2018年5月 2日 (水)

THE HIVES『LEX HIVES』(2012)

スウェーデンの爆走ガレージロックバンド、THE HIVESが2012年6月に発表した通算5作目のフルアルバム。相変わらずリリース間隔の長いバンドではありますが、本作は前作『THE BLACK AND BLUE ALBUM』(2007年)から約5年という過去最長のインターバルを経て発売された1枚でした。

バンドのセルフプロデュース作品ですが、ミックスにデイヴ・サーディ(MARILYN MANSONSLAYEROASISなど)をはじめ3名のエンジニアを迎えた意欲作に仕上げられており、確かに曲によって若干カラーの異なる味付けがされているように感じられます(ボーカル処理が独特ですよね、今作)。

とはいえ、そこはTHE HIVESというバンドの個性を壊すことはない、誤差範囲内といいますか。基本はいつもどおりの、ご機嫌なガレージロックが展開されています。だって、全12曲(日本盤およびデジタル版は、ここにボーナストラックを追加)、全31分があっという間に過ぎていきますからね。

1曲目「Come On!」からして1分少々で突っ走り、そのまま「Go Right Ahead」へと突入。「I Want More」のようにAC/DC的な重々しいミディアムチューンもあるものの、基本は軽やかに突き進み、適度にパンキッシュさを感じさせるクールなロックンロールが展開されているわけですから、好きな人にはたまらない1枚だと思います。

ある種、金太郎飴的な作品を作る続けるバンドとも言えるわけですが、だからこそ作品を無闇に作りまくらない(3〜5年に1枚ペース)なのかもしれませんね。だって今の時代、1〜2年の1枚のペースでこの手の作品を作り続けたら正直飽きられそうな気がしますし。

そうそう、本作で特出すべき点として、日本盤とデジタル版にのみ追加収録されている2曲が挙げられるのではないでしょうか。この「High School Shuffle」と「Insane」のみバンドのセルフプロデュースではなく、QUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・ホーミがプロデュースを手がけているのですから。

ま、だからといって基本姿勢は崩していません(笑)。基本姿勢は崩していませんが、どことなくサイケデリックな雰囲気があったりと、ちょっとだけQUEENS OF THE STONE AGEの香りも……しないことはない……かな? 実際、どことなくスモーキーさを感じさせるそのサウンドには、両者共通するものがありますし。納得の組み合わせといったところでしょうか。

本作リリースから、間もなく6年が経とうとしていますが、いまだ新作リリースの情報なし。2015年に単発で「Blood Red Moon」という新曲を発表しましたが、これがまた枯れまくりの渋い作品でして……次のアルバム、どうなるんでしょうね。

「また同じじゃん!」とか文句言わないので、早く新しい音を聴かせてください。お願いします!



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投稿: 2018 05 02 12:00 午前 [2012年の作品, Hives, The, Queens of The Stone Age] | 固定リンク

2017年8月31日 (木)

THEM CROOKED VULTURES『THEM CROOKED VULTURES』(2009)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロール、QUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・ホーミ、LED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズという世代を超えた人気ロックバンドのメンバーが結成したスーパーバンド、THEM CROOKED VULTURESが2009年に発表した現時点で唯一のアルバム。

このバンドの構想自体は2005年頃からあったようで、それぞれ忙しいメンバーだけになかなかスケジュールが合わず、いざ動き始めたのは2009年に入ってから。同年7月にレコーディングを開始し、8月にはシカゴで初ライブ。そのままヨーロッパをツアーしながらレコーディングを続け、同年11月に本作『THEM CROOKED VULTURES』がリリースされました。

このバンドではジョシュがボーカル&ギター、デイヴがドラム、ジョンがベースやキーボードなどさまざまな楽器を担当。ライブではサポートメンバーでギタリストがもう1人加わっています。

ジョシュとデイヴはQOTSAの3rdアルバム『SONGS FOR THE DEAF』(2002
年)で共演したほか、デイヴは同作のツアーでもドラムを担当。またジョンはFOO FIGHTERSの5thアルバム『IN YOUR HONOR』(2005年)にゲスト参加しており、デイヴを中心にそれぞれつながりがあったわけですが、とはいえこの3人が本当につながるなんて当時は考えてもみませんでした。

とはいえ、この3人でバンドをやるなら……と想像すると、ジョシュがボーカルの時点でどこかQOTSA的なものになるんだろうなと。そこに曲作りでどこまでデイヴやジョンのカラーが反映されるのか、それによってバンドの方向性がある程度固まるんだろうなと考えていましたが、本当にその通りの内容だったので、最初はちょっと肩透かしを食らったことを覚えています。

わかりやすく表現すれば、QOTSAからストーナーロック的な側面を排除し、ブルースベースのクラシックロック……CREAMやLED ZEPPELINなどの60〜70年代ハードロックをこの3人流に解釈したのがこのアルバム。「Elephants」「Reptiles」なんてツェッペリン的だし、「Scumbag Blues」はCREAMっぽいコーラスが入るし。でも、そこに1969年生まれのデイヴ、1973年生まれのジョシュの個性が加わることで単なるクラシックロックの焼き直しにならない、ロックンロールリバイバル以降のフレイバーが散りばめられたエバーグリーンなロックアルバムに昇華されているのではないでしょうか。

あと、本作を聴いてジョン・ポール・ジョーンズのマルチプレイヤーぶりに改めて驚かされたのをよく覚えています。アルバムではベースのほかにキーボード、ピアノ、クラヴィネット、オプティガン(メロトロンの光学式ディスク使用版)、マンドリンなどをプレイしており、こういった楽器の導入がツェッペリンを彷彿とさせるサウンドを現代に再降臨させることに成功しているのですから、ジョンジーさまさまですね。

ただ、アルバム自体はメリハリがあまりなく、ゆるゆると進行していく印象も。好きなことをただ好き放題やった結果なのでしょうが、全13曲で70分近いトータルランニングも影響しているんでしょうね。もちろんこれだけあればライブ1本フルでやるには十分なんですけど、そのライブも……2010年のフジロックで観たときは正直、そこまで盛り上がらなかったなぁと。もし2枚目が制作されることがあれば、よりバラエティに富んだ内容に期待したいところです。



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投稿: 2017 08 31 12:00 午前 [2009年の作品, Foo Fighters, Led Zeppelin, Queens of The Stone Age, Them Crooked Vultures] | 固定リンク

2017年8月29日 (火)

QUEENS OF THE STONE AGE『VILLAINS』(2017)

初の全米1位を獲得した前作『...LIKE CLOCKWORK』(2013年)から4年ぶりの新作となる、QUEENS OF THE STONE AGE通算7作目のスタジオアルバム。ジェイムズ・ラヴェル(UNKLE)をプロデューサーに迎えた前作から一転、今作ではマーク・ロンソンを起用しており、よりポップで艶やか、だけどしっかりロックという統一感の強い1枚に仕上がっています。

オープニングを飾る「Feet Don't Fail Me」のディスコテイストに最初こそ度肝を抜かれますが、よく聴けばしっかりロック色が保たれていることもわかるし、実は絶妙なバランス感で成り立っていることに気づかされます。続く「The Way You Used To Do」もポップセンス抜群のロックナンバーだし、「Domesticated Animals」のヘヴィだけどエモーショナルという曲調も文句なし。ギターやベースのサウンドしかり、ドラムの録音の仕方しかり、非常にロックンロールしております。うん、気持ちいい。

で、冒頭3曲を聴いて思ったのは、先にも述べたようにとても艶やか、つまりセクシーさが強まっているということ。ジョシュ・ホーミの歌声がより艶やかになっているというのもありますが、サウンドそのものに華があるんですよね。なんというか、ロックンロールって昔はこうだったよねっていうような、いかがわしさや胡散臭さも全部ひっくるめた、セクシーさ。少なくとも前作『...LIKE CLOCKWORK』にはなかった(もしくは非常に薄かった)要素だと思います。

エモの極み「Fortress」からガレージパンク「Head Like A Haunted House」、ダウナーなダンスナンバー「Un-Reborn Again」、ジョシュの甘い歌声が耳に優しい「Hideaway」、グルーヴィーなハードロック「The Evil Has Landed」、映画のサウンドトラックを思わせるドラマチックな「Villains Of Circumstance」と、とにかくバラエティに富んだ楽曲が並び、それらがQUEENS OF THE STONE AGEというバンド名のもとに寄り添うことで統一感を生み出している。このへんはマーク・ロンソンの手腕によるものなのかなと思いました。

なんだかんだで前作も大好きだった自分ですが(特に先日のフジロックでのライブを観て、よりポジティブな印象を受けました)、本作はそれ以上に好きな作品になりそうです。せっかくなので、本作を携えた来日公演をまたすぐにでも実施してもらいたいものですね。



▼QUEENS OF THE STONE AGE『VILLAINS』
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投稿: 2017 08 29 12:00 午前 [2017年の作品, Queens of The Stone Age] | 固定リンク