2019年2月24日 (日)

RISE OF THE NORTHSTAR『THE LEGACY OF SHI』(2018)

2019年10月(日本では11月)リリースの、RISE OF THE NORTHSTAR通算2作目のフルアルバム。彼らはフランス出身の5人組ハードコア/ニューメタルバンドで、前作『WELCAME』(2014年)は本国から1年遅れの2015年夏にここ日本でも発売されています。

ご存知のとおり、彼らは大の日本/ジャパニーズカルチャー好き。バンド名は漫画『北斗の拳』がモチーフだし、ステージ衣装は不良漫画をイメージした学ラン、曲中には『ドラゴンボール』をはじめとした日本の漫画/アニメのキーワードや渋谷など日本の地名、侍や不良などのワードが登場するほどで、来日経験も多数。そもそも、今回のアルバムジャケットにもしっかり『SHIの伝承(英タイトルの日本語訳)』と記されています(これ、日本盤のみならず海外盤も一緒ですから)。

アルバム全体がというわけではないですが、本作中の数曲はコンセプチュアルな関連性を持っているようで、それがアルバムタイトルの『SHIの伝承』につながるようです。インタビューなどによると、この“SHI”には日本で言うところの「士」や「死」「詩」など複数の意味を持たせているとのことで、その解釈によってストーリーの感じ方も異なるんだとか。そのへんはぜに歌詞や対訳で確認してもらいたいところです。

さて、気になるサウンドですが……前作までに存在したオールドスクールなハードコア路線が後退し、モダンなニューメタルやラップメタル(ラップコアでは非ず)色が一気に濃くなっています。そういった意味では、前作に対して若干古臭いイメージを持ったリスナーにも受け入れてもらえるのでは……という気がします。個人的には前作までの路線が好みだったので、残念ではありませんが……。

とかいいながらも、リフワークや楽曲の構成はひたすらカッコいいですし、女性による日本語ナレーションから始まるオープニングからの流れはアメリカの同系統バンドには出せない魅力が感じられます。そんなカッコいい曲を聴いていると、突然「渋谷」だの「サイタマ(地名ではなく漫画『ワンパンマン』の主人公のほう)だの聴き慣れたワードが飛び込んできてドキッとさせられたりクスッとさせられたり。

サウンドプロダクション、楽曲のアレンジ力、アルバムの構成力などは格段の進歩が感じられる、相当な力作ではないかと。特に彼らのようなバンドはここ日本でこそウケなかったらどうするよ?っていう存在だと思うので、ぜひとも温かい目で見守りつつ応援してあげてほしい。そう思わずにはいられません。


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投稿: 2019 02 24 12:00 午前 [2018年の作品, Rise of the Northstar] | 固定リンク

2018年11月16日 (金)

RISE OF THE NORTHSTAR『WELCAME』(2014)

フランス出身の5人組ハードコア/ニューメタルバンド、RISE OF THE NORTHSTARが海外で2014年11月、日本で2015年8月にリリースした1stアルバム。海外ではNuclear Blast Records、日本ではワーナーミュージックから発売されました。

そのジャケットから日本先行ではないかと思われがちですが、実はかなり前から何度も日本を訪れているくらいの親日家の彼ら。とにかく日本の文化、マンガやアニメが大好きで、バンド名は『北斗の拳』をモチーフにしつつも、ヴィジュアルは日本の(古き良き時代の)ヤンキーを思わせる学ラン姿という“全部のせ”状態。それでいて、東日本大震災の際には復興支援のチャリティソング「Phoenix」をリリースしたりと、とにかく愛すべきバカヤロウたちなのです。

そもそもこのアルバムも収録曲に目を向けると、「Welcame (Furyo State Of Mind)」「Samurai Spirit」「Tyson」「Bosozoku」……「不良」「侍」「タイソン=おそらくマイク・タイソンではなく『ろくでなしBLUES』の前田太尊」「暴走族」と、偏った日本のカルチャー満載。しかも「Bosozoku」のオープニングには、日本を代表する暴走族実録映画『ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR』からのサンプリングが含まれていたりと、とてもテン年代の作品とは思えないもの(これ、権利的に大丈夫なのかなぁ? ほかにも「Ahthentic」や「Blast 'Em All」の隠しトラックにも日本語のセリフが。これもヤンキーアニメかヤンキー映画から拝借したものではないでしょうか)。

過去の楽曲には「Demonstrating My Saiya Style」なんていう『ドラゴンボール』をイメージさせるものもあり、MVでは来日時に訪れた渋谷や秋葉原、甲子園球場まで登場します(しかも、どのMVも日本語訳が用意されている)。これ、日本人がやったらただダサイだけだし、そもそも権利的にいろいろアレだろ!と突っ込みたくなるのですが、不思議と彼らがやると微笑ましいで済ましたくなるのですから、不思議なものです。

サウンド自体はBIOHAZARD以降のニュースクール・ハードコアの影響下にあるもので、そこにスラッシュメタルやメタルコア、ラップメタル/ラップコアなどの要素を加えた、特別新しいとは言えないスタイルですが、そのリズム&ボーカルのグルーヴ感とキレの良いギターリフはただただ気持ちよく楽しめます。「Samurai Spirit」の「♪Sa Sa Sa Sa Sa, Samurai Spirit!」ってフレーズなんて、まさにその真骨頂ですよね。

また本作は1曲のみカバー曲を収録。それがNY出身のラッパー、ファロア・モンチの「Simon Says」というのもなかなかのもの。ほかのオリジナル曲と並べて聴いてもなんら違和感なく楽しめます。

こういったバンドは瞬発力重視のネタものとして消費されがちですが、つい最近4年ぶり(日本では3年ぶり)の2ndアルバム『THE LEGACY OF SHI』をリリースしたばかり。より濃密なROTNSを堪能できます。



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投稿: 2018 11 16 12:00 午前 [2014年の作品, Rise of the Northstar] | 固定リンク