CAVALERA CONSPIRACY『INFLIKTED』(2007)
2007年3月25日にリリースされたCAVALERA CONSPIRACYの1stアルバム。日本盤は同年3月19日に先行発売されています。
その名前からもわかるように、CAVALERA CONSPIRACYはマックス・カヴァレラ(Vo, G/SOULFLY、KILLER BE KILLED、NAILBOMB、ex. SEPULTURA)が実弟イゴール・カヴァレラ(Dr/ex. SEPULTURA)と結成した新バンド。名盤『ROOTS』(1996年)を携えたツアーを経てSEPULTURAを脱退したマックスと、以後ほぼ交流のなかったイゴールでしたが、10年ぶりの再会を機に不和が解消され、カヴァレラ姓を冠した新たなサイドプロジェクトが立ち上げられることになります。
当時のレコーディングメンバーはカヴァレラ兄弟のほかSOULFLYでマックスと活動をともにするマーク・リゾ(G)と、フランスのGOJIRAからフロントマンであるジョー・デュプランティエ(B, Vo)が参加。アルバムのプロデュースはマックスと、初期SOULFLYや初期MACHINE HEADのメンバーでもあったローガン・メイダーが担当しており、スラッシュメタル色の強いグルーヴメタルをマックスらしいカラーでまとめあげています。
カヴァレラ兄弟がタッグを組むことで、初期SEPULTURAのスラッシュ/デスメタル路線か、『ROOTS』期やSOULFLYで展開する民族音楽をフィーチャーしたモダンメタル路線のどちらに進むのかが気になりましたが、結果としてはそのどちらでもない、「『ROOTS』期のSEPULTURAやSOULFLYから民族音楽色を排除した、スラッシーなグルーヴメタル」というのが正解でした。
本作を最初に聴いたときは、若干NAILBOMBにも近いかな?と感じたりもしましたが、今聴くとあそこまでの直線的な演奏でもないですし、むしろNAILBOMBの色はインダストリアル調の味付け(「Inflikted」の冒頭など)にとどまるのみ。それよりは、『CHAOS A.D.』(1993年)や『ROOTS』からスラッシーでストレートな楽曲を抜き取り、かつSOULFLYでのグルーヴィーな楽曲からラテンテイストを排除したものをミックスなのかなという気がします。マーク・リゾがソロを弾いている時点でSOULFLYっぽさがにじみ出てしまうものの、イゴールの手数が多い“らしい”プレイやフレーズを織り交ぜることでSOULFLYとの差別化はなんとかできていると思います。
とはいえ、マックスがこのデス声で歌ってしまえば、どれもこれもSEPULTURA的でありSOULFLY的になってしまうんですけどね。こればかりは仕方ない。クセが強いから(「The Doom Of All Fires」の序盤は意外性ありましたけどね)。ただ、「Black Ark」「Ultra-Violent」の2曲にはジョーのボーカリもフィーチャーされているので、一瞬ですがハッとされるかも。もっとフィーチャーしてもよかったのに。
また、本作にはマックスの継子リッチー・カヴァレラやレックス・ブラウン(B/ex. PANTERA)がゲスト参加。とはいえ、それぞれ1曲ずつなので、そこまで大きな話題でもないかな。そもそも、カヴァレラ兄弟の和解という巨大なテーマがある1枚ですからね。
なお、CAVALERA CONSPIRACYは本作以降もコンスタントに活動を継続。2017年までにアルバムを4枚残しており、現在はマックス&イゴール、マークの3人にサポートベーシストという布陣のようです(ジョー脱退後、CONVERGEのネイト・ニュートンが在籍したこともありました)。
▼CAVALERA CONSPIRACY『INFLIKTED』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤アナログ / MP3)