2017/02/25

GRAHAM BONNET BAND『THE BOOK』(2016)

RAINBOWやMICHAEL SCHENKER GROUP、ALCATRAZZ、IMPELLITTERIといったバンドを渡り歩いてきた孤高のシンガー、グラハム・ボネット。彼が近年結成したGRAHAM BONNET BANDの新作として、2016年秋にリリースされたのが本作『THE BOOK』です。

今作は2枚組仕様で、ディスク1にはコンラド・ペシナート(G)、ベス・エイミー・へヴンストーン(B)、マーク・ゾンダー(Dr)、そしてALCATRAZZ時代の盟友ジミー・ワルドー(Key)という現時点での最強布陣で制作されたオリジナル曲11曲を収録。オープニングトラック「Into The Night」での「そうそう、これこれ! こんなグラハム・ボネットが聴きたかった!」と膝を叩きなるような様式美HR/HMに筆頭される、グラハムがこれまで携わってきたバンドのカラーが至るところに散りばめられた、聴き応えのある1枚に仕上がっています。

グラハムのボーカルからは衰えはそれほど感じられず、これが昨年12月に69歳になったばかりのジジイの歌声かよ!?とただ驚くばかり。そしてコンラド・ペシナートのギタープレイも適度にクラシカルで適度にテクニカル、何よりも耳に残るフレーズをたくさん用意してくれるので、親しみやすいプレイヤーではないかと思います。

いやぁ、それにしてもここまで好き放題やっておいて、単なるセルフパロディで終わってないのはさすがだと思います。どれも聴いたことがあるような錯覚に陥るほどに“グラハムらしさ”に満ち溢れている、だけど正真正銘の新曲なんだから。確かに2016年に新たに生み出すような音楽ではないのかもしれないし、80年代からまったく進化していないと言ったらその通りだとも思う。けれど、こういう音楽をここまでストレートに表現できる稀有な存在だけに、彼には無駄にモダンなことに手を出さず、このまま可能な限り自己流のHR/HMを表現していってほしいです。だって「Into The Night」や「Dead Man Walking」みたいな疾走メタルチューンを絶唱できる、70代に手が届くシンガーなんてそうはいないんだからさ。

そしてディスク2。これがある意味問題作であり、人によってはメインディスクになるのかな(苦笑)。こちらはグラハムが過去に携わってきたバンドやソロ時代のヒット曲をGRAHAM BONNET BANDでセルフカバーしたもの。RAINBOW「Eyes Of The World」から始まり「All Night Long」などの代表曲、そしてソロシングル「Night Games」、MSGからは「Assault Attack」「Dancer」など、ALCATRAZZは「Island In The Sun」「God Blessed Video」など1st〜3rdアルバムから、IMPELLITTERIは「Stand In Line」がピックアップされています。

どの曲も基本的なアレンジはそのまま、ボーカルも変に歌メロを崩すことなく、スタジオテイクでの歌唱を軸に歌っています。肝心の演奏もオリジナルに忠実なパートが多く、特にギターのコンラド・ペシナートはリッチー・ブラックモアからマイケル・シェンカー、イングヴェイ・マルムスティーン、スティーヴ・ヴァイ、クリス・インペリテリと、どいつもこいつもクセが強いギタリストなのにしっかり再現&自身の個性を表出させているんだから、さすがとしか言いようがありません。

グラハムのファンや彼が在籍した上記のバンドのファンはもちろんのこと、RAINBOWからの流れにある様式美HR/HMにこれから触れてみようという人にも入門編としてオススメしたい作品集。ディスク2のみならずディスク1もしっかり楽しめたら、あなたも今日から立派なメタラーです。そして、せっかくなので3月に控えたGRAHAM BONNET BAND&ALCATRAZZの来日公演にも足を運んでみてはどうでしょう。



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投稿: 2017 02 25 12:00 午前 [2016年の作品, Alcatrazz, Graham Bonnet, Impellitteri, Michael Schenker, Rainbow] | 固定リンク

2017/02/11

LORDS OF BLACK『II』(2016)

2015年後半にRAINBOW復活が発表され、その参加メンバーがアナウンスされた際、誰もがそのボーカリストに注目したはずです。ロニー・ジェイムス・ディオ、グラハム・ボネット、ジョー・リン・ターナーという歴代の名ボーカリスト、そして90年代のその大役を担ったドゥギー・ホワイト。こういったシンガーたちと肩を並べるにふさわしい存在なのか、きっと古参ファンほどシビアに見ていたことでしょう。

選ばれたのは、チリ出身のロニー・ロメロというシンガー。スペインのヘヴィメタルバンドLORDS OF BLACKのフロントマンとして、当時アルバムを1枚発表していました。これによりロニーの名はもちろんのこと、当のLORDS OF BLACKにも注目が集まることになり、2016年春に2ndアルバム『II』が海外のみならず、ここ日本でもリリースされることとなったのでした。

名前がアナウンスされたとき、YouTubeでLORDS OF BLACKのMVをいくつか観たのですが、どこかディオっぽさもあるけど、それだけじゃない魅了も散見されて、若さゆえの可能性を大いに感じさせるシンガーだなと思っていました。がしかし、バンドの曲自体はそれほど印象に残らなかった(声のみに集中して、曲まで気が回らなかった)のも事実。

そんな中発表された本作『II』は、前作同様にメンバーのトニー・ヘルナンド(G)と現MASTERPLAN、元HELLOWEENのローランド・グラポウの共同プロデュース作品。クレジットを見ると8割近くの楽曲をトニーが作詞・作曲していることから、「現RAINBOWのボーカルが在籍するバンド」というより「トニーの才能が遺憾なく発揮されたバンド」と言ったほうが正解かもしれません。

楽曲やサウンドは哀愁が強くにじみ出た、正統派HR/HMというイメージ。オープニングのインストからなだれ込むパワフルな「Merciless」を筆頭に、時にスピート&パワーで、時に泣きメロでぐいぐい引っ張るテクニカルなギター、パワー一辺倒ではなくしっかり聴かせるなど思っていた以上に器用なボーカルを軸に進行していきます。どの曲にも味つけ程度にシンセやピアノが入っており、それらがさらに楽曲にカラフルさを加えることに成功しています。ぶっちゃけ、彼らは速い曲よりもミディアムでじっくり聴かせる曲のほうがボーカルもギターも映えるんじゃないかと。9分もある大作「Ghost Of You」や、「Cry No More」「Insane」タイプの曲をもうちょっと聴いてみたいと思いました。もうこのへんは好みの問題かもしれませんけどね。

本作にはボーナストラックとして、RAINBOW「Lady Of The Lake」のカバー、そして日本盤のみQUEEN「Innuendo」カバーとアルバム収録曲「Insane」のピアノバージョンが追加収録されているのですが、「Lady Of The Lake」は完全にロニーのRAINBOW入りを意識したものでしょう。厳しめの古参ファンに向けて、ひと足先にご挨拶といったところでしょうか。「Innuendo」も悪くないですが、それよりも「Insane」ピアノバージョンでの無駄な音をそぎ落としてじっくり聴けるロニーのボーカルに注目してほしいです。

昨年秋の『LOUD PARK 2016』で初来日が実現したものの、残念ながら足を運ぶことができず未見のまま。次こそは……と思っているのですが、それよりも今年こそはRAINBOWで……というのは贅沢なお願いでしょうか(苦笑)。



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投稿: 2017 02 11 12:00 午前 [2016年の作品, Lords of Black, Rainbow] | 固定リンク

2017/02/10

RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『STRANGER IN US ALL』(1995)

僕は年齢的にRAINBOWに間に合わなかった世代でした。中学に入ると同時にRAINBOW解散〜DEEP PURPLE再結成、秋には『PERFECT STRANGERS』リリース。結局リッチー・ブラックモアが在籍したDEEP PURPLEを観たのは1991年、ジョー・リン・ターナーが参加した『SLAVES AND MASTERS』を携えたツアーでのことでした。その後、リッチーは『THE BATTLE RAGES ON』(1993年)を提げたツアー中に突如脱退。すでに決定していた同年末の来日公演では、急遽ジョー・サトリアーニが助っ人参加するという異常事態となり、面白そうだからとついつい足を運んでしまったのでした。

それから2年後、リッチーは再びRAINBOWとしてシーンに復帰します。そもそもこれも、無名の新人アーティストたちと「パープルでもRAINBOWでもない」新バンドを結成してデビューするつもりだったのが、レコード会社の思惑で最終的に「RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW」名義で作品をリリースさせられてしまったのでした。リッチークラスでも、こういうコントロールが効かなかったりするんですね?

さて、念願の“リアルタイム”RAINBOW。個人的には『SLAVES AND MASTERS』も『THE BATTLE RAGES ON』も曲自体はそこまで悪くなかったけど、やはりどうしてもパープルでやろうとすると無理がある楽曲ばかりだったなと。しかもイアン・ギランをはじめとする一部のメンバーが完全にフィットしていなかった。本当に勿体ないことをしたと思うんです。

でも、この『STRANGER IN US ALL』ではそれがうまく機能している。1曲目の「Wolf To The Moon」から「そうそう、こういうのが聴きたかったんだよ!」と膝を叩きたくなるような曲なのだから、当時の自分がいかに興奮したかご理解いただけるかと思います。実際、リリースから20年以上経った今聴いてもなかなかな作品だと思います。「Hunting Humans (Insatiable)」みたいにヘヴィな曲もあれば“過去のRAINBOWにもあったような”軽快なR&R「Too Late For Tears」、ヘヴィながらも泣きの要素を持つ「Ariel」もあるし、極め付けは「Black Masquerade」! もうここでガッツポーズですよ。さらにそこから “様式美HR/HMとクラシックの融合”「Hall Of The Mountain King」、ロニー・ジェイムス・ディオ時代の“カバーのカバー”「Still I'm Sad」でクライマックスを迎えるんだから、文句のつけようがないわけです。

過去のRAINBOWと比べてああだこうだという声もありますし、実際僕も当時はそんなことを若干気にしたりもしました。しかし、メンバーも違えばリッチーも歳をとったんだから、変わって当然。むしろあの「パープル末期のやる気のなさ」からよくぞここまで持ち返してくれた!と拍手を送りたいです。

そういえばこのアルバムを携えた来日時(1995年11月)、代々木体育館で初めてRAINBOWのライブを観ることができました。このときにはレコーディングに参加したジョン・オライリー(Dr)がすでに脱退し、旧RAINBOWにも在籍したチャック・バーギが加わり古くからのファンを驚かせました。また、後にリッチーとBLACKMORE'S NIGHTを結成するほか、現在まで公私のパートナーであるキャンディス・ナイトもコーラスで参加したのも記憶に残っています。

にしても、このアルバムから約20年後、三たびRITCHIE BLACKMORE'S RAINBOWが復活するとは……そのへんはまた別の機会に話しましょう。



▼RITCHIE BLACKMORE'S RAINBOW『STRANGER IN US ALL』
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投稿: 2017 02 10 12:00 午前 [1995年の作品, Rainbow] | 固定リンク

2004/09/24

とみぃ洋楽100番勝負(36)

●第36回:「Kill The King」 RAINBOW ('78)

 はい、好きなドラマーはU2のラリーと、コステロ & THE ATTRACTIONS時代のピート・トーマス、トミー・リー、そしてコージー・パウエル先生でございます。全員一癖も二癖もあるドラマーばかりでございます。

 コージー先生との出会いは、WHITESNAKEの「SLIDE IT IN」っつーアルバムでして、そこでも "Standing In The Shadow" や "Slow N'Easy"、"Guilty Of Love" 等で超絶プレイを堪能できますが、やはり個人的にはこの "Kill The King" のドラムがね。これで惚れたようなもんだから。

 つーかさ。所謂「三頭政治」時代最後の作品なわけじゃない(三頭政治=ロニー・ジェイムズ・ディオ、リッチー・ブラックモア、コージー)。確かに前作「RISING」程の完成度はないかもしれないけど‥‥いや、俺結構好きよ。

 高校一年の夏、プール監視員のバイトをしてさ。そこで一日中RAINBOWばかりかけてた時があって。ずっと "Kill The King" と "Stargazer" ばかりリピートしてたっけ。

 もし‥‥もしドラムが思いのままに叩けるのなら。まず最初に "Stargazer" のイントロ部分と、"Kill The King" をまるごと叩きたい。そんな衝動にかられる程、魅力的な、そして特別な緊張感を持った1曲。やっぱり今聴いてもカッコいいわ。



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投稿: 2004 09 24 12:00 午前 [1978年の作品, Rainbow, 「100番勝負」] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック