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カテゴリー「「R.I.P.」」の45件の記事

2021年7月29日 (木)

SLIPKNOT『ANTENNAS TO HELL』(2012)

2012年7月23日(UK/USは24日)にリリースされたSLIPKNOT初のグレイテストヒッツアルバム。日本盤は同年7月25日発売。

2010年5月にポール・グレイ(B)が急逝するものの、バンドは初期メンバーのドニー・スティール(G)をサポートベーシストとして迎え、2011年夏の『Sonisphere Festival』からライブ活動を再開。2012年8月には主催イベント『Knotfest』を初開催し、その健在ぶりを証明することになります。

時系列的に考えると、このベストアルバムは『Knotfest』初開催にあわせて制作されたといっても過言ではありません。ポールを欠いたバンドが次に進む上でのインターバルを考えても、『ALL HOPE IS GONE』(2008年)に続くオリジナルアルバムをすぐに制作するよりは、ここでコンピ盤を出してひと区切りつけるというのは、バンドを長く続けていく上でも必要不可欠なトピックになるでしょうし。

また、これは結果論ですが、ジョーイ・ジョーディソンも2013年にバンドを脱退することを考えると、続くオリジナルアルバム『.5: THE GRAY CHAPTER』(2014年)の前に本作を出しておくことは必須だったのかなと。メンバーチェンジによる変化がどうしても生じてしまいますし、結果やっぱり出してよかったんでしょうね。

さて、内容に関してですが、特に目新しさはありません。シングルとして既発だった「My Plague」のリミックスバージョン(映画『バイオハザード』サントラ収録)や「Vermilion」のテリー・デイトによるリミックスがアルバム初収録になったほか、ライブ映像作品『DISASTERPIECES』収録の「The Heretic Anthem」「Purity」が音源化されたことくらいが大きなトピックで、ここでしか聴くことができない未発表曲などは皆無。つまり、オリジナルアルバムをすべて持っている人には無用な産物と言えるのかもしれません。

しかし、そんなコアリスナーにとってスルーできないのが本作のデラックスエディション。2CD+DVD仕様で発表され本作、CDのDISC 2には2009年の『Download Festival』でのヘッドライナー公演がほぼ完全収録されているのです。同ライブの映像は2010年発売の2枚組映像作品『(sic)nesses』に完全収録されているものの、完全音源化はこれが初めて。ポール&ジョーイを含む編成の記録としても、またSLIPKNOTデビューから10年の節目を飾るタイミングの集大成としても、このライブはファン必聴の内容。映像のみならず、音源として所持しておきたいアイテムのひとつです。

また、特典DVDは『THE COMPLETE MUSIC VIDEOS』と称して「Spit It Out」から「Snuff」までのMV(別バージョン含む)と、「People = Shit」「Psychosocial」などのライブ映像を総括。こちらもファンならば手に入れておきたい代物ではないでしょうか。

『IOWA』(2001年)や『ALL HOPE IS GONE』の10周年デラックスエディションにもリリース当時の貴重な音源で構成されたライブアルバムが付属していますが、それはそれ。『9.0: LIVE』(2005年)を聴いたあとに手にするべきライブ関連のアイテムとしては、実は本作のデラックスエディションではないかと筆者は断言しておきます。

最後に。ジョーイ・ジョーディソンのご冥福をお祈りいたします。

 


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SLIPKNOT『9.0: LIVE』(2005)

2005年11月1日にリリースされたSLIPKNOTのライブアルバム。日本盤は同年11月2日発売。

ライブ映像作品やオリジナルアルバムのデラックス盤付属CDでのライブ音源発表は数あれど、SLIPKNOTの正式なライブアルバムは今のところ本作のみ。3rdアルバム『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』(2004年)リリース後に行われたワールドツアー(2004〜5年)からベストテイクを集めたもので、収録地が異なる音源をひとつのショウのような形で並べた構成となっています。

