THE QUIREBOYS『BITTER SWEET & TWISTED』(1993)
1993年2月18日にリリースされたTHE QUIREBOYSの2ndアルバム。日本盤は同年3月31日発売。
デビューアルバム『A BITTER OF WHAT YOU FANCY』(1990年)が全英2位という好記録を樹立し、「7 O'Clock」(同36位)、「Hey You」(同14位)、「I Don't Love You Anymore」(同24位)、「There She Goes Again」(同37位)を複数のヒットシングルも生み出したTHE QUIREBOYS。さらにライブアルバム『LIVE (RECORDED AROUND THE WORLD)』(1990年)も発表するなど、デビューから1年でトップバンドの仲間入りを果たすことになります。
しかし、1991年からハードロック全盛期からグランジやヒップホップを主体としたシーンに移行し始め、THE QUIREBOYSのようなクラシックロックをベースにしたバンドには苦しい時代に突入。これにより、長期にわたり制作を続けてきた2ndアルバムは完成までに難航することになります。
プロデューサーにかのボブ・ロック(METALLICA、AEROSMITH、BON JOVI、MOTLEY CRUEなど)を迎えた本作。ラフでアーシーなロックンロールを武器とするTHE QUIREBOYSと、メタリックな音を武器とするプロデューサーのボブがどのような化学反応を起こすのかに注目が集まりましたが、ここに関しても終盤でテコ入りされ、THE ROLLING STONESなどで知られるクリス・キムゼイが第二のプロデューサーとして介入。ボブがプロデュースした多くの楽曲にリミックスを施したり、あるいは新たにクリスのプロデュースで楽曲が制作され、最終的に約3年ぶりの新作は全14曲/60分という非常に長尺なアルバムとして届けられることになります。
確かにボブが関わったであろう楽曲は全体的にドラムが硬質な、重心の低いミックスとなっています。が、もともとドラムの音が固めのバンドなだけに違和感はほぼなく、「ぶっちゃけ、ボブである必要があったのか?」という疑問すら生じます。楽曲のスタイル自体は前作の延長線上にあるものですが、デビュー作がそれまでのストック中心だったことを考えると、ここで聴くことができる新曲群は2年近くにおよぶワールドツアーを経て得た自信がラフなロックンロールとして良い形で凝縮されたのではないでしょうか。
ですが、楽曲の幅という点では焦点が絞れたぶん、前作ほどのバラエティの幅は感じられないかも。それを良しとするか否かで本作に対する評価も変わりそうな気がします。
シングルカットもされたHOT CHOCOLATEのカバー「Brother Louie」が出色の出来で、この1曲のためだけに本作を手に取ってもいいほど。ちなみにこの曲、ほぼ同時期にかのBON JOVIもライブでカバーしていましたね。
▼THE QUIREBOYS『BITTER SWEET & TWISTED』
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