手さに関しては熟知してるつもりですし、何気に俺、BAD COMPANYが大好きなんですよ。昔、バンドでもコピーしてた程でして。そんな慣れ親しんだQUEENやバドカンの曲を2005年の現代に、ライヴで聴くことが出来るというのは、素直に喜ぶべきことなんじゃないですかね? 俺はそう思います。確かに曲によってはフレディのように歌えてないし、あるいはポールの声に合わせてキーを下げてる楽曲もあります。でも、逆にそれが「ポール・ロジャースらしさ」を垣間見せる機会となってるのも確か。フレディにはない枯れた感じ(共にソウルフルではあるけど、ブルージーさではポールの方が数歩上じゃないでしょうか?)が曲によってはマッチングしているし、またブライアン・メイがギターを弾く "All Right Now" というのも興味深い。ポール・コゾフは「向こう」でこれ聴いて、どう思うんですかね?

 確かにこのアルバムの中で繰り広げられているのは、QUEENのあの名曲達であり、俺の知ってるQUEENの断片なんだけど、でも‥‥矛盾するけど、同時に俺の知ってるあのQUEENでもないんだよね。なんていうか‥‥凄く庶民的で浮世離れしてない、素朴なQUEENというか。別にスケールダウンしてるわけじゃないんだけど、もっと手に届くところにいそうなイメージというか。それがポール・ロジャースによるものなのか、あるいはフレディの不在によるものなのかは判りません。でも‥‥俺は素直に喜びたいと思う。だって来月、これらの曲を生で聴く機会を得ることが出来たんだから。

 10月30日。このアルバムを聴き込んで、横浜アリーナに臨もうと思います。二度とQUEENは観れないと思ってたのに、こういう形で実現する日が訪れようとは。少々複雑な心境もあるにはあるんですが‥‥とりあえず、今はこのアルバムを心から楽しみたいです。



▼QUEEN + PAUL RODGERS『RETURN OF THE CHAMPIONS』(amazon:日本盤US盤

投稿: 2005 09 27 01:12 午前 [2005年の作品, Free, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/12/19

QUEEN 『THE WORKS』(1984)

 QUEENが1984年にリリースした通算10作目のオリジナルアルバム。前作『HOT SPACE』が実験的内容だったこともあり、従来のQUEENを愛するファン、あるいは「THE GAME」で手にした新しいファンをガッカリさせ、商業的にも失敗に終わり、その後一時的に活動休止状態に陥り、一部のメンバーはソロ活動を開始、一部で解散説まで囁かれるようになります。

 が、そこはフレディ・マーキュリーのこと。転んだままでいるわけもなく、ただ立ち上がるだけでもなく‥‥思いっきり開き直るわけです。前作で取り入れたマシーンっぽい要素(打ち込みやシンセ導入)と従来のハードロック路線、更にあざとくシングルヒットを狙ったかのような売れ線ポップチューン……『THE GAME』で手にしたものを再構築し、更に数歩押し進めたのがこの『THE WORKS』というシンプル且つ意味深なタイトルを持つ作品集なのです。

 下手な実験をせず、純粋に楽曲勝負。しかも時代のニーズに合わせMTVの力も借りて、『QUEEN流テクノポップ』と呼べなくもない「Radio Ga Ga」や「Machines (or 'Back To Humans')」といった、古くからのファンが拒否反応を起こしそうなナンバー。ある意味では前作での失敗を見事に昇華させたと言えなくもないですが……更に「I Want To Break Free」もその系譜に入る1曲ですが、この曲ってメッセージソングなんですよね。PVでの女装のイメージが強いからそう聞こえませんけど。

 勿論そういった80年代的楽曲だけでなく、従来のハードロッキンなナンバー……「Tear it Up」「Hammer To Fall」も収録されているし、これまたQUEENらしい壮大なバラード「It's A Hard Life」「Crazy Little Thing Called Love」の線を狙った「Man On The Prowl」、そして『第二の「Love Of My Life」』と呼んでも差し支えないだろう名曲「Is This The World We Created...?」と、とにかく個々の楽曲はよく出来てるんですよね。その後の彼等を考えればこれが新たな『雛形』になったことは間違いないでしょうね。

 シングルカットされた4曲(「Radio Ga Ga」「I Want To Break Free」「It's A Hard Life」「Hammer To Fall」)どれもがヒットを記録したことから、前回の不振回復に繋がり、結果彼等は再び頂点に到達するわけです(アルバムは全英2位、初のプラチナ・アルバムを獲得)。

 が。そんな大ヒットとは裏腹に……これ、アルバムとしては印象が薄い1枚なんですよね。結局、そういったシングル曲のイメージが強い分、他のアルバム曲が影に隠れてしまうんですよね。全曲フレディのボーカル作品としては初のアルバムなんですけどね。楽曲は全員が書いてるんですが、その辺も従来のQUEENファンにとっては印象が薄い理由になってるのかしら?



▼QUEEN『THE WORKS』(amazon

投稿: 2004 12 19 12:05 午前 [1984年の作品, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/12/06

QUEEN『A NIGHT AT THE OPERA』(1975)

 「とみ宮」時代に執筆しておきながら、アップするチャンスがないまま現在に至る、というレビューが幾つかあるんですね。そして、「とみ宮」終了後に次サイト‥‥まだこういう形で再開しようと決める前に、とりあえず書いていたレビューも少々あるんですわ。で、そういう浮かばれないレビューを紹介しようじゃないか、と。特にQUEEN、AEROSMITH、THE WiLDHEARTS関係のレビューに多いんですわ。

 そのままアップできるものはそのまま、中には時間が経ち過ぎて多少手を加えたくなるものもあるので、そういうのは書き直したりして。そんな感じで時々アップしてこうかと思います。

 というわけで、最初はQUEENのこの名盤から……。

 QUEENが1975年にリリースした通算4作目のオリジナルアルバム。日本では『オペラ座の夜』という邦題で馴染みがあるかと思います。一般的にQUEENのオリジナルアルバムでまず最初に手が伸びそうなのが、この辺のアルバムなのかな? 最近では某ドラマの影響で「I Was Born To Love You」がもてはやされてますが、やはりQUEENといえば「Bohemian Rhapsody」だ、というのは今も昔も変わらないですよね。良くも悪くも、QUEENというバンドのパブリック・イメージを決定づけた1曲。その名曲中の名曲を含むオリジナル作という以上に、その音楽的キャパシティの広さ、クオリティの高さにただただ息を呑むばかり……そんなアルバムです。

 1曲1曲を取り出せば、ホントにいろんなタイプの楽曲が存在するんですよ。ストレートなハードロックだったり、アコースティックバラードだったり、ポール・マッカートニーを彷彿させるポップナンバーだったり、ボードビルっぽいオシャレな曲だったり、オペラを彷彿させる8分以上ある大作だったり……メンバー4人が皆、独立したソングライターというのもあるし、ベースのジョン・ディーコンを除く3人がリードボーカルを取れるという強みもある。そういう意味では非常にBEATLESやKISS的なんだけど、音楽的には本当に幅広い、いや、広過ぎる。ロックに拘らない貪欲なミュージシャンシップとでもいいましょうか。それが時として仇になる場合もあるんですが、ハマッてしまえばもうこっちのもの。二度と抜けられないんですよね、この世界から‥‥

 ストレートなハードロック色が強かったファースト、トータル性を重視したコンセプトアルバムだったセカンド、そこから更に一歩踏み込んだサード……ときて、この4作目でQUEENはひとつの完成型を生み出すわけです。いや、それまでの完成型であるにも関わらず、更に高みを目指そうとしてるんじゃないか。改めて個々の楽曲を聴くと、そう思えてなりません。だってアルバム1枚を通して表現してきた世界観を、1曲の中に全て詰め込むことに成功してるんですから。

 個人的には『「Bohemian Rhapsody」が入ってるオリジナル作』というよりも、『「You're My Best Friend」と「Love Of My Life」が入ってるアルバム』という認識の方が強いかな。だって「Bohemian Rhapsody」はベストやライヴ盤買えば、必ずといっていい程入ってるしね。ま、それら全部をまとめて聴けて、更に「Death On Two Legs」や「I'm In Love With My Car」といったハードロック・チューン、「The Prophet's Song」といった壮大なオペラチューンも聴ける。というか、散漫なようで非常に練られていて、アルバムとしてすんなり聴けちゃう1枚なんですよね。曲間が殆どない箇所が多いから、アナログだったらどこからどこまでが1曲なのか判らないこともあったんじゃないかしら?

 とにかく。オープニングからラストのイギリス国歌「God Save The Queen」まで、じっくり味わってください。こんな優雅なアルバム、今の時代には殆どお目にかかれないでしょうからね。



▼QUEEN『A NIGHT AT THE OPERA』(amazon

投稿: 2004 12 06 03:40 午前 [1975年の作品, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/24

QUEEN『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』(2004)

 十三回忌……ってことになるのかしら。1991年11月24日に亡くなっているからね。

 2004年はここ日本で、QUEENに再びスポットが当たった年でした。ドラマに彼等の楽曲が起用されたことから日本限定でリリースされたベスト盤は、CCCDながらも100万枚を突破、過去のアルバムを紙ジャケ化したものも好セールスを記録。もはや新しい音源・楽曲がリリースされることはないけど、それでも新しいファンを増やし続けているという意味では、今回の再評価はCCCD云々を抜きにしても賞賛に値するんじゃないでしょうか。

 そんな中、命日も間近に迫った今年11月上旬、新しいQUEENの音源がリリースされました。とはいっても新曲ではなく、過去のライヴ音源をCD化&DVD化したもの。ファンの間では既に知られている1982年6月の英・ミルトンキーンズ・ボウル公演。当日演奏された楽曲を全て収録した内容で、CD/DVD共に2枚組。もっともDVDの方はディスク2の方は同時期に行われた日本公演の模様や当時のインタビュー等を収めたスペシャルディスクなんですが。

 これ、両方とも買いました。残念ながらプライベートでまとまった時間が全く取れないのでDVDはまだ観てませんが、CDの方はここ数日かなりの頻度で聴かせていただいております。

 音質的にはあまりいいとは言えないんですが、これは結構貴重ですよね。公式音源でこの時期……アルバムでいうと『THE GAME』『HOT SPACE』や映画サントラの『FLASH GORDON』をリリースした時期のライヴ音源はリリースされてませんでしたからね。DVDではあるのかな‥‥いやなかったよな? ともかく。ライヴ盤大好きな俺からすればこれはかなり嬉しいプレゼントなんですけどね。

 選曲的には上に挙げたような3枚のアルバム、そして『NEWS OF THE WORLD』辺りのアルバム曲、それ以前の代表曲等がバランス良く演奏されているように感じます。何せいきなり「Flash」(テレビCMなんかにもよく使われる「フラッシュ、ア〜ア〜っ」っていうアレ)をオープニングS.E.に使って、そのまま「The Hero」ですから。レア以外の何ものでもないですわな。その勢いを保ったまま「We Will Rock You」のファスト・バージョン('70年代のライヴ盤のオープニングね)や「Action This Day」っていう展開がまた凄い。そしてライヴテイクは意外に貴重?な「Play The Game」「Staying Power」といった珍しいナンバーが続き、定番曲が幾つか演奏された後に「Dragon Attack」! こうやってみると、ファンキーな選曲ですよね、「Staying Power」といい、その後に演奏される「Back Chat」や「Get Down Make Love」とか。

 定番の「Love Of My Life」の後に続く「Save Me」も泣けるし、ファンキー&ヘヴィな「Fat Bottomed Girls」ライヴテイクもイカす。後半は「Crazy Little Thing Called Love」を筆頭にお馴染みのナンバーが続き、意外に暴力的な「Sheer Heart Attack」からお約束である「We Will Rock You」〜「We Are The Champions」〜「God Save The Queen」という流れで終了。終わってみれば「実体験はないけど、いつも通りのQUEEN」なのでした。

 フレディは特に80年代以降、ライヴではかなり崩して歌ったりするんで(ライヴだと高音パートはドラムのロジャー・テイラーに頼ってるしね)ベスト盤からQUEENに入って今回初めてライヴ盤を体験するって人には違和感の多い1枚かもしれないけど、この生々しさこそが「ライヴでのQUEEN」なんですよね。って知ったぶっちゃってますが。スタジオでは隙のない緻密なアレンジや録音で完成度の高い(そして時に脱線しまくってバカっぽい)作品を生み出す彼等も、ライヴではただの……いや、最高のロックンロールバンドだったんです。それを再確認、あるいは初めて認識してもらうには……丁度いい作品集かもしれませんね。年齢的にも脂がのり出した時期ですしね。

 けど……やはり最後は映像付きで、DVDで観て欲しいな、と。俺もこの週末、時間を作ってゆっくりみたいと思います。

 もう13年か。彼等に対する愛情はますます深まるばかり。ホント愛してます。この世に貴方達、いや、貴方みたいな人が存在してくれたことを、神に感謝します。



▼QUEEN『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』[US盤/CD-DA](amazon


▼QUEEN『ON FIRE : LIVE AT THE BOWL』[DVD](amazon

投稿: 2004 11 24 11:00 午後 [2004年の作品, Queen] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/11/03

とみぃ洋楽100番勝負(77)

●第77回:「The Show Must Go On」 QUEEN ('91)

 この曲を1991年11月24日以前に聴いていたから、出会っていたから、QUEENというバンドは自分にとって非常に大切な存在になったんですよ。あの時、クラスの友人から「INNUENDO」というアルバムを譲り受けていなかったら、きっとこんなにもQUEENに熱中することもなかったんだろうなぁ‥‥フレディ・マーキュリーの死を受けても、多分亡くなってから暫くの間は聴いてただろうけど、こうやって死後13年経っても全アルバムを満遍なく聴いてるなんてさ‥‥絶対にあり得ないよな。中学の頃、初めてQUEENに出会った時には考えられなかったもん、まさか20年後もこうやって、いや、あの頃以上に愛情を持って接することになろうとは。

 もうこの曲及び「INNUENDO」というアルバムについての俺の想いは、こちらのレビューを読んでください。あれが全てですから。

 '92年4月。フレディの追悼イベントでこの曲を歌ったのは、かのエルトン・ジョン。キーを下げて歌うのはまぁ仕方ないにせよ‥‥やはり一度、当のフレディが魂を振り絞ってこの曲を歌う姿、観たかった‥‥一度も実現しなかった「生QUEEN」。BEATLESよりも、オリジナルHANOI ROCKSよりも、比較にならない程ですよ‥‥



▼QUEEN「INNUENDO」(amazon

投稿: 2004 11 03 12:00 午前 [1991年の作品, Queen, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/09/05

とみぃ洋楽100番勝負(17)

●第17回:「Bohemian Rhapsody」 QUEEN('75)

 これまたベタですが。QUEENとの出逢いはMTVで観た "Radio Ga Ga" や "I Want To Break Free" のPV。ポップだし面白いとは思ったけど、決して「ロック」的なカタルシスは感じなかったのね。その後、"One Vision" って曲で初めてリアルタイムでQUEENのカッコ良さに気づいて、「KIND OF MAGIC」ってアルバムにやられて。多分、このアルバムから入ったから、俺は'70年代の王道ハードロック路線も、'80年代の王道ポップ路線も、同時に好きになれたんだと思う。

 で、当時の新作を聴いてQUEENに興味を持った俺は、当然過去の作品に遡るわけですよ、レンタル屋に行って。ひとつ前のアルバム「THE WORKS」には前述の2曲も入ってるし確かに馴染みはあったんだけど、俺はここで「GREATEST HITS」を手にしたわけ。当然でしょうね、普通はベスト盤に手が伸びるもの。

 ご存知の通り、この "Bohemian Rhapsody" は「GREATEST HITS」の1曲目に収録されてるんですね。で、当然のようにその世界観にやられてしまうわけ。この6分近くある長尺の1曲の中に、ロックの「起承転結」全てが凝縮されてるだけでなく、他ジャンル‥‥クラシックやオペラといった、およそロックとは結びつかないようなジャンルまでも取り込んでるわけですよ。もうね、ロックを大して知らない俺は感動しちゃったわけですよ、「これは新しい!」って。既に10年も前の曲なのにね、その時点で。

 俺、カラオケに行って気分がいいと必ずこの曲を歌うんですよ、ひとりで。中盤のオペラパートもアホみたいにひとりで全部こなして。ホント、ただのアホですよ。つーことは、それを披露した時に居合わせたあなたは、俺が気を許した「仲間」のひとりってわけですよ。ま、最近では滅多に披露しませんけどね(疲れるし)。

 一度だけ、この曲をライヴで聴いたことがあるんですよ。あ、QUEENは当然生で観たことないので、カバーなわけですが。昔「LIVE UFO」ってイベントがあったでしょ、ミスチルと桑田が過去の洋楽名曲をカバーする、あれ。俺、2回くらい観に行ったんですが、そこで桜井が歌うわけですよ、この曲を‥‥正直、「勝った!」って思ったね。年季が違うもん、この曲に関しては(この曲だけな!)。

 ‥‥嘘です。多分負けてます。いや、負けということにしといてあげるよ!(何故そんなに強気!?)



▼QUEEN「GREATEST HITS」(amazon

投稿: 2004 09 05 12:00 午前 [1975年の作品, Queen, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004/01/18

BRIAN MAY『BACK TO THE LIGHT』(1992)

QUEENのギタリスト、ブライアン・メイが初めて本格的に取り組んだソロアルバム。それが今回紹介する『BACK TO THE LIGHT』というアルバム。リリースは92年9月ですから‥‥「彼」の死から1年待たずに発表されたことになるのですが、そもそもこのソロアルバム自体、「例の悲劇」の前から制作されていたものなので、その後のゴタゴタ(って言い方はちょっとアレかと思いますが)で本来予定されていたリリース日程よりもかなり遅れた発表ということになるようです。だって、ここに収録されている初のソロ・シングルとなった「Driven By You」って、91年の春頃にはリリースされて、しかも英国ではトップ10ヒットしてるんですよ。恐らくブライアンの中では「その後、もう1~2枚シングルを切っていって、年末にはアルバムを出せれば‥‥」くらいの予定だったんじゃないですかね? ところが‥‥ご存知の通り、同年夏にフレディ・マーキュリーの様態が悪くなり、同11月には亡くなっています。QUEENのメンバーはそれぞれの仕事を差し置いて、フレディに付き添ったという話がある程、彼ら4人の繋がりは強く、結局その後も翌92年4月に英・ウェンブリー・スタジアムで行われた「The Freddie Mercury Tribute Concert For Aids Awareness」まではただひたすら「QUEENのブラアン・メイ」として突っ走ったのですから、そりゃアルバム制作が中断しても仕方ないし、誰も彼を責められないと思いますよ。

そうやって長い期間を経て作られたのが、このアルバム。そもそもブライアンは他のメンバー‥‥フレディやロジャー・テイラーとは違い、バンド存命中は殆どソロらしいソロ活動を行ってこなかった人なんですね。やったとしても、彼の個性を全面的に活かしたものとは言い難い、映画のサウンドトラック等ばかり。唯一、「BRIAN MAY & FRIENDS」名義で83年にリリースしたミニアルバム『STAR FLEET PROJECT』というのがあるだけ。これにしたってインストもので、かなり肩の力が抜けた「お遊び」のようなもの。「QUEENのブライアン・メイ」を求めるファンにとっては、正直「歌ってギター弾きまくるブライアン」が聴きたかったはずなんですね。

そういう意味で、ようやく重い腰を上げて初めて本格的なソロ活動を開始したのは、91年のシングル「Driven By You」が最初といっていいでしょう。これにしたって、フレディが表立った活動を出来なかったことに対する苛立ちへの、彼なりの解消法法だったのだと思います。ミュージシャンとしてステージに立ちたい、もっとロックしたい‥‥そういった強い思いが彼をソロ活動へと導いたのでしょう。勿論、QUEENの今後のことも脳裏をよぎったから、踏み切ったのでしょうし‥‥とにかく、当時フレディがそんなことになってるなんて一切知らされていなかった我々としては、ただ純粋にこのシングルの発表を喜んだものです。だってさ、どこから聴いても「QUEENのブライアン・メイ」そのものなんだもん、この曲。しかもPVでバックを支えるのがコージー・パウエルやニール・マーレイといった、UKロックの歴史の生き証人ばかり。この人選に思わず唸っちゃったはずだよ、みんな(ただこの曲、レコーディング自体は打ち込み中心で、全てブライアンとエンジニアの手によるものなのでした。それでもPVではライヴを意識した人選が嬉しかったんですよね)。

その後のゴタゴタで、結局続く新曲は1年以上経ってから。例のトリビュート・ライヴで初披露されていた「Too Much Love Will Kill You」という思わせぶりなタイトルのバラード。本当に大号泣ですよ、この曲を初めて聴いた時は。しかも当時は、まさかこの曲がQUEENとしてもレコーディングされていたなんて知らなかったし、絶対にフレディのことを思って書いた曲だよな?って信じてましたからね。当然、ここまでのシングル2枚でアルバムに対する期待が高まるわけです。

そういう感じで期待しているところに発表されたアルバム『BACK TO THE LIGHT』はある意味で期待通り、そしてある意味では期待以上の1枚でした。まず、どこからどう聴いても「QUEENのブライアン・メイ」だらけ。正に「金太郎飴」的な1枚といっていいかもしれません。QUEENでのブライアンというと‥‥例えば彼が過去にQUEENで書いてきた楽曲を思い浮かべれば判るように、非常にハードロッキンしていてギターが前面に出ている曲ばかり。で、その期待に応える反面、彼のルーツを感じさせるようなタイプの楽曲もあったり、カバーもあったりで、とにかく「QUEENのブライアン・メイ」を意識して、そのイメージの集大成といえるようなアルバムを作ったかな、という印象が強いんですね。

QUEENの代表曲「We Will Rock You」の一節を引用しかたのような歌詞が登場する「The Dark」というインタールード的ナンバーから幻想的に始まり、そのまま『THE GAME』以降のQUEENを彷彿させる壮大な「Back To The Light」へと続いていきます。派手なドラムが印象的なんですが、これを叩いているのが先のPVにも登場したコージー・パウエル(!)。ここからは暫くコージーが叩く曲が続き、黒っぽくてシンプルなロックンロール「Love Token」(QUEEN時代の「Headlong」に近い印象)から、このアルバム最初のハイライトといえるハードロック・チューン「Resurrection」へと続きます。この曲、サブタイトルとして「with Cozy Powell」という表記がある程、コージーのドラムがフィーチャーされた1曲でして、ライヴだとこの曲中で彼のドラムソロが挿入されてたりします。シングルカットまでされて、PVではコージーのソロショットがかなりの割合で映し出されたりしてましたよね。そうそう、この曲ではキーボードをかのドン・エイリー(コージーとはRAINBOW時代等での盟友)が弾いてたりします。70~80年代のUKロック/ハードロック・シーンに興味がある人なら、誰もが一度は目にする名前ばかり。ホント、凄い組み合わせですよね、今考えても。

のっけから大ハードロック大会した後、しっとりと「Too Much Love Will Kill You」で泣かせて、再び「Driven By You」でペースアップ。次の「Nothin' But Blue」は三連リズムのブルージーなバラード。ここでは前述のコージーやドンの他に、QUEENでの盟友ジョン・ディーコンがベースで参加しています。この曲も、アレンジ次第ではQUEEN「Who Wants Live Forever」みたいな1曲になったんでしょうけど、敢えてそうせずにブルージーなアレンジにしたのは個人的に正解かと思います。コージーのドラムも派手なんだけど、ちゃんと歌を盛り上げる叩き方してるんでうるさいと感じないんですよね。そして「I'm Scared」では、かのジョン・レノン「God」をパロッたかのような歌詞を載せた、シンプルなロックンロール。ま、本人はそんな意識、ないでしょうけどね。

再び三連リズムを用いたブルージーな「Last Horizon」が。しかしここではブライアンは歌わず、彼のメロウなギターを前面に打ち出したインスト曲になっています。途中でリズムが四拍子に変化したり等いろいろ工夫されていて、ギタリストのインストものが苦手って人にも取っ付きやすくなってるような。そしてQUEEN時代の「39」にも通ずる印象のカントリー調「Let Your Heart Rule Your Head」へ。こういう曲、ちゃんとQUEEN時代からやっていたし、そういう意味でも本当にこれまでの集大成という色合いが強いかな。けど、個人的にはもっとストレートなロックアルバムになるのかな?と勝手に思い込んでいただけに、こういうQUEEN的雑多作品集に仕上がるとは思ってなくて、そこにはただ驚かされるばかりでした。

その後、ちょっとフレディのことを思い出させるタイトルを持つ「Just One Life」という感動的なバラード(実際にはPhilip Sayerという人に向けて書かれているようです)を経て、最後に彼のルーツのひとつでもあるSMALL FACESの、非常にヘヴィなカバーバージョンとなった「Rollin' Over」で締めくくられます。ここでは元MANFRED MANNのシンガー、クリス・トンプソンがブライアンとデュエットしています。曲の途中でBEATLES「Day Tripper」のメインリフを引用していたり、如何にもQUEENなギターハーモニーが飛び込んできたりで、ちょっとSMALL FACESの曲には聞こえなかったりするんですが、ま、そこも含めて最初から最後まで「QUEENのブライアン・メイ」らしいアルバムだ、と言い切ることができるでしょう。曲のエンディング、最後の最後で再び「The Dark」の一節に戻っていくという作風といい、やはりこれは「QUEENのブライアン・メイ」じゃなきゃ作れなかった作品でしょうね。

最初から最後まで「QUEENのブライアン・メイ」という表現をしましたが、だからといってこれがQUEENの焼き直しだとか、「ブライアン・メイというひとりのアーティストとしての個性が薄い」って言ってるわけじゃないですよ。俺は良い意味で、敢えてそう表現してるんですから。もし、もっと彼のルーツ的な側面、それこそ「独立したひとりのアーティストとしてのブライアン」を堪能したかったら、続くセカンド・ソロアルバム『ANOTHER WORLD』を聴くことをオススメします。ライトなQUEENファンからするとちょっと厳しいという声が聞こえてくる『ANOTHER WORLD』ですが、俺はこっちも彼らしくていい作品だと思いますけどね(カバー曲が非常に多いという点がマイナスポイントになっているのも判りますが、ファーストの作風を考えると、そして長らく続いた「QUEENとしてのけじめ/後始末」を考えると、ああいう作品にたどり着いたのは何となく理解できるんですよね)。

このアルバムを引っさげて、ブライアンはコージーやニール・マーレイを含むメンバーでツアーに出ています。93年秋にはここ日本にもソロとして初来日を果たしています。94年初頭にはこのツアーを収めたライヴアルバム『LIVE AT THE BRIXTON ACADEMY』と、同名のライヴビデオもリリースされました。この活動が一段落ついた後、再び彼は「QUEENのブライアン・メイ」として、『MADE IN HEAVEN』の作業へと取りかかるのでした‥‥。

ブライアンはQUEEN時代にも幾つかのリードボーカル・ナンバーを残しています。QUEENにハマると、意外と彼のナンバーに惹かれるという声を耳にする機会が多いんですが(勿論、フレディあってのQUEENなわけですが)、そういった人なら間違いなく楽しめる1枚ですし、またQUEENで好きな曲のクレジットを見るとブライアンの曲が多かったという人もまた楽しめる作品でしょう。勿論、そういう細かいことにこだわらない、単純に「QUEENの別の顔」として楽しむことも可能ですし、純粋に「ギタリストのソロアルバム」として聴くのもアリでしょう。決して「歴史的名盤」とは言い難いですが、それでも古き良き時代‥‥ブリットポップに染まる前のイギリスを存分に堪能できる、非常に優れたアルバムだと断言できます。



▼BRIAN MAY『BACK TO THE LIGHT』
(amazon:海外盤CD

投稿: 2004 01 18 12:00 午前 [1992年の作品, Brian May, Queen] | 固定リンク

2004/01/13

QUEEN『MADE IN HEAVEN』(1995)

既にいろんなところで話題になっているのでご存知の方が多いと思いますが、QUEENの名曲達がテレビドラマの主題歌や挿入歌として起用されました。所謂「月9」枠でのドラマ、しかも主演は‥‥ってここで書くまでもないか。俺なんかよりも皆さんの方がよくご存知でしょうからね。

で、このドラマの主題歌に起用されたのが、今回紹介するQUEENのアルバム『MADE IN HEAVEN』に収録され、何度もCMソングとしても起用されている名曲中の名曲、「I Was Born To Love You」だったりするんですが‥‥これってどうなの? 安直かな??という気がするんだけど‥‥ベタとか言わないよ。けどさ‥‥よりによってQUEENの、しかもこの曲なのな。個人的にはね‥‥この『MADE IN HEAVEN』ってアルバムに関して、そしてそこに収録されている楽曲に関して、非常に「聖域」みたいに感じてるところがあるので、できるなら一番やって欲しくなかったことなんだよね‥‥まぁ今回のドラマによって、それまでQUEENを知らなかった層に対してもアピールして、どんどん消費されていくのもまた彼ららしいかな、という気もしないではないけどさ。

さてさて。知らない人のために、この作品について解説しておきますと‥‥『INNUENDO』のレビューで触れている通り、QUEENのシンガー:フレディ・マーキュリーは1991年11月24日に亡くなっています。が、この「MADE IN HEAVEN」がリリースされたのはそれから4年後の1995年11月。ここに収められている楽曲の大半がその時点で未発表だった楽曲であり、また残りの楽曲は過去にフレディやブライアン・メイ、ロジャー・テイラーがソロ名義で発表してきた楽曲の、フレディが歌うQUEENバージョン。つまり、これは正真正銘の「『INNUENDO』に続く、QUEEN通算14作目のオリジナル・アルバム」なのです。

フレディは自身の健康状態が芳しくなく、恐らくそう長くは生きられないであろうことを察したのか、1986年リリースの『KIND OF MAGIC』に伴うツアー終了後、ライヴという表舞台から遠ざかり、ただひたすら作品作りに没頭するようになります。バンドのメンバーも彼の意向に添い、それに付き合うわけです。そうやって完成したのが1989年の『THE MIRACLE』であり1991年の『INNUENDO』だったのです。当初、1990年頃に『GREATEST HITS』の第二弾をリリースしたいとレコード会社から打診されたそうですが、どうしても先にオリジナル作品を出しておきたいというフレディの意向から、ベストが後回しにされ、先に『INNUENDO』がリリースされた、なんていう逸話もある程、晩年のフレディの創作意欲は半端じゃなかったようです(後にそのベスト盤は『INNUENDO』からのヒット曲も含んだ『GREATEST HITS II』として1991年11月上旬‥‥つまりフレディが亡くなる数週間前にリリースされたのでした)。

『INNUENDO』リリース後のQUEEN及びフレディは、そこからのシングル用に数本PVも制作しつつ、更に数曲レコーディングに挑んだようですが、結局アルバム1枚分には至らず、その後フレディの病状も悪化し、そのまま帰らぬ人となってしまったのです。

当時、恐らく誰もが「二度とQUEENのニューアルバムは聴けない」と思っていたはずです。事実、1992年4月に行われたフレディのトリビュートライヴ以後、残されたQUEENのメンバーはそれぞれにソロ活動を開始し、特にブライアン・メイは「Driven By You」といったヒット曲も連発し、順風満帆といった感じでしたしね。しかし、彼らは秘密裏にこの『MADE IN HEAVEN』の為に追加レコーディングや編集作業を行っていたのです。そして1995年に入る頃には「QUEENの未発表曲集が出るかも‥‥」という噂が飛び交うのです。

実際にリリースされたアルバムは、未発表音源集と呼ぶにはあまりに「QUEENのアルバム」然としていて‥‥しかもこんなにも前向きで明るいアルバムが完成してしまうとは。誰もそんな作品が手元に届くとは思ってもみなかったでしょうね。『INNUENDO』が厳かで、どこか悲壮感が漂い、「終末感」が強い作風だったこともあり、その落差に驚いた人は多かったはず。けど、このポジティヴさこそがフレディ・マーキュリーであり、QUEENであった、と。この世を去ってから4年経ち、忘れた頃にいきなり届けられた、まるでそこに生きているかのような語り口調の手紙。それがこの『MADE IN HEAVEN』なんですよ、俺にとって。

先に挙げた「I Was Born To Love You」や「Made In Heaven」といった楽曲はフレディのソロアルバム『MR.BAD GUY』に収録され、シングルとしてもヒットを記録したナンバー。そのソロアルバムのテイクからボーカルだけを抜き取り、QUEENがフレディの没後にバックトラックを録音して差し替えたテイク。また「Heaven For Everyone」はロジャーのソロユニット・CROSSが過去に発表した楽曲で、その音源でもフレディがゲストボーカルとして参加していたことから、ボーカル抜き出し/バックトラック再録音したテイク。更に「Too Much Love Will Kill You」はブライアンがフレディの没後にリリースしたソロシングルのQUEENバージョン。当然歌っているのはフレディ。この曲が公の場で初披露されたのは、先のフレディ・トリビュートライヴ。ブライアンによるエレピでの弾き語りが印象的だったこの曲、まさかQUEENバージョンが録音されていたとは誰が想像したでしょうか? 事実、俺も最初にトリビュートライヴでこの曲を聴いた時、フレディのことを想って書いた曲かな?なんて思った程。あ、けどあの時のMCで「古い曲」ってブライアンが言ってたような記憶が‥‥後でビデオを観直してみよう。

とまぁ、全11曲中4曲が既発曲で、残りの7曲(別バージョンも含むので実際には6曲)が本邦初公開、正真正銘の新曲。アルバムはいきなりフレディのポジティヴな声明である「It's A Beautiful Day」からスタート。過去、「I don't wanna die~」と歌っていた男が、死を目前にして「It's a beautiful day~」と声高らかに歌うわけですよ‥‥もうね、それだけで号泣モノ。このアルバムのテーマともいえる1曲ですね(事実、アルバムは最後にこの曲がもう一度歌われて幕を閉じるのですから)。非常に「愛に満ちた」アルバム。それは愛する女性や男性に対してだけではなく、家族であったり、仲間であったり、そしてもっと大きく‥‥すべての人々に対してだったり。フレディは最後まで愛を送ることを惜しまなかった。それを証明したのがこの作品といえるでしょう。

そしてフレディだけではなく、彼を支える他の3人の、フレディに対する愛情もこれでもか!?という程に堪能できる作品でもあるわけです。アルバム1枚に満たない程度のボーカルトラックしか残されなかった状態から、こうやって1枚のまとまりあるアルバムに仕立て上げた事実。1曲としてみた場合、あまりにフレディが歌うパートが少なかったことから、ロジャーやブライアンもソロパートを設け、まるで本当に「QUEENが一丸となって作った楽曲」に聴こえる‥‥いや、実際にそう仕上がった「Let Me Live」や「Mother Love」といった名曲達。優しく歌うフレディを更にもり立てる演奏。個人的にツボなのが「A Winter's Tale」なんですよ。これ、どうってことのない曲なのかもしれないけど、ここでのブライアン・メイのギタープレイがね、ホントに良いんですよ。音数が少ないながらもちゃんと自己主張し、尚かつフレディの歌の領域までは侵さないという、絶妙なギターソロ。彼の派手なプレイは今までいくらでもあったし、味わい深い感動的なプレイも沢山あった。けど、こういったプレイは過去なかったんじゃないかな?なんて思えたんですよ。なんかね‥‥それだけでこう、胸が熱くなるというか。うん、本当にフレディはメンバーに愛されていたんだな、というのが実感できる1曲です。

アルバムは再び「It's A Beautiful Day」で幕を閉じるのですが、オープニングと違い(オープニングではフレディのピアノ弾き語り風)、途中からバンドサウンドが被さるんですけど、それがね‥‥過去の名曲達をサンプリングしたものだったりするのね。コラージュっていうんですか? で、そのまま20分近く続くシークレットトラックで余韻を引きずったまま、気づいたら終わっているという。まるで夢でも見ていたかのような錯覚に陥るわけですよ、この終わり方。そう、本当に夢を見たんですよ、このアルバムを聴いた人達みんなが、目の前でフレディ・マーキュリーを含むQUEENが再び現れて新曲を演奏していく夢をね。

このアルバムに対する評価ってホント分かれると思うんですが‥‥個人的には『INNUENDO』が最終章であり最終回、そして『MADE IN HEAVEN』は後日談的なエピローグ、という風に捉えています。如何でしょう?

‥‥ほらね? 本当に心底好きなアーティストについて書こうとすると俺、こんなに長くなっちゃうのよ。これで判ったでしょ、何で俺が今までそんなにQUEENの作品を取り上げてこなかったかが‥‥そして、如何にこのアルバムが自分にとって意味のある1枚か?ということも。だからこそ、キムタクごときに汚されたくなかったんだけどなぁ‥‥まぁあのドラマを観てQUEENに少しでも興味を持ったなら、CCCDではないこのオリジナル盤をまず聴いてみてください。手っ取り早いベストには収まりきらない、彼らの本当の魅力がタップリ詰まってますから



▼QUEEN『MADE IN HEAVEN』
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投稿: 2004 01 13 03:51 午前 [1995年の作品, Queen] | 固定リンク

2003/11/24

QUEEN『LIVE AT WEMBLEY '86』(1992)

夕べ、旧友達とカラオケに行ったんですよ。で、みんな最近の音楽に疎いもんだから、歌われる曲が自分達の学生時代‥‥80年代や90年代初頭‥‥に流行った邦楽/洋楽のヒット曲ばかりで。俺なんて当時やってたバンドの曲を歌えって周りからせかされるわけでして。GUNS N'ROSESやAEROSMITH、KISSにLED ZEPPELIN、DEEP PURPLE、ROLLING STONESにBON JOVIに‥‥そしてQUEEN。本当に気分がいい時にしか歌わない、究極中の究極「Bohemian Rhapsody」をホント久し振りに歌って‥‥そこで急に思い出したりして。11月24日がフレディ・マーキュリーの命日だってことを。

