THE RACONTEURS『BROKEN BOY SOLDIERS』(2006)
昨年辺りから話題になっていた、THE WHITE STRIPESのジャック・ホワイトとブレンダン・ベンソンが中心となって結成された新バンド、THE RACONTEURS。限定リリースされた7インチシングルに続き、この春にはいよいよフルアルバム「BROKEN BOY SOLDIERS」がリリースされたわけですが‥‥これがね、良いんですわ。もちろんブレンダンやTHE WHITE STRIPESのメンバーがやってるんだから、それぞれの音楽にも通ずる要素が強く感じられるんだけど、完全にそれというわけではない(当たり前だけど)。
パワーポップでも、ガレージロックでもない。けど双方が持ってる「'60年代ぽさ」だけは強く感じさせる。なんだけど、ただの60'sリバイバルでは終わってない、しっかりと2006年の音になっている。もちろんそれは彼らが今を生きる現役アーティストだからっていうのもあるんだけど、それ以上のものを感じるんだよね。ま、それがいわゆる「バンドのケミストリー」ってやつなんだろうけどさ。
例えばアルバムタイトルトラックの "Broken Boy Soldier" なんてジャックがギターとドラムだけで、もっと生々しいサウンドで録音すれば完全にTHE WHITE STRIPESになるわけじゃない。けど、ここではその匂いをさせつつも、他の新しいものになっている。いや、実際には古くささ満載なんだけど、でも俺らが知ってる「これまでのジャック・ホワイト」ともまた違う。そういう見方をすると、とても新鮮なアルバムなんじゃないかな?
もちろん、THE WHITE STRIPESにも、そしてブレンダン・ベンソンにも興味がないっていうロックファンが聴いても、どこか引っかかりのある、魅力的なロックアルバムだと思いますよ。クオリティーは高いわけだし。ここ数年、確かにこういった'60年代リバイバル的な作品って多いけど、その中でも抜群なんじゃないかな。やるべき人が本気を出してやった、っていう気がするし。とにかく安心して聴ける1枚じゃないかと。
幸いというか、今年のフジロックで彼らのライブが観れるわけですよ。このアルバムだけじゃ計り知れない要素を、このライブで十分に感じ取ろうじゃないですか。きっと、アルバム以上に「バンドのケミストリー」ってやつが見えて(聞こえて)くるはずだから。