2019年1月23日 (水)

POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』(1999)

POWERMAN 5000が1999年7月に発表した、メジャー2作目のオリジナルアルバム(通算3作目。といっても、1997年のメジャー1作目『MEGA!!! KUNG FU RADIO』は、1995年にインディーズから発表した『THE BLOOD-SPLAT RATING SYSTEM』に曲追加&曲順変更したものなので、今作は事実上の2ndアルバムなのですが)。

フロントマンのスパイダー・ワン(Vo)がロブ・ゾンビの実弟であることでおなじみのこのバンド。初期はファンクメタル、ラップメタル的スタイルでしたが、この『TONIGHT THE STARS REVOLT!』で“らしさ”を確立したといっても過言ではないでしょう。リードトラックとしてMVも制作された「When Worlds Collide」のヒットもあり、アルバムは全米29位まで上昇。セールスも100万枚を超え、彼らの代表作となりました。

打ち込みを同期させた適度なインダストリアルサウンドと、当時主流になり始めたニューメタルサウンドが融合した彼らのスタイルは、ROB ZOMBIEのそれにかなり似たものがあるものの、かといってまったく一緒というわけではない。POWERMAN 5000のほうがラップメタル的なボーカルスタイルやバンドアレンジが強めなこともあって、うまく差別化ができていたのかなと思います。

とにかく、「When Worlds Collide」の完成度が尋常じゃない。こりゃウケるわ……って今聴いて思うぐらいに、本作の中でも飛び抜けている。このキャッチーさ、何者にも変えがたいですよね。

かと思えば、「Blast Off To Nowhere」のハードコアとサイケデリックをミックスしたモダンなテイストの楽曲もある。この曲、ロブ・ゾンビがゲスト参加しており、らしいシャウトを聴かせてくれます。そのほかにも、THE CARSのカバー「Good Time Roll」にはLIMP BIZKITのDJリーサルがスクラッチで、「Watch The Sky For Me」には当時MARILYN MANSONのドラマーだったジンジャー・フィッシュがピアノでそれぞれ参加。さらに、アメリカの俳優マラキ・スローンは「An Eye Is Upon You」と「Watch The Sky For Me」でナレーションを聞かせてくれます。無駄に豪華だな。

実は本作、プログラミングおよびミックスでスコット・ハンフリーが参加しているんですよね。スコットといえば、WHITE ZOMBIEやROB ZOMBIEでバンドの良き理解者として手腕を発揮しているアーティスト/エンジニア。このへん含め、周りが本気でこのバンドを売ろうとしているのが伺えます。実際売れてよかったね。

……なんて書いてきたけど、実はこのバンドに対しては本気で「When Worlds Collide」のイメージしかなくて。アルバムも20年ぶりに聴き返したけど、初めて聴くような錯覚に陥ったほど。それくらい印象が薄かったんですよ、ハハハ……。

けど、このバンドの場合、ここで個性が固まったと思ったのに、これ以降毎回そのスタイルを変化させるのがいけなかった。次作『ANYONE FOR DOOMSDAY?』(2001年)なんて、チャートインすらしなかったからね。実兄の幻影を追わず、どんどん新しいことにトライしていく姿勢はよかったんだけど。



▼POWERMAN 5000『TONIGHT THE STARS REVOLT!』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3


投稿: 2019 01 23 12:00 午前 [1999年の作品, Linkin Park, Marilyn Manson, Powerman 5000, Rob Zombie] | 固定リンク

2018年12月23日 (日)

STEVE PERRY『TRACES』(2018)

年明け1月には70歳の誕生日を迎える、元JOURNEYスティーヴ・ペリーによる通算3作目のソロアルバム。前作『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』(1994年)から実に24年ぶりの新作……びっくりですよね。そもそも、その24年の間に発表された“新作”って、JOURNEY再結成アルバムの『TRIAL BY FIRE』(1996年)と、ソロベストアルバム『GREATEST HITS + FIVE UNRELEASED』(1998年)に収録された未発表曲くらいですから(それも、1988年に2枚目のソロアルバム用にレコーディングしながらもお蔵入りした10年前のテイク)。

前作『FOR THE LOVE OF STRANGE MEDICINE』が1994年という時代性を完全に無視した、良くも悪くも“産業ロック”テイストにJOURNEY時代から引き継ぐソウルテイストを加えた「いかにもスティーヴ・ペリーらしい」仕上がりでしたが、あれから時は24年も流れて音楽業界も流行りのサイクルが何回転も繰り返し……今作では「結局俺にはこれしかできないし、これしか歌えない」という開き直りにも似た、過去2作の延長線上にありながらもしっかり“大人”になったスタイルが展開されています。

オープニングの「No Erasin'」を先行配信で聴いた瞬間、「そうそう、これだよね、スティーヴ・ペリーって」と妙に納得させられたことを覚えています。JOURNEYをよりソフトにしながらも、しっかりそのイメージをギリギリのところで保っている。で、彼が歌えばそれが確実に“それっぽく”成立する。なかなかの佳曲だと思います。

じゃあ、アルバム全体でそういったソフトな産業ロックが展開されているのかというと、そこは齢69のスティーヴ・ペリー御大。メロディアスなミディアム/スロウナンバーを中心に、要所要所にソウルやR&Bのカラーを加えたポップロック/バラードがずらりと並びます。刺激的な要素は皆無。もちろん、彼にそういったものは求めるはずもなく、最初から最後まで安心して楽しめる1に仕上がっています。

前作の時点で感じた声の“枯れ”はさすがにあれから24年も経っていることもあり、さらに加速していますが、それでも伸びのあるハイトーンは健在。とはいえ、その“かつての武器”をこれでもかと使い回すことはせず、すごく自然に使うことで曲の中に溶け込ませている。まったく嫌味のない、本当にナチュラルな“歌”が楽しめるはずです。

「No Erasin'」や「Sun Shine Gray」(ROB ZOMBIEのギタリスト、ジョン・5がソングライティングやギターで参加)程度しかロックと呼べるものはないので、ハードロック寄りのリスナーには少々厳しい内容かもしれませんが、例えばJOURNEYが好きでマイケル・ボルトンあたりのAORシンガーも好みという方には間違いなくハマる内容だと断言できます。完成度だけは無駄に高いです。年間ベストには選ばないもののふとした瞬間に聴きたくなる、自分的にはそんな“癒し”の1枚。

ちなみに本作、全米6位/全英40位と、ともにキャリア最高記録を更新しています。



▼STEVE PERRY『TRACES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2018 12 23 12:00 午前 [2018年の作品, Journey, Rob Zombie, Steve Perry] | 固定リンク

2018年10月 6日 (土)

ROB ZOMBIE『HELLBILLY DELUXE』(1998)

1998年8月にリリースされた、WHITE ZOMBIEのフロントマンであるロブ・ゾンビの1stアルバム。1995年発売の『ASTRO CREEP: 2000』(1995年)を最後に、オリジナルアルバムの発売がなかったWHITE ZOMBIEはこの『HELLBILLY DELUXE』発売直後に解散発表。ロブは『ASTRO CREEP: 2000』で築き上げたスタイルを、ソロ活動で引き継ぐことになります。

当時のバンドメンバーは、WHITE ZOMBIE後期に参加したジョン・テンペスタ(Dr)、のちにオジー・オズボーンのバンドに加わるブラスコ(B)、そしてマイク・リッグス(G)という面々。プロデュースはスコット・ハンフリー(MOTLEY CRUEANDREW W.K.MONSTER MAGNETなど)が担当し、そういった繋がりからダニー・ローナー(NINE INCH NAILSMARILYN MANSONなど)やトミー・リー(MOTLEY CRUE)もゲスト参加しています。

聴けばわかるように、とにかくモダンなヘヴィロックナンバーをザクザクしたギターリフと適度なデジタル加工で表現しており、抑揚がないようで実はキャッチーというロブのメロディ/ボーカルラインと合わさることで不思議と親やすい仕上がり。これはWHITE ZOMBIE時代から引き継がれている重要な要素なのですが、ソロになってからバンド形態にこだわる必要もなくなったためか、そこの入っていきやすさがより増しているような気がします。

