KIRINJI『ネオ』(2016)
RHYMESTERがゲスト参加したオープニングのアフロファンク「The Great Journey」から明らかにこれまでと違う色が放たれており、いきなり腰を抜かしそうになる。しかし、聴いているうちに「間違いなくあのKIRINJI」と誰もが納得するはずです。
その後もコトリンゴや弓木英梨乃、千ヶ崎学がリードをとる楽曲(しかも今作ではコトリンゴ、千ヶ崎までもが作曲を担当)が飛び出し、新編成第1弾アルバムとなった前作『11』ですでに慣れていたとはいえ新鮮な驚きが度々訪れる(個人的には弓木が歌う「Mr. BOOGIEMAN」「あの娘のバースデイ」がツボ)。アレンジ的に「おっ?」と唸ってしまう新機軸も飛び出すものの、最終的には「あのKIRINJI」で腑に落ちてしまう。そういった、不自然さが皆無という事実は彼らが真の意味でバンドになったことを証明しています。
『11』とそのリアレンジ作『EXTRA 11』という習作(とあえて呼びたい)を経て、ここでようやく第二のデビューを迎えられたと言える。最初から最後まで彼らでしかありえない、音楽を奏でる喜びに満ち溢れた極上の1枚。
※このレビューは本作リリース時、『TV BROS.』に掲載されものを加筆・修正して掲載しています。