2018年5月10日 (木)

RIOT V『ARMOR OF LIGHT』(2018)

前作『UNLEASH THE FIRE』(2014年)からRIOT V名義で活動を再開させたRIOT。彼らの通算16作目、RIOT Vとしては2作目となるニューアルバムが本作『ARMOR OF LIGHT』です。今回もジャケット、最高ですね(笑)。

オリジナルメンバーのマーク・リアリ(G)を失い、マイク・フリンツ(G)とドン・ヴァン・スタヴァン(B)を中心に再編成されたRIOT Vですが、前作から新加入のトッド・マイケル・ホール(Vo)がいよいよ本作で本領発揮か?という素晴らしいボーカルを聴かせてくれます。

サウンド的には『THUNDERSTEEL』(1988年)以降の路線ではあるのですが、本作はスピード感以上にドラマチックさに重点を置いたのが功を奏し、1曲1曲が聴き応えのある仕上がりに。オープニングの「Victory」から「End Of The World」へと続く泣きメロ満載のファストチューン連発に思わずガッツポーズしたかと思うと、『THUNDERSTEEL』期を思わせるスラッシーな「Messiah」が飛び出したりと、とにかく気をつかせぬ展開の連続です。

どの曲にもしっかり“RIOTらしさ”が感じられつつも、そことも違う“何か新しいもの”が始まろうとしている感覚が前作以上に強まっている。そこは、『UNLEASH THE FIRE』発表前後のツアーを経て強めた絆によるものが大きいのかもしれません。RIOT時代に築き上げたスタイルを引き継ぎつつも、「RIOT V」という新しい名前を得たことによる新たな道を切り開くことも重要な命題であるわけですから。

マイク・フリンツとニック・リー(G)からなるツインリードソロも随所に盛り込まれておりますが、どれも自然な形で飛び込んでくる。そう、無理してる感がないんですね。“RIOTらしさ”を意識しすぎて「どこかに入れないと」みたいな感じではないから、こちらも素直に向き合える。なおかつ、トッド・マイケル・ホールの高音域の伸びの良さと力強さが本当に気持ちよく、バックのパワフルな演奏にまったく負けていない。逆に考えると、ここまで歌えるシンガーがいるからこそ、ツインリードも随所に盛り込めるし、演奏もどこまでもドカドカと派手にやれるわけですね。

7曲目「Armor Of Light」までひたすら突っ走り、8曲目「Set The World Alight」でようやくミディアムテンポのメロウナンバーが登場するのですが、続く9曲目「San Antonio」で再度ファストチューンに。その後は10曲目にミドルヘヴィ調の「Caught In The Witches Eye」、11曲目にシャッフルナンバー「Ready To Shine」ときて、本編ラストは再び疾走系の「Raining Fire」で終了。日本盤にはボーナストラックとしてミドルナンバー「Unbelief」と、名曲「Thundersteel」の再録バージョンが追加されています。

……あれ、バラードとかないんだ……というのが、最初に聴き終えたときの素直な感想。これだけしっかりした曲が書くことができて、しっかり歌えるシンガーがいるんだから、1曲くらい朗々と歌い上げるメタルバラードがあってもいいのに。とにかくファストチューンが多すぎて、後半のミディアムナンバーが登場するまで変化に乏しいというのもあって、できればそういう1曲が欲しかったなと。そこだけが残念でした。

ボーナストラック「Unbelief」もバラードとは違うけど変わったタイプの楽曲なので、アルバム本編に入っていたらちょっと印象が変わったかも。とにかく、オッサンが60分近く聴くにはちょっとカロリー高いかな、というのが本音です。だからといって、別に悪い作品というわけではないので勘違いないように。

なお、デラックス盤には2015年の『KEEP IT TRUE FESTIVAL』でのライブ音源13曲を収めたボーナスディスク付き。過去の名曲群を現編成で楽しめる貴重な音源なので、ぜひこちらをチェックしてみることをオススメします。



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投稿: 2018 05 10 12:00 午前 [2018年の作品, Riot, Riot V] | 固定リンク

2017年1月 7日 (土)

RIOT『THUNDERSTEEL』(1988)

RIOTの記念すべき復活作、というか第二のデビュー作と呼ぶにふさわしい1988年発売の6thアルバム。RIOTというと頭がオットセイ、首から下が人間という謎のキャラクターが映ったジャケットのイメージが先行しがちですが、楽曲的には「Warrior」や「Narita」といった初期のイメージが強かったと思います。ツインリードを多用した、古き良き時代のハードロックといいますか。良くも悪くもそのイメージ止まりだったかなと。しかも80年代に入ると、これといった大きなヒットにも恵まれず、徐々に先細りしていたと思うんです。

ところが、1988年に突如この『THUNDERSTEEL』というアルバムとともに大復活。アルバムで聴ける音楽性もオールドスクールなハードロックから、一気にパワーメタルやスラッシュメタル的なスタイルへと進化したもんだから、そりゃ当時はびっくりしましたよ。

ハイトーンボーカルが特徴のトニー・ムーア、そして超絶ドラマーのボビー・ジャーゾンベクの加入がバンドにもたらした影響はかなり大きかったと思います(レコーディングでは一部のドラムを当時LIONのマーク・エドワーズが叩いてます)。哀愁に満ちたメロディはそのままに、リフワークやアレンジは現代的なものになり、スピード感もヘヴィさも当時のメタルに負けないものでしたし、実際言われなかったらこれがRIOTの新作だと誰も信じなかったと思います。

のちに、これと同じような体験をとあるバンドですることになるんですよね。それがJUDAS PRIEST『PAINKILLER』(1990年)。感覚的にはあれに近いかもしれません。もっと最近だと……いい例え、ありますかね?

とにかく。今聴いてもオープニングの「Thundersteel」の衝撃は変わらないし、「Flight Of The Warrior」や「On Wings Of Eagles」、「Johnny's Back」の疾走感は気持ちいいし、「Bloodstreets」や「Run For Your Life」のパワーメタル感はハンパないし、聴いていてため息が出る。こういう変化の仕方、こういう成功の仕方もあるんですね。

残念ながら2012年にリーダーのマーク・リアリ(G)が亡くなってしまいましたが、バンドは現在も存続中。2014年にはアルバム『UNLEASH THE FIRE』を発表し、何度か来日公演も行いました。

このアルバムも1988年発売。そう考えると、HR/HMシーンにおける1988年ってひとつのピークだったのかもしれないですね。



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投稿: 2017 01 07 12:00 午前 [1988年の作品, Riot] | 固定リンク