ヘヴィロックなのにキャッチーで聴きやすい。それってどうなの?と思われそうですが、それっておどろおどろしいMARILYN MANSONにも共通して言えることで、そのへんは彼らのルーツのひとつであるKISSアリス・クーパーあたりに通ずるものがあるのではないでしょうか。そういう意味では、僕はマンソンの時代に敏感なショックロックはアリス・クーパーの後継者、ロブ・ゾンビの良くも悪くも金太郎飴的スタイルはKISSの後継者だと思っているのですが、いかがでしょう?

一歩間違えばアングラなデジロック/インダストリアルメタルで括られてしまっても不思議じゃないのに、しっかりメジャーのど真ん中で活躍できるだけのポテンシャルも備わっている。しかも、1曲1曲が2〜3分台と非常にコンパクトなのも好感が持てるポイント。トータルで38分程度というトータルランニングも古き良き時代のロックのスタンダードに通ずるものがあるし、しかもこのスタンス、現在まで見事に踏襲されている。最長でも『HELLBILLY DELUXE 2』(2010年)の46分ですから。最新作『THE ELECTRIC WARLOCK ACID WITCH SATANIC ORGY CELEBRATION DISPENSER』(2016年)に至っては過去最短の31分ですからね(笑)。恐れ入ります。

ソロキャリア20年を迎えた今、どの作品から手を出せばいいのか迷っている方。キャリア総括的なライブアルバムやWHITE ZOMBIE時代からソロまでを総括したベストアルバム『PAST, PRESENT & FUTURE』(2003年)も良いですが、まずはソロの原点でもある本作『HELLBILLY DELUXE』から聴くことをオススメします。一応キャリア的にも全米5位、300万枚以上を売り上げた最大のヒット作ですから。



▼ROB ZOMBIE『HELLBILLY DELUXE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤CD+DVD / MP3

投稿: 2018 10 06 12:00 午前 [1998年の作品, Motley Crue, Rob Zombie] | 固定リンク

2006年5月 2日 (火)

ROB ZOMBIE『EDUCATED HORSES』(2006)

前作『THE SINISTER URGE』から約4年4ヶ月ぶりに発表する、ROB ZOMBIE通算3作目のアルバム。2003年にはベストアルバム「PAST, PRESENT & FUTURE」がリリースされているので、実はそんなに時間が経ってるなんて思ってなかったんですが。そういやぁこの人はWHITE ZOMBIE時代含め、ホントにリリース間隔が長いですよね。その割りに、毎回内容は一緒なんですけど(良い意味でな)。

さて、WHITE ZOMBIE時代にメジャーから2枚のオリジナルアルバムを、ソロになってからも2枚のアルバムを出している彼ですが、ベスト盤をひと区切りとしてここで心機一転、新しい音で勝負してくるのか‥‥と思いきや、まったく変わってません。安心してください、ファンの皆さん! 驚くくらいに変わり映えがないというか。いや、もう彼に関してはこれでいいのかもしれない。

もともと音楽的に革新的なことをやってきた人じゃないし、むしろキャラ勝負なとこが強かったわけだし。ビジュアル面(映像作品など含め)でいろいろ凝ったことをやってる割りには、音は毎回一緒。もちろん手抜きは一切なく、細部まで徹底的に作り込まれてるんだけどね。

今回も前半にキャッチーな曲を持ってきて、中盤にインターミッション的なインスト曲を挿入し、その後はミドルヘヴィでムード感のある曲が続くという構成は、ある意味では映画的かもしれません。あと、この人のオリジナルアルバムって、毎回適度な長さなんですよね。今回も40分がちょい欠ける程度。勢いで聴けてしまうというか、飽きる前に終わっちゃうし、程よい長さなんですよね。まぁ最近じゃCDの限界近くまで音を詰め込むアーティストが多いから、そういう意味でアンチテーゼっぽいかも(実はなにも考えてなかったりしてな)。

