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カテゴリー「Ride」の15件の記事

2021年7月26日 (月)

RIDE『SMILE』(1990)

1990年7月に北米でリリースされたRIDEのコンピレーションアルバム。日本盤は1991年1月25日に、本国イギリスでは1992年11月23日にそれぞれ発売。

本作は1990年前半にイギリスで発表された2枚のEP(1月リリースの『RIDE』、4月リリースの『PLAY』)に収録された計8曲を1枚にまとめたもの。同年10月に発売を控えた1stフルアルバム『NOWHERE』を盛り上げるため、アメリカの所属レーベルSire Recordsが企画したものではあるのですが、当時『RIDE』や『PLAY』といったEPを入手できなかったファン、あるいはそこまで手が伸びなかったライト層にとって初期RIDEの重要な2作品を手軽に楽しめる、非常にありがたい1枚でした。

収録順も前半4曲が『RIDE』収録曲、後半4曲が『PLAY』収録曲がEPと同じ曲順で収められているので、ありがちな「コンピ盤ならではの曲順」みたいな煩わしさもなく、ストレートに楽しむことができるはずです。

「Chelsea Girl」を筆頭とした初期衝動の塊のような『RIDE』収録曲、「Like A Daydream」をはじめ『RIDE』から短期間で急成長を果たした『PLAY』収録曲の聴き比べはもちろん、USオルタナティヴロックの影響下にあるシューゲイザースタイルの確立など『NOWHERE』へと至るバンドの成長過程を知る上でも、本作は『NOWHERE』とあわせて聴くべきマストアイテムと断言できます。

個人的には「Like A Daydream」で初めてRIDEに触れたという思い入れもあって、M-5〜8に肩入れしてしまいがちですが、もちろん「Chelsea Girl」を筆頭としたM-1〜4も悪くない(という言い方は非常に上からですが。笑)。ただ、やっぱり思い入れ的には「Like A Daydream」があり、「Dreams Burn Down」があり、「Vapour Trail」があり、「Leave Them All Behind」へと到達するという流れが重要になってくるので、今でも後半をリピートする率が必然的に高くなってしまいます。

本作は全アルバムを聴いてから聴くのではなく、ぜひ『NOWHERE』とともに、いや、なんなら『NOWHERE』より先に聴いておいてほしい1枚かなと。オリジナルアルバムにはカウントされないものの、オリジナルアルバム以上に重要度の高い作品だと断言しておきます。

 


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2021年7月25日 (日)

RIDE『TARANTULA』(1996)

1996年3月11日にリリースされたRIDEの4thアルバム。日本盤は同年4月10日発売。

前作『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)ではマーク・ガードナー(Vo, G)とアンディ・ベル(Vo, G)が半々ずつ曲を書き、かつそのバランス感も非常に優れたものであり、一介のシューゲイザーバンドから普遍性の強いロックバンドへと脱却する契機を作る成功を得ました。しかし、この頃からマークとアンディの均等なバランスが崩れ始め、続く今作ではアンディ主体でアルバム制作が進められます。

これはアンディのエゴが爆発したと受け取ることもできますが、裏を返せばマークがバンド(および音楽活動)に以前ほど熱を感じられなくなっていたとも言えるのかなと。事実、この『TARANTULA』というアルバムにはマークの楽曲は全12曲中2曲(うち1曲はスティーヴ・ケラルト&ローレンス・コルバートとの共作)と非常に少ない。となると、必然的にアンディが頑張るしかなかったと受け取ることもできます。

そのアンディ主導の楽曲ですが、前作で得た成功および自信が悪い方向に動いてしまった感があります。『CARNIVAL OF LIGHT』の延長線上にある楽曲も少なくありませんが、それ以上にアルバムを覆うのが当時にブリットポップ的な方向性。本作が制作された1995年というと、イギリスではOASIS vs BLURでメディアが盛り上がっていた頃。チャート上にもブリットポップ・ムーブメントの影響下から登場したバンドたちがその名を連ね、RIDEのようなバンドは早くもひと世代前の存在へと追いやられていたわけです。

