2017/08/31

THEM CROOKED VULTURES『THEM CROOKED VULTURES』(2009)

FOO FIGHTERSのデイヴ・グロール、QUEENS OF THE STONE AGEのジョシュ・ホーミ、LED ZEPPELINのジョン・ポール・ジョーンズという世代を超えた人気ロックバンドのメンバーが結成したスーパーバンド、THEM CROOKED VULTURESが2009年に発表した現時点で唯一のアルバム。

このバンドの構想自体は2005年頃からあったようで、それぞれ忙しいメンバーだけになかなかスケジュールが合わず、いざ動き始めたのは2009年に入ってから。同年7月にレコーディングを開始し、8月にはシカゴで初ライブ。そのままヨーロッパをツアーしながらレコーディングを続け、同年11月に本作『THEM CROOKED VULTURES』がリリースされました。

このバンドではジョシュがボーカル&ギター、デイヴがドラム、ジョンがベースやキーボードなどさまざまな楽器を担当。ライブではサポートメンバーでギタリストがもう1人加わっています。

ジョシュとデイヴはQOTSAの3rdアルバム『SONGS FOR THE DEAF』(2002
年)で共演したほか、デイヴは同作のツアーでもドラムを担当。またジョンはFOO FIGHTERSの5thアルバム『IN YOUR HONOR』(2005年)にゲスト参加しており、デイヴを中心にそれぞれつながりがあったわけですが、とはいえこの3人が本当につながるなんて当時は考えてもみませんでした。

とはいえ、この3人でバンドをやるなら……と想像すると、ジョシュがボーカルの時点でどこかQOTSA的なものになるんだろうなと。そこに曲作りでどこまでデイヴやジョンのカラーが反映されるのか、それによってバンドの方向性がある程度固まるんだろうなと考えていましたが、本当にその通りの内容だったので、最初はちょっと肩透かしを食らったことを覚えています。

わかりやすく表現すれば、QOTSAからストーナーロック的な側面を排除し、ブルースベースのクラシックロック……CREAMやLED ZEPPELINなどの60〜70年代ハードロックをこの3人流に解釈したのがこのアルバム。「Elephants」「Reptiles」なんてツェッペリン的だし、「Scumbag Blues」はCREAMっぽいコーラスが入るし。でも、そこに1969年生まれのデイヴ、1973年生まれのジョシュの個性が加わることで単なるクラシックロックの焼き直しにならない、ロックンロールリバイバル以降のフレイバーが散りばめられたエバーグリーンなロックアルバムに昇華されているのではないでしょうか。

あと、本作を聴いてジョン・ポール・ジョーンズのマルチプレイヤーぶりに改めて驚かされたのをよく覚えています。アルバムではベースのほかにキーボード、ピアノ、クラヴィネット、オプティガン(メロトロンの光学式ディスク使用版)、マンドリンなどをプレイしており、こういった楽器の導入がツェッペリンを彷彿とさせるサウンドを現代に再降臨させることに成功しているのですから、ジョンジーさまさまですね。

ただ、アルバム自体はメリハリがあまりなく、ゆるゆると進行していく印象も。好きなことをただ好き放題やった結果なのでしょうが、全13曲で70分近いトータルランニングも影響しているんでしょうね。もちろんこれだけあればライブ1本フルでやるには十分なんですけど、そのライブも……2010年のフジロックで観たときは正直、そこまで盛り上がらなかったなぁと。もし2枚目が制作されることがあれば、よりバラエティに富んだ内容に期待したいところです。



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投稿: 2017 08 31 12:00 午前 [2009年の作品, Foo Fighters, Led Zeppelin, Queens of The Stone Age, Them Crooked Vultures] | 固定リンク

2017/08/29

QUEENS OF THE STONE AGE『VILLAINS』(2017)

初の全米1位を獲得した前作『...LIKE CLOCKWORK』(2013年)から4年ぶりの新作となる、QUEENS OF THE STONE AGE通算7作目のスタジオアルバム。ジェイムズ・ラヴェル(UNKLE)をプロデューサーに迎えた前作から一転、今作ではマーク・ロンソンを起用しており、よりポップで艶やか、だけどしっかりロックという統一感の強い1枚に仕上がっています。

オープニングを飾る「Feet Don't Fail Me」のディスコテイストに最初こそ度肝を抜かれますが、よく聴けばしっかりロック色が保たれていることもわかるし、実は絶妙なバランス感で成り立っていることに気づかされます。続く「The Way You Used To Do」もポップセンス抜群のロックナンバーだし、「Domesticated Animals」のヘヴィだけどエモーショナルという曲調も文句なし。ギターやベースのサウンドしかり、ドラムの録音の仕方しかり、非常にロックンロールしております。うん、気持ちいい。

で、冒頭3曲を聴いて思ったのは、先にも述べたようにとても艶やか、つまりセクシーさが強まっているということ。ジョシュ・ホーミの歌声がより艶やかになっているというのもありますが、サウンドそのものに華があるんですよね。なんというか、ロックンロールって昔はこうだったよねっていうような、いかがわしさや胡散臭さも全部ひっくるめた、セクシーさ。少なくとも前作『...LIKE CLOCKWORK』にはなかった(もしくは非常に薄かった)要素だと思います。

エモの極み「Fortress」からガレージパンク「Head Like A Haunted House」、ダウナーなダンスナンバー「Un-Reborn Again」、ジョシュの甘い歌声が耳に優しい「Hideaway」、グルーヴィーなハードロック「The Evil Has Landed」、映画のサウンドトラックを思わせるドラマチックな「Villains Of Circumstance」と、とにかくバラエティに富んだ楽曲が並び、それらがQUEENS OF THE STONE AGEというバンド名のもとに寄り添うことで統一感を生み出している。このへんはマーク・ロンソンの手腕によるものなのかなと思いました。

なんだかんだで前作も大好きだった自分ですが(特に先日のフジロックでのライブを観て、よりポジティブな印象を受けました)、本作はそれ以上に好きな作品になりそうです。せっかくなので、本作を携えた来日公演をまたすぐにでも実施してもらいたいものですね。



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投稿: 2017 08 29 12:00 午前 [2017年の作品, Queens of The Stone Age] | 固定リンク