カテゴリー「Ride」の9件の記事

2018年10月20日 (土)

HURRICANE #1『HURRICANE #1』(1997)

アンディ・ベル(Vo, G)がRIDE解散後に結成した4人組バンドHURRICANE #1の、1997年9月発売のデビューアルバム(日本では本国よりも早い同年7月に先行リリース。アメリカでは10月に発売)。メンバーはギターに専念したアンディのほか、アレックス・ロウ(Vo, G)、ウィル・ペッパー(B)、ガレス・ファーマー(Dr)という4人編成。RIDEから引き続き Creation Recordsからのリリースで、「Step Into My World」(全英29位)、「Just Another Illusion」(同35位)というシングルに続いてアルバムも全英22位まで上昇。その後も「Chain Reaction」(同30位)とヒットシングルが続き、デビュー作としてはひとまず成功を収めた部類に入るのかな。

後期はレイドバックしたカントリーロックに片足突っ込んだり、ラスト作では中途半端なロックを聴かせたりと、踏んだり蹴ったりだったRIDEでしたが、初期はバンドの中心人物だったアンディがこの新バンドで鳴らしているのは、モロに“OASIS以降”のUKロック。いや、UKロックというよりもブリットポップと呼んだほうが正しいか。

アレックス・ロウの歌声や歌唱法、「Step Into My World」で鳴らされているサウンドもあって、本当にOASISのそれなんですよね。しかも、単なる亜流では終わらない、しっかり作り込まれた曲だったりするから余計にタチが悪い(笑)。いや、本当に良い曲なんですよ。

まあそれもそもはず、当時のアンディは血迷ったのか「OASISとTHE STONE ROSESを足して2で割ったようなバンド」をいたのですから……ちゃんとそのとおりになっていますよね!

ビート感の強さはローゼズ、メロディの強さはOASIS。しかし、そこに“RIDEのアンディ”の個性はちゃんと出ているのか、と問われると正直答えに困ります。「Mother Superior」や「Let Go Of The Dream」といった楽曲は、確かにアンディ・ベルというソングライターでなければ書けなかった曲かもしれないけど、別にアンディがこれをやらなくてもいいんじゃない?っていう思いもある。無駄に曲の出来が良いもんだから、当時は非常に評価に迷った記憶があります。

その後、アンディが当のOASISに加入し(しかもベーシストとして。苦笑)、OASIS解散後は紆余曲折を経てRIDEを復活させアルバムまで制作した。そんな20年を経て、今改めてフラットな気持ちで接してみると……やっぱり「良いアルバム」以上の感想は持てないかな。まあ、それでいいじゃない?って声もありますけど、やっぱりアンディ・ベルという人には“もっと上”を求めてしまいたくなるんですよね。

ちなみにHURRICANE #1、2014年にアレックス・ロウ中心に再結成しています。アンディはRIDEがあるので正式復帰はしていませんが、16年ぶりの新作『FINE WHAT YOU LOVE AND LET IT KILL YOU』(2015年)には1曲のみアンディもギターでゲスト参加しております。解散前と異なり、アレックス中心で書かれた新作の楽曲群もなかなかの出来です。



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2018年10月14日 (日)

RIDE『GOING BLANK AGAIN』(1992)

1992年3月にリリースされた、RIDE通算2枚目のオリジナルアルバム(日本では4月に発売)。1stアルバム『NOWHERE』(1990年)から1年半という短いスパンで届けられた本作は、プロデュースをバンド自身と前作のミックスを手がけたアラン・モウルダー(MY BLOODY VALENTINETHE SMASHING PUMPKINSNINE INCH NAILSなど)が担当。自己最高の全英5位を記録し、本国では10万枚を超えるヒット作に。「Leave Them All Behind」(同9位)、「Twisterella」(同36位)というシングルヒットも生まれました。

8分を超えるオープニングトラック「Leave Them All Behind」こそ“これぞシューゲイザー!”と呼びたくなるほど完成度の高い楽曲ですが、本作は決してシューゲイザー一辺倒というわけではありません。むしろ、シューゲイザーのフィールドに片足を突っ込みながら、もう片方で“脱シューゲイザー”を宣言するような、そんな力作に仕上がっています。

前作『NOWHERE』は確かにシューゲイザーの代名詞的作品だったと思います。しかし、「Leave Them All Behind」を初めて聴いたとき……ぶっちゃけ「あ、軽く前作を超えやがった」と思ったものです。強度という点においては、本作の無双感はハンパないんですよ。

かと思えば、歪み系の弱いギターポップチューン「Twisterella」にびっくりさせられ、“もはやパワーポップじゃん!”と叫びたくなる「Not Fazed」、前作にあったスタイルのひとつを進化させた叙情的な「Chrome Waves」など、音楽性の幅を一気に広げ始めています。

これってつまり、友達同士で「これやろうぜ!」って軽い気持ちで始めたバンドが、経験を積んだことで急激に進化していった……その一番良いタイミングを捉えたということなんでしょうかね。事実、この先メンバー間のバランスがいびつになり始め、急速に終焉へと向かっていくわけですから。

「Leave Them All Behind」とは別の形でシューゲイザーを体現している「Cool Your Boots」や「OX4」など、次作『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)ではもう聴けない輝き……バンドとしてここでクライマックスを迎えるなんて、あの当時は考えもしなかったなぁ。

個人的な思い出をひとつ。このアルバムがリリースされた頃、僕はイギリスに留学中でした。たまたま観たBBC『TOP OF THE POPS』で流れた「Leave Them All Behind」のスタジオライブ映像(たぶん当て振りだったと思う)に衝撃を受け、アルバムは発売されてすぐに購入。当時ポータブルCDプレイヤーなんて持っておらず、カセットしか聴けない状況だったので、当然カセット版を購入するわけです。旅の間、ずっと聴きまくったなぁ……。で、帰国してCDを購入したんだった。マニックス『GENERATION TERRORISTS』とこれはイギリス滞在中、本当にお世話になったアルバムでした。そんな大切な思い出の詰まった1枚です。



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2017年12月31日 (日)

2017年総括(1):洋楽アルバム編

2017年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2017年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ5本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

・Björk『UTOPIA』(amazon)(レビューはこちら

・CIGARETTES AFTER SEX『CIGARETTES AFTER SEX』(amazon

・CONVERGE『THE DUSK IN US』(amazon)(レビューはこちら

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2017年7月 4日 (火)

RIDE『WEATHER DIARIES』(2017)

ジザメリの19年ぶりにもひっくり返ったけど、RIDEの21年ぶり新作という現実にもただただ驚かされたわけでして。2015年のフジロックで、彼らの勇姿を観てアガったという人、少なくないはずです。その年の秋には単独再来日も実現し(僕はチケットを持っていながら、隣の駅にあるスタジオでずっと取材をしてたので行けず終い)、「もう1stアルバムや2ndアルバムの曲を中心にライブしてくれるだけで十分! この再結成、継続させてほしい……」と願っていたところ、なんとニューアルバムまで作ってしまったのだから驚きです。

先行公開された「Charm Assault」はしっかり従来のRIDEらしさが伴っており、それでいて末期(1996年のラストアルバム『TARANTULA』期)にも通ずるストロングスタイルのロック色もありで、「ああ、奴らはちゃんとあれもなかったことにせず、全部引き受けて先に進もうとしてるんだ」と思ったものです。さらに続けて公開された「Home Is A Feeling」は完全の初期RIDEそのもので、この2曲だけで「本当にRIDEが完全新作携えて戻ってきた!」と喜びの声を上げたのでした……この気持ち、共感してくれる人、多いですよね?

それから4ヶ月後、いよいよリリースされた通算5枚目のスタジオアルバム『WEATHER DIARIES』には、RIDEの“すべて”が詰まっています。それは名作と呼ばれる初期のシングル群や1stアルバム『NOWHERE』(1990年)、2ndアルバム『GOING BLANK AGAIN』(1992年)での「我々がイメージするRIDE像」をしっかり具現化しつつ、この21年の間にメンバー4人が培ってきた音楽的素養もしっかり反映されたものになっている。プロデューサーには英国クラブミュージック界の人気DJエロール・アルカン、ミキシングには『GOING BLANK AGAIN』などを手がけたお馴染みのアラン・モウルダーをそれぞれ迎え、しっかりと「2017年に鳴らされること」を意識して制作されています。

シューゲイザー、ドリームポップなどこのアルバムに対する表現はいろいろあると思います。実際そういう音だと思うし、アルバムまるごとセンチメンタリズムの塊ではあるんだけども、決して単なるノスタルジーでは終わらない、今の音として成立している。これを実現するためには、解散前みたいに「この曲は俺が書いた」「これはあいつが書いたからあいつが歌えばいい」といったいざこざは無用。初期の頃のように、4人がひとつとなって何かに取り組む。それが実現できるかできないかで、このアルバムを作るかどうかが決まったのではないでしょうか。で、実際本作はそういう作品になったと。ちゃんと「今のリスナーにモノ言わしてやろうぜ!」という気概も感じられるしね。

まさか2017年にRIDEの新作が、しかも傑作とちゃんと断言できるアルバムが聴けるなんて。2年前は想像もしてなかったなぁ。そして彼らはこのアルバムを携えて、8月に『SUMMER SONIC 2017』深夜の部『HOSTES CLUB ALL-NIGHTER』で2年ぶり日本へ戻ってきます。行かない理由はないよね。



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2017年7月 1日 (土)

2017年上半期総括

恒例となった上半期ベスト。ひとまず7月1日現在の10枚を紹介したいと思います。バランスとしては洋楽5枚、邦楽5枚というセレクトになります。


DEPECHE MODE『SPIRIT』(amazon)(レビューはこちら

THE JESUS & MARY CHAIN『DAMAGE AND JOY』(amazon)(レビューはこちら

KREATOR『GODS OF VIOLENCE』(amazon)(レビューはこちら

MASTODON『EMPEROR OF SAND』(amazon)(レビューはこちら

RIDE『WEATHER DIARIES』(amazon)(レビューはこちら

Cornelius『Mellow Waves』(amazon)(レビューはこちら

Maison book girl『image』(amazon

Mondo Grosso『何度でも新しく生まれる』(amazon

ONE OK ROCK『Ambitions』(amazon)(レビューはこちら

ドレスコーズ『平凡』(amazon)(レビューはこちら

2015年6月 4日 (木)

Rideの私的ベスト10

昨年秋に再結成が正式発表され、今年7月にはフジロック出演のため来日も果たすこととなったRide。個人的な思い入れで言えば、リアルタイムでは完全に2ndアルバム「Going Blank Again」までなんですが(もちろん3rd「Carnival Of Light」も4th「Tarantula」もリアルタイムで聴いてましたが)、数年前に改めて編集盤「Smile」から「Tarantula」までじっくり聴く機会があって。その際に3rdも4thも特に嫌いじゃないなと再認識したものです。

さて、ということで今回はRideの私的ベスト10。間違いなく90年代初頭の作品に集中してしまうと思いますが、まあそれは自分がRideというバンドに何を求めていたかを認識するいい機会になるのでは……ということで、行ってみたいと思います。


1. Chelsea Girl

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2004年10月25日 (月)

RIDE『CARNIVAL OF LIGHT』(1994)

1994年6月発売の、RIDE通算3作目のオリジナルアルバム。プロデューサーを前作『GOING BLANK AGAIN』(1992年)でのアラン・モウルダーからジョン・レッキー(THE STONE ROSESRADIOHEADNEW ORDERなど)に交代した本作は、文字どおり“脱・シューゲイザー”な1枚に仕上がっています。

前作の時点ですでにその予兆はあったのですが、今作ではいわゆるギターポップ的側面をより強調し、かつ全体的にレイドバックした作風へ。いわゆるギターポップのルーツにある、60〜70年代のトラッドミュージックをベースにしたロックが展開されています。

ディストーションもフィードバックもありませんが、メロディ自体は我々が知る“あのRIDE”のまま。実は「Like A Daydream」の頃から変化していないことが伺えます。

なのに、リリース当初は「?」なアルバムだったんですよね、僕的に。リードシングル「Birdman」がどうにも退屈に思えて……いや、今聴くとその良さを理解できるし、アルバム自体もすごく良いんだけど。この頃からマーク・ガードナー(Vo, G)よりもアンディ・ベル(Vo, G)が主導権を握り始めたんでしたっけ? アルバムクレジットを見ると、前半がマーク作中心、後半がアンディ作メインなんですが、前半の“らしさ”はわかるものの、「Birdman」以降の新機軸が最初は本当に理解できなかったんです(あくまで「RIDEがやる」という上で)。

RIDEというバンドには確固たるリーダーが最初から存在していなかったところ、マークとアンディのエゴがより強く表出し始めた。それがこのアルバムから形になり始めて、次の『TARANTULA』(1996年)で空中分解してしまう結果を生み出すわけです。

RIDEというバンドが本来持つポップネスを、轟音ギターやフィードバックという“ガワ”を取っ払うことでより強靭なものへと昇華させた。そういった意味では、本作の果たした役割は非常に大きなものがあるのではないでしょうか。

けど、一番好きな曲がディストーションギターをフィーチャーしたカバー曲「How Does It Feel To Feel?」というのは、今となっては皮肉な話ですよね(苦笑)。今はそのほかの曲も同じくらい愛せていますけど。



▼RIDE『CARNIVAL OF LIGHT』
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2004年10月20日 (水)

とみぃ洋楽100番勝負(63)

●第63回:「Like A Daydream」 RIDE ('90)

 '90年前後、俺の周りは皆STONE ROSESにハマッてたんですね。恐らく雑誌の影響ってのが強かったと思うんですが(当時の「rockin'on」や「CROSS BEAT」ではこぞって取り上げてましたからね)、その頃読んでた雑誌は「BURRN!」でしたからね、俺‥‥PRETTY MAIDSの復活作が凄いらしい!とか、QUEENSRYCHEがもの凄いコンセプトアルバムを作った!とか唸ってた時代ですからね。

 それでもUKロック自体は嫌いじゃなかった‥‥いや、むしろ「ブリティッシュ・ロック」と呼ばれるような世界観を持つバンドの方が個人的には好みだったんですけどね。でもまぁ'80年代末以降のイギリスの(ハード)ロック・シーンは死んでましたしね。期待はしてませんでしたけど。

 だからというわけじゃないですが‥‥ハードロックとは違う、珍しいバンドを好むようになってたんですね。まぁ珍しいというか‥‥俺なりに「カッコいい」と思えるバンド。そのひとつが当時のRIDE。これはまぁ高校時代の友人、俺にいろいろ教えてくれたAくんが「四の五の言わずに、とにかく聴け!」といってわざわざテープを下宿先にまで送ってくれたわけですが。その中に入ってたのが、所謂「赤RIDE」と「黄RIDE」と呼ばれる初期のEP2枚。

 特に「黄RIDE」‥‥この "Like A Daydream" に一発でヤラれちゃったんですわ。メロウだけどギターはうるさいし、ボーカルも冷たい感じなんだけど妙に心地よいし。うわーこれライヴ観てみたいなぁって瞬時に思いましたね。とにかくこのEP2枚の8曲はテープが擦り切れる程聴いたかも。後に1枚にまとめられて「SMILE」というアルバムとしてリリースされることになるんですが(当然CDで買い直しましたが)、その前に‥‥1stフルアルバム「NOWHERE」があるのか‥‥そこでまたガツンとやられて。当然初来日公演には行きましたよ。つーか、来日の度に行ってたなぁ‥‥

 初めてイギリスに行った時、たまたま目にしたテレビ番組「TOP OF THE POPS」に、ホント偶然に出演してたRIDE。丁度新曲 "Leave Them All Behind" をリリースした頃で、それを演奏(口パク&当て振り)して‥‥また鳥肌立ててね。'90年代はマニックスが登場するまで、俺にとってのイギリスはRIDEと‥‥そしてJESUS JONESさえいればいいや‥‥そういう時期でしたね。笑っちゃうくらいに。



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2003年9月25日 (木)

RIDE『WAVES』(2003)

今この時代にRIDEの凄さ・良さを伝えるには、どういう風に言えば上手く伝わるんでしょうねぇ? 「MY BLOODY VALENTINEと共に'90年代初頭のUKシューゲイザー・シーン(そんなシーンあったか?)を支えた4人組」、「その後ボーカル/ギターの奴がOASISに入ってベース弾いてる、そんなブリットポップの元祖的存在」、あるいはもう純粋に「轟音の中にもUKバンドらしい繊細さが存在する、素晴らしいギターロックバンド」と言った方がいいのか‥‥この時期に活躍したバンドで結局その後伝説的に有名になってしまったのはSTONE ROSESとHAPPY MONDAYS、それと今でも現役で頑張るPRIMAL SCREAMくらいになっちゃうのかなぁ。RIDEというバンドがそこまで重要視されて雑誌の表紙を飾るなんてこと、今じゃもう有り得ないもんなぁ‥‥

というわけで、ここ2年くらいの間に一部で「RIDE再評価」熱が高まりつつある中、2001年のベスト盤&ボックスセットに続き、2003年という時代に唐突にリリースされたのが今回紹介する「WAVES」というアルバム。サブタイトルにあるように、イギリス国営放送BBCの「RADIO 1」で放送されたスタジオライヴ5回分の演奏、合計17曲がここに収められているわけです。

時期的にも最初のEPをリリースした直後の1990年2月というごく初期から、サードアルバム「CARNIVAL OF LIGHT」リリース前後である1994年7月までの約4年間、それらの音源が収録年代順に並んで収録されている、さながら「ライヴで追うRIDEの歴史」的な内容になってるわけです。特に彼等はバンド存続中、公式ライヴ盤というのが一枚もなかったし(非公式で「LIVE LIGHT」というのがあったけど、あれも今では廃盤だし)、一昨年出たボックスに入ってた「LIVE - READING FESTIVAL 1992」というのもありましたが、あれも限定盤だったので今では手に入りにくいし。そういう意味では今回のリリースは広い範囲の時期で収録されているんで、解散後にファンになった人にとっては非常に有り難い1枚なのではないでしょうか?

とはいってもこのアルバム、純粋なライヴアルバムとは違うんですよ‥‥まずスタジオライヴってことで、オーディエンス一切なし。つまりバンド4人がライヴ演奏してるだけ。臨場感に欠けるかもしれませんが、バンドの持ち味は存分に堪能できるはず、それももうひとつ、ラジオ放送を意識してかフェイドアウトで終わる音源が幾つかあるんですよ。特にド頭"Like A Daydream"でいきなりですから‥‥あの名曲で! ちょっとガックリしてしまうんですが、まぁRIDEのライヴがどんな感じだったかはそれでも伝わるんじゃないですかね。

ホント、このアルバムの面白い点は収録年代が曲を追う毎に進んでいくんで、サウンドの変化・楽曲の柔軟性・バンドのスタイル・アーティストとしての成長がたった75分の間に味わえちゃうわけですよ。デビュー間もない頃の完全にシューゲイザー・バンドであった頃の音源(4曲。他に"Dream Burn Down"、"Perfect Time"、"Sight Of You"を収録)、ファーストアルバムリリース後、既にシューゲイザー路線から幅を広げつつあった1990年9月の音源("All I Can See"、"Decay"、"Severance")、更に数歩前進したセカンド「GOING BLANK AGAIN」リリース時、1992年2月の音源("Time Of Her Time"、"Not Fazed"、"Mouse Trap")、その後のOASISにも通ずる「男気ロック」路線へと移行していく過程の1993年2月の音源("Birdman"、"Walk On Water"、"Since Then"、"Crown Of Creation")、そして音楽的にもビルドアップしたサード「CARNIVAL OF LIGHT」リリース前後である1994年7月の音源("Let's Get Lost"、"1000 Miles"、"I Don't Know Where It Comes From")。ブロック毎に区分けして解説すればそれなりに違いや成長を指摘することもできるでしょうけど、こうやって1枚にまとめて、しかも続けて鳴らすと自然に聴けるんですよね。その成長が急激な変化ではなくて、徐々に、着実に変化していったんだなぁとこのアルバムを聴いて再確認しました。だってアルバムラストの"I Don't Know Where It Comes From"が終わった後に、再びトップの"Like A Daydream"や"Dream Burn Down"に戻ると‥‥サウンドだけ取ると完全に別のバンドみたいですからね。

けど‥‥そういう風に自然に聴けちゃうっていうのは、やはり楽曲の素晴らしさであり、メロディの親しみやすさだったりするんでしょうね。2003年の今、デビュー時から既に13年以上経ってる訳ですが、全然色褪せてないですからね。スタジオ盤だと多少時の流れを感じさせるサウンドプロダクションがあったりするもんですが、ことライヴ盤になるとそんなに違和感てないですからね。単純にカッコイイ。後期の、ある種その後アンディ・ベルが結成したHURRICANE #1にも通ずる男泣きの世界観もカッコイイし、初期のただひたすら轟音を鳴らす世界観もカッコイイ。そしてそういったサウンドプロダクションの中心にあるメロディ、これもひたすらカッコイイ。そう、RIDEってこんなにカッコイイバンドだったんだよ、みんなもっと気づいてあげてよ!

あの当時、ローゼズとかハピマンが苦手で、とにかくひたすらRIDEやJESUS JONESやEMFといったバンドばかりを追っていた俺。結局あれから13年経った今でもよく聴くのはローゼズやハピマンではなくて、RIDEやJESUS JONESだもん。やっぱり心底好きだったんだよね。

再結成は望んでないけど、もっとこういった「お宝音源」が発掘されて世に出てくれないかな、と当時のファンは切に願うわけです。

みんな、もっとRIDE聴こうよ! RIDEを評価しようよ!



▼RIDE『WAVES』
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