そんな中で、アンディが「俺たちにだってそれくらいできる」と起死回生を狙ってアクションを起こしたのかどうかはわかりませんが、実際本作で聴くことができる楽曲群の多くが本来のRIDEらしさを見失った、ブリットポップ・ムーブメントに惑わされたどっちつかずの佳作ばかり。マークの携わった曲も『CARNIVAL OF LIGHT』の延長線上にあるものの精彩さに欠け、アンディの曲の影に隠れてしまっている。結果、完成したアルバムを聴いて愕然としたのではないでしょうか。

アンディはこのアルバムが発売される前にバンドからの脱退を発表。本作から唯一のシングル「Black Nite Crash」は全英67位と低調に終わり、アルバム自体も最高21位と過去イチ低い数字を残しています。そして本作発売から間もなくして、RIDEは解散を正式発表。1988年の結成から8年という短い命を終えることになります。

 


▼RIDE『TARANTULA』
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ANDY BELL『THE VIEW FROM HALFWAY DOWN』(2020)

2020年10月9日にリリースされたアンディ・ベルの1stソロアルバム。日本盤は同年10月7日に先行発売。

アンディ・ベルはご存知のとおりRIDEのフロントマン(Vo, G)のひとりで、RIDE解散中にはHURRICANE #1のギタリストを経てOASISのベーシスト、さらにはリアル・ギャラガー主導によるBEADY EYEのギタリストとして活躍してきたアーティストです。RIDE以外でボーカリストとして活躍することはなかったので、特にOASIS加入以降はアンディのソロアルバムを心待ちにしていたというオールドファンは少なくなかったはずです(筆者もそのひとり)。

このソロアルバムはもともと、2016年1月のデヴィッド・ボウイの死に触発されて制作がスタートしたんだとか。OASIS〜BEADY EYE時代の盟友ゲム・アーチャー(ex. HEAVY STREO)のスタジオでいくつかの楽曲を作り上げたものの、RIDEが再結成後初となるアルバム『WEATHER DIARIES』(2017年)制作に乗り出したこともあり、ソロアルバムは一度暗礁に乗り上げます。以降もRIDEは順調に活動を続け、2019年夏には再始動後2作目となる『THIS IS NOT A SAFE PLACE』をリリース。しかし、2020年に入ると新型コロナウイルス感染拡大によるロックダウンで、すべてがストップしてしまいます。

この空白の時間を通じて、アンディはソロアルバム制作を再開。ちょうど同年8月に50歳の誕生日を迎えることもあり、これまでの音楽人生を総括するような内容のアルバムを完成させます。

内容はRIDE的な要素も若干感じられるものの、かといってシューゲイザーかといわれるとまったくそんなことはなく。むしろRIDEの3作目『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)で見せたソングライターとしての成熟ぶりにさらに拍車がかかったかのような、非常に聴き応えのある楽曲群を楽しむことができます。

60年代のビートルズやTHE BYRDSを経て、80〜90年代のTHE STONE ROSESやSPACEMEN 3、THE LA'Sを通過したサイケデリック感とフォーキーさ、近年のアンビエント/エレクトロユニットGLOKを通じて得たテイスト、そしてRIDE以降の音楽活動で培った作曲家/表現者としての技量が遺憾なく発揮された楽曲の数々は、全体的に穏やかながらも安心して楽しめるものばかり。RIDEでやれそうでやれないであろう作風も少なくなく、人生の折り返し地点を追加したアンディのリアルが伝わる良作と言えるのではないでしょうか。

RIDEファンはもちろんのこと、特に『CARNIVAL OF LIGHT』や再始動後の2作を気に入っているリスナーなら、すんなり受け入れられるはず。もちろんRIDEにあるような派手さは皆無ですが、バンドの4分の1ならではのエッセンスは見事に健在。今後定期的にソロ作に着手するのかどうかはわかりませんが、できることなら節目節目でこのように内向的でサイケデリックな作品を届けてもらえるとうれしいかな。

