カテゴリー「Rob Zombie」の12件の記事

2022年3月 3日 (木)

SCORPIONS『HUMANITY: HOUR I』(2007)

ヨーロッパで2007年5月14日、北米では同年8月28日にリリースされたSCORPIONSの16thアルバム。日本盤は『蠍団の警鐘 - ヒューマニティー:アワーI』の邦題で、同年6月20日発売。

前作『UNBREAKABLE』(2004年)でHR/HM路線へと回帰したものの、チャート的には成功したとは言い難かったSCORPIONS(前々作『EYE II EYE』(1999年)から2作連続でBillboardアルバムチャートランク外)。しかし、さらにハード路線を極めた今作では全米63位と、『PURE INSTINCT』(1996年)の最高99位以来となる全米チャート入りを成し遂げます。

新たなプロデューサーとしてデスモンド・チャイルドBON JOVIAEROSMITHKISSなどとのコライトで有名)&ジェイムズ・マイケル(SIXX:A.M.のフロントマン。およびPAPA ROACH、HAMMERFALLなどのプロデューサー)を迎えた本作は、前作以上に往年の“らしさ”をメロディやアレンジに取り戻しつつ、モダンなヘヴィさも効果的に取り入れた意欲作。また、ビリー・コーガン(Vo/SMASHING PUMPKINS)が「The Cross」、エリック・バジリアン(G/THE HOOTERSなど)が「Love Will Keep Us Alive」、ジョン・5(G/ROB ZOMBIEなど)が「Hour I」にゲスト参加しているのも、このプロデューサーならではの人選かもしれません。

実は本作、バンドにとってキャリア初のコンセプトアルバム。デズモンド・チャイルドが大まかなストーリーを草案し、楽曲制作が進められたとのこと。ソングライターとしても著名な2人をプロデューサーに迎えたこともあり、彼らは作曲でも全面的に関与。それ以外にもマーティ・フレドリクセン、アンドレアス・カールソンなど人気のソングライターがコライトで名を連ねており、ある意味では外部のライターたちがバンドに“らしさ”を思い出させていると受け取ることもできるのではないでしょうか。その効果は非常に絶大で、80年代のSCORPIONSらしいメロディラインやアレンジを随所から見つけることができます。

一方で、前作から引き続きダウンチューニングを起用していることで、そのダークさが本作が持つヘヴィさを強めることに一役買っている。「The Game Of Life」や「You're Lovin' Me To Death」での程よいメロウ&ヘヴィさはその好例だと断言できます。

かと思えば、過去数作でトライしたビートルズQUEENの流れを汲む壮大なバラード「The Future Never Dies」があったり、グランジ以降のモダンヘヴィネスをなぜか2007年に取り入れた(笑)「321」もある。後半、バラードタイプの楽曲が立て続けに収録されており(「Love Will Keep Us Alive」「We Will Rise Again」「Your Last Song」「Love Is War」)、そこで若干萎えてしまいますが、ミドルパートでビリー・コーガンをフィーチャーしたメロウなヘヴィロック「The Cross」やグランジ寄りのリフワークが印象的なアンセムナンバー「Humanity」がラストに置かれているので、アルバムとしてもなんとなく締まる印象を受けます。

ヘヴィながらもソフトさもしっかり感じられるのは、全体を通してデヴィッド・キャンベルによるオーケストレーションが効果的にフィーチャーされているからでしょうか。ドラマチックなヘヴィロックという点ではSCORPIONSの全キャリア中、本作がもっともバランス感に優れているように感じます。バンドとしてもようやく過渡期を抜け出しそうな予感も伝わり、これが次作『STING IN THE TAIL』(2010年)での完全復活へとつながっていくと思うと、本作も非常に意味の大きな1枚ではないでしょうか。

 


▼SCORPIONS『HUMANITY: HOUR I』
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2021年5月16日 (日)

CHARLIE BENANTE『SILVER LININGS』(2021)

ANTHRAXのドラマー、チャーリー・ベナンテが2021年5月14日に発表した初のソロアルバム。日本盤未発売。

このアルバムはCOVID-19パンデミックにより世の中のさまざまなことがストップした中でスタートさせた、「Quarantine Video Series」の総決算的作品。ANTHRAXのバンドメイトや気心知れた他バンドの仲間たちと、新旧のお気に入りナンバーをリモートセッションしていき、その中から選りすぐりの14曲がこのアルバムに収録されています。

カバー曲の内訳は以下のとおり。

M-1. City Of Blinding Lights [U2]
M-2. Chloe Dance / Crown Of Horns [MOTHER LOVE BONE]
M-3. Teardrop [MASSIVE ATTACK]
M-4. Run DMC [RUN DMC]
M-5. Rhiannon [FLEETWOOD MAC]
M-6. Yer So Bad [トム・ペティ]
M-7. Transylvannia [IRON MAIDEN]
M-8. Presto Vivace [U.K.]
M-9. Bad Guy [ビリー・アイリッシュ]
M-10. Jimmy James Jam [BEASTIE BOYS]
M-11. All The Way [KISS]
M-12. Mr. Speed [KISS]
M-13. Public Image [PUBLIC IMAGE]
M-14. Funny Vibe [LIVING COLOUR]

参加メンバーも実に多彩で、スコット・イアンやフランク・ベロといった盟友たちのほか、マーク・オセグエダ(Vo/DEATH ANGEL)、カーラ・ハーヴェイ(Vo/BUTCHER BABIES)、コリィ・テイラー(Vo/SLIPKNOTSTONE SOUR)、DMC(MC/RUN DMC)、ロブ・カジアーノ(G/VOLBEAT、ex. ANTHRAX)、デイヴ・セイボ(G/SKID ROW)、アレックス・スコルニック(G/TESTAMENT)、ジョン・5(G/ROB ZOMBIE)、ラ・ディアス(B/SUICIDAL TENDENCIES)、マーク・メンギー(B/METAL ALLEGIANCE)、ジョーダン・ルーデス(Key/DREAM THEATER)など。参加アーティストはHR/HM界隈中心ですが、選曲はチャーリーらしいセレクトで、メタルらしいメタルはIRON MAIDENくらい。もはやお約束となったKISSは2曲用意され、新しいところだとビリー・アイリッシュ「Bad Guy」もカバーされています。

いきなりU2の比較的最近の楽曲からスタートする本作は、そのサウンド的にはメタルからは少し離れたもので、チャーリー・ベナンテという鬼才の一端が表されているといったところでしょうか。もっとも、チャーリー自身は本作をソロアルバムとは捉えておらず、「非常に暗い時期に、友人の何人かと一緒に作ったお気に入りの楽曲集」程度なんだとか。なので、受け手側も「あのANTHRAXのチャーリーのソロプロジェクト」なんて構えずに、幅広い年代/幅広いジャンルの名曲セッション集くらい気軽に楽しめばいいのではないでしょうか。少なくとも僕自身、そういうふうに捉えてリピートしています。

どの曲のアレンジも組み合わせの妙が存分に楽しめるし、遊び心に満ち溢れていると思います。個人的にはメタルアレンジな「Bad Guy」がお気に入り。バンドアレンジにしてもカッコいい曲はカッコいいんだと気付かせてくれます。あとは、MASSIVE ATTACK「Teardrop」やFLEETWOOD MAC「Rhiannon」、トム・ペティ「Yer So Bad」も。女性ボーカル曲は総じて良いですね。プラス、KISSは録音状態まで含めてオリジナルに敬意を払っているのも好印象。遊ぶならここまでしないと。

なお、本作から生じた収益の一部は、音楽教育とメンタルヘルスを提唱するニール・カザル音楽財団に寄付されるとのことです。

 


▼CHARLIE BENANTE『SILVER LININGS』
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2021年4月27日 (火)

ALICE COOPER『WELCOME 2 MY NIGHTMARE』(2011)

2011年9月13日にリリースされたアリス・クーパーの26thアルバム(ALICE COOPERバンド名義を除くと19作目)。日本盤は2012年1月18日発売。

スタジオアルバムとしては前作『ALONG CAME A SPIDER』(2008年)から3年ぶりの新作は、1975年に発表された初のソロ名義アルバム『WELCOME TO MY NIGHTMARE』の続編にあたるもの。という話題性もあってか、復活作『TRASH』(1989年)の全米20位に次ぐ最高22位を記録しています。

プロデュースを手がけたのは、『WELCOME TO MY NIGHTMARE』でもタッグを組んだボブ・エズリン(KISSPINK FLOYDHANOI ROCKSなど)。今作での再共演を機に、以降の『PARANORMAL』(2017年)『DETROIT STORIES』(2021年)でもコラボが実現しています。

『THE LAST TEMPTATION』(1994年)でグランジという流行に乗りながら、自身のルーツを再確認することとなりましたが、続く『BRUTAL PLANET』(2000年)以降は良くも悪くも時流に乗ることだけに専念した感が強かったアリス。しかし、名盤の続編ということもあり(また、ボブ・エズリンと久しぶりのコラボというトピックも大きく影響し)、ここで本来の“らしさ”を完全に取り戻せたんじゃないでしょうか。70年代の彼らしい要素/楽曲が満載で、見方によってはセルフパロディになってしまっている箇所もあるものの、全体を通して聴けばそういった点も許せるくらいの、王道ショックロック・アルバムに仕上がっていると思います。

楽曲制作陣にはアリス/ボブに加えデズモンド・チャイルド、初期ALICE COOPER BANDのマイケル・ブルース(G)やデニス・ダナウェイ(B)、ニール・スミス(Dr)、さらにはBUCKCHERRY(当時)のキース・ネルソン(G)など多彩な面々が参加し、そういったオリジネーターやフォロワーたちが「俺たちが思う最強のアリス・クーパー像」をコンセプトに沿って作り上げている。さらに、ヴィンス・ギルやロブ・ゾンビ、ジョン・5、ケシャ(KE$HA)といったフィーチャリングアーティストが華を添えることで、単なる懐古主義で終わらせないモダンさを演出している。この絶妙なバランス感が、本作を現代的な作品として成立させているのではないでしょうか。

それくらいよく作り込まれた1枚だと思いますし、個人的には『THE LAST TEMPTATION』のあとに本作が発表されていたらもっと違った未来があったんじゃないか……と思わずにはいられません。まあ、10年以上におよぶ迷走があったからこそ、ここに再び戻ることができたわけですし、もっと言えばその後のHOLLYWOOD VAMPIRESや『PARANORMAL』以降の活動にもつなげることができたのかな。時間はかかったけど、必要な無駄だったのかもしれませんね(あ、2000年代の作品も決して駄作ではないですよ)。

70年代前半に築き上げたオリジナリティと80年代後半ならではのキャッチーさ、90年代〜ゼロ年代のガレージロックリバイバル感を程よいバランスでブレンドしつつ、2010年代にも通用する質感でまとめ上げた本作は、(あえてこう言わせてもらいますが)後期アリス・クーパー作品におけるひとつの金字塔だと言わせてください。

 


▼ALICE COOPER『WELCOME 2 MY NIGHTMARE』
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2021年3月15日 (月)

ROB ZOMBIE『THE LUNAR INJECTION KOOL AID ECLIPSE CONSPIRACY』(2021)

2021年3月12日にリリースされたロブ・ゾンビの7thアルバム。日本盤未発売。

WHITE ZOMBIE時代の名盤再現ライブを収めた『ASTRO-CREEP: 2000 LIVE』(2018年)の発売こそあったものの、スタジオ作品としては『THE ELECTRIC WARLOCK ACID WITCH SATANIC ORGY CELEBRATION DISPENSER』(2016年)以来まる5年ぶりの新作。Geffen、Roadrunner、Zodiac Swan / T-Boy(Universal流通)と渡り歩いてきたロブ・ゾンビですが、本作は大手インディーズレーベルのNuclear Blast移籍第1弾作品となります。

プロデューサーには前作も手がけたゼウス(HATEBREEDQUEENSRYCHESOULFLYSUICIDE SILENCEなど)が続投。全17トラックと一見ボリューミーな作品のように映りますが、うち6曲が1分にも満たないSE(インタールード)なので、歌モノは実質11曲。トータル約42分とこれまでの作品同様の適度なトータルランニングなので、非常に聴きやすいはずです。

で、内容も過去のロブ・ゾンビ作品(WHITE ZOMBIE含む)に触れてきたリスナーなら、最後まで安心して楽しめるもので、良くも悪くも“いつもどおり”。ホラー映画チックな演出が随所に盛り込まれ、サウンドは適度なデジタル感が取り入れられたモダンヘヴィロック、歌メロは(一本調子なロブのがなる歌声はあるものの)非常にポップでキャッチーという、全体的にコンセプチュアルのようで実は1曲1曲が独立した完成度の高さを誇る鉄壁のアルバムなわけです。そりゃ悪いわけがない。

……うん、「悪いわけがない」んですけど、どこか物足りないと感じるのもまた正直なところでして。要するに、ソロデビューアルバム『HELLBILLY DELUXE』(1998年)から本作まで、まったく破綻することなし、常軌を逸脱することもなしという安パイなんです。そりゃあ、シングルカットされたような楽曲含め、いくつかは「やっぱり最高だな」と思える良曲は存在しますが、数回聴き終えたら「……まあ、今回もこんな感じだよね」とCDをラックの奥にしまってしまうような。もっと言えば、「これ聴くなら『HELLBILLY DELUXE』、『THE SINISTER URGE』(2001年)、『EDUCATED HORSES』(2006年)といった初期の作品を引っ張り出すよね?」と思えてしまうくらい、「新作を聴く意味」が見出せなくなってしまう。そんな、残念な1枚でもあるのです。

といっても、これは4作目にあたる『HELLBILLY DELUXE 2』(2010年)以降、ロブ・ゾンビの新作で常につきまとう問題なわけでして。 “新世代ショックロックの帝王”に新しいショッキングなサウンドを求めるのは至極当たり前の話ではあるものの、ロブ自身がエンタテインメントとして安心安定の“ノーマル”な作品を提供し続けるという、需要と供給がまったく噛み合っていない状況が10年以上にわたり続いているわけです。なもんだから、よく聴くロブの作品となると上記の初期3作に加え、ソロベスト的なライブアルバム『ZOMBIE LIVE』(2007年)や『SPOOKSHOW INTERNATIONAL: LIVE』(2015年)ばかりになってしまうわけです。で、その傾向は今作を経ても変わりそうにありません。残念ですが。

決して悪い内容ではないけど、平均的でいつもどおりすぎ。ハードコアなロブ・ゾンビのファンなら生涯愛し続けることができる内容かもしれませんし、ここから新たにロブの音楽に触れるというビギナーにも入口としては最適と言えるかもしれません。が、2021年を代表するような1枚ではないし、この先「歴史に残る名盤」に昇格する可能性も限りなく低い……そんなもどかしさを伴う微妙な作品です。いや、好きは好きなんですけどね……。

 


▼ROB ZOMBIE『THE LUNAR INJECTION KOOL AID ECLIPSE CONSPIRACY』
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2020年10月 2日 (金)

ACE FREHLEY『ORIGINS VOL.2』(2020)

2020年9月18日にリリースされた、エース・フレーリーのカバーアルバム第2弾。

スタジオ作品としては『SPACEMAN』(2018年)から2年ぶりの新作となるこのアルバムは、2016年発売の『ORIGINS VOL.1』の続編。第1弾にはエースのルーツにあたるロックバンド/アーティストのカバーに加えKISS時代のセルフカバー3曲を含む全12曲が収録されていましたが、今回KISSナンバーはボーナストラックとして切り分けられ、本編11曲ではLED ZEPPELINDEEP PURPLECREAMTHE BEATLESTHE ROLLING STONES、THE KINKS、MOUNTAIN、HUMBLE PIE、ジミ・ヘンドリクス、PAUL REVERE & THE RAIDERS、THE ANIMALSといった(一部、日本人には印象の薄いものが含まれていますが)ロッククラシックと呼ぶにふさわしい名曲たちを取り上げています。

ボーナストラックを含む全12曲中、エースがメインボーカルを務めるのは10曲。前作ではKISS時代の盟友ポール・スタンレーがゲストボーカルとして参加していましたが、今回はリタ・フォードが「Jumpin' Jack Flash」で、ロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)が「30 Days In The Hole」でそれぞれ“らしい”歌声を聴かせてくれます。そのほか、前作から引き続きジョン・5(G/ROB ZOMBIE、ex. MARILYN MANSON)が「I'm Down」「Politician」、エースと同じく元KISSのブルース・キューリック(G)が「Manic Depression」、ピーター・フランプトンやSIMON & GARFUNKELとの演奏でも知られるロブ・サビーノ(Organ)が「Space Truckin'」がゲスト参加。本編11曲ではMR. BIGのサポートなどで知られるマット・スター(Dr)がプレイしています。

セレクトされているアーティストの前作との被りを見ると、エース自身がそこまで広く、いろんなジャンルを聴いているわけではないことが伺えますし、視点を変えればクラシックロックと呼ばれる60〜70年代の音楽にそれだけ強く影響を受けたという現れなのでしょう。まあ、エースが今さらパンク以降の音楽をカバーしても説得力がありませんけどね。

おなじみのヘタウマ・ヘロヘロボーカルはここでも健在で、激ウマシンガーが歌うことで知られる「Good Time Bad Times」や「Space Truckin'」でもこれまで同様に歌うことで自身の個を強くアピール。もはや伝統芸能の域に達しつつあります。逆に脱力系「I'm Down」は、これはこれでいい味を出しているんじゃないかと。そう、味は深いんですよ。なので、テクよりも感性に訴えかけるシンガーなんだと思います(たぶん)。

リタ・フォードは前作にも参加していたので割愛しますが(するなよ)、注目のロビン・ザンダーは相変わらずの説得力でMR. BIGファンにおなじみの「30 Days In The Hole」を歌唱。ぶっちゃけ、エリック・マーティンよりも(以下割愛)。最近カバーづいているCHEAP TRICKおよびロビン・ザンダーですが、ここまできたら一度カバー集を制作してみるというのはいかがでしょうか。まあそれはそれで普通すぎるか。

個人的に気になった(気に入った)のが、終盤3曲……ジミヘン「Manic Depression」、PAUL REVERE & THE RAIDERS「Kicks」、THE ANIMALS「We Gotta Get Out Of This Place」の流れ。前半〜中盤の大衆的な選曲/仕上がりと比べると、この3曲にはエースの真髄/魂がより濃く表現されている気がしてなりません。この3曲のためだけに本作をゲットすべしと断言したいくらいです。だからこそ、ボーナストラック扱いのKISS「She」セルフカバーは蛇足な気がするのですが(だからボートラなんだろうけどね)。

第1弾ほどのインパクトはないものの、KISSファンやCHEAP TRICKファン、そしてクラシックロック・リスナーには十分に楽しめる内容だと思います。

 


▼ACE FREHLEY『ORIGINS VOL.2』
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2020年9月 3日 (木)

ACE FREHLEY『ORIGINS VOL.1』(2016)

2016年4月にリリースされたエース・フレーリーのカバーアルバム。スタジオ作品としては通算7作目のソロアルバムとなります。

本作はエースに多大な影響を与えてきたアーティストたち(CREAMTHE ROLLING STONESジミ・ヘンドリクスFREETHIN LIZZYLED ZEPPELIN、THE TROGGS、STEPPENWOLF、THE KINKSと無難なセレクト)の名曲に加え、KISS時代の楽曲も3曲収録。自身が作詞作曲した「Parasite」および「Cold Gin」(ともにジーン・シモンズVo曲)はわかりますが、彼がレコーディングにほぼ関わっていない『CREATURES OF THE NIGHT』(1982年)から「Rock And Roll Hell」(ジーン、ブライアン・アダムス、ジム・ヴァランス作)をセレクトしているのには思わず「?」となってしまいました(苦笑)。

全12曲中11曲でエースがリードボーカルを担当しており、「White Room」と「Bring It On Home」ではドラマーのスコット・クーガン(L.A. GUNS、ex. BRIDES OF DESTRUCTIONなど)がコ・リードボーカルを披露しています。エースのボーカルは今さら述べるまでもなく(笑)、味わい深いヘタウマぶりで、もはや安定感すら漂っています。うん、もうこれはこれでアリだし、これじゃなきゃいかんわな。

で、本作の注目点はもうひとつ、多彩なゲスト陣が挙げられると思うのです。先に述べたボーカル曲のうち、エースが歌っていない「Fire And Water」ではKISS時代の盟友ポール・スタンレーが参加。なにやら最初はジーンに声をかけたんだけどスルーされ(笑)、続いてポールに声をかけたらOKをもらえたんだとか。かわいそうだけど(苦笑)、結果いいコラボレーションが楽しめたので良しとしましょう(その後、ジーンは次作『SPACEMAN』にソングライティング&ベースで1曲参加しているので、めでたしめでたし)。

このほかにもスラッシュGUNS N' ROSES)が「Emerald」でエースとツインリードを披露し、リタ・フォードは「Wild Thing」でツインボーカル&リードギター、ジョン・5(ROB ZOMBIE)は「Spanish Castle Magic」と「Parasite」でリードギター、マイク・マクレディ(PEARL JAM)は「Cold Gin」でギターソロを聴かせてくれます。「Emerald」は意外とエースのボーカルがハマっているのと、スラッシュが良い仕事をしてくれていることで、個人的にもベストテイクかな。KISSナンバーの数々はさすがにボーカル含め小慣れた感強し(笑)。そんな中で、やはり「Rock And Roll Hell」だけはジーンのクセの強さが脳裏に焼き付いているので、ちょっとした違和感が。でも、慣れると悪くないですよ(実はギターソロがなかなかエースらしさ満載で、良テイクではないかと)。

今年9月にはカバー集第2弾『ORIGINS VOL.2』のリリースも控えており、すでに「Space Truckin'」(DEEP PURPLE)が公開中。こちらも楽しみにしております。

 


▼ACE FREHLEY『ORIGINS VOL.1』
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2019年1月23日 (水)

POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』(1999)

POWERMAN 5000が1999年7月に発表した、メジャー2作目のオリジナルアルバム(通算3作目。といっても、1997年のメジャー1作目『MEGA!!! KUNG FU RADIO』は、1995年にインディーズから発表した『THE BLOOD-SPLAT RATING SYSTEM』に曲追加&曲順変更したものなので、今作は事実上の2ndアルバムなのですが)。

フロントマンのスパイダー・ワン(Vo)がロブ・ゾンビの実弟であることでおなじみのこのバンド。初期はファンクメタル、ラップメタル的スタイルでしたが、この『TONIGHT THE STARS REVOLT!』で“らしさ”を確立したといっても過言ではないでしょう。リードトラックとしてMVも制作された「When Worlds Collide」のヒットもあり、アルバムは全米29位まで上昇。セールスも100万枚を超え、彼らの代表作となりました。

打ち込みを同期させた適度なインダストリアルサウンドと、当時主流になり始めたニューメタルサウンドが融合した彼らのスタイルは、ROB ZOMBIEのそれにかなり似たものがあるものの、かといってまったく一緒というわけではない。POWERMAN 5000のほうがラップメタル的なボーカルスタイルやバンドアレンジが強めなこともあって、うまく差別化ができていたのかなと思います。

とにかく、「When Worlds Collide」の完成度が尋常じゃない。こりゃウケるわ……って今聴いて思うぐらいに、本作の中でも飛び抜けている。このキャッチーさ、何者にも変えがたいですよね。

かと思えば、「Blast Off To Nowhere」のハードコアとサイケデリックをミックスしたモダンなテイストの楽曲もある。この曲、ロブ・ゾンビがゲスト参加しており、らしいシャウトを聴かせてくれます。そのほかにも、THE CARSのカバー「Good Time Roll」にはLIMP BIZKITのDJリーサルがスクラッチで、「Watch The Sky For Me」には当時MARILYN MANSONのドラマーだったジンジャー・フィッシュがピアノでそれぞれ参加。さらに、アメリカの俳優マラキ・スローンは「An Eye Is Upon You」と「Watch The Sky For Me」でナレーションを聞かせてくれます。無駄に豪華だな。

実は本作、プログラミングおよびミックスでスコット・ハンフリーが参加しているんですよね。スコットといえば、WHITE ZOMBIEやROB ZOMBIEでバンドの良き理解者として手腕を発揮しているアーティスト/エンジニア。このへん含め、周りが本気でこのバンドを売ろうとしているのが伺えます。実際売れてよかったね。

……なんて書いてきたけど、実はこのバンドに対しては本気で「When Worlds Collide」のイメージしかなくて。アルバムも20年ぶりに聴き返したけど、初めて聴くような錯覚に陥ったほど。それくらい印象が薄かったんですよ、ハハハ……。

けど、このバンドの場合、ここで個性が固まったと思ったのに、これ以降毎回そのスタイルを変化させるのがいけなかった。次作『ANYONE FOR DOOMSDAY?』(2001年)なんて、チャートインすらしなかったからね。実兄の幻影を追わず、どんどん新しいことにトライしていく姿勢はよかったんだけど。



▼POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』
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2018年12月23日 (日)

STEVE PERRY『TRACES』(2018)

年明け1月には70歳の誕生日を迎える、元JOURNEYスティーヴ・ペリーによる通算3作目のソロアルバム。前作『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』(1994年)から実に24年ぶりの新作……びっくりですよね。そもそも、その24年の間に発表された“新作”って、JOURNEY再結成アルバムの『TRIAL BY FIRE』(1996年)と、ソロベストアルバム『GREATEST HITS + FIVE UNRELEASED』(1998年)に収録された未発表曲くらいですから(それも、1988年に2枚目のソロアルバム用にレコーディングしながらもお蔵入りした10年前のテイク)。

前作『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』が1994年という時代性を完全に無視した、良くも悪くも“産業ロック”テイストにJOURNEY時代から引き継ぐソウルテイストを加えた「いかにもスティーヴ・ペリーらしい」仕上がりでしたが、あれから時は24年も流れて音楽業界も流行りのサイクルが何回転も繰り返し……今作では「結局俺にはこれしかできないし、これしか歌えない」という開き直りにも似た、過去2作の延長線上にありながらもしっかり“大人”になったスタイルが展開されています。

オープニングの「No Erasin'」を先行配信で聴いた瞬間、「そうそう、これだよね、スティーヴ・ペリーって」と妙に納得させられたことを覚えています。JOURNEYをよりソフトにしながらも、しっかりそのイメージをギリギリのところで保っている。で、彼が歌えばそれが確実に“それっぽく”成立する。なかなかの佳曲だと思います。

じゃあ、アルバム全体でそういったソフトな産業ロックが展開されているのかというと、そこは齢69のスティーヴ・ペリー御大。メロディアスなミディアム/スロウナンバーを中心に、要所要所にソウルやR&Bのカラーを加えたポップロック/バラードがずらりと並びます。刺激的な要素は皆無。もちろん、彼にそういったものは求めるはずもなく、最初から最後まで安心して楽しめる1に仕上がっています。

前作の時点で感じた声の“枯れ”はさすがにあれから24年も経っていることもあり、さらに加速していますが、それでも伸びのあるハイトーンは健在。とはいえ、その“かつての武器”をこれでもかと使い回すことはせず、すごく自然に使うことで曲の中に溶け込ませている。まったく嫌味のない、本当にナチュラルな“歌”が楽しめるはずです。

「No Erasin'」や「Sun Shine Gray」(ROB ZOMBIEのギタリスト、ジョン・5がソングライティングやギターで参加)程度しかロックと呼べるものはないので、ハードロック寄りのリスナーには少々厳しい内容かもしれませんが、例えばJOURNEYが好きでマイケル・ボルトンあたりのAORシンガーも好みという方には間違いなくハマる内容だと断言できます。完成度だけは無駄に高いです。年間ベストには選ばないもののふとした瞬間に聴きたくなる、自分的にはそんな“癒し”の1枚。

ちなみに本作、全米6位/全英40位と、ともにキャリア最高記録を更新しています。



▼STEVE PERRY『TRACES』
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2018年10月 6日 (土)

ROB ZOMBIE『HELLBILLY DELUXE』(1998)

1998年8月にリリースされた、WHITE ZOMBIEのフロントマンであるロブ・ゾンビの1stアルバム。1995年発売の『ASTRO CREEP: 2000』(1995年)を最後に、オリジナルアルバムの発売がなかったWHITE ZOMBIEはこの『HELLBILLY DELUXE』発売直後に解散発表。ロブは『ASTRO CREEP: 2000』で築き上げたスタイルを、ソロ活動で引き継ぐことになります。

当時のバンドメンバーは、WHITE ZOMBIE後期に参加したジョン・テンペスタ(Dr)、のちにオジー・オズボーンのバンドに加わるブラスコ(B)、そしてマイク・リッグス(G)という面々。プロデュースはスコット・ハンフリー(MOTLEY CRUEANDREW W.K.MONSTER MAGNETなど)が担当し、そういった繋がりからダニー・ローナー(NINE INCH NAILSMARILYN MANSONなど)やトミー・リー(MOTLEY CRUE)もゲスト参加しています。

聴けばわかるように、とにかくモダンなヘヴィロックナンバーをザクザクしたギターリフと適度なデジタル加工で表現しており、抑揚がないようで実はキャッチーというロブのメロディ/ボーカルラインと合わさることで不思議と親やすい仕上がり。これはWHITE ZOMBIE時代から引き継がれている重要な要素なのですが、ソロになってからバンド形態にこだわる必要もなくなったためか、そこの入っていきやすさがより増しているような気がします。

ヘヴィロックなのにキャッチーで聴きやすい。それってどうなの?と思われそうですが、それっておどろおどろしいMARILYN MANSONにも共通して言えることで、そのへんは彼らのルーツのひとつであるKISSアリス・クーパーあたりに通ずるものがあるのではないでしょうか。そういう意味では、僕はマンソンの時代に敏感なショックロックはアリス・クーパーの後継者、ロブ・ゾンビの良くも悪くも金太郎飴的スタイルはKISSの後継者だと思っているのですが、いかがでしょう?

一歩間違えばアングラなデジロック/インダストリアルメタルで括られてしまっても不思議じゃないのに、しっかりメジャーのど真ん中で活躍できるだけのポテンシャルも備わっている。しかも、1曲1曲が2〜3分台と非常にコンパクトなのも好感が持てるポイント。トータルで38分程度というトータルランニングも古き良き時代のロックのスタンダードに通ずるものがあるし、しかもこのスタンス、現在まで見事に踏襲されている。最長でも『HELLBILLY DELUXE 2』(2010年)の46分ですから。最新作『THE ELECTRIC WARLOCK ACID WITCH SATANIC ORGY CELEBRATION DISPENSER』(2016年)に至っては過去最短の31分ですからね(笑)。恐れ入ります。

ソロキャリア20年を迎えた今、どの作品から手を出せばいいのか迷っている方。キャリア総括的なライブアルバムやWHITE ZOMBIE時代からソロまでを総括したベストアルバム『PAST, PRESENT & FUTURE』(2003年)も良いですが、まずはソロの原点でもある本作『HELLBILLY DELUXE』から聴くことをオススメします。一応キャリア的にも全米5位、300万枚以上を売り上げた最大のヒット作ですから。



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2006年5月 2日 (火)

ROB ZOMBIE『EDUCATED HORSES』(2006)

前作『THE SINISTER URGE』から約4年4ヶ月ぶりに発表する、ROB ZOMBIE通算3作目のアルバム。2003年にはベストアルバム「PAST, PRESENT & FUTURE」がリリースされているので、実はそんなに時間が経ってるなんて思ってなかったんですが。そういやぁこの人はWHITE ZOMBIE時代含め、ホントにリリース間隔が長いですよね。その割りに、毎回内容は一緒なんですけど(良い意味でな)。

さて、WHITE ZOMBIE時代にメジャーから2枚のオリジナルアルバムを、ソロになってからも2枚のアルバムを出している彼ですが、ベスト盤をひと区切りとしてここで心機一転、新しい音で勝負してくるのか‥‥と思いきや、まったく変わってません。安心してください、ファンの皆さん! 驚くくらいに変わり映えがないというか。いや、もう彼に関してはこれでいいのかもしれない。

もともと音楽的に革新的なことをやってきた人じゃないし、むしろキャラ勝負なとこが強かったわけだし。ビジュアル面(映像作品など含め)でいろいろ凝ったことをやってる割りには、音は毎回一緒。もちろん手抜きは一切なく、細部まで徹底的に作り込まれてるんだけどね。

今回も前半にキャッチーな曲を持ってきて、中盤にインターミッション的なインスト曲を挿入し、その後はミドルヘヴィでムード感のある曲が続くという構成は、ある意味では映画的かもしれません。あと、この人のオリジナルアルバムって、毎回適度な長さなんですよね。今回も40分がちょい欠ける程度。勢いで聴けてしまうというか、飽きる前に終わっちゃうし、程よい長さなんですよね。まぁ最近じゃCDの限界近くまで音を詰め込むアーティストが多いから、そういう意味でアンチテーゼっぽいかも(実はなにも考えてなかったりしてな)。

とにかく、これまでの彼の曲が好きな人なら間違いなく気に入る1枚でしょう。この金太郎飴みたいなアルバムを楽しめたなら、もうこっちのもの。あとはひたすらリピートするのみ。そう、一度聴くと、2度、3度と繰り返し聴いてしまうアルバムなんですよね、これ。もちろんそれには曲が良いという大前提があるわけなんですが‥‥いやいや、マジでいいアルバムだって。MARILYN MANSONはダークすぎて&キモくて苦手、っていう人でも、こっちならいけるんじゃないかな? 実は音的にはまったくひねくれてない、ド直球だからね、ROB ZOMBIEって。



▼ROB ZOMBIE『EDUCATED HORSES』
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