2018年8月14日 (火)

QUEENSRYCHE『EMPIRE』(1990)

1990年9月にリリースされたQUEENSRYCHEの4thアルバム。前作『OPERATION: MINDCRIME』(1988年)が全米50位止まりながらも、「I Don't Believe In Love」や「Eyes Of A Stranger」のラジオヒットを受けて100万枚をヒット作となり、満を持して発表された次作『EMPIRE』は全米7位、300万枚以上もの好セールスを記録しました。また、本作からは「Silent Lucidity」(全米9位)というヒットシングルも生まれ、ほかにも「Empire」「Jet City Woman」などがラジオヒットとなりました。

プログレッシヴロックの影響下にあるテクニカルなヘヴィメタル。QUEENSRYCHEにはそういったイメージがありましたが、特に『OPERATION: MINDCRIME』はコンセプトアルバムだったこともあり、そのイメージがさらに強まったと思います。そんな彼らが、これに続く『EMPIRE』で示したのは、良い意味での“ヘヴィメタルバンドからの脱却”だったのではないでしょうか。

もちろん、聴けばHR/HMの範疇にあるサウンドなのですが、そのひんやりとしていてモダンなスタイルは、ヘヴィメタルというよりはハードロックと呼ぶほうがぴったり合うのではないでしょうか。彼らは続く『PROMISED LAND』(1994年)、『HEAR IN THE NOW FRONTIER』(1997年)でグランジやオルタナティヴロックのテイストを強めていき、完全にヘヴィメタルバンドからの脱却に成功しますが、この『EMPIRE』はその間にある過渡期的1枚と言えるかもしれません。

しかし、過渡期とは言うもののその内容・完成度には目を見張るものがあり、ある意味では前作『OPERATION: MINDCRIME』以上のクオリティと言えるでしょう。RUSHほどテクニカルではなく、DREAM THEATERほどメタリック、ドラマチックではない。その適度さがこのアルバムの魅力であり、HR/HMブームとグランジブームの間(はざま)を象徴するような作風と言えるのではないでしょうか。

個人的には「Della Brown」や「Anybody Listening?」といったスローナンバー、エモーショナルさが本作の中でも際立つ「Jet City Woman」「Another Rainy Day (Without You)」、そしてひんやりとしたヘヴィロック「Empire」あたりがお気に入り。もちろん、シングルヒットしたバラード「Silent Lucidity」も嫌いじゃありません。

『OPERATION: MINDCRIME』はストーリー性が強いせいもあり、頭から最後まで通して聴かなくちゃ……的な使命感が強い1枚でしたが、この『EMPIRE』は個々の曲にストーリーがあるものの(しかもその物語が、銃規制や環境問題などシリアスなものが多い)、単曲で気楽に楽しめる作品集ではないかなと。とはいえ、作風のシリアスさもあって、そこまで気楽に楽しめるといった感じでもないんですけどね。



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投稿: 2018 08 14 12:00 午前 [1990年の作品, Queensryche] | 固定リンク

2017年1月26日 (木)

QUEENSRYCHE『OPERATION: MINDCRIME』(1988)

忘れた頃に復活する“1988年縛り”(笑)。いや、改めて名盤の多さに気づかされたわけですよ、今年に入ってレビューを書き始めてみると。

今回紹介するQUEENSRYCHE(当時はまだ「クイーンズライチ」と紹介されてましたね。懐かしい)の3rdフルアルバムにして出世作となった『OPERATION: MINDCRIME』も1988年製。以前DOKKENの『BACK FOR THE ATTACK』を紹介したときにも書きましたが、当時Q PRIMEとマネジメント契約していたバンドが1988年前後に発表したアルバム、すべてCD対応で60分超えの作品ばかりなんですよね(他にもDEF LEPPARD『HYSTERIA』、METALLICA『…AND JUSTICE FOR ALL』も)。

ただ、QUEENSRYCHEが他のバンドの長尺アルバムと一線を画するのは、この『OPERATION: MINDCRIME』がひとつのストーリーに沿って物語が進行していくコンセプトアルバムだということ。もともとプログレッシヴなメタルサウンドでコアな人気を博した彼らが、ここぞという勝負タイミングでコンセプトアルバムを発表したのは、HR/HMが“売れる”時代に逆行していたと思うんです。事実、リリースされてしばらくはセールス的にもイマイチだったと記憶しています。しかし同じ事務所のDEF LEPPARDやMETALLICAのツアーに帯同することで知名度を上げ、翌1989年になるとシングルカットされた「I Don't Believe In Love」や「Eyes Of A Stranger」がMTVやラジオで頻繁にオンエアされ、アルバム自体もチャート上は最高50位とやや低調ですが、セールスにおいては100万枚を突破。この結果が、続く1990年の4thアルバム『EMPIRE』の大ヒットにつながるわけです。

コンセプトアルバムというと小難しいプログレッシヴロックのイメージが強いかもしれませんし、それによって手を伸ばしにくいという人もいることでしょう。しかし、本作においてはそんな心配は無用。オープニングトラック「I Remember Now」のセリフにいきなり及び腰になるかもしれませんが、続くインストナンバー「Anarchy-X」から正統派メタルチューン「Revolution Calling」への流れでそんな不安は解消されるはずです。

その後も「Speak」「Spreading The Disease」のようなファストチューン、エモいメロディの「The Mission」と続き、10分超えの「Suite Sister Mary」で最初の山場を迎えます。この曲のみコンセプトアルバムの色合いが濃いと思いますが、苦手な人はここを乗り切れば後半はスピードナンバー「The Needle Lies」、超名曲「Breaking The Silence」、そしてシングルカットされた「I Don't Believe In Love」や「Eyes Of A Stranger」とエンディングに向け盛り上げ、最後は再び「I Remenber Now」のセリフが登場してアルバムの幕を下ろします。

ね? 曲単体はコンセプトアルバムとか余計なことを感じさせない、ど真ん中のヘヴィメタルでしょ? “プログレメタル”弱ばりでDREAM THEATERあたりと一緒くたに語られてしまいがちですが、楽器陣のテクニカルさは楽曲の味付け程度で、全体的には1曲4〜5分に収めてられていて(アルバムに1曲くらい例外あり)、素直に楽しめるはず。なので苦手意識を捨てて、気軽に接してみることをオススメします。そこを乗り越え、改めてアルバムの物語に興味を持ったときは、ぜひいろいろ調べてから聴き返してみると新たな発見があるはずです。



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投稿: 2017 01 26 12:00 午前 [1988年の作品, Queensryche] | 固定リンク