 


▼ANDY BELL『THE VIEW FROM HALFWAY DOWN』
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2021年1月29日 (金)

RIDE『NOWHERE』(1990)

1990年10月にリリースされたRIDEの1stアルバム。

1989〜90年にかけて『RIDE』(通称“赤ライド”)、『PLAY』(通称“黄ライド”)と2枚のEPを立て続けに発表し、それぞれで「Chelsea Girl」「Like A Daydream」という後世まで残る代表曲を生み出したRIDE。のちにシューゲイザーやドリームポップと呼ばれるようになるジャンルを、MY BLOODY VALENTINEらと確立させたという点において、これら2枚のEPが果たした役割は非常に大きかったはずです。当時、すでに上京していた僕は、音楽誌などで名前を目にしてからそれら2枚を求めて六本木や西新宿のレコード店を何度もさまよったものです。

これらのEPを経て届けられた初のフルアルバム。残念ながら先の2曲をはじめとするEP収録曲は含まれていませんが(これら8曲は、のちに編集盤『SMILE』として流通)、それらを補って余りあるほどの名盤に仕上がっています。いや、ぶっちゃけこっちのほうが好きです僕は。

全8曲(ボーナストラック除く)中7曲でマーク・ガードナー(Vo, G)がリードボーカルを担当、うち1曲「Seagull」はアンディ・ベル(Vo, G)とのツインボーカルという本作。アンディは「Paralysed」「Vapour Trail」の2曲にとどまっていますが、このどちらも素晴らしい仕上がり。メジャー感を出すという点においてはマークのボーカルを前面に打ち出すのは正解で、事実オープニングを飾るシューゲイズナンバー「Seagull」のツインボーカルで掴みはまずOKだし、そこからマークのキャッチーな歌声がたっぷり楽しめるのも正しい。音楽性自体も「Dream Burn Down」を筆頭としたシューゲイザーから少しずつ幅を広げ始めており、すでにマイブラなどとは異なる道へと進み始めていることが伺えます。

バックで鳴る轟音ギターの壁はあるものの、曲構成やアレンジ、メロディラインなどは、この数年後に勃発するブリットポップから生まれたバンドにも通ずるものがあり、RIDEが確実にルーツのひとつになっていることはご理解いただけるはず。実際、RIDE自身もアルバムを重ねるごとにそういったブリットポップバンドの枠へと、どんどん食い込んでいくことになりますしね。

こうやって振り返ると、1990年って本当に境目だったんだなと気づかされます。ある意味ではTHE STONE ROSESもこの枠に含まれるんでしょうけど、ひとつ前の世代であるTHE SMITHSがいて、このひとつあとの世代に(本当は同時代に生まれたんだけど、化けたという意味では次世代の)BLURがいたり、それこそOASISがいたり。RIDEって味付けこそ濃かったものの、軸にあるものはTHE SMITHS世代の延長ですからね。そこからのいいとこ採りがのちのブリットポップなわけで……そういった意味では、実は不幸な立ち位置なのかもしれませんね。

ですが、それでもアルバム本編ラストを飾るアンディVo曲2連発(「Paralysed」「Vapour Trail」)の美しさは他の何にも変えがたい存在感と魅力があるし、CD化の際に3曲(「Taste」「Here And Now」「Nowhere」)追加されたことで、アルバムの全体像が若干ぼやけてしまったけど(さらなる再発で加わった「Today」を筆頭とした4曲のせいで、さらに輪郭がぼやけたけど)、それでもオリジナルの8曲構成に勝るものなし。初期EPはもちろん素晴らしいんだけど、僕としては本作と次作『GOING BLANK AGAIN』(1992年)をRIDEの入り口としてオススメしたいです。

 


▼RIDE『NOWHERE』
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2019年12月31日 (火)

