カテゴリー「Quiet Riot」の13件の記事

2022年11月 1日 (火)

V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』(2015)

2015年3月3日にリリースされた、ランディ・ローズ(G/ex. OZZY OSBOURNE、ex. QUIET RIOT)のトリビュートアルバム。日本盤は同年3月25日発売。

ランディのトリビュートアルバムは、過去にオジーの楽曲のみを集めた『RANDY RHOADS TRIBUTE』(2000年)が発表されていますが、今作は1970年代のQUIET RIOT時代の楽曲も含む選曲。また、前作がピュアなHR/HM系アーティストによるものなら、今作はランディと同時代に登場したミュージシャンや活動を共にしたアーティスト、90年代以降のモダンなメタルを奏でるミュージシャンなど、より幅広さを感じさせる人選となっています。

まあとにかく、オープニングの「Crazy Train」を聴いて多くのリスナーがひっくり返るのではないでしょうか。だって、ボーカルがサージ・タンキアンSYSTEM OF A DOWN)、ギターがトム・モレロRAGE AGAINST THE MACHINE)ですからね。正統派メタルリスナーやランディを妄信的に愛する方からは非難の嵐じゃないかな(苦笑)。ただ、個人的にはサージのボーカルにはオジー愛を感じたし、トムのギターもただコピーするんじゃなくて自分らしさを貫きながらランディのスタイルを表現しようとする強い意志も伝わりましたが、いかがでしょうか。

その後も、シンガーはオジーやケヴィン・ダブロウをコピーしつつ(ほとんどティム・リッパー・オーウェンズですが。笑)、ギタリストたちはランディの印象的なフレーズを随所に残しつつ、各々の個性を発揮させる。原曲レイプだ、けしからん!と怒る気持ちもわかりますが、だったらそもそもトリビュートアルバムだのカバーアルバムだの聴かないほうがいいし、これくらい遊んでくれるから聴きがいもあるわけで。個人的にはどれくらい原曲を“壊す”かが楽しみなわけで、そういう意味では本作は……ギターに関しては及第点だけど、それ以外のパートや楽曲アレンジに関しては普通すぎるかな。

そんな中、己を突き通しまくるチャック・ビリー(TESTAMENT)による「Mr. Crowley」が、サージ歌唱の「Crazy Train」並みによかったな。この曲では、今は亡きアレクシ・ライホ(G/BODOM AFTER MIDNIGHT、ex. CHILDREN OF BODOM)の泣きまくりギターも楽しめるので、なお良し。あと、ジョエル・ホーケストラ(G/WHITESNAKE)が頑張りまくりの「Killer Girls」も悪くなかったな。

逆に、実際にオジーバンドに在籍した経験を持つガス・G.(FIREWIND)による「Goodbye To Romance」や、ブラッド・ギルス(NIGHT RANGER)による「Suicide Solution」が、ランディ云々よりも自分らしさ全開なのが笑えます。特にガス・G.、君はやりすぎだ(笑)。

まあ、あれです。こういったカバーアルバムやトリビュートアルバムはマジになりすぎないのが一番。笑いながら「お、意外と良いじゃん」「いやいや、それはないでしょ」とかツッコミ入れつつ楽しむのが、精神衛生上もっとも好ましいと思います。

なお、本作はサブスクでも配信されていますが、2015年のCD/アナログ盤と曲順が若干異なっているのでご注意を(オリジナルの曲順はこのあたりでご確認いただけます)。

 


▼V.A.『IMMORTAL RANDY RHOADS - THE ULTIMATE TRIBUTE』
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2022年10月31日 (月)

QUIET RIOT『THE RANDY ROHADS YEARS』(1993)

1993年11月12日にリリースされたQUIET RIOTのコンピレーションアルバム。日本盤は同年12月21日発売。

本作はランディ・ローズ(G/1982年没)在籍時の海外未発売音源や本邦初公開となる未発表曲を含む、レアトラック集。多くの楽曲にはリミックスが施されているほか、未発表曲「Force Of Habit」以外のボーカルトラックはケヴィン・ダブロウ(Vo)によって再レコーディングされています。なので、日本限定発売の1stアルバム『QUIET ROIT』(1978年)および2ndアルバム『QUIET RIOT II』(1978年)のオリジナル音源とも異なるテイクを楽しむことができます。

全10曲中、『QUIET ROIT』から3曲(うち1曲はバージョン違い)、『QUIET ROIT II』からは3曲(うち1曲がバージョン違い)、それ以外の4曲は未発表曲となっています。『QUIET ROIT』収録曲「Mama's Little Angels」の別バージョンとなる「Last Call For Rock 'N' Roll」は新たに歌詞が書き直されており、『QUIET ROIT II』からの「Afterglow (Of Your Love)」(SMALL FACESカバー)はリズム隊を排除したアコースティックバージョンで収録(終盤にちょっとだけリズム隊が加わります)。「Mama's Little Angels」はドラムトラックもリメイクされており、完全に80年代以降のQUIET RIOTの音そのものに進化。また、後者はアコギの音色がオジー・オズボーン『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)でのランディの音色に近づけられており、そのあたりからもバンド側のランディに対する敬意や愛情が伝わります。

実際、本作収録の多くの楽曲におけるギターサウンドは、新たにカルロス・カヴァーゾ(G)所有のマーシャルアンプを介して再生されるなどして、チープだったオリジナル音源にふくよかさを加えることに成功しています。また、1977年のライブ音源「Laughing Gas」にフィーチャーされた長尺のギターソロは、別々で演奏された複数のギターソロを繋ぎ合わせたもので、その中にはのちの「Dee」や「Goodbye To Romance」などで耳馴染みのあるプレイ/フレーズも登場します。

アルバムを通して聴くと、どうしてもB級臭が否めなかった『QUIET ROIT』や『QUIET RIOT II』ですが、現代的に手が施された本作でのバージョン/トラックを聴くと、実は70年代に彼らが実践してきたことはその後のQUIET RIOTとさほど大きく違っていないことにも気づかされるし、当時にオジーとタッグを組む前からランディ・ローズは素晴らしかったのだという事実も再確認できる。その評価のわりに残された音源が少ないだけに、本作はランディのファンやすべてのHR/HMファンにとって非常に貴重な音源集と言えます。

ところが、本作は2022年10月時点で廃盤状態。サブスクでも未配信のままです。この11月11日からはランディの自伝映画『ランディ・ローズ』も国内公開されるだけに、聴きたい人が手軽に楽しめる状態にしてほしいものです。

 


▼QUIET RIOT『THE RANDY ROHADS YEARS』
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QUIET RIOT『QUIET RIOT II』(1978)

1978年12月2日に日本限定でリリースされたQUIET RIOTの2ndアルバム。海外では2022年7月8日、No Remorse Recordsを通じて初めて発売されました。

『静かなる暴動』と邦題の付けられた日本限定発表のデビューアルバムに続いて早くも届けられた本作。1978年夏から秋にかけてレコーディングが行われたものの、アルバム完成直後にケリー・ガルニ(B)がバンドを脱退。入れ替わるようにルディ・サーゾが加入し、アートワークに加わっています(レコーディング未参加ながらも、クレジットにも彼の名前が記載されています)。

軽やかなグラムポップ色濃厚だった前作と比べると、本作収録曲の多くはずっしりとしたミディアムチューンが中心。相変わらずバブルガムポップ的なキャッチーさは強いものの、演奏やアレンジ面でハードさが強まり始めています。それでも、のちのヘアメタル期と比べるとだいぶ“軽い”ですが。

やりたいことを詰め込み始めた結果、1曲の尺が4〜5分と長くなり始めていることからも、バンドとして、そしてミュージシャンとしての技術や才能が開花し始めていることが、ソングライティング面での創意工夫から伝わります。ここではとにかく、ランディ・ローズ(G)のギタリストとしての華が一気に開花していることが一番でしょう。「Eye For An Eye」や「Trouble」「Killer Girls」「Face To Face」あたりの派手なプレイを耳にすると、のちのオジー・オズボーンとのコラボレーション……『BLIZZARD OF OZZ』(1980年)で聴くことができるプレイとの共通点も豊富に見つけられます。

また、バンドとしてもその後の『METAL HEALTH』(1983年)への架け橋が用意されており、オープニングを飾る「Slick Black Cadillac」はその後『METAL HEALTH』でもリメイクされることに。『METAL HEALTH』バージョンにはないアレンジなど含め、耳慣れたバージョンとの違いは新鮮に響くのではないでしょうか。

さらに、前作でも取り上げたSMALL FACESのカバーがここにも登場。今回は「Afterglow (Of Your Love)」をピックアップしており、若干大人びたアレンジ含めアルバム全体のトーンにもマッチしております。QUIET ROITはその後も「Itchycoo Park」を『TERRIFIED』(1993年)でも取り上げているので、SMALL FACES好きはケヴィン・ダブロウ(Vo)の趣味なのかもしれませんね。

1stアルバム同様にB級と言ってしまえばそれまでですが、だからといって切り捨てられない魅力が随所に用意されている。QUIET RIOT云々ではなく、70年代後半のUSハードロックやグラムポップ、パワーポップなどに多少なりとも興味がある方、そしてランディ・ローズというギタリストに興味があるリスナーなら手を伸ばしておいて間違いのない1枚です。

なお、2022年に再発された音源は一応「公式リリース」という形になっていますが、音源自体はマスターテープを元にしたものではなく(マスターが復旧不可能なほどに劣化していたとのこと)、日本盤アナログレコードからの盤起こしがベースになっている、ちょっとグレーな代物。1stアルバム同様、こちらもサブスク未解禁ですのでご注意を。

 


▼QUIET RIOT『QUIET RIOT II』
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2022年10月30日 (日)

QUIET RIOT『QUIET RIOT』(1978)

1978年3月2日に日本限定でリリースされたQUIET RIOTの1stアルバム。海外では2022年7月8日、No Remorse Recordsを通じて初めて発売されました。

Wikipediaなどによると、QUIET RIOTは1973年にランディ・ローズ(G)を中心に結成されたとのこと。当初はMARCH 1 〜 LITTLE WOMENなどという名義で活動していたとのことで、メンバーはランディのほかケヴィン・ダブロウ(Vo)、ケリー・ガルニ(B)、ドリュー・フォーサイス(Dr)という布陣。1975年に『SUICIDAL SHOW』と題した3曲入りEPを発表するも、鳴かず飛ばず。本国でのディールをなかなか得られない中、なぜか日本のCBSソニー(現・Sony Music)と契約し、日本限定でアルバムを2枚リリースすることとなります。

『静かなる暴動』と邦題の付けられた本作は、全12曲を収録。EP『SUICIDAL SHOW』に収録された「Just How You Want It」や「Back To The Coast」(『SUICIDAL SHOW』収録の「West Coast Tryouts」をリメイクしたもの)に加え、SMALL FACES「Tin Soldier」やDAVE CLARK FIVE「Glad All Over」といったカバー曲も収められています。カバーを取り上げるのは、すでにこの頃からのことだったんですね。

ランディ脱退後、新たな編成でメジャーデビューし大ブレイクした『METAL HEALTH』(1983年)の片鱗を見つけようとすると、ちょっと「?」と感じるかもしれない本作。ハードロックというよりはグラムポップやバブルガムポップ的要素の強いテイストで、それこそのちにカバーするSLADEやSWEETといったUKパワーポップのオリジネーターなどとの共通点も見つけられるサウンドではないでしょうか。

と同時に、ランディのギタリストとしての非凡さはここではまだ発揮されておらず、ケヴィンのボーカルを軸にノリノリのロックンロールを聴かせていく方向に主軸を置いているような印象も受けます。リズム隊の演奏も随所に危うさが感じ取れるし、そりゃあ本国のメジャー契約も難しいかなと。

確かに『METAL HEALTH』以降の彼らのイメージで接すると、少々退屈に感じられるかもしれない。それでも、いい曲もあるんですよ? 先に紹介した「Just How You Want It」や「Back To The Coast」、アルバムのクライマックスを飾る「Demolition Derby」などはグラムポップとして捉えると全然アリ。個人的には好物の類なので、B級感こそ強いけど存分に楽しめる1枚です。

なお、2022年に再発された音源は一応「公式リリース」という形になっていますが、音源自体はマスターテープを元にしたものではなく(マスターが復旧不可能なほどに劣化していたとのこと)、日本盤アナログレコードからの盤起こしがベースになっている、ちょっとグレーな代物。最初に際し、オリジナルの12曲に加え『SUICIDAL SHOW』からの3曲も追加収録されています。

ケヴィンもこの世を去った今、オリジナルマスターからの最初は絶望的かもしれません(僕自身、それを理解した上でここで紹介しています)。サブスク未解禁ですが、それでも興味があるという方はぜひチェックしてみてください。

 


▼QUIET RIOT『QUIET RIOT』
(amazon:海外盤CD / 海外盤アナログ

2021年7月 1日 (木)

ROUGH CUTT『III』(2021)

2021年6月8日にリリースされたROUGH CUTTの3rdアルバム。日本盤未発売。

ご存知の方も多いかと思いますが、ROUGH CUTTは80年代半ばに活躍したアメリカ出身のヘアメタル/グラムメタルバンド。結成当初はのちにオジー・オズボーンのバンドに参加するジェイク・E・リー(G)が在籍していたことで知られ、1985年に1stアルバム『ROUGH CUTT』、翌年に2ndアルバム『WANTS YOU!』を発表しますが、1987年にポール・ショティノ(Vo)が脱退(その後、QUIET RIOTに加入)。バンドは解散に追い込まれます。以降、アミア・デラクは90年代末にORGYのメンバーとして再デビューしています。2000年にポール・ショーティノを中心に新たなメンバー再結成していますが、2016年頃にポール、アミア、マット・ソーア(B)、クリス・ヘイガー(G)、デイヴ・アルフォード(Dr)の全盛期メンバーで復活。しかし、2020年頃にポール、アミア、マット組とクリス&デイヴ組に分裂し、結果2つのROUGH CUTTが誕生することになります(あれ、どこかで聞いたことがある話。笑)。クリス&デイヴ組ROUGH CUTTはスティーヴン・St.ジェイムズ(Vo)らを迎えて「Black Rose」ちう新曲をYouTubeで発表しています。

……話は長くなりましたが、本題はここから(笑)。今回紹介するROUGH CUTTはポール、アミア、マット組のほう。タイトルからもわかるとおり、本作は2ndアルバム『WANTS YOU!』(1986年)から実に35年ぶり(笑)の3作目となります。レコーディングには上記3人に加え、アディショナル・ミュージシャンとしてクリス&デイヴの名前もクレジットされています。要は、2016年以降から制作していた楽曲、音源をそのまま使用しているということでしょうか。さらに、元QUIET RIOT、元RATTのカルロス・カヴァーゾ(G)が「Bleed」「Bed Of Black Roses」「Electric」でリードギターを担当。ブックレット内のバンドクレジットにはカルロスの名前も4人目のメンバーとして掲載されています。LAメタル界の人事、2021年も複雑です(苦笑)。

思えばポール・ショーティノは昨年春、『MAKE A WISH』(2020年)という11年ぶりのソロアルバムを発表しており、中音域を中心とした歌唱スタイルに昔の面影がなくなったことで若干肩を落としたものですが、今作のボーカル/メロディラインに関してもその延長線上にあると言えるでしょう。初期のような派手さは皆無で、ダーク&ヘヴィかつブルースフィーリングの強いハードロックはどこか90年代的ですが(「House Of Pain」なんてもろにモダンヘヴィネス以降のハードロックだしね)、それも1周回ってアリかな。最初通して聴いたときは物足りなさを覚えましたが、2度3度と聴き返しているうちに意外と馴染んできました。「Electric」は比較的派手な部類ですし、うん、悪くはないかな。

ちなみに、「Bed Of Black Roses」という曲はクリス&デイヴ組ROUGH CUTTが発表した「Black Rose」と異名同曲。アレンジは比較的似ており(そりゃそうだろう、レコーディングメンバーが被ってるしな)、ボーカルのタッチの違いでこうも印象が変わるんだなと。そのへんもぜひ聴き比べてもらいたいところです。


(個人的にはクリス&デイヴ組ROUGH CUTTの「Black Rose」のほうがキャッチーに聴こえます)

LAメタルファンやヘアメタル/グラムメタル愛好家は聴いておいて損はないですが、初めてROUGH CUTTを聴くビギナーはまず1stアルバム『ROUGH CUTT』から聴くのが無難です。だって、純粋にカッコいいから。そのあとに、ポール&カルロスが在籍したQUIET RIOTのアルバム『QR』(1988年)を聴いてみてください。QUIET RIOTのイメージを覆す、最高にカッコいいブルースハードロックが堪能できるので(笑)。

ということで、本作はマニア向けの1枚かな。ストリーミング配信もされていませんし、CDの入手も難しそうですし(僕は大阪・難波のS.A.MUSIC通販で入手しました)、気になる方はBandcampでデジタルアルバムを入手してみてはいかがでしょう。

 


▼ROUGH CUTT『III』
(bandcamp:MP3

2021年2月17日 (水)

DURBIN『THE BEAST AWAKENS』(2021)

2021年2月12日にリリースされたDURBINの1stアルバム。

DURBINはアメリカのオーディション番組『アメリカン・アイドル』出身のソロシンガー、ジェームズ・ダービンのソロプロジェクト。ジェームズはソロ名義でこれまでに3枚のアルバムを発表したほか、2017年から2019年にかけてはQUIET RIOTにも在籍し、『ROAD RAGE』(2018年)と『HOLLYWOOD COWBOYS』(2019年)という2枚のスタジオアルバムと『ONE NIGHT IN MILAN』(2019年)と題したライブ作品に参加しました。

そんなジェームズが、老舗LAメタル/ヘアメタルバンドを離れて新たに立ち上げたのが、自身のルーツに立ち返った“Pure Heavy Metal”プロジェクト。アルバムにはバリー・スパークス(B/ex. DOKKEN、ex. MICHAEL SCHENKER GROUP、ex. イングヴェイ・マルムスティーンB'zサポートなど)&マイク・ヴァンダーヒュール(Dr/Y&T、ジョエル・ホークストラなど)をリズム隊に、ジョン・ヤドンJr.、ディラン・ローズ、マーク・プットナム、ニック・ギャラントといったギタリスト(ジェームズ自身もギターをプレイ)やアール・サリンドー(Key)などがメンバーとして名を連ねるほか、「Kings Before You」にはクリス・ジェリコ(Vo/FOZZY)、フィル・デンメル(G/VIO-LENCE、ex. MACHINE HEAD)がゲスト参加しています。

過去のソロアルバムでは少々オルタナメタル/ハードロック寄りのスタイルでしたが、このアルバムでは先のコンセプトどおり、骨の髄までピュアなメタルを堪能することができます。だって、1曲目「The Prince Of Metal」(タイトルよ!)からして、楽曲スタイルから歌唱スタイルまでどこからどう切り取ってもヘヴィメタルそのものですからね。QUIET RIOTのときは「このバンドにしては線の細さが……」なんて思っていたけど、本作でのハイトーンを強調した歌唱法は「どこにそんな特技を隠していたんだ?」と思わされるほど。まあこの人、『アメリカン・アイドル』ではJUDAS PRIEST「You've Got Another Thing Comin'」まで歌った人ですものね。そのほかにもサミー・ヘイガー「Heavy Metal」、JOURNEY「Don't Stop Believin'」、AEROSMITH「Dream On」なども歌ってましたし、メタリックなハイトーンには定評があったわけですよ。

その「伝家の宝刀」がQUIET RIOT時代はうまく活かしきれなかった気がして。いや、曲によってはハイトーンバリバリ活用してましたけど、曲が軽すぎて印象に残らなかったというのが正解か。適材適所ってまさにこのことなんですよ。クラシカルなテイストのアップチューン「Necromancer」やDIOを彷彿とさせるミドルヘヴィ「Riders On The Wind」、ワイルドな疾走ナンバー「Calling Out For Midnight」、メロディアスな正統派メタル「The Beast Awakens」、ジャーマンメタル的なファストナンバー「Rise To Valhalla」など、高音のみならず中音域〜低音まで幅広く駆使したボーカルをベストな形で聴かせることができる楽曲が目白押しです。

個人名義のソロ作品は彼の『アメリカン・アイドル』でのイメージを、2010年代前半という時代性を反映させることで具体化できたものでしたが、このDURBINで聴ける楽曲群はそういった時代性を無視して、ジェームズ・ダービンという男が生涯をかけて表現したいHR/HMが凝縮されている。そういった意味では、本作こそが彼の真のデビューアルバムなのかもしれませんね。偏見抜きで触れてもらいたい、良質なクラシカルHR/HMアルバムです。

 


▼DURBIN『THE BEAST AWAKENS』
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2019年12月22日 (日)

QUIET RIOT『HOLLYWOOD COWBOYS』(2019)

2019年11月初頭リリースの、QUIET RIOT通算12作目のオリジナルアルバム。日本のみでリリースされたランディ・ローズ(G)在籍時の2作を含めると14枚目のアルバムに当たります。日本盤は同年11月下旬に発売。

アルバム制作時のメンバーはジェイムズ・タービン(Vo)、アレックス・グロッシ(G)、チャック・ライト(B)、フランキー・バネリ(Dr)。ジェイムズは前作『ROAD RAGE』(2017年)完成後にバンドを脱退したショーン・ニコルズの後任として加入し、すでにショーンが歌った状態で完成していたアルバムを歌い直す形でデビュー。本作が加入後2作目のアルバムとなるのですが、前任に習って(笑)ジェイムズも今作発売前にバンドを脱退。現在はショーンの前任(ややこしい)であるジジー・パール(ex. LOVE/HATE、ex. L.A. GUNS、ex. RATTなど)が加入したそうです。

さらにはフランキー・バネリのステージ4の膵臓癌であることを公表したのもあり、ネガティヴな話題が続くQUIET RIOT。現編成じゃないアルバムを届けられてもねえ……という思いも少なからずあるのですが、なるべく気持ちをフラットに接するようにしました。

楽曲、サウンド的にはここ最近の彼ららしい、良くも悪くも“あの時代”のアメリカン・ハードロックを聴かせてくれます。ケヴィン・ダブロウ(Vo)時代の『METAL HEALTH』(1983年)などをイメージすると「んん? 違くね?」と感じてしまうかもしれませんが、90年代の再結成以降のサウンドに比較的近い……と言えばわかってもらえるかな。

ジェイムズのボーカルは非常にレンジが広く、ケヴィンのアクの強さを想像して接するとあまりに“普通”すぎるかもしれません。そこにオーソドックスなアメリカン・ハードロックですから……そう、全体的に“普通 of 普通”なんです。平均的すぎるとでもいいましょうか。

じゃあ、悪いのかと言われると、実はまったくそんなことはない。逆に欠点を探すほうが難しいんじゃないかな。うん、だからこそ厄介な1枚なんですけどね。

優等生すぎるが故に、突出した個性や魅力が伝わってこない。BGMとして流しておくぶんには非常に気持ちよく楽しめる。ただ、何度も聴き込むほどの面白みには欠ける。これが今のQUIET RIOTの限界……という捉え方もできるのかな。『QR』(1988年)までの80's QUIET RIOTがいかに優れていたかを、改めて証明する結果にもなってしまったわけですが、まあ決して悪いアルバムではないので、“あの時代”を今の空気感で追体験したいというリスナーにはうってつけかもしれません。

あ、ひとつだけ欠点があった。ギターが思ったよりも前に出ていないところ。これは曲によりけりなんですが、特に序盤の「Don't Call It Love」や「In The Blood」みたいにダイナミックなハードロックではもっとバカでかいギターが聴きたかったなあ。それだけでも、このアルバムの印象が大きく変わると思うんですけどね。

 


▼QUIET RIOT『HOLLYWOOD COWBOYS』
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2019年3月24日 (日)

QUIET RIOT『CONDITION CRITICAL』(1984)

1984年7月発売の、QUIET RIOT通算2作目(日本のみ4作目)のオリジナルアルバム。前作『METAL HEALTH』(1983年)がいきなり全米1位を獲得し、600万枚を超えるセールスを記録したことを受け、1年4ヶ月という短いスパンで制作。全米15位、トータル100万枚と前作には到底及ばない結果しか残せませんでしたが、『METAL HEALTH』と併せて初期の彼らを語る上では欠かせない1枚と言えます。

とにかく本作は前作の焼き直し、あるいは「同じヒット作をもう1枚作ろう!」という商魂が丸見え(笑)。さすがにリスナーもバカじゃないので、「前のを薄めた内容なら『METAL HEALTH』だけで十分だわ、ほかにも新しくて良いバンドがたくさんいるしね!」と思ったかどうかわかりませんが、すべては結果として数字に表れているわけですね。

冒頭を飾るヘヴィな「Sing Of The Times」からして、前作における「Metal Health (Bang Your Head)」の延長線上にある1曲。だからといって悪いわけではないですし、これはこれで良い曲なんですよ。で、続くM-2「Mama Weer All Crazee Now」は前作における「Cum On Feel The Noize」同様、SLADEのカバー。なにもそこまで真似なくても……と思うのですが、これも原曲の良さ大前提なので、なかなかの出来。シングルカットもされましたが、全米5位の「Cum On Feel The Noize」とは比べものにならない全米51位止まり。嗚呼。

で、『METAL HEALTH』ならここからマイナー調のミドルナンバー「Don't Wanna Let You Go」、能天気なパーティチューン「Slick Black Cadillac」と続くわけですが、この『CONDITION CRITICAL』では「Party All Night」「Stomp Your Heads, Clap Your Feet」といったパーティソング2連発。つまりバンドは「カラッとしたアップチューンがウケた」と認識していたのでしょう。アルバム冒頭からそういったカラーの強い楽曲が続くことで、軸は定まったけど幅は狭くなったことを提示することになるわけです。

5曲目にようやくメジャーコードのパワーバラード「Winners Take All」が登場しますが、これもそれ以前の4曲からの流れに沿ったもので、アルバムのカラーにぴったり。もうちょっと“憂い”があったら良かったんだけどなあ。

後半もヘヴィなミドルナンバー「Conditional Critical」や前のめりなファストチューン「Scream And Shout」、これぞ“LAメタル”な「Red Alert」、マイナーキーの美メロハードロック「Bad Boy」、シンガロングしたくなるアップテンポの「(We Were) Born To Rock」となかなかの良曲揃いなのですが、やはり『METAL HEALTH』と比較したら弱さが否めない。なぜなんでしょうね。

個人的に『METAL HEALTH』の良さって、のちに“LAメタル”と括られることになるパーティ感の強いポップでキャッチーな楽曲とミドルテンポ&ファストなメタルナンバー、そして適度な“憂い”が感じられるミディアムナンバーとバラードにあったと思っています。そのバランス感が絶妙だったからこそ、アルバムとしてもヒットしたのではないでしょうか。

ところが、この『CONDITION CRITICAL』からは“憂い”の部分が一気に減退し、パーティ感ばかりを強調してしまった。それが当時のカリフォルニアの空気だと言ってしまえばそれまでですが、にしてもメガヒット作の次に出す勝負作としてはちょっと弱いのではないでしょうか。1年数ヶ月という短いスパンで完成させねばならなず、深く考える余裕が足りなかったのも敗因と言えるでしょう。

1曲1曲は悪くないのに、アルバムとして(しかも『METAL HEALTH』の次作として)聴くと物足りなさを感じる。非常にかわいそうな作品と言えますし、ここでコケたことが続く『QR III』(1986年)以降の失速につながるのですから、罪作りな1枚ですね。



▼QUIET RIOT『CONDITION CRITICAL』
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2017年11月24日 (金)

APPICE『SINISTER』(2017)

ロック/メタル界隈では知らない者はいない名ドラマー、カーマイン&ヴィニーのアピス兄弟がAPPICE名義でタッグを組んだ初のスタジオアルバム。ハードロックをベースに、2人の個性的なドラミング(曲によっては左右にパンされている!)を存分に味わえます。

もちろん楽曲自体の出来もなかなかのもので、楽曲ごとにクレイグ・ゴールディ(元DIO)、トニー・フランクリン(元BLUE MURDER)、ロビン・マッコーリー(元McAULEY SCHENKER GROUP)、ポール・ショーティノ(ROUGH CUTT、元QUIET RIOT)、ジョエル・ホークストラ(WHITESNAKE)、ロン・サール(SONS OF APOLLO)、ミック・スウェダ(BULLETBOYS)、フィル・スーザン(元OZZY OSBOURNE)、エリク・ノーランダ(LANA LANE)など名だたるシンガー/プレイヤーがゲスト参加した豪華な内容。

収録曲にはツインドラムによるバトルプレイで構成された「Drum Wars」や、カーマインが過去に在籍したBLUE MURDERの名曲「Riot」のセルフカバー、ヴィニーが在籍経験を持つBLACK SABBATHの名曲メドレー「Sabbath Mash」もあったり、意外と聴き応え満載の1枚です。

※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。



▼APPICE『SINISTER』
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2017年11月 4日 (土)

QUIET RIOT『METAL HEALTH』(1983)

1983年春に発表された、QUIET RIOTの記念すべき全米デビューアルバム。彼らは70年代、ランディ・ローズを含む編成で『QUIET RIOT』(1977年)、『QUIET RIOT II』(1978年)の2枚を日本でのみ発表していますが、ワールドワイドデビューという意味ではこの『METAL HEALTH』が1stアルバムになるわけです。

時代背景的には、ちょうどこの頃からアメリカでHR/HMがウケ始め、このQUIET RIOTとDEF LEPPARDが全米チャートの上位にランクイン。『METAL HEALTH』は当時としては異例の全米1位を獲得し、600万枚以上を売り上げました。ちなみに、DEF LEPPARDも1983年に発表した3rdアルバム『PYROMANIA』が全米2位に輝き、現在までに1000万枚以上ものセールスを記録していることはご存知のとおり。この2バンドの大成功が、後続たちへ道を切り開いたと言っても過言ではありません(もちろん、それ以外の要素も存在しますが、話が長くなるのでここでは割愛させてください)。

QUIET RIOTはL.A.メタルにカテゴライズされたバンドですが、聴いてもらえばわかるように「適度にハードで適度にポップ」という絶妙なバランス感で成り立つ楽曲&サウンドが魅力。しかもカバー曲(SLADEのヒット曲「Cum On Feel The Noize」)をシングルカットすることで、ラジオヒットやMTVでのヘヴィローテーションに後押しされチャート的にも成功を収め(全米5位)、HR/HMファン以外にも浸透していったわけです。これは先のDEF LEPPARDも同様で、MTVのスタートによってミュージックビデオ(つまりヴィジュアル)が重要視される時代が到来したことで、見た目が派手なHR/HMバンド側に風向きが変わっていったわけですね。

「Cum On Feel The Noize」のみならず、派手なパーティソング「Slick Black Cadillac」、ハードだけどメロディアスで口ずさみたくなる「Metal Health (Bang Your Head)」、泣きメロを伴った疾走ナンバー「Breathless」、ヘヴィメタル寄りのファストチューン「Run For Cover」、穏やかなミディアムチューン「Don't Wanna Let You Go」、故ランディ・ローズに捧げるピアノバラード「Thunderbird」など、とにかくキャッチーで親しみやすい曲が豊富。B級感皆無で、一聴して「こりゃあ売れるわ」と頷ける内容です。

彼らの場合、このデビュー作の出来が良すぎたのが不幸だったといいましょうか、続く『CONDITION CRITICAL』(1984年)以降、一気に失速してしまいます。今みたいに3年に1枚でも許される時代ならまだしも、当時は毎年のようにアルバムを発表していた時代ですから、ツアー三昧で曲作りも追いつかなかったんでしょうね。そういった意味でも、大成功は収めたものの不運なバンドだったのかもしれませんね。



▼QUIET RIOT『METAL HEALTH』
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