バンドとしても最初の不和を乗り越えて完成させた『VOL.3 : (THE SUBLIMINAL VERSES)』とあって、勢いや荒削りさよりも安定感の強い演奏(およびそういったプレイが求められる楽曲)を楽しめる作品かなと。実際、アルバム同様にライブのオープニングを飾る「The Blister Exists」や「Before I Forget」「Vermilion」「Pulse Of The Maggots」など、スピードよりも重さやグルーヴを重視した楽曲が前作『IOWA』(2001年)以上に増えたことで、のちの“らしさ”をほぼ確立させていますし。そういった意味でも、SLIPKNOT最初の集大成を示す作品がこのライブアルバムなのかなと思います。

ポール・グレイ(B)&ジョーイ・ジョーディソン(Dr)を含むデビュー時からの黄金期ラインナップによるライブ音源が残されたという点においても、本作は非常に大きな意味を持つのではないでしょうか。特にこのアルバムにはジョーイのドラムソロも含まれていますし。終盤の「The Heretic Anthem」をはじめとした怒涛の展開(特に「Duality」「Spit It Out」「People = Shit」の流れ)は今聴いても本当にシビレるものがあり、映像がなくてもアガリっぱなしですよ。

SLIPKNOTというと視覚的側面でのエンタメ性(メンバーのヴィジュアル、ライブにおける演出など)を取り沙汰される機会が多いですが、こうやって音源のみで表現されることで彼らのライブ力/演奏力の高さを改めて実感することができるはずです。

現在では初期4作(およびポール&ジョーイ在籍時)を総括するグレイテスト・ヒッツ『ANTENNAS TO HELL』(2012年)が存在するのでアレですが、初期はこのライブアルバムがベスト盤的役割を果たしてくれました。そういった意味でも、個人的には重要な作品だったりします。YouTubeの普及やスマホによるライブ撮影の一般化、さらに映像作品が安価で入手できるようになった今、ライブアルバムにどれだけの価値があるのか正直わかりませんが、それでもコンピレーションアルバム以上に好きなんですよね、ライブアルバム。むしろ、ライブアルバムを1枚も作っていないロックバンドは信用できないというか。本作はそんな自分の思いにしっかり応えてくれる、大切な1枚です。

 


▼SLIPKNOT『9.0: LIVE』
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2021年7月28日 (水)

METAL CHURCH『CLASSIC LIVE』(2017)

2017年4月28日にリリースされたMETAL CHURCHのライブアルバム。本作の日本盤単品リリースは現在まで実現しておらず、代わりに最新オリジナルアルバム『DAMNED IF YOU DO』(2018年)デラックス盤にボーナスディスクとして付属。

本作は2016年に発表したマイク・ハウ(Vo)復帰作『XI』を携えたツアーにて披露された、1stアルバム『METAL CHURCH』(1984年)から5thアルバム『HANGING IN THE BALANCE』(1993年)までの楽曲からセレクトした9曲に、3rdアルバム『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)収録の「Fake Healer」再録バージョン(ゲストボーカルにQUEENSRYCHEのトッド・ラ・トゥーレが参加)を加えた10曲で構成。まさに“CLASSIC”の名に相応しい内容となっています。

内訳的には下記のとおり。

1st『METAL CHURCH』(1984年):M-1
2nd『THE DARK』(1986年):M-5、M-6
3rd『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)M-8、10
4th『THE HUMAN FACTOR』(1991年):M-2、4、9
5th『HANGING IN THE BALANCE』(1993年):M-3、7

『THE HUMAN FACTOR』からの楽曲が最も多く、『BLESSING IN DISGUISE』からのライブテイクが「Badlands」のみというのが不満っちゃあ不満ですが、マイク加入前の『THE DARK』から「Watch The Children Pray」「Start The Fire」のマイク歌唱バージョンを楽しめるとう点ではお得感が強いかなと。せっかくならもっと曲数を増やしてほしかったな、と思うのですが、当時のツアーでは旧曲をこれくらいしかやっていなかった可能性も大なので、まあ仕方ないのかな。ほかにも良い曲、たくさんあるんですけどね。

今のMETAL CHURCHの姿をライブ音源を通じて体験するというよりは、過去の名曲群を今のライブサウンドで聴くというくらいのスタンスなのかな。さすがにイマドキ、CDにライブ音源9曲+ボートラでスタジオ再録1曲はモノ足りなさすぎますよ。

そういう意味では『DAMNED IF YOU DO』のレビューにも書いたように、『DAMNED IF YOU DO』のオマケ程度でこのライブベストを楽しむのがもっとも正しい聴き方なのかな?という気も。あとは、2019年8月の25年ぶり再来日公演の余韻を味わったり、同ライブに行けなかったことを悔しがりながら聴くのもアリかと(笑)。

……なんてこと言って、実はそのライブがマイク・ハウ在籍時最後の来日になるとは、当時は思いもしませんでしたが……。

マイク・ハウの冥福をお祈りいたします。

 


▼METAL CHURCH『CLASSIC LIVE』
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METAL CHURCH『HANGING IN THE BALANCE』(1993)

1993年10月7日にリリースされたMETAL CHURCHの5thアルバム。日本盤は同年8月21日に先行発売。

Epic Records移籍第1弾アルバム『THE HUMAN FACTOR』(1991年)が前々作『BLESSING IN DISGUISE』(1989年)同様に高評価を獲得したものの、湾岸戦争勃発の影響によるワールドツアー短縮、および不景気からくるレーベル内淘汰によりアルバム1枚で契約打ち切りとなってしまったMETAL CHURCH。そんな苦境にもめげず、新たにジョーン・ジェット運営のBlackhearts Recordsと契約(アメリカと日本のみ。ヨーロッパではSPV / Steamhammer Recordsと契約)し、2年半ぶりの新作を完成させます。

アートワークの酷さに聴く前から引き気味になるリスナーも少なくないでしょうが、中身は前作の延長線上にある王道パワーメタルの良作。インディーズ落ちによる予算削減も影響してか、音質はあまり良くないのですが、その生々しいサウンドがミドルヘヴィナンバーには不思議と合っているような気がします。

重めのミドルナンバーと疾走感の強い楽曲が交互に並ぶ序盤の構成は、過去2作のスラッシュメタルの影響下にある作風とは異なるものが感じられ、特にジェリー・カントレル(G/ALICE IN CHAINS)がリードギターで参加したオープニング曲「Gods Of Second Chance」や、BメロがJUDAS PRIEST的なアップチューン「Losers In The Game」(この2曲のタイトルの素晴らしさよ)、前作を経たことで生まれたシャッフル調のヘヴィチューン「Hypnotized」、当時のツアーでオープニングを飾った「No Friend Of Mine」、いかにも彼ららしいヘヴィバラード「Waiting For A Savior」という前半の流れは完璧に近いものがあります。

後半もBUDGIE「Breadfan」を彷彿とさせるイントロの「Conductor」から始まり、アメリカ人目線で原爆について歌われた「Little Boy」(コーラスでジョーン・ジェットもゲスト参加)、ザクザク刻むギターリフが気持ち良い「Down To The River」、緩急に富んだアコースティックギターの使い方が絶品な「End Of The Age」、終盤に向けての小休止的インスト「Lovers And Madmen」を経て突入するパワフルなミドルチューン「A Subtle War」という構成で締め括り。特に後半は7〜8分台の長尺曲「Little Boy」「End Of The Age」で魅せる構築美にうっとり。その合間に入るアップチューンがそれぞれタイプが異なることと相まって、前作とは異なる色彩美で聴き手を魅了します。

マイク・ハウ(Vo)のボーカルも良好ですし、これでレコーディング環境やミックスにもっとお金をかけていたら最強のメタルアルバムになっていたはずだし、彼らも解散という道を選ばずに済んだのでは……もちろん、今となってはの話ですが。

本作を携えたワールドツアーを2年にわたり続けたMETAL CHURCHでしたが、1996年にバンドは解散の道を選択。マイク・ハウは音楽業界を引退することとなるのでした(その19年後、マイクはMETAL CHURCH復帰とともに業界にカムバック)。

 


▼METAL CHURCH『HANGING IN THE BALANCE』
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2021年7月 6日 (火)

SKID ROW『RISE OF THE DAMNATION ARMY - UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER TWO』(2014)

2014年8月5日にリリースされたSKID ROWのEP。日本盤未発売。

前作『UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER ONE』(2013年)に次ぐ本作は、三部作の第2弾。参加メンバーは前作同様にジョニー・ソーリンガー(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、スコッティ・ヒル(G)、レイチェル・ボラン(B)、ロブ・ハマースミス(Dr)の5人。

内容も前作から引き続き、オリジナル5曲+カバー2曲の全7曲で構成されています。前作で先祖返りしてリスナーを驚かせた彼らですが、前の1枚をデビュー作『SKID ROW』(1989年)寄りのテイストと無理矢理括るならば、続く今作は2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)寄りのテイストで統一されているかな、という衣装を受けます。良くも悪くも『SKID ROW』の路線を焼き直した楽曲が散見されたものの、個人的にはご祝儀的に高評価を与えた前作を経て、ここでは『SLAVE TO THE GRIND』のテイストを用いているものの、より今の5人らしさが強く滲み出ているかな、という気もしています。

前作にあったメジャーキーのパワーバラードは皆無で、唯一「Catch Your Fall」がそっち寄りの1曲。ただ、ここでは『SLAVE TO THE GRIND』に収録されていそうなダークサイドを表現しており、かつ単なる焼き直しで終わらないオリジナリティも伝わってくる。

かと思えば、「Slave To The Grind」の“腹違いの弟”的なファストチューン「Damnation Army」があったり、地を這うようにダーク&ヘヴィな「Zero Day」がある。後者のみギリギリ3rdアルバム『SUBHUMAN RACE』(1995年)的かなという気がしますが、全体を通して聴いたときの統一感もあって、スルスルと楽しめてしまう。本来彼らが4thアルバム『THICKSKIN』(2003年)でやろうとしていたことの一端ってこういうことだと思うんですが、ようやくここであの路線が消化できたんじゃないでしょうか。10年かかったか……(苦笑)。

カバー曲はQUEEN「Sheer Heart Attack」、AEROSMITH「Rats In The Cellar」とド直球なセレクト。どちらもアップテンポの軽やかなハードロックですが、むしろこの2曲って前のEPに入れるべきだったんじゃないかな。で、前のEPに収めていたE・Z・O「Fire Fire」やJUDAS PRIEST「United」がこっちに入っていると収まりがよかったような気がするんですが……難しいものですね。

本EP発売前の2014年4月には19年ぶりの来日公演も実現。三部作完結編の登場を期待されていたところ、2015年春にジョニーが脱退。以降、トニー・ハーネル(TNT)やZPサート(ex. DRAGONFORCE)がフロントに立っていますが、噂される三部作完結編となるフルアルバムはいまだ届けられず。そして、2021年6月末にジョニーの病死がアナウンスされました……。

実は昨日からの更新は、この訃報を受けて「このタイミングにフラットな視点で、ジョニー在籍時のSKID ROWを総括しよう」と思ったことがきっかけでした。2014年の来日時は仕事の都合などもあり足を運ぶことができませんでしたが、本当にあのとき無理してでも観ておけばよかったな……と今回振り返ってみて改めて実感しました。

ZPサートを含む布陣で三部作をしっかり完結させてくれるのか、それとも別の方向へと進むのか。なんにせよ、今のSKID ROWから目を逸らすことなく、しっかり行く末を見届けようと思います。

最後に、ジョニー・ソーリンガーの冥福をお祈りいたします。

 


▼SKID ROW『RISE OF THE DAMNATION ARMY - UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER TWO』
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SKID ROW『UNITED WORLD REBELLION: CHAPTER ONE』(2013)

2013年4月16日にリリースされたSKID ROWのEP。日本盤未発売。

新作音源としては5thアルバム『REVOLUTIONS PER MINUTE』(2006年)から約7年ぶり。参加メンバーはジョニー・ソーリンガー(Vo)、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、スコッティ・ヒル(G)、レイチェル・ボラン(B)、新加入のロブ・ハマースミス(Dr)。

本作は三部作の第1弾となる新録作品で、5曲のオリジナル曲と2曲のカバー曲で構成されています。『REVOLUTIONS PER MINUTE』がレイチェルのカラーが強く反映されたパンク/オルタナ路線で、新生SKID ROWのスタイルがいよいよ確立されたか……そう思わせておいて、7年後に発表された今作では先祖返りしているという(笑)。

そうなんです。ここで聴けるオリジナル曲の大半がメガヒットを記録したデビュー作『SKID ROW』(1989年)や、全米1位を獲得した2作目『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)の延長線上にあるスタイルなのです。どちらかというと『SKID ROW』寄りのテイストなのかな、オープニングを飾る「Kings Of Demolition」といい、王道パワーバラード「This Is Killing Me」といい、古き良き時代のキャッチーなハードロックを思わせるテイストで、楽曲の出来自体も決して悪くない。ジョニーのボーカルも4作目『THICKSKIN』(2003年)ではあまり声域が広くないんだなと感じていたものの、ここではセバスチャン・バック(Vo)の影がチラつくくらいにまでパワフルな高音域ボーカルを聞かせてくれている。バズの影がチラつくのはどうかと思うものの、これはこれで古くからのファンはうれしいんじゃないかな。

ダークな「Get Up」や「Stitches」も『THICKSKIN』や『REVOLUTIONS PER MINUTE』のカラーとは異なる、明らかに90年代前半的なものだし。これを貶すのはもう、単にバズがいないというイメージだけで判断してしまっているんじゃないでしょうか。そう思わずにはいられないほど、初めて聴いたときは「続編はよ!」ってワクワクしたよなあ。

気になるカバーですが、E・Z・Oの「Fire Fire」とJUDAS PRIEST「United」。この選曲センスもバズ時代に回帰した感があるし、かつ仕上がりも期待値以上。特に「Fire Fire」はジョニーのボーカルにMASAKIが憑依していて、本家にも匹敵する好演だと思いますよ。

過去2作はなんだったんだ……と疑問を呈したくなりますが、これはこれでいいんじゃないでしょうか。SKID ROWがSKID ROWであることを選んだわけですからね。

 


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2021年7月 5日 (月)

SKID ROW『REVOLUTIONS PER MINUTE』(2006)

2006年10月24日にリリースされたSKID ROWの5thアルバム。日本盤は同年12月20日発売。

ジョニー・ソーリンガー(Vo)を迎えて2作目のフルアルバム。ドラマーは前作参加のフィル・ヴァロン(ex. SIGON KICK)からデイヴ・ガラ(ex. BETTY BLOWTORCH、ex. BULLETBOYSなど)に交代しています。また、このアルバムではプロデューサーにデビュー作『SKID ROW』(1989年)や全米No.1アルバム『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)を手がけたマイケル・ワグナーが参加しています。

マイケル・ワグナープロデュース作ということで淡い期待をしてしまうわけですが……よせばいいのに(笑)。内容的には前作『THICKSKIN』(2003年)で展開したスタイルをより濃縮し、統一感を持たせた“USオルタナティヴロックの延長線上にあるハードロック”といったところでしょうか。前作でのぼんやりした印象から一転、今作からは迷いがまったく感じられないエネルギッシュな内容に仕上がっています。

グルーヴメタル的な楽曲も存在するのですが、それらがオルタナ路線からの派生という形でうまく消化されており、土着的オルタナ路線やパンキッシュな楽曲群と並んでも違和感なく楽しめる。また、パンクロック度が高まったことで、どこか『SLAVE TO THE GRIND』にも似た感触もある。これがマイケル・ワグナー効果でしょうか。

前作はジョニー加入前から制作していた楽曲も含まれていたでしょうし、なんなら90年代後半から書き溜めていた楽曲も多少は含まれていたでしょう。それもあって全体像が90年代的だったんですが、今作は(まだまだ90年代から抜け切れてはいないものの)2000年代に聴いてもあまり古臭さや時代遅れ感がない。バンドとしての一体感も良い形で作用して、新たなSKID ROWがようやくここで確立されたのかなという気がします。

THE ALARMが80年代半ばに生み出したヒットシングル「Strength」のカバーも収録されていますが、原曲のイメージから外れないアレンジは今作のテイストにも見事にマッチしている。きっとセバスチャン・バック(Vo)がいた頃ならセレクトしなかった1曲だと思いますが、ジョニーの声質や声域を考えると見事なカバーだと言えるでしょう。

唯一難点を挙げるとするならば、前作にあったバラードタイプの楽曲が皆無なこと。今作はレイチェル・ボラン(B)単独で書いた楽曲が全11曲中7曲と、彼のパンク魂がダイレクトに反映されたことも大きく、楽曲の幅は前作ほどではありません。統一感は文句なしですが、そういった点では物足りなさも感じてしまう。一長一短あるかと思いますが、『SLAVE TO THE GRIND』が好きなリスナーにも多少はアピールできる1枚だと断言しておきます。

 


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SKID ROW『THICKSKIN』(2003)

2003年8月5日にリリースされたSKID ROWの4thアルバム。日本盤は同年10月29日発売。

セバスチャン・バック(Vo)、ロブ・アフューソ(Dr)が脱退し、3rdアルバム『SUBHUMAN RACE』(1995年)以降活動が停滞気味だったSKID ROW。1998年11月にはAtlantic Records時代の総決算となるベストアルバム『40 SEASONS: THE BEST OF SKID ROW』が発売され、一度バンドとしての節目を迎えてから新たなフロントマンとしてジョニー・ソーリンガーをオーディションにて迎えることになります。

前作から約8年半ぶり、レーベルをインディーズのSPV / Steamhammer Records(本国では自主レーベルのSkid Row Records、日本はビクター)に移して初の新作は、デイヴ・スネイク・セイボ(G)、スコッティ・ヒル(G)、レイチェル・ボラン(B)の全盛期メンバーに新加入のジョニー、元SAIGON KICKのフィル・ヴァロン(Dr)という新たな布陣で制作。大半の楽曲はデイヴ&レイチェルが書き下ろし、一部でデーモン・ジョンソン(ex. BROTHER CANE、ex. BLACK STAR RIDERSなど)などがソングライティングに参加しています。

作風的には2ndアルバム『SLAVE TO THE GRIND』(1991年)〜3rdアルバム『SUBHUMAN RACE』で見せたグルーヴメタルの延長線上にある楽曲と、グランジ以降、主にPEARL JAM以降の土着的アメリカンロックをベースにしたオルタナティヴロックの延長線上にある楽曲という2つの軸が見えてきます。前者に関してはおそらく『SUBHUMAN RACE』以降に書き溜めていた楽曲なのかなという印象が強く、「Mouth Of Voodoo」や「Lamb」あたりは『SLAVE TO THE GRIND』に収録されていても不思議じゃないタイプ。

もう一方の土着的路線ですが、これはジョニーというシンガーの声質や声域に合わせた結果でもあるのかなと。「Ghost」や「See You Around」「One Light」あたりに代表される楽曲スタイルは、いかにも90年代半ば以降のオルタナ路線ですしね。実際、ジョニーの声質に非常に合っていますし、楽曲自体の完成度も非常に高い(これら多くの楽曲にデーモン・ジョンソンが携わっていることは触れておくべきポイントでしょう)。こういった楽曲が当時ラジオから流れてきても、そしてそれがSKID ROWの楽曲だと知らなかったとしても違和感なく楽しめたと思うんです。

そう、これをSKID ROWという名前のもとで披露することで違和感が生じてしまったんです。アルバムの中で先のグルーヴメタル路線とうまく噛み合っていないこともあり、全体的にぼんやりした印象を与えてしまう。これは8年というブランクがあまり良い方向に作用しなかった例ではないでしょうか。勿体ないったらありゃしない。

そこに加えて、代表曲「I Remember You」のパンクアレンジ「I Remember You Two」ですからね……これも蛇足でしたよね。いろいろできることを示したアルバムの中で、唯一過去を引きずってしまっている気がしてなりません。

あと、このテイストのアルバムを2003年に出すセンスも……いや、そこは100歩譲ろうか(苦笑)。悪いアルバムではないんだけど、先に述べたように全体像がぼんやりしてしまった、そんな惜しい1枚です。

 


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2021年1月 4日 (月)

CHILDREN OF BODOM『HATE CREW DEATHROLL』(2003)

本当は今年の1月4日から最低1週間くらい、4年以上続いた毎日更新をお休みする予定だったんです。モチベーションがちょっと落ちてきたので、また書きたいと思えるまではいいかな……って。

ところが、1月4日もあと数時間で終わろうとしているこのタイミングに、アレキシ・ライホの訃報が飛び込んできて。取材帰りの出先で、SNS経由で知ったのですが、ショックが大きくて。自分でもここまでショック受けるなんて思いもしませんでした。

というわけで、今日は特別にCHILDREN OF BODOMについて書きたいと思います。

本作『HATE CREW DEATHROLL』は2003年1月6日にリリースされた、CHILDREN OF BODOMの4thアルバムにして出世作。日本盤は同年2月5日に発売されました。

本作で本国フィンランドのアルバムチャートで初めて1位を獲得。このアルバムのチルボドの入門編として挙げる人も多いくらい、非常に聴きやすい/入っていきやすい1枚だと思います。

シンセを取り入れたクラシカルな王道クサメタルを下敷きにしつつ、90年代半ばから勃発したメロディックデスメタルの要素を強く打ち出した独特なスタイルは、本作でひとつの完成形へと到達。PANTERA以降のグルーヴメタルのテイストや、L.A.メタル的ロックンロール要素も随所に散りばめつつ、サビではシンガロングできそうなわかりやすくキャッチーなメロディを採用することで、メロデスが苦手なリスナーにも取っ付きやすさを感じさせてくれる。また、ギターリフやソロパートも非常にクールで耳に残るものばかり。改めてアレキシという稀代のギターヒーローの才能も、ここで存分に味わえるはずです。

楽曲に関してはとにかく名曲揃い。オープニングを飾る「Needled 24/7」を筆頭に、ラストのタイトルトラック「Hate Crew Deathroll」まで捨て曲一切なしで、グルーヴィーさを感じさせる「Sixpounder」にドラマチックな「Bodom Beach Terror」や「Angels Don't Kill」、イントロのドラムフレーズ(トラック的には前曲「You're Better Off Dead」のアウトロ)がモロにJUDAS PRIEST「Painkiller」な「Lil' Bloldred Ridin' Hood」などクセものばかり。次作『ARE YOU DEAD YET?』(2005年)ではグルーヴメタル側に寄り始めるので、クラシカルなクサメタルが好きなリスナーはぜひ本作から触れてみることをオススメします。

ボーナストラックには恒例のカバー曲が。哀愁味に満ちたRAMONES「Somebody Put Something In My Drink」と、スラッシーなSLAYER「Silent Scream」というタイプの異なる2曲を楽しむことができます。個人的にはこのバンドのロックンロールテイストが色濃く表れた前者がお気に入り。

チルボド自体はメンバー3人が脱退したことで、2019年末にほぼ活動終了状態に突入。アレキシはBODOM AFTER MIDNIGHTという新バンドで昨年から活動を始めたばかりでした。まだ41歳という若さでこの世を去るなんて。ダメだよ、自分より若いミュージシャンが俺より先に逝ってしまうのは……。

 


▼CHILDREN OF BODOM『HATE CREW DEATHROLL』
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2020年6月24日 (水)

追悼:足立“YOU”祐二 〜DEAD ENDディスコグラフィー②〜

先日の足立“YOU”祐二さんの訃報を受け、新たにDEAD ENDのカタログを本サイトで紹介しようと連日執筆してきましたが、本日をもってオリジナルアルバムおよびライブアルバムをすべて紹介し終えたので、ここで改めてまとめておきたいと思います。

・1stアルバム『DEAD LINE』(1986年/インディーズ)
・2ndアルバム『GHOST OF ROMANCE』(1987年/メジャーデビュー作)
・3rdアルバム『shambara』(1988年)
・4thアルバム『ZERO』(1989年)
・ライブアルバム『DEAD END』(1990年)
・5thアルバム『METAMORPHOSIS』(2009年/再結成後初のリリース)
・6thアルバム『Dream Demon Analyzer』(2012年/現時点での最新作。YOU参加ラスト作)

DEAD ENDはこのほか、6枚のシングル(1988年の『BLUE VICES』、1989年の『SO SWEET SO LONELY』、1990年の『GOOD MORNING SATELLITES』、2011年の『Conception』『Final Feast』、2012年の『夢鬼歌』)と2枚のベストアルバム(1997年の『ALL IN ONE』、2005年の『∞ (infinity)』)、1枚のトリビュートアルバム(2013年の『DEAD END Tribute -SONG OF LUNATICS-』)を発表しています。トリビュートはDEAD ENDが参加していないので別として、シングルにはアルバム未収録曲も複数含まれています(『BLUE VICES』『GOOD MORNING SATELLITES』収録曲はそれぞれ『shambara』『ZERO』の再発盤に追加収録されていますが、再結成後のシングルC/W曲はアルバム未収録)。ベストアルバムにはここだけでしか聴けないという楽曲はありませんので今後本サイトで扱う可能性は低いですが、気が向いたら書いてみようかなと今は考えています。

久しぶりにDEAD END漬けの日々を過ごして実感したのは、本当にこのバンドはアルバムごとに進化と変化を繰り返してきた稀有な存在だなということ。『DEAD LINE』から『ZERO』までの感覚は3年という短いものなのに、聴き比べると別のバンドだと思えてしまうほどの化け方をしている。かつ、『ZERO』から『METAMORPHOSIS』の20年でどれだけの経験を積めばこんな進化を遂げられるのか……本当にすごいアーティスト集団ですよね。

『DEAD LINE』がほぼ廃盤状態だったりストリーミングで聴けなかったり、『METAMORPHOSIS』もiTunes Storeぐらいでしか定価で購入できないという現状はただただ悲しいので、せめて各レーベルはCDを適正な価格で手軽に入手できる手段だけは維持していただきたいと切に願います。このバンドが後世にどれだけの影響を及ぼしたのか、業界の人間はもっと認識するべきだと思いますよ。メタルやV系のみならず多方面にフォロワーを生み出した、日本のロック史を語る上でマストな存在なのですから。

最後になりますが、改めて故人のご冥福をお祈りいたします。

 

 


▼YOU『YOUCOUSTIC』
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