とにかく、これまでの彼の曲が好きな人なら間違いなく気に入る1枚でしょう。この金太郎飴みたいなアルバムを楽しめたなら、もうこっちのもの。あとはひたすらリピートするのみ。そう、一度聴くと、2度、3度と繰り返し聴いてしまうアルバムなんですよね、これ。もちろんそれには曲が良いという大前提があるわけなんですが‥‥いやいや、マジでいいアルバムだって。MARILYN MANSONはダークすぎて&キモくて苦手、っていう人でも、こっちならいけるんじゃないかな? 実は音的にはまったくひねくれてない、ド直球だからね、ROB ZOMBIEって。



▼ROB ZOMBIE『EDUCATED HORSES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2006 05 02 12:10 午前 [2006年の作品, Rob Zombie] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2005年3月24日 (木)

ジョン・5、ROB ZOMBIEに加入

Former MARILYN MANSON Guitarist Joins ROB ZOMBIE.(BLABBERMOUTH.NET)

 元MARILYN MANSONのギタリスト、ジョン・5がこの度ROB ZOMBIEのバンドに加入し、「OZZFEST」でお披露目となるようです。これまた凄腕ギタリストが加入したなぁ。

 ジョン・5は元々、デイヴ・リー・ロスのバンドに加入したことでプロとしてのキャリアをスタートさせ、その後ロブ・ハルフォードがJUDAS PRIEST脱退後に結成したTWOというユニットにも参加しています(そういえばこのTWOのアルバムってNINE INCH NAILSのトレント・レズナーのレーベルからのリリースだっけ。MARILYN MANSONは元々トレントのプロデュースで彼のレーベルからデビューしてるので、もしかしてその繋がりでMANSON入りしたとか?)。彼が如何に優れたギタリストかは、ライヴ音源なり彼加入後の諸作品を聴けばお判りかと思います。そう、そんな彼の後に加入した現在のギタリスト(名前すら知らない。ゴメン)は正直可哀想だと思いますよ。

 MARILYN MANSON脱退後にはソロアルバム「VERTIGO」(インストもの)をリリース、後にLOSERなるバンドも結成したそうですが‥‥さて、このままパーマネントメンバーとしてROB ZOMBIEで作品を発表してくれるのでしょうか。個人的には面白い組み合わせだと思うので、是非期待したいところですが。



▼JOHN 5「VERTIGO」(amazon

投稿: 2005 03 24 12:00 午前 [Rob Zombie] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

2004年10月30日 (土)

洋楽カレンダー事情

 さて。今年もあと2ヶ月ってことで、新年に向けていろいろ準備を始める人も多いんじゃないでしょうか。カレンダーもそのひとつですよね。わざわざ買う人もいれば、他所から貰ってきたもので済ます人もいる。人によってその重要度が全然違う一品ですが‥‥洋楽ファンにとってのカレンダーってどうなんでしょう? ビートルズくらい? いや、ブリトニー・スピアーズとかあの辺の女性シンガー系はあるんでしょうけど‥‥

 というわけで、海外制作の、日本からすれば「そんなアーティストのカレンダーなんかあるのかよ!?」みたいなものを幾つか紹介します。全部Amazonで買えるようになってますよー。



▼INCUBUS 2005 CALENDER(amazon



▼KISS : ROCK THE NATION 2005 CALENDER(amazon



▼OZZY 2005 CALENDER(amazon



▼PANTERA 2005 CALENDER(amazon


▼ROB ZOMBIE 2005 CALENDER(amazon



▼SLIPKNOT 2005 CALENDER(amazon



▼SYSTEM OF A DOWN 2005 CALENDER(amazon


 つーかSYSTEM OF A DOWNのカレンダーって需要あるのか!? オジーは判るけど。意外とMETALLICAとかあってもおかしくないんだけどさ、やっぱり版権問題かしら!?

 さて、貴方の心に響くカレンダーはあったでしょうか‥‥誰か俺用にSLAYERカレンダーとか作ってください(特に初期)。

投稿: 2004 10 30 02:56 午前 [Incubus, KISS, Ozzy Osbourne, Pantera, Rob Zombie, Slipknot, System of a Down] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック