2017/06/06

THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY』(1990)

イギリス出身のロックンロール/ハードロックバンド、THE QUIREBOYSが1990年初頭にリリースしたメジャーデビューアルバム。当時のベーシストがフィル・ モグ(UFO)の甥っ子であるナイジェル・モグだったり、メジャーデビュー前にその後THE WiLDHEARTSを結成するジンジャー・ワイルドハート(G)が在籍していたりなどでも知られますが、こういうこと抜きに本作は当時全英2位という好成績を残し、ここ日本でも人気を博しました。アメリカではTHE LONDON QUIREBOYS名義でデビューし、ビルボード100位内入り(93位)。同作からのシングルも「Hey You」(全英14位、全米53位)、「I Don't Love You Anymore」(全英24位、全米76位)、「There She Goes Again」(全英37位、全米91位)と英米でそれなりに数字を残しました。

いわゆるHR/HMブームと呼ばれるものがBON JOVIのアコースティックナンバー(「Wanted Dead or Alive」など)のヒットやGUNS N' ROSESの登場以降、よりナチュラルな方向へと移行していき、無駄な装飾が削ぎ落とされたサウンドが好まれ始めたタイミング。アメリカからTHE BLACK CROWESという土着的なロックンロールバンドがデビューし、それと同じタイミングにイギリスからもTHE QUIREBOYSというバンドデビューするというのが、非常に興味深い話で。まぁリスナーがいわゆるアリーナロックに飽き飽きしていた頃に、世の中がアンプラグドだ何だとオーガニックサウンドやシンプルなロックに注目するようになり、そのすぐあとにNIRVANAやPEARL JAMのようなバンドがメジャーシーンに現れた。つまりTHE BLACK CROWESやTHE QUIREBOYSはその中継ぎ的存在だった……というのは言い過ぎですね、はい。

別にいつの時代でもこういうロックンロールを鳴らすバンドはいたはずなのに、たまたまシーンの青田買いがここまでたどり着いたってことなんでしょう。THE QUIREBOYSも良い意味でそのブームに乗っかり、“very british”なサウンドを堂々と鳴らした結果、幸か不幸か大きなヒットにつながってしまった。本作リリースから数年で一度解散してしまうことを考えると、はやり不幸だったのかもしれません。

とはいえ、中身自体は本当に優れたロックンロールアルバム。オープニングを飾る軽快なR&R「7 O'Clock」を筆頭に、ど直球のタイトルに苦笑するしかない「Sex Party」、カントリーテイストのミディアムチューン「Sweet Mary Ann」、じっくり聞かせるスローバラード「I Don't Love You Anymore」など聴きどころ満載。フロントマンのスパイク(Vo)のしゃがれた歌声は、時に若き日のロッド・スチュワートと重なる瞬間もあったりなかったりで、HR/HMとは異なる味わい深さもあっていつ聴いても飽きない魅力が備わっています(そういえば本作のプロデュースには、ロッド・スチュワートのバンドにもいたギタリスト、ジム・クリーガンが参加しています)。

HR/HMファンにも楽しんでもらえるとは思いますが、どちらかというとROLLING STONESや初期のAEROSMITH、ソウルやR&Bのテイストを持つロックバンドを好む人にオススメしたい1枚かもしれません。リリースから27年も経っている事実に驚かされましたが、時の流れを感じさせない、普遍的なロックンロールアルバムです。



▼THE QUIREBOYS『A BIT OF WHAT YOU FANCY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD

投稿: 2017 06 06 12:00 午前 [1990年の作品, Quireboys, The] | 固定リンク