たまたま今日24日はここ日本で休日だったわけで、俺は日中ずっと彼等のCDばかりを聴いてたんですね、随分と久し振りに。つうかこんなに真剣に、長時間QUEENの楽曲に触れたのは多分学生時代‥‥そのフレディが亡くなった12年前以来じゃないかって程に、5~6時間ぶっ通しで彼等のアルバムを聴いたりライヴDVDを観たりしてるんです。

今年の俺の誕生日(8月6日)に、ある1枚(正確には2枚組)のDVDが日本で発売されました。『LIVE AT WEMBLEY '86』と題されたそのライヴDVD。10数年前にビデオ版でリリースされていた同タイトルの、完全収録版と呼べるDVD。既に海外ではリリースされていたものの、リージョンコードの関係で日本の家庭用DVDプレイヤーでは観れなかったようで、俺はこの日本版DVDの発売を待ったわけです。

結局俺は一度も彼等のライヴを観ることが出来ませんでした。彼等に夢中になりだした頃‥‥このライヴDVDでメインとなっているスタジオアルバム『A KIND OF MAGIC』がリリースされた1986年夏頃、丁度このライヴが行われた頃だったわけで、最後に来日公演を行ったのも前年1985年のこと。まだ俺が彼等に対してコミカルでカッコ悪いというイメージを抱いていた頃。MTVでガンガンに流れていた「Radio Ga Ga」や「I Want To Break Free」といったPVのイメージそのままだと錯覚してた、13~4歳のガキンチョだった頃の話。そんな俺に純粋にカッコイイと思わせたのが「One Vision」という曲であり『A KIND OF MAGIC』というアルバムであり、そのアルバムの中にも収録されている「Princes Of The Universe」というハードロックチューン。ポップなイメージの強かったQUEENが自分にとって「激カッコいいハードロックバンド」として機能し、そして後に「生涯で大切な存在」となっていくわけです。

ま、その辺のことは他のQUEENやフレディに関するコンテンツで散々書いてきたので、今回は割愛。そちらを是非お読みください。

で、ここからが本題。このライヴCDは今から11年半前、フレディが亡くなった後の1992年5月に追悼盤のひとつとしてリリースされた、上記DVDと同内容の2枚組作品。収録された日(1986年7月11&12日)と曲目から考えて、ほぼ同音源と考えていいでしょう。DVD版がリリースされるのがその12年近くも後ですし、またこのアルバムには「QUEEN最後のライヴ音源」という重要な意味合いもあったことから、当時は非常に重要視されました。これよりも6年も前に『LIVE MAGIC』というCD1枚モノのライヴ盤も出ていたんですが、そちらはそのウェンブリー・スタジアムでの音源の他にもブタペスト公演の音源も入っていて、尚かつ非常にコンパクトになっている為(そしてフェードアウトする音源まであり)、とても中途半端な印象が強かったんですが、この『LIVE AT WEMBLEY '86』は2枚組で約2時間、ほぼフル公演収録という形になっているんですよ。しかも彼等が最後に行ったツアーの中でもハイライトとなったウェンブリー・スタジアム公演ですからね(結局彼等はその翌月の8月にネブワースでの大規模コンサートを最後にライヴ活動を休止するわけです)。

ハッキリ言って、ここに収められているQUEENの、特にフレディのパフォーマンスは最高には程遠い出来です。が、やはりこれは作品として、「形」として残されることに意味があったわけです(最後のライヴツアーを丸々収めた音源)。まだリリース当時にはDVDなんて素晴らしいメディアはなく、ビデオテープやレーザーディスクが主流でした。そしてライヴアルバムという形体にもまだまだ重要な意味合いがあった時代‥‥今みたいに手軽にDVDが楽しめる時代ではなかったわけですよ、10年前は。これも何度も書いてるけど、俺はライヴアルバムという作品が、音にイマジネーションをかき立てられるこの形体が大好きなんですね。だからQUEENのこのアルバムも、一度も観れなかった彼等のライヴに行った気になって何度も聴いたわけです。ライヴビデオは出ていたけど、あんまり観なかったんですね。何でか判らないけど。

QUEENにはもう1枚、70年代の彼等の集大成と呼べるライヴ盤『LIVE KILLERS』という作品があるんですが、そちらは若くて荒々しく勢いがあった頃のQUEENを完全収録した素晴らしいライヴ盤で、俺も大好きなアルバムなんです。けど、この落ち着いてるけどエンターテイメントとしては究極中の究極といえる『LIVE AT WEMBLEY '86』という作品も大好きなんですよ。どちらか1枚選べと言われたら非常に困るんですが‥‥今の気分だったら俺、こっちを選んじゃうかもしれませんね。

選曲はもう完全にグレイテスト・ヒッツ的内容。『A KIND OF MAGIC』というスタジオ盤でのツアーではあるんですが、演奏されている曲はそこからのシングル曲4曲のみ。80年代以降の「ポップなQUEEN」と70年代の「ハードロッキンなQUEEN」が半々で収められているんですが、中でも注目なのはディスク2の冒頭‥‥名バラード「Love Of My Life」や「Is This The World We Created」以降の、アコースティック・メドレーでしょう。地元ならではのリラックスした雰囲気の中歌われるロックンロール・クラシックの数々。その後に満を持して登場する超名曲「Bohemian Rhapsody」。そして終盤を盛り上げるのが「We Will Rock You」や「We Are The Champions」といった定番だけでなく、「Hammer To Fall」「Crazy Little Thing Called Love」「Radio Ga Ga」という80年代の大ヒットナンバーだという事実。如何に当時の彼等が「国民的バンド」として受け入れられていたかが伺えるのではないでしょうか。特に「We Will Rock You」や「We Are The Champions」の定番の流れを断ち切るように挿入された、当時の最新曲「Friends Will Be Friends」でのオーディエンスの大合唱。これを聴けば十分ですよね?

ディスク1前半の、初期の隠れた名曲メドレーも素晴らしいですし、その後に演奏される'80年代のヒット曲も素晴らしい。フレディをバックアップするロジャー・テイラーやブライアン・メイのコーラスワークも抜群だし、その彼等のプレイにもハッとする瞬間が多いし。あまり絶賛されることのないジョン・ディーコーンのベースプレイも、実はツボを押さえた名演ばかりだという事実にも改めて気づかされますし。「QUEENというライヴバンドの何たるか」が全て凝縮された、優れたライヴアルバムなのではないでしょうかね、これは。

一番いいのは映像付きのDVDを観ることなんでしょうけど、やはり俺はアナログ的人間なんでね‥‥このライヴアルバムをぶっ続け2時間聴いて悦に入ってる方が似合ってるみたいです。

はぁ‥‥もう12年も経ったのか‥‥なのに何時まで経っても「大人」になれそうにもないや、俺は。



▼QUEEN『LIVE AT WEMBLEY '86』
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投稿: 2003 11 24 03:37 午前 [1992年の作品, Queen] | 固定リンク

2001/11/24

FREDDIE MERCURY『FREDDIE MERCURY SOLO』(2000)

自分がロックというものと出会ってから、既に20年以上もの月日が流れた。その間、有名・無名を含めても何百人というアーティスト達がこの世を去っていった。一番古い記憶だと、やはりジョン・レノンだろうか。ジョンの死は自分の人生の中でもかなり鮮烈な記憶として残っている。そして、それに匹敵する程の衝撃を与えたアーティストの死。それは1991年1月のスティーヴ・クラーク(DEF LEPPARD)であり、今回紹介するQUEENのフレディ・マーキュリーであった。特にフレディが亡くなった1991年11月24日は、別の意味でも忘れられない日となった。

今回は彼の死について語るのではなく、彼のバンドを離れてのソロ・ワークについて、昨(2000)年10月にリリースされた『FREDDIE MERCURY SOLO』という3枚組ボックスセットを通して紹介していきたいと思う。

このボックスセットはフレディが生前残した2枚のオリジナル・ソロアルバムと、幻のテイクやシングル・オンリーの曲、フレディの死後に発表されたリミックス曲を収録したボーナスディスクの計3枚から構成されている。最大の売りは、暫く廃盤となり手に入らなかった初のソロアルバム『MR.BAD GUY』(1985年)がここで楽に聴けるようになったことだろうか。フレディの死後にQUEEN名義で発表された『MADE IN HEAVEN』というアルバムには、このソロアルバムから数曲、ボーカルトラックのみを残してバックをブライアン・メイ、ジョン・ディーコン、ロジャー・テイラーの演奏に差し替えて「QUEENの新曲」として発表されているが、ここではそのオリジナルを聴くことができる。まぁ自分と同世代やそれ以上の年代の方にとってはこっちのオリジナルの方に愛着があって、QUEENヴァージョンにはちょっと違和感が‥‥なんて人が多いかもしれない(実は最初、自分もそのひとりだったりしたのだが)。

そしてこのボックスのリリース前に急に廃盤になった、1988年発表のクラシック作品『BERCELONA』もリマスターされ、再びここで聴けるようになった。オペラ界の大御所、モンセラ・カバリエとのデュエット作とも呼べるこの1枚は、ロック/ポップサイドを求めるファンには少々辛い作品かもしれないが、QUEENというバンドの根底にあるものを改めて再確認することができる、非常に興味深い1枚なのではないだろうか? 特にリリース当時よりも、フレディの死後の1992年にバルセロナで行われた夏季オリンピックのテーマ曲として話題になった事の方が記憶に残っているかもしれない。

さらに、今回のボックスセットにボーナスディスクと称され追加された7曲入りディスク。これはちょっと貴重な音源も含んでいるので、上の2枚を既に持っている人にもオススメだ。

まず1曲目の「I Can Heare Music」。これは名義としては「ラリー・ルーレックス」という偽名でリリースされているものの、間違いなくフレディ・マーキュリーのボーカルである。1972年頃、当時QUEENのファーストアルバムをレコーディングしてる最中に録音されたものだそうで、楽曲自体はBEACH BOYSのカヴァー。聴いてお判りの通り、フィル・スペクターを彷彿とさせる「ウォール・オブ・サウンド」を再現したオールディーズっぽさが新鮮だ。更にブライアン・メイもそれと判るギターでゲスト参加、ロジャー・テイラーもパーカッションで参加している。QUEENではここまでオールディーズっぽい要素が表出することもなく、またソロでもこういった要素はあまり見受けられなかったので、今回のリリースによるCD化は正直有り難い。これはかなり面白い。

続く「Love Kills」は、正真正銘のフレディ・マーキュリー初のソロシングルとなった1曲。映画『メトロポリス』の主題歌としてリリースされたもの。後のファーストソロと同系統のエレポップ。元々は1984年のQUEENの『THE WORKS』の際に書かれた楽曲で、当時は使用されず後にこの映画の為に録音され、1984年10月にリリースされることとなった。古臭さは拭えないが、意外と今聴くと新鮮なのも確か。メロディは如何にもフレディらしいもので、潤いのあるポップな佳曲。ギターレスな点に違和感を感じるQUEENファンの気持ちもよく判るのだが。

3曲目「The Great Pretender」は1992年にリリースされた編集盤『THE FREDDIE MERCURY ALBUM』の1曲目にも収録された、プラターズの名曲カヴァー。これはマジで素晴らしいアレンジ&パフォーマンスだと思うのだが、如何だろうか? 我々がイメージする「ゴージャスなフレディ・マーキュリー」を見事に演じきった、快心の1曲。1987年2月にシングル化、トップ5入りするヒットとなった。

4曲目「Living On My Own」はファーストソロ『MR.BAD GUY』に収録された同曲を、フレディの死後新たにリミックスしたバージョン。前述の編集盤『THE FREDDIE MERCURY ALBUM』からのシングルという形でカットされ、このリミックスバージョンは当時のクラブシーンでもヒットを記録した結果、ソロとしては初のナンバー1ヒットとなる(皮肉なことに、彼の死後に)。サウンド的にはオリジナルよりもかなり現代的なリアレンジがなされていて、リミックスバージョンの発表から8年経った今聴いても、古臭さを感じさせない。意外と今のクラブでかけても違和感なく踊れるかも。

5曲目「In My Defence」は1985年にミュージカル『タイム』の為にデイヴ・クラークが書き下ろした楽曲。発表当時はサントラの1曲として登場したものの、フレディの死後、先の編集盤『THE FREDDIE MERCURY ALBUM』リリースの際に先行シングルとしてカットされ、4位まで上昇するヒットとなっている。そのままQUEENの1曲としても通じるほどの普遍性を持った名バラードで、特にボーカルパフォーマンスの凄まじさに鳥肌が立つ。ちなみにこのボーカルトラック。一発撮り即OKだったそうだ。感動的な超名曲。ファン以外をも唸らす1曲ではないだろうか?(ちなみにこのボーナスディスクの音源は、今回のリリースに際してリミックスされたものだ)

6曲目「Time」も同じくミュージカル『タイム』の為の楽曲。当初この曲はフレディ以外の人間が歌う予定だったが、先の"In My Defence"のボーカルパフォーマンスにデイヴ・クラークがノックアウトされ、急遽唄うことになったそうだ。この曲も今回新たにリミックスされている。

最後は「Love Kills」のロック・ミックス・バージョン。ライヴでの歓声を被せ、シンセの代わりにギターをメインにしたアレンジがより「QUEENのフレディ」を色濃く表現してるように思う。ピコピコしたエレポップバージョンもいい味出していたが、こっちのバージョンもより大きなノリを持った好バージョンだ。

ちなみに以上7曲の内、1曲目と4曲目、7曲目以外は先の編集盤『THE FREDDIE MERCURY ALBUM』に収録済みだったので、既に持ってる人にとってはダブりが生じて新鮮さが余り感じられないのかもしれないが、全音源新たにリマスターされているので、音質的には飛躍的に向上している。オマケにしても豪華な選曲なので、これはこれでお得感が強いと思うのだが。特に1曲目「I Can Heare Music」はここでしか聴けない音源なわけだし。

こうやって3枚のディスクを通してフレディ・マーキュリーというシンガー/ミュージシャンを改めて考察してみたわけだが、勿論ソロだけでなくQUEENというバンドも理解しないことには彼の本来の姿は見えてこないだろう。しかし、逆に言えばQUEENだけでは見えてこない面というがあるのも事実。現にモンセラ・カバリエの事なんて、あの共演がなければ我々は知りもしなかったわけだし。映画音楽に数多く携わっている点も興味深いし(そういえば、QUEENでも映画音楽に数多く関わっているし)。

既に彼がこの世を去ってから10年が経った。自分にとってはあっという間の10年だったような気がする。彼が亡くなる前の10年と亡くなった後の10年を比べた場合、残念ながら亡くなってからの方が評価が高いような気がする。それは仕方ないことなのかもしれない。と同時に、「ああ、エイズで死んだバイ(セクシャル)ね?」と彼を軽視する音楽ファンも未だに多い。如何に彼が類い希なる才能を持ち合わせたミュージシャン/シンガーだったか、この3枚組からだけでも相当な収穫があると思うのだが‥‥俺がここまで言うんだから、レンタルでもいいんで、ちょっと手を伸ばして欲しいな。俺の音楽感とか人生観とか歌に対する姿勢とか、そういう価値観を全て変えてくれたのがこの人だったのだから(残念ながら、それも彼の死後のことだったのだが)。



▼FREDDIE MERCURY『FREDDIE MERCURY SOLO』
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投稿: 2001 11 24 02:00 午前 [2000年の作品, Freddie Mercury, Queen] | 固定リンク

FREDDIE MERCURY & MONTSERRAT CABALLE『BARCELONA』(1988)

「ロックバンドQUEENのシンガー/ポップシンガーとしてのフレディ・マーキュリー」をイメージして手を出すと痛い目を見る、非常に難解且つ評価の難しいクラシカルなボーカル作品、というイメージの強いこのソロ第2作目。フレディがシンガーとして最も憧れていたオペラ界の重鎮、モンセラ・カバリエとの共演を実現させたという意味では、フレディの長年の夢を1枚の作品として記録した非常に重要なアルバムという風に解釈できる。が、いくらQUEENでオペラチックな要素が強く出色していようが、オペラそのものを好きこのんで聴くロックファンは少ないだろう。そういう意味では、俺が唯一持っているオペラ作品集という事になるのだが(笑)。

実際、この共演についてフレディは1984年頃から考えていたらしい。そして1986年頃のテレビインタビューでもオペラに対する情熱、とりわけカバリエに対する愛情を熱く語っていたという。そして幸運にもそのコメントがカバリエ本人の元に届き、QUEENのマネージメントがふたりの対面をセッティングした。そして意気投合したふたりはアルバム制作へと乗り出すのだった。

実は今聴くと、意外とQUEENとの共通点や要素が多い事に改めて気付かされる。それはサウンドプロデュースに末期QUEENを支えたデヴィッド・リチャーズとマイク・モーランが関わっている点が大きく関係している。味付けやアレンジ等は『INNUENDO』と比較的近いものを感じるし、幾多にも重なったオペラコーラスはQUEENまんまだし、判る人が聴けば純粋に「QUEENのフレディ」が作った作品として評価することが出来るはずだ。ただ、ブライアンのあの印象的なギターワークとロジャーの力強いドラムビートがない点を除けばの話だが。

1曲目「Barcelona」は1992年のバルセロナ・オリンピックでも散々耳にしたことと思うので、ご存じの方が多いと思う。当時はしっかりとPVまで作られた程の力の入れようで、ちょっと驚いた‥‥というよりも、高校生だった俺は引いた記憶が(苦笑)。純粋なロック小僧だった俺にはまだ早かったようだ。続く2曲目「La Japonaise」はフレディお得意の日本語歌詞が登場する、間違ったアジア解釈が登場するアレンジが絶妙な(笑)迷曲。その他の曲のも共通することだが、その後のQUEENのアルバム‥‥特に『INNUENDO』への伏線となるアイディアが幾つも垣間見れるのだ。既にこの頃にはHIVに感染している事をフレディ自身が認識していたはずなのだ‥‥世界最高峰のバンドの一員、そして音楽家としての夢の実現。ある意味、この作品でフレディは音楽家としての夢を全うしてしまったのかもしれない。

それにしても、シンガーとしてのフレディの引き出しの多さ、テクニシャン振りには舌を巻く。歌唄いを目指してる方がもしこれを読んでいたら、悪いことは言わない。ジャンルが違うからと言わずに、是非この作品を手にして欲しい。シンガーとは本来、こういうものなのだといういいお手本になるだろうから。

最後に、モンセラ・カバリエのフレディに対する評価を紹介しよう。

「『BARCELONA』はフレディの素晴らしい音楽的才能のサンプルだと思うわ。彼はただのポピュラー・シンガーじゃなく、ピアノを弾いて私のために作曲できるミュージシャンなのね。彼は違った音楽のスタイルを一緒にする新しい方法を発見したわ。彼が、この分野の第一人者で、唯一の人なのよ。」



▼FREDDIE MERCURY & MONTSERRAT CABALLE『BARCELONA』
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投稿: 2001 11 24 01:00 午前 [1988年の作品, Freddie Mercury, Queen] | 固定リンク

FREDDIE MERCURY『MR.BAD GUY』(1985)

QUEENのアルバムでいえば『THE WORKS』(1984年)と『A KIND OF MAGIC』(1986年)の間、1985年にリリースされたのが、このフレディ・マーキュリー初のソロアルバム。プロデュースにはフレディと共に、そのQUEENの2作を手掛けたMACKが当たっている。サウンド的にはその2作や同じMACKプロデュースの『HOT SPACE』(1982年)に共通する「シンセを多用したエレクトロサウンド」がメインで、時々挿入されるギターオーケストレーションがモロにブライアン・メイを彷彿とさせるものだったりして、結局ソロで何がやりたかったのかのピントがぼやけてるような‥‥曲に関していえば、間違いなく「QUEENのフレディ・マーキュリー」が書いた楽曲で、その後QUEENでも再録音される「Made In Heaven」や「I Was Born To Love You」等はまんまである。

確か当時、QUEENが70年代程のヒットをあげられなかったり音楽的にこれまでとは全く違った方向性に向かっている事が原因で、メディアやファンの間で「QUEEN解散」の噂が飛び交っていて、それを後押しするかのようにフレディのソロがリリースされたのだった。

基本的にここにある音楽は、QUEENが80年代前半にやってきたことの延長線上にあると言っていいだろう。勿論、この頃のQUEENにもヘヴィでロックンロールしてる要素はあった。そういった楽曲でヒットも飛ばした。そしてそれらがフレディというよりも、ブライアンの要素だということも明らかだった。あの当時は中学生だった俺には理解できなかったことだが、もしかしたらQUEENとしての軌道修正を行う為にバンドは一旦ストップし、フレディは『HOT SPACE』等でやろうとしたことの完成型をこのソロアルバムでやり遂げようとしたのではなかったのだろうか? 本人が亡くなってしまった今となってはその回答を得ることは出来ないが、何となくその後のQUEENの充実振りを考えると、そう思えてならない。そしていい意味でこれらの要素も消化したQUEENが生み出したのが『INNUENDO』を筆頭とした後期の傑作だったのかもしれない。そう考えると、やはりこのソロアルバムはQUEENファンにとって避けては通れない、非常に重要な1枚ということになる。

やはりフレディという人は、ロックアンセムを唄う人というよりは、孤高のポップシンガーといった方が似合っている。この軽快でダンサブルで、それでいてソウルフルな歌の聴けるアルバムを聴けば聴くほど、唯一無二の存在だったのだなぁ‥‥と感慨深くなる。サウンド的には2001年の現在聴くとちょっとキツい面も多いのだが、逆にこの下世話さが「QUEENのフレディ・マーキュリー」そのものだったのだと思う。



▼FREDDIE MERCURY『MR.BAD GUY』(『FREDDIE MERCURY SOLO』に同梱)
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投稿: 2001 11 24 12:00 午前 [1985年の作品, Freddie Mercury, Queen] | 固定リンク

1999/11/24

QUEEN『INNUENDO』(1991)

これはレビューなんて代物ではなく、俺個人のこのアルバムに対する想いを綴ったものだという事を最初にお断りしておく。

「悲壮感漂う異色作」‥‥フレディ・マーキュリー生前最後のオリジナル作品(通算13作目)であるこの『INNUENDO』がリリースされたのは1991年初頭。何故このアルバムはこんなにも重苦しく、悲壮感が漂っているのか? 勿論、全てが全てそういう曲ばかりではないが、少なくとも核となる楽曲(「Inuuendo」「Don't Try So Hard」「Bijou」「The Show Must Go On」)には、これまでにはないくらいの緊張感を感じ取る事が出来る。恐らくフレディは「このアルバムが最後になるかも‥‥」という気持ちでレコーディングに臨んだのだろう。アルバム全体を包む重圧感、そして終焉を感じさせる空気の中、彼の歌声から「生」への生々しいくらいの叫びをひしひしと感じる。常に「エンターテイメントのフレディ・マーキュリー」だった彼は、自身の最期に「アーティストとしてのフレディ・マーキュリー」を誇示しようとした。そしてその力量には舌を巻くばかりだ。

正直、俺の中でのQUEENというバンドは1991年の時点で「終わっている」存在だった。いや、リアルタイムで聴き始めた「Radio Ga Ga」の時点で既に「終わった」事になっていた。雑誌やメディアの情報を鵜呑みにしていた当時中学生の俺は、QUEENの全盛期は70年代という事になっていて、いくらその後(80年代以降)ヒットを飛ばそうが、「生きながらえている、ゾンビのような存在」と見なして軽視していた。だからこの『INNUENDO』というアルバムがリリースされた頃も、鼻で笑って素通りしたのだ。雑誌「ヤング・ギター」や「BURRN!」等で大絶賛されていたものの、当時はスラッシュやハードコアの領域にドップリ浸かっていた時期なので、自ら進んで買おうなんて思いもしない。

しかし、そんな俺にもこの傑作と対面する時が来る。それから約半年後だった。1991年9月だったと思う。当時通っていた専門学校の同級生がCDショップでバイトしていて、「社割で安く手に入れたけど、もう聴かないからあげるよ」と数枚の輸入盤を差し出した。当時リリースされたばかりのブライアン・アダムスの新作や何やら(その他は忘れた。多分記憶に残らないようなクズばかりだったのかもしれない)‥‥その中に『INNUENDO』もあった。貰ってから数週間経って、ようやくこのアルバムに手を出した。バイト帰りの終電の中。あの幻想的なイントロが始まる‥‥電車から降りてもその空気に浸りたいが為に、聴き終えるまでの数十分、寄り道して帰った事を思い出す。

衝撃だった。QUEENの新作はそれまでもリアルタイムで何枚か通過していた。『THE WORKS』『A KIND OF MAGIC』『MIRACLE』‥‥しかし、単に通過したに過ぎなかった。なのにこのアルバムは俺の心臓を鷲掴みにしたのだ。掴んで離さなかったのだ。「何かが変わる‥‥いや、何かが終わる。そんな気がする‥‥これは‥‥彼らのラストメッセージなのか?」 「The Show Must Go On」を聴く度にそんな思いで頭がいっぱいになった。それからフレディの悲報が届く11月24日までの2ヶ月近く、毎日聴き込んだ。そして暫く聴けなくなってしまった。これはバンドとしてのメッセージではなく、フレディの遺言だった(少なくとも、この俺にとっては)‥‥「ショーはまだ続くんだよ」彼がいなくなっても、残された楽曲の輝きは変わらない。これらを聴けばいつでもQUEENに会える。けど俺は、他の楽曲は聴けても、このアルバムだけは当時、重すぎて聴けなくなってしまった。アルバム単位だけでなく、楽曲単位で。だから追悼盤と化してしまった『GREATEST HITS II』も買わず終いだった。

翌1992年1月下旬、俺は生まれて初めて海外へ出向く。QUEENの国、イギリスへ。語学研修という名の短期留学で、ボーンマス(Bournemouth)という南の海沿いの小さな町で俺は生活をする事になる。週末になればロンドンへ泊まりで出向いたり、他の地へ観光しに行ったりもした。そして、どこへ言っても目にしたもの。それはQUEENのアルバムだった。初めてイギリスに行くにも関わらず、俺はBEATLESもQUEENもピストルズも持って行かなかった。ホストファミリーは音楽一家で、父(ホストファザー)は音楽出版社に勤め、母(ホストマザー)は夜になるとホテルのバーなどでジャズシンガーをする。兄は仕事の傍らドラムを叩き、姉はミュージシャンを目指しバイトの日々。俺をこの家族に宛った人に感謝しなければならない。勿論俺自身も音楽で飯を食いたいって夢を語っていた。夜になると兄や友人を連れてパブやクラブへ出向いて、毎晩午前様だった。

ある日、父が「QUEENは日本でも大人気だったんだよな?」と俺に尋ねた。「勿論!」と即答し、俺はQUEENの曲で日本語のサビを持つ「Teo Torriatte (Let Us Cling Together)」を唄う。それに父が加わる。そして『INNUENDO』というアルバムに出会うまで、俺は彼らの功績を軽視していた事、そのアルバムを切っ掛けに彼らの楽曲の素晴らしさや魅力を再認識した事、そしてフレディの死後アルバムを聴けなくなってしまった事を、つたない英語で伝えた。その想いはなんとか伝わったようで「フレディの死を悲しんだのだから、お前も俺達と同じ英国人だよ」とまで言ってくれた(かなり曲解してるかもしれないが)。

ボーンマスを離れる朝、父は俺に「ここで過ごした1ヶ月の思い出に」と、俺が持っていないと言った『GREATEST HITS II』のCDをプレゼントしてくれた。嬉しくて泣きそうになったが、ありがとうと言ってそっけなくその場をやり過ごした。ロンドンへ向かうバスの中でずっと一人泣いた。そして更に、その場でCDを聴けない事にもっと泣いた(ウォークマンしか持って行かなかったのだ)。ロンドンに着いてすぐにタワーレコードに向かい、『GREATEST HITS II』のカセットを入手したのは言うまでもない(苦笑)。そして俺にとって1992年1~2月のイギリスといえばMANIC STREET PREACHERSとNIRVANAとQUEENという事になった。『GENERATION TERRORISTS』『NEVER MIND』『GREATEST HITS II』を聴けばいつでも、あの寒空のボーンマスへ戻る事が出来る。

これを切っ掛けにして再び、俺は『INNUENDO』の楽曲と真正面から向き合えるようになった。そして今、去年の11月24日以来久し振りにこのアルバムをプレイヤーのトレイに載せる。力強い「The Hitman」や「I Can't Live With You」も、優しく響く「These Are The Days Of Our Lives」も、コミカルな「Delilah」も、鼓動が高鳴る「Headlong」も、そして‥‥先に重く、悲壮感が漂うと表現した楽曲群も、今では全てが愛おしい。批評とか解説とか、そういう次元でこれらを語る事なんてやっぱり出来ない。QUEENの中でも一番思い入れが強い、特別なアルバム。それ以上でもそれ以下でもない。彼らが、そしてフレディが残した「The Show Must Go On」というメッセージ(或いは決意表明)を一番最後に持ってきてアルバムは幕を閉じる。そして(俺達が知っている、という意味での)QUEENというバンドもこの言葉を最後に、約20年という長い歴史にピリオドを打つ事となった。アーティスティックな作風を打ち出しながらも、最後の最後まで彼らはその意志を貫き通したのだった。

きっとこんなバンド、もう2度と登場しないだろう。そして俺にとってもこんなアーティストも、こんなアルバムも2度と現れないだろう。いや、現れてもらっては困る。こんなに辛く悲しい思いは2度とご免だ。だけど、このアルバムを聴いても悲しくない、今は。だって既にこれは俺の、そしてあなたの決意表明でもあるのだから‥‥。

「Show Must Go On」



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投稿: 1999 11 24 03:24 午前 [1991年の作品, Queen] | 固定リンク

1998/11/24

QUEENと僕

今年も11月24日が来て、過ぎていった。もう何度目だろうか? この時期になると、とても切なくなる。11~1月というのは、僕にとって大切なミュージシャンが多く亡くなっている。特にこの11月24日には特別な想いがある。同じ年の同じ日に、アメリカとイギリスをそれぞれ代表するバンドのメンバーが亡くなったのだ。今日は第1回目ということもあって、ルーツ的なバンドを紹介したい。僕の「シンガーとしての心の師匠」フレディ・マーキュリー率いるQUEENである。

QUEENの音楽性を考えるとき、必ずあの「カメレオンのように変化し続けるサウンド」を思い浮かべることだろう。実際、多くのミュージシャン達が自分達の音楽性の変化を「QUEENみたいな幅広い音楽性」「QUEENは常にひとつの所に留まってはいなかったろ?」といったように例え、それを逃げ道にする。一体どれだけのバンドがQUEENに近づいているといえるのだろうか?

と同時に、QUEENの古くからのファンもその変化に迅速についていけたのだろうか? 答えはノーだと思う。特にここ日本では、初期のグラマラスなヴィジュアル・イメージと「Bohemian Rhapsody」のオペラチックな楽曲のイメージが強烈だったためか、それ以後(特に80年代以降)の「ポップなシングルヒット量産バンド」的なイメージがお気に召さなかったようだ。でも、そんなに毛嫌いされる程の代物だったのだろうか?

アメリカでのQUEENのイメージの例えとして、上のようなミュージシャンの言い訳もあるが、ここでひとつ面白い例を挙げてみたいと思う。1992年2月にあのGUNS N'ROSESが東京ドーム3日間という、HR/HM系アーティストとしては異例の公演を行った。初日、中日はハプニングも続出し、あのアクセル・ローズが袖に引っ込む場面も目に出来たようだ。最終日はヴィデオ撮影され、当時衛星放送で録画放送され、そののちセル・ヴィデオとして世界中でリリースされた。残念ながら僕はその頃、イギリスにいたためライヴには足を運べなかったのだが、後日友人が録画した衛星放送の録画ヴィデオを借りて観た。僕が体験した1988年12月の初来日と比べたら全く別のバンドになっていた。それでも十分カッコ良かったが。

問題の場面はアンコール時に訪れた。アクセルがアカペラで何やら歌いだしたのだ。この頃から彼らは即興で、自分達が影響を受けた曲のさわりをチラッと披露する機会が増えていた。アクセルは2~3曲歌ったのだが、それらは我々日本人には余り馴染みのない曲ばかりだった。しかし、1曲だけ耳に残るメロディの曲があった。「Sail away little sister~」と歌っているように聞こえた。でも、曲名が判らない。

暫くの間、この曲が誰の、何という曲なのか?で周りは持ち切りになった。その答えは数ヶ月後に雑誌で明らかになった。QUEENの「Sail Away Sweet Sister」という曲だった。全く知らなかった僕。1980年リリースのアルバム『THE GAME』に収録されている、ブライアン・メイがヴォーカルをとるマイナーな曲だった。QUEENといえば派手なメジャー曲しかしらなかった僕には「何故アクセルはこの曲を?」という疑問でいっぱいになった。

さて、なぜアクセルはこの曲を知っていたのか? 理由は簡単。このアルバムがQUEENのアルバムの中で、アメリカで最も売れた作品だから。70年代、彼らはアメリカで数々のヒット曲、ヒットアルバムを生み出してはいるが、No.1シングル、アルバムは1枚もなかった。ところが80年代に入り、彼らは2曲のNo.1ヒット曲とその2曲を含むNo.1アルバムを生み出すことになる。それがこの『THE GAME』なのだ。

このアルバムからは「Crazy Little Thing Called Love」「Another One Bites The Dust」といったNo.1ソングの他にも2曲のシングルヒットが生まれた。No.1になった2曲はそれ以前の彼らのイメージからすると全く異質のものだった。プレスリーばりのロカビリーナンバー(前者)に、ファンキー/ソウルフル/ディスコ調で間違ってブラック・ミュージック専門ラジオ局で流され、それがヒットにつながった後者。「グラマラスでオペラティック」な70's QUEENの面影はそこにはなかった。日本人が無視するのももっともか。しかしアメリカでは違った。アメリカ人は純粋に「曲の良さ」に気づき、従来のQUEENのイメージに捕らわれず、それがヒットへと繋がった。だからアクセルがこのアルバムのナンバーを口ずさんだとしても、決して不思議な事ではない。最も、その選曲のセンスにアクセルらしさが光るのだが。普通、ブライアン・メイのナンバーなら「'39」あたりを選ぶんだけどなぁ……。

いかに最初のイメージが大きいと後々不幸か? それはどのバンドにも言えることだろう。METALLICA然り、U2然り、MANIC STREET PREACHERS然りだ。だが、最終的には曲の良さだ。曲が良ければ誰にも文句を言われる筋合いはない。まぁその曲がその人の趣味の範疇じゃなかったら、それはもう不幸としか言いようがないが。とにかく、下手な先入観を持たずにQUEENを聴いてみてほしい。手っ取り早くベスト盤がいいだろう。初期の超有名ヒット曲満載の『GREATEST HITS』(1981年リリース)もいいが、それよりも今回は80~90年代のヒットシングルを網羅した『GREATEST HITS II』(1991年リリース)の方を先に聴いてもらいたい。いかに彼らが素晴らしいソングライター集団だったか?を実体験できる、お手頃なアルバムだ。全ての曲が全英チャートのトップ20に入った曲ばかりである。これを聴けば、いかに現在のイギリスの若手ミュージシャン達が直接/間接的にQUEENから影響を受けているかが伺えるはずだ。何せ彼らは「イギリスの国民的ヒーロー」だったのだから。


最後に個人的な想い出話をふたつばかり。フレディの亡くなる数週間前に、僕はある友人から1枚のCDを譲り受けた。もう聴かないといった、そのアルバムはQUEENの『INNUENDO』(1991年)だった。その年の始めにリリースされてはいたが、当時は余り興味がなかったし、それよりももっと激しい音楽が好みだったので、無視していた。勿論、雑誌等で「往年のQUEEN節、復活!」と騒がれていたのは知っていたが。

アルバムを聴いた。ビックリした。正直な話、鳥肌が立った。それくらいの衝撃だったのだ。まさかQUEEN聴いてこんな衝撃を受けるとは。僕にとって、正に「完璧/完全無欠」のアルバムだった。1曲1曲が際立っていて、捨て曲なんて一切なし。そして、ラスト2曲、「Bijou」「The Show Must Go On」。悲しいくらいに名曲。と同時に、何かを悟ってしまった。「まさか、これで解散とか!?」そう感じさせる位に悲しく、そして前を向いている曲だった。

数週間後、「事実上の」解散となってしまったQUEEN。フレディは生前、残された最大の力を振り絞ってあの曲を歌い上げたのだろう。そう考えると、無性に切なくなってしまった。そして「もっと早く、彼らの良さに気づいてやればよかった」と。その後ゆっくり時間をかけて、彼らのオリジナル・アルバムを買い揃えたのは言うまでもない。

翌1992年11月24日、偶然にも1年前にあの「不運な出来事」があったその日に、僕らのバンドはライヴを行うことになった。僕はこの偶然を見逃さなかった。意図したわけじゃないのに、って。そこでバンドのメンバーに提案した。「是非、1曲でいいからQUEENの曲をカヴァーしてみないか?」と。しかしその願い空しく、提案は却下された。だが僕は諦めなかった。当日、僕がアコースティック・ギターを持つ曲が2曲あった。その内の1曲の前に、僕がMCをとる場所があった。

当然、やってしまったわけだ。ギター1本で「Love Of My Life」を。練習したかいがあった。最初はアカペラで、途中からギターをつま弾きながら。フル・コーラスとはいかなかったが、それで十分だった。その日のお客の内、何人かが気づいてくれた。その時、僕はQUEENのトレードマーク(『GREATEST HITS II』のジャケット参照)が入ったTシャツを身に付けていたから。後にも先にも、QUEENの曲をカヴァーしたのはこれが最初で最後だった。


May rest in peace, Freddie...



▼QUEEN『GREATEST HITS II』
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投稿: 1998 11 24 11:00 午後 [Freddie Mercury, Queen, 「R.I.P.」] | 固定リンク