StringerBessant『YARD』(2010)
2010年7月12日にリリースされたStringerBessantの1stアルバム。日本盤未発売。
StringerBessantはREEF解散後にメンバーのゲイリー・ストリンガー(Vo)とジャック・ベッサント(B)がスタートさせたプロジェクト。もともとはこの2人にギター&ドラムを加えた4人でTHEM IS MEというバンドを始めたのですが、StringerBessantはその延長で生まれたアコースティックユニットで、いくつかのデモを制作しているうちにXtra Mile Recordingsと契約し、アルバムを発表することになったのでした。
レコーディングは基本的にゲイリーとジャックがアコギを弾きながら歌い、そこに曲によってストリングスやリズム隊などが加わる形。オープニング「Hey Girl」からしばらくはアコギのみをバックに、低いキーで淡々と歌うゲイリーの歌に驚かされることでしょう。あのハイテンションで暑苦しい歌声が皆無ですからね。
もともとこうした質感はREEF時代からチラホラ見せてきていましたし、3rdアルバム『RIDES』(1999年)にはそのカラーがかなり濃く表れていました。なので、その流れで触れれば特に違和感はないかと思います。にしても、ここまでそういったトーンの楽曲が続くと、バンドの面影を求めて本作に触れたリスナーにはちょっとキツいかもしれませんが(そういう方にはTHEM IS ME唯一のアルバムがオススメです。国内サブスクでは見当たりませんが……)。
「Give Me The Key」ではリズム隊やエレキギター(歪みなし)が加わり、ようやくハイトーンボーカルも楽しむことができますが、その次の「Shutting Down」では再びダウナー&スローな曲調と囁くようなボーカルに戻ってしまう。曲によってはジャックとのツインボーカルだったりするので、あくまで「REEFのボーカルがソロで落ち着いたフォークロックをやってる」くらいのテンションで接することが一番かなと。
先の「Give Me The Key」や「Wild Day」「Lord Please Come」あたりは『RIDES』路線の一環として楽しめる良曲だけど、全部が全部水準以上とは言い難いかな。全12曲/42分をリラックスして楽しめるかどうかは、聴き手の向き合い方次第かもしれません。悪くはないけど、たまに息抜きとして聴くくらいがちょうどいい1枚ではないでしょうか。
なお、このプロジェクトはのちにREEFのドミニク・グリーンスミス(Dr)と、ソロアーティストとしても活躍するエイミー・ニュートン(G, Vo)が加わりTHE SB BANDへと進化。2013年には同名義によるアルバム『THE SB BAND』も発表しています。
▼StringerBessant『YARD』
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