2019年総括:①洋楽アルバム編

2019年もあと半日で終わり。いわゆる「テン年代」が終わるわけですね。さて、毎年恒例となった1年の総括を今年もじっくり書いていこうと思います。

今年からちょっと趣向を変えてみました。まず、①洋楽アルバム編(ジャンルレスでその年リリースのお気に入りアルバム10枚+次点10枚)、②邦楽アルバム編(同アルバム10枚+次点10枚)までは一緒、ここ数年続けてきた「その年の気になったアイドルソング10曲(+次点5曲)」をやめ、昨年から番外編として公開した③HR/HM、ラウドロック編(その年リリースのお気に入りアルバム10枚+次点10枚)と、④楽曲編(洋楽邦楽/ジャンル/リリース年関係なく、その年よく聴いた楽曲20曲)を新たに公開することにしました。

①、②および④に関してはアルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けて、③には意図的に順位をつけております(③は別媒体で準備を発表しているので、それを転載します)。特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは①洋楽アルバム編です。

 

■洋楽10枚(アルファベット順)

上位10枚を紹介する前に、次点となった10枚をご紹介。

<次点>
・CHELSEA WOLFE『BIRTH OF VIOLENCE』(レビュー
・THE CHEMICAL BROTHERS『NO GEOGRAPHY』
・CIRCA WAVES『WHAT'S IT LIKE OVER THERE?』
・FAYE WEBSTER『ATLANTA MILLIONAIRES CLUB』
・RIDE『THIS IS NOT A SAFE PLACE』(レビュー
・RUSSIAN CIRCLES『BLOOD YEAR』(レビュー
・SHARON VAN ETTEN『REMIND ME TOMORROW』
・TEMPLES『HOT MOTION』
・TORO Y MOI『OUTER PEACE』
・TWO DOOR CHINEMA CLUB『FALSE ALARM』

昨年の年間企画にも書きましたが、自宅で音楽を聴くときってメタル/ラウド系以外はほぼ女性ボーカルのまったりした音楽が中心だったんですね。単に老いただけかもしれませんが(笑)、そういった類の音楽に心地よさ、気持ち良さを求めるようになったのは事実です。が、単にアコースティックでまったりしたものよりは、どこか尖っているほうが惹きつけられるし、何度も聴きたくなるのもまた事実。ここに挙げた次点10枚にはそういった作品が多く含まれている気がしてなりません。

さて、ここからが本編。僕が選んだ2019年洋楽アルバムTOP10です。

 

・BILLIE EILISH『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』(Spotify

・BON IVER『i,i』(Spotify

・BRING ME THE HORIZON『amo』(Spotify)(レビュー

●BRING ME THE HORIZON『Music to listen to-dance to-blaze to-pray to-feed to-sleep to-talk to-grind to-trip to-breathe to-help to-hurt to-scroll to-roll to-love to-hate to-learn Too-plot to-play to-be to-feel to-breed to-sweat to-dream to-hide to-live to-die to-GO TO』(Spotify)(レビュー

・EX: RE『EX: RE』(Spotify)(レビュー

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2019年8月25日 (日)

RIDE『THIS IS NOT A SAFE PLACE』(2019)

2019年8月リリースの、RIDE通算6枚目のオリジナルアルバム。

2014年に再結成を果たし、2017年6月には『TARANTULA』(1996年)以来21年ぶりの新作『WEATHER DIARIES』を発表し、全英11位という好記録を残したRIDE。そこから2年2ヶ月という(このご時世においては比較的)短いスパンで届けられた新作は、前作を超える全英7位という好結果を残しています(全英TOP10入りは1994年の3rdアルバム『CARNIVAL OF LIGHT』の5位以来のこと)。

復活作となった前作『WEATHER DIARIES』はRIDEの歴史を総括するような、集大成的な内容で古くからのリスナーから再結成後に彼らをしったビギナーまで、幅広い層を楽しませてくれました。続く本作も基本的な作風な一緒で、RIDEなりに“2019年のシューゲイザー/ドリームポップ”と真摯に向き合った力作に仕上がっています。

オープニングの「R.I.D.E.」のゴリゴリしたデジタル風カラーに若干驚かされますが、続く「Future Love」では従来のRIDEらしさが表現されたポップチューンが楽しめます。

その後もキャッチーな楽曲、独自の解釈でシューゲイザーを表現したナンバーがズラリと並びます。作風こそ前作以上にモダンさを感じさせるものですが、どの曲も聴けばそれがRIDEの新曲だとわかるものばかり。単なる焼き直しで終わっておらず、しっかりと“今を生きるバンド”としての生命力がアルバム中至るところから感じられます。

プロデュースを手がけたのは、前作から引き続きエロル・アルカンが担当。前作にもその香りは感じられましたが、今作はその比じゃないくらいにエロル・アルカン色が強まっているのかなと感じました。もともとロッキン色の強いDJ/アーティストですが、今作ではエレクトロ/ダンスミュージックのテイストをロック/シューゲイザー/ドリームポップと掛け合わせることで、従来のRIDEらしさをうまいことバージョンアップさせることに成功しているように感じました。そりゃあ嫌いな人、いないでしょ?っていう内容ですよ、これは。

なおかつ、しっかりと内省的なアコースティックナンバーや、『CARNIVAL OF LIGHT』あたりで実験したアーシーな路線もしっかり含まれている。つまり、“最強のRIDE”ってことです。

まさか解散から20年以上経ってから再結成してオリジナルアルバムを2枚も届けてくれるとは思ってもみなかったし、それら2作品が(個人的に)その年を代表する1枚になるなんて、彼らが解散した90年代半ばは想像もしてなかったなあ。感慨深さ以上に、聴いているだけで胸が熱くなる1枚です。

 


▼RIDE『THIS IS NOT A SAFE PLACE』
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2018年10月20日 (土)

HURRICANE #1『HURRICANE #1』(1997)

アンディ・ベル(Vo, G)がRIDE解散後に結成した4人組バンドHURRICANE #1の、1997年9月発売のデビューアルバム(日本では本国よりも早い同年7月に先行リリース。アメリカでは10月に発売)。メンバーはギターに専念したアンディのほか、アレックス・ロウ(Vo, G)、ウィル・ペッパー(B)、ガレス・ファーマー(Dr)という4人編成。RIDEから引き続き Creation Recordsからのリリースで、「Step Into My World」(全英29位)、「Just Another Illusion」(同35位)というシングルに続いてアルバムも全英22位まで上昇。その後も「Chain Reaction」(同30位)とヒットシングルが続き、デビュー作としてはひとまず成功を収めた部類に入るのかな。

後期はレイドバックしたカントリーロックに片足突っ込んだり、ラスト作では中途半端なロックを聴かせたりと、踏んだり蹴ったりだったRIDEでしたが、初期はバンドの中心人物だったアンディがこの新バンドで鳴らしているのは、モロに“OASIS以降”のUKロック。いや、UKロックというよりもブリットポップと呼んだほうが正しいか。

アレックス・ロウの歌声や歌唱法、「Step Into My World」で鳴らされているサウンドもあって、本当にOASISのそれなんですよね。しかも、単なる亜流では終わらない、しっかり作り込まれた曲だったりするから余計にタチが悪い(笑)。いや、本当に良い曲なんですよ。

まあそれもそもはず、当時のアンディは血迷ったのか「OASISとTHE STONE ROSESを足して2で割ったようなバンド」をいたのですから……ちゃんとそのとおりになっていますよね!

ビート感の強さはローゼズ、メロディの強さはOASIS。しかし、そこに“RIDEのアンディ”の個性はちゃんと出ているのか、と問われると正直答えに困ります。「Mother Superior」や「Let Go Of The Dream」といった楽曲は、確かにアンディ・ベルというソングライターでなければ書けなかった曲かもしれないけど、別にアンディがこれをやらなくてもいいんじゃない?っていう思いもある。無駄に曲の出来が良いもんだから、当時は非常に評価に迷った記憶があります。

その後、アンディが当のOASISに加入し(しかもベーシストとして。苦笑)、OASIS解散後は紆余曲折を経てRIDEを復活させアルバムまで制作した。そんな20年を経て、今改めてフラットな気持ちで接してみると……やっぱり「良いアルバム」以上の感想は持てないかな。まあ、それでいいじゃない?って声もありますけど、やっぱりアンディ・ベルという人には“もっと上”を求めてしまいたくなるんですよね。

ちなみにHURRICANE #1、2014年にアレックス・ロウ中心に再結成しています。アンディはRIDEがあるので正式復帰はしていませんが、16年ぶりの新作『FINE WHAT YOU LOVE AND LET IT KILL YOU』(2015年)には1曲のみアンディもギターでゲスト参加しております。解散前と異なり、アレックス中心で書かれた新作の楽曲群もなかなかの出来です。



▼HURRICANE #1『HURRICANE #1』
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2018年10月14日 (日)

RIDE『GOING BLANK AGAIN』(1992)

1992年3月にリリースされた、RIDE通算2枚目のオリジナルアルバム(日本では4月に発売)。1stアルバム『NOWHERE』(1990年)から1年半という短いスパンで届けられた本作は、プロデュースをバンド自身と前作のミックスを手がけたアラン・モウルダー(MY BLOODY VALENTINETHE SMASHING PUMPKINSNINE INCH NAILSなど)が担当。自己最高の全英5位を記録し、本国では10万枚を超えるヒット作に。「Leave Them All Behind」(同9位)、「Twisterella」(同36位)というシングルヒットも生まれました。

8分を超えるオープニングトラック「Leave Them All Behind」こそ“これぞシューゲイザー!”と呼びたくなるほど完成度の高い楽曲ですが、本作は決してシューゲイザー一辺倒というわけではありません。むしろ、シューゲイザーのフィールドに片足を突っ込みながら、もう片方で“脱シューゲイザー”を宣言するような、そんな力作に仕上がっています。

前作『NOWHERE』は確かにシューゲイザーの代名詞的作品だったと思います。しかし、「Leave Them All Behind」を初めて聴いたとき……ぶっちゃけ「あ、軽く前作を超えやがった」と思ったものです。強度という点においては、本作の無双感はハンパないんですよ。

かと思えば、歪み系の弱いギターポップチューン「Twisterella」にびっくりさせられ、“もはやパワーポップじゃん!”と叫びたくなる「Not Fazed」、前作にあったスタイルのひとつを進化させた叙情的な「Chrome Waves」など、音楽性の幅を一気に広げ始めています。

これってつまり、友達同士で「これやろうぜ!」って軽い気持ちで始めたバンドが、経験を積んだことで急激に進化していった……その一番良いタイミングを捉えたということなんでしょうかね。事実、この先メンバー間のバランスがいびつになり始め、急速に終焉へと向かっていくわけですから。

「Leave Them All Behind」とは別の形でシューゲイザーを体現している「Cool Your Boots」や「OX4」など、次作『CARNIVAL OF LIGHT』(1994年)ではもう聴けない輝き……バンドとしてここでクライマックスを迎えるなんて、あの当時は考えもしなかったなぁ。

個人的な思い出をひとつ。このアルバムがリリースされた頃、僕はイギリスに留学中でした。たまたま観たBBC『TOP OF THE POPS』で流れた「Leave Them All Behind」のスタジオライブ映像(たぶん当て振りだったと思う)に衝撃を受け、アルバムは発売されてすぐに購入。当時ポータブルCDプレイヤーなんて持っておらず、カセットしか聴けない状況だったので、当然カセット版を購入するわけです。旅の間、ずっと聴きまくったなぁ……。で、帰国してCDを購入したんだった。マニックス『GENERATION TERRORISTS』とこれはイギリス滞在中、本当にお世話になったアルバムでした。そんな大切な思い出の詰まった1枚です。



▼RIDE『GOING BLANK AGAIN』
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2017年12月31日 (日)

2017年総括(1):洋楽アルバム編

2017年もあと半日で終わりということで、毎年恒例となった今年の総括を書いていこうと思います。

その年のお気に入りアルバムを洋楽10枚(+次点10枚)、邦楽10枚(+次点10枚)、2017年気になったアイドルソング10曲(次点なし)、そして今年印象に残ったライブ5本をピックアップしました。アルファベット順、五十音順に並べており、順位は付けていませんが特に印象に残った作品には「●」を付けています。

特にこの結果で今の音楽シーンを斬ろうとかそういった思いは一切ありません。ごく私的な、単純に気に入った/よく聴いたレベルでの「今年の10枚」です。

まずは洋楽アルバム編です。


■洋楽10枚(アルファベット順)

・Björk『UTOPIA』(amazon)(レビューはこちら

・CIGARETTES AFTER SEX『CIGARETTES AFTER SEX』(amazon

・CONVERGE『THE DUSK IN US』(amazon)(レビューはこちら

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2017年7月 4日 (火)

RIDE『WEATHER DIARIES』(2017)

ジザメリの19年ぶりにもひっくり返ったけど、RIDEの21年ぶり新作という現実にもただただ驚かされたわけでして。2015年のフジロックで、彼らの勇姿を観てアガったという人、少なくないはずです。その年の秋には単独再来日も実現し(僕はチケットを持っていながら、隣の駅にあるスタジオでずっと取材をしてたので行けず終い)、「もう1stアルバムや2ndアルバムの曲を中心にライブしてくれるだけで十分! この再結成、継続させてほしい……」と願っていたところ、なんとニューアルバムまで作ってしまったのだから驚きです。

先行公開された「Charm Assault」はしっかり従来のRIDEらしさが伴っており、それでいて末期(1996年のラストアルバム『TARANTULA』期)にも通ずるストロングスタイルのロック色もありで、「ああ、奴らはちゃんとあれもなかったことにせず、全部引き受けて先に進もうとしてるんだ」と思ったものです。さらに続けて公開された「Home Is A Feeling」は完全の初期RIDEそのもので、この2曲だけで「本当にRIDEが完全新作携えて戻ってきた!」と喜びの声を上げたのでした……この気持ち、共感してくれる人、多いですよね?

それから4ヶ月後、いよいよリリースされた通算5枚目のスタジオアルバム『WEATHER DIARIES』には、RIDEの“すべて”が詰まっています。それは名作と呼ばれる初期のシングル群や1stアルバム『NOWHERE』(1990年)、2ndアルバム『GOING BLANK AGAIN』(1992年)での「我々がイメージするRIDE像」をしっかり具現化しつつ、この21年の間にメンバー4人が培ってきた音楽的素養もしっかり反映されたものになっている。プロデューサーには英国クラブミュージック界の人気DJエロール・アルカン、ミキシングには『GOING BLANK AGAIN』などを手がけたお馴染みのアラン・モウルダーをそれぞれ迎え、しっかりと「2017年に鳴らされること」を意識して制作されています。

シューゲイザー、ドリームポップなどこのアルバムに対する表現はいろいろあると思います。実際そういう音だと思うし、アルバムまるごとセンチメンタリズムの塊ではあるんだけども、決して単なるノスタルジーでは終わらない、今の音として成立している。これを実現するためには、解散前みたいに「この曲は俺が書いた」「これはあいつが書いたからあいつが歌えばいい」といったいざこざは無用。初期の頃のように、4人がひとつとなって何かに取り組む。それが実現できるかできないかで、このアルバムを作るかどうかが決まったのではないでしょうか。で、実際本作はそういう作品になったと。ちゃんと「今のリスナーにモノ言わしてやろうぜ!」という気概も感じられるしね。

まさか2017年にRIDEの新作が、しかも傑作とちゃんと断言できるアルバムが聴けるなんて。2年前は想像もしてなかったなぁ。そして彼らはこのアルバムを携えて、8月に『SUMMER SONIC 2017』深夜の部『HOSTES CLUB ALL-NIGHTER』で2年ぶり日本へ戻ってきます。行かない理由はないよね。



▼RIDE『WEATHER DIARIES』
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